Monthly Archives: 7月 2018

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【80年代に戻ってこのムーブメントを体験したかった】

ROCKHURRAH WROTE:

夏が苦手なROCKHURRAHとSNAKEPIPEは毎年のように「今年の暑さは異常」などと決まり文句を言ってるけど、先週は特にひどかった。ピークは過ぎたと言うものの本当に毎日危険なくらいの暑さで早くもウンザリしてるよ。これがまだ一ヶ月以上も続くかと思うと気が遠くなるな。

ウチのエアコンは何かに祟られていたのか?全く涼しくならない、下から水がボタ漏れ、慌てて拭こうとしてROCKHURRAHが指を大怪我、交換したにも関わらずボタ漏れが全く解消しない・・・などという苦難が続いて数年の間に三回も取り替えたといういわくつきのものだが、それ以降は快調でとても効きがいい。
前の効かないまんまじゃ今年の夏は乗り切れなかったろうな。

さて、そんな猛暑の中、また尻切れトンボになりそうな新企画を考えてみた。
題して「80年代世界一周」ってのはどうだ?
小学生の頃にジュール・ヴェルヌ作品をいくつか読んだ記憶はあるが、タイトルは知ってても内容は覚えてないくらいだから、個人的にあまり感銘を受けなかったのかもね。子供の頃から王道嫌いだったもんな。
でもタイトルだけはしっかりパクってみた。

書こうとしてる事はROCKHURRAHの場合ほぼ不変で、要するに(主に)英米以外のパンクや80年代ニュー・ウェイブを国ごとのくくりで取り上げてみようというもの。ROCKHURRAHがやってる他の企画と構成はほとんど一緒だな。
おそらく2、3回書いたら飽きてまた書かなくなりそうだと予感してるけど、企画倒れでもいいから思いついたら一応実行してみるよ。ちなみにROCKHURRAHの似たシリーズ企画で「ロックンロール世界紀行」というのもあるんだけど、これも一年以上も記事を書いてないなあ。
 
記念すべき最初の回はどの国にしようかな?と考えてみたけど、やっぱり何年もウチの中でブームが続いてるスペインにしよう。西班牙と書いてスペインというのはこの記事でも書いたね。
80年代ニュー・ウェイブを数多く聴いて英米以外のレコードも見つけては買い漁っていたROCKHURRAHだが、なぜかスペイン物にはほとんど目もくれず無視していた。
たぶんその頃聴いてた暗い音楽とスペインの情熱的なお国柄が全然マッチしてないと思い込んでて、勝手に敬遠してたんだろうね。
そういうわけでスペイン物についてはほとんど知識もないまま進めてみるという無謀な今回の芸当、かなり無理がありそうだよ。
あと、外人の名前やバンド名をカタカナ表記する事が多いROCKHURRAHだが「読めん!」という場合が多数なので、 このシリーズ企画ではそのまんま書くことにするよ。調べるほどの時間がなかったのじゃ。

まずはちょっと前にSNAKEPIPEが記事を書いたペドロ・アルモドバル監督のデビュー作「ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち」、この映画でボン役として脚光を浴びたアラスカ。
スペインのパンクやニュー・ウェイブについてほとんどわかってないROCKHURRAHにとっては数少ない知った顔(ごく最近知ったばかりだが)がアラスカなのだ。
スペインではなくメキシコ生まれだとの事だが芸名アラスカとはこれいかに?
活動してたのはマドリードなのでスペインのバンドでいいよね。

映画の中ではパンク・バンドのぽっちゃりパンク娘という役で実際に歌うシーンもあったけど、本人も70年代後半、何と14歳の頃からからKaka De Luxe、Alaska y los Pegamoides、Alaska y Dinaramaなど色々なバンドで活動していた模様。

「Horror en el Hipermercado(ハイパーマーケットの恐怖:by Google翻訳)」は1980年に出たAlaska y los Pegamoidesのデビュー曲でいかにもスペイン産B級パンクといった路線。スーパーマーケットを舞台にしたコミカルでキッチュなビデオもいいね。マルジャン・サトラピ監督の「ハッピーボイス・キラー」を連想してしまったよ。
バンド名をGoogle翻訳してみると「アラスカとペガモイデス」で訳すまでもなかった。
で、ペガモイデスって何よ?と思って調べてみたらもうひとりの女性メンバーAna Curraの別名(?)がAna Pegamoideだという事。この人も歌うし色々な楽器もこなす、スペイン・パンク界のスターなんだね。

スペインと言えば悪名高いフランコによる独裁政権が1975年まで続いて色々な弾圧がまかり通っていた時代があった。
それがフランコの死によって民主化へと移行してやっと自由な時代になったんだけど、この頃の反体制的な若者文化をラ・モヴィダ(La Movida Madrileña)と称するらしい。
見てきたわけでないから知った風な書き方はしないが、ニュー・ウェイブとかノイエ・ドイッチェ・ヴェレとかのスペイン版みたいな感じだったのかね?こういう動きの中心的な存在だったのがペドロ・アルモドバル監督やこのアラスカだったらしい。

ラ・モヴィダによってスペインの音楽は劇的に変化して、まあ要するに英米のパンクやニュー・ウェイブ、それらに影響を受けたスペイン産のバンドたちが一気に浸透していったという事だね。
面白いのはスペインの場合、マドリード市長自らこのムーブメントを推進していたというところ。「イマドキの若者は・・・」などと年寄り連中の反発もあっただろうに、若者文化に迎合してたというわけだね。さすが軽薄を恐れない国、スペインらしいね。

そういう自由な雰囲気の中で生まれたスペインのニュー・ウェイブだけど、元々ロックの土壌があまりない国なのでちょっとイビツな発達をしたような印象がある。
アラスカはこのAlaska y los Pegamoidesでは初期はチープなパンク路線(1980年、上の映像)なんだが、もう少し後のAlaska Y Dinarama時代になるとスージー・スーやニナ・ハーゲン、プラズマティックスのウェンディ・O・ウイリアムズを足したようなアグレッシブな見た目になる。がしかしその派手なルックスとは裏腹に音楽はどんどん普通のポップになってゆき、この辺が非常に残念な感じがするよ。 

1986年のこの曲なんて見た目といかにもメジャー路線の音楽のギャップが激しすぎる。
プラズマティックスはチェーンソー持ってギターの解体ショーやって喝采を浴びたけど、似たようなもの持ってるだけで曲もパフォーマンスも中庸なもの。アラスカよりも後ろの変な動きのダンサーの方に目が釘付けになるよ。見た目だけの過激さじゃいかんな。

そのAlaska y los PegamoidesのメンバーだったEduardo BenaventeやAna CurraによるバンドがParálisis Permanenteだ。例によってバンド名をGoogle翻訳してみたら「永久麻痺」との答えが。うーん、絶対なりたくない状態だな。
このバンドも基本はパンクなんだけどAlaska y los Pegamoidesよりはもう少し重厚な部分もあっていわゆるポジティブ・パンク、ゴシック的な音楽性を併せ持っていたように感じたよ。
Alaska y los Pegamoidesの方はヘタの横好きでギターをやりたがるアラスカ(勝手な想像)のせいでバンド全体のポテンシャルが低めだったからね。
アラスカ抜きのこっちは演奏力が上がったのかどうかは不明だけど、見た目も曲も雰囲気も好きな感じのバンドだ。曲によってはバウハウスっぽかったりラモーンズをマイナー調でやったみたいな路線だったり、日本ではほとんど同時代には紹介されなかったバンドなんだろうけど、プロモーションやライブ映像も思ったよりは残ってて本国では人気あったんだろうかね?

「Adictos de la Lujuria(欲望の中毒者:by Google翻訳)」は1982年にリリースされた彼らの唯一のアルバムに収録されていた曲。
ジョイ・ディヴィジョンやバウハウス、スージー&ザ・バンシーズ、UKディケイなどまだポジパンやゴシックなどと言われる前の時代に活躍したパイオニア達の影響を感じて、様式としてまだ完成されてない部分が逆に魅力だとROCKHURRAHは感じたよ。それらほどの迫力は全くないけどね。
個人的にスペインのニュー・ウェイブはスルーしてしまったが、もし同時代に知ってたならこの手のバンドは間違いなく追いかけていただろう。当時に知らなくて残念。

それにしてもこのビデオ、ドラムは「そこまでするか?」というくらい足を投げ出してやる気なさ満開、やる気なさすぎて逆にこの姿勢の方がきついだろうに、と思えるよ。
ベースやキーボードはいかにも80年代のバンドといったヴィジュアルでいいね。
少年っぽいヴォーカルのEduardo Benavente、彼の軟弱な声や見た目も絶妙なバランスでキャラクターの魅力も際立っている。
スペインのニュー・ウェイブは意外とレベルが高いという事がわかったよ。ROCKHURRAHが今この時代にこの年齢になってわかっても「もう遅い」としか言いようがないけど。
残念なことにこのEduardo Benavente、これからという1983年に交通事故で他界してしまったらしい。わずか20歳という若さだった。だからこのバンドもたった1〜2年くらいしか活動してない伝説のバンドだけど、一緒に事故に遭った他のメンバーは無事で、その後も違うバンドで音楽活動を続けているところが偉い。それが一番の供養だよ。

スペインのニュー・ウェイブはあまり知らないから軽く書くつもりだったのに、いつの間にか色々調べたりしてしまったよ。これ以降は初心に戻って短く書くことにする。
Radio Futuraもラ・モヴィダの流れで早くから知られたバンドだったらしいが上に書いたAlaska y los PegamoidesやParálisis Permanenteに比べたら見た目の素人っぽさが際立っていて、これを最初に見てたらやっぱりスペインのニュー・ウェイブは英米に比べてかなり遅れてると思ったかも知れないな。
ただしどうしようもない三流バンドにも常に注目していたROCKHURRAH、逆にこのダサさ加減も評価してしまうよ。
1980年に出た初期のシングル「Enamorado De La Moda Juvenil (青春のファッションで:by Google翻訳)」はこの年のヒット曲らしいけどいかにもラテン系パワーポップみたいな雰囲気。前のメンバー4人は学生バンドみたいなのに右後ろのキーボードだけちょっと髪が薄い年長者に見えるけど、この人のダンス・パフォーマンスのハイテンション具合がすごい。あまり目立たない後ろだからやりたい放題やってて、目が釘付けになってしまうよ。

キーボードがハジけてると言えばこの2人も本人たちは大マジメなんだろうけど、妙に気になる。
スペインのクラフトワークかYMOか?というようなシンセポップのAzul y Negroだ。Google翻訳してみると「青と黒」らしい。うーん、それくらい翻訳しなくてもわかるか?

ハビエル・カマラみたいなヒゲおやじ(通称:黒)は何が嬉しいのかわからないが始終にこやかにしてて、妙なノリノリ具合が古臭い楽曲とマッチしているね。そもそも何でニュー・ウェイブやってるの?と訊きたくなる見た目とファッションに目を奪われる。エレクトーン教室の先生とかの方が似合うんでないの?
キメキメのインカム男(通称:青)の方はこれまた80年代にはよくいたタイプだが、イギリスのこの手のバンドに比べると著しくクールさに欠けていて、それがスペインらしさという事かな?

歌うのは1983年に出た「No Tengo Tiempo(私には時間がない:by Google翻訳)」 なんだけどTVでは放映出来ないような空耳に聴こえてウチでは結構前から注目していたよ。

これは見た目と音楽性で一目瞭然、非常にわかりやすいけどスペイン版DEVOを狙ったに違いないAviador Droというマドリードのバンド。他のビデオだと初期レジデンツ風のかぶりものしてたり、これほど堂々と二番煎じの安直さに満ち溢れたバンドは世界にもそうそういないと思えるが、これでいいのか?

ところでAviador Droって何じゃろ?Google翻訳してみると「ドロフライヤー」などという意味不明の回答が出てきた。それが一体何なのか非常に気になる名称だな。

3つ前からのRadio Futura、 Azul y Negro、そしてこのAviador Droに共通して言えるのはメンバー内にパンクやニュー・ウェイブに関係なさそうなルックスの男が含まれてるどころか、実はその人こそがバンドの中心人物らしいという不思議な現象。ラ・モヴィダという流行りに便乗して全然違った事をしていた者までその手の音楽を始めたという事なのか?

スペインという国にはダークなバンドはあまりないとこちらが勝手に思っていたけど、こんなバンドもあったよ。Décima VíctimaはGoogle翻訳によると「10番目の被害者」となったが一体何の事か?
ミステリーの世界で10人もの殺人事件が起きてなおかつ犯人がまだ見つかっていないとしたら相当な大長編かよほどのボンクラ探偵か、と思うけどどうなんだろうか?犯罪阻止率が異常に低いと思われる名探偵、金田一耕助の「八つ墓村」でも10人までは殺されてなかったような気がしたが・・・。

「Detras De La Mirada (見た目の裏側:by Google翻訳)」は1982年に出たシングルで、声質といい音楽性といいジョイ・ディヴィジョンの影響を強く感じるが、ヴォーカルがかなりおっさんくさいところがとにかく残念。会社経営者が音楽の心得ある部下を無理やりバックバンドにさせたというような構図を想像してしまうよ。
ヴォーカル一人だけ座ってるし、無理やり従ってる気持ちがこの暗い曲調に表れてるのかな?(勝手に想像してるだけなので信用しないように)

どうせ知らないから好き勝手書こうとしたが、スペインの80年代がこんなにニュー・ウェイブが盛んだとは思わなかった。まだまだたくさんのバンドがいたんだけど、そろそろお時間となりましたので今日はここまで。

それではノス・べモス(スペイン語で「じゃあ、またね」)!

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【不気味な作品に一目惚れ!】

SNAKEPIPE WROTE:

話はSNAKEPIPEの高校時代に遡る。
家庭科で「子供用の紙芝居」を制作する授業があった。
クラスメートは「さるかに合戦」やら「桃太郎」のようなオーソドックスな紙芝居を描いていた。
それを見た家庭科の先生はご満悦の様子。
先生の理解できる作品だったからね。
ところがSNAKEPIPEは子供に恐怖体験する機会を与えてはどうかと考え、生首が飛んだ絵やら、赤と黒で表現した地獄の様子を紙芝居にして提出!(笑)
教訓やおとぎ話と同じレベルで「あなたの知らない世界」を伝えても良いのではないか?
味だって甘いだけではない、辛い、塩辛い、苦い、酸っぱい、など様々な種類があるわけだし! 

SNAKEPIPEの提出物を見た瞬間、先生が口をあんぐりと開け、次に怒りで顔面を真っ赤にしたことを覚えている。
確か最低点だったように記憶しているけど、幼少時代から「ゲゲゲの鬼太郎」の大ファンだったSNAKEPIPEにとっては、その先生の画一的な評価は納得できなかったな。
絵自体も素晴らしい出来だったからね。(笑)

世の中もその家庭科の先生のような考え方が一般的で、この時期になると体験コーナーが併設されているような子供用の企画が増える。
子供が夏休みになっている頃だから健全な展覧会ばかりになってしまうんだよね。
邪悪でダークなアートを好む子供(もしくは一家)はそう多くないだろうからね?(笑)

展覧会に期待できない時はインターネットの検索をする。
「求めよさらば与えられん」の言葉通り(?)SNAKEPIPEの願いが叶ったよ。
とても好きな雰囲気のアートを発見することができた!
アーティストの名前はKaren Jerzyk。
カレンは読めるけどJerzykはどう読んだら良いのかな。
調べてみると、どうやらイェジックと読むみたい。
このブログでは、カレン・イェジックと表記することに決定!(笑)

カレン・イェジックについての詳細を調べてみたけれど、情報は驚くほど少ないんだよね。
ボストンやニューヨークを拠点に活動している女流写真家だということ。
2003年にニューハンプシャー大学で英語の学士号を取得している。
英語を学んだ、という記述があったので、恐らく〇〇系アメリカ人というわけではないのかもしれない。
名前の読み方を調べていたらポーランド語として出てきたので、留学生としてアメリカに滞在していたと推測する。
特に出身国についての記述はないんだよね。
未だに英語で感情を表現するのが苦手、とも書いてあったよ。
2009年からバンドの撮影を始めたとのこと。 
初めて手にしたのはデジカメだという。
大学卒業時に22歳だった場合には、現在37歳くらいかな?
彼女のウェブサイトには、作品が載った世界中の雑誌名が書かれているよ。
ワールドワイドに活躍している写真家なんだね!

カレン・イェジックは廃墟に興味があるという。
インターネットで廃劇場を見て以来、撮影スポットを探すことに夢中だったとのこと。
さすがに絵になる場所を選んでいるよね。(笑) 
構図がシンプルなシンメトリー、人物と廃墟以外写っていないのに、インパクトが強い。
恐らくビニール一枚だけ用意したような仕掛けなのに、少女が囚われ監禁されている犯罪めいたイメージを受ける。
これはちょっとヤラれた、と思ったSNAKEPIPE。
アイデア次第で、こんな作品ができるのかと感心しちゃったよ。(笑)

これも廃墟の中での撮影だけど、より直接的に犯罪めいているね。
恐らく美容院のパーマ用の椅子に座っていると思うけど、口にはめられているのは拷問器具?
頭にかぶっているキャップのせいで、これから手術を受けるように見えるよね。
もしくは映画「ホステル」のように、人体実験させられる前に拘束されているような。
ホラー映画のワンシーンみたいだよね。
色合いの美しさが一層残酷さを増しているように感じる。

カレン・イェジックはティム・バートンとテリー・ギリアムのファンだという。
SNAKEPIPEも当然映画監督としての2人は知っているし、作品も鑑賞している。
ティム・バートンはウォルト・ディズニー・スタジオ、テリー・ギリアムはモンティ・パイソンでアニメーターだったことは調べて初めて知ったよ。
ティム・バートンの作品はダーク・ファンタジーとはいっても、少し子供っぽくて可愛らしい感じがするよね。
カレン・イェジックには、その子供っぽさはあまり感じないけど?
作品を1点完成させるまでに、細部にまでこだわり演出するカレン・イェジック。
カップルの食事風景だけれど、棚のオブジェを揃えるだけでも大変そうだよ。(笑)

骨つながりで選んだのがこちら。
この作品はティム・バートンを感じるね。
ちょっとユーモラスな雰囲気だからかもしれない。
黒白の猫ちゃんまでポーズ決めてて、とてもかわいい。
この骸骨はおばあさんに何の用事があったのかな。
ストーリーを考えるのも楽しいよね。 

カレン・イェジックはミュージックビデオなどの映像も手がけている。
上に載せたのは、カレン・イェジックの撮影用セットとのこと。
場所を確保し、セットを組んで、モデルさん探して、やっと撮影。
どんな物語を想像して、このセットになったんだろうね?

燃えるミニチュアの家。
まるでネグリジェのような薄着の女は、何故燃やしているのだろう。
おままごとをしていたドールハウスを燃やすことで、少女時代との決別を図るため?
火を見ると興奮する性質の女で、習慣的に物を燃やすため、危なくないように川で作業中とか?
一番最初に紹介した廃墟の写真と同じように、材料がシンプルなのにインパクトがあるんだよね。

この写真も上と同じで、シンプル。
最近のホラー映画は、CG使って「これでもか」と言わんばかりの演出が多くて、うんざりしちゃうんだよね。
そんなに本数観てるわけじゃないから断言はできないけど。(笑)
見よ、この写真を! 
なんて怖いんでしょう。
SNAKEPIPEは、この写真からお話いっぱい想像しちゃうよ。
相変わらず陳腐なストーリーだけどね!(笑)

カレン・イェジックの写真は色合いの美しさも特徴的なんだよね。
色の影響もティム・バートンから受けたと語っているインタビューを見つけたよ。 
そしてPhotoshopは好きじゃないとも書いてあったんだけどね?
Photoshop使わずに、こんな色合いを出すとしたらフィルター使ってるのかな。
モデルは宇宙飛行士のようなので、飛び跳ねているのは宇宙空間だから?
また勝手に想像してみたけど、どうだろう。(笑)
ファッション・フォトと映画のスチール写真のミクスチャーのような作品、本当に素晴らしい!

この写真もSFっぽい雰囲気なんだよね。 
右の男性は椅子ごと浮かんでいるので、やっぱり宇宙空間なのかも!
そして後方の部屋は、燃えるようなオレンジ色のニクい奴。(笑)
タルコフスキーの「ストーカー」をイメージしてしまうのは、テレビが古いからかな?
ついでにナムジュン・パイクも思い出してしまう。
不思議な雰囲気の作品だね。

カレン・イェジックは幼少の頃、人形をほとんど持っていなかったという。
なぜならバービー人形の髪をナイフで切ったり、燃やしてしまったからだという。
かなり危険な子供だったのかもしれないね?
問題児のように見える子供がアーティストとして成功する例として記憶しておこう。
カレン・イェジックのような子供だったら、SNAKEPIPEが描いた紙芝居を喜んでくれたかもしれないね?(笑)

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【1957年に稼働を停止した廃工場を撮影(うそ)】

SNAKEPIPE WROTE:

いつの間にか季節は夏になってしまったよね。
今年は梅雨が短かかったため、余計に暑い日が早まっているようで。
夏が苦手なROCKHURRAH RECORDSにとってはまさに地獄の季節。
おおっ、アルチュール・ランボー!(笑) 

毎年ROCKHURRAH RECORDSでは、暑中見舞い、もしくは残暑見舞いのポストカードを制作している。
グラフィックが得意なROCKHURRAHがポストカードとブログの文章も担当することが多かった。
普段あまり登場しないからね。(笑)
そしてその年の出来事や関心事などを書き綴ってくれている。

ポストカードを制作するにあたって、何をテーマにするか議論するのが毎年恒例である。
これは暑中見舞いでも年賀状でも同じで、まずは方向性を決定するんだよね。
今年はSNAKEPIPEのアイデアが採用されることになった。
テーマは「疑似心霊写真」。(笑)
ゾッとして少しでも寒さを感じようとする「お化け屋敷」みたいなもんだね!
ポストカードの元になっている写真はSNAKEPIPEが撮影したもの。
そこにROCKHURRAHが手を加え、完成させてくれた。
どお?怖くない?(笑)

今年は1月に2人揃ってインフルエンザに罹ったところから始まり、病気の当たり年かも?
ROCKHURRAHは腰痛、SNAKEPIPEは病院のはしごをしてるし。
こういう時は無理せず、涼しい室内でのんびりするのが一番だね!
えっ、いつも引きこもってるから同じだって?(笑)

熱中症は室内でも発症するらしいので、気をつけないとね!
早く涼しくならないかなあ。(笑)

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【タイトルとは違ってボン、ルシ、ペピの順番で座ってるね!】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日!
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
いつもは難航するプレゼント選びも、今年はすんなり決まって良かった。
気に入ってもらえたようで何より。
ささやかだけどお祝いもできて良かったね!

前回の「映画の殿」で紹介したのは、スペインの映画監督であるペドロ・アルモドバルの作品「マタドール」である。
32年前に公開された映画を鑑賞できて嬉しかったことを綴っている。
アルモドバル監督作品については、2013年に「好き好きアーツ!#22 Pedro Almodóvar part1」から驚きの4回連続で特集しているので、ご参照下され!
アルモドバル監督の未鑑賞作品は、全部で4つ。
あともう少しで全作品制覇だね!

2017年3月にHDリマスター版として、DVD化されていたことに気付いたのは今年に入ってからかもしれない。
まさか30年以上も前の作品が脚光を浴びて、現代に蘇るとは思っていなかったからね。
アルモドバル監督作品の鑑賞を心待ちにしていたROCKHURRAH RECORDSにとっては嬉しい誤算だよ!(笑)
また調べてみたところ、どうやら未鑑賞作品である「ハイヒール」も「欲望の法則」もDVD化されている模様。
これもいつの日か鑑賞できることが分かって楽しみだね!

今回はアルモドバル監督の処女作とされる「ペピ・ルシ・ボンとその他大勢の娘たち(原題:Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón 1980年)」を鑑賞した。
今から38年前の作品だね!
早速、感想をまとめてみよう。
まずはトレイラーね。 

タイトルにトレイラーと書かれてはいるけれど、これが本当のトレイラーだったのかは不明。
なんとなくの雰囲気が分かってもらえたら良いかな?
タイトルバックで使用されている曲はLittle Nellの「Do the swim」みたい。

せっかくなので「Do the swim」も載せておこうね。
イントロ部分がRamonesの「Beat on the Brat」に似てる、とROCKHURRAHが言う。
確かに似てるんだよね。(笑)
ポップな曲調をキャンディーボイスで歌う王道タイプ。
コミカルな感じもウケるだろうね。 
「ポロリ」があるところが、いかにも70年代だよね!(笑)
この映像、テレビだったみたいだけど大丈夫だったのかな?
ちなみにLittle Nellはカルト映画として名高い「ロッキー・ホラー・ピクチャー・ショー」や「ジュビリー」などにも出演しているんだね。 
どうやら今でも現役のようだよ!

では「ペピ・ルシ・ボンとその他大勢の娘たち」のあらすじを書いてみようか。

自宅の窓際で大麻を栽培していたペピは近所の警官に見つかり、口外しないことをタテにレイプされてしまう。
復讐のため友人のボンを使って警官の妻ルシを凌辱するが、極度のマゾヒストであるルシの性癖が意外な方向に働き、3人は逃避行を始める。
怒った女性差別主義者の夫はペピ、ルシ、ボンの3人を追跡する…。(Amazon商品ページを一部改変)

このあらすじを読むだけで、どれだけハチャメチャな内容なのか分かるよね。(笑)
「大麻」「レイプ」「陵辱」「マゾヒスト」という単語が並んでるし。

主役の一人であるペピを演じたのはカルメン・マウラ。
アルモドバル監督作品ですっかりお馴染みだし、他のスペイン映画にも数多く出演しているスペインの国民的女優だよね。
どうやら良い家柄に生まれたようだけど、離婚をきっかけに好きな道に進んだようで。
アルモドバルと知り合った時には演劇をやっていたみたいね?
恐らく意気投合して映画に出演することになったのだろうと想像する。
映画は完成までに1年半かかっているらしいので、監督はもちろん、関係者全員の情熱が分かるよね。

ペピも遺産で暮らしていくことができる身分で、楽しいことをするためだけに生きているような女性。
どんな時でも楽しそうにしてたしね!
あらすじにあった大麻栽培をネタにレイプされた、というのはちょっと違うような感じだったよ。
実際には「体で許して」のように、自分から誘っていたようだったけど?
ペピにしか分からない理屈があるんだろうねえ。(笑)

父親から遺産だけを当てにしないで、自立を促されると広告代理店で働き始める。
そこでペピは、下着メーカーのコマーシャルを制作するんだよね。
この内容が下品で大笑いしちゃうんだよね。(笑)
そしてコマーシャルに出演しているのがセシリア・ロス。
「お漏らししたら色が変化するパンティ」や「おならのニオイが香水に変わるパンティ」って想像しただけで面白い。
この映画の時のカルメン・マウラは35歳くらいかな?
肌を露出する大胆な服装や、ど派手な化粧をしていたからもう少し若く見えたよね?

左は割と最近の写真なんだけど、そんなに変わってみたい。
多分70歳くらいだと思うけど、ずっとカメラの前で演じているとシャキッとするんだろうね。
これからも女優を続けて欲しいね!

ペピ、と来たので次はルシね。
ルシ(画像右)は 性差別主義者でペピをレイプした警察官の妻なんだよね。
家事や編み物をして夫の帰りを待つ貞淑な妻だったはずなのに、ペピと関わることで本来の自分になることができた女性。
言い方がきれい過ぎたかな?(笑)
あらすじにあった極度のマゾヒストが、このルシだからね。
警察官と結婚したのは、乱暴に扱われるだろうという期待があったからだった。 
ところが母親のように扱われ期待ハズレだった、と告白するのである。
そしてペピの家に遊びに来たボンから「ゴールデンシャワー」を浴びて悶えてしまう。
うーん、変態だね。(笑)
そしてボンの恋人になってしまうのである。

平凡な主婦だったルシが、バンド関係者やアーティスト達に物怖じせずに接したり、バンドに興味を持つのは少し不自然な感じがしたけど、愛するボンがいるからということにしておこうか。(笑)
編み物している平凡な主婦の時と、ボンと恋仲になってからでは顔つきが変わって見えたのは、さすがに女優だな、と思ったよ。
そしてまたルシは変化するんだよね。
自己主張する権利があると気付くと、更にマゾっぷりがエスカレートしちゃうんだもの。
主役3人の中で一番の変態はルシに決定だね!(笑)

ルシを演じたのはエヴァ・シヴァ。
「ペピ・ルシ〜」以降も「セクシリア」や「バチ当たり修道院の最期」などの初期作品に出演していたようだね。
現在もまだ女優として活動しているようだけど、スペインのテレビドラマなのかもしれない。
これが最近の画像なんだけど、昔の面影は残っているかな? 

最後はボンね。
ボンはパンク・バンド「Bomitoni」のギターとヴォーカルを担当している。 
ROCKHURRAHが「映画の殿 第28号 パンクロッカー、スクリーンに現る」で記事にしたデレク・ジャーマン監督の「ジュビリー」の影響を受けているように見える化粧をするんだよね。
アダム・アントが片目だけメイクしていたように、ボンも片方の眉だけ描いたりする。
TOYAHの雰囲気にも似ていたように思うよ。
ボンは同性愛者であることを公言し、40代の年増が好みだという。
ルシを一目見て気に入り、恋人になるのである。

ステージに立つボンが歌うのは、恋人ルシに捧げる曲なんだけど。
この歌詞に放送禁止用語が入っていて、またもや大笑いしてしまう。
聴いているルシは大感激してたけどね。(笑)
「Bomitoni」は同性愛者で構成されているようで、ボンの右にいるトニもゲイ。
キーボード兼ヴォーカルもゲイだったよ。
ボンとルシはうまくいっているかと思われたけど、運命の相手にはならなかったようで、残念だったね。

ボンを演じたのはMaría Olvido Gara Jovaこと、アラスカ。
アラスカってステージ名、珍しいよね。
どうやら「ペピ・ルシ〜」の時は17歳だったようで、映画の設定と同じなんだよね。
それなのに年増好みとは。(笑)
ものすごく自然に演じていたし、35歳のカルメン・マウラ相手に全く動じてなかったのは見事!
現在も歌手として活動しているみたいだよ。
化粧のせいで「アダムス・ファミリー」っぽく見えてしまうね。

ルシの夫で、ペピをレイプした警察官がこの男。
いかにも助平そうな顔立ちだよね。 
前述したようにレイプとは言っても、ペピ自らスカートをめくって股間を露わにして見せたからね。
行為に対してというよりも、処女を奪われたことにのみ怒りを感じているようなので、貞操観念の違いがあるみたいだけど。
処女に関しての考え方もかなりペピは特殊だと思うので、警察官だけを一方的に責めるわけにもいかないような?

警察官は実は双子だったんだよね。
真ん中にいるのがルシで、警察官が左。
ペピの仕返しにより殴る蹴るの暴行を受けたのが右の弟(?)なんだよね。
あんなに近所に住んでいながら双子だったことに気付かないのもどうかと思うけど?(笑)
この警察官、余程の女好きと見えて、近所の別の女にも手を出す始末。
最後には大団円になって良かったけど、SNAKEPIPEは、こういう男はまた隙を見て浮気を繰り返すはずだと予想する。
ルシは大丈夫なのかねえ。

「ペピ・ルシ〜」にも、やっぱりアルモドバル監督は出演していたね。
時代のせいか、かなり長髪だよ。
このまま「ペドロ&カプリシャス」のメンバーになっていてもおかしくない風貌! 
名前も同じだしね。(笑)
この映画の中での一番お下品なシーンが、アルモドバル監督の登場により行われることになる。
名付けて「息子自慢大会」!(笑)
長さと太さを掛け算した点数で順位を付けるというのだ。
「18cm☓6cm」などとアルモドバルがメジャーで測り、叫ぶ。
それを電卓で叩いて「108よ!」と発表するペピ。
右の画像はズボンを下ろしている男たちの尻と、屈んでメジャーを使用しているアルモドバル。
信じられないようなサイズの持ち主がいることになっていて、アルモドバルが「夢でも見ているのか?」と嬉しそうにしているのが印象的だよ。(笑)
かなり昔に観たパゾリーニ監督の「ソドムの市」にも、少年達の股間を見定めるシーンがあったことを思い出した。
「ペピ・ルシ〜」のほうには笑いがあるけどね!

大好きなペドロ・アルモドバル監督の処女作が鑑賞できて、この上ない幸せだよ!
「ペピ・ルシ〜」は「4年にわたって深夜上映が続くほどのカルト的人気を博し、予算の7倍の興行収入を叩き出した(Wikipediaより)」 というから驚いちゃうよね。
スペイン人はお下品に寛容ってことが分かるよ。
自主制作で完成までの時間がかかり、深夜上映されたというエピソードは、デヴィッド・リンチの「イレイザー・ヘッド」と同じだよね。
本当に自分が撮りたい映画を撮るには自主制作しかないだろうから。
処女作から同性愛について語り、女性を自立させ、おかしなコマーシャルが入り、バンドの曲が流れ、アート作品が点在していたことがわかったね!
こうしてみると、アルモドバル監督の原点を観ることができたし、今でもその原点に近いところにいることがよく理解できたと思う。

最初にも書いたけど、未鑑賞作品が鑑賞可能なようなので、なんとかして手に入れないとね!
完全制覇、頑張ります、(笑)