好き好きアーツ!#25 Pedro Almodóvar part4

                   

【今回特集した5本の映画のポスター】

SNAKEPIPE WROTE:

前回の予告通り、ペドロ・アルモドバル監督特集第4弾!
宅配レンタルにて鑑賞することができた初期の作品5本について、簡単な感想をまとめてみたいと思う。
アルモドバル監督の処女作は1980年の「Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón」とのことだけれど、この作品は日本未公開であり、DVDも発売されていないらしい。
続く1982年の「セクシリア」(原題:Laberinto de pasiones)も残念ながら入手できなかった。
1983年の「バチ当たり修道院の最期」(原題:Entre tinieblas)は鑑賞できたので、この作品からまとめていこう。
※鑑賞していない方はネタバレの可能性がありますので、ご注意下さい。

スペインのある修道院は、資金難で閉鎖寸前だった。
そこの修道女たちは、なんとか修道院を維持しようと努力する。
そこへナイトクラブの歌手・ヨランダがやってきた。

カルメン・マウラチュス・ランブレアベマリサ・パレデスら、すでにお馴染みになった女優陣が揃ってるだけで嬉しい!
当たり前だけど、みんな若いなあ!(笑)
それぞれ尼僧の格好をしていて、顔しか出ていないため映画の中の名前で識別するのがちょっと難しい。
特に「バチ当たり修道院の最期」ではニックネームのような「○○尼」とお互いを呼び合っているから尚更だ。
墜落尼、ドブネズミ尼、肥溜尼ってひどい呼び方だよね。(笑)

ナイトクラブの歌手ヨランダの服装がいかにも80年代で良い感じ!
歌手の楽屋でのシーンは「オール・アバウト・マイ・マザー」を彷彿とさせるね。
尼長がレズビアンでヤク漬け、なんて設定もアルモドバル監督らしい。
修道院内にトラが飼われている、ミスマッチも効果的だね。

1984年の作品「グロリアの憂鬱」(原題:¿Qué he hecho yo para merecer esto?)。

家事や仕事に追われ、その日一日をなんとか終えることに奔走する平凡な主婦グロリア。
家政婦のようにしか思っていない夫や反抗する息子たち、そして義母の小言を聞かされながら毎日を過ごしている。
そんなある日、グロリアは人生が変わってしまうような事件を起こしてしまう。

主演はカルメン・マウラ!
お金のやりくりに疲れた主婦役を好演している。
グロリアが最初に登場するのは剣道場なんだよね。
このシーンがちょっと謎!
掃除の仕事をしてたってことで良いんだろうか?
生活に追われた主婦という設定は、「ボルベール」でのライムンダと同じだね。
展開も非常に良く似ているので、グロリアは多分元ネタなんだろうな。

義母の役でチュス・ランブレアベも登場。
この時点ですでにお祖母ちゃん役なんだけど、実際には52,3歳くらいだったはず。
「ボルベール」でのパウラ伯母さんと変わらない感じだったから、老け役の人は逆に年を取らないんだろうね。

グロリアの隣に住んでいたのがヴェロニカ・フォルケ演じるクリスタル。
そう、「キカ」の主役であるスペイン版うつみ宮土理ね!(笑)
クリスタルは自宅で風俗店を営業している。
もちろんクリスタルがオーナー兼従業員なので、来たお客さんを相手にするのも全てクリスタルである。
「キカ」で大笑いした、ヴェロニカ・フォルケが喋りまくるシーンがここにもあり、きっとこれが元ネタだろうと感じる。

グロリアが生活に困っているからという理由で、簡単に次男坊を養子に出すシーンは呆気にとられてしまった。
次男坊も母親との生活よりも電化製品が揃っているお金持ちの家の子になるほうが良い、と養子になることに賛成したのもびっくり!
この話の展開がさすが、アルモドバル!(笑)

アルモドバル監督自身も映画内でのテレビドラマ(?)で登場しているんだよね。
真っ赤な貴族っぽい衣装着てる監督はトレイラーの中でも鑑賞できるよ!
女装した男と一緒に演じてるんだけど、このドラマの内容は不明。(笑)

もう一点すごく気になったのが、薬局にいる店員の女性。
まるでディバインみたいな化粧したおばちゃんなんだよね。
スペインには本当にあんな店員、いるんだろうか?(笑)

この女優さんはこの時以外登場してないんだけど、かなりインパクトがあるから、是非他の作品も観てみたいよね!

1986年の作品「マタドール」(原題:Matador)と1987年の「欲望の法則」(原題:La Ley del deseo)は未鑑賞!
どっちも面白そうな作品なのに、手に入らなかったんだよね。残念!
1988年、世界的に話題になった「神経衰弱ぎりぎりの女たち」(原題:Mujeres al borde de un ataque de nervios)はタイトルを覚えているので、きっと当時鑑賞していたに違いないね。

女優のペパは突然留守番電話で恋人イヴァンに別れを告げられ、旅行の荷造りを頼まれる。
ペパは彼の旅行には、昔のイヴァンの恋人・ルシアが同伴するものだと思い彼女の家を訪ねるが、ルシアも旅行にはペパが同伴するのだと思っており、お互い疑心暗鬼に陥る。
精神的に参ってしまいそうな彼女のところに、ペパの友人のカンデラ、イヴァンとルシアの息子・カルロス、カルロスの許嫁マリサがやってくる。

主演はまたもやカルメン・マウラ。
初期の作品からの常連との情報通りだね!
今回は女優のペパという役なので、キリッとして化粧もバッチリ。
恋人であるイヴァンに未練タラタラなんだけど、強い一面も垣間見せる。
有名な女優という役どころなのに、一人で街を歩きまわっても、誰にも騒がれないんだよね。(笑)

ペパが登場する洗剤のCMがとても印象的!
あんなコマーシャルがあったら大評判だと思うよ。(笑)

ペパが呼び止める度に登場するマンボ・タクシーも良い味出してるんだよね。
音楽は乗る時によって違うけれど、あんなに個性的なタクシーだったら人気が出るんじゃないかな。(笑)

ペパが恋しいけれど憎いイヴァンに飲ませようと、睡眠薬を入れたガスパチョを作るシーンは「抱擁のかけら」での「謎の鞄と女たち」にも出てきたエピソード。
ちなみにガスパチョとはスペイン料理で冷製スープのことね。
セリフにも近いところがあったし、部屋のベッドを燃やすシーンも同じだよね。
アルモドバル監督はセルフパロディじゃないけど、自分のネタをもう一度使うことが多いんだね。

元恋人の息子として登場したのがアントニオ・バンデラス演じるカルロス。
バンデラス、ものすごく若いね!
そしてその恋人がロッシ・デ・パルマ演じるマリサ。
バンデラスとロッシのカップルってどうなんだろう?(笑)
「私のこと愛してる?」
と問うマリサに「その話はあとで」とはぐらかすカルロス。
もうこの会話だけで関係が良く解るよね。

元恋人でカルロスの母親ルシアは「バチ当たり修道院の最期」でレズビアンの尼長だったフリエタ・セラーノ
まぶたにはみ出すようにまつげを描いているような、派手な化粧にびっくり。
尼僧だったのに!(笑)

ピストルでバイクの男を脅して、スカート姿でバイクの後ろにまたがるようなアクションを見せるとは驚き!

ドタバタしていながらも、ペパが自立する様を描いている作品なので、女性賛歌作品へとつながる主題だったといえるだろうね!

1990年の作品「アタメ」(原題:¡Átame!)。

食事と休息を得るために、精神病院に入退院を繰り返す男リッキー。
彼は結婚して、まともな生活に戻ることを決意する。
彼が相手に選んだのは、ポルノ女優のマリーナだった。

リッキーを演じているのが、またもや若いアントニオ・バンデラス。
本当におかしいのか、作戦として演じているのか判らない奇妙な男の役を好演している。
平気で物を盗み、撮影所にあった長髪のカツラをかぶって歩くヘンなヤツ。
思い込んだら命懸け、を実践するのはかなりアブナイよね。
病院内で受けた職業訓練が役立って良かったね、リッキー!(笑)

ポルノ女優マリーナはビクトリア・アブリルが演じていた。
「キカ」の時にはゴルチェの衣装を着て、「今日の最悪事件」というテレビ番組の取材から司会進行まで一人で担当していた、あの女性である。
一方的に思いを寄せられ、いつの間にか心変わりしているのは、やっぱり「ストックホルム症候群」なんだろうね。
wikipediaの「ストックホルム症候群を題材にした映画」のリストに「アタメ」を加えてもらいたいね!

「アタメ」の中にも映画を撮影しているシーンが出てくる。
マリーナはその映画内映画でも主演女優を演じているんだけど、この映画の監督が無神経な発言をするので驚いてしまう。
マリーナの姉に向かって「キミはブスだけど胸と尻はなかなか良い」と言うのだ。
セクハラどころじゃないよね?
妹思いのハキハキした、ちょっと磯野貴理子似の良いお姉さんなのにね!
監督の妻役は「神経衰弱ぎりぎりの女たち」でルシアを演じたフリエタ・セラーノだったよ。
ポルノ映像を食い入るように見つめる夫にしかめっ面。
うーん、やっぱりイヤな男だ。(笑)

ストリートでたむろしているドラッグの売人役でロッシ・デ・パルマが登場。
子分を従えた姉御の役で、やっぱりインパクトあるなあ。
リッキーに対して殴る蹴るの暴行を働く、かなり危険な女を演じていた。
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」では、アントニオ・バンデラスに裏切られる役だったので、この映画の中で仕返ししてるようにも見えちゃうね。(笑)

「アタメ」もラストに驚愕してしまう映画だった。
現実はこんなことにはならないだろうから、決してマネをしないようにね!(笑)

翌年1991年の「ハイヒール」(原題:Tacones lejanos)は未鑑賞。
ビクトリア・アブリルとマリサ・パレデスが出演しているみたいで、興味ある内容だけに残念だなあ!
1993年の「キカ」についてはアルモドバル監督part1にまとめてあるね。

1995年の「私の秘密の花」(原題:La flor de mi secreto)。

ロマンス小説の覆面作家として活躍するレオ。
しかし現実は小説のようにうまくいかず、愛する夫に冷たくされ、寂しい毎日を送っていた。
ある日とうとう我慢できなくなった彼女は、心理カウンセラーである親友ベティに助けを求める。
取り乱すレオを心配したベティが気分転換にと彼女に新聞記者のアンヘルを紹介したところ、彼はレオにひと目惚れしてしまう。

ロマンス小説家レオを演じたのはマリサ・パレデス。
知的で雰囲気のある美人なので、小説家が良く似合っているね!
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」でのカルメン・マウラ演じるペパと同じように、夫の愛情に飢え、相手の反応で一喜一憂する女性である。
社会的には成功しているように見えても、芯の部分は男性に依存しているような設定がアルモドバル監督の好みなのかも?

レオの母親役をチュス・ランプレアヴェが演じて、妹役がロッシ・デ・パルマというすごい家族構成!
チュスとロッシの罵り合いのシーンは、どこの国の家庭でもありそうで非常にリアルだったね。
身内というのは、血がつながっているだけに容赦がなくて、言いたいことを言う間柄だからこその口喧嘩なんだろうけど。
ウマが合わない母娘というのは、意外と多いよね。

レオの家で働く家政婦にマヌエラ・ヴァルガス、その息子としてホアキン・コルテスが出演している。
2人共有名なフラメンコ・ダンサーとのこと。
映画の中でも2人のフラメンコを観ることができるよ!
ダンサーなのに、役者としても通用する演技をみせているのがさすがだね。
アルモドバル監督の作品には、今までも様々なアーティストが登場しているけれど、全く知らない世界を少しでも垣間見せてくれるのが嬉しいね!

レオに一目惚れする新聞記者のアンヘルを演じていたのが、フアン・エチャノヴェ
太めで人が良さそうな風貌は、我らがハビエル・カマラに通じる雰囲気ね。
はっ、いつの間にか「我らがハビエル・カマラ」って書いてるよ!(笑)
広場でくるくる回って、ぱったり倒れるシーンは大笑いしてしまった。(笑)

傷ついた心を癒やすために、母親と一緒に田舎に帰ったレオはゆったりした時間を過ごし、少しずつ自分を取り戻していく。
「ボルベール」に出てきたラ・マンチャの景色や家に良く似てたんだけど、同じ場所だったのかな?
初老の女性達が地方に伝わる方法で編み物しながら、声を揃えて歌うシーンは、平凡だけど穏やな気持ちになれた。
優しい人間関係がレオを癒してくれたんだろうね!

心理カウンセラーの親友ベティを訪ねた時に臓器提供に関する話題が出てくる。
息子の臓器について思い悩む女性の名前がマヌエラ!
「オール・アバウト・マイ・マザー」の元ネタは、これだね。(笑)

1997年の「ライブ・フレッシュ」(原題:Carne trémula)も残念ながら未鑑賞。
ハビエル・バルデムとペネロペ・クルス夫婦共演の映画、観たいなあ。
処女作はDVD未発売とのことなので、仕方がないけど。

セクシリア
マタドール
欲望の法則
ハイヒール
ライブ・フレッシュ

この5本はいつか是非鑑賞してみたいなあ!

ペドロ・アルモドバル監督の作品は原色の使い方が特徴的と言われているけれど、室内の装飾が素晴らしく色彩も鮮なので、本気でスペイン移住を考えちゃうほど憧れてしまうね!(笑)
どうして学生の時にスペイン語を専攻しなかったのか、と今更ながら悔やむよ。

他にも気になったアルモドバル監督の特徴といえば。
鏡を使い、複数の人物を画面に入れ込む構図や女性が下着をおろしてトイレに座るシーンかな。(笑)
トイレの後に何かしら事件が起きるので「あ!流してない!」と叫んでしまうSNAKEPIPE。
使用後は水を流そうね。(笑)

自分でも驚きの4回連続のペドロ・アルモドバル監督特集!(笑)
最近ここまで集中して鑑賞し、大好きになった映画監督がいなかったので、熱がこもってしまうのは仕方ないかな。
アルモドバル監督の次回作「I’m so Exciited!」も楽しみ!
いつ日本公開されるのか、今から待ち遠しいね!

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