アンチヴァイラル鑑賞

                   

【アンチヴァイラルのトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

今年の4月中旬にデヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作「コズモポリス」を観に行った。
主人公が所有するキャデラックに、複数の人が交代で乗車し、そこで繰り広げられる会話や行為を描いた映画だった。
一緒に観に行った友人Mは途中から爆睡していたというほど、淡々として動きがなく単調で、SNAKEPIPEもブログのネタにすることができなかったんだよね!
あとから解説や他の人の感想を読み、多少は理解できたけれど、風刺と言われてもねえ?
結局のところは好みじゃなかったんだろうね。(笑)

そのクローネンバーグ監督の息子が初監督した映画が公開されるというニュースを持ち込んだのは、またもや友人Mだった。
「面白そうだから観に行こうよ!」
「コズモポリス」の時も同じセリフを言ってなかったか?(笑)
トレイラーを確認すると、確かにちょっと面白そうである。
公開する劇場を調べてみると、関東地方で埼玉、千葉、東京、神奈川のそれぞれ1館でのみ上映とされている。
SNAKEPIPEと友人Mが近いのは渋谷シネマライズだった。
そしてびっくりなことに上映期間はたったの3週間のみ!
無名監督の作品上映って、最近はこんなもんなの?

いくら初監督作品とはいっても、お父さんは有名な監督だから、2世監督なわけだよね?
2世タレントとか2世俳優とは違って、あんまり話題にならないのかな?
2世監督としてパッと思い付くのは、フランシス・コッポラ監督の娘、ソフィア・コッポラデヴィッド・リンチの娘、ジェニファー・リンチかな。
上の話とは関係ないけれど、デヴィッド・リンチのサイトにセカンド・アルバムに関するニュースがあったよ!
なんと7月15日に発売予定らしい。
もしかしたら今は、映画制作より音楽に興味があるのかしら?(笑)
話を元に戻して。
そして今回2世監督として追加されることになったのが、デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグである。
1985年生まれというから、28歳の若手ですな!(笑)

3週間しか上映していないので、慌てて予定を合わせ渋谷に向かう。
シネマライズ、随分久しぶりだなあ。
前に何を観に行ったのか、思い出せないほど。
もしかしたらフランシス・ベーコンを描いた「愛の悪魔」だったかもしれないな。
長らくご無沙汰だったシネマライズに向かい、当日のチケットを買うために販売開始時間前に待っていたのは、なんとSNAKEPIPE1人だけ!
もしかしたら行列しているかもという予想は大きく外れた。(笑)
館内に入って更にびっくり。
約200人が入れる劇場に、お客さんはたったの15人のみ!
SNAKEPIPEと友人Mを含めての数である。
これで経営が成り立つんだろうか、と余計な心配までしてしまう。
ゆったり鑑賞できるのは有難いけど、大丈夫か、シネマライズ?(笑)

ではあらすじに感想を加えながら書き進めてみよう!


近未来の話。
この世界ではセレブリティとの究極の繋がりを求めて、様々な病気に感染したセレブリティのウイルスが売買されている。
セレブリティのウイルスをマニアに注射する「ルーカス・クリニック」に勤務する注射技師シド・マーチが主人公。
シドは巧妙なセールストークで、ウイルスの販売に貢献する。
「熱狂的なファンのあなたには、こちらのウイルスはいかがでしょう?」
高いお金を払って、セレブリティと同じ病気になりたいと思う客がいることが不思議だけど、この世界ではその行為が成立するみたいだよ。(笑)
自分のウイルスを売るセレブリティにも疑問を感じるけどね?


「ルーカス・クリニック」では真面目そうな社員ということで通ってるシドだけど、実は希少価値の高いウイルスを外部に持ち出し、闇マーケットに横流しするという違法行為を行なっている。
客に注射した後の残りを自分に注射して、自宅でウイルスだけを取り出すんだよね。
そんなことができる装置まで隠し持ってるし、闇販売ルートまで確保してるんだから恐れ入る。
そして闇ルートが確立されているほど、たくさんの人がセレブのウイルスに関心があるということも判るよね。


ある日、大人気のセレブリティで究極の美の持ち主ハンナが原因不明の重病に冒されて突然死亡。
映画の中では「中国で原因不明のウイルスに感染」と言われていたよ。
なんだか本当にありそうだよね。(笑)
ハンナの死の直前、ハンナから直接採取したウイルスを自らの肉体に注射していたシドも、異様な幻覚症状に見舞われる。
ハンナを死に至らしめた特殊なウイルスの唯一の宿主となったシドは、何者かに追われ始める。
そしてウイルスをめぐる巨大な陰謀の真相究明に乗り出すのだが…。
というところで、あらすじに関しては終わりにしておこうかな。
本当はラストを知ろうが知るまいが、どっちでも良いタイプの映画だと思うんだけどね。

SNAKEPIPEがこの映画で一番面白いと感じたのは、上に書いたそのまま「ウイルスの売買」って行為だったから。
熱狂的なファンが、憧れの人に少しでも近付きたいと思い、その人が身に付けていた物と同じ物を購入する、オークションで縁のある物を多額のお金で手に入れる、似た顔に整形する、なんていうのは今でも行なっている人が多い行為だよね。
それをもっと突き進めていくと、病気を共有したい、細胞が欲しいというレベルになっても不思議ではないなあと思うのである。
SNAKPIPEはいくらファンだとしても、「同じ病気になりたい!」とか「うつされたい!」とは思わないけどね。(笑)

ブランドン・クローネンバーグのインタビューによれば、この映画は細胞からステーキ肉を作るというような、実際の技術から着想を得たという。
そして誰かに夢中になり過ぎると、それは一種の狂気になるというのがテーマとのことらしい。
着想から8年かけて完成させたというから、かなり強い思いがある作品なんだね!

それ以外のSNAKPEIPEの感想は、と言うと。
主人公シドを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、この役柄を非常にうまく演じていたんだけど、顔や腕とか背中のそばかすが物凄いんだよね。
役作りのために描いたのかな?と思ってしまうほど。
手が血だらけの上の写真でも判るよね。
この映画が108分みたいだけど、恐らく90分くらいは具合が悪い状態だったよ! 主人公がここまで具合が悪い映画っていうのも珍しいよね。(笑)


お父上であるデヴィッド・クローネンバーグ監督と同じように「ボディ・ホラー」というジャンルで括られている映画なので、細胞科学の知識が全くないSNAKPIPEには
「今、彼は一体何をやってるんだろう?」
と思うような場面があったんだよね。
シドが自分にウイルスを注射しているのは、てっきりセレブへの憧れのためだと勘違いしていたから尚更かもしれない。
そして自分の血液からウイルスだけを取り出す作業も、観ている時には意味不明だった。
鑑賞前には解説を全く読まなかったので、帰宅後に調べてみてやっと意味が理解できたような次第。

病気のウイルスに顔があり映像化できるとか、ウイルスをコピーされないようにガードをかける、もしくはコピーガードを外すといったような、まるでパソコンで使うような言い方がされているのはは面白かった。
病気のウイルスとして出てくるのが、歪んだ顔の画像。(上の写真)
その歪みによって不調が判るとされてるんだけど、この画像ってまるでフランシス・ベーコンだよね。(笑)
悪いウイルスの画像コレクション、あったら欲しいな!
と書いてからまた調べてみたら、ベーコンからの影響を受けていることが載っていたよ。
ああ、やっぱり!って感じだね。

もう一つ気になったこと。
SNAKEPIPEは、欧米諸国の人達の考え方として「私は私」というような、個性とか個人としての自立や確立を尊重し、自己顕示欲が強い人種だと思ってるんだよね。
この映画の中では、ほんの数人のセレブだけを対象に、その人達に近付きたいと誰もが思っているというところが理解し難かったな。
もう少しマニアックなファンが登場しても良かったかもしれないよね?(笑)
元々SNAKEPIPE自身が特定の誰かに憧れるということがないから、余計解らなかったのかもしれないけどね。
熱烈に支持する誰かがいる人には、共感できるのかな?

「この前のお父さんの映画よりは面白かったかな」
とは友人Mの感想。
冒頭に書いた「コズモポリス」と比べて、ということだけど、そうは言いながらもまた少し寝ていたらしいので、本気の発言かどうかは不明である。(笑)

残念ながら、SNAKEPIPEはデヴィッド・クローネンバーグ監督の初期の傑作と言われている「ラビッド」や「ヴィデオドローム」を観てないんだよね。
どうやらROCKHURRAHはかなり早い段階からクローネンバーグ作品に触れていたらしく、「ラビッド」も「ヴィデオドローム」も「スキャナーズ」も鑑賞済とのこと。
さすがホラー好きだね!(笑)
「アンチヴァイラル」には、それらとの関連を指摘するような解説が載っていたけれど、考察できないのが悔しいな。

そういえば「コズモポリス」では主人公の婚約者の役どころだった女優が、「アンチヴァイラル」ではセレブリティ役で登場していたね。
親子で同じ女優を採用するとは。
やっぱり好みが似ているのかしらね?

渋谷のシネマライズでは6月14日まで上映しているようなので、気になる方はご鑑賞あれ!
シネマライズのトイレ、ものすごく80年代っぽくて、なかなか良かったよ!(笑)

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