シリアルキラー展 鑑賞

                   

【ヴァニラ画廊の看板を撮影】

先日出かけた伊藤若冲展で、長年来の友人Mから
「面白そうな展覧会があるよ」
と言われた。
以前にも書いたことがあるけれど、友人Mは情報収集能力に長けていて、SNAKEPIPEの興味がありそうな企画を提案してくれるのである。
お互いの好みは長い付き合いの中で熟知しているため、「面白そう」と言われて外れたことがない。
SNAKEPIPEにとって、非常に貴重な存在なのである。
今回紹介されたのは「シリアルキラー展」。
大好きなジョン・ウォーターズ監督の「シリアルママ」でも使用されている、日常的に殺人を犯すタイプ=連続殺人犯を表すシリアルキラーという名称の展覧会だという。
つまり、実在するシリアルキラー達の作品を展示している展覧会だというのだ。
最近流行りの「Based On A True Story」じゃなくて、正真正銘のモノホンだよ!(笑)
世界を震撼させた凶悪犯の作品、これは観に行かなくては!

友人Mとの日程調整により、展覧会鑑賞の日は「シリアルキラー展」の初日になった。
なんだかノリノリの行く気満々のようだよね。
本当はたまたまそうなったんだけど、待ち焦がれていた人みたいになってしまった。(笑)

展覧会鑑賞前に用事があったため、青山方面からギャラリーのある新橋方面に出る。
あまり経験のない順路なので、naviで検索。
バスを使い、電車を乗り継いで銀座に出る。
会場となっている「ヴァニラ画廊」に行くのは今回が初めてだけれど、方向感覚に優れている友人Mが一緒なので安心、安心。(笑)
ただし自慢できるほどの方向音痴のSNAKEPIPEだけれど、銀座の〜丁目だけは全く問題ないんだよね。
そのためすんなりと新橋方面に歩いて行くことができたよ。(笑)
ほとんど新橋駅前の、交番の斜向かいの地下にヴァニラ画廊はあった。

階段を降りて会場に到着。
中には既にかなりの数のお客さんが入っている。
やっぱり話題の展覧会なんだね!
「いかにも」好きそうな人は意外と少ないように感じたけど、見た目じゃ分からないもんね。(笑)

会場がとても狭いし、展示も観易いとは言い難い状況だったので、苦労しながら鑑賞する。
最初に持った感想は
「みんなとても絵が上手い!」
である。
びっくりしてしまうほどの腕前なんだよね!
恐らくほとんどの作品が獄中で制作されたはず。
人によっては販売目的だったみたいだけど、時間制限もなく人の目を気にすることもない環境だから、伸びやかに描けたのかな?

それにしても作者は名だたる連続殺人犯達!
殺人犯にアートの素養があるという意外性に驚かされるんだよね。
もしかしたらアーティストと犯罪者は紙一重なのかも、などと考えながら作品鑑賞を続ける。
白紙にキッチリまっすぐとカリグラフィーのような美しい書体で書いてある手紙の展示もあった。
文字だけ見ていると、几帳面で真面目な人としか感じられないんだよね!
だけど書いているのはシリアルキラー。
その事実を知ると美しい書体までも異常に見えてしまう。
シリアルキラー展には、「事実を知る/知らない」で認識や意識が変化する瞬間が何度もあったよ。

ヴァニラ画廊は撮影禁止、更にウェブサイト上にも著作権に関する注意書きを載せているため、これから先の画像は別の場所で見つけた「シリアルキラー展」には展示されてなかった作品を載せているので4649!

ジョン・ウェイン・ゲイシー (John Wayne Gacy)

パーティなどでピエロに扮することが多かったことから
キラー・クラウン(殺人道化)の異名を持ち、スティーヴン・キングのホラー小説「IT」に登場する殺人鬼ペニーワイズのモデルとなった。
1972年から1978年のあいだ、少年を含む33名を殺害した。

多くの作品を獄中で描き、販売をしていたというジョン・ゲイシー。
今回展示されていたのも、左の画像を同じようにピエロを題材としていたよ。
本人がピエロに扮していたというから、自画像ってことだろうね。
他にはディズニーの7人の小人を描いている絵もあって、子供向けのはっきりした色使いの作品が多かった。
線画に色を塗ったタイプなので、漫画っぽい雰囲気。
猟奇殺人者の絵とは思えないよね。
映画化された「IT」は未鑑賞だと思うので、今度観てみようかな!

ダニー・ローリング (Daniel Harold “Danny” Rolling)

フロリダ州ゲインズビルにおいて5人の女子学生を
殺害し、ゲインズヴィルの切り裂き魔の呼び名で
知られる連続殺人犯。

シュールリアリズムのような想像の世界なんだよね。
右に載せたのはモノクロームの作品だけど、今回の展示には油絵もあって、もっとシュールだったよ!
殺害方法が物凄く残酷で、こんなことをする人間がいるのかと思ってしまうほどなのに、作品は魅力的なんだよね。
そんな一面に惹かれたのか、獄中で婚約!
相手はプリズン・グルーピーと呼ばれる、連続殺人犯をスターと崇める女性だという。
いろんなファンがいるもんだねえ。
他にも獄中で結婚しているシリアルキラーが多いんだよね!
記憶違いでなければ、子供を作った人もいたような?
ビックリしちゃうよね。

アーサー・ショークロス
 (Arthur John Shawcross)

8歳と10歳の児童を殺害し逮捕されるがその後仮釈放され、再び逮捕されるまで13人の売春婦を殺害した。
「ジェネシー・リバー・キラー」と呼ばれる
連続殺人犯である。

一番最初に紹介したジョン・ゲイシーと同じように、獄中で作品を制作し、ネット販売していたというから驚いちゃう。
アニメのセル画のような手法で描いている絵はくっきりしていて、とても個性的だよね。
これなら確かに売れるかも。(笑)
「シリアルキラー展」には、チケットを購入するとパンフレットが付いてきて、展示の際に使われていた説明文や展示作品、殺人犯に関する簡単な説明まで載っていて親切なんだよね。
その中にある情報によると、描いた作品をインターネットオークションeBayで販売していたらしい。
協力者がいたってことだろうね。
次に紹介するチャールズ・マンソンにも協力者いるみたいだよ。

チャールズ・マンソン (Charles Milles Manson)

アメリカのカルト指導者、犯罪者。
1960年代末から1970年代の初めにかけて、カリフォルニア州にて「ファミリー」の名で知られる疑似生活共同体を率いて集団生活をしていた。

今回展覧された犯罪者の中で一番よく知っていたのがマンソンかな。
実はシリアルキラー関連の本は結構読んでいるSNAKEPIPEだけど、そのほとんどは「殺人者たち」として数人をまとめて紹介しているので、特定の個人だけに焦点を当てた本を読んだことはないと思う。
チャールズ・マンソンに関しては興味を持って何冊か読んだ記憶があるし、「チャールズ・マンソン」というドキュメンタリー形式の映画も観てるんだよね。

どうして「カルト教団の教祖」と成り得たのかは、その時代にいて、クスリでラリってないと分からないのかもね?(笑)
チャールズ・マンソン、今も獄中にいるって知らなかったよ。
現在81歳だって。
そしてオフィシャルサイト持ってて、絵とかグッズの販売してるんだよね。
これもまたビックリ!
チャールズ・マンソンというのは、かなり昔から象徴的な存在としてシンボルになっているからね。
カルトやカリスマ、と聞けば迷わずマンソンと連想する人も多いはず。
今でも影響力がある人物なのかもしれない。
そんなマンソンが描いた絵は、抽象的な色のミクスチャーが素敵だった。

当たり前のことなのに、本や映画の中でしか知らなかった人達の肉筆画(というのか?)は、本当に実在している人達なんだということに改めて気付かされたよ。
そして連続殺人犯の別の側面を垣間見ることができたのは、非常に珍しい体験だったと思う。
それにしても、作品のほとんどに狂気を感じなかったんだよね。
もしかしたらSNAKEPIPEだけなのかしら?

2012年の「好き好きアーツ!#18 DAVID LYNCH—CHAOS THEORY OF VIOLENCE AND SILENCE」で敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの個展についての感想をまとめた記事の中で

リンチの絵はまるで、知的障害者や精神障害のある人が、勢いに乗って制作しましたという雰囲気がある。
何かを内に秘めた人物の絵。
それは凶暴性だったり残酷性なのかもしれない。

と書いてるSNAKEPIPE。
これも記事に書いてあるけど、あの展覧会では肌が粟立ったからね!
本物の(!)連続殺人犯が描いた絵よりも、リンチの絵に恐怖を感じてしまうのは何故だろうか。

ほとんどのシリアルキラーが幼少期に虐待を受け、愛情を知らずに育っているという特徴がある。
貴志祐介の「黒い家」で
「あたしも親からおんなじことされたのよ!同じことして何が悪い?」
保険金目当てに子供を殺した大竹しのぶが叫んだセリフを思い出すね。

元々アートの才能があったにしても、連続殺人犯になったために絵も注目されて、コレクターも絵を欲しがるわけで。
確かジョン・ウォーターズもコレクターだったはず!
今回の「シリアルキラー展」もコレクターであるHN氏のコレクションの展示だし。
HN氏って一体誰なんだろうね。
パンフレットに「朱に交われば赤くなる」ことを懸念した、と書いてあったけれど、収集を始めて約10年が経過した今、HN氏に何かしらの変化があったのかどうか?
とても興味を感じてしまうね。

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