CULT映画ア・ラ・カルト!【02】石井輝男

                   

【日本人離れしたルックスに人間離れした動きの土方巽。凄過ぎる!】

SNAKEPIPE WROTE:

先週に引き続き、今週もカルト映画邦画編を書いてみたいと思う。
何本かまとめて作品を観ているため、先週はくくりに入れなかった石井輝男監督を特集したいと思う。

石井輝男氏は1924年生まれ、すでに2005年に亡くなっている監督である。
代表作は高倉健を主役にした「網走番外地シリーズ」だろう。
そのヒットのお陰で好きなことができたのか、、石井氏は「異常性愛路線」にも力を入れている。
日本のカルト映画監督では最も有名であろう。
今回まとめたいのは石井輝男が監督した乱歩作品の映画化2本と、変なヤクザ映画。(笑)
まずはヘンなヤクザ映画から書いてみよう。

怪談昇り竜「怪談昇り竜」は梶芽衣子主演の1970年の作品である。
女囚さそり」よりも前、梶芽衣子の頬がパンパンで若い!(笑)
ヤクザの親分の家に生まれ、出入りの際に敵の親分を斬殺。
その事件のせいで刑務所行きになる。
そこで毎夜黒猫の怨念に悩まされる梶芽衣子。
実はタイトルの「怪談」となっている理由の一つがこの黒猫。
黒猫の怨念には梶芽衣子への恨みの意味が込められていたのだった。

そしてもう一つの怪談は盲目の女剣士、ホキ徳田の手下として登場する土方巽である。
調べてみたら、ホキ徳田ってピアニストでアメリカ人作家ヘンリー・ミラーの妻だったとは!
いやあ、全然知らなかったなあ。
とてもいい味出してました、はい。
映画途中で見世物小屋のシーンが出てくるのだけれど、その中にすんなり溶け込み登場する土方巽。
ホキ徳田への絶対的な献身を示すかと思うと、勝手な行動を起こしたりして、結局のところ何がしたいのかよく分からない役どころ。
猟奇的で予測不可能な行動は怖さ倍増!
訳分からない白いハイソックスも怖いぞ!(笑)
土方巽の圧倒的な存在感と不気味さこそが怪談だったのではないか、と思う。
ヤクザ映画にある緊迫感に怪談のおどろおどろしさをプラスしたところが新しかったんじゃないかな?

5人が背中向きになると彫った龍の刺青が合体し、頭から尻尾までの一匹になるというのも面白かった。
この配置にするためには並ぶ順番を間違えないようにしないとダメで、頭と尻尾の人が隣あわせになったりしたら「おじゃん」である。
頭部分を彫っている梶芽衣子はまだ一人でも絵になるけど、尻尾の人、胴体部分の3人は一人だけだと一体何の彫り物なのか不明でちょっとかわいそう。
本当にあんな彫り方するんだろうか?
(ROCKHURRAH註:本宮ひろ志の「群竜伝」と同じ設定。この映画が元祖だったのかねえ)

ラストは梶芽衣子とホキ徳田の女同士の立ち回り。
ヤクザ映画で女二人の決闘シーンって珍しいような?
SNAKEPIPEはヤクザ映画に詳しくないので、違ってたらごめんなさい。
梶芽衣子の堂々とした立ち回りのカッコ良さ、相手役のホキ徳田の静かな物言いと筋が通った女ぶり。
どちらも凛としていてシビレた~。(笑)

恐怖奇形人間続いては1969年の作品「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 」。
この作品、上のリンクのWikipediaにも書いてあるけど、どうやら国内では未だにビデオ・DVD化されていないらしい。
まず、タイトルからしてアブナイしね。(笑)
そして乱歩全集とは書いてあっても、「孤島の鬼」と「パノラマ島奇談」が主なストーリーになっている。
いや、それにしても「孤島の鬼」を映画化する、とはすごい!
それだけでも充分興味をそそられてしまう。

いきなり乱歩の原作にはない精神病院から話は始まる。
主人公、人見広介役の俳優、吉田輝雄ヒカシューの巻上公一に似ていておかしい。(笑)
サーカスの少女に出会うところから、広介は運命の糸に操られ故郷に帰ることになる。
そこで待っていたのはまたもや土方巽だった!(笑)

初めに登場するところから土方巽、おかしい!
広介の父親役、というのが全く似合ってない(年齢とか原作における風貌とか)のはもちろん、その不気味な動きはなに?という感じでやりたい放題である。
動いている土方巽を観たのはこの映画が初めてで、細江英公写真集「鎌鼬」のモデルとして知っていただけだったため、非常に衝撃的だった。
土方巽を知らない人も多いかもしれないので簡単に説明をすると、1928年秋田生まれ1986年に死去。
60年代に活躍した舞踏家である。
暗黒舞踏だから、ああいう独特の動きになるんだろうね。

そしてこの父親が「パノラマ島奇談」と「孤島の鬼」の合体版で、自身が夢見る王国の建設に加え奇形人間製造も計画する。
奇天烈で「これが王国?」と突っ込みたくなるようなチープさだけれど、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが思う乱歩世界そのもの!
そういう意味ではよく再現、表現されていて、素晴らしい出来だと思う。
原作では「秀ちゃん」「吉ちゃん」だった双生児は、少し名前が違っていたけれどこれもよく出来ていた。
それにしても特殊メイクしてた片割れが近藤正臣だったとはね!(笑)

どうしてもいくつかの乱歩作品をまとめると無理が出てしまい、ラストはかなりムチャクチャな展開に。
だけど確かに「パノラマ島奇談」はこんな最後だった。
だからこれでいいのだ!(笑)

盲獣vs一寸法師 そして最後は石井輝男監督の遺作となった2004年の「盲獣vs一寸法師 」。
これもまた乱歩の「盲獣」と「一寸法師」をミックスさせたストーリー。
話の展開で「踊る一寸法師」も混ざっている。
どうしても先週書いた増村保造監督の「盲獣」と比較してしまうが、どっちと聞かれたら増村監督を選んでしまうな。

乱歩が好き、という共通項から集まった同志による配役、石井輝男に触れたいと望むスタッフ達が奮闘したんだなということはよく解るけれど、全体的にイマイチ。
「遺作」としての重みはなく、映画を学ぶ学生の卒業制作といった感じか。
もしかしたら予算の関係があったのかもしれないけどね。

そして1969年の「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」と比べてみても、力不足を感じる。
あっ、そうか!
この作品にはもう土方巽が出てないんだ!
土方巽とセットになることで、あの雰囲気が出たんだな。
石井輝男監督は亡くなってしまった土方巽の不在を悲しみ、きっと出演を望んでいただろうな。
と言ってもどの役で出てもらおうか?
盲獣役?一寸法師?それとも全く原作にない人物として?
いろいろ想像するのも楽しいかもしれない。

石井輝男の「異常性愛路線」はなかなか手に入り辛く、我が家の近所のレンタル屋などには決して置いていない。
映画5本組になっている2万円以上するBOXセットを買うつもりもないし。(笑)
また運良く別の作品を観られる日を楽しみにしていよう!

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