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【ロトチェンコのブック・デザイン】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ROCKHURRAH紋章学」としてブック・デザイン編の第3弾をお届けしよう!
ちょっと変で「とほほ」も大好きだけど、やっぱりカッコ良いデザインに巡り合うと嬉しくなる。
特にROCKHURRAHとSNAKEPIPEの目の色が変わるのは、バウハウスやロシア構成主義のようなタイポグラフィの作品なんだよね。
そういえばこの「目の色が変わる」という表現、普通に使ってるけど本当はおかしいよね?
「欲望に支配されて興奮状態となるため、目がギラギラする」ということになるらしい。
なるほどねえ!
話を元に戻そうか。(笑)

今回はロシア構成主義の素晴らしいブック・デザインをまとめてみよう。
1920年代の作品を中心にしているので、アーティストが偏ってしまうかも?

この画像の中でSNAKEPIPEが読めるのは「1921」だけ!(笑)
インポッシブル・アーキテクチャー展」で観た「第三インターナショナル記念塔」を思い出すような建築物が描かれているよ!
この本は一体何だろう?
どうやらこれは「ロシアの郵便料金と電信統計」 の1921年版みたいよ。
一般的な読み物じゃなくて、専門書ってことだよね。
そんな本には思えないオシャレなデザインに驚いてしまう。
制作したのはLyubov Popova、リュボーフィ・ポポーワと読むらしい。
ロシア構成主義を代表する女性アーティストとのことだけど、SNAKEPIPEは初めて知ったよ!
ウラジミール・タトリンの元で働いていたとの記事があり、 「第三インターナショナル記念塔」を連想したのはあながち間違っていなかったわけだ。(笑)
それにしてもロシア構成主義に女性が関わっていたことは衝撃だね。
ポポーワや他のアーティストについて、もっと調べていきたいよ。

インダストリアルにも興味があるので、タイポグラフィと組み合わされたデザインには目がないよ。
はっ!また目に関する慣用句を使ってしまったよ。
「思慮分別をなくすほど好きなこと」だって。
分別まではなくさないけどさ。(笑)
この本は1926年に発行されたロシアの詩人ウラジーミル・マヤコフスキー詩集で、デザインを担当したのはアレキサンドル・ロトチェンコ!(笑)
ロトチェンコについては2012年の「ロトチェンコ-彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児-」で大絶賛の記事を書いているよね!
なんてカッコ良いデザインなんでしょ。
さすがはロトチェンコ!

こちらもロトチェンコのデザインね。
1929年に刊行された「Rechevik. Stikhi 」(読めん!)という小説のブック・デザインみたい。
ひし形に区切られた枠の中を、ボーダーやストライプで塗りつぶしただけなのに、どうしてこんなにスタイリッシュになってしまうのか。
上の作品と同様に、この作品もMOMAのコレクションになっているんだね。
こんなデザインのブックカバーがあったら欲しいな!

これは1928年の雑誌の表紙のようだね。
調べてみると1923年から1925年まで「LEF (“ЛЕФ”)」として、1927年から1929年まで「New LEF」に名前を変えて年に2回刊行されていた雑誌だという。
アヴァンギャルドのアーティストや写真家、批評家やデザイナーなどが所属していた「Left Front of the Arts (“Левый фронт искусств” )」という協会のための機関誌になるのかな。
このLEF、日本語訳だと「芸術左翼戦線」になるみたいだよ!
すごい名前じゃない? 
アメリカの雑誌「Arts & Architecture」の刊行は1940年から、その前身である「California Arts & Architecture」でも1929年刊行ということなので、もしかしたらこの「LEF」を参考にしていた可能性あるよね。
「Arts & Architecture」の表紙も非常にカッコ良いんだけど、それよりもロシアが先だったことに気付いたからね!
「LEF」の編集はマヤコフスキー、表紙を担当したのはロトチェンコ!

いわゆる左派芸術のイデオロギーと実践を再検討し、
共産主義を発展させるための芸術の価値を高めるために
個人主義を放棄することを目的とする

こんなプロパガンダを掲げた雑誌だったとは!
どんな内容だったのか非常に気になるよね。(笑) 

続いてはエル・リシツキーのデザインね!
1924年発行の「The ISMs of Art」はそのまま「芸術主義」と訳して良いのかな。
リシツキー自身の本のようなので、芸術論が展開されていると予想する。
シンプルながら目を引くデザイン。
はっ、また目の慣用句!(笑)
見た目により多くの人々から関心を向けられること」だって。
まさに広告に関連するデザインが目指すところだね。
リシツキーは、1923年に国家主導でプロパガンダのための「フォトモンタージュ研究所」をモスクワに設立したらしい。 
革命のための表現として構成主義が発達した、というところが資本主義国の芸術環境とは違う点だよね。

これもリシツキーのデザイン。
1927年に刊行されたウラジミール・マヤコフスキーの詩集とのこと。
先に紹介したロトチェンコもマヤコフスキーと組んでいたよね。
どんな詩を書いていたのか気になるよ。
内容と装丁は合っていたんだろうか?(笑)

構成主義三原色とでも言うべきベージュと黒と赤だけが使用されたシンプルさ!
色のバランスと空間の使い方が絶妙なんだよね。
SNAKEPIPEが注目したのは右下の赤。
ここに赤を置くかどうかで全体の締まり具合が全然違うんだよね!
こんなデザインのノートがあったら欲しいな。

最後はグスタフ・クルーツィスの作品ね。
詳細がよくわからなかったけど、カタログと書いてあるみたいじゃない?
もしかしたらクルーツィス本人の図録なのかもしれないね。
このデザインも構成主義三原色のみ使用だけど、なんともいえないインパクトがあるよ。
クルーツィスもLEFに所属していたアーティスト。
奥さんのヴァレンティナ・クラギーナもアーティストで、コラボ作品も残っているという。
1932年に共産党中央委員会の命により、全ての芸術団体が解散させられ、クルーツィスは逮捕された後処刑されたとWikipediaに書いてあるよ。
どうやらニューヨーク世界博覧会に出発しようとしたことが理由のようだけど、詳しい事情は不明。
国家や政治が絡み、アーティストが命を落とす非常に悲しいエピソードだよね。
時代が違っていたら処刑はされなかっただろうけど、あの時代だったからこそ素晴らしい作品ができたのかもしれない。

ロシア構成主義のブック・デザインを並べてみたけれど、改めてデザイン性の高さを知ることができたよ。
国が政治のために芸術を使用していたということが、様々な影響を及ぼすことも同時に知ることになった。
今までは作品を観てワクワクするだけだったけれど、少し観方が変わるかもしれないな。
ロシア構成主義やバウハウスについては、これからも勉強していきたいテーマだよ!

 

【六本木クロッシング2019展のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mと久しぶりに約束をした。
友人Mと一緒の時には、必ずといっていいほど映画や展覧会を鑑賞している。
いくつかの候補を出し合った結果、六本木で待ち合わせることにする。

約束の日は、桜が咲いているのにも関わらず真冬並に寒くなってしまった。
こういう時には季節外れと思われても、しっかり防寒すべきなのかな。
迷いながらも、コートやダウンジャケットをやめてレザージャケットにしたSNAKEPIPE。
なんと友人Mもレザーではないか!
2人して薄着だったことを後悔することになる。

森美術館15周年記念展として企画されている「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、展示されているアーティストについて全く知らない状態での鑑賞である。
若いアーティストを紹介しているようなので、知らないのも無理はないかもしれないね。
面白いと感じたのは、「つないでみる」のコンセプトだった。 

価値観の多様性が認められるようになった一方で、オープンであるはずのインターネットが、特にSNSにおいて、意見や認識の同調や共感を助長し、逆説的に閉鎖的なコミュニティを生み出してしまう問題、偏った政治観によって引き起こされる軋轢や拡がり続ける経済格差など、さまざまな「分断」が顕在化しているようです。
こうしたなか、対極のものを接続すること、異質なものを融合すること、本来備わっている繋がりを可視化することなど、アーティストたちは作品を通じてさまざまな「つながり」を提示します。

ちょっと長い文章を引用させてもらったよ!
現代アートとして定義されているような「解説ありき」の作品は無視したいと思っているSNAKEPIPEだけれど、 日本の社会問題をアートの分野に取り入れてみようとする試みには興味を持った。
どんなアートに出会えるのか?
森美術館は基本的に撮影オッケーな展示が多く、作者名や作品名を表記すればネットへのアップも良いとのこと。
更に動画も1分以内なら撮って良いという太っ腹な対応だよ!
さすが森美術館、良いね!(笑)

会場に入ってデーンと御座しますのは、ショッキングピンクのお猫様。
インパクトの強さはピカイチ!(笑)
絶対に誰もが目が合ってしまうんだよね。
近づいてみると口を表している「A」の部分は緑色のビニールテープが巻かれていたよ。
好きとか嫌いを抜きにして「あの大きな猫ね」と記憶に残る作品であることは間違いないね。
それにしてもどうしてこの猫が「小林さん」なんだろうね?
昔「オレたちひょうきん族」で吉田君っていう名前の牛がいたことを思い出したよ。(笑) 

続いて目に飛び込んできたのは佃弘樹の作品。
自分で描いたドローイングやスナップショットのデジタルコラージュだという。
デジタルコラージュって初めて聞いた言葉だけど、結局はphotoshopでレイヤー使って一枚の画像を作るってことで良いみたいだね?
佃弘樹はSNAKEPIPEも大好きな「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」のような映画に強い影響を受けたらしい。
嗜好が似ているアーティストは、やっぱり作品にも惹かれることが多いよね!
様々なイメージのミクスチャーなのに、なぜだかシンプルに見えてしまう。
モノクロームだからかもしれないね。

「こっ、これはっ!」
友人Mと一緒に思わず声を上げてしまった作品「機械人間オルタ」!
土井 樹+小川浩平+池上高志+石黒 浩×ジュスティーヌ・エマールという5人がチームになって制作したという。
動く人形といえば2013年の「大人社会科見学—伊豆高原—」に野坂オートマタ美術館の感想をまとめていたっけ。
あの時に鑑賞した人形は1900年頃に作られた「からくり人形」だったけれど、精巧な作りと繊細な動きに感銘を受けたんだよね。
現代においては、人形というよりはアンドロイドといったほうが適切なのかもしれない。
今回鑑賞した「機械人間オルタ」は、アーティストの作品というよりは研究者の開発という感じみたいだね。
まぶたを閉じたり、言葉にならない声を発したりして、かなり人に近い動きだった。 

どうやら「機械人間オルタ」は 「Scary Beauty」というアンドロイド・オペラで指揮者として活躍しているようで、世界の人工生命研究者には有名な存在らしい。
科学とアートの融合をやっているんだね。
過去のオペラの様子を映像で観たけれど、かなり不気味だったよ。
六本木クロッシングのテーマである「つないでみる」を実践してみせようとしたのが、アンドロイドだったとは!(笑)

現代アートの展覧会で観るのを敬遠してしまうのがビデオ作品。
結局何が言いたいのか分からないと感じてしまうことが多いし、時間が長い作品だと疲れてしまうのが理由なんだよね。
その傾向を逆手に取って作品作りしていたのが会田誠で、笑ってしまったっけ。(笑)
六本木クロッシング2019展では、映像作品にお気に入りが2つもあり驚いた。
平川紀道の「datam」は、「コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理を用いた映像音響インスタレーション」だという。
ああ、やっぱりね!(笑)
この映像は砂嵐のような流れと色彩の美しさを感じるだけではなく、じっと見入らせて動けなくさせてしまうような魔力(魅力?)があるよ。
「『愛と幻想のファシズム』に出てきた狩猟社のCMってこんな感じじゃない?」 
友人Mが言う。
おお!その表現はドンピシャだね!
ずっと部屋に流しておきたいと思うような映像が観られて良かった。
動画撮影1秒過ぎているところは許してちょんまげ!(笑)

竹川宣彰の作品の主役は猫!
猫がオリンピックを開催したらこんな感じなんだろうね。
ポスターは10枚組で展示されていた。
どの競技の猫ちゃんもかわいくて、猫好きにはたまらないね。(笑)
他にはオリンピック会場のインスタレーション作品もあり、陶器で作られた何千もの猫達が所狭しと会場を埋め尽くしていたよ。
みんな背中を向けてスタジアムを見学しているので、目が合わなかったのが残念!

「つないでみる」の会場を抜けて、「MAMコレクション」という別会場へ。
カーテンをめくって中に入ると、真っ暗で何も見えない!
視力が悪いSNAKEPIPEは、急に暗いところに入ると方向感覚を失っちゃうんだよね。
数秒後に目が暗闇に慣れると、中央に緑色の巨大な物体が!
アリ?
大きなアリには出会ったことがないので、急に成長した姿を見せられてもねえ?(笑)
実際の昆虫が大きくなったら相当不気味だと思うけど、緑色に発光したアリはとても美しかった。
米谷健+ジュリアというユニットがウランガラスとブラックライトで制作したという。
環境破壊に警鐘を鳴らす意味を持つ、先住民族アボリジニに伝わる神話「緑アリの教え」をモチーフにした作品との解説があるけれど、解説なくてもタイトル知らなくてもノー・プロブレム!(笑)
とてもキレイだったよ。

今回はもう一つ展覧会を鑑賞することにする。
多分友人Mも「六本木クロッシング2019展」だけでは物足りなかったんじゃないかな。
「これは!」と思う作品は映像の2作品だけだったからね。
そこで次に向かったのは六本木ミッドタウンにある「21_21 DESIGN SITE」である。
ここは2014年に「好き好きアーツ!#26 DAVID LYNCH-鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展とイメージメーカー展」でデヴィッド・リンチのリトグラフをバシバシ撮影したことがある美術館だったよ!
きっと今回も撮影オッケーに違いない。(笑)
寒空の中、友人Mとミッドタウンに向かったのである。

ミッドタウンには見事な桜並木があり、海外からの観光客も多く賑わっていた。
お花見しながらシャンパンを頂くイベント(?) が催され、透明のテントがいくつか並んでいた。
日差しが暖かい日だったら絵になる光景だけど、あの寒空にシャンパンはどうだろうね?

「21_21DESIGN SITE」で開催されていたのは「ユーモアてん。」。
チケットを買おうとするとフランス人(?)のツアー客が列を作っている。
かなりお年を召した方々で、あまり美術館に慣れていなかったのかもしれない。
途中で撮影不可の展示を撮影して注意されていたよ。(笑)
そう、今回の展覧会は撮影不可が多くて、ちょっとがっかりだったんだよね。 

撮影して良い作品の中に四谷シモンの球体人形を発見!
「機械仕掛けの人形2」とカーテンで仕切られた「18禁」の小部屋に「未来と過去のイヴ」のシリーズから、もう1体展示されていたよ。
この「18禁」の部屋には、他に春画などが展示されていた。
せっかく仕切りを付けるなら、もっと充実した展示品にして欲しかったなあ。
展示方法もおざなりで、イマイチだったんだよね。

そうは言っても四谷シモンの人形を愛して止まない友人Mは展示に大喜び。(笑)
隣には金子國義の絵も展示されていて、この空間だけ異彩を放っていたよ。
どうして「ユーモアてん。」で展示されているのかは謎だけど、好きな作品を鑑賞できるのは嬉しいよね!

2週間前に書いた「岡上淑子 沈黙の奇蹟 鑑賞」で何度か名前が登場した、瀧口修造の作品も展示されていたよ。
瀧口修造の作品を観るのは、今回が初めてかもしれない。
10点ほど展示されていたけれど、どれも小さな作品だった。
画像は人の口元なのかな?
多重露光したプリントの、パーツだけを切り取って見せていると推測する。
瀧口修造に特別な思い入れはないけれど、この1ヶ月の間に数回出会うことに意味があるような気がしてしまうよ。(笑)
また近いうちに登場するかもしれないね?

一番最後に展示されていたのが中村至男の「7:14」だった。
これは9枚組の作品なので、載せた画像の2枚だけを観ても意味不明かもしれない。 
朝の7時14分にトースターから飛び出たパン2枚を、様々な角度から描いた作品なんだよね!
そのため「7:14」の主役は2枚のパン。(笑)
キッチンの様子、トースターとパンのアップ、更にトースターに近づく、トースター側面からの描写、家の外から飛んだパンを観察など、漫画や映画のカット割りの手法とでも言ったら良いのか。
大抵の場合、人物に対してその手法を使用すると思うので、パンに対してという点が面白かった。
中村至男について調べてみると、シンプルな線で小ネタが効いた作品を制作していることが分かった。
「くすっ」と笑える作品はHPで観られるので、お勧めだよ! 

今回は2つの展覧会をハシゴして鑑賞した。
展示数はたくさんあったけれど、「これは!」と思う作品は少なかったかな。
若手アーティストにスポットを当てた「六本木クロッシング2019展」では、観ているこっちが恥ずかしくなるような学芸会レベルの展示もあり、残念に思った。
「ユーモアてん。」での残念なことは、記憶にとどめるために記録したいと思った作品の多くが撮影不可だったこと。
ポスター作品でも撮影がダメなのは、作者というよりは企業側の問題なのかもしれないね?

当ブログとしてはまさかの3回連続での「行ぐぜ!exhibithion」を書いてしまったね。
2018年に、ほとんど展覧会に行かなかった反動かもしれないな。(笑)

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【展覧会の看板を撮影すると必ず同じ構図になってしまうね】

SNAKEPIPE WROTE: 

今から3週間前に書いた「インポッシブル・アーキテクチャー 鑑賞」のコメントに鳥飼先生からお褒めの言葉を頂いた。
そのせいで調子に乗ったわけではないけれど、1ヶ月のうちに2回も建築に関係する展覧会を鑑賞したROCKHURRAHとSNAKEPIPE。

今回紹介するのは竹中工務店が運営支援する、公益財団法人ギャラリーエークワッドで開催されている「イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン」。
イームズって椅子で有名なあのイームズのことだよね? 

「イームズハウス」は、チャールズ・イームズとレイ・イームズ夫妻の住宅兼スタジオで、1949年に完成し、今日でも世界の名建築の一つに数えられています。
類い稀な才能に恵まれた二人のデザイナーが創り上げたデザインの軌跡を辿ることによって、そこにある現代性と未来につながる普遍的な価値を見つめます。
(展覧会の概要より抜粋)

やっぱりあのイームズで良いみたいだね!
なーんて知ったかぶりで書いてはみたけれど、全然詳しくないんだよ。
かつてショップで働いていた時、ディスプレイで使っていた椅子を貰い受けたんだよね。
この画像がその椅子なんだけど、人形がやっと腰掛けられるくらいの小ささ!(笑)
これがイームズ・チェアのミニチュアだと知っているくらいの知識しか持っていない。
少しイームズ夫妻について調べてみよう。 

1907年 ミズーリ州セントルイスにて チャールズ・オーマンド・イームズ誕生
1912年 カリフォルニア州サクラメントにて バーナイス・アレクサンドラ・カイザー(レイ)誕生
1924年 チャールズ ワシントン大学建築科に入学するが 学校の方針と合わず2年あまりで放校処分となる
1929年 チャールズ 最初の妻と結婚
1930年 チャールズ セントルイスで建築設計事務所を開設
1931年 レイ NYに母親と移住し、美術学校に入学
1940年 チャールズとクランブルック美術アカデミーの学長の息子であるエーロ・サーリネンはニューヨーク近代美術館(MoMA)が主催の『住宅家具のオーガニックデザイン』コンペに共同で【オーガニックチェア】を含む椅子や収納、テーブルなどを出展し優勝する。
この時レイはクランブルックへ入学していて、ここでチャールズと出会い、コンペの仕事を手伝う
1941年 共通する関心の多さと才能に引かれ合い、5月にチャールズは前妻と離婚し6月にレイと結婚。
そして同年、転機となるプライウッド製の足の骨折時の副え木【レッグ・スプリント】の開発を海軍から依頼される
1942年 レッグ・スプリント5,000本を受注、プライフォームド・ウッド社を設立
1945年 レッグスプリントなどで培った技術を使ってイームズ・チェアなどを開発

チャールズ・イームズが生まれてから第二次世界大戦終結までの年表にしてみたよ。
MoMAのコンペに優勝したことと海軍から「副え木」の依頼を受けたことが転機になっているようだね。
しかもチャールズが再婚だったことに少々驚いてしまう。
アメリカの離婚率が高い話はよく聞くけれど、1940年代も同じ傾向だったのだろうか。
ただチャールズとレイにとっては、運命の相手に巡り合ったことになるんだろうね。
そして戦争で負傷した兵士用に開発された「副え木」の技術を応用して、椅子が開発されたエピソードにもびっくり。
画像がその副え木で、今回展示されていたよ。
有名な椅子の原点がこれだったとは!

今回の展示は、1949年にイームズ夫妻が建築雑誌「arts & architecture」の企画であるケース・スタディ・ハウスに参加し、実際に住んでいた家の紹介ということなんだよね。
この雑誌にはイームズ夫妻が編集に携わっていたという。
この雑誌も展覧会に並んでいたんだけど、表紙がとてもオシャレ!
1938年から1967年まで発行されていたようだけど、月刊誌だったのか季刊誌だったのかなどの詳細は不明だよ。
手に取っても大丈夫と係の女性に教えてもらったので、中身を見ることができた。
とても興味深い雑誌だったよ!
復刻版ないのかな、と調べてみたら1945年から1954年までの118冊で108,000円という記事を発見!
余裕があったら絶対欲しい雑誌だよ。
10年で118冊なので、月刊誌だったことが分かって何より。(笑)

ではここで会場の様子がわかる動画を載せておこうね。

さすがは竹中工務店、見せ方が美しいんだよね!
このギャラリーには初めて行ったけれど、駅から近く敷地が広くて静かだったよ。
動画を撮るのはダメだけど、それ以外の撮影はオッケーとの許可をもらう。
ここ最近行った展覧会2回は撮影禁止だったので、バシバシ撮らせてもらっちゃった。(笑)
気になった作品を紹介していこうね!

イームズ夫妻が1952年にデザインしたという「ハウス・オブ・カード」というオモチャがある。
動物、鉱物、野菜や色鉛筆などさまざまな写真や模様がプリントされたカードには切り込みがあり、その切り込みに別のカードを差し込み、自由に立体を組み立てて遊ぶものらしい。
このカードを元にしたディスプレイがされていたのが、素敵だったよ。
カードにする写真の選び方が面白くて、ディスプレイに見入ってしまったよ(笑)

1948年にデザインされ1950年から製造が始まった「プラスチック・アームチェア」(左)と「プラスチック・サイドチェア」。
このアームチェアは、1940年にMoMAのコンペで発表された成形合板製の椅子を元にしているという。
市松模様を見ると、50年代っぽいなあと思うよね!
カラフルで座り心地が良くて、耐久性があって我が家にも欲しくなる椅子だよ。

有名な「ラウンジ・チェア」も展示されていたよ。
この椅子は社会的に身分が高い外国人しか似合わないかもしれないな。
ドーンと構えている、ちょっと体格が良い人でね。(笑)
この椅子は1956年のデザインなのかな。
50年代のアメリカ映画で社長が座っていそうだよね。
ROCKHURRAHには似合わなそうなので、これはパスしよう。(笑)

デザイン画の展示もあったよ。
奥様であるレイは画家なので、もしかしたらレイが描いたものなのかもしれない。
1948年から1956年のスケッチで、複製品だったよ。
まるで子供の落書きのようで、アイデアを書き留めておいたメモのような役割だったように見える。
これが元になってプラスチック製の椅子ができたのかな。
「家具の中でもとりわけ椅子には興味がある。それは椅子が人間サイズの建築作品であるためだ」
とチャールズが語っていたようで、椅子には力を入れていたことが分かるよね。

夫妻の写真も多く展示されていたよ。 
イームズ夫妻のポートレイトがほとんどだったけれど、とても幸せそうなショットが多かったね。
イームズ夫妻は写真や映画を撮っていたらしいので、前述したハウス・オブ・カードの素材も自分達で撮影した写真なのかもしれない。
日本にも何度も来日し、イサム・ノグチとの交流から日本のデザイン界とのつながりを持つことになったという。
イサム・ノグチについてもほとんど知らないSNAKEPIPEなので、調べてみると続々と親交があったとされる有名人の名前が出てくるね!
李香蘭と結婚し、フランク・ロイド・ライトに助けられ、魯山人に陶芸を習うなどエピソードがいっぱいだよ。
この人のことももっと知りたいと思ったよ。

イームズ・ハウスは250分の1(だったと思う)の大きさになった模型が展示されていた。
精巧に再現された小さいもの、というのはそれだけでも魅力的なんだけど、今回の模型は内装も見事で見惚れてしまう。
小さい椅子や本棚、庭の植木に至るまですべての縮尺が計算されていて楽しい!(笑)
ドアを開けるとか、どこにトイレがあるのかを見るまではできなかったけれど、とても住心地が良さそうな家だということは分かったよ。

実際のイームズ・ハウスの様子がわかる動画を載せてみよう。 

この動画により、イームズ・ハウスは建築物の素晴らしさだけじゃなくて、ロケーションも良いことが判明したね。 
確かにこれは羨ましいと感じる家だよ。
興味を感じた物をコレクションしていった結果、 様々な国のグッズが揃ってワールド・ワイドなミクスチャーができあがっていく。
それは本当に好きな物を集めて自分達の居心地の良さを追求した結果なので、オシャレな雑然とでも言ったらいいのか。
人種や国境などの区別なく、いろいろな物に興味を持ち、好きな物を探す好奇心の強さを共感できる夫婦だっただろうと推測する。
理想的な夫婦の素敵な住まいを知ることができて大変有意義だったよ!(笑)

今回初めて行ったギャラリーエークワッド、 静かでゆっくり鑑賞できてとても良かったよ。
無料とは思えない充実した展示物、フライヤーやポストカード、展示品のリストまで用意されていて至れり尽くせり!
竹中工務店が主催しているこのギャラリーのコンセプトが素晴らしいの!

「ひとりでも多くの方々が「建築」を「愉しみ」、
「建築」を含めた「文化」に興味と関心を持たれ、
そして、愛着を深められることで、建築文化の発展に繋がればと願っています

建築文化発展のためのギャラリーだったとは!
2018年2月の「会田誠展 GROUND NO PLAN 鑑賞」で紹介したのは公益財団法人大林組が、アーティストに理想の都市のあり方を提案・提言してもらう助成制度だったね。
その第1回目のアーティストがまこっちゃんこと会田誠。
建築に関係した有名な会社が文化的な活動を行い、無料で展覧会を開催していることに驚いたけれど、竹中工務店のコンセプトも同じ趣旨だったんだね!
大林組は森美術館のスポンサーとしても名前が出ているのを見たことがあるし、大企業は儲けるだけじゃなくて社会に貢献し意識を高める役割も担っていることを知ったよ。 

竹中工務店のギャラリーを初めて訪れて、その素晴らしさを実感できたよ!
また別の企画で是非お邪魔したいものである。 

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【東京都庭園美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

東京都庭園美術館で開催されている「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」を教えてくれたのはROCKHURRAHだった。
シュルレアリスムやダダには目がないROCKHURRAH RECORDSにとって、よだれが出るような企画。
見つけてくれてありがとう、ROCKHURRAH!(笑)
開催期間が4月7日までなので、急いで出かけることにする。
「まだ大丈夫」と先延ばしにしてしまい、会期終了間際に駆け込むようなケースが今までに何度かあったからね。
そのたびに早めの行動を自分自身に戒めてきたSNAKEPIPE。
今回はその教訓が活かされたかな?(笑)

東京都庭園美術館に行ったのは2015年6月の「マスク展」以来だったよ。
SNAKEPIPEが書いたブログを読み返してみると、会期終了ギリギリに行ったと書いてある。
やっぱりこのパターンだったか!(笑)
そして庭園美術館は1906年(明治39年)に創立した旧朝香宮邸を使用しているため、館内の撮影が禁止されているんだよね。
歴史的建造物で、国の重要文化財だから仕方ないね。 
「マスク展」でも最初の看板しか撮影してないことを思い出したよ。

さて、今回鑑賞した岡上淑子。
1950年代に日本で、しかも女性がシュールなフォト・コラージュを制作していたなんてSNAKEPIPEはこれっぽっちも知らなかった。
実を言うと岡上淑子という名前も今回初めて聞いたんだよね。
「シュールに目がない」などと言っておきながら、MADE IN JAPANの作品やアーティストについてはほとんど調べてないのが実情かな。
まずは岡上淑子について調べてみようか。

1928年 高知県高知市に生まれる。
2、3歳の頃、東京都渋谷区に転居。
1941年 東洋英和女学院に入学。
1948年 小川服装学院に入学。
1950年 文化学院デザイン科に入学。
この頃からフォト・コラージュを始める。
1953年 東京・神田で「岡上淑子コラージュ展」を開催
1957年 結婚。作品制作から遠ざかる。

フォト・コラージュは1950年から、わずか7年ほどの期間限定で制作されていたんだね。
岡上淑子の年齢でいうと22歳から28歳まで、ということかな。
50年代の女性が22歳からデザイン科に入学して学生だった、ということに驚く。
当時の一般的な女性の平均的な歩みとは違うように感じるけど、実際はどうだったんだろう。
この点だけをみても、岡上淑子が先進的な女性だったように思うよ。
ちゃんと調べたわけじゃないし、詳しくもないので単なるSNAKEPIPEの推測として読んでね。(笑)

展覧会に行った日の目黒は絶好の庭園散策日和、とは言い難かったよ。
晴れてはいたけれど強風が吹き荒れ、SNAKEPIPEは何度も風に押されよろけてしまった。
10時の開館を過ぎた頃、庭園美術館に到着。
そこまで人は多くなくて、ゆっくり鑑賞することができたのは良かった。
作品はほとんどがA4くらいの大きさだったので、近付いて観る必要があったからね!

展覧会は第1部マチネと第2部ソワレになっていて、第1部は旧朝香宮邸、第2部は新館での展示になっていた。
岡上淑子の作品と共に、当時ファッション界で注目を集めていたクリスチャン・ディオールやクリストバル・バレンシアガのドレスも展示されていた。
岡上淑子がコラージュしているファッションに合わせて、エレガントなドレスを集めたんだろうね。 

最初にも書いたように国の重要文化財である旧朝香宮邸なので、撮影は原則禁止。
ほんの一部でのみ撮影できる場所があっただけ!
そのためブログに載せている画像は1枚をのぞき、自分で撮影したものではないのが残念だよ。
会場の様子がわかる映像があったので載せておこうか。

この「Inernet Museum」は、先日の「インポッシブル・アーキテクチャー」をまとめた記事にも載せているんだけど、やっぱり素っ気ないんだよね。(笑)
創意工夫はなくて、ただ会場を道に沿って歩く様子を淡々と映しているだけ。
前回も書いたけど「ありのまま」ということなんだろうね。

それでは気になった作品を紹介していこう!
先にも書いたように、岡上淑子の作品は1950年からの7年間に限定されているんだよね。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが気に入ったのは、背景が黒や赤のシンプルな初期の作品。
例えば左は黒バックにトマトとナイフとマレーネ・ディートリッヒが組み合わされている「トマト」で、1951年の作品。
わりーね、わりーね、ワリーネ・ディートリッヒ!(古い)
空間の使い方と構図の素晴らしさが良く分かるよね。
2013年8月の「SNAKEPIPE MUSEUM #22 Hannah Höch」で特集したドイツのダダイスト、ハンナ・ヘッヒを思い出す。
ハンナ・ヘッヒもシンプルな背景に雑誌などから切り取った写真のコラージュを貼った作品を発表していたからね!

「これぞシュルレアリスム!」といった雰囲気の作品。
イブ・タンギーを思わせるのは、背景が砂漠だからかな。
なんともいえない幻想的な光景が永遠に続くように錯覚してしまう。
岡上淑子は服飾系の学校に通っていたので、ハサミを使うことに慣れていたのかもしれないけれど、とても切り方が上手なんだよね!
糊の使い方もうまくて、近付いてじっくり観ても、切り貼りしたことが分からないほど。
この技術力に驚いてしまうよ!
この腕があったら「紙切り芸人」にもなれたかもしれないね?(笑)

「はるかな旅」は1953年の作品ね。
岡上淑子は絵画や写真の勉強をしたことがあるのかな?
構図がバッチリ決まってるんだよね。
先にも書いた、日本画に近い空間の使い方が素晴らしい!
絵にする、ということに天性の才能があったんだろうな。
犬の体に時計を付けて、マントのフードに花束を配するところに乙女心を感じるよ。
この作品も「まさにシュルレアリスム!」だよね。

頭部が機械になっている男性の後ろには、額からはみ出したダンサー達。
まるで80年代のレコード・ジャケットみたいだよ。
左に置いてあるシルクハットには目があるし。
こんな作品を50年代に制作していたとはね!
それにしても女性のファッションは流行がはっきりしていることが多いけれど、男性のスーツ姿というのはどの年代でもそれほどの違いがないよね?
画像だけ観たら、50年代というのが分からないかもしれない。
もちろん岡上淑子のセンスの良さがあるからだけどね!

ROCKHURRAHが気に入った作品がこちら。
機械(装置)の上を歩く花嫁が、ドイツのバンドD.A.F.の1stアルバムのジャケットに似ているからかもしれないね。
そのジャケットは巨大な機械の中で踊るバレリーナなんだよね。
無機的な鉱物と柔らかいイメージの女性という、2つの相反するイメージの融合は不思議な調和を感じさせる。
岡上淑子の作品にも同じことが言えるのかもしれないね?

岡上淑子は1953年に瀧口修造に出会っている。
瀧口修造というのは、日本におけるシュルレアリスムやダダを紹介した第一人者として知られる人物で、マルセル・デュシャンを調べると必ず出てくる名前として記憶しているよ。
その瀧口修造からマックス・エルンストを教えられ、岡上淑子の作品は変貌する。
今まで1色だけでガランとしていた作品に、背景が加わることになるんだよね。
「招待」は1955年の作品で、鳥の頭の男がタキシードを着ているところや雰囲気が、エルンストそのもの!

瀧口修造のエピソードを知ってからは、1953年を目安に作品鑑賞するようになってしまった。
エルンストを知る前/知った後という線引きである。
圧倒的な存在感を持つアーティストを知ってしまうと、頭の中に強い力を持った他人の作品が居座ってしまうのではないだろうか。 
本人にそのつもりがなくても、つい影響受けてしまうのはよくあること。
勉強するのも大事だけど、何も知らないままほとばしる情熱(ルビはパッションで!)を作品制作の糧とするのも重要なんだな、と改めて認識したよ。
「沈黙の奇蹟」は1952年の作品。
エルンストを知る前ということになるね。
靄が立ち込める鬱蒼とした森の中。
神主さんのような集団をバックに、首なし女が犬を散歩させているゴシック・ホラーのような作品。
首はパラシュートで空に浮かんでいるのがユーモラスに映る。
この作品も素晴らしいね!

唯一会場内で撮影が許可されたのが「幻想」1954年。
女性の頭部が馬になって横たわっている。
他に馬が3頭、バッチリの構図に収まり、シャンデリアには手がぶら下がっている。
背景がどこかの貴族の館のようで、これもまたゴシックな雰囲気だよね。
こうした美意識がどのように培われたのか興味あるよ。

岡上淑子は結婚して子供をもうけてからも、絵を描いたり写真を撮ったりしていたようだけど、フォト・コラージュを制作していた頃の「きらめき」が再現されることはなかったみたい。
本当に期間限定のアーティストだったんだね。
現在91歳の岡上淑子。
その年齢で美術館の個展が開けるなんて、すごいよね!

旧朝香宮邸は重要文化財なので撮影不可とされるのは仕方ないけれど、新館の展示は撮影オッケーしてもらいたかったなあ。
ミュージアム・ショップが商品化するグッズも相変わらずイマイチ…。
作品は素晴らしいのに、美術館に対して残念に思うことが多い展覧会が続いているROCKHURRAH RECORDS。
今度は是非とも撮影オッケーな展覧会に行きたいものだ。