Category Archives 写真・本・映画

【「デヴィッド・リンチ:アートライフ」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

前回のROCKHURRAHが書いているけれど、2人揃ってインフルエンザによりダウンしてしまった先週。
医者に行って「インフルエンザですね」と宣告されたのは、人生初のことかもしれない。
もしかしたら子供の頃には経験しているかもしれないけど、自分で医者に行って宣告されるというのは初めてのこと。
これはかなり衝撃的だったよ!
今年はかなりインフルエンザが流行しているらしいけれど、ROCKHURRAH RECORDSもその流行に乗ってしまったんだね。
実は今でも少しお腹の調子が悪いSNAKEPIPEだけど、インフルエンザB型の特徴らしいので、まだ完治していないサインなのかもしれない。
おかげで更に痩せてしまったよ。とほほ。

本来であれば、敬愛する映画監督デヴィッド・リンチに関する映画だったら公開初日である1月27日に勇んで出かけたかったのに、、、。
体調の悪さをこらえてまで行くことはできないからね。
ということで、ようやく回復してきた今週映画鑑賞に出かけることにしたのである。

2週連続で雪が降るほどの寒さは少しだけ緩み、晴れてお出かけ日和だったのは良かった。
病み上がりに寒さはこたえるからね。(笑)
それでも万全の寒さ対策をして行くことにする。
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」は渋谷のUPLINK、新宿のシネマカリテ、千葉の千葉劇場の3劇場で鑑賞することができることは調べていた。
体調が良かったらUPLINKにしていたはずだけど、今回は一番マイナーな千葉をチョイス。
行ったことないんだけど、どんな劇場だろうね?
セレクトしている映画は、アート系が多いようなので、意外と「通好み」の映画館かもしれない。

千葉に行くのは何年ぶりだろう?
販売を仕事にしていた頃は、毎年夏には千葉に通っていたSNAKEPIPE。
千葉パルコの水着特設会場が仕事場だったからね。(笑)
今はもう、そのパルコすら存在していない。
街の様子も変わっただろうな。
自他共に認める方向音痴なので、無事に千葉劇場にたどり着けるか不安だよ。

千葉駅に到着。
駅構内は随分長い間工事をしていた記憶があるけれど、いつの間にか駅ビルが完成していたようで。
電車の電光掲示板も見易く近代的な物に変わっている。
千葉駅、頑張ってるね。(笑)
ROCKHURRAHがいてくれたおかげで、不安だった千葉劇場への道のりも難なくクリア!
無事に辿り着けて良かったよ。
映画館としては、かなり辺鄙な場所にあるし、更に映画はリンチのドキュメンタリー。
どれだけお客さんが入るんだろうね?

映画の開始前に小じんまりしたロビーで次回上映を待っていたのは2人。
千葉劇場は60歳以上の観客は1,000円という料金で鑑賞できるシステムを採用しているようで、待っていたのはその恩恵を受けている年齢層の方々。
あっ、ROCKHURRAH RECORDSは恩恵受けてませんから!(笑)
最終的に映画が上映するまでの間に観客数は約15人程度かな。
年齢層はかなり高めだよ。
ROCKHURRAH RECORDSの周りは、全然人がいなかったのに、予告映像が始まる直前に走り込んできた年配の女性がすぐ目の前に座ってしまった。
しかもバッグの中をずっとゴソゴソ探っている。
これはきっと迷惑なタイプの客だな、と予想する。
その予想は当たってしまったんだよね…本当に迷惑な人って嫌っ!
なんでそんな高齢の女性が1人でリンチの映画観るのか、不思議でならないよ。

いよいよ上映が始まった。
映像は絵画制作をしているリンチを捉え、音声はリンチが自身の子供時代からのエピソードを語っている。
ある時は絵画に貼り付けるためのオブジェを作り、別の時にはリトグラフなのかクレヨンのような物で絵を描くリンチ。
その合間には必ずタバコを吸う。
かなりのヘビースモーカーだね。
愛飲しているのは「アメリカン・スピリット」、ニコチンもタールも数値高いよ!
あんなにガンガン吸って大丈夫なのかな。
体の心配しちゃうよね。

少年時代のリンチは、至ってノーマル、健全な子供だったようで、リンチがリンチになった要因については語られてなかったように思う。

リンチの父親は農務省に勤めていて、仕事の関係で数回引っ越しをしたという。
家族間での特にアート的な話は出てきていない。
今回のドキュメンタリーの中で、父親とDIYで何かしら作っていた、という話はあったけどね。
そのDIYの経験から、物を作る喜びを感じたと語るリンチ。
自分の映画のセット、例えば机などを自作することは知っていたけれど、それが少年時代から続く趣味とは知らなかった。
画像はリンチ一家で、一番右が長男のリンチ。
妹と弟がいたことも知らなかったよ。

少年時代の友達の父親が画家で、アトリエを自由に出入りしていた話がある。
これはSNAKEPIPEの勝手な想像だけど、その画家の絵、もしくは画家とのコミュニケーションの中で、リンチの中に何かしらの「リンチの原型」が形作られたのではないだろうか?

最も印象的だったのは、リンチのアトリエを訪れた父親とのエピソード。
地下室で「物が腐っていく様子」を観察するために、果物やネズミの死骸などをコレクションしていたリンチ。
それを自慢気に父親に見せたという。
地下室から出て登る階段の途中で、自分の成果を見せられて嬉しかったリンチが笑顔で、後ろにいる父親を見る。
すると父親の顔は曇っていたというのだ。
更に「お前は一生子供を持たないほうが良い」とまで父親に言われてしまったという。 
そして実はその時、最初のリンチの妻ペギーが、後に映画監督になる娘ジェニファーを身ごもっていた、というオチまでついている。
リンチの父親の心配をよそに、リンチは家族の長となっていく。

映画制作を始めるリンチにとっては幸せな時間だったようだけど、リンチの父親と弟からは反対されたという。 
子供もいることだし、堅気な仕事に就いて、家族を養うべきだと説得されたらしい。
リンチには辛い時期だっただろうね。
それでも映画を作り続けて良かったよ!
奨学金が出たおかげもあるけれど、一番はやっぱり続けていこうとする意志力だからね。
順風満帆なことばかりではなかったという話を聞いても、何故かあまりリンチが苦労人だったという印象を受けないんだよね。
好きなことを続けている人、というイメージのほうが強いからかもしれない。

リンチを追ったドキュメンタリーは、2004年頃から制作されているようだけど、SNAKEPIPEが鑑賞したのは今回が初めてである。
ここまでリンチに傾倒しているSNAKEPIPEだけれど、本人の口から過去について聞かなくても、映画や絵画、もしくは音楽などの作品からリンチを自分なりに知っていれば良いと思っているからだ。
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」を鑑賞できたのは、もちろんファンとしては嬉しい経験だけれど、リンチの過去を少し覗くことができても、今まで感じていたリンチ像に変化はない。
それにしても「デヴィッド・リンチ:アートライフ」は、余程リンチに対して興味を持っている人以外には、退屈な時間になるのではないだろうか。
こんなにリンチ愛を熱く語っているSNAKEPIPEですら、一瞬眠りそうになることがあったくらいだから。(笑)

映画は「イレイザーヘッド」の部分までで終わっていた。
ということは1976年頃までについて、ということになる。
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」のパンフレットによれば、今回リンチを追った時間は25時間に及ぶということなので、編集で約90分にまとめられているってことだよね。
SNAKEPIPEの想像だけど、このドキュメンタリーの第二弾があるような気がしてしまう。
もし次があったら、またUPLINK等で上映してくれるかもしれないね? 

 

【「ユートピア」シーズン2のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

毎週楽しみに観戦しているPGAゴルフツアーは、11月後半から正月明けまで試合がなくなってしまう。
映画とゴルフ鑑賞が休日の習慣になっているROCKHURRAH RECORDSにとって、寂しい時期が年末なんだよね。
特に2017年の年末近くは、念願だった「ツイン・ピークス The Return」も終了してしまい、体から空気が抜けて萎んでいたっけ。(笑)
そこで以前より気になっていた海外ドラマを試してみることに。
まずは第1話を観て、それから続きを観るかどうか決めようと思ったのである。
実はあんまり期待していなかったんだよね!

ところがなんということでしょう。
「しんなり」していたSNAKEPIPEがまた膨らんでしまったのである。(笑)
チョイスしたのはイギリスのドラマ「UTOPIA」。
トマス・モアの「ユートピア」でも、ホープとピースの2人からなる芸人「ゆーとぴあ」でもないからね!(ぷっ)
このドラマはイギリスでは2013年1月に放映が開始され、シーズン2が終了したのが2014年8月とのこと。
日本でDVDが発売されたのが2016年4月なので、 約3年経過してようやく観られるようになってる計算だね。
そこから更に遅れて鑑賞しているROCKHURRAH RECORDS。(笑)
最新という言葉も良いけど、あまり気にしてないのがこのブログだからね!

第1話からSNAKEPIPEの目が釘付けになってしまった「ユートピア」(ここからはカタカナ表記に変更)とは一体どんなドラマなのか。
簡単なあらすじをAmazonの商品販売ページから引用させてもらおう。

20世紀に起きる地球上の大災害を予言してるとされる、カルトコミック「ユートピア」。
極秘で描かれたとされる、その続編の原稿を手に入れたコミック愛好家の5人組が、次々と謎の組織ネットワークの殺し屋に追われ始めるのだった。
この「ユートピア」は、誰が何の目的で描いたのか?
ネットワークとは、どんな組織なのか?
訳も分からないまま、逃亡生活を始める彼らが辿り着くのは…

※「ネタバレ」を含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。

「ユートピア」というのはコミックの名前なんだよね。
この絵が素晴らしくて、SNAKEPIPEもこのコミック欲しくなっちゃったくらい。(笑)
これはコミックというよりは一枚毎に完結した絵をまとめて一冊にした本のようで、物語性があるのかどうかは不明。
だからこそ謎解きや解釈の仕方をネット上で話し合っていたのかな、と想像する。
「ユートピア」をトピックにした掲示板で知り合った5人の男女。
続編を入手したから会おう、ということになったところから話が始まるんだよね。
ネット上でだけの付き合いだったので、当然のように皆さん初対面。
○○のバーで17時にブルーの服を目印にね、のようなアバウトな約束が、あんな展開になっていくとは!
どこにでもいる普通の人、というイメージで選ばれたのかなと思う俳優が主役級になっている。
SNAKEPIPEが知らないだけでイギリスでは有名俳優だったらごめんなさい!(笑)
一般ピープルが「こんな事態に巻き込まれる」という現実味を帯びたシチュエーションにしたかったのかもね。

掲示板で知り合った5人の中の紅一点ベッキーは大学院を卒業したばかりの、ディール症というドラマ上での架空の病気に罹っている女性。
ベッキーが10代後半の頃、父親が謎の病気になり死亡する。
この病気とコミック「ユートピア」に関連を見出し、謎を究明したいと考えていたので、掲示板に参加していたんだね。
ドラマの中では非常に魅力的な女性として扱われていることが多かったんだけど???
ちょっと理解に苦しんでしまったSNAKEPIPE。(笑)
イギリスでは美人に分類されるのかなあ?
何故だか短パンだったりミニスカートだったり足を露出するファッションがお好みだったベッキー。
初対面のイアンと意気投合してベッドインするほどの尻軽ぶり!
ディール症については詳しく語られなかったけど、そんなに重症じゃなかったようで何より。
最終話で自殺を図ったけど、息を吹き返したからきっと大丈夫なんだろうね?

ITコンサルタントを職業にしているイアン。
考え方はノーマルで、過激思想も持っていないタイプ。
どうしてイアンがコミック「ユートピア」に惹かれていたのか不思議なくらい。
優しい人、というのが理由なのか不明だけど、ドラマの中では後述するジェシカからも好意を持たれるモテ男だったよ?
SNAKEPIPEは、どちらかと言えば優柔不断で決定力に欠けるように感じたけどね。
最終話まで登場する主要人物だったけど、ドラマの中ではそこまで強いキャラクターはなかったかな。

第1話から印象に残ったのはウィルソン。
「ユートピア」を巡って逃亡生活を強いられる前から、自分なりにシュミレーションして、様々な危機に対応する準備をしていたオタクなんだよね。
指の関節を外し縄抜けまで訓練していて、「何の役に立つの?」と笑われていたウィルソン。
まさか実際にその技を駆使する必要性があるとはね!(笑)
ネットを自在に操りハッキングなどもするけど、決して痕跡は残さない程の腕前。
このウィルソンが拷問を受けて片目になってしまうシーンが第1話で出てくる。
これがすごいんだよね!
よくもこんな方法を考えたものだ、と息を呑んでしまったよ。
ところがウィルソンは、拷問していた「ネットワーク」側と手を組むことを決意する。
連中の考えに同意したからなんだけど、拷問した相手とペアを組まされるのは相当な苦痛だったろうね。
ウィルソンだけをテーマにしたスピンオフ・ドラマがあっても良いくらい、興味のあるキャラクターだったよ。

「ユートピア」を巡るネット上の掲示板では24歳と偽っていたグラントは、本当は11歳の少年なんだよね。
スポーツカーを乗り回すセレブ、という設定にしていたようなんだけど。(笑)
続編の原稿に興味があっても、子供だから1人でパブに入れなかったんだろうね。
ちょっと悪ガキのグラントは、「ユートピア」続編の原稿を持っていて、パブへ集合を呼びかけた5人目の人(名前忘れた)の自宅に無断で忍び込む。
そこで殺人を目撃し、更に「ユートピア」の続編を持ち去ってしまう。
パブに集ったベッキー達と合流し、皆と同様逃亡生活を余儀なくされてしまうのである。
シーズン1の時は華奢な少年だったのに、シーズン2になったら顔や体型が少し変わっていて、成長ぶりが伺えたよ。
画像はシーズン1の時のもの。
この頃のほうがかわいかったかも。(笑)

第1話でウィルソンに拷問した男、リー。
必ず毎回黄色のスーツを着用し、髪はリーゼント。
職業は殺し屋なのに、まるで訪問販売に来たかのような自然な会話をするんだよね。
ウィルソンへの拷問をする時も、丁寧に拷問の手順を説明する。
それが余計に残酷に聞こえる。
黄色のスーツも、まるでコメディアンみたいだし。
ギャップがある設定は好きなので、リーのキャラクターも際立っていたと思う。
撃たれていなくなったと思ったら、再登場したのも良かったね!

黄色いスーツのリーとペアを組んでいる殺し屋アービー(のちに本名ピエトレと判明)。
SNAKEPIPEがドラマ「ユートピア」の中で、一番気になった存在だよ!
ドラマが始まってからのセリフは当分の間、「Where is Jessica Hyde?」だけ。 
落ち着いた口調で拷問を続けるリーと、「ジェシカ・ハイドはどこにいる?」しか喋らないピエトレの組み合わせは恐怖以外の何物でもなかったよ。(笑)
小太りで、片足を少し引きずるような変な歩き方、少し歩くと息が切れてしまう運動不足ぶりを見ている限りでは一流の殺し屋(?)とは程遠い印象なんだけどね。
人を殺すことに何の躊躇もなく「コーラの栓を開けるのと同じ」だと言うから恐れ入る。
射撃の腕はピカイチだったしね。
実はピエトレは赤ん坊の頃から、父親の実験台にされていたんだよね。
ドラマ「ユートピア」は視聴者からの苦情が多かったという記事を読んだけど、よちよち歩きのピエトレがペットのウサギを惨殺するのには驚いた。
実際の映像はなかったけど、そういう設定だったんだよね。
小学校での乱射シーンなどもあったから、抗議を受けたんだろうね。
それでも放映したイギリスのチャンネルってすごいな、と感心してしまった。
リーとピエトレだけで一体何人殺害したことでしょう。
ピエトレが必ず持ち歩いているバッグがド派手な黄色のダッフルバッグ。
この中にはピエトレの商売道具、つまりは殺人に必要な用具が入っているんだよね。
回を重ねていくと、黄色いバッグを見ただけで怖くなるほどのインパクトがあったよ!
そのうちに、この黄色いバッグが欲しくなってきてしまったSNAKEPIPE。
ネットで販売してるのを見つけたけど、€90.00だって。
日本円で約12,000円くらいかな。
旅行用に良いかも!(笑)

ピエトレが散々探し回っていたジェシカ・ハイド。
彼女も子供の頃から訓練を受けて育った女性なんだよね。
ピエトレは生まれた時からの実験台だったけど、ジェシカは訓練しないと生きて行かれない運命を背負っていたからね。
そんな悲劇のヒロイン、ジェシカなんだけど、かなり不気味な女優さんだったんだよね。
ROCKHURRAHは「パティ・スミスを彷彿とさせる」と話していたけど、確かに女性を全く感じさせないタイプなんだよね。
それなのにまるで子供みたいなミニスカート穿いたりして、ミスマッチ感がすごい!
全然かわいくないんだよね。
なんでイアンのことが好きだったのか不明だけど、誘われてイアンも関係持つとは驚きだったよ。
行動力があって、動きも俊敏、頭の回転も速く戦闘能力に優れたジェシカは、戦いになった時には心強かったけどね。
ジェシカも父親が原因で、追われる身になっている。
父親を憎みながらも慕っているジェシカ。
子供の頃に悲惨な体験をすると、ピエトレ同様、心のどこかが欠けてしまうのか。
表情が乏しい演技がリアルで、上手だったと思う。

ピエトレとジェシカの父親、フィリップ・カーヴェル。
そう、ピエトレとジェシカは兄妹だったんだよね!
2人共父親が原因で不幸な人生を歩むことになってしまった被害者と言えるね。
父親フィリップは優秀な科学者で、1970年代にMI5に勤務するミルナーと壮大な世界レベルの計画を立てることから悲劇が始まる。 
夢物語で終わらなかったのは、フィリップが計画を実現させることができるだけの頭脳の持ち主だったからなんだよね。
ミルナーとは理想(ユートピア)を追い求める同士として、お互い尊敬し合い惹かれていたんだろうね。
コミック「ユートピア」を描いたのもフィリップ。
科学だけじゃなくて、絵の才能もあるとは羨ましいね。(笑)

フィリップと計画を立て、実行するために画策したMI5勤務のミルナー。
イギリスは女王もいるし、「鉄の女」と呼ばれたサッチャー首相なども知っているので、女性が強い印象があるんだよね。
ミルナーにも強くて怖い印象があるよ。 
理想の実現のためには手段を選ばず、何人もの人を粛清してきたという。
自ら汚れ役を買って、地球の未来を考えるってすごいことだと思うよ。
最後はあっけなかったけど、「ネットワーク」という謎の巨大組織を作り上げ「ヤヌス計画」実行直前までこぎつけることができたのはミルナーがいたからだね。

政府の役人で保健省に勤務するマイケルは、「ヤヌス計画」について「たまたま」知ってしまう。
成り行きでベッキーらと「ヤヌス計画」阻止に向けて、行動を共にする。
そうかと思えば「ネットワーク」に寝返ったりする自分本位の小心者。
結局は自分が大事だからね。
最終的には「ネットワーク」の手中に収まってしまったのか。
家族思いの良い人だったので、疑似家族でも幸せに暮らして欲しいよね!

謎の巨大組織「ネットワーク」が計画していた「ヤヌス計画」とは一体なんだったのか。
それは増え続ける人口問題に対する解決策だったんだよね。
資源に限りがあるのに、人口が増え続けると争いが起こる。
本気で地球の未来を考えると、最善の方法は人口を減らすことだという理論なんだよね。
これって前にもブログで書いたことがある映画「キングスマン」 と同じ。
あれもイギリス映画だったね。
「キングスマン」ではスマートフォンに仕組まれた信号を受けると、人が凶暴になり殺し合うというものだった。
この殺し合いで人口を減らす、という過激な方法だったんだよね。
それに比べて「ユートピア」の「ヤヌス計画」は、ワクチン接種により不妊にさせる方法だった。
殺戮ではなく、最初から増やさせないという逆転の発想なんだよね。 
「環境問題を考える」というと、CO2を減らすことやエネルギーの問題、ECO活動などという単語がいくつも出てくるけど、もうそれでは間に合わないという説得力のある説明がされている。
実際に世界の人口は増えているので、こういう方法も現実的なのかもしれないと思わされてしまうよ。
「ヤヌス計画」が前提なので、リーやピエトレが犯した殺人なんて、「ネットワーク」という組織から見たら大したことがない人口の減少なんだろうね?

「 ユートピア」の魅力はストーリー展開やキャラクターの設定だけではなく、映像の美しさにもあったんだよね。
コントラストを強めにした鮮やかな色彩、写真集にして欲しいような風景に目を奪われる。
ピエトレの黄色いバッグやリーのスーツの原色使いも効いていたね。
好きなシーンをまとめてデジタルフォトフレームで飾りたいくらいだよ。
イギリスで撮影したから完成した風景なのか、映像スタッフの腕なのか?
目を見張る完成度の高さは、一見の価値ありだね!

もう1つ、ドラマを盛り上げていたのが音楽だったよ。

様々な音のミクスチャーは、不穏な雰囲気を醸し出してドラマにぴったり合っていたと思う。
何かが起こりそうな、しかもそれは決してハッピーではない何かを感じることができる音楽。
「雑多」や「カオス」といった単語が浮かぶ。
音楽を担当したのはチリのCristobal Tapia de Veer。
2013年に「ユートピア」のサントラでRTS Craft&Design Awardを受賞しているらしい。
カナダで活躍している作曲家なんだね。

「ネットワーク」という組織の実体は輪郭は語られても、どこまで巨大で何人が所属しているのか、どれくらいの力があるのかなどの詳細は不明なまま。
誰を信じたら良いのか分からなくなるドラマの内容とリンクして、視聴者の不安を煽るのに最適(?)なBGMだったね。
ドラマと音楽が一致して記憶に残るのは「ツイン・ピークス」も同じなんだけど、音楽も重要な要素だと思う。

記憶に残るドラマというのは、ストーリー、キャラクター、映像、音楽と総合的に高いレベルが必要なんだね。
ドラマ「ユートピア」が2014年の国際エミー賞ベストドラマシリーズで賞を獲得しているのも大いに納得!
観て良かったドラマだった。
シーズン3の制作はないという正式見解が発表されているけど、シーズン2の、あのラストで良かったのかもしれない。
結局は誰かが「兎」になって「ネットワーク」を引き継いでいくということなんだろうね。

さすがパンクが生まれた国、イギリス!
過激な表現や思想が発達する土壌があって、表現をすることもできる環境なのかもしれないね? 
他にも興味を持ちそうなドラマや映画があるかもしれないので、探してみよう! 

20171231 top
【ノリノリでステージに立つアルモドバル監督】

SNAKEPIPE WROTE:

2013年に当ブログで驚きの4回連続で特集したのは、スペインの映画監督ペドロ・アルモドバルだ。
スペインに移住を考えるほど熱中して鑑賞していたスペイン映画!(笑)
そのきっかけを作ってくれたのがアルモドバル監督の作品だったのである。
特集4回目の最後に、下の文章を書いていたSNAKEPIPE。

セクシリア
マタドール
欲望の法則
ハイヒール
ライブ・フレッシュ

この5本はいつか是非鑑賞してみたいなあ!

これはその記事を書いた当時は、観ることができなかったアルモドバル監督作品の一覧である。
何時の間にか日本でもDVDが発売されていたらしく、長年の夢が叶うことになったのだ。
1番最初に書いてある作品「セクシリア」を鑑賞することができたんだよね!
「セクシリア」(原題:Laberinto de Pasiones Sexllia)は1982年の作品で、アルモドバル監督の第2作目に当たる。
今から35年も前の作品だけれど、好きになった監督の作品は全部観たいのがファンの心情。
アルモドバル監督の初期の作品には奇天烈な印象があるので、未鑑賞作品に興味があったんだよね!

簡単に「セクシリア」について書いてみようか。  

舞台はスペインのマドリード。
主人公はロックバンドのメンバーでニンフォマニア(淫乱症)の女、セクシリア。
その父親は人工受精の権威、ドクター・ペニャである。
一方、マドリード亡命中のティラン国の皇太子リサはゲイで、変装してジョニーと名乗り恋人探しの毎晩。
その恋人の中には偶然、ティラン国の反皇帝派にして彼の誘拐をもくろむ男サデックがいた。
ある夜、セクシリアはクラブ・カロリナでリサに会い、彼の元へ走るのだった…。

アルモドバル監督自身がゲイだと公言しているので、映画の内容もLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)関連が多いんだよね。
上のあらすじの中にもゲイの男性が2名登場しているよね。
そして「セクシリア」にはアルモドバル監督がステージに立つシーンも収録されているのが注目点かな。 

画面左、レザーのコートをミニワンピースのように着ているのがアルモドバル監督ご本人!(笑)
現在66歳なので、この映画の時には30歳くらいだったのかな。
「いかにも」な感じの装いなので、公言しなくても「そっちの人」だと分かるよね?
曲のタイトルも「Suck it to me」という、これまた「いかにも」な内容で大笑いしてしまう。
観ている途中で「似てるな」と思っていたら、本当にアルモドバル監督だったようで驚いたね。
どうやらこの曲、シングル・レコードとして発売されていたようで、ROCKHURRAHが左の画像を見つけてくれたよ!
「Gran Ganga」という曲も、映画の中で別のバンドが披露する曲なんだけど、どちらの曲もアルモドバル監督の作品のようだね。
元々パンク・バンドやっていたとWikipediaに書いてあったので、ステージに立つのは慣れているるだろうし、自分のレコードが出せるのも嬉しいことだよね!
もしかしたらこれよりも前にレコード・デビューしてるかもしれないけど?
映画の中でどうしてもこのライブのシーンは外せなかったようで、かなり長いことカメラが回っているよ!(笑)

主人公セクシリアを演じているのがセシリア・ロス。
「オール・アバウト・マイ・マザー」でも主役だったし、「アイム・ソー・エキサイテッド!」ではSMの女王役で出演していたよね。
アルモドバル監督作品の常連と言っていいセシリア・ロスだけど、こんなに若くて美しい姿を見るのは初めて!
どうやらアルモドバル監督の処女作にも出演しているようだけど、こちらはまだ未鑑賞なんだよね。
いかにも80年代ニューウェーブ、カラフルで奇抜なファッションに身を包み、スペイン女優らしく(?)ヌードも厭わず体当たり演技に挑戦している。
26歳のセシリア・ロスの美貌にも驚いたけれど、やっぱり注目したのはファッションかな。
アクセサリーも含めて、とてもおもしろいデザインを身に着けていたんだよね。
金持ちの家の娘で、バンドをやっているという設定だから派手にしたのかもしれないけど、オシャレだったよ!

皇帝の息子でありながら身分を隠して男漁りをするのが、左の画像中央で赤い服を着ているリサ。
演じているのはイマノル・アリアス。
他のアルモドバル監督作品で観たことあったかな?
調べてみたら「私の秘密の花」で、主人公レオの夫として出演していたようだけど、あまり印象に残ってないね。
「一目合ったその日から恋の花咲くこともある」の言葉通り、セクシリアと一瞬で恋に落ちるリサ。
ゲイだったのに、好みが女性に変わったのかな。
人を好きになるのに、性別は関係ないということなんだろうね。
それにしても男なのにリサという名前は、女性みたいで勘違いしちゃうよね。(笑)

元皇帝夫人トラヤを演じたのはヘルガ・リーネ。
「元」が付くので、今は夫人じゃないんだろうけど、どういう立場なのか今ひとつ分からなかったよ。
皇帝の息子であるリサとの関係も親子ではなさそうだったし?
リサの母親の後で妻になったのかもしれないね。
この女優がとても美しくて気品があって、すっかりファンになってしまった。
どうやらベルリン生まれのドイツ人で、ポルトガルに移住したみたいね。
ホラー映画やスパイ映画で活躍していたようなので、他のアルモドバル監督作品では観たことないのかもしれないな。

「セクシリア」が映画のデビュー作品だったのがアントニオ・バンデラス。
あらすじの中にあった「ゲイで反皇帝派の男サデック」を演じているんだよね。
犬のように鼻が利くのが特徴で、皇帝の息子を探し当てるのである。
この時のバンデラスは22歳くらいだと思うけど、もっと若く見えたね。
最初はバンデラスだと気付かなかったくらい、顔の形が違っていたような?
歳を重ねるにつれ、少しずつ面長になったのかもしれないね。

人工授精、淫乱症、ゲイ、近親相姦など「性」をテーマにしているので、家族団らんの場には、全くそぐわないタイプの映画には間違いない!
ものすごく大雑把に言ってしまえば、様々な「愛」についての映画とも言えるかもしれないけど?
その「愛」の探求をする登場人物達は、みんな「濃い」タイプばかり!
最も強烈な印象を与えてくれたのが右の画像の方。
調べてみたけど、名前がよく分からなかったよ。
「女優」ということになっていたんだけどね?(笑)
映画冒頭から登場していて、マニキュアを吸ったり(!)、電気ドリルで虐待されている様子を撮影していたのは、きっとアルモドバル監督のブラックジョークなんだろうね。
ドラッグとしてのマニキュア、血まみれ写真集、みたいな。
アルモドバル監督作品の最大の魅力は、「そんなのアリ?」と思うようなハチャメチャな展開なので、今回も期待を裏切らず楽しませてもらったよ。(笑)

アルモドバル監督の処女作「ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち」「ライブ・フレッシュ」「欲望の法則」もDVD化されていることが分かったので、鑑賞したいね!

2017年も今日で終わり。
あっという間の一年だったなあ。
2006年から始まった当ブログは、12年の間毎週日曜の更新を続けている。
来年以降も継続していく予定である。
これからも拙い文章にお付き合い頂ければ、と思っている。 

皆様どうぞ良いお年を!
来年もよろしくお願い申し上げます! 

20171224 top
【サイケデリックなイメージのサンタクロース。グル・サンタと名付けようか!】

SNAKEPIPE WROTE:

定期的に特集しているのが「ビザール・ポストカード選手権」である。
特に書くことが多いのが、この時期。
クリスマスとニューイヤーでカードの需要が高いため、面白いカードがたくさんあるせいだろうね。
昨年のこの時期は書いていなかったので、約2年ぶりに特集してみよう。
今年はどんなビザールに会えるかな?(笑)

ビンテージのポストカードには不思議なアイデアがたくさんあって、以前からその魅力の虜になっているSNAKEPIPE。
今回もまた意味不明のカードに巡り会えたよ!
花の中から飛び出している少女達の頭部。
少女は愛くるしい、まるで天使のようだ、とでも言いたかったんだろうけど。
右下の「まるでおたふく風邪にかかっている」ように見える平べったい顔に愛らしさは感じないけどね?
SNAKEPIPEには、不気味な食虫植物にしか見えないよ。(笑)
左上にある蕾の中にも頭部が隠れているのかと思うと恐ろしい!
このクリスマス・カードを送られて、当時の人は「素敵!」と思ったのだろうか。 

これも困惑系のカードだね!
これは一体、なに?(笑)
仙人のようにも見えるし、マルチーズが立ち上がったようにも見えるし?
まさかスター・ウォーズのチューバッカの毛が白くなったとか?(笑)
どうして雨の中で佇んでいるのか。
裂けた傘を持っているのは何故か。
主題がよく分からないけれど、明らかにクリスマス・カードなんだよね。
心なしか、うしろの木に止まっている鳥たちも「あれはなんだ?」と囁き合っているように見えてしまう。
これがもし絵画だったら、是非ともトホホなアートを収集・展示しているニューヨークのMuseum Of Bad Artの仲間に入れて欲しいと思ってしまう。
ビンテージ、恐るべしだね!

クリスマスに蛾? 
メッセージ付きなので、翻訳してみたんだけどね。
蛾はメッセンジャーの役割を果たしているようで。 
「夜は暗く、メッセンジャーの蛾は耐え忍ぶ私の重い愛を持ち出し、苦しみを与えるために笑っている私の目の光に飛び込むのです」
などと詩的に書かれているんだけど。
ラブレターとしてのクリスマス・カードだったとしても、文章重いし、意味も不明。(笑)
蛾が描かれていると、どうしても「羊たちの沈黙」を思い出してしまうSNAKEPIPE。
あの映画では「変身願望」の象徴として蛾が扱われていたっけ。
欧米と日本では蝶と蛾に対する考え方が違うのかもしれないけれど、クリスマス・カードっぽくはないよね?

あのう、もしもし?
あなた本当にクリスマスにプレゼントくれるサンタさん?
なんだかそんなところにいると、まるで覗きやってる変質者みたいに見えますけど?
本来なら姿を見ると喜ぶはずの子ども達が及び腰でカーテンに隠れているじゃないの!
「変なおじさんがいる」
「こわいよ」
と怯えているように見えるんだよね。(笑) 
ビンテージ物では何故かサンタが悪者になっている絵を見かけるので、これもそのシリーズの1つだろうね。
当時のブラックジョークだったのかな。
このカード、SNAKEPIPEは見た瞬間に大笑いしちゃったよ。 

クリスマス・カードなのに、スプラッター仕様とは!
少年の口元が血まみれになってるよ。
書いてある言葉は、どうやらドイツ語みたいね。
「ごあいさつ」とだけ書かれているようだけど。
うしろにいる山羊の角を生やした悪魔のような存在は一体なんだろう?
調べてみると、ドイツやオーストリアなどで受け継がれている伝説で、クリスマスシーズンに出没するクランプスという悪魔だという。
クランプスは、悪い子供に罰を与える役割を担い、良い子供には聖ニコラウスがプレゼントをくれる、ということになっているらしい。
「クランプスが来るよ」
なんて言うと子供には効果てきめんな脅し文句になるんだろうね。
そのクランプスを撃退した子供、という意味のカードなのかな?
クランプスは長い舌を持って描かれていることが多いので、少年が手にしているのはクランプスの舌だろうね。
そうとは知ってか知らずか、猫がじゃれついているところもブラック!
このカードを見て、「クランプスなんか怖くないやい」と思う子供が増えたらどうするんだろうね?(笑)

これも相当に意味不明のカードだよね。
男性が抱きかかえているのは七面鳥?
トサカ部分にサンタの帽子をかぶせているので、クリスマス・カードだと分かるね。
それにしてもクリスマスには七面鳥食べるのが欧米の習慣だったと思うけど?
この場合はどう解釈したら良いんだろう。
ペットとして飼っているので、みんなに食べないでと呼びかけるキャンペーン?
これから調理するけれど、その前に七面鳥に束の間のクリスマス気分を味わってもらうサービスタイム?
そしてこの男性は一体誰?(笑)
髪型や服装からして60年代から70年代を想像するけどね?
謎のクリスマス・カード、貰った人の困惑顔が目に浮かぶよ。(笑) 

最後はこちら!
なんでしょう、この不気味さは。(笑)
クリスマスやニューイヤーとは一切書かれていないけれど、ポストカードのようなので紹介してみよう。
この作品はニューヨーク出身のフォトグラファーでミクストメディアアーティストのmariの作品のようだね。
このアーティストは自分の作品をネット販売してるみたい。 
「かわいい」と「不気味」がミックスされた作品が多いのが特徴だね。
女流写真家ダイアン・アーバスの有名な作品である双子イメージが好きみたいで、アレンジした作品を何点か見かけたよ。
「ツイン・ピークス The Return」についても記事を書いてるのを発見!
SNAKEPIPEに近い臭いを感じてしまったので、大いに納得だね。
今度SNAKEPIPE MUSEUMで特集しようかな!

2年ぶりの「ビザール・ポストカード」を特集してみたよ!
どうしてもSNAKEPIPEの好みで選んでしまうので、ストレートなクリスマス・カードにはならないんだよね。(笑)
「なんじゃこりゃ」
と困惑したり笑ってしまうカードが好みだからね!
いつになるのかは不明だけど、次回のビザール・ポストカード特集もお楽しみに!