「マスク展」鑑賞

                   

【庭園美術館入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

マスク、と聞いて初めに思い浮かべるのは医療用の白いアレだろうか。
韓国で猛威をふるっている、MERSウイルスのニュースを連日聞いているせいかもしれない。
今回話題にしたいと思っているマスクは、そのマスクのことではない。
仮面を意味するマスクのことである。
仮面といえば。
三島由紀夫の「仮面の告白」、江戸川乱歩の「黄金仮面」などの文学作品に登場したり、スタンリー・キューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」では謎の秘密集会に集うために、仮面を着用していたことなどを即座に思い出す。
そう、仮面には秘密めいた、今の自分ではない別人になるための装飾という意味合いが強いんだよね。
最もこれは現代人が持つ認識で、古代の人間にとっての仮面にはまた違った意味があったようだね。

そのヒントになりそうな展覧会情報をROCKHURRAHと、長年来の友人Mの2人から寄せられた。
2人共SNAKEPIPEの貴重な情報源で、面白そうな企画があると
「こんなのあるよ」
と教えてくれるのである。
鋭いアンテナを持つ2人から別々に寄せられた同じ情報!
東京都庭園美術館で開催されている「マスク展」である。
庭園美術館に行ったのは何十年前のことだろう。(遠い目)
何を観に行ったのかすら覚えていない、かなり昔のことだ。
ROCKHURRAHは一度も行ったことがないという。
この展覧会はフランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵作品を約100点展示しているという。
きっとマスク展は面白いに違いないね!

情報はかなり早い時期に教えてもらっていたけれど、期間が長い展覧会にありがちな「まだ時間がある」という思い込み。
そうこうしているうちに会期の終了が迫ってきて、慌てて予定を立てる。
今回もまさにその「いつものパターン」になってしまい、終了間際に出かけることにしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
情報を教えてくれた長年来の友人Mとは日程が合わず、別々に鑑賞することになった。

梅雨の晴れ間だったせいもあり、お出かけには良い日和だったのかもしれない。
目黒駅を降りてから、庭園美術館へと続く道に人が多く感じられる。
まさか、という予想は当たり。
意外にもかなりの人が庭園美術館を目指しているではないか!
「マスク展」ってそんなに人気あるのー?

庭園美術館の敷地内に入ってから美術館までの道のりをゆっくり歩く。
途中長い長い蟻の行列を発見して驚いたり、ミノムシに遭遇したり、生えてるキノコを目撃して「つかの間」の自然体験をする。
5分程で美術館に到着。
この庭園美術館というのは、宮家が元々使用していた洋館だったんだね。
そして東京都指定有形文化財になっている歴史的建造物だったとは知らなかった。
そのため美術館という形式ではあるけれど、その洋館自体を展示する、というのも庭園美術館の目的になるようだね。

洋館の中の仮面は一体どんな感じだろうか。
会場は地域別に「アフリカ」「アジア」「オセアニア」「アメリカ」と分かれて展示されていた。
最初がアフリカ。
アフリカ、と聞いて想像した通りの原始的な仮面が並ぶ。
説明に「結社で使用」という文章が多く、アフリカにはそんなに結社が多かったのか、と驚く。
ここで言う「結社」というのはフリーメイソンに代表されるような秘密結社とは意味合いが違う。
村の儀式に参加する、という感じになるのかな。
仮面の主な目的が死者の魂をあの世に送り届けることだったらしい。
税金の取り立て用に怖い仮面を着けた、なんていうのもあったけどね!
写真上は木製の仮面が多い中、珍しいビーズ細工の仮面である。
細かい手作業にびっくり!
丸いのは象の耳なんだって。

制作年度がいつなのか不明の展示物が多いし、全然聞いたことがない国名が書いてあったりして少し戸惑う。
プリミティブ・アートをほとんど鑑賞したことがないSNAKEPIPEなので、仕方ないかもしれないね。
ROCKHURRAHは大阪の国立民族学博物館にも行ったことがあり、意外とその手の展示が好きらしい。
民族学博物館で楽器を買った、と聞いたことがあるよ。
一体いつ使うつもりだったんだろうね?(笑)
写真はナイジェリアの仮面。
斜め横からの写真なので判り辛いけれど、真正面から観ると仮面の鼻と象の鼻をイメージしたという上の垂れた部分がきっちり重なる仕様なんだよね。
この立体の捉え方が素晴らしかった!
ピカソがアフリカの彫刻から影響を受けた、というのが良く解るね!

「アジア」と大雑把に括られると、タイや中国、日本まで対象になってしまうんだよね。
日本からは能面が展示されていた。
以前記事にした「「驚くべきリアル」展鑑賞」で紹介したハビエル・テジェスの「保安官オイディプス」を思い出す。
能面着けたウエスタン調のオイディプスの悲劇ね。(ややこしい)

インドネシアは以前好きで何度も行ったことがある国である。
ワヤン・クリッのような影絵劇は今でも上映されているはずだし、ワヤン・トペンという仮面を着けた劇もあるという。
それはまるで日本の能と同じ感じだよね。
その仮面も展示されていたよ。
インドネシアの仮面で一際目を引いたのが左の写真。

耳にあたる部分の精細さ!
ROCKHURRAHが推理したように蝶のイメージだったのかもしれないね。
顔の部分はガスマスクを思わせる馬面仕様。
色使いから全体的なバランスから、全てが素晴らしい!
この仮面をかぶってみたいかって?
いや、それは遠慮しときます。(笑)

アラスカの仮面は見ていて笑ってしまったね。
なんともユーモラスな顔立ち。
歯は最初から欠けていたのか、それとも途中で抜けてしまったのか。
この顔の形からダイキン工業のマスコット、ぴちょんくんを思い出してしまった。
SNAKEPIPEは、アラスカの人は厳しい自然を相手にしてるから険しい顔だろう、と勝手に思い込んでいたけど、違うかもしれないね?(笑)

収集狂時代 第1巻」を書いた時に、オークションで高額取引された美術品の中に「作者不詳」の紀元前の彫刻があったんだよね。
ネット上での写真でしか観ていないにもかかわらず、作品の力強さに圧倒されたSNAKEPIPE。
今回鑑賞した「マスク展」にも同じような「太古の人類が持っていた想い」を感じることができた気がする。
上述したようにピカソを彷彿させる仮面や、実際モディリアーニの絵のようだ、なんて説明も書いてあったように、現代アートにつながる系譜を観たように思う。

ただし。
庭園美術館での展示には少し無理があったように感じるね。
先にも書いたように「洋館の展示」にも意味を持たせているため、仮面を「◯◯の間」の隅っこに展示し、鑑賞するための通路は往路と復路の2人分確保されていない。
順路が非常に分り難く、部屋毎に分かれて展示されているため、美術館の見張り役の人とぶつかりそうになったり。
次回庭園美術館に行くのはいつになるのか分からないけど、日を選んでなるべく人が少ない時にしようと思う。

本家のケ・ブランリ美術館には30万点の所蔵品があるという。
その中の約100点が展示されてたってわけね。(笑)
フランスには行ってみたい博物館や美術館がいっぱいあって羨ましいね。
いつかは本場で鑑賞してみたいな!

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