CULT映画ア・ラ・カルト!【15】「一寸法師」「陰獣」

                   

【タランティーノもびっくり!赤い妖艶な世界】

SNAKEPIPE WROTE:

物心ついた頃から好きだったのは、何故だかエロ・グロ・ナンセンスに分類されてしまうような怪しげな世界である。
日本の小説でお気に入りだったのは、江戸川乱歩と夢野久作。
もしかしたら「好き」と公言するのをためらってしまう人もいるだろうね。
乱暴に言ってしまえば「変態好き」を認めてしまうことになりかねないからだ。
SNAKEPIPEはブログでお気に入りの映画やアーティストを紹介しているけれど、やっぱり「ちょっと変」で「あやしげ」な世界観が多いのは自認しているし、恥ずかしいとは思っていない。
「江戸川乱歩最高!」などと大きな声で言うし、賛同してくれるROCKHURRAHや友人と同じ世界観を分かち合うことを喜びとしている。
ROCKHURRAHは昔の探偵小説の大ファンで、乱歩も当然のごとくほとんどの作品を読破しているからね!

最近はずっとスペイン映画の鑑賞を続けていたけれど、たまには初心に帰って(?)日本のカルト映画を観ることにした。
江戸川乱歩の小説が昭和の時代に映画化されていることを教えてくれたのはROCKHURRAHだった。

江戸川乱歩の一寸法師」というタイトルで、「一寸法師」が原作の映画ね。
原作は大正15年から昭和2年まで朝日新聞に連載された新聞小説だったとのこと。
「パノラマ島奇譚」と同じ頃の作品らしいね。映画版は1955年の作品で、モノクロである。
主人公である小林を演じているのは宇津井健
小林という役名だけど、「少年探偵団」の小林少年とは別物だからね!(笑)
とても役者とは思えないほど地味な風貌に加え、ボソボソした声でセリフは棒読み!
素人の演劇クラブみたいな演技で驚いてしまう。
どうして主役になれたのか不思議に思ってしまうのはSNAKEPIPEだけじゃないと思うよ。(笑)
その小林がたまたま遭遇した交通事故現場で、不思議な子供に遭遇するところから映画は始まるのである。

子供だと思っていたのは実は小人。
その小人を追いかけているところで、学生時代の友人である百合枝とばったり再会し、百合枝から相談を持ちかけられるのである。
百合枝は実業家である山野大五郎の後妻になっていて、先妻の子である三千子の継母という設定。
その三千子が家出をしたという。

百合枝を演じていたのは三浦光子という女優。
SNAKEPIPEは昔の邦画をほとんど知らないので、この女優は全然知らないけれど、 Wikipediaには出演した数多くの映画の情報が載っていて、有名な女優だと知ったよ。
1954年に制作された「悪魔が来たりて笛を吹く」にも出演していたみたいだから、横溝正史とも縁があったのね!
残念ながらこの作品は未鑑賞なんだよね。
いつか観てみたいな!
確かに美人で、苦悩する人妻といういかにも乱歩が好きそうな役どころを見事に演じていたと思う。
「江戸川乱歩の一寸法師」の中で、ちゃんと演技ができていたのはもしかしたらこの女優だけだったかもしれないね。(笑)

そんな百合枝に小人は一目惚れしていたのだった。
長い間思いを寄せながら、心を打ち明けることができなかった小人は奇策を考え、百合枝の前に姿を現し告白する。
「一寸法師」はミステリーのジャンルになる小説なんだろうけど、乱歩が最も表現したかったのはこの告白のシーンじゃないかな、と推測する。
役者ではない本物の小人が出演し、更に変装をして喋っているせいで、セリフが聞き取り辛いんだけど、それだけに何故だか真に迫っているように見えてしまう。
具足を使い平均的な男性の身長に変装したり、軽業でひょいひょい高いところに登ったりするのは、本当に乱歩の世界そのもの!
この時代だからこそできた配役なのかもしれないね。

時代という点では、町並みやエキストラの人々のファッションなどもさすがに現代では再現できない乱歩風の世界が広がっていた。
特に寺と民家がつながっているような、乱歩らしいトリックが見事に映像化されていたのは嬉しかった。
手や足が天井からぶらさがっている人形店の店内も「いかにも」な雰囲気でニヤリとしてしまったよ。

ニヤリといえば、ほんのチョイ役で登場しているのが天知茂
なんと探偵の助手という役どころなんだよね。
明智先生!
先生が事件を解決したほうが良かったんじゃないでしょうか?(笑)
もう一人、丹波哲郎も脇役で出演しているのも見逃せないね。
ほとんどセリフのない役だったけれど、存在感は抜群。
若かった頃の役者の顔を発見するのも、昔の映画を鑑賞する醍醐味の1つだよね!

もう1本鑑賞した作品は「陰獣」。
「江戸川乱歩の一寸法師」より約20年後の1977年制作なので、今回はカラーである。
主役は探偵小説家の寒川光一郎。
演じていたのはあおい輝彦である。
あおい輝彦といえば、一番初めに思いつくのは「犬神家の一族」での犬神佐清!
「犬神家の一族」は1976年で「陰獣」は1977年だから横溝正史作品、江戸川乱歩作品と2年連続出演とは、すごいぞ輝彦!(笑)
寒川役も好演していたよ。
探偵小説家が本当に謎解きに駆り出され、まさかあんなことに巻き込まれるとはね!(笑)

まるで寒川を付け狙っているかのように、寒川と複数回遭遇する小山田静子。
夫は実業家の小山田六郎って「一寸法師」の時の設定と同じじゃない?(笑)
更に寒川に相談を持ちかけるところまで「一寸法師」と同じなんだよね。
ま、苦悩する美人妻っていうが乱歩のお気に入りだから良しとしようよ!

「陰獣」での一番のポイントは変装にあると思っている。
未だに変装と聞けば、頭に浮かぶのは「陰獣」の中での変装のこと。
映画を観る前から
「あの変装シーンは映像化してくれるだろうか」
という変な心配をしていたSNAKEPIPEだったけれど、そんな心配は全く無用だった。
キチンと順序立てて変装シーンを見せてくれたのである。
ではその画像を一挙公開!(笑)

髪を丸髷にした後、前歯に金歯を差す。

メガネをかける。

頬に含み綿を入れる。

膏薬を貼る。

なんと不思議なことに、美人妻の小山田静子がおばちゃんみたいな別人になっちゃったよ!(笑)
「丸髷、金歯、含み綿、膏薬」が女の変装バージョン、「白髪、黒メガネ(もしくは眼帯)、杖」 が男の変装バージョンというのがROCKHURRAH RECORDSでの常識だよ。(笑)
小山田静子を演じた香山美子 は、2面性を持つ静子を非常に良く演じていたと思う。
乱歩が生きていたら喜んだんじゃないかな?(笑)

「陰獣」は他にもチョイ役で大物俳優がたくさん登場しているので、どのシーンで誰が出ているかを探すだけでも面白いんだよね。
原作に忠実で、良い役者が揃っている傑作だと思う。
江戸川乱歩ファンにお勧めだね!

「陰獣」は昭和3年(1928年)に3回に分けて連載された小説で、当時も大人気だったとWikipediaに載っている。
85年を経過した現代でも、全然古さを感じさせない小説だよね。
さすが、乱歩!
やっぱり江戸川乱歩、大好きだ!(笑)

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