Monthly Archives: 4月 2019

【相変わらず取って付けたようなビデオで飽きるね】

ROCKHURRAH WROTE:

タイガー・ウッズが実に久々の復活優勝で沸いた今年のマスターズ・トーナメント。
月曜の朝にニュース速報とかでも話題になったからゴルフ・ファン以外の人でも目にしたとは思うけど、日本では深夜から朝の時間にかかってしまうためリアルタイムで観られない人も多かったことだろう。
ウチもそのパターンでゴルフ中継は録画しておいて夜にちょっとずつ観るくらいしか時間が取れない。だからタイガー・ウッズ優勝の瞬間を観たのはその週の後半になってからだった。

いきなりROCKHURRAHのブログとは思えないスポーツネタで意外に思う人も多いだろうが、実はROCKHURRAHもSNAKEPIPEもBSでやっているPGAツアーの試合はほぼ毎週、欠かさず観ているくらいのゴルフ好き(この記事にも書いてるな)なのだ。実際の観戦ツアーに出かけるというほどの熱烈さはないから、半端なものではあるけど。

タイガー・ウッズは去年のPGAツアー最終戦、ツアー・チャンピオンシップでも復活優勝をしているけど、メジャー大会での優勝は11年ぶりなのでより一層の話題になってるというわけ。
背中や膝を何度も手術して、さらに愛人問題のスキャンダル、逮捕などでどん底の不振にあえいでいたのが去年くらいから復調してきて、やっとまた頂点に返り咲いた。この不屈のど根性(たぶん死語)にファンならば歓喜するよね。

多くの人が期待した「劇的な逆転優勝」というのとはちょっと違っていて、去年の全英オープンで優勝したイタリアのフランチェスコ・モリナーリが二度の池ポチャで自滅して何とかトップ。
いつの間にか追いついてきたダスティン・ジョンソンやブルックス・ケプカといった近年のメジャー・チャンピオン達、メジャー大会での優勝はまだないが上位の常連であるザンダー・シャフリーなどの混戦となって、最後は一打スコアを落としてもギリギリ逃げ切って勝ったという「辛勝」だったね。
タイガーはマスターズだけでも5度目の優勝というから、あとマスターズを勝ちさえすればキャリア・グランドスラム(4大メジャー大会全制覇)達成になるローリー・マキロイに分けてあげたいくらいだよ。

さて、このタイガー・ウッズのマスターズ優勝記念としてROCKHURRAHが陳腐な頭脳で考えたのがゴルフ用語にまつわる「俺たち〇〇シリーズ」だ。
知っての通り、70年代のパンクや80年代ニュー・ウェイブばかりに焦点を当てて記事にしている、現代とは思えない内容のROCKHURRAHブログ。パンクやニュー・ウェイブとゴルフは滅多な事では結びつかないと予測して実際にそうだった。だから苦肉の策で「ゴルフでも使われる用語をワンポイントで含んだ曲名」を選んで何とか記事にしてみよう。うーん、苦しい。

ゴルフの4大メジャー大会の中でも特に知名度が高いのがマスターズだが、ROCKHURRAHの世代で言えば往年の有名ゴルフ・ゲーム「遙かなるオーガスタ」で特におなじみの人も多かったはず。
大昔に中古ゲーム屋の店長をしていた頃にも入荷するとすぐに売れてしまうくらいに人気だったが、友達の家で徹夜でやっていた割にはあまりうまくならなかった記憶がある。
今では操作自体もあまり覚えてないけど、変なキャディーがつまらんアドバイスをしてくる、というどうでもいい記憶ばかりいつまでも覚えてるよ。

そのマスターズとはたぶん全然違う意味なんだろうが、とにかくマスターという言葉が入ったので選んでみたのがこの曲「Your Master Is Calling」。ピンク・ターンズ・ブルーはビデオを見る限りそんな風には見えないが1985年に結成されたドイツのバンドだ。
1979年くらいから1984年くらいまでのノイエ・ドイッチェ・ヴェレは好きで良く聴いてたROCKHURRAHだけど、バンド名が英語というだけでこのジャンル好きとしてはテンションが下がってしまう。ジャケットは有名でレコード屋でも良く見かけていたけど素通りしていたな。
改めて聴いてみたが80年代前半のネオ・サイケにも通じる哀愁のある曲調。ただしもう時代は80年代後半、しかもドイツだと考えるとちょっと微妙な立ち位置にいたのは間違いないバンドだな。
ヴォーカルの顔のペイントも寝てる間に落書きされたに違いなく、それだけ油断してる選手(ん?違うのか)には優勝のチャンスはないだろう。

ゴルフ場でグリーンと言えばホールが設けられていて、パットをするための区画なのは誰でも知ってる通りだが、この芝にもベント、高麗、バミューダにポアナなどなど、様々な種類があって素人にはわかりにくい部分。
癖があったり転がりにくかったり、逆に滑りが良すぎたり、その芝目を読んで適切なパットを出来るのが一流のプロというものだ。
パットがイマイチだけど世界一になったようなゴルファーは滅多にいないと思えるから、グリーン上がゴルフの中でも最重要な場所なのは間違いないだろう。ちょっと前はジョーダン・スピースがパットの名手と呼ばれていたけど最近は低迷してるので、今は抜きん出てうまい選手は見当たらないな。

グリーンと曲名についた歌は多数あったけど、どれもこれもゴルフのグリーンとはたぶん全く関係ないだろうと思われる。今回はパットだけにパッと思いついたこの曲で。

ロンドン・ パンクの時代にスタートしてネオ・モッズの頂点に君臨したメジャー・チャンピオンがジャムだが、その5枚目のアルバム「Sound Affects」に収録されていた名曲が「Pretty Green」だ。
この曲はいつものジャムの構成と同じなのになぜか聴いた印象がいつもと違う、その違和感とギリギリのバランスが面白い。5枚目ともなると円熟の境地になるくらいのキャリアなのにね。
同時期の大ヒット曲「Going Underground」が当時のジャムに期待されている要素が全て詰まった代表作なのと「Pretty Green」は対照的だと個人的には感じたけど、そんなでもない?

1パット目が入らなかったという事で2パット目がこれ。
グリーンと聞くといつも真っ先に思いつくくらいにROCKHURRAHに多大な影響を与えたのがマーチ・ヴァイオレッツのデビュー曲「Grooving In Green 」だ。相変わらずゴルフのグリーン要素は皆無だと思うけどね。

1980年代前半にイギリスで起こったのがポジティブ・パンクというムーブメントだ。
それよりちょっと前にバウハウスやジョイ・ディヴィジョン、スージー&ザ・バンシーズなどによって暗くゴシックな雰囲気を持つバンドがパンクに代わるものとして台頭してきたんだが、その発展型として毒々しい化粧やホラー映画の要素を取り込んだのがポジティブ・パンクの始まり。
ポジティブとは名ばかりの退廃的なバンドが蔓延って、バットケイヴというナイトクラブを中心に数年間栄えたものだ。
しかし見た目ばかりにこだわって音楽性に乏しいバンドも続々登場したり、同じ系統ばかりで飽きられたり、もうそんな時代じゃないんじゃないの?という風潮もあって80年代半ばには大体消滅してしまった。
そういうバットケイヴ的なこけおどしを抜きにしてゴシックやダーク・サイケを独自に突き詰めたバンドが地方都市から生まれていったのもこの時代だ。イギリス北部のリーズからシスターズ・オブ・マーシーやこのマーチ・ヴァイオレッツが登場して、化粧しなくても立派にゴシック道(?)を突き進める事を証明した。
この2つのバンドが同じマーシフル・リリースというレーベルから登場したけど、重苦しくひたすらに暗黒なシスターズ・オブ・マーシーに対してマーチ・ヴァイオレッツの方は男女混声の掛け合いやドラマティックな曲調で新境地を切り開いた。
上のビデオは2016年とかその頃のものだと思うんだがやってるのは1982年のこの曲、30年以上も経って尚も当時のままで観客を沸かせているのがすごい。最終的にゴスの帝王と呼ばれたのはシスターズ・オブ・マーシーだが、マーチ・ヴァイオレッツのちょっといかがわしいB級のイメージがやっぱり大好きで、ROCKHURRAHも今でもこんな昔の曲でノリノリになってるよ。

バンカーも誰でも知ってるゴルフ用語で主に砂の窪地の事だね。
PGAのコースには誰かがつけた通称のようなものが数多く存在していて、マスターズの開催されるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブでは11から13番ホールの「アーメンコーナー(最後は神に祈るしかない難所)」などが有名だが、バンカーにもちょっとした名前がつけられている事も多い。
オークモント・カントリー・クラブにある「教会の椅子」などは見た目そのまんまの大きなバンカーで捕まると苦戦すると言われている。が、トップレベルにいる選手たちは大抵は何事もなかったかのようにバンカーを脱出するワザを持っていてバンカー=大ピンチというほどでもないシーンもよく見かけるね。

ゴルフ用語のバンカー以外ではさらに一般的ではない意味でしか(たぶん)使われない言葉だけど、意外な事にバンカーがタイトルについた曲は予想よりも多かったのでビックリ。どれにしようか悩んだがちょっと珍しそうだったので今日はこれにしてみよう。
Poésie Noireというベルギーのバンドなんだけどポエジー・ノワール(またはノワレ)でいいのかな?
ROCKHURRAHがやってる「80年代世界一周」という英米以外のニュー・ウェイブを探してくるシリーズ企画記事でまだベルギーは特集してないけど、もしかしたらまたそこで登場するかもね。
1985年くらいから活動していてシスターズ・オブ・マーシーやデッド・カン・ダンスのツアー・サポートをしたような経歴らしいからその音楽もたぶんそういう傾向にあるんだろう。
そのものズバリ「Bunker Song」と題されたビデオの曲は1989年くらいのもの。
しかしヴォーカルの見た目はキュアーのロバート・スミスを彷彿とさせるようなメイク、それなのにヴォーカルは予想外のドスの利いた低音でかなり意外なスタイル。曲は往年のエレポップの王道を意識したようなもので、全体的なアンバランスが逆に新鮮だよ。さすがニュー・ウェイブ大国ベルギー物は一味違うね。

 「ゴルフなんて全く知らないよ」って人以外なら大抵は知ってると思うけど、規定打数より一つ少なくそのホールを上がれたらバーディ。パー4を3打で終わらせればいいってわけだ。ものすごくコンディションが悪くてごくたまに全部パー以上のプラス何打とかでも優勝出来る場合があるが、通常はバーディやイーグルをいかに多く取るかで優勝が決まると言っていい。

ゴルフ用語ではそういう意味を持つバーディだが、辞書を見ると一般的には「小鳥さん」となってるよ。ただの小鳥じゃなくてなぜか小鳥さんという敬称付きなのがよくわからん。
この言葉ですぐに思い浮かんだのがペル・ユビュの「Birdies」だ。

ロンドンパンクと同じ頃の1977年に1stアルバムを出したオハイオ州クリーブランドのバンドがペル・ユビュでROCKHURRAHのブログでもたびたび登場している。
デブでかなり変なヴォーカリスト、デヴィッド・トーマスを中心にしたバンドだが、アヴァンギャルドでフリーキーな演奏と絶妙のタイミングで入るノイズが混沌として入り混じった、非常にユニークなスタイルを持っていた。
最初の頃はまだロック的な格好良さもあったけど、マーキュリーやフォノグラムのメジャー・レーベルからよくぞ出せたもんだ。80年代くらいからアヴァンギャルドなセンスに磨きをかけた割と難解な作風になってゆくけど、この頃からようやく日本盤も出て、逆に知名度も上がっていったという妙な経歴のバンドだ。
「Birdies」はその日本盤が出た4thアルバムに収録の曲。

日本でも2枚組のサントラLPが出た「アーグ・ミュージック・ウォー」という音楽ドキュメンタリー映画があって、その当時に注目だったバンドの珍しいライブ映像が観れると期待していたもんだ。ところが日本で映画が公開されたのかされなかったのか不明だが、ROCKHURRAHは結局ずっと観る事はなかった。
上のライブ・ビデオはその映画のものだと思うが、デヴィッド・トーマスの明らかに異常だと思える目つきや奇妙なパフォーマンスのインパクトはさすがだね。巨体なのに意外と身軽で小鳥さんジャンプなどが観れる貴重な映像だな。

PGAツアーの試合を行っているのは大抵が世界の一流ゴルフ・コースで、ホテルやリゾート施設に併設されたカントリー・クラブなんだろうな。たまにすごく僻地っぽかったり砂漠の中だったりするけど、都会の近くよりは別世界みたいな感じがしていいな。

世界の一流品やラグジュアリーなものには全く関心がないROCKHURRAHだけど、ゴルフの場合はどうしても金持ちとか高級とかの印象を持ってしまうよ。試合中にギャラリー、マスターズの場合はパトロンと呼ぶらしいけど観客の服装とかを見ると特にそんな感じはしなくて普通だから、「周りは金持ちばかり」などと緊張する事はないんだろうけど。ROCKHURRAHと同じようにヒゲ、長髪、帽子、サングラスというギャラリーも多数見かけるから違和感はないかもね。

そんな数多くのドラマが生まれるカントリー・クラブをタイトルにしたのがアソシエイツの大ヒット曲「Club Country」だ。アソシエイツも何度もウチのブログでは取り上げてるけど、オペラ風の高音ヴォーカリスト、ビリー・マッケンジーの歌声と複雑怪奇に旋律が絡み合う曲作りが特徴のバンド。
日本ではヒットしそうにない要素たっぷりだけどイギリスではなぜか評価が高かったんだよね。
1982年に出た彼らの3rdアルバム「Sulk」は最もヒットした2曲が収録された代表作だけど、その頃が栄光のピークだったと言える。
その後は主要コンビ2人の喧嘩別れでどちらもパッとしない音楽活動を続けていたが、ビリー・マッケンジーが自殺(ずいぶん後になってからだけど)という最悪の結末となってしまう。

ビデオはそういう悲劇の片鱗もなかった人気絶頂の頃のもので、お色気ヴァイオリニストなども配置したゴージャスなステージとなっている。転落したけど見事に復活したタイガー・ウッズのように強い精神を持って続けて欲しかったよ。

というわけで書き始める前から書いてる本人が企画倒れになるのを確信していたけど、見事にタイガー・ウッズ優勝記念とはかけ離れた内容になってしまったね。ただしマスターズと絡めて書ける機会が今日しかなかったから、無理して書いてみたよ。
連休になったらもう少し時間をかけて何か書きたいね。

ではまたジュー ガン マイ(タイ語で「また会いましょう」)。
 

20190414 top
【ロトチェンコのブック・デザイン】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ROCKHURRAH紋章学」としてブック・デザイン編の第3弾をお届けしよう!
ちょっと変で「とほほ」も大好きだけど、やっぱりカッコ良いデザインに巡り合うと嬉しくなる。
特にROCKHURRAHとSNAKEPIPEの目の色が変わるのは、バウハウスやロシア構成主義のようなタイポグラフィの作品なんだよね。
そういえばこの「目の色が変わる」という表現、普通に使ってるけど本当はおかしいよね?
「欲望に支配されて興奮状態となるため、目がギラギラする」ということになるらしい。
なるほどねえ!
話を元に戻そうか。(笑)

今回はロシア構成主義の素晴らしいブック・デザインをまとめてみよう。
1920年代の作品を中心にしているので、アーティストが偏ってしまうかも?

この画像の中でSNAKEPIPEが読めるのは「1921」だけ!(笑)
インポッシブル・アーキテクチャー展」で観た「第三インターナショナル記念塔」を思い出すような建築物が描かれているよ!
この本は一体何だろう?
どうやらこれは「ロシアの郵便料金と電信統計」 の1921年版みたいよ。
一般的な読み物じゃなくて、専門書ってことだよね。
そんな本には思えないオシャレなデザインに驚いてしまう。
制作したのはLyubov Popova、リュボーフィ・ポポーワと読むらしい。
ロシア構成主義を代表する女性アーティストとのことだけど、SNAKEPIPEは初めて知ったよ!
ウラジミール・タトリンの元で働いていたとの記事があり、 「第三インターナショナル記念塔」を連想したのはあながち間違っていなかったわけだ。(笑)
それにしてもロシア構成主義に女性が関わっていたことは衝撃だね。
ポポーワや他のアーティストについて、もっと調べていきたいよ。

インダストリアルにも興味があるので、タイポグラフィと組み合わされたデザインには目がないよ。
はっ!また目に関する慣用句を使ってしまったよ。
「思慮分別をなくすほど好きなこと」だって。
分別まではなくさないけどさ。(笑)
この本は1926年に発行されたロシアの詩人ウラジーミル・マヤコフスキー詩集で、デザインを担当したのはアレキサンドル・ロトチェンコ!(笑)
ロトチェンコについては2012年の「ロトチェンコ-彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児-」で大絶賛の記事を書いているよね!
なんてカッコ良いデザインなんでしょ。
さすがはロトチェンコ!

こちらもロトチェンコのデザインね。
1929年に刊行された「Rechevik. Stikhi 」(読めん!)という小説のブック・デザインみたい。
ひし形に区切られた枠の中を、ボーダーやストライプで塗りつぶしただけなのに、どうしてこんなにスタイリッシュになってしまうのか。
上の作品と同様に、この作品もMOMAのコレクションになっているんだね。
こんなデザインのブックカバーがあったら欲しいな!

これは1928年の雑誌の表紙のようだね。
調べてみると1923年から1925年まで「LEF (“ЛЕФ”)」として、1927年から1929年まで「New LEF」に名前を変えて年に2回刊行されていた雑誌だという。
アヴァンギャルドのアーティストや写真家、批評家やデザイナーなどが所属していた「Left Front of the Arts (“Левый фронт искусств” )」という協会のための機関誌になるのかな。
このLEF、日本語訳だと「芸術左翼戦線」になるみたいだよ!
すごい名前じゃない? 
アメリカの雑誌「Arts & Architecture」の刊行は1940年から、その前身である「California Arts & Architecture」でも1929年刊行ということなので、もしかしたらこの「LEF」を参考にしていた可能性あるよね。
「Arts & Architecture」の表紙も非常にカッコ良いんだけど、それよりもロシアが先だったことに気付いたからね!
「LEF」の編集はマヤコフスキー、表紙を担当したのはロトチェンコ!

いわゆる左派芸術のイデオロギーと実践を再検討し、
共産主義を発展させるための芸術の価値を高めるために
個人主義を放棄することを目的とする

こんなプロパガンダを掲げた雑誌だったとは!
どんな内容だったのか非常に気になるよね。(笑) 

続いてはエル・リシツキーのデザインね!
1924年発行の「The ISMs of Art」はそのまま「芸術主義」と訳して良いのかな。
リシツキー自身の本のようなので、芸術論が展開されていると予想する。
シンプルながら目を引くデザイン。
はっ、また目の慣用句!(笑)
見た目により多くの人々から関心を向けられること」だって。
まさに広告に関連するデザインが目指すところだね。
リシツキーは、1923年に国家主導でプロパガンダのための「フォトモンタージュ研究所」をモスクワに設立したらしい。 
革命のための表現として構成主義が発達した、というところが資本主義国の芸術環境とは違う点だよね。

これもリシツキーのデザイン。
1927年に刊行されたウラジミール・マヤコフスキーの詩集とのこと。
先に紹介したロトチェンコもマヤコフスキーと組んでいたよね。
どんな詩を書いていたのか気になるよ。
内容と装丁は合っていたんだろうか?(笑)

構成主義三原色とでも言うべきベージュと黒と赤だけが使用されたシンプルさ!
色のバランスと空間の使い方が絶妙なんだよね。
SNAKEPIPEが注目したのは右下の赤。
ここに赤を置くかどうかで全体の締まり具合が全然違うんだよね!
こんなデザインのノートがあったら欲しいな。

最後はグスタフ・クルーツィスの作品ね。
詳細がよくわからなかったけど、カタログと書いてあるみたいじゃない?
もしかしたらクルーツィス本人の図録なのかもしれないね。
このデザインも構成主義三原色のみ使用だけど、なんともいえないインパクトがあるよ。
クルーツィスもLEFに所属していたアーティスト。
奥さんのヴァレンティナ・クラギーナもアーティストで、コラボ作品も残っているという。
1932年に共産党中央委員会の命により、全ての芸術団体が解散させられ、クルーツィスは逮捕された後処刑されたとWikipediaに書いてあるよ。
どうやらニューヨーク世界博覧会に出発しようとしたことが理由のようだけど、詳しい事情は不明。
国家や政治が絡み、アーティストが命を落とす非常に悲しいエピソードだよね。
時代が違っていたら処刑はされなかっただろうけど、あの時代だったからこそ素晴らしい作品ができたのかもしれない。

ロシア構成主義のブック・デザインを並べてみたけれど、改めてデザイン性の高さを知ることができたよ。
国が政治のために芸術を使用していたということが、様々な影響を及ぼすことも同時に知ることになった。
今までは作品を観てワクワクするだけだったけれど、少し観方が変わるかもしれないな。
ロシア構成主義やバウハウスについては、これからも勉強していきたいテーマだよ!

 

【六本木クロッシング2019展のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mと久しぶりに約束をした。
友人Mと一緒の時には、必ずといっていいほど映画や展覧会を鑑賞している。
いくつかの候補を出し合った結果、六本木で待ち合わせることにする。

約束の日は、桜が咲いているのにも関わらず真冬並に寒くなってしまった。
こういう時には季節外れと思われても、しっかり防寒すべきなのかな。
迷いながらも、コートやダウンジャケットをやめてレザージャケットにしたSNAKEPIPE。
なんと友人Mもレザーではないか!
2人して薄着だったことを後悔することになる。

森美術館15周年記念展として企画されている「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、展示されているアーティストについて全く知らない状態での鑑賞である。
若いアーティストを紹介しているようなので、知らないのも無理はないかもしれないね。
面白いと感じたのは、「つないでみる」のコンセプトだった。 

価値観の多様性が認められるようになった一方で、オープンであるはずのインターネットが、特にSNSにおいて、意見や認識の同調や共感を助長し、逆説的に閉鎖的なコミュニティを生み出してしまう問題、偏った政治観によって引き起こされる軋轢や拡がり続ける経済格差など、さまざまな「分断」が顕在化しているようです。
こうしたなか、対極のものを接続すること、異質なものを融合すること、本来備わっている繋がりを可視化することなど、アーティストたちは作品を通じてさまざまな「つながり」を提示します。

ちょっと長い文章を引用させてもらったよ!
現代アートとして定義されているような「解説ありき」の作品は無視したいと思っているSNAKEPIPEだけれど、 日本の社会問題をアートの分野に取り入れてみようとする試みには興味を持った。
どんなアートに出会えるのか?
森美術館は基本的に撮影オッケーな展示が多く、作者名や作品名を表記すればネットへのアップも良いとのこと。
更に動画も1分以内なら撮って良いという太っ腹な対応だよ!
さすが森美術館、良いね!(笑)

会場に入ってデーンと御座しますのは、ショッキングピンクのお猫様。
インパクトの強さはピカイチ!(笑)
絶対に誰もが目が合ってしまうんだよね。
近づいてみると口を表している「A」の部分は緑色のビニールテープが巻かれていたよ。
好きとか嫌いを抜きにして「あの大きな猫ね」と記憶に残る作品であることは間違いないね。
それにしてもどうしてこの猫が「小林さん」なんだろうね?
昔「オレたちひょうきん族」で吉田君っていう名前の牛がいたことを思い出したよ。(笑) 

続いて目に飛び込んできたのは佃弘樹の作品。
自分で描いたドローイングやスナップショットのデジタルコラージュだという。
デジタルコラージュって初めて聞いた言葉だけど、結局はphotoshopでレイヤー使って一枚の画像を作るってことで良いみたいだね?
佃弘樹はSNAKEPIPEも大好きな「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」のような映画に強い影響を受けたらしい。
嗜好が似ているアーティストは、やっぱり作品にも惹かれることが多いよね!
様々なイメージのミクスチャーなのに、なぜだかシンプルに見えてしまう。
モノクロームだからかもしれないね。

「こっ、これはっ!」
友人Mと一緒に思わず声を上げてしまった作品「機械人間オルタ」!
土井 樹+小川浩平+池上高志+石黒 浩×ジュスティーヌ・エマールという5人がチームになって制作したという。
動く人形といえば2013年の「大人社会科見学—伊豆高原—」に野坂オートマタ美術館の感想をまとめていたっけ。
あの時に鑑賞した人形は1900年頃に作られた「からくり人形」だったけれど、精巧な作りと繊細な動きに感銘を受けたんだよね。
現代においては、人形というよりはアンドロイドといったほうが適切なのかもしれない。
今回鑑賞した「機械人間オルタ」は、アーティストの作品というよりは研究者の開発という感じみたいだね。
まぶたを閉じたり、言葉にならない声を発したりして、かなり人に近い動きだった。 

どうやら「機械人間オルタ」は 「Scary Beauty」というアンドロイド・オペラで指揮者として活躍しているようで、世界の人工生命研究者には有名な存在らしい。
科学とアートの融合をやっているんだね。
過去のオペラの様子を映像で観たけれど、かなり不気味だったよ。
六本木クロッシングのテーマである「つないでみる」を実践してみせようとしたのが、アンドロイドだったとは!(笑)

現代アートの展覧会で観るのを敬遠してしまうのがビデオ作品。
結局何が言いたいのか分からないと感じてしまうことが多いし、時間が長い作品だと疲れてしまうのが理由なんだよね。
その傾向を逆手に取って作品作りしていたのが会田誠で、笑ってしまったっけ。(笑)
六本木クロッシング2019展では、映像作品にお気に入りが2つもあり驚いた。
平川紀道の「datam」は、「コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理を用いた映像音響インスタレーション」だという。
ああ、やっぱりね!(笑)
この映像は砂嵐のような流れと色彩の美しさを感じるだけではなく、じっと見入らせて動けなくさせてしまうような魔力(魅力?)があるよ。
「『愛と幻想のファシズム』に出てきた狩猟社のCMってこんな感じじゃない?」 
友人Mが言う。
おお!その表現はドンピシャだね!
ずっと部屋に流しておきたいと思うような映像が観られて良かった。
動画撮影1秒過ぎているところは許してちょんまげ!(笑)

竹川宣彰の作品の主役は猫!
猫がオリンピックを開催したらこんな感じなんだろうね。
ポスターは10枚組で展示されていた。
どの競技の猫ちゃんもかわいくて、猫好きにはたまらないね。(笑)
他にはオリンピック会場のインスタレーション作品もあり、陶器で作られた何千もの猫達が所狭しと会場を埋め尽くしていたよ。
みんな背中を向けてスタジアムを見学しているので、目が合わなかったのが残念!

「つないでみる」の会場を抜けて、「MAMコレクション」という別会場へ。
カーテンをめくって中に入ると、真っ暗で何も見えない!
視力が悪いSNAKEPIPEは、急に暗いところに入ると方向感覚を失っちゃうんだよね。
数秒後に目が暗闇に慣れると、中央に緑色の巨大な物体が!
アリ?
大きなアリには出会ったことがないので、急に成長した姿を見せられてもねえ?(笑)
実際の昆虫が大きくなったら相当不気味だと思うけど、緑色に発光したアリはとても美しかった。
米谷健+ジュリアというユニットがウランガラスとブラックライトで制作したという。
環境破壊に警鐘を鳴らす意味を持つ、先住民族アボリジニに伝わる神話「緑アリの教え」をモチーフにした作品との解説があるけれど、解説なくてもタイトル知らなくてもノー・プロブレム!(笑)
とてもキレイだったよ。

今回はもう一つ展覧会を鑑賞することにする。
多分友人Mも「六本木クロッシング2019展」だけでは物足りなかったんじゃないかな。
「これは!」と思う作品は映像の2作品だけだったからね。
そこで次に向かったのは六本木ミッドタウンにある「21_21 DESIGN SITE」である。
ここは2014年に「好き好きアーツ!#26 DAVID LYNCH-鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展とイメージメーカー展」でデヴィッド・リンチのリトグラフをバシバシ撮影したことがある美術館だったよ!
きっと今回も撮影オッケーに違いない。(笑)
寒空の中、友人Mとミッドタウンに向かったのである。

ミッドタウンには見事な桜並木があり、海外からの観光客も多く賑わっていた。
お花見しながらシャンパンを頂くイベント(?) が催され、透明のテントがいくつか並んでいた。
日差しが暖かい日だったら絵になる光景だけど、あの寒空にシャンパンはどうだろうね?

「21_21DESIGN SITE」で開催されていたのは「ユーモアてん。」。
チケットを買おうとするとフランス人(?)のツアー客が列を作っている。
かなりお年を召した方々で、あまり美術館に慣れていなかったのかもしれない。
途中で撮影不可の展示を撮影して注意されていたよ。(笑)
そう、今回の展覧会は撮影不可が多くて、ちょっとがっかりだったんだよね。 

撮影して良い作品の中に四谷シモンの球体人形を発見!
「機械仕掛けの人形2」とカーテンで仕切られた「18禁」の小部屋に「未来と過去のイヴ」のシリーズから、もう1体展示されていたよ。
この「18禁」の部屋には、他に春画などが展示されていた。
せっかく仕切りを付けるなら、もっと充実した展示品にして欲しかったなあ。
展示方法もおざなりで、イマイチだったんだよね。

そうは言っても四谷シモンの人形を愛して止まない友人Mは展示に大喜び。(笑)
隣には金子國義の絵も展示されていて、この空間だけ異彩を放っていたよ。
どうして「ユーモアてん。」で展示されているのかは謎だけど、好きな作品を鑑賞できるのは嬉しいよね!

2週間前に書いた「岡上淑子 沈黙の奇蹟 鑑賞」で何度か名前が登場した、瀧口修造の作品も展示されていたよ。
瀧口修造の作品を観るのは、今回が初めてかもしれない。
10点ほど展示されていたけれど、どれも小さな作品だった。
画像は人の口元なのかな?
多重露光したプリントの、パーツだけを切り取って見せていると推測する。
瀧口修造に特別な思い入れはないけれど、この1ヶ月の間に数回出会うことに意味があるような気がしてしまうよ。(笑)
また近いうちに登場するかもしれないね?

一番最後に展示されていたのが中村至男の「7:14」だった。
これは9枚組の作品なので、載せた画像の2枚だけを観ても意味不明かもしれない。 
朝の7時14分にトースターから飛び出たパン2枚を、様々な角度から描いた作品なんだよね!
そのため「7:14」の主役は2枚のパン。(笑)
キッチンの様子、トースターとパンのアップ、更にトースターに近づく、トースター側面からの描写、家の外から飛んだパンを観察など、漫画や映画のカット割りの手法とでも言ったら良いのか。
大抵の場合、人物に対してその手法を使用すると思うので、パンに対してという点が面白かった。
中村至男について調べてみると、シンプルな線で小ネタが効いた作品を制作していることが分かった。
「くすっ」と笑える作品はHPで観られるので、お勧めだよ! 

今回は2つの展覧会をハシゴして鑑賞した。
展示数はたくさんあったけれど、「これは!」と思う作品は少なかったかな。
若手アーティストにスポットを当てた「六本木クロッシング2019展」では、観ているこっちが恥ずかしくなるような学芸会レベルの展示もあり、残念に思った。
「ユーモアてん。」での残念なことは、記憶にとどめるために記録したいと思った作品の多くが撮影不可だったこと。
ポスター作品でも撮影がダメなのは、作者というよりは企業側の問題なのかもしれないね?

当ブログとしてはまさかの3回連続での「行ぐぜ!exhibithion」を書いてしまったね。
2018年に、ほとんど展覧会に行かなかった反動かもしれないな。(笑)