Yearly Archives: 2011

【ブレイク展とメタボ展を合わせた画像。意味不明。(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mから連絡をもらい、横浜美術館で開催中の松井冬子展へ誘われたのは今から2ヶ月ほど前のことである。
予定を合わせ、せっかくだからお昼は中華街にでも繰り出して豪勢にいこうか、などと約束の前日に電話していた時に
「げえっ!うそーーー!」
といきなり大声を出す友人M。
何事かと思い聞いてみると、な、なんと!
約束をしていた木曜日は横浜美術館の休館日!
せっかくの計画がお流れになってしまった。
二人共全く休館日のことを調べていなかったとはなんとも不覚!深く反省!(ぷっ)
それでも「アート鑑賞をしたい確率95%と推測されます」という、ゼルダのファイに指摘される状況だったので、今鑑賞できる面白そうな企画はないものか、と調べまくったのである。
ROCKHURRAHも一緒に調べてくれて、探し当てたのがウィリアム・ブレイク版画展。
これは良い!と横浜から急遽上野に行き先を変えたのである。

上野は中田商店動物園に行く用事で年に何度か訪れる場所である。
そういえば今年の花見も上野公園に行ったんだっけ。
身近に感じられる土地だけれど、上野に点在する美術館や博物館の全てを巡った記憶がほとんどない。
今回ウィリアム・ブレイク版画展を開催している国立西洋美術館にはもしかしたら初めて行ったのではないだろうか。
現在開催している目玉はゴヤ展なので、ウィリアム・ブレイク展はオマケ程度の扱いだろうと予想はしていたけれど、ここまで予想的中とは!
常設展の中の一角に設けられた特設会場といった感じで、その場所に行くまでの道のりの長いこと、長いこと!
友人MもSNAKEPIPEもあまり興味を示さないような何枚もの「西洋絵画」を通り抜け、移動距離にして恐らく1万マイル程歩いて(大げさ)やっと会場に到着。参るな!(プッ)

ウィリアム・ブレイクは1757年イギリス生まれの詩人、画家、版画職人である。
「当時、英国の版画家たちの主な仕事は、画家から提供された原画を忠実に複製することでした。この趨勢に抗い、自らの創意に従って制作を進めたブレイクは、異色の存在であったと言えるでしょう。」
という西洋美術館の説明にあるように、ブレイクは独自のセンスと創造力で作品作りをしていたようである。
そしてその仕事は同時代人にはほとんど理解されることはなかった、という悲しい事実も初めて知ったSNAKEPIPE。
今では世界中にファンがたくさんいるのにね!
多くのアーティストに多大な影響を与えていることは、wikipediaなどでご確認頂きたいと思う。
実はSNAKEPIPEはブレイクについてそこまで詳しいわけではなくて、興味の対象となったきっかけは、トマス・ハリスの著作「レッド・ドラゴン」の巻頭に「巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女」というブレイクの水彩画が載っていたこと。
小説の中でかなり重要な役割を担っていたこの絵画がとても幻想的で、すっかり魅了されたSNAKEPIPE。
ウィリアム・ブレイクと聞いて初めに思い浮かべたのが「レッド・ドラゴン」というのは友人Mも同じだったようである。

今回の版画展では、旧約聖書「ヨブ記」やダンテの「神曲」の挿絵が展示されていた。
エングレービングという版画の技法で制作された30点程を鑑賞することができる。
細部まで丁寧に描きこまれた幻想的な世界観は、非常に魅力的で、是非ブレイクの挿絵付き「ヨブ記」と「神曲」を入手し、読んでみたいと思ったSNAKEPIPE。
だけど本の挿絵なので、B5くらいの小ささしかないんだよね!
しかも大人気のゴヤのあとで「ついでだから」みたいな人が大勢いる中、この展示だけを目的に来た友人MとSNAKEPIPEには非常に残念な鑑賞時間になってしまった。
せめて図録やポストカードを手に入れたいと思ったのに、ブレイク関連は全く販売されていない。
うーん、とってもガッカリ!

ブレイク展だけではとても「アート鑑賞満足度」がアップしなかったので、もう一つ観に行こうということで六本木に移動。
森アーツセンターギャラリーで開催されている「歌川国芳展」はROCKHURRAHを加えた3人で行く予定なので今回はパス!
ということで「メタボリズムの未来都市展」を鑑賞することに決定!
恐らくほとんどの方が「えっ?メタボ?」と腹回りのサイズを気にする例のあの言葉を思い浮かべるはずであり、SNAKEPIPE自身も同じように思っていたのである。
ところが!なんとこれは「1960年に開催された『世界デザイン会議』を機に、建築家の黒川紀章菊竹清訓槇文彦大髙正人、デザイナーの栄久庵憲司粟津潔、建築評論家の川添登らによって結成されたグループの活動」とのこと。


「生物学用語で『新陳代謝』を意味する『メタボリズム』。それは、環境にすばやく適応する生き物のように次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市のイメージでした。戦争で荒廃した日本が復興し高度経済成長期へと移行した時代に、東京湾を横断して伸びていく海上都市、高く延びるビル群を車が走る空中回廊でつないだ都市などを発想し、未来の都市像を考える活動でした。」

SNAKEPIPEが少し文章を要約したけれど、メタボリズムの活動とはなんぞや?には上のような説明がされている。
建築家を中心により良い社会、環境との共存、狭い日本の土地問題など、様々な観点から都市計画を考えていたグループ、といえるんだろうね。
そしてこの計画というのが、奇想天外なモノ、いわゆるSF的な感じの建築、などがたくさんあって非常に興味深い。
1950年代から1960年代の建築家というのは、空想を実現する力があったんだね!
それらのほとんどが計画のみで「実施せず」とされていたので、何かしらの原因があって実現には及ばなかったんだろうけど、発想の豊かさには驚かされる。
もしそれらの計画が全て実施されていたら、現代の日本はかなり変わっていたんだろうね。
ただし、DNAらせん状の家とか、ビッチリと横並びに並んだ幾何学模様型の建築などは、方向音痴のSNAKEPIPEには厳しいかもしれないな。
自分の家に帰れない人続出、なんて事態が大量発生しそう。(笑)

どの世界でも同じだと思うけれど、例えば写真家といえば?などと質問をした場合、恐らく返ってくる答は「アラーキー篠山紀信!」の二人くらいだと思う。
この現象ってきっと30年前から変わってないような気がするけどどうだろう?
そして同じことが建築の世界にもあるように感じる。
というのも、SNAKEPIPE自身が「建築家といえば?」と質問を受けた場合に、知っているのが「磯崎新と黒川紀章」しかいなかったからである。(笑)
以前建築を志している友人と話をした時その話になり、SNAKEPIPEが2名しか知らないことを打ち明けると非常に驚かれたものだ。
えっ、それしか知らないの?と思ったに違いない。
でもきっとその友人に写真家について尋ねたら同じレベルだっただろうね。
今回展示で紹介されていた建築家も、初めて名前を知った人ばかり。
その世界に入らないと知らないことっていっぱいあるもんね!

50年も前に斬新な空想力で都市の変革を真剣に考えていた日本の建築家がいたことを知ることができて、今回の「メタボリズム」展を鑑賞できて良かったと思う。
それにしても図録4800円は高過ぎ!買えましぇ~ん!(涙)

【あんなに輝いてたミュージシャンのビフォー→アフター。見たくないなあ】

ROCKHURRAH WROTE:

今が旬じゃなくて過去に忘れ去られてしまった人々にだけ焦点を当てた「時に忘れられた人々」シリーズもすでに10回を超えてしまった。当初は色々なジャンルで取り上げてゆきたかった企画なんだが、音楽以外の分野ではわずかに作家の国枝史郎とヴィンテージ漫画特集をやっただけ。随分と偏ってしまったなあ。小説とかについては書ける事も多いんだけど、ブログを書くためにまた読みなおして・・・、というほどのヒマが今はないから、どうしても疎かになってしまう。
やっぱり記憶だけで書ける音楽の事が一番書きやすいし、ROCKHURRAHは何だかんだ言っても音楽バカ(過去音楽限定)なのかも知れないね。

というわけで今回選んでみたのは「あのミュージシャンが前はこんな事やってました」という前歴特集。
ただし「ダムドのデイブ・ヴァニアンが昔は墓掘り人夫だったらしい」とかそういう意味の前歴ではなく、単に前はこういうバンドをやってた、という程度の記事なのでけっこう苦しいものがあるのは書く前からわかりきってるが、それでも何とかまとめてしまえるROCKHURRAHの筆力にも一票もらいたいものだ。

Slik – Forever And Ever

この一回前「情熱パフォーマンス編」でもトップバッターだったミッジ・ユーロのさらに昔の姿。そこまで大好きなミュージシャンというわけでもないのに二回連続で出てくるのは、この人のスタイルの変化が急激でネタにしやすいからだろうか。

スリックは80年代にウルトラヴォックスで大スターとなるダンディ男、ミッジ・ユーロが70年代半ばにやっていたバンドだ。このユーロにケニー・ヒスロップ、ビリー・マッキサック、ラッセル・ウェッブを加えた4人がスリックのメンバーなんだが、ユーロ以外の三人はスリックの後のバンドPVC2を経た後、スコットランドでホット・ヴァルブスをやっていたウィリー・ガードナーと合体してゾーンズとなる。ちなみにウィリー・ガードナーは70年代に人気のあったアレックス・ハーヴェイの従兄弟として知られている。もうひとつちなみに、ホット・ヴァルブスというのはビー・バップ・デラックスのシングル・タイトルからつけたバンド名で、ゾーンズもビーバップ・デラックスそっくりの部分もあった。よほどのマニアじゃない限りは知らなくてもぜーんぜん大丈夫なバンドの解説にこれだけの文章を書いてしまった・・・。
もしかして親切を通り越して鬱陶しい男なのか?ROCKHURRAH。

ミッジ・ユーロ自身はこのスリックの後に初のパンク・バンド経験となるPVC2(メンバーはスリックと同一)を経て、いよいよリッチ・キッズのフロントマンとなるのは前回のブログに書いた通り。PVC2はホット・ヴァルブスと同じスコットランドのZOOMレーベルよりシングルを出していたな。マイナーだったが荒々しく理想的なパンクをやっていて、後のリッチ・キッズでも演る「Put You In The Picture」などのパンク名曲を残している。こっちのヴァージョンの方がリッチ・キッズ・ヴァージョンよりもずっと重くてカッコイイぞ。

さて、後の事ばかり書いてしまったが、このスリックは演奏がちゃんとうまくて作曲能力もあるベイ・シティ・ローラーズの対抗馬、というような位置づけでポップなロックをやっていた。センテンス長いな。まあアイドル路線とまではいかないが、そういうつもりでレコード会社としては売りたかったバンドなのだろう。76年にロンドン・パンクが始まる直前の時代の話。街中タータン・チェック、ベイ・シティ・ローラーズ旋風吹き荒れた70年代の日本では全く知られる事すらなかったバンドだ。
メンバー全員なぜか野球の格好だもんな。なぜスコットランドで野球なのか?日本でもベースボール・シャツとか着てる人はいるにはいたが、スリックとはたぶん何も関係ない単なる野球好きなのは間違いない。
このスリックのメンバーだった人たちにとってはそういうヴィジュアル面も触れられたくない過去なんだろうなあ。

で、そういう恥ずかしい経歴を持ったミッジ・ユーロ、野球のあとは単なる白無地Tシャツでリッチ・キッズ(前回のブログ参照。本当はもっとちゃんとした服装してる時もあった)、そして80年代になると突然オシャレに目覚めたのかスティーブ・ストレンジ率いる洒落者集団ヴィサージに加入、さらにジョン・フォックスの抜けた後のウルトラヴォックスに加入。
この二つは80年代初頭にロンドンで大人気だったニュー・ロマンティックスというムーブメントの中心となる。知らない人のために一応書いておくが男が女みたいに着飾ってリッチでゴージャスな雰囲気の音楽をやってたのがニュー・ロマンティックスだ。70年代のグラム・ロックの発展型みたいなもんだが、あれより遥かに夜会系。

関係ないがROCKHURRAHはニュー・ロマンティックスの分野で大成功したアダム&ジ・アンツのファンだった。彼らの推進した海賊ルックに触発されて、小倉のど田舎で勘違い甚だしい海賊ファッションもどき(全然そうは見えなかった)に身を包み、スクーターをぶっ飛ばしていたもんだ。若気の至りでちょっと中央分離帯に突っ込んで、植え込みの木の枝が腹に刺さったりしたなあ。
ああ恥ずべき過去、ミッジ・ユーロとお互い様だね(笑)。

The Nosebleeds – Ain’t Bin To No Music School

これまた日本ではほとんど紹介されなかったマンチェスター発の70年代パンク・バンドでノーズブリーズ。日本語に訳せば鼻血ーズというようなもんか。
マンチェスターと言えばかなり大物のパンク・バンドを輩出した事で知られる音楽先進都市だ。バズコックス、マガジン、スローター&ザ・ドッグス、ドローンズ、ワルシャワ(後のジョイ・ディヴィジョン)などなど、70年代パンクのファンとっては聖地みたいなもんだ。そこでひっそりとデビューしたのがこのノーズブリーズだ。たぶんシングルしか出してなくて解散したはずだが、マンチェスター系のバンドを集めたオムニバスでちょっと知られた程度。魚の位で言うならうぐいクラス。

このバンドは最初はエド・バンガーというシンガーが始めたものだが、80年代に活躍したドゥルッティ・コラムのヴィニ・ライリーがメンバーだった事で知られている。
ドゥルッティ・コラムと言えばマンチェスター発のレコード会社、ファクトリー・レーベルにおいて、ジョイ・ディヴィジョンと並ぶ看板だったバンドだ。
初期ではごく簡単なリズムのみ、そこにヴィニ・ライリーの透明感溢れるギターが展開するといった、簡素極まりないネオ・アコースティックな音楽が新鮮でファンも多かった。通常のロック形態のバンドというよりはヴィニのギター・プレイによる音のスケッチ、それを記録した作品という印象だった。
アンビエントとかイージー・リスニングとかそういう世界は全くわからんし、野卑でゴテゴテしたインチキ音楽大好きのROCKHURRAHだが、こじゃれたカフェのBGMとかには最適な音楽だったのは確かで、そういう音楽を愛するファンに支えられて、この手のインスト主体のバンドとしてはかなり売れたんじゃなかろうか。←またしてもセンテンス長すぎだな。来年の目標は簡潔な文章か?
音は地味だがこのヴィニ・ライリー、まさにこの時代の少女漫画に出てくるような繊細な顔立ちの美青年で、そのルックスからも女性ファンが多かったものだ。何と今でも美中年のようで、羨ましい限りですなあ。

前置きが非常に長くて何が書きたかったか忘れたほどだが、そんなか細い音楽で有名なヴィニ君が、その前はこういうパンク・バンドにいたというのが驚き。
しかしドゥルッティ・コラムを知る人が聴けば一目瞭然「Ain’t Bin To No Music School」の途中のギターはまさしくヴィニ・ライリー風で、その辺のミスマッチ感覚がありそうでない個性となっている。

このノーズブリーズの大変に珍しい、動いてる動画があったのでついでに載せておこう。ん?ヘンな言い回しだったがYouTubeには動いてない動画も結構あるからね。

ノーズブリーズはもう一人、ニュー・ウェイブ界の大物を輩出したバンドとして知られている。前述のエド・バンガーが抜けた後に二代目ヴォーカルとなったのが後のスミスで有名人となるモリッシーだったらしい。

パンクの時代はまだニューヨーク・ドールズのファン・クラブ英国会長とかそういう身分だったモリッシーがどういう経緯でノーズブリーズに加入したのかはよく知らないし、第二期ノーズブリーズは残念ながら持ってなくて曲も知らないんだが、あの声やひねくれた歌詞でパンクをやっていたのだろうか?それはまたそれで異色には違いないかな。

ヴィニ・ライリーもモリッシーもROCKHURRAHの好みとは違うが、やはり第一人者となるには独創性が必要。両者とも好みではないがそのプラスアルファの個性は充分持っていたと思えるので、そういう点では尊敬に値する人物だと言える。ただ、それが好きに繋がらないのが人の心と言うものなのかね?
またしても「好きじゃないなら書くなよ」という声が聞こえてきそうだな。ファンにも殴られそう。それでは退散しますかな。

今回は何となく生真面目な文章になってしまって、面白くはなかったな。
その割にはたった二つのバンドだけで結構長くなってしまった。いつもはもっとたくさん紹介するのに、個人的に週末が忙しかったので、こんなもんで許して。
同じネタでもう少しは書けそうだからまた次も書きます。

【リンチ作品のサントラ等を並べて撮影。鳥飼先生の時と同じパターン!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

先週のブログ「SNAKEPIPE MUSEUM #13 Lauren E. Simonutti」の終わりに書いた、デヴィッド・リンチのフルアルバムについての記事。
まさか、と思っていたのに本当に出てたよ。(笑)
リンチアンなのに入手したのが少し遅いところが情けないけれど、今回はそのアルバムについての感想をまとめてみたいと思う。

処女作「イレイザーヘッド」から音響や作詞などを手がけ、「ブルーベルベット」では主人公であるジェフリー・ボーモントに草むらで耳を拾わせる。
リンチ=耳の監督という代名詞は昔から聞いていたので、今更音楽とリンチが密接に結びついていることに驚きはしないけれど。
ただ自らが歌い作詞や演奏まで手がけたフルアルバムのリリース、を知った時には正直驚いてしまった。
「ここまでやるか?」と思ったのである。
さすが、リンチ。なにをしでかすか判らない謎の人物だけあるね。(笑)
1曲ずつ簡単に感想を書いてみようかな。

1. Pinky’s Dream

「ピンキー」から想起するのは、もちろんピンキーとキラーズ、そしてファントムギフトピンキー青木だよね!(笑)
この歌の中のピンキーはどうやらトラックを運転しているところらしい。
ピンキーが紫のたばこの煙をくゆらせながら、オレンジ色のライトを照らしながら走っている。
これはどうやら夜のドライブみたい。
「ロスト・ハイウェイ」も連想できるし、「ブルーベルベット」の中での「ジョイライド」も思い出すね!
このオープニングがビートの効いたパンチのある曲(ぷっ)なので、これからどうなるのかワクワクしちゃう。

2. Good Day Today

すでに先行シングルとして発売されていた曲なので、聴き慣れた心地良さ。
好き好きアーツ!#11 デヴィッド・リンチ—PV—」でも特集して、その中でも
「なんだか『スターシップ・トゥルーパーズ』の『今日は死に日和』のようなタイトルだよね。(笑)」
と書いているんだけど、「Good Day Today」と「Good Day To Die」って本当に良く似ている。
クラブ系のビートに乗って気持ち良さそうに歌うリンチの頭の中では「TODAY」と「TO DIE」を交錯させていたかもしれないね。
歌詞を読んでも「○○にはうんざり」ということが散々書いてあり、「天使を送ってくれ」ともあるので余計にそう感じてしまう。
リズミカルでダンスも踊れそうなノリの良い曲なので、竹中直人の「笑顏で怒る人」みたいな不気味さがあるね。(笑)

3. So Glad

「お前がいなくなってくれて本当に嬉しい」としわがれた、全然嬉しそうじゃない声で歌うリンチ。(笑)
この曲を聴いているとリンチが描いたグレーと黒の、ダークな雰囲気の油絵を思い出す。
心の奥底を具象化したような、心象絵画。
リンチは50年代カルチャー部分を取り除くと、まるでアメリカ人とは思えないようなヨーロッパ的な要素を持っているけれど、この曲はまさにリンチの核を表現しているような雰囲気だと思う。
あれ、なんだか真面目に評論してるよ、SNAKEPIPEごときが。(笑)

4. Noah’s Ark

この曲、「ロスト・ハイウェイ」のサントラに入ってるような感じ。
リンチがささやき声でつぶやくスタイルのボーカルだから、「ミャウミャウ」とアリスが電話でささやいていたのを思い出したのかもしれない。
室内に突如現れる真っ暗な闇。
リンチの映画の中ではお馴染みの光景だけど、この曲はその「リンチ・ブラック」をより効果的に見せるために丁度良いBGMになりそう、とほくそ笑むSNAKEPIPE。
この曲を聴いていると、勝手にリンチ風の映像が脳内に流れるから不思議だ。
やっぱり音楽の力ってすごいなあ。

5. Football Game

「君が他の男といるのを目撃してしまった」という実体験なのか、夢で見たのか、はたまた創作なのか不明な歌詞。
「恋多き映画監督」として名高い(?)リンチなので、実体験だったとしてもおかしくはないけどね。(笑)
と、ここで川勝正幸氏による解説中にあるリンチ・インタビューを読むと
「このアルバムの中の何曲かには別人格が登場している。
その男はアメリカ南部の山の中に住む貧しい男。
ブーツにジーンズ、汚れたTシャツ。
ピックアップトラックを運転し、たばこで黄ばんだ指先、密造酒を飲む。
街の女2人に好意を寄せているが、彼女達は男のことを好きではない」
という設定とのこと。
なるほど。
見かけは「ツインピークス」のボブ、みたいな感じね。(笑)
そういう「へべれけ」状態の男を想定して、できている曲もあるってことだね。
きっとこの曲はその「南部男」を描いているんだろうね?
意外とリンチの実体験だったりして?(笑)

6. I Know

これも先行シングルとして発売されていたのですでに馴染みのある曲になっている。
何か自分に原因があって、そのせいで彼女が出て行ってしまう。
悪いのは自分だから、彼女を引き止めることができない。
本当は別れたくないけど、自分からは言い出せない辛い思い。
うーん、ドラマですなあ!
詩の中の「did that thing」が謎だけど、何やらかしたんだろうね?

7. Strange and Unproductive Thinking

「奇妙で不毛な思考」と題された、リンチの声がヴォコーダーで電子音に変化し、詩を朗読している曲。
リンチにぴったりの単語、ストレンジ!
「It’s a strange world, isn’t it?」というセリフがあった「ブルーベルベット」をまっさきに思い出すね。(笑)
朗読されている詩の内容は全く意味不明で、そこがまたリンチらしい。
本当にロボットが勝手に様々な単語を組み合わせて喋ってるような感じがするね。

8. The Night Bell With Lightning

インストゥルメンタルの曲。
いかにもリンチのサントラに入っていそうな感じの曲なんだよね。
作曲はアンジェロ・バダラメンティじゃないの?って思ってしまう。(笑)
かなり雰囲気があるので、これも是非リンチ風脳内映像を創作して楽しみたい一曲!

9. Stone’s Gone Up

この曲もリンチが設定した「南部男」をモデルにしているように思われる。
なんともやるせない感情を歌っているんだよね。
「石が迫ってきた」という表現が良く判らないんだけど、もしかしたら事故とか?
「白い光」というのもあるから事故死かも。
うーん、失恋の痛手を負って、暴走したあげく事故なのかなあ。
いや、もしかしたら彼女に手をかけた後に覚悟の上の事故、かもしれないな。
などと想像するSNAKEPIPE。
リンチ風にするなら、もっと違うストーリーにしても良いかもしれないね!(笑)

10. Crazy Clown Time

アルバムタイトルと同じ曲のタイトル。
ポーリー、スージー、ダニー、サリー、バディ、ピーティ、ティミーと男女混合7名がハチャメチャパーティをやっている様子である。
ゴダールの映画「気狂いピエロ」のラストは頭にダイナマイトだったけれど、この曲の中でもピーティが髪の毛を燃やしている。
「とても楽しかった」と歌うリンチだけど、楽しいかい?(笑)
曲調は不安を煽るような不思議な雰囲気で、タイトルとも詩ともよく合っていてリンチらしさ満点!
リンチのハイトーンヴォイスも聴けて、ファンには嬉しいね。(笑)

11. These Are My Friends

この曲はまるで「ツインピークス」の「ナイチンゲール」だよね?
ジュリー・クルーズが歌ってれば、全く同じなんじゃないかなあ。
サリーとピートとベティの3人がトラックに乗ってピクニックに行くのかな。
あらら、まるでこれはローラとドナとジェームスが3人でピクニックに行ったのと同じ設定じゃない?(笑)
うーん、なにもかもが「ツインピークス」を連想してしまうね。
メロディラインも50年代風だしね!

12. Speed Roadster

これもまた「南部男」を想定した曲なのかもしれないね。
彼女に去られ、ちょっと女々しく、未練がましく彼女のことを考える男。
やっぱりまだ忘れられない、とストーカーまがいの行為を想像する。
トラックからオープンタイプのスポーツカーに買い替え、彼女をもう一度振り向かせようとも考える。
最後の部分はちょっと怖いねえ。
だってリンチだからねえ。(笑)

13. Movin’ On

まるで80年代ニューウェイブのような雰囲気の曲。
ちょっと懐かしい感じがするんだよね。(笑)
詩は暗くて悲しい感じ。
人生って何、と考えさせられる。(うそ)

14. She Rise Up

おお、これもまたロボット声に変化させているねえ。
まるで「ロスト・ハイウェイ」の「This Magic Moment」が流れた瞬間を表現しているような詩の世界!
電撃的な出会いから付き合いが始まるけれど、映画と同じようにやっぱり彼女は去って行くのね。
ロボット声だから泣き言に聞こえないけど、なんでこうも失恋の歌詞が多いのかしら?
やっぱりこれも「南部男」が設定なのかも。(笑)

15. I Have a Radio [Bonus Track for Japan]

ささやき声で「I Have a Radio」とだけつぶやくリンチ。
バックの音はちょっとヒカシューっぽくてSNAKEPIPEには馴染み深い音だな。
この曲だけが「日本盤」に収録されているボーナストラックということになっているんだけど、とても良い曲なので通常版にも入っていれば良かったのにと思う。
豚の鳴き声みたいな「キーキー」音が入っているところが怖い。
この曲だけどうやらPVがあるようなんだけど、恐らくリンチ自身の手によるビデオのように見受けられる。
左右に手を振って動きを見せる2人。
バックの墨絵調がリンチらしいよね!

ROCKHURRAHはこのアルバムを聴いて、声質がなんとなくスロッビング・グリッスルのジェネシス・P・オリッジやスーサイドといった80年代初期の雰囲気みたい、だとのこと。

執拗につぶやく呪術的なスタイルがリンチとも共通しているらしい。
スロッビング・グリッスルの曲をyou tubeで観せてもらったけど、確かに雰囲気が似てるね!
どっちも変態系だしね!(笑)

リンチ的世界に慣れ親しんでいる人にとっては「リンチそのもの」を体感できる、素晴らしいアルバムだね!
そうか、媒体を音楽に変えただけの話。
これは「リンチの新作」なんだな、と改めて気付く。
映画、絵画、写真、そしてついに音楽の世界にまで進出した「稀代のアーティスト」、リンチ!
やっぱりSNAKEPIPEには絶対的な尊敬に値する人物だなあ。
いやはや、恐れ入りました!(笑)
ロバート・ロドリゲス監督が偽の予告編から「マチェーテ」を作ったように、是非ともリンチにも「サントラから映画」の企画をお願いしたいと本気で思う!
SNAKEPIPEはもちろんのこと、きっと待ち望んでるリンチファン、多いはずだからね!

【ローレンの作品『The Devil’s Alphabet』より” T “(左)と” G “(右)】

SNAKEPIPE WROTE:

一番のお気に入りだと思っていた畠山直哉氏の写真展にかなりガッカリしてしまったことも理由だろうが、なかなか最近はグッとくる写真にお目にかかることが少ないように思う。
「廃墟写真が好き!」と公言していたSNAKEPIPEだけれど、その手の写真もやや食傷気味。
これはもちろん3月の震災の影響もあるけれど、大袈裟な言い方をすると「廃墟写真についての意義」を問い直したいような気分になっているようだ。
先日ROCKHURRAHと大いに語り合い、廃墟写真の定義を確認したけれど、なかなかその定義にしっくり来る写真を鑑賞することは難しいだろうな。
ましてやSNAKEPIPE自身が撮影することはもっと難しいだろうね。(笑)

畠山直哉展に行った時、地下では「日本写真作家協会会員展」の入賞作品が展示されていた。
SNAKEPIPEが勉強のために毎月「アサヒカメラ」などの雑誌を購入していた時にも、後のほうのページに同じような公募写真が毎回載ってたことを思い出す。
どうして写真の公募展の内容というのは何年経っても変化がないんだろう?
別に批判や批評を書きたいわけじゃないんだよね。
議論をするつもりもサラサラないんだけど、どうも変わり映えのしない写真が多くて面白くないな、というのが正直な感想。
写真の既視感、というのはある程度は宿命と言えるだろうけどね!

写真世界の進歩や未来、新しいことって一体何だろう?
なんてことをツラツラ考えながら見つけたのが上の写真。
観た瞬間「あっ!好き!」と思った。
そうか、この方法があったのか!ヤラレタな、とも思った。(笑)
「Devil’s Alphabet」と題された、アルファベット順にAからZまでの26枚で構成された全て縦位置のシリーズは、恐らく殆どが自宅内で撮影されたようだ。
そして登場している人物は、これも推測だけど作家本人が自作自演しているみたい。
「お友達」と称される人形達は出演してるけどね。(笑)
「何かありそう」な雰囲気たっぷりの演出も見事。
一人でひっそり、誰にも邪魔されることなく「お友達」と一緒にコツコツ撮影をする写真家って…?

Lauren E. Simonuttiは1968年生まれのアメリカの写真家。
フィラデルフィアの美術大学で写真を学ぶ。
4×5、5×7、8×10などの大型カメラで撮影を行なっているようだ。
メトロポリタン美術館やホイットニー美術館にも作品が所蔵されているみたい。
興味があるのはダダ全般だったり、好きなアーティストにハンス・ベルメールの名前があるのは「いかにも」な感じで納得してしまうね。(笑)
そして現在お住まいなのがボルチモアみたいなんだけど。
ボルチモアといえば、すぐに思い浮かぶのがジョン・ウォーターズ
お住まいの方には大変申し訳ないんだけど、SNAKEPIPEにはどうしてもウォーターズの印象が強い土地のため「ヘンな人が多い地域」として認識してるんだよね。(笑)
そしてきっとローレンも「ヘン!」と呼ばれることに喜びを感じるタイプとみた!

『Madness strips things down to their core.  It takes everything and in exchange offers only more madness, and the occasional ability to see things that are not there.』
「8 rooms, 7 mirrors, 6 clocks, 2 minds & 199 panes of glass」という作品について語るローレンの言葉である。
やっぱり「狂気」なんだね。(笑)
彼女がやってるブログのタイトルも「The Madness is the Method」というもの。
ここでもまた「Madness」だよ~!
ROCKHURRAHが「Gardening By Moonlightというバンドにmethods in the madnessという曲があるよ」と教えてくれた。
80年代のバンドのようなので、ローレンの時代にもピタリとあてはまりそうね。
もしかしてこのタイトルをもじってるのかな?
どうやらネット上で作品を発表するのが得意(?)なようで、Flickrなどでも大量の作品を鑑賞することができる。
とっても太っ腹だね、ローレン!(笑)
作品は販売もされていて、Catherine Edelman Galleryで購入可能。
1400ドルから2200ドルだって。
およそ11万円から17万円ね。
高いのかお買い得なのかは不明だよ!

●REC」に出てきた最上階の部屋や「屋敷女」の屋敷内、もしくは「ホステル」に出てきた工場(?)内で撮影したような、オカルト的でホラー風ダークなイメージのオンパレードで、SNAKEPIPEはとても好きだな!
これからも応援していきたいアーティストに出会えて嬉しい!
好きなアーティストにデヴィッド・リンチの名前が入っていなかったけれど、きっとローレンも好きなはず。(笑)

と、ここでリンチが出てきたから、ちょっとリンチ・ネタ!
なんとリンチ、11月7日にフルアルバム「Crazy Clown Time」をリリースしていたよ!
ローレンはマッドネスでリンチはクレイジーときたか!
先日の2曲だけ入ってるCDで終わりじゃなかったんだね。(笑)

これは早速購入しなければ!
リンチからはまだまだ目が離せないね。(笑)