Monthly Archives: 7月 2016

【ポプラ社の乱歩シリーズ風にROCKHURRAHが作成】

SNAKEPIPE WROTE:

大ファンである鳥飼否宇先生の新作が刊行された。
鳥飼先生の名義としては2015年3月の「生け贄」以来ということになるんだね。
そして本格ミステリ大賞受賞後初の作品、お待ちしておりました!(笑)

タイトルは「ブッポウソウは忘れない」。
出版社であるポプラ社に情報が載っていたので転用させて頂こう。

目撃者はインコ?

大学の鳥の研究室を舞台に巻き起こる不思議な事件の数々。 そこに隠された「とリック」の秘密とは!?

第16回「本格ミステリ大賞」受賞作家が挑む 草食系ミステリ!

鳥の研究室・宝満研に所属する大学4年の野鳥翼。
平凡な大学生の彼の周りでは、ちょっと不思議な事件が巻き起こる。
鳥たちもまきこんで、へっぽこな推理を繰り広げる翼。
そんな中、彼の片思い中の先輩・室見春香が突然姿を消して――。

ありゃ?
主人公の名前、間違ってない?
野鳥じゃなくて宗像だよね。
ポプラ社に連絡しないと。(笑)
と思ったら、帯にも同じ文言が書いてあるよ?
あれー?

購入後すぐに読み始めるSNAKEPIPE。
今までの鳥飼先生の作風とは一味違うね。
主人公が大学生だからかな?

では感想をまとめていこう!
「ブッポウソウは忘れない」は連作短編なので、それぞれの短編について書いていこうと思う。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

第一話 慈悲心鳥の悲哀
大学の理学部生物学科に所属する宗像翼は動物生態学を研究している。
日本における鳥類学の第一人者である宝満教授が指導しているので、宝満研と呼ばれているらしい。
画像左のサンコウチョウという鳥を観察しているところから物語が始まる。
宝満研にいる学生達は、それぞれ研究テーマを持っていて、観察を続けデータをまとめているようだ。

同じ学年で宝満研にいるのが曽根みやこという美貌のお嬢様。
曽根の研究対象はオオルリという鳥。
せっかく観察しようとしたのに、ジュウイチという鳥に邪魔されてしまったと憤慨する。

ジュウイチには托卵という習性があるという。
托卵とは卵の世話を他の個体に托すること、つまり卵を他の巣に産み、温めてもらい子育てまでお願いしちゃうことを指すらしい。
自分の子(ヒナ)じゃないことに気付かない親鳥(仮親)にも驚くけれど、他人(他鳥)任せで育児(育鳥)放棄するのが当たり前になっている種類がいることにもびっくりしちゃうよね。
そのジュウイチの別名がタイトルの慈悲心鳥だという。(画像右)
鳴き声からその名前が付いたというけれど、 托卵の習性と慈悲という単語が結びつかないなあ。
ジュウイチのヒナの知恵もまた、慈悲とは正反対だしね?
第一話はジュウイチのヒナにまつわるミステリーだった。
話の食い違い、先入観、思い込みといった、誰にでも色んなシチュエーションで起こり得る話だと思う。
よく読まないと「こんがらかりそう」になるので注意が必要!(笑)

第二話 三光鳥の恋愛

第一話から登場していた古賀先輩のことを書いていなかったね。
古賀富吉は宝満研の修士課程2年で、甘い物とミステリーが好きな先輩だという。
丸々した体型と性格の先輩だというから、相談事をするのはもってこいの人物だよね。
古賀先輩はほとんど全ての話に絡んでくる。
さすがにミステリー好きだからね。(笑)
古賀先輩、なかなか良い味出してるんだよね!
登場するとホッとするタイプの好人物だね!

上に載せたサンコウチョウの尾の長さの違いについて観察と考察を続けている宗像翼。
この尾の長さとモテ度合いには関連性があるのかどうか?
先日たまたまライオンの立髪が男らしさのアピールなのかどうかを考察するテレビを観た。
ライオンの生息する地域とライオンの種類によって違う、というのが結論だった。
動物界にはそれぞれのルールがあるだろうからね。

サンコウチョウの恋の季節に対応したかのように、ある人物が書いたと思われるラブレターを発見してしまう宗像翼。
一体誰が誰に宛ててラブレターを書いたのか、というミステリー。
第二話が、もしかしたら1番今までの鳥飼先生っぽい雰囲気なのかもしれないね?

第三話 耳木菟の救済

本来であれば宝満研の先輩である修士課程2年の門司が世話をしているはずのオオコノハズク(画像左)。
ところが面倒を見ているのは宗像翼。
門司が入院しているからだという。
第三話はどうして門司が入院することになったのかというミステリーだ。

ミステリーもさることながら、この門司という人物がほとんど喋らないという設定が面白い。
ものすごく頭が良いとされる門司だけれど、大抵の会話を「あ行」で済ませるという。
「ああ」とか「うう」という程度なんだよね。
こういう人って実際にいそうだから、門司さんが返答する度に何度も笑いそうになってしまった。(笑)
そして中に登場する装置にも興味が湧いた。
ちょっと試してみたいよね!

ROCKHURRAHが気付いた誤字だと思われる箇所をメモ書き。
208ページ、14行目。(あえて伏せ字にして記述)

まさか古賀さんと◯◯さんが付き合っていたとは。

これ違うよね?(笑)

第四話 鸚哥の告発

宝満研の助教である九千部響が意識をなくして、机に突っ伏しているところを古賀先輩と宗像翼が発見する。
意識を失ったのは、誰かに首を絞められたせいだという。
その場にいた唯一の目撃者は、研究対象だったインコ!
文中に出てきたヨウムという種類は、アフリカ原産のインコなんだよね。(画像右)
このインコは頭の回転がよく、状況に応じた言葉を喋るという。
そのインコが発した言葉から、犯人を割り出そうとするミステリーである。

宗像翼と同学年の曽根みやこも美貌の女性、宗像翼憧れの室見春香もマドンナ、九千部響はメガネを外すと驚く程美しい目を持った女性、九千部響と同学の元ミス・キャンバス、芦屋日登美は今でも男子学生の憧れの的といった具合に、作中に登場する女性は皆揃って美女ばかり!
キレイな人が多いと、頑張れそうだよね!
きっと古賀先輩はあまり気にせず、何か食べながら読書してそうだけど。(笑)

この話も鳥飼先生らしい展開で、読みながら笑ってしまったSNAKEPIPE。
電車の中では、危ない人に間違われそうだから気を付けないと。(笑)

第五話 仏法僧の帰還

左の画像が本のタイトルになっている「ブッボウソウ」なんだよね。
なんて可愛らしいんでしょう!(笑)
そして賢そうな顔立ち。
カメラに向かってポーズを決めているように見えるほどじゃない?
この写真を見て、一目惚れしてしまったSNAKEPIPEだよ。(笑)
このブッポウソウが一年経って同じ巣に戻ってきたことから、「ある謎」が解決するのが最終話だった。
読み進めていく間、なんだかモヤモヤしていた霧がサッと晴れてスッキリすることができた!
良かった!(笑)

SNAKEPIPEには分からなかったけれど、鳥飼先生と同郷のROCKHURRAHは、読み始めてすぐに気付いたことがあるという。
人名が福岡県の地名になっているというのだ。

* 宗像市
* 小倉南区曽根
* 宝満山
* 室見川
* 那珂川
* 古賀市
* 遠賀郡岡垣町
* 田川郡添田町
* 北九州市門司区
* 福智山
* 糸島市
* 大野城市
* 九千部山
* 朝倉市
* 嘉穂郡
* 春日市
* 糟屋郡須恵町
* 北九州市若松区
* 飯塚市
* 大川市
* 遠賀郡芦屋町
* 周防灘
* 北九州市小倉北区富野

さすがによく知ってるね!(笑)
なるほど、見比べてみると納得できるね。
どこにどの地名があるのかを確認するのも楽しそう!
大野城市が大野譲先輩の名前になっているところが、鳥飼先生らしいよね、とROCKHURRAHが笑っている。
ニック・メイソンの久米一村みたいだもんね。(笑)
大野城市には小学校時代まで住んでいたというROCKHURRAH。
他にも縁のある地名があったようで、懐かしそうに思い出話を語ってくれたよ!

鳥飼先生の「ブッポウソウは忘れない」に関連するような映画をROCKHURRAHが用意してくれた。

映画の殿 第19号」でも特集した我らがジャック・ブラック主演の「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」(原題: The Big Year 2011年)である。

1年間に北米大陸で見つけた野鳥の種類の数を競う、アメリカ探鳥協会主催の記録会は「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれる。
それは私たちが想像する「バード・ウォッチング」とは大きく異り、出場者はみな仕事や家庭生活に支障をきたすほどの時間と大金を注ぎ込み、1年間に40万キロ以上を移動して鳥探しにあけくれる。
大人になりきれない「ビッグ・ボーイズ」たちが、北米の雄大で美しい自然の中を、幸せを追い求めて奔走する様を爽やかに描いた「バード」フル・コメディ

「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれる大会は実在していて、そのルポルタージュを元に映画化されているという。
鳥好きの人にとってはたまらない世界だろうね!

そろそろ40歳も目前という年齢にも関わらず、両親と同居。
どうやらバツイチらしいけれど、未だに夢を見ている、ジャック・ブラック演じるブラッド・ハリス。
その夢とはズバリ、「ザ・ビッグイヤー」で記録を更新すること。
探鳥の間は仕事ができないので、借金をしながら移動し、寝泊まりできる施設を渡り歩くことになる。
母親の援助で可能になった「ザ・ビッグイヤー」の参加。
正直なところ、親が甘いなと思ってしまう。
最近はどこの国でもこんな感じなのかな?

観ている途中で、SNAKEPIPEのスマートフォンが鳴った。
電話に出ようとスマートフォンを手にするけれど、着信していない!
なんとそれは、劇中のジャック・ブラックの着信だったんだよね。
偶然にも着信音が同じだったとは。(笑)

鳥好きだから「バード」と付く曲にしたかったんだろうね。(笑)

「ザ・ビッグイヤー」の記録保持者であるケニー・ボスティックを演じたのがオーウェン・ウィルソン
記録のためなら手段を選ばない悪辣ぶりは、嫌う人も多いはず。
それでもやっぱりこの人も、鳥が好きという気持ちが強いんだよね。
奥さんよりもずっと好きだというからすごいよね。(笑)
探鳥界ではトップの座に君臨しているので、様々な雑誌の表紙になっているところが、まるで「ズーランダー」のモデルの時みたいで面白かった。
「ズーランダー2」、そろそろ出るから楽しみだ!(笑)

もう一人、ずっと「ザ・ビッグイヤー」を夢見ていたのが実業家のステュ・プライスラー。
演じたのがスティーブ・マーティン
「サタデー・ナイト・ライヴ」に出演したり、脚本を手掛けていた俳優・コメディアンだから、ベン・スティラーやウィル・フェレルの大先輩になるんだね。
この3人が同じ年に「ザ・ビッグイヤー」の記録更新を狙って奮闘する物語なのである。

「ザ・ビッグイヤー」に参戦していることは内緒にして、自分が何種類の鳥を見ているか言わない。
探鳥の世界といっても、かなり激しいバトルが繰り広げられるんだね。
そして気象条件にも詳しくないと、いつどこでどんな鳥に出会えるかを予測できない。
偶然出会うだけでは記録を更新するほどの種類を確認することができないことが分かる。
時間とお金だけではなく、様々な知識、体力、気力など本当に探鳥って大変なのね!(笑)

上の画像で3人が並んで見ているのはハクトウワシ。
ハクトウワシのペアが手をつないで急降下していくシーンには驚いた!
とてもロマンチックな行動だよね。

鳥を求めて実際に撮影を行ったと思われるので、スタッフはかなり苦労したんじゃないかな?
製作費に対して興行収入が少な過ぎる数字みたい。
それでも「ザ・ビッグイヤー」と同じように、お金では買えない素晴らしい経験ができたのではないかと想像する。
鳥を探す旅、なんて実際にはなかなかできないからね。
きっと鳥が好きで、いろんな種類に詳しい人だったら、もっと楽しめるんだろうね?
映画を観ているうちにSNAKEPIPEも冒険している気分になっていたよ!

SNAKEPIPEもROCKHURRAHもバードウォッチングをしたことがないので、この映画を観て宗像翼やトビさんの姿を想像しやすくなったかもしれない。
そしてもちろん鳥飼先生も、同じように鳥を探して観察、研究されていることでしょう。
「ブッポウソウは忘れない」はもしかしたら、鳥飼先生が実際に大学時代に経験されたTrue Storyが元になっているのかもしれない。
そんな想像をしながら読むと面白いよね。
一体鳥飼先生は登場人物の中の誰なのか?
宝満教授?古賀先輩?門司先輩?主役の宗像翼?(笑)
「観察者シリーズ」とは違ったネイチャー・ミステリー、楽しかった!

【緑色のつなぎを着たナース・マネキンは何をしようとしているのか?】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHからも長年来の友人Mからも「面白そうな企画」として情報をもらっていたのは、渋谷にあるアツコバルーで開催されている都築響一の展覧会だった。
都築響一?聞いたことがあるような?
思い出した!
秘宝館だったりヘンテコな施設や建造物をまとめた「珍日本紀行」という分厚い写真集で木村伊兵衛写真賞を獲得した人だ!
調べてみると1997年の受賞とのこと。
その頃は写真に燃えていたSNAKEPIPEなので、木村伊兵衛写真賞は必ずチェックしていたからね。
調べてみると、受賞作家として記憶していたのは2002年のオノデラユキと佐内正史まで。
その後の受賞作家の写真集は観ているけれど、ピンときたのは志賀理江子くらいかな。
そこまでちゃんと観てないから、あまり感想を書くのはやめようか。(笑)

話を都築響一に戻すと、木村伊兵衛写真賞を受賞した「珍日本紀行」を観て最初に持った感想は「面白い!だけど受賞はズルい!」だった。
歴代の木村伊兵衛写真賞作家と比べて見ると、かなり異色の写真集だし、元々は週刊誌に連載していた企画だったというのも「ズルい」と思う理由だったのである。
「こんな場所あるんだ!」という驚きを感じ、更に笑いを誘う。
今までにないタイプのインパクトがあったことは、あれから約20年(!)経った今でも、都築響一の名前を忘れていないことが、強烈な印象を残したことの証なんだろうね。

その都築響一がまた何か「やらかして」いるらしい。
アツコバルーは、2014年にホドロフスキー夫妻のドローイングを展示した「二人のホドロフスキー 愛の結晶展」とSNAKEPIPEが一目惚れで画集を買った野又穫の展覧会「野又穫 展 ーGhostー浮遊する都市の残像」に行ったことがある。
およそ2年前になるとは、調べてびっくりね。
記録のためにも(物忘れ防止のためにも)ブログに書いておくことは大事だな、と改めて思うSNAKEPIPE。(笑)
アツコバルーは、どちらかというと長年来の友人MやROCKHURRAH RECORDSが好きそうな企画を考えているギャラリー、という認識を持っているので、今回の都築響一も期待してしまう。
タイトルが意味深で「神は局部に宿る」で、副題として「エロトピア・ジャパン」だって。
一体どんな展覧会なのか?

雨が降ったり止んだりする7月にしては少し気温が低めの日。
長年来の友人Mと渋谷で待ち合わせる。
早めのランチを済ませ、いざアツコバルーへ!
エレベーターで5階に着くと、入り口付近は多くの靴で足の踏み場もない程。
アツコバルーは靴を脱いで入るタイプのギャラリーだったことを思い出す。
それほどまでにお客さんが入ってるってことなんだね!
これはかなり意外。
今まで行った2回の展覧会は、こんなに混雑してなかったからね。
入場料を払うと、引き換えに手渡されたのがコンドーム!(笑)
あとからじっくり見てみたけど、特に都築響一の展覧会につながる文言もなく、ただの(?)コンドームだった。
タイトルのエロトピアにかけてシャレたつもりなのかな?

入ってすぐに目に入るのは、壁一面に展示されている写真パネル。
近寄って見ると、それは全国にある「変わったラブホテル」の一室を撮影したものだと分かる。
天井近くの高さまであったので、1枚ずつをじっくり見ることはできなかったけれど、「珍日本紀行」の続きを見ているような気分だった。
もしかしたら「珍日本紀行」の中に入っている写真だったのかもしれないね?

ラブホテルシリーズの次には、全国の秘宝館の写真群が展示されていた。
右の写真は、鳥羽にあった「鳥羽SF未来館」という「秘宝館」にあった展示物だったようで。
2000年に閉館した「鳥羽SF未来館」の展示物を都築響一が買い取り、「横浜トリエンナーレ」や恵比寿の「トランスギャラリー」で展示していたとのこと。
2000年と2002年に開催していたようなので、既に鑑賞していた人も多かったのかもしれない。
15年近く経った「今更ジロー」な企画を鑑賞していることになるんだね。
元ネタである「鳥羽SF未来館」についてブログに内容を載せている方を発見したので読んでみると、かなりヘンテコなストーリーに基づいた展示がされていたみたい。
珍妙な物はなるべく観たいと思っているSNAKEPIPEやROCKHURRAH、もちろん友人Mも、「鳥羽SF未来館」を実際に鑑賞してみたかったよね!

「鳥羽SF未来館」の写真の他には、「秘宝館」の人形が数体展示されていた。
近くでじっくり見ると、エロというよりはグロ!(笑)
遠目で見ることを前提としているからこれで良いんだろうね。
全裸で大きく口を開けて悲鳴を上げているような人形は、ゴツゴツした皮膚(表面)で、決して美しいとは言えない顔立ち。
ホラー系の雰囲気だったよ。
対照的だったのは、飲み物カウンターの近くにいたラブドール2体。
椅子に座っていたドールは、まるで生きているように見えるほど、リアルな出来栄えにびっくりする。
触っても良いとのことなので、腕の当たりをタッチ。
当然人の肌とは違うけれど、しっとりするような手触りに驚く。
棚に陳列させられているラブドールは、スタイル抜群!(笑)
販売されているということは、当然買う人がいるんだよね。
こんな人形が家にいる状態ってどんなだろう?
気になって調べてみたら、この手のシリコン製ラブドールは大体70万円くらいみたい。
かなり良いお値段だよね。
ラブドール業界のことはよく分からないけれど、恐らく日本の技術は高いんじゃないだろうか?
エロに対する情熱が高い民族だと思うからね。(笑)

wikipediaで「秘宝館」を調べると、日本には数多くの「秘宝館」があることが分かる。
その多くは廃館となっているけれど、温泉地や観光地にあった「秘宝館」は、「うしろめたさ」と「助平」と「笑い」を同時に持つ特異な空間だったのではないかと想像する。
観光として出かけた、生活圏とは遠い場所だったために可能だった「内緒の出来事」という感じだろうか。
「珍日本紀行」以降はブームになったために「◯◯秘宝館行ってきた!」と大声で自慢する人が増えたかもしれないけど、それより以前はどちらかというと「恥ずかしいこと」になっていたんじゃないかな?
その「恥ずかしさ」が「秘宝館」が「秘宝館」として成立するための必須条件だったのでは?と思うのである。

さて、今回の渋谷で開催された「秘宝館」はどうだろう。
「恥ずかしさ」はなくなり、地方の「怪しげな雰囲気」もなく、全てが白日の元に晒された。
実際照明も明るかったしね。(笑)
ベールが剥ぎ取られた「秘宝館」には「淫靡さ」や「いかがわしさ」といった「秘宝館」らしさが消滅していたと思う。
展示が数少ないのに、入場料金の1000円も高め。
今回のアツコバルーは、期待していただけに残念だった。
都合が付かず今回は鑑賞できなかったROCKHURRAHだけど、全く後悔はないと思うよ。(笑)
アツコバルーには、また面白い企画を提案して貰いたいね!

【今回はナチュラル志向と着飾ったのが競演】

ROCKHURRAH WROTE:

どこの天気予報でも「今年は記録的な猛暑になる」というような予報が出ていて、真夏の暑さが大嫌いなROCKHURRAHは気が滅入っている。
今のところ猛暑というよりはおそろしい湿度で、部屋の中にいても蒸し蒸しという日々が続いてるけど、そんな中、やって来ました。去年に引き続きまたまたエアコンの不具合。
去年の夏のブログ記事で書いた通り、真夏の最も暑い時期に我が家のエアコンから恐怖の水漏れが起きてしまい、応急で下に貼ったゴミ袋に毎日のように大量の水が滴り落ちるという事件が発生した。
水を慌てて拭き取ろうとした際にぐるぐる回っている部分に指を突っ込んでしまい、あわや骨折か?と思うくらいの怪我をした悪夢の思い出。あれで数ヶ月は指の感覚がおかしくなってしまったからね。
去年はメーカーに来てもらったのに結局、原因は不明だがなぜか改善されてしまった。自分でドレンホースやドレンパンのつまりも解決したから、改善されなきゃウソなんだけどね。
今年もとりあえずは大丈夫なはずなんだけど、またもやすごく暑い日から突然大量の水が垂れてきて大パニック。応急の対処法はすでに会得していたけど、個人的にイヤな出来事ばかり続いてたし、よりによって自分の誕生日にこんな問題まで抱え込んで頭が痛いよ。
結局、一週間水漏れのまま耐えて週末に業者に来てもらい、やっと(たぶん)解決したという始末だ。
おそらくの原因は本体内部のドレンホースより排水の穴の方が位置が高かったため、水が逆流してたんじゃないか?というお粗末なもの。つまりは最初の設置ミスだとの事。確かに最初の時はよくわからんバイトの小僧みたいなのが取り付けに来たもんな。
貴重な時間をこれで何時間も無駄にしたけど、とりあえずは真夏の水漏れの心配がなくなったようで良かったよ。

人にとってはどうでもいいような前置きだったな。しかも今日の記事とは何も関係ない。
さて、今回も引き続き「同名異曲」について書いてみよう。
最近はどうだかわからないけど、90年代くらいはバンド名もタイトルもひとつの単語のみというようなシンプル過ぎなのが流行ってた時期があったな。それだったら同名のタイトルというのも結構あったんだろうな。
ウチのブログでは70年代や80年代の音楽についてばかり書いてるから、そこまでいくらでも同じタイトルの曲が転がってるわけじゃないけど、何とか探してみたよ。

Son Of A Gunというのは英語でよく使われる言い回しのようで「船の大砲の下で生まれた子供」というような意味らしい。ん?何じゃそりゃ。
日本で言うなら「橋の下で生まれた子供」とかと同じような使い方なんだろうが、そもそも今の時代にそんな会話あるのかね?
そのままの意味では使いドコロがわからんけど「ロクデナシ」とか「ちくしょうめ、この野郎」というようなニュアンスらしい。サノバビッチにサノバガン、どちらにしても慣用句が嫌いでスラングっぽい言葉を全然使わないROCKHURRAHには理解しがたい言葉だなあ。

そんなタイトルを代表曲につけたのが越路吹雪、ではなくて1980年代後半にスコットランドで活動していたヴァセリンズだ。
ユージンとフランシスの男女ペアが中心のアノラック系ギター・ポップのバンドでジャケットも二人の世界だが、デュオではなくユージンの友人や兄弟なども含めた編成だった。日本で言えばチェリッシュみたいなもんか?

キング・オブ・アノラックってほどにキングな活動はしてないが、パステルズのスティーヴン・パステルに見出され、彼の53rd&3rdというレーベルから出したのがこの「Son Of A Gun」というデビュー曲。

ニルヴァーナのカート・コバーンが彼らの曲を大々的にカヴァーして、90年代にはにわかに再評価されまくった(レコードもプレミアついて高騰)が、80年代後半のリアルタイムでは割と細々と活動していたという印象がある。活動期間も短かったから知る人ぞ知るようなバンドだったな。
まあ音楽性もヴォーカルも80年代的に言えば「ヘタウマ」。
初々しい感じのバンドだからインディーズでこじんまりとマイペースにやってゆくのが本来の姿だね。後にすっかり老けてしまってから奇跡の再結成を果たした。
少しはしたたかになった模様だが、基本的には相変わらずの路線でファンをなごませた。
彼氏は少しギターとかやってるけどギンギンのバンド野郎じゃなくて、彼女は彼氏の影響で歌とか歌い始める。音楽業界の事とかよくわからないけど好きな音楽と彼氏とでささやかに宅録とかしたい。ヴァセリンズはそういったカップルとか内輪で音楽をやっている者にとっては光明と言える存在だったんだろうな、と勝手に推測してみたよ。

こちらもまた同じタイトルを持つ曲、リヴァプール出身のラーズによるもの。
「There She Goes」という不朽のヒット曲によって知られるが、曲は知ってるけどどんなバンドがやってるのかよく知らないという人も多かったんじゃなかろうか?
80年代後半にデビューして人気、知名度も上がってきた頃、曲やレコーディングの出来に不満を持ったバンド側が発売をキャンセル。しかしレーベルはバンドの意向を無視して勝手に作りかけだったアルバムをリリース。楽曲は全てバンド側の意図してない出来のまま世界に出回ってしまったわけだ。
そういう激しい諍いがあって、大人気バンドになる可能性があったラーズは活動停止してしまったという経緯がある。
彼らの有名なアルバムはヴォーカリストのリー・メイヴァースが「買うな!」と言った作品だとの事だが、その1曲目に「Son Of A Gun」は入っている。

親しみやすく素朴なメロディにやや乱暴な歌い方が絡むというスタイルは少し後で出てきたオアシスなどの原型だと言える。かなり60年代な雰囲気なのでその辺が好きな人に熱烈支持されていたね。
しかしこの映像はまだいい方なんだけど服装とかに全く無頓着なタイプ。基本的にジャージとかネルシャツとか楽なのが一番、という姿勢で貫いているな。
大人気バンドになる可能性があった、と書いたものの、絵にならないなあ。

では絵になるこちらで仕切り直しといこうか。

Spellboundは日常生活ではあまり使われない単語だとは思うが、呪文で縛られたとか魅せられたとかそういう意味だそうだ。
ロンドン・パンク初の女性ヴォーカリストとして出発して、後にはゴシック、ポジティブ・パンクの元祖的存在だったスージー&ザ・バンシーズの1981年、4thアルバムに収録されてシングルにもなったのがこの曲だ。
Banshee(アイルランドの死の妖精)をバンド名につけ、初期の頃から割とダークな曲調を好んでたスージー・スーが歌うにはピッタリのタイトルだと言えるね。
あまりにも有名なバンドだから今さら書くような事もないけど、この後の女性ヴォーカル・バンドのひとつの路線を作った偉大なバンドだったと思う。

映像は森のなかをスージーやバンド・メンバーが走り回る割とアクティブなもの。白塗り化粧で退廃的、運動や汗とは無縁の印象があったけどライブでは動くだろうしそんなでもないのか?ドイツのベルフェゴーレにも海辺を全力疾走しまくるというミュージック・ヴィデオがあったが、バンシーズはやっぱり森の中の方が似合うね。森の奥にいるシャーマンという感じがするから。

ROCKHURRAHは昔から海よりは山、森や渓流の風景に惹かれるが、実際はそんな山の中に滅多に行かないしアウトドアな人間ではない。憧れは人一倍強いんだけど、気軽に行けないようなところにばかり暮らしているからなあ。
冬場は寒いからちょっと、だけど、こんなに蒸し暑い夏は深山の奥で暮らしたいという願望が沸き起こる。
高校生の頃、住んでた家の近場に小倉(福岡県)の足立山という小さな山があった。秘境でも森でもないが、雑木林くらいはあるだろうという程度の山だ。
ある日の朝、なぜか学校に行かずその山を目指してひたすらに歩いて歩いて登ったという変な出来事を思い出す。
通学のバスを降りて山へ入る道を歩いて行ったのだが、その後の一日をどうやって過ごしたのか、どうやって帰ったのかをまるっきり覚えてないのだ。
学校サボってまで山に入る動機もひとつも思い出せない。
運悪く体育教師に目撃されたらしく、後に学校に来てない事が発覚すると予想した以上の大問題に発展した。当たり前だが家に連絡されて翌日も呼び出されて大目玉をくらった事だけは覚えてる。自分の行動は全く覚えてないくせにね。
その時の心境はまるっきりわからないが、今にして思えば何かに導かれてどこかを目指した、これも神秘体験の一種だったんだろうかね?
おっと、今回の記事には全く関係ない思い出話だったよ。

そんなバンシーズの名曲と同名タイトルなのがこれ、ピンク・ミリタリーの1979年に発表した12インチ・シングルに収録(1stアルバムには未収録)。
ん?紹介する順番が逆だった事に今気付いたよ。「Spellbound」というタイトルではこちらの方が早かったんだね。
「同名異曲編」の1の方でも書いたが、デヴィッド・バルフが関わっていたビッグ・イン・ジャパンというリヴァプールのパンク・バンドがあって、そこの歌姫だったのがジェーン・ケーシーだった。
このバンドからは

  • 後にフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドで大ヒットするホリー・ジョンソン
  • ライトニング・シーズで大ヒットするイアン・ブロウディ(キングバード名義でプロデューサーとしても有名)
  • KLFでチルアウトというハウス・ミュージックの元祖となったビル・ドラモンド
  • 上に書いたスージー&ザ・バンシーズに参加するバッジー(後にスージーと結婚して離婚)

などなど、有名ミュージシャンが最初に始めたバンドとして伝説となっているが、ジェーン・ケーシーがビッグ・イン・ジャパンの後に始めたのがピンク・ミリタリーだった。
ジェーン・ケーシーと言えば70年代後半のパンク・ガールの中でも最も退廃的な美しさを誇り、異様なメイクや奇抜な服装でも有名。リヴァプールの中では一歩抜きん出たファッショナブルな存在だったと個人的には思う。
しかしピンク・ミリタリーの音楽はそういう派手な見た目とは裏腹に案外地味な感じだった。
他のメンバーがビッグ・イン・ジャパンとは違う方向性で有名になったのとは対照的だけど、ある意味、ビッグ・イン・ジャパンを最も継承していたのは彼女だったんだろうね。
スージー&バンシーズあたりとも通じるダークな曲調にジェーンの気怠い感じの歌声が響く地味な楽曲。時代的にネオ・サイケに属するような音楽だがポジティブ・パンクとかゴシック的要素はあまり感じない。むしろそっち方面に行ってたら大成したかも知れない、という風貌だが、音楽の方はそんなにドギツくない。

映像の方はレコードではなくリハーサル・トラックの音源との事だが、ビッグ・イン・ジャパンやリヴァプールの大半のバンドがライブをやったであろう、エリックスというライブハウスでの珍しい写真がスライドで出てきて、マニアにとってはかなり価値が高いもの。当時はものすごく盛り上がってたんだろうな。行きたかったなあ。
ピンク・ミリタリーや後のピンク・インダストリーはヒットしなかったらしく、プロモもTV出演の映像とかもほとんどないのでこれで許して。

まだまだ探せば同じタイトルの違った曲は出てきそうだけど今回はここまで。
ではまた、Até mais tarde(ポルトガル語で「またね」)!

【面白グッズを営業中のサムとヨナタン。陰気だなー!】

SNAKEPIPE WROTE:

週に何本かの映画を観る習慣は継続している。
例えば「スター・ウォーズ」のような大ヒット作を鑑賞することもあるけれど、どちらかと言えばアメリカ以外の国の作品に興味を持つことが多い。
最近のレンタルDVDは本編が始まる前に「これでもか」というくらい、長い時間をかけて同ジャンルの新作案内を「強制的に」付き合わせる傾向にある。
中には早送りすらさせてくれない仕様になっているものまであって、苦痛に感じることもあるほど。
宣伝するのは自由だけど、強制させられるのはイヤだよね?
たまには新作の中に「面白そう」と思う作品もあり、次に借りる候補にすることもある。
今回紹介する「さよなら、人類」(原題:En duva satt på en gren och funderade på tillvaron 2014年)も、新作案内で知った作品である。

「さよなら人類」と書いて検索すると、初めにヒットするのはイカ天バンドである「たま」の「さよなら人類」なんだよね。(笑)

わざわざ載せなくて良い?(笑)
ちょっと懐かしかったものだから!
「さよなら、人類 映画」って書かないとちゃんと検索できないので、皆様気を付けましょうね!

「さよなら、人類」はスウェーデン人の監督、ロイ・アンダーソンの作品である。
えっ?ローリー・アンダーソン?

これもわざわざ載せないでも。(笑)
ちょっと懐かしかったものだからね!(2回目)
80年代を経験した人は間違い易いから、気を付けようね!

脱線から本筋に話を戻そうか。(笑)
「さよなら、人類」についてだったね。

公式ページから簡単なあらすじを引用させてもらおう。

面白グッズを売り歩くセールスマンコンビ、サムとヨナタンが物語の中心となり、さまざまな人生を目撃する。
喜びと悲しみ、希望と絶望、ユーモアと恐怖を、哲学的視点をスパイスにしてブラックな笑いに包み込む傑作!

前述したように、新作案内を観て「さよなら、人類」に興味を持つことになったSNAKEPIPE。
どうして気になったんだろう?
少し淡い、地味なトーンが北欧の風景を感じさせる映像。
寂しい気分になるブルーグレーのフィルターがかかったような色。
セリフの少なさは、どんなストーリーが展開されるのかを不明にする。
中にはあるんだよね、ほんの何分かの予告を観ただけで「あーなってこうなって最後はこんな感じで終わりだよね」と予想できてしまう映画!
もしかしたらその予想は外れるのかもしれないけど、観たいと思う気分は著しく削がれてしまうよね。
SNAKEPIPEは特に権威に弱いわけではないけれど、「ヴェネチア国際映画祭グランプリ受賞」と言われると、更に興味が増してしまう。(笑)
ブラック・ユーモアというのも惹かれるしね!

いよいよ鑑賞!
「3つの死」と題されたショートフィルムが始まる。
この3つの物語がかなりブラック!
死を扱っているにも関わらず、「フッ」と片側の頬を持ち上げるようなニヒルな笑いを誘うんだよね!
別にニヒルじゃなくてもいいけど!(笑)
「3つの死」が終わると、あらすじにあるサムとヨナタンが中心になった物語が展開する。
これも場面場面を組み合わせたような、いうなれば「4コマ漫画」が連続している雰囲気なんだよね。

特徴的なのは、定点に置かれたカメラ。
まるで自分がこちらから見ているかのように錯覚してしまう。
通常映画の場合は、例えば驚いた主人公の顔をアップにするなど、カメラの焦点が変化するんだよね。
「さよなら、人類」にはそれが一切ないの。
アンダーソン監督は構図にこだわり、絵作りを第一に考えているんだろうなと思ったSNAKEPIPE。
そうしてみると、絵としての完成度の高さが解るんだよね。

以前「SNAKEPIPE MUSEUM #04 Cindy Sherman」の中で、ジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」について書いたことがある。

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は、全てのシーンが一枚写真として完成している、言うなれば連続スチール写真映画だったんだ!

と結論付けたSNAKEPIPE。
絵作りを第一に考えている映画ということになるね。
映画の殿 第16号」で特集したのはタルコフスキー監督の「ストーカー」。
この映画についても似た感想を持ったSNAKEPIPE。

「ストーカー」も「ストレンジャー・ザン・パラダイス」と同じで、写真集を観る感覚の映画だと感じたSNAKEPIPE。
しかもそれは廃墟写真集なんだよね!(笑)

引用ばかりで申し訳ない。
映画の中にも、まるで写真集みたいに撮られている作品があるということを言いたくて書いてみたよ!

今回鑑賞した「さよなら、人類」は、写真集というよりは画集を観ているように感じたSNAKEPIPE。
スナップショットを描いたような画家、例えばエドワード・ホッパーの作品などに近い感覚かな。

そこで!
今回の「映画の殿」では、「さよなら、人類」をあえて油絵風に加工して載せてみることにしたよ。
映画とは違う雰囲気で楽しめるんじゃないかな?
書いている文章は映画とは全く関係なくて、絵として観た時のSNAKEPIPEの勝手な感想なのでよろしくね!(笑)

先に書いた定点カメラがよく分かる場面だよね。
窓から外を眺める男。
恐らくキッチンだと思われる場所で、夕食の支度をしている背中を向けている女。
男の表情はよく分からないけれど、これから楽しい食事が始まるというよりは、深刻な話をしなければならないために憂鬱だ、と考えこんでいるように見えてしまう。

日曜日に、いつもよりゆっくり眠っていた夫婦が、電話によって起こされた情景と想像する。
電話の主はかつての旧友?
それとも母親から?
もう少し惰眠を貪っていたかった夫は、すっかり目覚めて話に夢中になっている妻とその相手から完全に除外され、孤独を感じているように見える。

大きなデスク、革張りのソファ、鷲?がダイナミックに描かれた絵画のあるオフィスにいるのは、恐らく政治家か会社の重役クラスの重鎮に間違いないだろう。
そんな金持ちそうな男が、渋面で電話を受けているということは、きっと何か重大な問題が起きているに違いない。
会社の金を横領していた事実がバレた?
パパラッチにスキャンダルを握られた?
何にせよ、この男に一大事が起こっているように見える。

賑やかだった店内は閑散としている。
仕事帰りに軽く飲み、同僚と上司の悪口を言い合い、ウサを晴らす。
これで明日はまたリセットされた1日の始まり。
ところが中にはリセットできない人もいる。
もしかしたら愚痴を言い合う相手もいないのかもしれない。
帰っても迎えてくれる家族がいないのかもしれない。
閉店まで1人で店にいる男には強い寂寥感が漂っているように見える。

何事かを考えながら窓から身を出し、通りを眺める男。
後ろにいる女はスリップ姿なので、直前までベッドにいたようだ。
今日で終わりにしよう、と言うつもりなのになかなか言い出せない。
女も2人の関係が終焉に近付いていることは薄々気付いていた。
沢田研二の「時の過ぎゆくままに」を彷彿とさせる情景に見えてしまう。(古い!)

エドワード・ホッパーの作品に1番近いのはこれかな。
夜のレストラン。
映画の中ではもっと暗い時間だったのに、加工していたら明るくなってしまった。(笑)
レストランの中にいる人を外から見ると、自分だけが孤独に感じてしまう。
この経験をしたことがある人、多いんじゃないだろうか。
写真家アッジェが撮った写真や、ユトリロの絵画のように見える。

SNAKEPIPEが想像した勝手な物語は映画とは関係ないので注意!(笑)
絵だけを見て、色んなお話作ってみるのも楽しいかもしれないね。

ロイ・アンダーソン監督の「さよなら、人類」は「散歩する惑星」(原題:Sånger från andra våningen 2000年)、「愛おしき隣人」(原題:Du levande 2007年)と合わせて3部作になっているらしい。
SNAKEPIPEが鑑賞したアンダーソン監督の作品は、「さよなら、人類」が初めてだったけれど、他の2作品も同じように「絵作り」されているのだろうか。
また機会があったら確認してみたいと思う。