Category Archives SNAKEPIPE MUSEUM

20180930 03
【ブレやボケで偶然を利用したシュールな作品が魅力】

SNAKEPIPE WROTE:

2週連続して「映画の殿」を書いてしまったのにもかかわらず、今週も横溝正史シリーズを計画していたSNAKEPIPE。
今も「こんしゅう」の「こ」と入力しただけで「コンタッチ」と変換されてしまうほどだもんね。(笑)
市川崑監督についての記事はまた次回以降にすることにして、久しぶりに「SNAKEPIPE MUSEUM」にしよう!
どんなアーティストに巡り会えるのか、ワクワクしながら検索を開始。
ラッキーなことに、今回も出会えたんだよね!(笑)

アーティストの名前はFrancesca Woodman、素直にフランチェスカ・ウッドマンと読めるね。(笑)
前回の「SNAKEPIPE MUSEUM」同様、またもや女流写真家になってしまったよ。
フランチェスカは1958年アメリカのコロラド州デンバーの芸術家一家に生まれた。
デンバーと聞くとどうしてもジョン・デンバーを連想してしまい、頭の中に「カントリー・ロード」が鳴ってしまうのはSNAKEPIPEだけだろうか?

父親のジョージは画家・写真家であり美術大学の講師をやっていて、母親のベティは陶芸家だという。
ちなみに兄のチャールズも電子アート(?)の准教授になっているというから、まさに芸術一家!
フランチェスカは13歳で写真を始め、その時からずっとセルフ・ポートレートを撮っている。
左の画像もセルフ・ポートレートね。
1979年に一家はニューヨークに移住。
その頃からポートフォリオをファッション写真家に送り、売り込みを始めるが結果は芳しくなく、自殺未遂。
そして翌年投身自殺。
国立芸術基金からの資金援助の申請失敗に関連していると見られている。
享年22歳とは早過ぎる死だよね。

フランチェスカについて調べてから写真を観ると、心の闇を表現しているように感じてしまうね。 
泥がひび割れてしまった荒廃した地面に横たわる女体。
複雑なフォルムのせいで、どんなポーズをしているのかよく分からないよ。
体の上下が不明なので、不思議な生物のようにも見えてくる。
もしくは打ち捨てられた屍のような。
フランチェスカはモデルを使った作品も撮っているので、この写真がセルフなのかどうか分からないよね。
もしモデルだったとしたら、泥だらけになって大変だっただろうなあ。

これはモデルを撮影している作品だね。
非常に痛々しいんだけど、表情は苦しそうではないよ。
むしろ満足気に見えてしまうので、本人の希望で刺しているような?
もしくは惨死体をイメージしているのかもしれない。
こんな作品を制作していたフランチェスカは、かなりのダーク好きだよね。
まだフォトショップなどで加工ができない時代に、どんな仕掛けで撮影したんだろう。
手にしているのは瓶詰めのようだけど、中に何が入っているのか興味あるよ。
まさか「地獄」じゃないよね?(夢野久作!)

これも不思議に見える写真。
「エクトプラズムみたいだね」
とROCKHURRAHが言う。
エクトプラズムとは「霊の姿を物質化、視覚化させたりする際に関与するとされる半物質、または、ある種のエネルギー状態のもの(Wikipediaより)」とのことで、煙にように見えるらしい。
2018年4月に行った「マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン 鑑賞」でも、マイク・ケリーが白目を剥いて鼻や口から煙(実際には綿)を出してる写真があったっけ。
超常現象のように見えるこの作品も不気味だよね。

フランチェスカがイメージしていた世界観はよく分かるなあ。
きっと現像して焼き付けるまで、ドキドキ・ワクワクしてただろうな。
もちろんフィルムならではの失敗はたくさんあるんだけど、見た通りに写っているか不安になったり、偶然のおかげでより面白くなっていた「棚ぼた」的な写真の発見が楽しかったからね。
デジカメ以降、この感覚が消滅してしまったのが残念なんだよね。
左はドアが宙に浮いているように見える不思議な作品。
スクエアの画面にバッチリの構図!
レコードジャケットにしたら似合いそうな作品だよね。
ダリの作品の一部を切り取ったようにも見えてくる。

大きな法螺貝に呼応するような女性の髪型。
壁の影の形も気になるよ。
一体どんな夢を見るんだろうね?
右の作品を、どこかで観たような気がしてきた。
記憶を探り、思い出したのがマン・レイだった。 
フランチェスカはシュールレアリズムが好きだったんだろうね。
こっちがマン・レイの作品。
目を閉じた女性がテーブルに頭を乗せているポーズや、小道具を使用するところなど似ているように思ったよ。
マン・レイの作品は、今観ても斬新でカッコ良いものばかり!
影響受けるのも納得だよね。

SNAKEPIPEは検索して初めて知ったフランチェスカだけれど、死後多くの写真集が刊行されたり写真展が開催されているようだ。
亡くなってから評価されるというのはよく聞く話だけど、実際のところフランチェスカが精力的に活動していた時には全く何の賛辞もなかったのかな?
1970年代後半から1980年初頭に、これらの写真を観たとしても、SNAKEPIPEだったら反応しただろうなあ。
フランチェスカの早まった決断が残念でならないね。

もしフランチェスカが生きていたら、今年が還暦。
セルフポートレートでのヌードはないかもしれないけど、どんな写真を撮っていたのか想像してしまうね。
デヴィッド・リンチも工場みたいな無機的な場所をバックに、フランチェスカみたいなブレたヌード写真撮っている。
左の画像がリンチの作品だけど、雰囲気似てるよね?
結局SNAKEPIPEの好みってことなんだろうね。(笑)

早逝したアーティストというのは、神格化されたり伝説になることが多いよね。
フランチェスカもその例に漏れず、今でもファンを獲得している女流写真家だね。
自殺した女流写真家といえば、真っ先に思い出すのがダイアン・アーバスかな。
ダイアン・アーバスもニューヨーク在住だったっけ。
モノクロームの世界に魅せられ、理由は違うけれど同じ運命を辿った2人の女流写真家。
もしかしたらSNAKEPIPEが知らないだけで、3人目がいるのかもしれない。
そしてきっとまたその写真家の作品にも感銘を受けるだろうな、と思う。

20180722 top
【不気味な作品に一目惚れ!】

SNAKEPIPE WROTE:

話はSNAKEPIPEの高校時代に遡る。
家庭科で「子供用の紙芝居」を制作する授業があった。
クラスメートは「さるかに合戦」やら「桃太郎」のようなオーソドックスな紙芝居を描いていた。
それを見た家庭科の先生はご満悦の様子。
先生の理解できる作品だったからね。
ところがSNAKEPIPEは子供に恐怖体験する機会を与えてはどうかと考え、生首が飛んだ絵やら、赤と黒で表現した地獄の様子を紙芝居にして提出!(笑)
教訓やおとぎ話と同じレベルで「あなたの知らない世界」を伝えても良いのではないか?
味だって甘いだけではない、辛い、塩辛い、苦い、酸っぱい、など様々な種類があるわけだし! 

SNAKEPIPEの提出物を見た瞬間、先生が口をあんぐりと開け、次に怒りで顔面を真っ赤にしたことを覚えている。
確か最低点だったように記憶しているけど、幼少時代から「ゲゲゲの鬼太郎」の大ファンだったSNAKEPIPEにとっては、その先生の画一的な評価は納得できなかったな。
絵自体も素晴らしい出来だったからね。(笑)

世の中もその家庭科の先生のような考え方が一般的で、この時期になると体験コーナーが併設されているような子供用の企画が増える。
子供が夏休みになっている頃だから健全な展覧会ばかりになってしまうんだよね。
邪悪でダークなアートを好む子供(もしくは一家)はそう多くないだろうからね?(笑)

展覧会に期待できない時はインターネットの検索をする。
「求めよさらば与えられん」の言葉通り(?)SNAKEPIPEの願いが叶ったよ。
とても好きな雰囲気のアートを発見することができた!
アーティストの名前はKaren Jerzyk。
カレンは読めるけどJerzykはどう読んだら良いのかな。
調べてみると、どうやらイェジックと読むみたい。
このブログでは、カレン・イェジックと表記することに決定!(笑)

カレン・イェジックについての詳細を調べてみたけれど、情報は驚くほど少ないんだよね。
ボストンやニューヨークを拠点に活動している女流写真家だということ。
2003年にニューハンプシャー大学で英語の学士号を取得している。
英語を学んだ、という記述があったので、恐らく〇〇系アメリカ人というわけではないのかもしれない。
名前の読み方を調べていたらポーランド語として出てきたので、留学生としてアメリカに滞在していたと推測する。
特に出身国についての記述はないんだよね。
未だに英語で感情を表現するのが苦手、とも書いてあったよ。
2009年からバンドの撮影を始めたとのこと。 
初めて手にしたのはデジカメだという。
大学卒業時に22歳だった場合には、現在37歳くらいかな?
彼女のウェブサイトには、作品が載った世界中の雑誌名が書かれているよ。
ワールドワイドに活躍している写真家なんだね!

カレン・イェジックは廃墟に興味があるという。
インターネットで廃劇場を見て以来、撮影スポットを探すことに夢中だったとのこと。
さすがに絵になる場所を選んでいるよね。(笑) 
構図がシンプルなシンメトリー、人物と廃墟以外写っていないのに、インパクトが強い。
恐らくビニール一枚だけ用意したような仕掛けなのに、少女が囚われ監禁されている犯罪めいたイメージを受ける。
これはちょっとヤラれた、と思ったSNAKEPIPE。
アイデア次第で、こんな作品ができるのかと感心しちゃったよ。(笑)

これも廃墟の中での撮影だけど、より直接的に犯罪めいているね。
恐らく美容院のパーマ用の椅子に座っていると思うけど、口にはめられているのは拷問器具?
頭にかぶっているキャップのせいで、これから手術を受けるように見えるよね。
もしくは映画「ホステル」のように、人体実験させられる前に拘束されているような。
ホラー映画のワンシーンみたいだよね。
色合いの美しさが一層残酷さを増しているように感じる。

カレン・イェジックはティム・バートンとテリー・ギリアムのファンだという。
SNAKEPIPEも当然映画監督としての2人は知っているし、作品も鑑賞している。
ティム・バートンはウォルト・ディズニー・スタジオ、テリー・ギリアムはモンティ・パイソンでアニメーターだったことは調べて初めて知ったよ。
ティム・バートンの作品はダーク・ファンタジーとはいっても、少し子供っぽくて可愛らしい感じがするよね。
カレン・イェジックには、その子供っぽさはあまり感じないけど?
作品を1点完成させるまでに、細部にまでこだわり演出するカレン・イェジック。
カップルの食事風景だけれど、棚のオブジェを揃えるだけでも大変そうだよ。(笑)

骨つながりで選んだのがこちら。
この作品はティム・バートンを感じるね。
ちょっとユーモラスな雰囲気だからかもしれない。
黒白の猫ちゃんまでポーズ決めてて、とてもかわいい。
この骸骨はおばあさんに何の用事があったのかな。
ストーリーを考えるのも楽しいよね。 

カレン・イェジックはミュージックビデオなどの映像も手がけている。
上に載せたのは、カレン・イェジックの撮影用セットとのこと。
場所を確保し、セットを組んで、モデルさん探して、やっと撮影。
どんな物語を想像して、このセットになったんだろうね?

燃えるミニチュアの家。
まるでネグリジェのような薄着の女は、何故燃やしているのだろう。
おままごとをしていたドールハウスを燃やすことで、少女時代との決別を図るため?
火を見ると興奮する性質の女で、習慣的に物を燃やすため、危なくないように川で作業中とか?
一番最初に紹介した廃墟の写真と同じように、材料がシンプルなのにインパクトがあるんだよね。

この写真も上と同じで、シンプル。
最近のホラー映画は、CG使って「これでもか」と言わんばかりの演出が多くて、うんざりしちゃうんだよね。
そんなに本数観てるわけじゃないから断言はできないけど。(笑)
見よ、この写真を! 
なんて怖いんでしょう。
SNAKEPIPEは、この写真からお話いっぱい想像しちゃうよ。
相変わらず陳腐なストーリーだけどね!(笑)

カレン・イェジックの写真は色合いの美しさも特徴的なんだよね。
色の影響もティム・バートンから受けたと語っているインタビューを見つけたよ。 
そしてPhotoshopは好きじゃないとも書いてあったんだけどね?
Photoshop使わずに、こんな色合いを出すとしたらフィルター使ってるのかな。
モデルは宇宙飛行士のようなので、飛び跳ねているのは宇宙空間だから?
また勝手に想像してみたけど、どうだろう。(笑)
ファッション・フォトと映画のスチール写真のミクスチャーのような作品、本当に素晴らしい!

この写真もSFっぽい雰囲気なんだよね。 
右の男性は椅子ごと浮かんでいるので、やっぱり宇宙空間なのかも!
そして後方の部屋は、燃えるようなオレンジ色のニクい奴。(笑)
タルコフスキーの「ストーカー」をイメージしてしまうのは、テレビが古いからかな?
ついでにナムジュン・パイクも思い出してしまう。
不思議な雰囲気の作品だね。

カレン・イェジックは幼少の頃、人形をほとんど持っていなかったという。
なぜならバービー人形の髪をナイフで切ったり、燃やしてしまったからだという。
かなり危険な子供だったのかもしれないね?
問題児のように見える子供がアーティストとして成功する例として記憶しておこう。
カレン・イェジックのような子供だったら、SNAKEPIPEが描いた紙芝居を喜んでくれたかもしれないね?(笑)

20180408 top
【タイトルは「La verdad y ventira」。真実とVentira。Ventiraって何だろう?】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログでは珍しく、2週連続で鑑賞した展覧会について記事を書いていたね。
今週もまたアートに関して特集してみようか。
SNAKEPIPEが仮想美術館を想定して、自らがキュレーターとなり館内に展示するアート作品を集める趣旨の「SNAKEPIPE MUSEUM」。
SNAKEPIPEの好みで集めている作品群ばかりなので、コンセプトはなし。(笑)
「欲しい!飾りたい」
というシンプルな理由によって紹介していくコーナーである。

今回は(も?)たまたまネット検索していたら偶然目に止まったアーティストなんだよね。
トップ画像にした不思議な絵を描いているのはCarlos Alberto Quintana Ledesma。
カルロス・アルベルト・クインタナ・リーデスマで良いのかな?
近棚や金棚じゃなくて(笑)キンタナと書いてあることが多いみたいだけど、このブログの中ではカルロス・クインタナに統一しよう。
Quincy Jonesだってクインシー・ジョーンズだしね。(笑)

カルロス・クインタナについて調べてみよう。
1966年11月29日、ハバナのヴェダド地区に生まれる。
カルロスの祖父母は文盲で、母親は3年生まで、父親は5年生まで学校に通ったと書いてある。
ということは全く教育熱心なご家庭じゃなかったということだろうね。
学校に行かなかったけれど、カルロスの父は書店関係にお勤めだったみたいね。
クインタナ一族にはアーティストがいなかったという情報もある。
カルロスが16歳のとき、有名なサンアレハンドロ美術アカデミーに入学するも、わずか4ヶ月で退学したという。
勉強嫌いに加え、家族からの理解は望めなかったのかもしれないね。

1987年からはグループ展や個展で作品を発表しているようで。
ポルトガル、ニューヨーク、スペインなどで作品が購入されているみたい。
絵を販売しているサイトも発見したので、アーティストとして生計を立ててるってことだよね。

何故カルロス・クインタナがSNAKEPIPEの目に止まったのか。
気になった作品について感想と共に紹介してみよう。

最初に見つけたのがこの作品。 
人間の頭が地面にゴロゴロしている!
ヒモ状の線が描かれているのか、本当にヒモなのかは画像では判別できないけれど、首が繋がっているように見えるんだよね。
頭からは血が流れているような物もある。
カルト集団の儀式のようにも見えてくるよ。
もしくは心理学者ユングが提唱した集合的無意識の具現化とか。
あるいは輪廻転生した魂を表現しているのか。
この画像で一気に興味を持ってしまったんだよね。

絵画にも首がたくさん描かれていた。
植物と共に描かれているため、これは地中の様子かもしれないと思う。
骸骨もあるから余計にね。
カルロス・クインタナの作品からは、明るくて楽しくてHAPPYな雰囲気は感じられない。
梶井基次郎の「桜の樹の下には」のように人間を養分にしているからこそ、花が美しく咲き誇っているかのように思ってしまう。
タイトルなどの詳細が不明なので、勝手にストーリーを作っちゃうよね。(笑)

地中の次は水中だよ!
溺死して漂っているように見えてしまう。
とても楽しい水遊びじゃないよね?
完全に姿が確認できるのは2人だけど、青い人の周りにも何かあるのが非常に気になるよ。
魚なのか、それとも人の残骸なのか。
SNAKEPIPEがキューバのアートと聞いて連想するのは、明確なメッセージを持った作品なんだよね。
カルロス・クインタナの作品は心象風景のようなので、社会主義国のイメージとはかけ離れているよ。

カルロス・クインタナの作品には、何故かアジア人のような人物が多く登場するんだよね。 
右の画像で、赤い服を着て正座している人物はお坊さんに見える。
左奥にいる黒い着物の人物は仏像のようだし。
中央の首に注がれているのは、心臓からの血液か? 
皿の上に乗った頭蓋骨も謎だよね。
キューバに仏教徒は皆無ではないだろうけど、アジア圏からの移民でもない限り珍しいんじゃないかな。
どうしてアジア人を描くんだろうね。

これもまたお坊さんみたいに見える不思議な作品。
これは一体どんなシチュエーションなんだろうね?(笑)
なんでヨガみたいなポーズで積み重なるのか。
右にいる西洋人や皿に乗った首が至るところに登場しているのは?。
なんだか西洋人がアジア人をキロ単位で買ってるように見えてしまうよ。
あと2kg足りなかったら、首を1個増やすような感じね。
カルロス・クインタナは絵画の中にアジア人が登場することについて質問されると
「多分、星の影響じゃないかな」
と答えたという。
ちっとも回答になっていないんだけど、そんな答え方をするところからしても夢想家なのかもしれないね。

2015年にROCKHURRAHが書いた「映画の殿 第14号 映画の中のニュー・ウェイブ01」に出てきたキューバ映画「ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド」や、テレビの旅番組などを見ると、キューバは想像している社会主義国とは違うことが分かる。
50年代のアメ車が走り、道端ではラテン音楽の演奏が聞こえてくる。
歩く人達はドギツい原色の服を着て、明るい笑顔を見せている。
全員が暗い色合いの同じ服を着て、貧しさに耐えながら生きているのが社会主義国だと思っていたSNAKEPIPEが古いのか。(笑)
キューバは自由な国に見えたんだよね。
だからこそカルロス・クインタナのようなアーティストも生まれるのかもしれないね。
右の作品は病院を描いているのかな。
足から想像すると産婦人科なのかもしれない。
いろんな霊がうようよしているように見える不思議な絵だよね。

キューバでは無信教者が55%いるというWikipediaの記述に驚いてしまった。
これは外国の中では多いほうじゃないかと思うけど、どうだろう?
宗教により死生観が変わってくると思うので、無神教者は自分の好みで死後の世界を想像することができるのかもしれない。
カルロス・クインタナの作品からは、死後の世界、もしくは見たことがない世界への強い憧れを感じる。
それはやはり仏教的な死生観なんだよね。
アレハンドロ・ホドロフスキーも、南米チリ出身だけれど東洋思想や禅に影響を受けていたっけ。
そう考えるとカリブ海の島国であるキューバにも、アジアの思想に興味を持つアーティストがいても決して不思議ではないかもしれない。

自らの唾や牛乳で絵の具を薄め、素手で絵を描くこともあるというカルロス・クインタナ。
絵を描くという行為は瞑想に近い儀式なのかもしれない。
カルロス・クインタナの絵で思い出したのが、2012年に鑑賞した「ジェームス・アンソール」。
骸骨や仮面をモチーフにしていて、少し残酷な絵を描いていたんだよね。
人の顔がみっちりと大量に描かれていて雰囲気が近いように感じる。
メキシコの画家フリーダ・カーロの絵も連想したSNAKEPIPEだよ。

キューバのアートやアーティストに触れる機会がなかったので、今回知ることができて良かったと思う。
カリブ海に浮かぶ他の島のアートも調べてみようかな!
 

20171217 top
【向こうの部屋に誰かいる!いかにもありそうな恐怖へのいざない】

SNAKEPIPE WROTE:

敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの作品の中でよく登場するのが、ドアを開けると漆黒の闇が広がっているシーン。
自分の家の中なのに、まるで異空間のように感じてしまう恐怖を表しているのである。
通称「リンチ・ブラック」と呼ばれていると聞いたことがあるよ。
ここまでの闇ではなくても、実際に自宅で似た経験をすることってあるんだよね。
日が落ちているのに、電気を点けないで部屋に入った瞬間。
もしかしたら誰かが潜んでいるかもしれない、と一瞬想像してしまうことがある。
これってSNAKEPIPEだけかなあ?(笑)

そんな日常的に感じる恐怖を描いているアーティストを発見した。
上の画像も、上述した話に近いシチュエーションだよね。
向こうの部屋に確認できる人影。
家族なのか、もしくは見知らぬ人物?
小さく「ヒッ」と声を上げてしまいそうな、ゾクッとする心理を上手く表現していると思う。

これはSam Wolfe Connellyというイラストレーター。
サム・ウルフ・コネリーでいいのかな。
1988年北バージニア州生まれの29歳。
2011年にジョージア州サバンナ芸術大学デザイン学部を卒業。
以来、イラストレーターとして活躍し、個展も開催しているという。
現在の活動拠点はニューヨークだって。
左はコナミのホラーゲーム「サイレントヒル」のポスターとのこと。
しっかりカタカナで書いてあるから分かるよね。(笑)
映画のポスターなども手がけているので、プロのイラストレーターとして成功しているんじゃないかな。
本人のインタビューによれば「家賃が払えるように仕事するだけが望み」とのこと。
恐らくはプロのイラストレーターよりアーティストになりたいように思うけど?

サム・ウルフ・コネリーは子供の頃に感じた恐怖を絵の題材に選んでいるらしい。
それがきっと一番上の画像のような隣の部屋だったり、右の画像のような窓から垂れ下がる髪の毛なんだろうね。
これらは子供じゃなくても怖いと思うけど。(笑)
右の画像では、窓枠に点滴のパックのようなものが吊り下がっているので、恐らく窓を頭にした状態で寝ている女性がいるんだろうね。
種明かしをされたら「なあんだ」と思うかもしれないけど、一瞬ギョッとする光景には間違いない。
剥がれかかった壁も意味深に思えるし、手入れされていないような雑草が、まるで髪の毛の仲間のように見えてくるのも効果的。
これがカラーの作品だったら草の緑と髪の色の違いが分かるんだろうけど、モノクローム(ちょっとセピア?)だからこそだね。

サム・ウルフ・コネリーの恐怖イメージは続く。
月明かりの中、湖に浮かぶ男性の半裸体。
これは水浴びをしているところなのか。
それとも溺死体なのか。
SNAKEPIPEには溺死体に見えてしまうよ。
だって泳ぐなら、ジーンズは脱ぐと思うし?
まるで映画の中のワンシーン。
死体かもしれない人物がいる絵に美しさを感じてしまう。
もしかしたら殺人かもしれないのに、静謐で凛とした空気まで読み取ろうとする。
2つ以上の相反する感想を持つことができる作品は大好きなんだよね!

サム・ウルフ・コネリーの作品を調べた中で、最も恐ろしいと思ったのは右の画像。
「Above My Floorboards」と題された2013年の作品なんだよね。
「これ、こわい」とROCKHURRAHに見せると、昔の心霊写真に似たものがあったような気がすると言う。
確かに100年以上前の怪奇映画の雰囲気あるよね。
右の作品は、シーツを頭から被ったように見える左の人物(?)もさることながら、階段の上に浮かんでいるように見える人の影が恐怖を倍増させてるよね。
この作品は本当に心霊写真に見えるよ。
でもこれは実は写真じゃなくて絵なんだよね。
サム・ウルフ・コネリーはカーボングラファイト鉛筆やチョークを使用して作品を制作しているという。
普通の鉛筆より硬くて黒鉛粒子が細かいけれど、紙に付着した後はあまり粒子が動かないため、紙を汚さないのが特徴とのこと。
右の作品にはモノクロ写真によくある「ほこり」まで描かれていて、「やるなあ」と思ってしまった。
SNAKEPIPEは昔、自分で写真を印画紙に焼き付けていたので、この「ほこり」みたいな糸くず状の跡には苦労していたことを思い出したよ。
細い筆(面相筆)使って、点描の要領で修復していくんだよね。
そんなモノクロ印画紙の特徴まで描きこむなんて驚いちゃうよね!

サム・ウルフ・コネリーは油絵も手がけている。
左は「Whiteout」という2014年の作品ね。
車のライトが照らし出した一瞬の光景を描いているように見える。
「今の何だった?」と運転手が走り去った後でギョッとする。
そしてきっと見間違いだった、と自分を納得させてしまうに違いない。
恐怖や面倒には巻き込まれないほうが無難だからね。
この女性がどうして裸足で、薄手のワンピースを着て外出しているのかは不明。
勝手に想像してしまうと、精神病院に入院中の女性が病室から抜け出したシーン。
どこに行くあてもないため、さまよい歩いているように見えてしまうよ。
人によって様々なストーリーが展開しそうだね。

サム・ウルフ・コネリーの不穏な空気を孕んだ、不吉で恐怖を感じる絵はとても興味深い。
まるでスナップショットを写実的に描いたように見えるけれど、選び方が上手なのかもしれない。
これからどんな作品が完成していくのか楽しみである。

インタビューの中でサム・ウルフ・コネリーが座右の銘にしている格言について語っている。
Wolves don’t lose sleep over the opinions of sheep.
直訳では「オオカミは羊の意見の上に睡眠を失うことはない」だけど、意訳としては「狼は羊に振り回されることはない」、つまりは「人目を気にせず己の道を行く」ということになるのかな。
サム・ウルフ・コネリーのスペルは違うけれど、名前にウルフが入ってるから一層本人にとって意味のある言葉なのかもしれないね?
このまま独自の表現を追求してもらいたいアーティストだね!