誰がCOVERやねん外伝

                   

【音楽同様にごちゃまぜ感満載、マノ・ネグラのジャケット達】

ROCKHURRAH WROTE:

今まで同じシリーズ記事を立て続けに書いた事なかったんだが、今回は珍しく連続でこのシリーズを書いてみよう。
こないだは「あまりカヴァー・ヴァージョンが存在しない曲(またはアーティスト)」のカヴァーという難しいテーマに挑戦したけど、今回もその延長線となる。
カヴァー・ヴァージョンの曲をテキトーなコメントで紹介するだけという企画自体が安易なので、それくらいの努力はしてみよう。

前にもちょっとだけ書いたがウチでSNAKEPIPEと二人、毎週末に楽しみに観ていたのが海外TVドラマ「ブレイキング・バッド」だった。
アメリカではすでに2013年に放送終了してて、知ってる人から見れば「何を今さら」なドラマなんだが、ウチの場合は去年の後半から毎週末にだけDVDで楽しんでいた。

肺がんにかかってしまった高校の科学教師が、死ぬ前に家族に財産を残すために、教え子と二人でメタンフェタミンという覚せい剤を作り、麻薬の世界でのし上がってゆく、というのがごく簡単なあらすじだ。

科学のプロなもんだから大変に品質の高いメタンフェタミンを作る事が出来て、ブランド化された「ブルーメス」を巡っての複雑なドラマが展開する。
この設定が実にうまく生かされてて観ている者もどんどん深みにハマってゆく。
多くの人がこのドラマに魅せられて色んなところで感想とか書いてるから、SNAKEPIPEもブログ記事は書きにくいと言っていたな。結構な長さのあるドラマだけに本気で感想書いてたらすごく長文になってしまうしね。
感想文が苦手なROCKHURRAHも書けないけど、このドラマの最初の方のエンディング・テーマで2つの懐かしいものを見つけたので、今回はそれについて書きたかっただけ。

この曲の原曲はフランスで1990年代初期に大活躍したマノ・ネグラのもの。
人から勧められて見始めたドラマでいきなり自分の好きだったバンドの曲(カヴァーだが)がかかったのでビックリしてしまったよ。
マノ・ネグラはスペインからの移民、マヌー・チャオを中心にフランスで結成された多民族構成のバンドだ。

19世紀末にスペインのアンダルシア地方でLa Mano Negra(黒い手)というアナーキストの秘密結社があったそうだが、それがこのバンド名の由来となっているのだろうか。
黒手組というのはスペインに限らずセルビアにもあったそうだし、日本にも長州黒手組などというのも存在したらしい。
そう言えば江戸川乱歩の初期作品にも「黒手組」というのがあったな。
マヌーの両親が当時のスペインの独裁者、フランコから逃れるためにフランスに渡ったらしいが、脱出出来ずに捕まったり処刑されたりというやり切れない内容の映画をウチでは結構観ているな。
「ブラック・ブレッド」とか「デビルズ・バックボーン」「パンズ・ラビリンス」などもその手の印象的だった映画だ。いや、今回の話とは関係ないけど、あまりその手の事を語る機会がなかったからついでに書いてみただけ。

マノ・ネグラはパンク、ラテン、ロカビリー、スカ、レゲエ、ヒップホップ、フレンチ、ラスティックなど様々な要素を詰め込んだ音楽に英語、スペイン語、フランス語にアラビア語の歌が飛び交うという大変にエネルギッシュな音楽で元気に満ち溢れた世界。
元々が路上ライブの出身だけに、とにかく勢いとパワーに溢れたライブ・パフォーマンスは伝説となっている。

この曲はマノ・ネグラの1991年の3rdアルバム「King Of Bongo」に収録されているが、上に書いたような「エネルギッシュな音楽で元気に満ち溢れた世界」とは少し違う哀愁の曲。
イギー・ポップにおける「The Passenger」みたいなもんだろうか。
彼らの雑多なおもちゃ箱のようなアルバムには必ず郷愁あふれる曲なんかも収録されていて、見た目の力強さだけじゃない懐の深さも感じるんだよね。
しかし、サッカー好きなのはわかるけどマヌーのこのファッション・センスはひどすぎる。
とてもプロモに出る格好じゃないね。

そして「ブレイキング・バッド」の中で使われていたこの曲をカヴァーしたのがミック・ハーヴェイ、個人的には実に久しぶりにこの名前を発見してビックリしたわけだ。

1970年代末期にオーストラリアで活動していたボーイズ・ネクスト・ドアというバンドがあった。
このバンドは後で再評価されたもののリアルタイムではあまり知られてなかった。
しかし5人のメンバーがそのままバースデイ・パーティと改名、音楽性も大きく変えて、その後イギリスの4ADやMUTEレーベルで活躍して有名になった。

今ではどういうジャンル分けされてるかは知らないが、当時はジャンク系、カオス系というように呼ばれていたなあ。
原始的なズンドコしたドラムに地を這うようなベースライン、そしてヒステリックな歪んだギターにアグレッシブな部族の咆哮のようなヴォーカルが絡む、という重厚で計算出来ない展開の音楽が一部のファンの間でもてはやされた。
1980年代初期、世に言うポスト・パンクの時代、バースデイ・パーティはその中でも最重要のバンドのひとつだったのだ。

このバンドの中心人物はニック・ケイヴ(後のバッド・シーズ)なんだが、ボーイズ・ネクスト・ドアからバッド・シーズまで30年くらいもニック・ケイヴに付き合った盟友がこのミック・ハーヴェイだった。
ギター、ベース、ドラム、キーボード、ヴォーカルまでをこなすマルチ・ミュージシャンである彼は、どのバンドをやってた時でも音楽的な要(かなめ)だったに違いない。
がしかし、バースデイ・パーティの時は堕天使のような退廃的美形ギタリスト 、ローランド・ハワードがいたし、バッド・シーズにはノイバウテンのフロントマンだったド派手な半分人間、ブリクサがいたし、そもそも主人公のニック・ケイブが大変にワイルドな野蛮人のような風貌で、こういう中にいたミック・ハーヴェイにはこれといった外見上の特徴がない。
技術の割には「人を惹きつける華がない」タイプのアーティストだったんだよね。
その不遇なところも含めてROCKHURRAHは評価するよ。
バッド・シーズが渋谷のクアトロで公演した時も大迫力のカッコ良さだったしね。
ニック・ケイヴとブリクサとキッド・コンゴ・パワーズが。ん?ミック・ハーヴェイは・・・?

まあとにかく、時代によって少しずつ変わったりまた戻ってきたりしたROCKHURRAHの音楽遍歴が、偶然観たこのドラマによって不思議な邂逅をした瞬間がこの曲「Out Of Time Man」だった。
単にそれが言いたいだけで、ここまで長く書いてしまったよ。うーん、説明ヘタだなあ。

マノ・ネグラはそういう雑多な音楽性と民族性を飲み込んだバンドだったので、カヴァーするにしてもどうしてもラテン系への理解と情熱が必要。
色々と調べてみたが出てくるのはやっぱり似たような系統、編成のバンドが多かった。
たまたま見つけたメキシコのGallo Rojoというバンドもついでに載っけてみよう。

原曲は1988年発表、マノ・ネグラの1stアルバム「Patchanka」 に収録された曲だ。
この曲のヒットにより注目されてフランスのヴァージン・レーベルと契約したらしい。
ROCKHURRAHも最初に買ったのがこのアルバムだったな。
元々マヌー・チャオはホットパンツという恥ずかしい名前のロカビリー・バンドの出身で「Mala Vida」もそのバンドのレパートリーだったが、マノ・ネグラでも同じ曲をやってるわけだね。

大昔のサイレント映画のようなコミカルなPVだが、ちゃんと本人たちが演じてて役者も出来るんじゃない?というくらい完成度が高い映像。音楽以外の才能もなかなかのものだな。

で、それをカヴァーしたGallo Rojoなるバンド、あまり日本で知られてないメキシコ製のバンドだから実は書いてるROCKHURRAHも何もわかってない状態なのだ。
このビデオ見てもカッコ良さもパワーも全然ない素人っぽいバンドなんだが、アコーディオンやラッパが入ったちょっとテックスメックス+スカといった雰囲気なのかな?
他の曲のPVではピエロ風のメイクしたりドクロの被り物したり、やっぱり南米のテイストが出ていて、この辺がちょっと面白いと思っただけ。
メキシコのバンドと言えば勝手に背中から指先にまで彫られた全身刺青男たちによるコワモテ集団を想像してしまうが、このバンドにはそういう点が皆無で弱そうなところが持ち味だと見た。

軽く書くつもりだったのに今回はたった2つのカヴァーだけで時間切れとなってしまったよ。 だから正規のシリーズ記事とは別に外伝という扱いにしてみた。
次もまたシリーズは違ってもやってるパターンはみな同じという記事を書いてゆくのでうんざりしながら待っててね。

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