好き好きアーツ!#32 鳥飼否宇 part11–非在–

                   

【作中にも登場したRoxy MusicのSiren。人魚だね!】

SNAKEPIPE WROTE:

鳥飼先生の作品を再読し、感想をまとめていこうという企画の第2弾は「非在」。
鳥飼先生の大人気シリーズ、「観察者シリーズ」の2作目である。
登場人物は作品の中で探偵役となる自称プロのウォッチャー(観察者)、通称トビさんこと鳶山久志。
そして探偵の助手役となるのが植物写真家、通称ネコこと猫田夏海である。
「観察者シリーズ」ではお馴染みであるが、ネコが事件を拾ってきて、トビさんが事件の謎を解くパターンが多い。

「非在」も同様に、ネコが撮影で立ち寄った奄美大島の海岸で漂流物のフロッピーディスクを拾ったことから始まる。
フロッピーディスク!
この小説が発表されたのが2002年なので、当時のパソコンには当たり前のようにフロッピー機能は付属していたよね。
思い起こすと懐かしい。(笑)

ネコが拾ったフロッピーディスクには、大学生のサークル活動記録が手記として入っていた。
そのサークルは未知なる生物を発見する目的でウルトラ(ULTRA)という。
Unidentified LIving Things Research Associationの略だと書いてあったよ。
空想上の生物を真剣に研究し、捜索する活動を行っているサークルらしい。
例えばツチノコケセランパサラン(化粧品じゃなくて!)を研究対象にしているというので、これは大昔テレビでやっていた「川口浩探検隊」を真剣に行っているサークルということになるんだろうね。(笑)
えっ、例えが古過ぎ?(笑)

そんな未知の生物の中でも、サークルとして最も力を入れていた対象が「人魚」だという。
そしてその「人魚」に関する新たな情報がサークルのメンバーからもたらされるのである。
古文書の中に沙留覇島での「人魚」の存在を示す記述を発見!
長年「人魚」を追いかけていたメンバーを含む4名が船で無人島の沙留覇島に向かうことになった、と手記に綴られている。
島に上陸した後の様々な冒険譚に続いて、殺人事件が起きたという尻切れトンボで終わっている。
島では一体何が起こったのか?
これは「孤島ミステリー」だね!(笑)

フロッピーディスクを警察に届け、行方不明事件として捜索が行われても手がかりはなし。
事件に関しての報道がされなくなった頃、トビさんからメールが届く。
それは行方不明者を一緒に捜索しに行こうよ、という誘いであった。
トビさんと2人だけの旅行だと思っていたのに、何故かイラストレーターの通称ジンベーこと高階甚平が同行している。
ジンベー!(笑)
トビさんもネコも、そしてジンベーも同じ大学の野生生物研究会というサークルに所属していたことから、学校を卒業してからもずっと付き合いのある「観察者シリーズ」ではお馴染みのメンバーなんだよね。
奇抜なファッションをしたジンベーの登場は嬉しい限り!
今まで何度も書いているけれど、SNAKEPIPEはジンベーのファンなのである。(笑)
トビさん、ネコ、ジンベーのトリオが沙留覇島を目指すことになる。
かつてのサークル仲間が、別のサークル遭難者を探すという構図だね!

映画や本の感想を書く時に毎回迷ってしまうのが、どこまで粗筋を書くべきか、という点。
参考として、例えばAmazonの販売ページに載っている文章を読んで、ここまでの情報ならオッケーなんだ、という基準にする。
ただ、そのままコピーしようとは思わないので苦心するんだよね。(笑)
「非在」に関してのあらすじはここまでにしようか。

手記を元に大学生の特徴が記されているため、サークルのメンバー各々の区別が付き辛かったな、というのが最初に持った感想ね。
通常はネコが特徴を話して(思って)文章化されているので判り易いんだけどね。(笑)
そもそも手記というのが、「自分の体験やそれに基づく感想を自分で文章に書いたもの(デジタル大辞泉より)」ということなので、人の風貌に関して細かく書かないのが当たり前なんだよね。
それにしても…。
今回はトビさんが事件を解決しても、なんとなくしっくりこない感じ。
最後まで読んだ後、もう一度ページを戻して読み返すことになる。
「非在」はミステリーのジャンルでいうと「叙述トリック」になるんだよね?

SNAKEPIPEは鳥飼先生の作品のファンで、ミステリーに精通している読者ではないため、この手のトリックに慣れていないみたい。
だから「しっくりこない」になっちゃうんだね。(笑)
SNAKEPIPEにとっては、例えばジンベーの登場や、トビさんの薀蓄を聞くことが1番の喜びだからね!(笑)
ミステリー・マニアの方は「叙述トリック」を解く挑戦(?)として楽しめると思う。

「観察者シリーズ」4人目のメンバーである神野先輩が経営するバー、「ネオフォビア」で繰り広げられた会話も興味深かった!
前作「中空」では「竹取物語」と老荘思想が絡んでいたけれど、「非在」では「浦島太郎」と「人魚」なんだよね。
「竹取物語」の時もそうだったけれど、「浦島太郎」に関しても知っているのは子供向けのお伽話だけだったと判明!
「日本書紀」や「万葉集」にも記述があることも知らなかった。
勉強になります!(笑)
「蓬莱」や「ニライカナイ」などの魅力的な単語が飛び出す。
きっとSNAKEPIPEはネコよりも低い点数しかもらえない程度の解答しかできないけれど、その手の話には興味津々だからね!
鳥飼先生の作中に登場したことがきっかけで、興味を持つことって多いんだよね!
例えば黒岩涙香も、漢字の読み方に苦労しながらも面白く読んだし。
「浦島太郎」や「竹取物語」も読んでみたい作品になったよ!

「ネオフォビア」でかかる音楽にも注目だね!
ロキシー・ミュージックの「サイレン」にはROCKHURRAHが大反応していた。
どうやらロキシー・ミュージックで初めて買ったアルバムが「サイレン」だったとか。
思い入れが強いみたいなんだよね。
「ジャケットが人魚だよ」
という情報を元にトップにyoutubeを貼ってみたよ!
おお、まさにセイレーン!(笑)

「観察者シリーズ」第3弾は「桃源郷の惨劇」。
また感想をまとめてみたいと思う!

追記:今回より鳥飼先生専用のカテゴリーを作成してみたよ!
ジャーン!ROCKHURRAH命名の「トリカイズム宣言」!(笑)
「好き好きアーツ!」として書いていなかった記事もカテゴリー化されて良い感じだね!

2 Comments

  1. 鳥飼否宇

    またまた古いヤツを引っ張り出してきましたね。人魚で何か書けないかと模索したあげく、よくわからないものができてしまったというつっこみどころ満載の作品です。そのポンコツ具合が味わいどころかな。いやはや、お恥ずかしい。
    実はワタシもRoxy Musicで最初に買ったのは『サイレン』なのです。

  2. ROCKHURRAH

    鳥飼先生、いつもコメントを頂き、本当にありがとうございます。

    今回から鳥飼先生についてのブログ記事を「トリカイズム宣言」というシリーズ記事でまとめてゆきたいと思います。ミステリーの感想文としては参考にはならないかと思いますが、その分、他のミステリー・ファンとは違った視点で感想が書ければ幸せです。

    ロキシー・ミュージックはビー・バップ・デラックスやコックニー・レベルを聴きまくっていた頃にのめり込んでいました。後から初期を聴いたのでイーノの派手さに衝撃を受けましたが。

    これからも全力で応援してゆきます。また過去の作品を読み進めてゆきたいと思います。

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