ロックンロール世界紀行 Transit03

【独自の視点で世界を旅する、観光的要素はほとんどないけどね〜】

ROCKHURRAH WROTE:

3回目ともなるとさすがにくどい前置きなど要らないと思えるが、単に国名や地名のついた曲名(バンド名になる予定もあり)を挙げて、それにまつわるちょっとしたコメントをするだけというのがこの企画だ。

こういう趣旨のブログ記事が他にあるのかどうかさえ調べてないが、曲名の条件さえクリアすれば何でもいいというわけではなくて「70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブが話題のメインで」というかなり限定的な内容となっている。当然だが、曲名としてよく使われるメジャーな国や都市は何回も紹介するだろうし、逆立ちしても一曲も出てこない不人気国なんてのも数多く存在してるに違いない。
あと、一番上の世界地図にバンド写真を分布させるという手法を取っている関係上、あまり同じ地域に固まるのは避けているのも当たり前。マンチェスターとシェフィールドとリヴァプールがそれぞれ曲名に付いたのを偶然発見したとしても同じ日のブログに載る可能性はないということだね。

やっぱりくどくて言い訳がましい前置きだな。

Mexico / The Waltons

自分でそういうジャンルの服装にトータルで挑戦した事はなかったけどROCKHURRAHの今の風貌で最も似合うのはウェスタンな服装だと言われる。いや、みんなに言われてるわけじゃなくてSNAKEPIPE一人に言われてるだけなんだけどね。
確かに怪しいガンマンのような格好させたら「そのもの」になってしまう。何十年もこういう格好してるに違いない、と思うような爺さんとかたまに見かけたりするけど、たぶんROCKHURRAHも一式揃えたら即日で年季が入ってそうなウェスタン野郎になってしまうに違いない。だから敢えてそういう方向性を避けてるんだけどね。
正統派ではなくてマカロニ・ウェスタンと呼ばれるような映画も色々見てきたし、子供の頃はクリント・イーストウッドではなくてリー・ヴァン・クリーフ(主に悪役)に憧れていた。ああいうオッサンにだったらなってみたい気はするな。
そのマカロニ・ウェスタンに登場するメキシコ人は絵に描いたような卑劣漢で裏切らない筈がない、という印象を叩きこまれて育ったものだ。
でも陽気で死をも笑い飛ばしてしまえるようなタフな国、実は大好きだよ。ロバート・ロドリゲスは大好きだしトルティーヤは好物だし。あまり説得力ないか。
この国も間違いなく危険そうな印象はあるけど、個人的に一度は行ってみたい国の候補だね。

そんなメキシコの魅力を存分に伝えてくれるのがウォルトンズのこの曲、そのものずばり「Mexico」だ。カウパンクやラスティックの年季が入ったファンならばこのバンドの事ももちろん知ってるだろうけど、一般的にはほとんど知名度のないドイツのバンドだ。
本人たちは出てきた当初は自分たちの音楽性をウェスタン・ロカビリーというような言い方していたが、カウパンクとかラスティックという一言でどんな音楽かピンと来ない名称よりも非常にわかりやすくていいな。
ドイツという、どうあがいてもウェスタン気取りにはなれないような環境で1985年にデビューして以来、延々と同じ路線を貫いている筋金入りのカウパンク・トリオがこのウォルトンズだ。ベースはロカビリーのウッドベースではないんだが、キレのあるギターと軟弱そうなヴォーカルが魅力、曲も典型的カウパンクで作曲センスもROCKHURRAHの大好きなパターン。とにかく軽快で時には軽薄、典型的なんだけどインチキ感満載でペラペラなのかそれとも懐が深いのかよくわからない紙一重の世界。
しかし見た目がネルシャツのみでウェスタンを表現するという貧弱さ、ルックス的にはどうでもいいタイプ。この音楽でせめてアラームやイップ・イップ・コヨーテ(どちらもウェスタン系ファッションが似合ってた80年代のバンド)くらいに決めてくれれば良かったのに。人に勧めるのを躊躇してしまうタイプのバンドだよ。
曲はちょっと聴いただけで典型的メキシカンな雰囲気バツグン、哀愁のある名曲だな。今まで3回もこの「ロックンロール世界紀行」をやってきて、これだけ地名と音楽が一致したのもはじめてかも。

La Düsseldorf / La Düsseldorf

特にどこの都市が、と指定があるわけではないが、ROCKHURRAHにとってはドイツは行ってみたかった国の上位に必ず入るところだ。ニュー・ウェイブの時代にドイツ音楽に傾倒していた時期があって、DAF、デイ・クルップス、デア・プラン、フェールファーベンなどなど、愛聴していたものだ。これらのノイエ・ドイッチェ・ヴェレ(このブログでは何度も登場しておなじみの言葉。ドイツのニュー・ウェイブの事)のバンドの多くは首都ベルリンではなくデュッセルドルフ出身であり、だから短絡的によく知りもしないデュッセルドルフに憧れていただけの話。
ドイツの都市の中でも特に発達した大都会で音楽や芸術も盛んな場所という印象だけで、ここはどうしても行きたい、見ておきたいというような具体的な願望はないんだよね。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは元からそういう欲求が薄くて、旅に行ったらぜひここに行かないと、という目的がそもそも通常の観光とはかけ離れていたりもする。ただそこに居て風景が違うだけ。日常と同じ行動してるだけでも満足なんだよね。
まあそんな風に書くと高尚ぶったヤツなどと思われかねないが、欲まみれの旅行だけはしたくないな。
とにかく整然とした街並みや建造物に自然、もし行けたとしたらドイツのどこを見ても感動する事は間違いないだろうね。

そんなデュッセルドルフの魅力を余すところ無く伝えてくるのがラ・デュッセルドルフのこの曲、そのものズバリ「ラ・デュッセルドルフ」だ。さっきからひねりが全然ないぞ。
元々クラフトワークのメンバーだったミヒャエル・ローターとクラウス・ディンガーの二人が1970年代半ばに結成したのがノイ!というジャーマン・ロックの伝説的なバンド。その二人が決別した後にクラウス・ディンガーの方が弟のトマス・ディンガーなどと共に作ったのがこのデュッセルドルフなるバンドだ。
ノイ!はひたすら単調に反復するハンマービートというドラムのスタイルを創りあげて、後の時代のパンクや80年代以降のリズム・マシーン(を使ったテクノやエレクトロニクス・ポップといった音楽そのもの)に多大な影響を与えたバンドとして著名だが、そのハンマービートの創始者がクラウス・ディンガーという事になる。その人がやってるわけだからラ・デュッセルドルフの方もやはりはじめにハンマービートありき、というスタイルを踏襲している。
このバンド自体はパンクでもニュー・ウェイブでもなくジャーマン・ロックやプログレッシブ・ロックの範疇で語られる事が多いが、ほとんどニュー・ウェイブっぽいような曲もあり、ちょうど境界線上にある音楽だと言える。
この曲は1976年の1stアルバムに収録のものだが、反復するハンマービートに投げやりなヴォーカル、途中でちょっと巻き舌。まさにパンクやニュー・ウェイブの登場を予見するような名曲だ。
ちなみにこの1stアルバムは1曲目が「Düsseldorf」2曲目が「La Düsseldorf」という掟破りな曲目となっていて、13分以上ある最初の曲も静と動のメリハリがあって素晴らしい。彼らのアルバムが割とどうでもいいような、アートなのか何なのかよくわからないジャケットなので素通りされがちだが、音楽は本当にいいので聴かず嫌いだった人はぜひ体験してみて欲しい。

Hiroshima Mon Amour / Ultravox!

海外のバンドが日本を曲名にする時、東京以外の場合はかなり少ないがその珍しい例がこれ。とは言ってもこれはマルグリット・デュラスが脚本を手がけたアラン・レネ監督の映画「二十四時間の情事」なる作品の原題らしいので外国人が知ってても全然おかしくはないタイトル。
スキッズのリチャード・ジョブソンもデュラス大好きで詩の朗読をしたソロ・アルバムを二枚も出してるね。
海外における広島のイメージはたぶん=原爆でしかないんだろうな。決して「仁義なき戦い」とか「もみじまんじゅう」とかは連想しないわけだ。
ROCKHURRAHはなぜか大昔に受験でこの地を訪れたのが唯一の広島体験だ。全然旅行気分じゃないシチュエーションだったから普通の観光も皆無だったにも関わらず、どういうわけだか真っ赤なサテンのジャンパー(スカジャンとかではなく本当のサテン・ジャンパー)を買ったのだけは覚えている。受験だからおそらく真冬、その時に何でサテンのジャンパーを買うか?しかも大学が僻地だったから電車やバスではなく、リッチにタクシーで向かい、その車中でなぜか運転手とヒバゴンの話題をしたのを思い出す。広島の比婆山で目撃されたという未確認生物ね。
何だか若い頃のROCKHURRAHは理解に苦しむところの多い人物だな。

そんな広島の魅力を充分にうまく伝えてくれるのがウルトラヴォックスのこの曲「ヒロシマ・モナムール」だ。
1980年代初期、男が化粧してモード系に着飾ったニュー・ロマンティックなる音楽が大流行した。その頃に注目されたバンドのひとつがウルトラヴォックスなんだが、実はロンドン・パンク発生よりさらに前から活動していたベテラン・バンドだった。
初期の3枚のアルバムはジョン・フォックスがヴォーカル、その後は元スリック、PVC2、リッチ・キッズのミッジ・ユーロがヴォーカルとなっていて「ニュー・ロマンティックがなんとかかんとか」などと評されるウルトラヴォックスはミッジ・ユーロ在籍時のもの。
彼が入る前が個人的に最も好きな時代だな。
「Young Savage」や「RockWrok」などの曲は早口でアグレッシブな歌と演奏でパンクの理想型そのもの、今でも色褪せない素晴らしい名曲だ。シンセサイザーなどの電子楽器をいち早く取り入れた曲作りでテクノやエレポップの元祖的存在と言われる先進的なバンドだったが、それは後の時代の評価。やってた当時はパンクっぽい曲しか評価されなかったらしい。あと2年ほど遅ければドンピシャだったのにね。

ジョン・フォックス在籍時のウルトラヴォックスはバンド名の最後に!がついていて、上に書いたデュッセルドルフの前身バンド、ノイ!の影響が感じられると色々なところで書かれていているがROCKHURRAHはそんなに感じなかった。もしかして鈍感?
シンセサイザーもプログレ風というよりは同じ未来派バンドであるビー・バップ・デラックスあたりとも通じると個人的には思ったよ。

1stアルバムはネオン管の下でメンバー全員がマネキン人形のようにつっ立っているSFっぽいもの。2ndはアンディ・ウォーホルのポップアート風(+イーノの「Taking Tiger Mountain」ぽくもある)。
このようにアルバムアートのデザインもなかなか凝っていたがPV見てわかる通りジョン・フォックスはエラが張った怖い目つき、ややおばちゃん顔の男だし、他のメンバーも見た目がちょっと気色悪かったり、スタイリッシュなアートワークとのギャップが残念なバンドだったな。

脱退後ソロになったジョン・フォックスはこの鋭い目つきでホンダ・タクトというスクーターのCMに出演したりもしたが、ROCKHURRAHはホンダではなくヤマハを愛車としてたので彼とは縁が薄い。
やっぱりソロよりもウルトラヴォックス時代の方が数段いいなあ。

世界紀行などと言っておきながら相変わらずまるっきり旅情をかき立てないこの文章。パンクやニュー・ウェイブの曲の題材がそもそも「こんな感動的な景色の国に行って来ました。ショッピングもグルメも満喫」というような趣旨とは違う場合が多いから仕方ないよね。そんな内容の歌だったらたぶん聴いてないだろうし。
TVと違って誰も読んでくれなくても書き続けるし不人気だから打ち切りにもならないけど、ここまで読んでくれた方には「ありがとう」と言いたい。
まだネタとしては色々あるから次回もよろしくね。

「ホドロフスキーのDUNE」鑑賞

【映画「DUNE」の分厚いストーリーボード集】

SNAKEPIPE WROTE:

ドキュメンタリー映画というジャンルについてはあまり詳しくない。
例えば70年代オリジナル・パンクについて、数十年経った後で、その時代活躍した人が「あの時は…」という感じで語るような記録としての映像は何度か鑑賞したことがある程度である。
大抵の場合は、名前も顔も知らない人ばかり出演して語っているばかりになってしまい、途中で眠くなるのがオチである。
SNAKEPIPEやROCKHURRAHが選んで観ているのが、たまたまそういうタイプの映画だっただけで、世界にはもっと感動的だったり手に汗握るようなドキュメンタリーは存在しているんだろうね。(笑)

敬愛する映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーについては、今までに何度も当ブログに登場しているし、2014年4月22日に来日した監督の講演を聞くことができて感激した話も書いているよね。
この監督の来日は、7月12日公開予定の自伝的作品「リアリティのダンス」と、未完に終わった映画「DUNE」についてのドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」の宣伝のためだったんだよね。
「リアリティのダンス」はその講演会の時に鑑賞したけれど、「ホドロフスキーのDUNE」は6月14日から公開のため、その日をじっと待っていたSNAKEPIPE。
ついに6月に入り、お待ちかねの映画公開の日になったのである!

ホドロフスキー監督についての説明があった場合、必ず紹介されるのが「未完に終わったDUNE」について。
そうそうたるメンバーが集結し、実現していたらどんなに壮大なSF映画になったことだったろうと結ばれていることが多い。
確かにもしその映画が完成していたら、と想像すると興奮するんだよね!
サルバドール・ダリとミック・ジャガーが俳優として、ピンク・フロイドが音楽を、ギーガーが美術を担当する、なんて聞いただけでワクワクしちゃうよ。(笑)


SNAKEPIPEと同じように話だけでも興奮した人が、今回の「ホドロフスキーのDUNE」の監督、クロアチア系アメリカ人、フランク・パヴィッチである。
お蔵入りとなった「DUNE」のことを知り驚き、ドキュメンタリーを作らなきゃと思ったそうだ。(笑)
早速ホドロフスキーのエージェントにメールをすると、ホドロフスキー本人から
「パリにおいで。話をしよう」
と返信があったというからホドロフスキーも乗り気だったんだね。
ホドロフスキーと話をしたことがある人は皆「ホドロフスキーは、とてもオープンに話してくれた」と語る。
先日の講演会で、ホドロフスキーご本人を目の前にすることができたSNAKEPIPEには、それはよく解るなあ。
ホドロフスキーは相手に対峙する時、1対1で真剣に向き合っていると思うから。
もちろん話をするのに値する人物だった場合、だけどね!(笑)

「ホドロフスキーのDUNE」は都内でも、ほんの数カ所しか上映されていない。
新宿か渋谷か有楽町。
今回は初めてヒューマントラストシネマ有楽町に行ってみることにした。
有楽町駅から徒歩1分の好立地!
方向音痴のSNAKEPIPEでも迷わない、安全な場所だね。(笑)
映画上映開始から1週間が過ぎた梅雨の晴れ間を利用して、ROCKHURRAHと共に出かけたのである。

座席を予約した段階で埋まっていたのは、ほんの5、6席程度。
実際行ってみると、もう少し入って30名〜40名くらいだろうか。
およそ3/4は空席でガラガラ状態。
空いている映画館は好きだけど、このままではいつ打ち切りになってもおかしくない状況だよね。
鑑賞できて良かった〜!(笑)

予約当日の朝、何気なくヒューマントラストシネマのHPを見ていると、ラジオ番組で「ホドロフスキーのDUNE」が紹介されることになった記念に、その日の初回鑑賞をするお客さんに非売品プレスをプレゼントしてくれるという。

当日、対象回のチケットをお求めの際に劇場窓口にて
「タマフルの予習にきた」と伝えて頂ければ、
その場でプレスをプレゼント致します。

非売品のプレスが何なのか「タマフル」の意味も分からないけど、とりあえず対象回に当っているので言ってみた。
「タマフルの予約に来ました」
「予習の間違いだよ」
ROCKHURRAHに指摘されるまで気付いてなかったけど、言い間違えてたみたいね。
窓口の女性がプッと吹いていたのは、間違いを笑っていたのか!
一応キーワードらしい言葉は言ったと理解してもらえたらしく、すぐに小冊子を袋に入れて渡してくれた。
それが写真左の白いほう。
そのまま中身を確認せずバッグにしまい、鑑賞後に購入したのが右のパンフレット。
「表紙が違うだけで中身が同じ!」
気付いたのは帰宅後よ!
非売品プレス2冊にパンフレット1冊、合計3冊同じ物を所持するとは!
1冊は長年来の友人Mにプレゼントしよう。(笑)

映画はほとんどホドロフスキー監督自身が語り、その合間に当時の関係者が補足説明をする、というスタイルだった。
途中でホドロフスキー監督の愛猫が登場して、猫を抱きながら喋ってたよ。
猫好きで、いつも猫と一緒というのは以前どこかで読んだことがあるけど、それを知った時には親近感がわいたものだ。
SNAKEPIPEもROCKHURRAHも猫が大好きだからね!(笑)

バンド・デシネ作家のメビウス、画家のサルバドール・ダリ、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとの出会いは、偶然にしては出来過ぎていて、フィクションみたいな逸話だった。
ホドロフスキーは精神修行や精神の拡張について真面目に取り組んでいるから、きっと偶然を呼びこむ力があるんだろう、ホドロフスキーには必然的なできごとだったんだろうなと思ってしまう。
ダリとの会話が面白かった。
ホドロフスキーをテストするかのようにクエスチョンを投げかけるダリ。
「私は砂浜でいつも時計を拾うんだけど、君はどう?」
「私は時計を拾いませんが、いつも時計を失くしています」
ほおっーーっ。
なんでしょうか、このシュールな会話はっ!
このテストでホドロフスキーは合格点をもらったようで、ダリが出演を承諾したとのこと。
ポール・エリュアールから奪ったガラ・エリュアールはのちにダリの奥方になる女性だけど、そのガラ夫人公認の愛人がいたというから驚きね。

右の写真の女性がそのダリの愛人だったアマンダ・レアね。
ブライアン・ジョーンズ、デヴィッド・ボウイ、ブライアン・フェリーなど数々のロック・スターと恋仲になったファム・ファタール的女性なんだって!
ダリとも愛人関係にあり、「DUNE」ではイルーラン姫としてキャスティングされていたらしい。
最もこれはダリが出演の条件として、アマンダを姫にするように申し入れたみたいだけどね。(笑)
アマンダも映画の中でインタビューに応えてるんだけど、その顔を見た時に
「似てる!」と思ってしまったのが Dead or Aliveのピート・バーンズ!(写真左)
活躍していた80年代とは違った顔になってるんだよね。
現在は同性婚もしているようで、かつての眼帯姿とは全然違うんだけど、昔の整形前のほうが綺麗だったように感じるのはSNAKEPIPEだけかしら?
そしてその整形後の顔がアマンダ・レアに似てるというのは、失礼にあたるのかしら?
えっ、どっちに対して?(笑)

最高のキャスト、スタッフを集めたホドロフスキーは、映画の製作のために「こんな感じの映画ですよ」というストーリーボードを製作する。
それが冒頭画像の分厚い本なんだけど、中にはメビウスが描いたスケッチやギーガーによるセットのイメージ画などが収められている。
スケッチもイメージ画像も本当に素晴らしくて、すぐに撮影開始できる状態だったことが良く解るんだよね。
映画は12時間の大作になる予定だったという。
企画は素晴らしいし、キャストやスタッフも良いんだけど、監督がホドロフスキーなのが問題だと映画会社が口を揃えたという事実を知る。
一部の人からは絶大な支持を集めたホドロフスキーだけど、やっぱり大衆には受け入れられなかったみたいだね。
当然といえばそうなんだけど、「DUNE」を完成させるには、その点がネックになったみたい。
未完に終わってしまった原因の一番は、監督がホドロフスキーだったことだったなんて、かなりショックだな…。
いやいやSNAKEPIPEよりもホドロフスキー自身が一番ショックだったろうね。

その後これまた敬愛する映画監督デヴィッド・リンチが「DUNE」を監督する。
ホドロフスキーは息子から「観なきゃダメだ」と言われ、重たい体をひきずりながら映画館に向かい、悔し涙を流しながら映画を鑑賞。
ところが観ていくうちに
「これは駄作だ!全然ダメだ!」
と感じて元気になったと言う。
デヴィッド・リンチは良い監督だから、失敗はリンチのせいではなくて製作者側の問題だろう、とも語っていたので、ホッとしてしまった。(笑)
リンチもあまり思い出したくない経験の1つだろうからね。

ホドロフスキーは300歳まで生きたいと語っていた。
まだまだやりたいことがやりきれていないんだろう。
そりゃそうだよ!
「リアリティのダンス」はまだ少年時代しか撮ってないし。
青年時代がもっと面白くなるんだもん。
是非またプロデューサーのミシェル・セドゥーと組んで「リアリティのダンス〜青年編」を作ってもらいたいからね!

「ホドロフスキーのDUNE」ではエネルギッシュなホドロフスキーを観られて良かった。
ドキュメンタリー映画、面白いな!(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #27 Beth Robinson

【不気味でかわいい!Hanging Day of the Deadちゃんは$100だよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

前回のSNAKEPIPE MUSEUMでも取り上げたのが、人形作家による人形だったよね。
あの時に検索していて、他にも気になった人形作家がたくさんいたことについては記事にも書いていたっけ。

天真爛漫で愛くるしい人形よりも
病んだ印象を持つ人形に惹かれてしまう

これは好みの問題なので、人形は愛くるしくてカワイイのが一番!と考える人には理解してもらえないかもしれない。
それでもSNAKEPIPEと似た嗜好を持つ人が世界には存在してるみたいなんだよね!
今日ご紹介するアーティストも独自の世界観を人形で表現している作家なのよ。

Beth Robinsonについての情報はそれほど多くない。
HPに載っているポートレートでは、パープルの髪に革のライダースジャケットを着ていて、かなりパンクっぽい印象の美人さん!
墓場で自作の人形達と一緒にニッコリ笑っているのは、さすがにホラー好きだよね!
Bethはアメリカ合衆国バーモント州のバーリントンにアトリエを構えていて、月に一度は見学ができるらしい。
ドイツ、ロシア、ノルウエーなどのギャラリーで個展を開いていると書いてあった。
人形作りは独学で始め、ポリマー粘土の使用が独特の世界を表現することに成功した素材だったとのこと。

ポリマー・クレイ(粘土)はドイツ発祥の、アメリカやヨーロッパでは人気の素材で樹脂で作られたクラフト用粘土らしい。
常温では硬化せず、オーブンで130℃、30分加熱することで完全硬化し、加熱後はプラスチック素材になるため軽くて強くて耐水性のある作品を作ることができると説明されている。
色や種類も豊富で、人形だけじゃなくて色々な物が作れる粘土なんだね。
調べてたら俄然興味が湧いてきたよ!(笑)
実は昔から図画工作では図画が得意で工作が苦手だったSNAKEPIPEだけど、制作してみたい欲求はいつでも持ってるからね!
ROCKHURRAHを誘って遊んでみようかな。(笑)

それではBethの作品を紹介していこうか。
「It Came From The Trees」と名付けられている人形は、S.Vogelsangという写真家とのコラボレーションにより写真作品として個展で展示されていたようだ。
人形のアップじゃないから判り辛いけれど、実は右目がえぐられてるんだよね。
ひー!こんな人形、見たことないよ!
スキンヘッドで、ピエロみたいな服装なのに、ゾンビを思わせるよね。
Beth Robinsonはまるでホラー映画に出てくるようなキャラクターをモチーフに人形を作っているから、不気味な人形ばかりなのも納得!
だからこそ上の写真のような舞台設定に映えるんだよね。
「It Came From The Trees」は$200、日本円で約20,000円だね。
自分で舞台を作って、人形を配置するのも面白いかもしれないね?

「Hanging Dolls – The Accident」はその名の通り、吊り下げタイプの人形で、頭の後に金具が付いているとのこと。
手足が棒みたいに、かなりぞんざいに作られているのに対して、頭部は力が入っていてインパクトあるよね。

どこを見てるんだろう?
どうして鼻血を流しているんだろう?
何故無表情なんだろう、といくつもの「?」が頭をよぎってしまうけれど、ホラー映画の登場人物だと思えば不思議ではないよね。

同じ服装の同じ顔、ということで思い出すのはダイアン・アーバスの代表作である双子のポートレートかな。
スタンリー・キューブリック監督もインスパイアされて、「シャイニング」に使用されたイメージとしても有名だよね。
この雰囲気に「Hanging Dolls – The Accident」は近いように感じる。

2体で、なのか1体だけなのかお値段が判別できなかったんだけど、$75というから日本円で約7,600円。
身長約30cmほどの彼女達が部屋にいたら、印象がガラリと変わること間違いなしだよね。
たくさん並べてホラー・ルームにするのも楽しそう。(?)

最後はこちらの作品。
おおっ!これはまさにスプラッター・ホラー!
昔観た「デリカテッセン」とか「八仙飯店之人肉饅頭」、そしてもちろん「悪魔のいけにえ」、小説では江戸川乱歩の作品などを頭に浮かべてしまう。
この作品のタイトルはそのまんま「The Butcher」(肉屋」だからね。
落とされている首が笑顔なのに対して、肉屋の主人の形相ったら!
その対比が余計に怖さ倍増だよね。

いつの時代にもホラー映画というのは製作されている。
それは需要があるということで、きっと大好きな人がいる証なんだろうね?
SNAKEPIPEは全く観なかったけれど、ROCKHURRAHが大のホラー映画好きだったため、勧められて観るようになった。
鑑賞していくうちに怖いだろう、気持ち悪いはずだという固定観念に縛られ食わず嫌いだったことが解り、それからはジャンルに関係なく様々な映画を観るようになった。

ある凶悪犯人が好んでいたのがホラー映画だった、という報道が流れ「教育に悪影響を及ぼす」理由からR指定が強化されているので、あまり大きな声では言えないけれど、映画を観た人誰もが凶悪犯になるわけじゃないのにな、とも言いたい。
ま、どちらにしてもどんなレベルのR指定にも引っかからない年齢だから関係ないけど!(笑)

「The Butcher」のお値段は$200、日本円で約20,000円だね。
この背景込ではないと思うので、この世界観に仕上げたい時には自作するしかないね!

今回のホラーな人形達を作っているBeth Robinsonのアトリエはどんな様子なんだろうね?
月一回のアトリエ訪問、いつか行ってみたいな。
仲良くなれたらBethの自宅に招待して欲しい。
ゴシックでホラーな、Bethの世界を観てみたいな!(笑)

ビザール・バッグ選手権!15回戦

【バッグがトレードマークの有名人と言えばこの人!アンガス・ヤング!】

SNAKEPIPE WROTE:

重要なファッションアイテムの1つにバッグがある。
外出の際には必ず持っているし、ある程度の大きさがあるのでぞんざいな扱いはできないキーアイテムだと思う。
その日のコーディネートに合わせてバッグを変える人はどのくらいいるだろう。
通勤用と休日用くらいの2つは持っている、という程度だろうか。
有名高級ブランドのバッグを買って、それをどんな時でも持ち歩くという女性も多く見かけるよね。
高級品なのは解るけど、いつでも同じっていうのはいかがなものか?

SNAKEPIPEは、高級とか有名とかブランドなどにはほとんど興味がなくて、できるだけオリジナリティあふれるカッコ良いバッグが好み!
そのため自作することも多かったアイテムである。
ところが先日、あるブランドのバッグに一目惚れをしてしまった!
あ、ブランドとはいってもシャネルだグッチだヴィトンだ、というブランドではないからね。
男性が持ってもおかしくないような、ミリタリー・パンク系でまさにSNAKEPIPEのハートに直撃だったんだよね!(古い表現)
今まで一度もブランド品のバッグを持ったことがないSNAKEPIPEの耳元で、長年来の友人Mが囁くのである。
「良品だから10年は使えるよ!一年に換算したら安いもんだよ!」
確かに。良い品だから大事にするだろうし、一目惚れするくらい好きなバッグに出会えるチャンスはなかなかないよね。
高級ブランド品の購入に慣れている友人からみれば大した買い物じゃないだろうけど、10万を超えるバッグを買うのが初めてのSNAKEPIPEにとっては清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気が必要だった。(笑)
まだ使ってないんだけど、お出かけが楽しみになりそうだ。

ということで、今回のビザール・グッズ選手権はバッグ!
実際に使うという目的で作られたというよりは、アクセサリーの延長のようなデザイン重視のアイテムを集めてみたよ!

 
初めに紹介するのはアメリカのデザイナー、James Piattの作品。
HPにはまるで映画のスチール写真のような、凝った素敵な写真が載っているよ!
水着のソルジャーが下げているのは、ガンをモチーフにしたバッグ。
Pursuaderという名前のこのバッグは、黒い革にレーザー処理を施し、全く縫い目のないタイプだという。
携帯用ポケットが一箇所、本体にも物が入る作りになっている。
横幅20インチ、高さが8インチというから約50cm☓20cmだね。
気になるお値段は$379,日本円にして約38,800円くらい。
本格ミリタリーを目指すなら、これくらいのバッグを持ってないとダメかも?
いつかは手に入れたいアイテムだね!(笑)

同じデザイナーの他の作品をもう1点。
アメリカのセレブとして有名なパリス・ヒルトンが飼っていたチワワをモチーフにした作品らしい。
Wikipediaによれば、どうやらパリス・ヒルトンは飼っていたチワワが大きくなり過ぎて可愛くない、という理由でその犬の飼育を放棄し別の犬を購入したせいで、「最悪の飼い主」に選ばれた経験があるらしい。
きっとJames Piattには何かしら思うところがあって、モチーフとして採用したんだろうね?
このバッグのお値段は$419、日本円で約43,000円ね。
お腹の部分が開くので、多少の物は入れられると思うけど、これもアクセサリー感覚で面白いバッグだよね。
持っていたらアンチ・パリス・ヒルトンってことになるのな?(笑)

では動物つながりでこちらはいかが?
アメリカのアーティストでデザイナー、Reid Peppardはデザインと剥製を融合させた作品を発表している。
上の作品はカラスのクラッチバッグね。
他にもキツネのバッグやネズミの小銭いれなど、彼女のサイトにはたくさんの作品が紹介されている。
グロテスクだとか不道徳などと感じる人も多いだろうなあ。
ただしサイトには注意書きがされていて「自然に、もしくは防げない原因で死んだ動物だけを剥製にしています」とのこと。
実際に使用することができるのかどうかは不明だけど、カラスを小脇に抱えて歩いていたら、びっくりすること間違いなしだよね!(笑)
次は使用できるタイプのバッグにしてみようか。
ポルトガルのデザイナー、João Sabinoのキー・バッグだ!(笑)
キーとは言っても鍵のことじゃなくて、キーボードのキーね。
写真だと判り辛いかもしれないけど、パソコンのキーボードを使用しているシンプルなバッグなんだよね。
持ち手の部分に指が挟まらないのかだけが心配だけど、カラーも白、黒、ピンク、赤、シルバーがあって楽しい!
お値段も130ユーロ、日本円にして約18,000円とお手頃なのも良いね。
手に持つタイプのバッグはどちらかというと苦手なSNAKEPIPEだけど、このバッグは欲しいと思ってしまった。(笑)

今回初めてビザールなバッグを特集してみたけど、検索してるだけでワクワクしていたSNAKEPIPE。
本当に欲しくなった最初のガン・バッグと最後のキー・バッグなどは買おうと思ったらネットで買えちゃうところも魅力だよね。
前向きに検討してみよう。(笑)