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【謎の黒い線が体を覆っていく不思議な動画】

SNAKEPIPE WROTE:

今まで「SNAKEPIPE MUSEUM」においてたくさんのアーティストを紹介してきた。
そのうち人形作家だけで並べてみても、その傾向は明らかだと思うけど、SNAKEPIPEは不気味な雰囲気の作品が好みなんだよね。
えっ、今更わざわざ言わなくても良い?(笑)
今回もまた、SNAKEPIPEの心を鷲掴みにした作品に出会うことができたんだよね!
早速紹介してみよう。

Jessica Laurel Louise Dalvaについて詳細を調べようとしても、本人のHPに載っている以上の情報を得ることができなかった。
その情報によれば、2009年にオーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインのイラストレーション学科を卒業とのこと。
日本と同じように考えた場合、美大卒業時に22歳だったとすると現在30歳くらいなのかな?
なんと本人のHPで書いてる卒業した学校、スペルミスを発見してしまった!
(誤)Otis College of Art and Desgin →(正) Otis College of Art and Design
こんなことを日本人に指摘されてしまうなんて!(笑)
もしかして国語の成績はいまひとつだった?
作品は素晴らしいので、良しとしよう。

学校卒業後は、劇場や蝋人形館などで仕事をしているようだ。
ポスター制作や舞台装置、ロゴデザインなど色んな役割で収入を得ているんだね。
そういった仕事をこなしながら、自分の作品を発表しているみたい。
日本での紹介記事が見当たらなかったので、SNAKEPIPE独自の日本語訳や解釈で記事を書いているからね。
間違っていたらごめんなさい!

驚いてしまったのが、ジェシカ・ダルヴァ(略してこう書いていこう)の居住地。
カリフォルニア州のロサンゼルスにお住まいとのこと。
作品とカリフォルニアのギャップが激しい!(笑)
SNAKEPIPEが言わんとしていることは作品を観てもらうと一目瞭然だよ。

半裸状態の女性が両腕にカラスのような黒い鳥を従えて、天を仰いでいる。
天女が纏う羽衣ならぬ、黒く薄い布は、まるで鳥の尾が長く垂れているかのよう。
それは額縁をはみ出し、より立体感を増している。
2羽の鳥が羽ばたけば、両腕を広げて一緒に空を飛べるのではないか。
もっと風よ吹け。
大きな風に乗って、高く遠い場所へ。
飛ぶことができなかった時は、谷底に転落するかもしれない。
それでも私は行くのだ。
あの空の向こうへ。
ここではない場所へ。

などと本気で考えているように想像してしまった。(また陳腐?)
女性のアップがあるので、それも載せてみよう。
目の部分がはっきり分からないんだけど、白目を剥いているように見えるんだよね。
盲いているのか。
それともシャーマンのトランスのような状態なのか。
「Eyrie, or, Clarity of Consequence」というタイトルは意味不明。(笑)
Eyrieは〔ワシなどの猛禽ががけなどの〕高いところに作る巣。
Clarityは明快。
Consequenceは成り行き。
Clarity of Consequenceでは必然、と訳して良いのかな?
鳥の巣、または必然???
SNAKEPIPEの英語力では難しいけど、これで作品の怪しい雰囲気は分かってもらえたんじゃないかな?
夜を連想させる、ゴシック調なんだよね。

ジェシカ・ダルヴァのHPには2009年から制作している作品が載っているんだけど、初期の頃はどちらかというとパペットの延長のようなあどけない表情の人形が並んでいる。
少女をモデルにしていたのかな。
決してかわいくはないけれど、そこまでの不気味さはない。
今回特集している「Hapax Legomena」は2015年の作品群で、不気味さに磨きがかかってるよね!(笑)
それにしても 「Hapax Legomena」ってどんな意味?
調べてみると「孤語」というらしい。

コーパス言語学において、ある言語で書き記されたすべてのテキスト全体なり、
特定の作家の作品群や、特定のひとつのテキストの中など、
一定の文脈の中で、1回だけ出現する単語を意味する

Wikipediaから引用してみたけど、その一回だけ出現した単語の複数形がレゴメナだという。
一回だけ出現する単語の複数形ってところで分からなくなるよね。(笑)
「Hapax Legomena」もしくは「hapax legomenon」なんて余程のことがない限り、知ることのない言葉だと思うけど、それは「ありふれた現象」だというのも驚いちゃうね。
大層な言葉だから何か特殊な例なのかと思ってたのに、言語学って難しいね。
前のタイトルといい、全体の総称としてのタイトルも含めて、かなり文学的な思考の持ち主と推察する。
スペルミスはあるけどね!(笑)

底なし沼のような黒い泥の場所で背中を向けている女性。
白い肌に複数の黒い手が重なる。
こっちへおいで。
もっと深い場所にいこう。
その白い肌を黒く染めて、仲間に入るのだ。
こっちだよ。(また出た!陳腐!)
女性の表情は半分以上隠れているけれど、恐れているようには見えない。
覚悟して、自らの意志で底なし沼に落ちることを決めたように思える。
この作品のタイトルは「Abyss」 、意味は「深淵」だった。
ROCKHURRAHは「Abyss」と聞いて、Sex Gang Childrenの「Into The Abyss」曲を連想したらしい。
さすがポジパン好き!(笑)

ジェシカ・ダルヴァの作品は鑑賞者に不安を与えるね。
SNAKEPIPEは悪夢を見そうだよ。

白い花飾りを頭に乗せた女性。
周りを囲んでいるのは羊や蛇やうさぎ。
これらは供物、という意味なのかな?
穏やかな表情で目を伏せているけれど、体の中央には黒い影がある。
まるでウイルスが、内臓を蝕み、浸蝕し尽したため、表面に発露したような。
「Viscera, or, What More Can I Give」は「内臓、あるいは、これ以上何を与えられる」というタイトルが付いてるよ。
供物を捧げ、更には内臓まで与えました。
他にも何か与えるのですか?
もう後に残るはこの生命だけです、という感じなのか。
覚悟して、死を待っている状態なのかもしれないね。
この作品を観て、思い出したのがフリーダ・カーロの「ヘンリー・フォード病院」 だよ。
傷ついた女性と、周りを囲む物体が6つ。
フリーダ・カーロの作品は解説が書いてあるので、作品の意味は分かる。
流産という実体験を元に描かれたと聞けば、この絵は一瞬にして理解できると思う。
自らの痛みや悲しみを題材にした画家というと、松井冬子も同じかもしれない。
作品制作の源流がネガティブな感情の場合、制作は苦しいのではないだろうか。
それとも作品に昇華させることで、苦しみは減っていくのかな?

またもや苦しそうな作品を選んでしまって済みません! (笑)
完全にエビ反っちゃってるよね。
白目剥いて、 手指や腕は泥だらけ。
堕ちるところまで堕ちて、それでも這って、ほんの少しでも進もうとする。
方向は定まらないけれど、がむしゃらに逃れようとする。
一体何から逃れるのか。
タイトルは「Helix」、「螺旋」である。
逃れたつもりでも螺旋をぐるぐる回っているだけ。
どこまでも続く螺旋を、永遠に悶えながら這っていくのだろうか。
評論家だったら、「これは現代を生きる人間の精神状態を表しています」なんて言うのかもしれないな。(笑)

先に「Hapax Legomena」が、決して特殊な事例ではなく「ありふれた現象」だと書いた。
それを踏まえてジェシカ・ダルヴァの作品を鑑賞すると、「この苦しい状態は誰にでもあること」と言いたいのかもしれないね?
様々なストレスにさらされ、もろくて弱い、絶望感にあふれた危うい精神状態に陥った内面を見事に表現しているからね。
ジェシカ、大丈夫かな?
他人事ながら、ちょっと心配になっちゃうよね。
とSNAKEPIPEが勝手に思ってしまったけれど、写真に写るジェシカには心の暗闇を抱えているような女性には見えなかった。
作品の販売もしているし、本人は明るく前向きなのかもしれないね。
聴いてる音楽もポジパンとかゴシックじゃなくて、ジャスティン・ビーバー大好きかもしれないしね!(笑)

【NYのMOMAで2015年に開催された個展の映像。人形の動きがすごい!】

SNAKEPIPE WROTE:

「SNAKEPIPE MUSEUM」は、SNAKEPIPEがアート作品をコレクションしているという仮想美術館である。
英語にするとバーチャル・ミュージアム、略すとバチャミか。
別に略さなくていいか。(笑)
今までかなりのアート作品を収集してきて、様々な国のアーティストを紹介してきたと思うけれど、この国はお初だね。
今回紹介するのはエジプトのアーティストだから!
エジプトというと、真っ先に思い出すのはピラミッドやツタンカーメン、ミイラなどの古代エジプト文明だよね。
古代エジプトについてもそこまで詳しくないけれど、現代のエジプトについてはもっと知らないなあ。

たまたま目にした画像は、今まで観たことがないタイプの人形だった。
キャプションに書かれているのはEgyptian Artist Wael Shawky。
エジプトのアーティスト?
ワエル・シャウキーと読んでいいのかな。

分かる範囲でシャウキーの経歴をまとめてみよう。
1971年エジプト、アレクサンドリア生まれ。
2000年にアメリカのペンシルバニア大学でMFA(修士号)取得。
映像の中でインタビューに答えるシャウキーが、とても流暢な英語を喋っている理由が分かったね。
恐らく20代前半からアメリカに留学してたことになるもんね。
その後エジプトにあるアレクサンドリア大学でBFAを完了しているというから、30代を越えても学生でいたってことかな? 
これは単なるSNAKEPIPEの推測だけど、エジプトのお金持ちというと、桁外れの大金持ちじゃないかと思うんだよね。
きっとシャウキーはお金持ちのボンボンに違いないよ。(笑)
2004年にはアメリカ・センター財団助成金も授与され、2005年以降は数々の賞をもらっているみたい。
世界中で作品を展示する機会にも恵まれているようだね。
そして冒頭に載せたように、2015年にはニューヨークのMOMAで個展を開催している。
2017年の横浜トリエンナーレにも出品予定という情報もあったので、まさに国際的に活躍している新進気鋭のアーティストなんだね!

シャウキーの作品はパペットの制作と、そのパペットを使った映像になるみたいね。
パペットと書いたけど、いわゆる操り人形のこと。
ガラスや粘土を素材にした人形なんだけど、かなり不気味な印象。
人の顔になっていないように見えるものもあるし。
どうやら設定を十字軍の遠征の時代にしているとのことなので、第1回十字軍の1095年から第9回十字軍の1272年までの間ということかな。
そのため人形の服装や装備が、当時のものを模しているんだね。
うーむ、十字軍なんて世界史の授業で聞いたことがあるくらいで、あまり詳しく分からないなあ。

Wikipediaで調べてみると

十字軍とは、中世に西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリック教会の諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のことである

とのこと。
結局のところ宗教絡みのお話だったんだね。
シャウキーの映像は、その十字軍の戦いを描いているらしいんだよね。
だから右の画像の字幕が「神からのお告げを賜った」なんだね。
宗教について詳しくないSNAKEPIPEが語ることは難しいなあ。
しかも映像を観てないし!(笑)
意味について理解しなくても、人形を使ったアートという見方で良いんじゃないかな?
もちろん理解するほうが良いんだろうけど…。

人形劇というと、日本では例えば辻村ジュサブローの「新八犬伝」を思い出すけど、あの人形は顔が固定で目や口が動くわけじゃないんだよね。
目や口が動く人形といえば、やっぱり「サンダーバード」か!
操り人形だし、シャウキーと全く同じ条件だよね。
シャウキーの人形も負けないくらい良い出来で、動いている人形の表情の豊かさは見事!
「教えてくれ!真の十字架はいずこに?」
と問いかけているこの男性もさることながら、背景も素晴らしいよね?
どこからどこまでがシャウキーの手によるものなのか不明だけど、この映像は観てみたいなあ。

戦いということで、こういったシーンも登場するんだろうね。
血糊の表現や人形の表情に、残虐さがよく出ていると思う。
バービー人形を使った「SNAKEPIPE MUSEUM #40 Mariel Clayton」や、まるで犯行の戦利品として人体パーツ収集しているような作品を制作した「SNAKEPIPE MUSEUM #30 David Altmejd」などに比べると「常識的な範囲」の殺戮現場になるけどね。

どうやらシャウキーの映像作品は今まで3作作られているみたい。 
・The Horror Show  2010年 
・The Path to Cairo 2013年 
・The Secrets of Karbala  2015年 
3作ともに十字軍の話なのかは不明だけど、左は3作目からの画像のようなので
「我慢なさい、明日こそが裁きの日になるのだから」
と予言めいた字幕がついているところからみても、宗教絡みの話に間違いなさそうだね。
それにしてもこれは人間の顔なんだろうか?(笑)
十字軍や宗教関連の映像、という断片的な情報だけを仕入れて書いているけれど、シャウキーのテーマは何だろう?
実際に鑑賞しないと分からないよね。
観ても分からないかもしれないし。(笑)

冒頭のMOMAの映像の中で、生き生きとした人形たちを観ることができる。
かなり細やかな動きや表情を確認してびっくりしてしまうほど。
エジプトでは古代から彫刻技術が発達していて得意分野だとは知っていたけど、日本の人形浄瑠璃みたいな丁寧なこともできるとは!
映像は起承転結のあるストーリーではないようだけど、動いている人形を観てみたいよね。
横浜トリエンナーレでは映像作品も鑑賞できるのだろうか?
今からとても楽しみだ!(笑) 

【壊れていくところ?作られていくところ?】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEに情報を与えてくれる貴重な存在であるROCKHURRAHから
「これ面白いよ!」
と教えてもらったのは、奇妙な彫刻作品だ。
一瞬で気に入ってしまった。
さすがはROCKHURRAH、SNAKEPIPEの好みを熟知してるね!(笑)

それが左の画像、「Weathered(2015)」という作品ね。
直訳すると「風化する」。
そのまんまだったね!(笑)
SF映画に出てくるような、例えば非常に強い光によって人体が消滅していく途中を切り取ったような作品は、残酷さと美しさを感じる。
このアンビバレント(また使ってる!)が作品の特徴なんだろうね。
気味が悪いけど好き、といったような対極にあるはずの感情のミクスチャー。
これはまるで敬愛する映画監督であるリンチが提唱した「Happy Violence」だよね。(笑)

この作品の作者は一体誰なんだろう?
調べてみるとRegardt van der Meulen、うーん読めん!(笑)
アメリカPGAツアーで活躍しているBrandt Snedekerと同じように最後がdtで終わってるので、ブラント・スネデカーに倣ってリガルト、と読んでみよう。
リガルト・ヴァン・ダー・メーレンでどうかな。
日本語で書かれた記事が見当たらなかったので、これで許してね!

更に情報を得ようと海外サイトも調べてみたけれど、
・南アフリカのヨハネスブルグ出身
・2008年にケープタウン大学を卒業した
ことくらいしか載っていなかった。
2008年に大学卒業なら、推定年齢30歳くらいなのかな。
本人のHPにも経歴に関する記述はなし!
秘密主義なのか書くべきことがないのか不明だけど、物足りなさを感じてしまうなあ。(笑)

作品鑑賞に戻ろうか。
右の画像のタイトルは「Unravel(2016)」。
自動詞で「ほどける」や「ほぐれる」という意味なんだね。
英検1級以上合格する大学院レベルの単語らしい。(笑)
SNAKEPIPEは初めて目にした単語だよ。
リガルト・ヴァン・ダー・メーレンは「見たまま」のタイトルをつけるタイプだということが分かるね。
この作品を最初に観た時に思い出したのが「人体の不思議展」。
血管だったか神経だったか、人体を貼り巡っている細い線だけの標本を鑑賞したことがある。
アレに似てるように思ったんだよね。
ほどけていくバレリーナ。
繊細な崩壊美、といった感じか?(やや意味不明)

リガルト・ヴァン・ダー・メーレンにインスパイアされて作品を制作しているアーティストを発見したよ!
おおおっ!流れていくー!
今まさに崩壊している、というシーンの連続再生だね。
スマホの待ち受け画面にしたくなる感じ。(笑)

このアニメーションGIFを制作したのはGeorge RedHawkという盲目のアーティストなんだよね。
えっ、盲目!
驚いてしまうけれど、どうやら「法的に盲目」ということのようなので、作品を制作することが可能みたいだよ。
特別なソフトを使用しているとのことだけど、リガルト・ヴァン・ダー・メーレンの世界観を更に解りやすく表現することに成功していると思う。
GIFアニメーションって簡単にいうとパラパラ漫画なので、この動きを出すのにどれくらいの枚数を使用してるんだろうね?
彫刻に動きをつけるという発想が面白いね!

リガルト・ヴァン・ダー・メーレンに戻ろう。
次もまた不気味な作品!
「Ephemeral(2015)」、直訳すると「短命」だって。
体の半分が骨になりつつある状態だけど、半身から美しい女性だということが分かるね。
バラの花だろうか、人肉を養分にして繁殖しているように見えてしまう。
それではまるで梶井基次郎の「櫻の樹の下には」みたいだね。
モデルの顔に力強さを感じるので、自らの意思で花を咲かせたようにも見えてくる。
素材が鉄なので、逞しくみえるのかもしれないけどね。
これも不気味さと美しさの相反する要素を持つ作品だなあ。

先日、読んでいた江戸川乱歩の「吸血鬼」の中に「殺人芸術論」なる言葉が出てきたのには驚いた!
昭和5年(1930年)から新聞に連載されていた「吸血鬼」で、すでに乱歩はデヴィッド・フィンチャー監督の「セブン」やテレビドラマ版の「ハンニバル」のような殺人をアートにする試みを行っているんだもんね。
「Ephemeral」も死体をアートにする系譜を感じる作品だと思うけど、どうだろう?

上に書いた感想を持ちつつも、やっぱりつい思い出してしまうのは「ターミネーター」かな。
顔の半分が機械の骨組みだから似てるんだよね。
リガルト・ヴァン・ダー・メーレンは「ターミネーター」から着想したのかなあ?(笑)

最後の作品は「Drip(2012)」、直訳すると「しずく」。
はいはい、垂れてます、いつもより多く垂らしています!(笑)
溶けていく人。
この作品を観て一番最初に思い出したのは日本神話にあるイザナミとイザナギの黄泉の国のくだり。
黄泉の国の住人になったイザナミが人の形ではなくなってしまったところね。
「決して見てはいけない」という妻の忠告に耳を貸さなかった夫であるイザナギが「人ではない姿」の妻に驚き、恐怖のあまり逃げていく場面である。
「Drip」は、まだ人の形になっているかな?

もう一つ連想したのはこちら!

ヒカシューの「ドロドロ」ね!(笑)

とろけていくよ
もうドロドロの心臓

というシュールな歌詞が印象的な曲なんだよね。
どうやらファーストシングルである「20世紀の終わりに」のB面だったみたい。
この曲とイザナミを連想してしまったSNAKEPIPEだよ!(笑)

リガルト・ヴァン・ダー・メーレンは作品として発表しているのは2012年からのようなので、まだまだこれからのアーティストみたいだね。
人体が朽ち果て頽廃し、壊れていくプロセスはどこまで続けていくんだろう。
完全に崩壊してしまった後の、風化していくところはどう表現するのか。
今後も注目していきたいね!

20161127 top【アルモドバル監督の「神経衰弱ぎりぎりの女たち」に出てくるCMみたい!】

SNAKEPIPE WROTE:

2010年に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #02 Bernard Faucon」では少年のマネキン人形を使って作品を制作していたベルナール・フォーコンについて特集した。
SNAKEPIPE MUSEUM #04 Cindy Sherman」で特集したシンディ・シャーマンも女優シリーズの後の展開は、死体から更に発展(?)し、解体された人形の撮影になっていったことを思い出す。

人形についての考察は「SNAKEPIPE MUSEUM #26 Carla Trujillo」の中で書いていたっけ。
江戸川乱歩の「人でなしの恋」、港かなえの「贖罪」、押井守の「イノセンス」、四谷シモン、ハンス・ベルメール。
人形と聞いただけでスラスラと作品や作家名が出てくるんだよね。
SNAKEPIPEは人形がアート作品として成立していることに興味があるみたい。
今回の「SNAKEPIPE MUSEUM」は、少女のおままごと用に存在していたはずの人形を使って制作しているアーティストに焦点を当ててみよう!

Mariel Claytonは1980年、南アフリカのダーバン生まれ。
マリエル・クレイトンの作品の主人公はバービー人形なんだよね。
「破壊しているユーモアの感覚を持つ人形写真家」と自らを称しているマリエル。
彼女の作品は単なる「少女たちの憧れ」であるバービー人形ではないところがポイント!
清く正しく美しく、の正反対を目指しているようなモチーフで作品の制作をしているからね。
販売元であるアメリカのマテル社からクレームが来ないか、と心配してしまうほどだよ。(笑)
小道具には日本製が混ざっているようで、たまに見える日本語に親近感を覚えてしまうんだよね。
そんなところにも注目してマリエル・クレイトンの作品を観ていこうか!

マリエル・クレイトンの日本趣味(?)がよく出ている作品。
いわゆる「女体盛り」だよね。(笑)
女性の体を皿代わりにして、寿司を並べるなんてなかなかやるなあ!
エロスというよりは猟奇なのは、やっぱり首チョンパだからだろうね。
こんなにたくさんの寿司ネタがミニチュアとしてあることにも驚くけれど、丁寧に並べていくのも根気がいるだろうなあ。
女の子だったら、「おままごと」の延長で楽しむのかもしれないね?
この作品を観て、まっさきに思い浮かべたのが、タイトルもずばり「スシガール」(原題:SUSHI GIRL 2012年)だね。
このまんまのポスターだから、それも載せておこうか。
「スシガール」で最も印象に残っているのは、「スター・ウォーズ」でルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルの体重増加!
あの体型じゃパイロットは無理でしょう。(笑)
非常に残酷な拷問シーンが続いていたように記憶しているので、痛いのが苦手な人にはお勧めしない映画だね!

食べ物つながりで選んだのがこちら!
ぎゃっ!今度は「うどん」の具にされてるよ。
これも日本だよね。
マリエル、日本大好きなのかなあ?
バービーの大きさから考えて、この「うどんセット」はそこまでのミニチュアじゃないのかもしれない。
それにしても箸まで添えちゃって、日本を良く研究してるよね!(笑)
この作品を観て思い出したのが会田誠の「食用人造少女・美味ちゃん」。
食用に造られたという設定の美少女たちが、食材として皿にもられている様子を描いた作品ね。
右の画像はまさに「うどん」の具材になっているので、マリエルの世界と同じだよね。
会田誠も美少女を題材にした残虐なシーンを題材にすることが多いので、マリエルと雰囲気が近いのも納得しちゃうね。

これもバービー人形のイメージとはかけ離れた怖い作品だよね。
どういう経緯で蜘蛛の巣やホコリまみれになってしまったのか?
巨大蜘蛛が出て来るようなホラー映画というよりは、拉致監禁され犯罪の被害者になってしまうようなサスペンス映画のように感じるね。
マリエルはどんなシーンを想像して作品を制作したんだろうか?
背景がシンプルだとお話を想像し易いね。(笑)
この作品を観て、ROCKHURRAHが似た画像を探してくれた。
ケン・ラッセル監督の「マーラー」(原題:Mahler 1974年)に出てくるシーンだという。
女性が拘束されている様子は、確かに似てるかも。
実はSNAKEPIPE、ケン・ラッセルの映画って一本も観てないみたいで!(笑)
「トミーも観てないの?」
とROCKHURRAHに驚かれてしまった。
どうやらケン・ラッセルはハチャメチャで変態的な作品で有名なイギリスの監督のようで、いかにもSNAKEPIPEが好きそうなタイプだという。
ただし面白そうな作品が現在入手困難になっているので、ROCKHURRAHも未鑑賞の作品が多いとのこと。
イエスのリック・ウェイクマンによる「リストマニア」(原題:Lisztomania 1975年)のサントラを持っていたんだって。
この映画も面白そうなのに、DVD化されていないなんて!
過去の作品で観たいものが観られないことが多くて、悔しい思いをするんだよね。

この作品も犯罪の臭いがプンプンするよね。
乱暴されて殺害された後、ゴミとして捨てられたといったところか。
「もえるゴミ」「ビン・カン」と書いてあるのが見えるよね。
マリエルはこの手のミニチュアをネット通販で買ってるのかな?
調べてみると確かにある、ある!
ドールハウス、とかミニチュア家具で検索するといっぱい出てくるんだよね。
どうやら100均にも取扱いがあるみたい。
SNAKEPIPEが子供だったら楽しく遊んだかも。(笑)
マリエルの作品に話を戻すと、女性をゴミみたいに捨てるという映画をいつか観た記憶があって。
恐らく三池崇史監督の「DEAD OR ALIVE 犯罪者」(1999年)だったみたいなんだけど、はっきり覚えてない。
これもまた確認のために観ないとね!

そしてこのマリエルの写真から思い出したのが、今から9年前にSNAKEPIPEが撮影した右の画像。
あれはクリスマスが終わり、年末が近い底冷えのする晴れた日じゃった。
買い物に出かけた道端に、女性の首がゴミとして捨てられているではないか!
ギョッとして思わず立ちすくむSNAKEPIPEとROCKHURRAH!
「ぎゃ〜〜〜〜〜っ!猟奇!」
「乱歩だったら本物を一つ混ぜるかも!」
もちろん良くみればなんのことはない、美容院で使用するマネキンなんだけどね。
ここまで重なるように首が大量に廃棄されているのは、恐怖を感じてしまうよ。
当時はまだスマートフォンじゃないからね。
慌てて自宅に走り、カメラを手に現場に舞い戻り、無事に撮影したというエピソードがある秘蔵の1枚である。
「いつでもカメラは携帯していないと」
とROCKHURRAHから注意を受けたなあ。(笑)
今はスマートフォンに当時のデジタルカメラよりはずっと高感度のカメラ付いてるからね。
取り逃しがなくて良いよね。(笑)

 この作品もまるで映画の中のワンシーンだよね。
どうしてバービーが後手にタバスコ持ってるのか謎なんだけど。
相手の男性にふりかけるため?
自分が使用するため?
意味不明なので想像するしかないね。(笑)
こんな18禁系のバービー画像、撮影しているマリエルに興味が湧いてくるよ。
どんなイメージで毎回テーマを決めているのか。
SNAKEPIPEはこの作品を観て思い出したのが、敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの「ロスト・ハイウェイ」の中のワンシーン。
なんかよく分からないけど、絶対に悪いことやってるボスの前に突き出され、銃で脅され服を脱いでいくアリス役のパトリシア・アークエット。
びくびく怯えながら脱いでいき、ヒモパン一丁になった途端に態度が一変!
「私キレイでしょ」とばかりに堂々とボスに歩み寄り、椅子に座っているボスの前にひざまずくのである。
そのシーンを思い出したんだよね。
もちろん、「ロスト・ハイウェイ」にタバスコはなかったけど!(笑)

最後はモノクロームの作品で締めようか。
これもまるでスチール写真だよね。
「よくも裏切ってくれたわね」
違うかな。
「愛してるのよ。私だけのものになって!」
うーん、これも陳腐か。(笑)
人によって作るお話は違ってくるだろうから、それがマリエル・クレイトンの作品の面白さかもしれないね。
このモノクロームのシリーズと似た雰囲気の「ザ・日本」みたいなシリーズもあるんだよね。
和装のバービーが鍋の支度をした「こたつ」を背景に窓から雪景色を眺めているような写真ね。
なんで南アフリカのマリエルがここまで日本にこだわるのか聞いてみたいよね。(笑)

例えば江戸川乱歩だったりアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の「気狂いピエロの決闘」にもあったように、人を笑わせるはずのピエロが殺人鬼、というような相反するイメージで恐怖心を煽る手法(?)。
マリエルの場合には、それが美少女と猟奇なんだろうね。

「こんなことをするはずがない」
という固定観念を打ち砕くからこそ、余計に鑑賞者が驚愕する。
バービー人形がいつでも笑っているところも含めて怖いんだよね。(笑)
マリエル・クレイトンの情報があまりないのが残念だけど、こんなに日本贔屓のマリエルの展覧会、日本で開催して欲しいよ。
ずっとバービー人形にこだわって創作を続けているマリエルの全貌を鑑賞したいね!