Monthly Archives: 3月 2014

【「俺たちサボテンアミーゴ」の仲良し3人組!】

SNAKEPIPE WROTE:

昨年の夏よりずっと書き続けているスペイン映画への情熱は未だに冷めやらず、更に鑑賞できるだけの映画を探している状態である。
スペイン映画のみならず、スペイン語圏の映画を鑑賞することもある。
スペインをキーワードにすると、たまにそんなこともあるんだよね。
そして当然のように、完成度が高い映画ばかりではなく、「トホホ」と感じる映画に当たることもある。(笑)
今回はそんな「トホホ」映画を紹介してみたいと思う。

1本目はアメリカ映画でありながら、全編スペイン語で撮影された「俺たちサボテンアミーゴ」(原題:CASA DE MI PADRE 2012年)だ!
簡単にあらすじを書いてみようか。(webから引用)
メキシコの片田舎で父の牧場を手伝い、お気楽な人生を送っていたアルマンド。
しかし牧場の実態は火の車。
そんな一家の一大事に、ビジネスマンとして成功した弟ラウルが美しい婚約者ソニアを連れて帰ってきた。
しかし、ラウルは牧場の借金問題を解決するどころか麻薬ビジネスに手を出して窮地に追い込まれ、一方のアルマンドはあろうことかソニアと禁断の恋に落ちてしまう。

主人公アルマンドを演じるのが、ウィル・フェレル
日本での知名度は低いけれど、アメリカでは大人気のコメディアンとのこと。
なんと「アンチェインド・メロディ」などで有名なライチャス・ブラザースのキーボードだったリー・フェレルの息子だという。
正直言って、どうしてこの人が主役なんだろう?と疑問に感じながら鑑賞していたんだけど、有名人だと知って納得。
どうりで歌もうまかったはずだよね!

「俺たちサボテンアミーゴ」はスペイン語圏映画ではお馴染みのガエル・ガルシア・ベルナルが麻薬王として出演していて、それも鑑賞するきっかけの1つだった。
だけど、この映画での役どころはあまりガエル・ガルシア・ベルナルには似合っていなかったように思った。
白いスーツに白いウエスタンブーツを履いてキメてるファッションも似合ってなかったし、そもそも残忍な大物って雰囲気じゃないもんね?

どうして「俺たちサボテンアミーゴ」を鑑賞して「トホホ」と感じてしまったのか。
1:映画最初の頃と途中での2回、主人公アルマンドと牧場で働いている2人と共に軽口を叩くシーンがある。
大して面白くない会話なのに、3人は笑い合い、やめたかと思うとまた誰かが笑い出し、つられて他もまた笑いだす。
このシーンがかなり長い時間使用されてるんだよね!
なんだろう、この無駄に感じる時間は。
どんな意味があったのか聞いてみたいね。(笑)

2:2012年の映画にもかかわらず、作り物であるのがバレバレなセットのオンパレード。
引いたカメラで撮影された街の風景は、カクカクに動くオモチャの車が走るジオラマのセットが使用されていた。
「母との思い出が残る神聖な場所」とされていた池なども完全なセット。
アルマンドを導く聖なる存在である白い豹は、ぬいぐるみ!(笑)
どうやら70年代メキシコでのソープオペラを意識して作られた映画のようなので、「わざと」だと思うけど、そのあまりのチャチさに笑ってしまう。
「わざと」やるほうが逆に難しいように思うけどね?
もし本当に狙ってやっていたなら、拍手だよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」での救いは、ヒロインであるソニアを演じたジェネシス・ロドリゲスがキレイだったことかな。
母親はモデルで父親は俳優兼歌手だというから、美貌や才能を受け継いだんだね!
エキゾチックな美女がお好みの方にはお勧めだよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」はコメディ映画だと思っていたのに、後半になってくるとハードなアクションが増えてくる。
それまでは「うすのろ」扱いをされていた主人公アルマンドが、好きな女のため、母の復讐のために目の覚めるような活躍をするのだ。
急に変貌するアルマンドには驚かされるし、意外性もあるので注目する点かな!(笑)

後で調べてみるとウィル・フェレルは「俺たち〜」というタイトルの映画にたくさん出演しているみたいで、他の作品も気になるところだ。
きっとまた「トホホ」に出会えるに違いない。(笑)

続いての作品は我らがカルロス・アレセス目当てで鑑賞した「人狼村 史上最悪の田舎」(原題:LOBOS DE ARGA 2011年)である。
こちらは「『パンズ・ラビリンス』のスタッフが集結!」なんて宣伝文句が踊るスペイン映画である。
文章にはB級ホラーとも書いてあったので、最初から「トホホ」だと知っていて鑑賞していたんだけどね。
それにしてもここまでとは…。(笑)
また簡単なあらすじを書いてみようね。(webから引用)

青年作家のトーマスは、新作小説を執筆するために長年戻らなかった故郷を訪れる。
旧友との再会に喜び、懐かしい思い出にひたるトーマスだが、幼いころの恐怖であった呪いが未だに村内のタブーとなっていることを知る。
それは、生け贄を献じることで村人全員が狼人間になることを逃れられるという、恐ろしい伝説 だった。
呪いを解くために生け贄にされたトーマスは、村人により穴に落とされてしまうのだった…。

恐怖、呪い、タブー、生贄、狼人間と「いかにも」な単語が並んでるよね!
そう、設定やら物語の進行は「いかにも」だから、度肝を抜かれるとか斬新ということはない。
珍しかったことといえば、ゴルカ・オチョア演じる主人公トーマスが生贄にされるくらいなら、と指を切断されるところ。
そしてその指をにんにくとパセリで炒める幼なじみであるカリスト役のカルロス・アレセス!
更にその指炒め(?)を飼い犬がくわえて走ってしまうシーンは、まるでデヴィッド・リンチ監督の「ワイルド・アット・ハート」のパクリみたいだよ。(笑)

主人公トーマスが指を提供したのにもかかわらず、呪いは解けなかった。
村人たちはウウウッと唸ったり叫んだりしながら、次々に狼人間に変身してしまう。
そして変身後の姿が左の写真!
どお、これ?
狼人間というよりは、 「スター・ウォーズ」のチューバッカか、もしくは東宝の特撮映画「サンダ対ガイラ」(古い!)みたいなんだよね。(笑)
実はSNAKEPIPE、チューバッカは大好きなので、似た雰囲気の狼人間が怖くなかったし、実際狼人間弱かったし!

噛まれることで感染して、狼人間になってしまうのはゾンビやら最近流行りのウイルス系パニック映画に共通している設定だよね。
この設定を最初に採用したジョージ・A・ロメロはやっぱりすごいな!
ゾンビ」(原題:Dawn of the Dead  1978年)は36年前、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(原題:Night of the Living Dead 1968年)に至っては46年前だからね!
そんなに昔からの伝統(?)が現在まで生き残っていて、それが恐怖とされていることを知ると、原型を作ったロメロの偉大さが良く解るよね。

「人狼村 史上最悪の田舎」鑑賞目的だったカルロス・アレセスは、今回主役ではなく、主人公の幼なじみという役どころ。
着ていたセーターも含めて田舎っぺ役はピッタリだったね。
カルロス・アレセスらしい特徴はあまり見受けられなかったし、自慢のヌードも披露されなかった。(笑)
それでも、もちろんファンだったら鑑賞しないとね!

「人狼村 史上最悪の田舎」で印象に残っているのは冒頭、村の呪いについて解説するシーン。
この劇画調の紙芝居形式が大人向けのエロチックなもので、なかなか面白かったな!
ラストシーンは思わせぶりだったけど、「人狼村2」はないよね?
もし製作されたら一応観てみようかな。(笑)

今回は「トホホ」な映画について書いたつもりが、結局「着ぐるみ」系映画紹介になってしまった!
こんな書き方をしているから誤解されてしまうかもしれないけど、「トホホ」な映画もSNAKEPIPEは大好きなんだよね!
また「トホホ」映画特集もしていきたいな!(笑)

【米国産なのに絵柄は「ガロ」系なペル・ユビュのジャケット】

ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの二人が青春時代、あるいは少年少女時代に出会ったレコードや写真、絵画などを挙げて、それにまつわるエピソードを語るという郷愁あふれる企画がこの「ふたりのイエスタデイ」だ。

かつては結構たくさんのレコードを集めていて仕事が休みの時はレコード屋巡りの日々だったROCKHURRAHだから、今週買ったレコードをロクにじっくり聴きもせずまた来週には新しいレコードを求めたりしてたな。
そういう時期に買ったレコードと少ない所持金の中から工面してやっと買ったレコードじゃどうしても「思い出」という点で違いが出るのは当たり前。
「自分にとっての名盤かどうか」という点と思い出は必ずしもリンクしてないって事だね。どうしようもないクズ音楽でも思い出たっぷりのモノもあるだろうし。
だからというワケじゃないが、たぶんこの企画では

  • 福岡にいた頃(真摯に音楽を欲していた時期)
  • 東京に出てきたばかりの頃(貧乏だったけど店が多くて買う対象のレコードがたくさんあった時期)

このふたつの時期の思い出が色濃く出るだろうと予想する。
ROCKHURRAHの原点だからね。

小学生から20過ぎくらいまで住んでたのが北九州の小倉というところだった。当時の北九州市の人口100万人というから、地方都市としてはまあまあの規模だったのかな?
しかし子供の頃はそこまで関係なかったけど、音楽に目覚めてパンクやニュー・ウェイブの世界に染まった頃は、自分を取り巻く文化の低さにいつも不満を抱えていたな。
具体的に言えばパンクやニュー・ウェイブのマイナーな輸入盤は当時の小倉ではなかなか買えなかったし、パンクな服装が買える洋服屋とかもなかったとか、その程度の底の浅い不満なんだけど。
どこにいてもネット通販出来る今とはずいぶん事情が違う。

そういうわけで当時の小倉の音楽好きな若者はわざわざ福岡の天神まで出かけて行ってレコードを買っていた。・・・かどうかは全然知らないが少なくともROCKHURRAHの選択肢はそれしかなかった。
誰もが知ってるワケではないだろうが、福岡は音楽的文化の高さでは西日本でも有数の土地。数多くの有名バンドを産んだ土壌は当然ながら質の高いリスナーも育んだ、というメッカなのだった。

小倉から博多まで電車で行くとさらに天神まで乗り換えなきゃいけないし座れない可能性もある。そこでもっぱらROCKHURRAHが使っていたのが西鉄の高速バスだった。小倉駅前から天神バスセンターまで直通だから快適、楽ちんなわけだが、これだとレコード代プラス数千円の出費になるから随分無駄な小旅行となる。それでもよく通ったなあ。
電車で行ってもそこまで大幅に運賃は変わらなかったはずだが。

この天神行きは高校生くらいから東京に出るまでの数年間、コンスタントに続いていたが、ほとんどは一人で出かけた孤独の思い出ばかりだ。
そこまで出費してでもついてきてくれる友達もなかったし、レコード屋巡りするだけで必ず一日仕事になるハードな旅だったのだ。

この当時の輸入レコードには航空便と船便という大まかな違いがあって、ROCKHURRAHが求める旬のヨーロッパ輸入盤はもっぱら航空便だった。これがたぶん3300円くらいのものだった。随分昔のレコードならば船便でもいいんだろうけど、当時は最先端の音楽が聴きたかったから高くても無理して買ってたよ。
せっかく天神まで来たからには最低3枚くらいはレコードも買うし、そんなこんなで一回行って15000円くらいは必ず使ってたはず。我ながらすごい情熱だったね。

福岡で目当てとするレコード屋は主に二軒、これは大昔のブログ「昔の名前で出ています、か?」という記事でも書いたけど九州朝日放送の電波塔の下に位置していたレコード・プラントKBCというレコード屋が第一の目的の場所(第二の目的場所は今回の話とは違うのでまた別の機会に語ろう)。
少し後ではタワーレコードKBCという名前に変わったように記憶するが、いわゆるあのタワレコとは少し違う系列だったはず。そもそもあの時代にはもしかしたらまだ日本にはタワレコ来てなかったんじゃなかろうか。
タワレコなどと店名を書くと大半の人が誤解するに違いないが、扱っているものもいわゆるタワレコとは全然違った独自路線のマニアックなモノ。今でも覚えてるがレコード屋のコーナーで「マニエリスム(美術の形式のひとつ)」などというジャンル分けされた店はこのKBCしか知らない。意味はよくわかってなかったけどすごいなKBC。
タワーレコードKBCはその後、ROCKHURRAHが東京で暮らしていた間に引っ越しして天神のど真ん中でTRACKSと店名を変えて営業していた模様。このTRACKSがさらに大型店舗にリニューアルした時に短い期間ではあったがROCKHURRAHも働いたという経験があり、個人的な思い出が色々と残っている。それはまた別の機会に・・・。

そんなに広い店舗ではなかったけどここは天神のニュー・ウェイブの最先端。KBCは天神の街外れにあるからちょっと歩くんだけど、新しい音楽に出会える期待でいっぱいの道のりだったよ。今ではレコード屋に入っても特に何も感慨はないけど、こんなに音楽にのめり込んでいた若くて青い自分だったなんて信じられない(笑)。
今は若くも青くもないけど、それでもROCKHURRAHは社交的な人間ではなく、店の店員とすぐ友達になるような人柄ではない。
この店でも毎回、入ったらひたすら黙々とレコードをじっくり眺め、買うものの候補を選んでゆくという手順だった。
その後、足繁く通うものだから気さくに話しかけてくれた人もいて、この方の導きによって手に入れたレコードもあった。当時は全く知らずにただの詳しい店員さん、くらいにしか思ってなかったが何と70年代に知られたロック・バンド、葡萄畑の元メンバーだった人という事をずっと後で知った。それはまた別の回で語る事にしよう・・・。
ん?別の機会で語ろうというフレーズが今回は三回も出てきて、ネタを小出しにする気満々だな(笑)。

ROCKHURRAHがレコードを買う基準はこの当時ではジャケット、レーベル、プロデューサー、曲名、メンバーの名前などが主な項目だった。レコード屋で開封してまで中を見る客は滅多にいないと思うが、上記のような情報がジャケット裏に全て書いてるレコードばかりじゃない。その時はイチかバチか、もうジャケットの印象のみで買うしかないわけだ。ジョイ・ディヴィジョンに代表されるファクトリー・レコードなどはジャケットは美しいがこういう情報が表側にほとんどないタイプだったな。

少ない情報から自分の好きな何かとの関連性を見つけ出す、いわばレコード買いもミステリーにおける推理と同じようなものなんだよね。
もしかしたらROCKHURRAHより前に百人くらいは同じような事を言ったような気はするが、ありきたりな名言かな?
知ってるバンドの持ってない一枚を選ぶのは簡単だけど、何となく気になるジャケットがあって「このバンドは一体どういう音を出すんだろう?」と思いながら色々な推理をして買う。そして家に帰ってドキドキしながらレコードを聴き、それがまさしく求めていた音だった時の快感。これがレコード先物買いの醍醐味なのだ。不思議と完全に裏切られた、というのは少ないからROCKHURRAHの嗅覚も推理力も鋭かったに違いない。

ここでやっと一番上の写真のジャケットが登場する。
工場地帯が背景でおそらく工場勤務の工員(?)がバレエ・シューズを履いて踊っているという誠に奇っ怪なイラストが描かれている。当時の感性からしても格好良いとは全然思えないんだが、一瞬で人目を引くインパクトがあったのは確か。
同じようなモチーフで機械の中で踊るプリマドンナ、というDAFの1stアルバムもあるが、構想はおそらくこっちの方が先だと思う。
このKBCはカウンターの隣の壁が面出しスペースとなっていて、そのディスプレイを見るのも毎回楽しみの一つだったんだが、たぶん一度はここに飾られてあったはず。上に書いたレコードの情報という点ではこのレコードは割と豊富で、ジャケットの表裏にはバンド名、アルバムタイトル、プロデューサー、メンバー名、曲名、レコーディング・スタジオ、そして活動の拠点とする場所までもが明記されていて親切きわまりない。
しかしそのどこを読んでもROCKHURRAHにはこのバンドが一体どういう音楽をやるのか推理出来なかった。まだパンクやニュー・ウェイブを聴き始めたばかりの頃だからオハイオ州クリーブランドのバンドに知り合いなどいるはずもない。荒々しい筆文字だったからきっとパンク系だと思ったんじゃなかろうか。踊っているジャケットだからきっと躍動感のある音楽だと思ったんじゃなかろうか。

このバンドの名前はペル・ユビュというんだが、最初は読めるはずもなく心の中ではペレ・ウブだと思っていた。今でこそこのバンドの事もある程度は知ってるからわかる事もその時は当然ながら予備知識なしだったのだ。これがペル・ユビュとのファースト・コンタクトだった。

19世紀末から20世紀初頭に活動した作家、アルフレッド・ジャリの代表作が「ユビュ王 / Ubu Roi(1896年)」という戯曲だった。王などとタイトルになってはいるがこれは国を乗っ取った偽王が主役の品のない不条理劇で、ジャリの死後に大きなムーブメントとなったシュルレアリスムに影響を与えた作品らしい。

この芸術運動の代表的な画家、マックス・エルンストの作品にもユビュ王を題材としたものがある。真ん中の写真のとんがりコーンみたいなのがそうだ。
ここまで書いて大半の人にはわかる通り、ペル・ユビュというバンド名の元ネタがこのジャリの戯曲というわけだ。ユビュ親父とでも訳すのかな。タイトルはユビュ王だが登場人物はユビュ親父なんだよね。関係ないけどヘンリー・カウにも「Viva Pa Ubu」なんて曲があったな。しかしフランスやヨーロッパでならまだわかるが遠く離れたアメリカのクリーブランドでこんな名前のバンドが登場するのは意外という気がする。上の3つの画像を見比べても単にデブ体型が似ているというくらいしか共通点は見い出せないが。

ペル・ユビュは1970年代半ばにマイナーな活動をしていたロケット・フロム・ザ・トゥームズというバンドを母体として1976年頃にデビューした。このバンドはペル・ユビュだけではなくアメリカの有名なパンク・バンド、デッド・ボーイズの母体でもあるんだけど、世界のアングラ・ロックが集結したような音楽を目指したデヴィッド・トーマス(右の画像の人)とストゥージズやMC5のようなラウドな音楽の集大成のようなギタリスト、ピーター・ラフナーというまとまりようのない個性が混在した伝説的な存在。ずっと後に再評価されてレコードが再発されたりしたが、当時の日本じゃ知るのが難しいくらいにマイナーだったはず。
この辺は前にもこんな記事で書いてたな。
やがて一番マシにカッコいい部類のラフナーが抜けて(彼はその後に死亡)デヴィッド・トーマス好みのアヴァンギャルドでアングラな路線にピッタリの人材が揃い、ペル・ユビュとしてスタートする。
その彼らのデビュー・アルバムがこの「The Modern Dance」という珍妙なジャケットの作品だ。

針を落とすと片側から聴こえてくる飛行機のエンジン音みたいな「キーン」という耳障りな音。そして片側からはゆったりしたベースライン。そのどちらもかき消すヒステリックなギターの音から徐々に一体化してくるイントロのカッコ良さは衝撃的だった。そして始まる歌は・・・ん?演奏と合ってるのかどうか不明の奇妙な甲高い声。
近所の駅やバスの中で精神的にいってしまってるような輩を見かけるが、そういう奴らが言う独り言や叫びなどとデヴィッド・トーマスの歌声は紙一重という気がする。
この独特の変な声じゃなかったら並みのガレージ・パンクな名曲なんだろうけど、全てを台無しにするくらいのインパクトのある歌声、そしてデブの存在感があったからこそ、このバンドがカルトな人気を誇ったんだろうな。

通常のロック的な意味でカッコ良いのはアルバム中数曲のみ。あとは不安を掻き立てるようなサックスやノイズ、演劇がかった構成の曲などが展開してゆく。
アルバムのタイトル曲「The Modern Dance」も「ユビュ王」の冒頭の一言「Merde!(くそったれ!)」というフレーズがリフレインする名曲。舞台の客席のざわめきのような音が楽曲と見事にコラージュされていて、その当時としては斬新な構成にかなり影響を受けたものだ。
何回聴いても難解、というほど理解不能な音楽ではないがそれまでに聴いてきたどの音楽とも違う奇妙な明るいグロテスクに満ち溢れた音楽。まだ少年だったROCKHURRAHにとって聴きやすい音楽ではなかったが、この後で傾倒してゆくオルタナティブ(当時はオルタネイティブとみんな言っていたな)やノイズ・ミュージック、アヴァンギャルドな音楽への入り口だったのは確か。そういう音楽に目を向ける最初のキッカケがROCKHURRAHにとってはペル・ユビュだったというわけだ。

上記の曲「Non-Alignment Pact」に影響を受けたミュージシャンも多いようで、元ティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープやアンダートーンズの残党によるザット・ペトロール・エモーションもこの曲をカヴァーしていた。また、初期の代表曲である「Final Solution」も元バウハウスのピーター・マーフィーがカヴァーしていたな。80年代初期はまだペル・ユビュ再評価のきざしもなく、原曲を入手するのも難しかったはずなんだが、ペル・ユビュよりももっと成功したミュージシャンによってひっそりとリスペクトされてたというわけだね。

彼らの初期アルバムの中で最も聴きやすいのがたぶんこの1stだと思うけど、3rdアルバム「New Picnic Time」あたりになるとさらにフリーキーさを増して、通常のロックにおけるカッコいい曲が皆無となってゆく。ROCKHURRAHが知っているペル・ユビュは80年代前半までで、その後はよく知らないし初期のメンバーもいなくなったらしい。後の時代の曲は随分ポップで温和な印象を受けるが、この辺にはあまり興味をそそられるものはないなあ。

1stアルバムを買った頃はまだ実家に住んでて兄の部屋をレコード置き場にしていた。ステレオはそこにしかなかったのだ。夜にカフェ・バー(笑)で働いていた兄が不在の間はずっとそこに居座っていて何時間も音楽を聴き録音したり、ギターを弾いていたものだ。
耳は肥えたがギターはちっともうまくならなかった。
その後東京に出たばかりの頃も働いてない時間はずっとそうしていた。今にして思えば密度の高い音楽の時間だったな。

人の個人的な思い出とかが他の人にとって興味あるかどうかは全然不明だが、今まであまりブログで自分を語る事がなかったから、たまにはこういう趣向もいいかなと思っている。
「この話はまた別の機会で」 などというフレーズも多かったから、人が嫌がってても無理やりシリーズを続けないとね。

【マチェーテ・キルズのトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

待ちに待ったロバート・ロドリゲス監督の最新作「マチェーテ・キルズ」が公開された!
これは2007年に公開された「グラインドハウス」の偽予告編を2010年に映画化した「マチェーテ」の続編である。
「マチェーテ」についての感想は「CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez part2」にまとめているね。
その時のブログの最後に

エンディングで「続・マチェーテ」の文字が出たのを観てまた笑った。
本気なのか冗談なのか分からないよね。
続編作ってくれるの、ロドリゲス監督?
どうなるのか乞うご期待!だね。(笑)

と書いていたSNAKEPIPE。
そして「続・マチェーテ」の情報を知った時には、小躍りどころの騒ぎじゃなかったんだよね。(笑)
やったー!やったー!と大興奮!
また我らがダニー・トレホ主演の映画を鑑賞することができる!
アメリカでの公開日は2013年9月だったので、日本ではいつになるんだろうと待ちかねていたのである。
そしてついに3月1日が公開日になることを知ったけれど、その日は先週書いたように「ウォーホル展」だったため、その翌週に行くことにした。

最近は座席予約がwebでできるシステムを採用している映画館が多いので、自分の好きな席を事前に確保し安心して映画館に向かうことができる。
「マチェーテ・キルズ」を上映している新宿バルト9 も同様のシステムを採用している。
前回の「マチェーテ」の時も新宿バルト9の単館上映だったね。
あの時は公開初日の初回に鑑賞していたはず。
「マチェーテ・キルズ」は1週遅れてしまったけれど、やっぱりその日の初回が良いので事前予約をすることにした。
予約完了のメールも届き、安心して当日映画館に向かったROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
バルト9で予約番号を入力し、チケットを受け取ろうとするが…?
何故かエラーが表示されてしまうのだ。
予約番号を間違って控えてしまったのだろうか。
仕方なく係員の方に聞きに行くと、予約番号が判らない場合は9階のチケットカウンターで調べてもらうことができるという。
上映時間を気にしながら、慌てて9階に向かう。
予約番号が違っている旨を説明すると、チケット予約をするためにwebでログインした時の情報を教えて欲しいと言われる。
こういう時、パソコンにしか情報を残してないから困るんだよね!
ニックネームは?なんて聞かれても忘れてるし。(笑)
ところがやっぱりさすがはプロ。
少ない情報からでもデータベースで検索できるシステムを持っているようだ。
「お客様、大変お待たせ致しました」
そう言って物静かな係員の女性が登場した。
その説明によると、なんとSNAKEPIPEが予約をしていたのはweb予約をした当日の座席だったとのこと!
つまり映画館に行った日よりも過去日の予約番号でチケットを入手しようとしていたことになる。
「ええっー!」
とひるむSNAKEPIPEに、係員の女性は
「よろしければ違う回への振替を致しましょうか?」
と素晴らしい提案をしてくれるではないか!
本来であれば、予約が成立した時点でお金は払っているため、観に行こうが事情があって行かれなかったにせよ、劇場側には何ら問題はない。
完全にSNAKEPIPEのミスだったのに、なんて太っ腹なんでしょ!
もちろん有難く翌日への振替をお願いし、頭を深く下げて退散するROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
新宿バルト9の、物静かな係員のお姉さん、ありがとう!
ROCKHURRAHにもお詫びをする。
今回は本当に本当に、何の言い訳もできない、下手を打ったSNAKEPIPEでした!

そして翌日。
ようやく念願の「マチェーテ・キルズ」鑑賞である。
前日にお姉さんが渡してくれたチケットを持っているので、何の問題もなく上映会場まで向かう。
「マチェーテ・キルズ」は「マチェーテ」の時よりも宣伝されていたけれど、69席しかない小さめの会場で上映される。
そのため会場は満席状態。
意外と年齢層は高めで、一人で来ているお客さんが多いことに気付く。
M65や迷彩服を着込んだ「いかにも」な観客もチラホラ。(笑)

ようやく2010年より4年間待っていた「マチェーテ・キルズ」が始まった。
では少しだけあらすじを書いてみようか。
公式サイトから引用させてもらおうね。

マチェーテ(ダニー・トレホ)は、アメリカ大統領(カルロス・エステベス=チャーリー・シーン)から直々依頼を受ける。
それは、メキシコのイカれた男 “マッドマン”(デミアン・ビチル)を倒してほしいというものだった。
マッドマンの心臓とミサイルの発射が連動しており、万一、心臓が止まれば、ミサイル がワシントンを壊滅するようになっていた。
唯一解除できるのは、世界一の武器商人ヴォズ(メル・ギブソン)だけ。
ヴォズに発射装置を解除させる為には、 マッドマンを生きたままアメリカに連れて行かなくてはならない。
しかし、マチェーテとマッドマンを狙い懸賞金目当てに暗殺者集団やヒットマン、果ては金に 目が眩んだ住人達が襲いかかってくる。
やっと武器商人のヴォズの元に辿り着いたマチェーテは、ヴォズこそがマッドマンにミサイルを売り、操っていた黒幕と知るが…。

はーい、あらすじ読んでもさっぱり意味が解らない方!
そうね、ちょっと人間関係が複雑だもんね。(笑)
では登場人物の写真と共に簡単な感想を加えてみようか。
まだ上映中の映画だから、ネタバレはしないように気を付けよう!(笑)

「マチェーテ」に引き続き、「マチェーテ・キルズ」でも主役を務めるのは我らがダニー・トレホ演じるマチェーテ!
69歳で主役のアクション俳優って他にはあんまりいないんじゃないかな?(笑)
相変わらずの圧倒的な存在感と、変な片言のセリフは健在だったけれど、「マチェーテ・キルズ」ではあんまりエロチックなシーンがなかったのが残念だったね。
「マチェーテ」では偽の予告編にあったヌードの美女2人との絡みがうまく挿入されていて面白かったんだけど。(笑)
このままダニー・トレホには現役バリバリで突っ走って欲しいね!

 「マチェーテ」でもSHEの名前で出演していたミシェル・ロドリゲスも続投で嬉しいね!
この方もダニー・トレホと同じように本物のムショ経験者。
そのせいなのか迫力が違うんだよね。(笑)
眼帯姿でマッチョな肉体を晒しアクションができる女優は貴重だよね。
「マチェーテ・キルズ」でSHEがあんなことになってしまうなんて…。
次回作での展開に期待だね!

 「マチェーテ」では悪者上院議員を演じたのが、あのロバート・デ・ニーロだったけれど、「マチェーテ・キルズ」でアメリカ大統領を演じているのは「プラトーン」や「ヤングガン」で一世を風靡したチャーリー・シーン
今回は本名のカルロス・エステベスを名乗っている。
チャーリー・シーンも私生活ではかなりのトラブル・メーカーのようなので、ロドリゲス映画に出演するのはピッタリ!
きっとロドリゲス監督は付け焼き刃の悪者の演技では物足りないんだろうなあ。(笑)

「マチェーテ」でスティーヴン・セガールがラス・ボスである麻薬王を演じていたように、「マチェーテ・キルズ」でも「マッド・マックス」や「リーサル・ウェポン」で有名な大物俳優メル・ギブソンが武器商人ヴォズで出演していた。
ROCKHURRAHは「マッド・マックス」の大ファンだったようで、メル・ギブソンの変貌ぶりに「老けたなあ」と溜息をついていた。
メル・ギブソン58歳、あと2年で還暦だからねえ。(笑)
ちなみにSNAKEPIPEは、かなり長いこと観てからやっとメル・ギブソンだと気付いたよ。(笑)

上の大物2人と全く引けをとらない演技で大注目だったのがマッドマン役のデミアン・ビチル
初めて観た俳優だと思っていたのに、鑑賞済の2001年のスペイン映画「ウェルカム!ヘヴン」や2012年の「野蛮なやつら/SAVAGES」に出演していたことを知り、びっくり!
こんなにすごい演技をする俳優を忘れているなんて!
本当にイカレた雰囲気を、ヘラヘラしたり急に真顔になったりして見事に演じていたね!
デミアン・ビチルの他の作品も観てみたいものだ。

「マチェーテ・キルズ」が前作「マチェーテ」より宣伝されていた最大の理由がレディ・ガガの出演だったんだよね。
トレイラーやポスターなどで観るともっと重要な役どころを演じているように感じるけど、それは気のせいだね!
はっきり言ってしまえば、別にレディ・ガガじゃなくても良かったように思ってしまうけど、話題性では抜群だろうから良いのかな。(笑)

アルモドバル監督最新作「アイム・ソー・エキサイテッド!」でカメオ出演だったアントニオ・バンデラスが、「マチェーテ・キルズ」ではカメレオン出演だよ!(笑)
なんだかお世話になった監督に恩返しで出演してるみたいだよね。
また「デスペラード」みたいなロドリゲス監督とのタッグを観たいね!

ロドリゲス監督作品の常連と言っても良いトム・サヴィーニも出演していた。
トム・サヴィーニはジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」などでの特殊メイクを担当した、その道の第一人者なんだけど、俳優としても大活躍だね!
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」で笑わせてもらった武器が、「マチェーテ・キルズ」でセルフ・パロディのような形で再現されていたのも見どころの1つ。
それにしてもトム・サヴィーニ、67歳になったとは思えないほど若々しくてびっくり!
ずっと好きなことを続けてると年を取らないのかな?
秘訣を教えて欲しいね。(笑)

「マチェーテ」でのヒロインはジェシカ・アルバだったけれど、「マチェーテ・キルズ」ではアンバー・ハードになるのかな。
ミス・サンアントニオという役どころで、マチェーテに馬のりになるラブシーンを演じている。
ただしそのシーンは3Dメガネが必要という字幕が入り、はっきり見えないのが特徴!(笑)
出演しているレディ・ガガとの区別がつかなかったのは、SNAKEPIPEだけだろうか?

ロドリゲス監督作品で外せないのが、ボリュームのある肉体を持つ美女が武器をぶっ放すシーン。
「マチェーテ・キルズ」ではアカプルコにある娼館のマダムと従業員(?)がその役割になっている。
マダムのおっぱいミサイル、威力に疑問を感じたけど、面白いのは間違いない。(笑)
ROCKHURRAHによると元ネタは永井豪の「マジンガーZ」じゃないの?とのこと。
ロドリゲス監督だったらアリかもね。(笑)
そして写真右の金髪グラマーも従業員の一人なんだけど、なんと彼女、ロドリゲス監督の「スパイ・キッズ」でアントニオ・バンデラスの娘役だったアレクサ・ヴェガ
ひー!あんなに子供だったのに、今ではすっかり大人でびっくり!
こんなに成長しているとは!(笑)

濃い目のキャラクターが多数出演しているため、内容に関する詳しいことを抜いても、一人ずつ書いていったら結構長くなっちゃった。(笑)
「マチェーテ・キルズ」は「マチェーテ」で披露された残酷シーンがよりパワーアップされた演出が施されていたのも見どころだったと思う。
残酷なのに笑ってしまう、ロドリゲス監督お得意のパターンね!
これを一緒に笑ってもらえる人にだけ、「マチェーテ・キルズ」をお勧めできるかな。(笑)

映画は途中で次回作の予告編が入ったり、実際ストーリーが予告編通りになるような展開を見せていたし、終わり方も中途半端だったし。
本当に次回作、あるんだろうか?
「マチェーテ・キルズ・アゲイン・イン・スペース」の公開を待ちたいね!(笑)

【ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの大好きな曲。映像酔いに注意!】

SNAKEPIPE WROTE:

去年のうちから森美術館10周年記念企画として「アンディ・ウォーホル展」が開催されることは知っていた。
そしてすでに鑑賞を終えた長年来の友人Mから
「ウォーホル展、すっごい良かったよ!あと3回は行きたい!」
という連絡も受けていたSNAKEPIPE。
ではせっかくなのでご一緒しましょうと、ROCKHURRAHも加わり、またもや怪しい3人組が六本木に集合することになったのである。

森美術館の開館時間に合わせて待ち合わせをする。
9時50分にチケット売り場を目指すと、もうすでにチケット購入を待つ人で溢れている。
ぎゃー!こんなにウォーホル展が大人気なのか!と思っていると、どうやら森アーツセンターギャラリーでは「ラファエル前派展」が開催されていて、半数以上のお客さんはそちらが目当てだったみたい。
あー、びっくりした!
きっとあやしい3人組は「ラファエル前派展」鑑賞チームとは思われなかっただろうな。(笑)

去年8月に国立新美術館で開催された「アメリカン・ポップ・アート展」も六本木だったので、2年連続でポップアートの展覧会が催されるのは珍しいんじゃないかな。
あの時はポップアートを支援していたパワーズ夫妻のコレクションが展示されている企画だったので、ウォーホルだけじゃなくて、複数のアーティストの作品を鑑賞することができたんだよね。
今回はウォーホル一人だけの展覧会。
「アメリカン・ポップ・アート展」の時のウォーホルについての感想に

有名な作品が展示されていたけれど、
あまりにも見慣れすぎているためか
確認作業をしている気分になった

と書いているSNAKEPIPE。
果たして今回の「アンディ・ウォーホル展」はどうなんだろう?
既に有名な作品については、その道の専門家もいてSNAKEPIPEが語るよりもずっと詳しい説明がされているはず。
シルクスクリーンについての説明はそんな御仁にお任せすることにしよう。
今回はもっと初期の、シルクスクリーン以前の作品について書いてみようかな!

入場するとすぐにウォーホルの自画像や写真など、ウォーホル本人に関する作品が展示されている。
確かにウォーホルってマリリンなどの有名な作品に負けないくらい、本人が前に出るアーティストだったもんね。(笑)
同じようにポップ・アートだったらすぐに名前の出てくるロイ・リキテンスタインは作品は知っていても、リキテンスタイン本人をすぐに思い浮かべることはあまりないよね。

ウォーホルの子供時代の写真や80年代の女装した写真などを鑑賞した後に、商業デザイナーとして活躍していた頃の作品が展示されている。
以前ウォーホルに関する本は何冊か読んだことがあり、デザイナーだったことは知っていたはずだけど、その当時の作品を観た記憶はない。
ウォーホルといえば、シルクスクリーンを使った例の作品群ばかりがクローズアップされるから余計だよね。
上の画像はウォーホルが女性ファッション誌用に描いたイラストである。
華奢なピンクのサンダルが横向きに描かれている。
他にも靴、バッグ、洋服など女性が喜びそうな素敵なイラストがたくさんあって
「ウォーホルって絵が上手!」
と今頃になって気付いてしまうのだ。
だってウォーホルの肉筆画を観たことないからね!

いくらアメリカのピッツバーグ生まれとは言っても元々スロベニア移民の子であるウォーホルだからなのか、色使いや構図がアメリカっぽくない感じがした。
鳥や蝶をモチーフにした作品が何点かあり、陶器や花瓶などに描かれていたら似合いそうな雰囲気。
そんな中、非常に目を引いたのが右の「2歳のアンディ」という作品である。
まるで子供がいたずらで描いてしまったような、ぞんざいな線がたまらない!(笑)
頭に乗ってる蝶、左右違う太さと長さの腕、無関心そうだけれど、ちょっと笑ってる顔!
本当にアンディ・ウォーホルが2歳の時はこんなだったのかな?

初期の作品でポスターがあったら欲しかったのが左の「feet」ね。
文字を描いている部分と貼り付けている部分が混在していて、とても魅力的だった。
別バージョンで手もあったんだけど、この2枚を並べて部屋に飾りたかったなあ!
ところが残念なことに、販売されていたのはやっぱりいかにもウォーホルらしいポップ・アート系の作品をモチーフにしたものばかり。
一目でウォーホルだ、と判るものじゃないと売れないんだろうね?

今回の展覧会で面白かったのは、ウォーホルがニューヨークで作品制作を行っていた「ファクトリー」を再現したスペースがあったことと、「タイムカプセル」と称されたウォーホルがコレクションしていた雑多な資料の展示。
「ファクトリー」に関しては、今までにも何度かブログで書いたことがあるけれど、SNAKEPIPEの憧れの場所なんだよね!
一度行ってみたかったなあ!
もちろん「ファクトリー」にたむろしているような人種は、何かしらアート関係に携わっているような、日本で言うところのカタカナ職業(死語)で成功している人たちだろうから、見学に行くような場所じゃないんだろうけどね。(笑)
芸術家達の交流の場だっただろうなと想像するだけでワクワクしちゃうんだよね!

「タイムカプセル」は、なんでも収集していつまでも捨てないでいる性格が見えて、ウォーホルらしさがよく解るよね。
お菓子の包み紙とか、どこかの店のコースターまであるんだもん。
生涯独身だったというウォーホルは、もしかしたら子供っぽさをいつまでも持ち続けていた人だったのかもしれないね?

「アンディ・ウォーホルTV」という番組があったのかな、あまりよく知らないまま用意された椅子に座り映像を鑑賞していた時、驚くことがあった。
何かのパーティのシーンで、会場までTVカメラを案内していたのがなんと「ツイン・ピークス」での赤い服を着た小人だったの!
その映像では「ゼルダの伝説」のリンクみたいな服装だったけどね。
赤い服の小人については先週のブログでも書いたばかりだよね!
友人Mと顔を見合わせ「あっ!」と叫んでしまった。(笑)
奇妙な偶然の一致に驚かされたよ。

複製をアートとして認めさせてしまった、というのがウォーホルのすごいところだろうね。
マルセル・デュシャンがレディ・メイドをアートにしたのは1917年とのことなので随分昔の話だけど、世の中で一体どれだけの人がデュシャンの「泉」を知っているのかなあ。
ウォーホルのことはかなりの人が知っているに違いない。
アートを大衆にも行き渡らせた功績は大きいよね。
一目でウォーホルの作品だと判ってしまう点も含めて、ね。

残念だったこと2点。
1点目はヴェルヴェット・アンダーグラウンドについてほとんど紹介されていなかったことかな。
出ていたのは映像作品で少しだけ。
鳥飼否宇先生から頂いた今年の年賀状にも「ルー・リードが亡くなってしまいました」と書かれていたけれど、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーだったルー・リード死去などについては一言もなかったからね。
音楽との関わりも楽しみにしていただけに物足りなかったな。

もう1点は、観客のこと。
情操教育のつもりなのか、鑑賞した日は子供連れの家族が多く、非常に不快な思いをさせられた。
子供が走り回る、奇声を発する、大声で泣く。
静かに鑑賞している他のお客さんに迷惑がかかるような場合には、森美術館側でも対処して欲しかったな。
美術館は遊園地とか公園じゃないから。
静かに鑑賞できない子供は入場させないルールを作ろう。
映画と同じようにR指定が必要じゃないかと思ってしまう。
扱いとしては図書館と同じではないかと感じるがどうだろう?

去年の「アメリカン・ポップ・アート展」とは印象を変えて、アンディ・ウォーホルというアーティストをよく知ることができた展覧会だと思う。
最初に書いた「確認作業」だけにならなくて良かったな。(笑)