SNAKEPIPE MUSEUM #20 Germaine Richier

                   


【Germaine Richier 1946年の作品:La Mante。人?未確認生物?】

SNAKEPIPE WROTE:

先日久しぶりにIKEAに行ってきた。
今まで一度も行ったことがない長年来の友人Mのお付き合いである。
当然ながら前回行った時とはディスプレイが変わっていて、2DKの50m2用といった具合に、見る人が自宅を想像し易い商品紹介をしていたのが面白かった。
相変わらず上手い戦略立ててますな!(笑)
あんなにスッキリ部屋がまとまることはないのに、IKEAに行くと整然として清潔感溢れる、豊かな生活が実現できそうな気分になっちゃうから不思議だ。
リビングはテーブルと椅子、写真集を置くための理想的な本棚があり、ゆっくりお茶を飲みながら鑑賞できる。
そして背面には大きな壁があるから、そこには絵画や写真をドーンと飾れる。
こんな素晴らしい環境だったら、どんなに素敵かしら?
と、妄想を膨らませるSNAKEPIPE。
まんまとIKEA戦法にやられてるね。(笑)

帰宅後妄想の中での部屋のディスプレイを開始!
壁に飾る絵や写真、棚に置く良い彫刻はないかな、と探してみたのである。
ここで発見したのが上の作品。
なんとも不気味で存在感のある奇妙な形!
ものすごくSNAKEPIPEの好みである。(笑)
この作品を制作したのは誰だろう?

調べてみるとこれはGermaine Richierというフランス人の作品だった。
フランス人の名前の読み方はよく分からないんだけど、多分ジャーメイン・リシエで良いと思う。(違ってるかもしれないけど)
そしてなんとジャーメイン・リシエは女性だったんだよね!
ジャーメインといえば、パッと思い付くのがジャクソン・ファミリーのジャーメイン・ジャクソンだったから、勝手に男性だと思ってたよ。(笑)
日本でも男性なのか女性なのか判らない名前はあるもんね。
そしてジャーメイン・リシエは、日本ではほとんど知られていないアーティストのようなので、またもや(!)SNAKEPIPEが翻訳して紹介致しまする。
誤訳があったらごめんなさい。

ジャーメイン・リシエは1902年アルル近くのグランで生まれる。
モンペリエの美術学校において、ロダンの元助手だったルイス=ジャック・グイグエの元で、1929年にグイグエが亡くなるまで勉強をする。
その後パリへ。
この間にアルベルト・ジャコメッティと知り合う。
この時期にセザール・バルダッチーニとも知り合っているらしい。
二人共彫刻界での巨匠だよね!
きっと物凄い高尚な話題で盛り上がってたんだろうな。(笑)
1936年にPrix Blumenthalを獲得する。
これは若いフランス人アーティストを発掘し援助する目的で開催されていた、期間限定のパトロン企画みたいな感じなのかな。
Franco-American Florence Blumenthall財団が2年間で約10000フランの資金提供をしてくれたらしい。
お金よりも、世間的に認められたという実績のほうが大きい感じなのかな?
1951年にはサンパウロ・ビエンナーレにて彫刻賞を受賞。
1959年に死去。
リシエの作品はペギー・グッゲンハイム・コレクション(マックス・エルンストの元妻)やテートなどに所蔵されているらしい。

有名彫刻家の名前はゴロゴロ出てくるわ、所蔵されている美術館も有名所はたくさんあるわ、でお見事だよね!
こんな女流彫刻家なのに、日本語で検索しても出てこないのが不思議。
名前の日本語読みが間違っているのかしら?(笑)

ジャーメイン・リシエは、コウモリ、ヒキガエル、クモや人間と動物のハイブリッドのような創造物を彫刻として作品にする。
SNAKEPIPEが一目惚れした作品も、タイトルでは「La Mante」、英語で「The Mantis」と書いてあるのでカマキリだろうけど、人間との融合に見えないかな?
例えば古代エジプトやギリシャ神話の中に出てくる神にも人間と動物の融合体を見かけるけど、昆虫と人間のハイブリッドは珍しいよね?(笑)

上の作品は「la chauve-souris」(1946年)で、これはどうやらコウモリと人間が混ざっているように見えるよね。
「コウモリ人間」といえば「バットマン」。(笑)
「バットマン」はコミックとして初めて登場したのが1939年というから、丁度年代的には同じくらいの時期になるね。
リシエが「バットマン」に影響を受けて制作したのかどうかは謎!

ジャーメイン・リシエについての解説には一言も出てきていない単語だけれど、モチーフや作品を観る限り、SNAKEPIPEにはシュルレアリスムの影響を受けているアーティストに見えるな。

上の写真はブラッサイが1955年に撮影したジャーメイン・リシエとその作品。
ブラッサイ!
SNAKEPIPEはもちろん、ブラッサイが写真家だってことは知ってるし、写真の勉強していた時には、必ず出てくる名前だったはずなのに代表作を思い出せないよ!(笑)
ブラッサイについて書いてあるWikipediaによれば「同時代の芸術家達と親交があった」って書いてあるから、アーティストの撮影をしていたのは納得だね。

鏡を使って作品をダブルに、本人の顔を鏡の中に見せておきながら、リシエの手はこちらにあるという、なかなか凝った構図で撮影してるよね。
これもやっぱりシュールな感じでとても好き!
魅力的なポートレート写真に仕上がってるよね。
さすが、ブラッサイ!(←知ったかぶり)

ジャーメイン・リシエは彫刻以外にエッチングも手がけていたようだ。
上の作品は1948年から1951年にかけて制作された「Chauve-souris」、英語名は「Bat」である。
前述した彫刻作品と同じタイトルで、モチーフも全く同じだよね。
リシエにとって「コウモリ人間」は、かなり重要な意味を持っていたのかな。
それにしてもこの絵の雰囲気、どこかで観た気がする。

ウィリアム・ブレイクの「The Great Red Dragon and the Woman clothed with the Sun」(大いなる赤き竜と日をまとう女 1803年–1805年頃)に似てるよね?
縦位置と横位置の違いはあるけど、構図も近い。
どうやらこの作品は「ヨハネの黙示録」(新改訳:第12章:1-5)のシーンを描いたものらしく、「聖母マリアとキリストの象徴と竜との戦い」らしい。
上にいる「火のような赤い大きな竜」が下にいる妊婦が産む子供を食らうために待ち構えている図とは知らなかった。
「赤い竜」とはサタン、邪悪そのものを表しているらしい。
トマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」にも、ここまで詳しい説明はなかったかな?
リシエが「コウモリ人間」を「赤い竜」になぞらえてモチーフにしていたとすれば、「コウモリ人間」もサタンだったり、邪悪な存在を表現していたのかもしれないね。

1940年代から1950年代に、フランスでどんな文化が流行していたのか、SNAKEPIPEはあまり詳しくない。
パッと思いつくアーティストは、ほとんどが男性だしね。
そんな中ジャーメイン・リシエは、異形モチーフを作品にする特異な存在だっただろうね。
光より闇、正義よりも悪を好んで制作していたように思われるリシエの作風は、現代でも充分通用すると思う。

また好きなタイプのアーティストに出会えて良かった。
実際に作品を鑑賞してみたくなったよ。
まさかの2週連続同じ締めくくりだけど、やっぱりロンドンのテート行かないとダメかしら?(笑)

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