誰がCOVERやねん7

                   

【コックニー・レベルのカヴァーをリミックス(?)してみた】
ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAHにとって2017年、最初のブログ記事になるので、今年もよろしくお願いします。
毎年のように新年には新しいシリーズ記事を始めるけど、もう増えすぎて書いてる本人にもどれがどの企画だったかわからなくなってしまうから、今年は特になしということで従来通り書き進めてゆくよ。

で、久しぶりの更新となるこのシリーズを書いてみようか。
タイトルの由来がわかりにくいので不評だが、内容は単純、カヴァー曲特集に過ぎないのだ。
企画自体はどこにでもありそうなものだが、ウチのブログの場合、ほとんどが70年代パンクと80年代ニュー・ウェイブに関する曲ばかりを選んで聴かせるという姿勢だけが今の時代には珍しいかも。
いいかげんに書いてはいても、この時代の「ある視点」部門の情報については(たぶん)抜きん出てると自負してるので、それだけでウチのサイトも殿堂入り出来るね。

さて、このシリーズ記事を最後に書いたのが2015年の夏だったな。
あの夏と言えば個人的にはエアコン内部に指を突っ込んでひどい怪我をしたのが思い出される。パックリ割れた爪もいつの間にか完治してどこを怪我したのかわからないほどになったが、ひと夏の思い出が骨折寸前の痛みだけなのが情けない。

2016年の年末から今年の正月にかけては、今度は左手の人差し指だけなぜかものすごい洗剤かぶれ(?)になってしまい、やけどの跡みたいに醜い指先。おそらく主婦湿疹みたいなもんだろうが、たかが洗剤の恐ろしさが身に沁みたよ。しかしなぜか左手指先の災難が多いなあ。
ペル・ゆび」などとつまらんダジャレしか出てこないほど不調。

またしても今回の記事とは全く関係ない話に脱線してしまったのでもうさっさと始めることにしよう。
ちなみに単にカヴァー曲を羅列してダラダラ書いておけばいいものを、例えば「あまり数多くのカヴァー曲が存在しないバンドのカヴァーを敢えて選ぶ」とか「カヴァー曲の方が原曲よりも古かった(ウソ)」とか難題に挑みすぎて自滅するパターンが多かった。だから今回もテーマは特になし、自分にとって書きやすいものだけを選ぶ方針にするよ。

マンチェスターを代表する70年代パンク・バンド、バズコックスのたぶん7枚目のシングルがこの曲「Ever Fallen in Love」だ。
ウチのブログでも何度も登場してるからまたまた書くのも面倒なんだが、バズコックスはハワード・ディヴォートというやや不気味な顔立ちと奇妙な髪型、イヤラシく個性的な声のヴォーカリストと、地味な顔立ちでカリスマ性に乏しいがパンク界屈指のメロディ・メーカーであるピート・シェリーの二人を中心にマンチェスターで結成されたパンク・バンドだった。
パンクの超名盤と名高い4曲入りシングル「Spiral Scratch」でデビューして注目されたが、ハワード・ディヴォートはシングルのみですぐに脱退。残ったメンバーがピート・シェリーを中心に築き上げたのがポップで素晴らしいメロディの作品群というわけだ。

パンク・ロックの発生後、それまでアルバムのセールス主体だった時代からシングル盤主体の時代になっていったという見方がある。
これがその当時の真実だったのかは当事者じゃないからハッキリはわからないが、気になるバンドはまずシングルで買ってみて、気に入ったらアルバムを買うというのはまあ当たり前の心理だ。特にロンドン・パンクの時代の若者はみんな貧乏、なけなしの金でシングル盤を買うというのは確かにリアルなものだったろう。アルバム出るまで待ってたらすでに流行遅れというのもあっただろうな。しかもシングル1枚出したっきり消えてしまったパンク・バンドも結構いたから、パンク=シングルというのは時代の流れだったんだろうね。
ん?また文化論っぽくなってしまったが、確かにROCKHURRAHも7インチ・シングルをイヤになるほど集めていたよ。あの中くらいの大きさがいいんだよね。

バズコックスの場合はアルバムももちろん売れたんだろうが、このシングル主体の波に乗って、素晴らしいシングル曲を連発したという印象がある。実際にどれくらいヒットしたとかそういうデータは抜きにしても、少なくとも10枚目くらいのシングルまではパンク好きなら誰でも知ってるような有名な曲ばかりだ。パンクの荒々しい一面はこのバンドにはあまりなく、とにかくポップで覚えやすく、一緒に歌いやすいメロディと単純明快な演奏が際立っていたからね。

前にも何度も書いたが、セックス・ピストルズやクラッシュ、ダムドのように見た目がカッコイイ、ファッションを真似したいという部分がバズコックスには見事に欠落していて、こういう平凡な見た目でスマッシュ・ヒットを連発していた点がすごい。まさに見た目じゃないよハートだよ、聴衆の耳も肥えてたってことだね。
ROCKHURRAHは80年代に渋谷のクアトロでライブを観たんだけど、その時も観客は観るというより聴きに来てるといった感じだったのを思い出す。もはやメンバー全員おっさんになってしまってたけどね。
ビデオのピート・シェリーもパンク・バンドのTV出演とは思えないオフィス・カジュアルみたいな服装で歯がゆいほどスター性に乏しいなあ。このストライプ・シャツが気に入ってるようで「Promises」のプロモでも同じの着てるよ。

そのバズコックスの名曲をカヴァーしたのがこちら、ファイン・ヤング・カニバルズの1986年の作品。

イギリスで1979年くらいから流行ったのがネオ・スカのムーブメントだった。
オリジナルのスカはジャマイカで発生した音楽だったが、それを取り入れてパンクやニュー・ウェイブのフィルターをかけたような音楽がこの時代に誕生した。白人もジャマイカンも仲良く同じバンドをやっていて、そのネオ・スカはレーベルの名前を取って2トーン・スカと呼ばれた。ROCKHURRAHごときが言わなくても誰でも知ってるよね。
スペシャルズ、マッドネス、セレクターの御三家を中心に、ザ・ビート、バッド・マナーズ、ボディ・スナッチャーズなどなど、とにかくブームと言っていいほど流行ったもんだ。音楽だけでなく2トーン系ファッションなるものも生まれて、細身のスーツにポークパイ・ハット、粋でオシャレなスカのファッションはスカを知らないような人にまで受け入れられた。
メンズ・ビギやムッシュ・ニコル、アーストン・ボラージュなど、当時のデザイナーズ・ブランドでも白黒の市松模様が大流行していたもんな。
ROCKHURRAHも市松模様のシャツを着てなぜか秋吉台(山口にある鍾乳洞&カルスト台地)でバヤリース飲んでるという恥ずかしい写真も残ってるよ(笑)。要はこんな地方都市でも流行ってたと言いたかっただけ。

そのネオ・スカのムーブメントの中で、最初のうちだけ2トーン・レーベルから出して、その後は別のレーベルに行ったのがザ・ビート(イングリッシュ・ビート)だった。まあレーベルが違うだけでやってる事はネオ・スカには違いないけど、ザ・ビートも名曲を数多く残してるグレイトな(ROCKHURRAHに似合わぬ言い回し)バンドだね。「Jeanette」などは個人的に今でも愛聴してるよ。

ザ・ビートの解散後、二人の白人メンバーが結成したのがファイン・ヤング・カニバルズ、この二人につり目のちょっと不気味な黒人ヴォーカリストを加えた三人編成だった。
彼らはこのつり目の男、日本だったら絶対ヤンキーだと思われるローランド・ギフトの見た目からは想像出来ないファルセット(裏声みたいな高音)のヴォーカルを武器に、スカよりももっと万人受けするポップな曲を次々とヒットチャートに送り込んで人気バンドになっていった。1989年には2曲も全米1位に輝いてるからスカ時代よりも遥かにビッグネームになっていたわけだ。

このバズコックスのカヴァーはその大ヒットよりも前の時代、1986年のもの。
パンクやニュー・ウェイブの時代は敢えて異種の音楽を自分なりにカヴァーするという試みが多かったが、これもその一種なんだろうね。
「Great Rock’n’Roll Swindle」の中でピストルズの曲をシャンソン風とかファンク/ディスコ調でカヴァーするとかそういう先駆者がすでにいるから格別に驚きもしないけど、知ってる曲と同じタイトルだとどうしても一度は聴いてみたくなるのがファン心理というもの。
原曲を超えたカヴァーというのは滅多に存在しないから不毛な試みではあるんだろうけど、やってみたくなるミュージシャンの心理もよくわかる。あとは聴いてみて聴衆が決めればいいよ。
何じゃこのいいかげんなくせに偉そうな発言は?

パンクやニュー・ウェイブの発生に直接的な影響を与えたバンドとしてあまり名前が挙がらないが、ROCKHURRAHとしてはこのバンド、スティーブ・ハーリィ&コックニー・レベルの事をとても重要視している。
この記事でもROCKHURRAHのルーツとも言える一人、スティーブ・ハーリィ愛は語られてるが、またまた同じような事を違う記事で書いてしまう。まあ趣味の範囲が非常に狭いんだろうな。
そこでも書いたようにコックニー・レベルはグラム・ロックの時代にデビューして、他のバンドがあまりやらないような路線に活路を見出した一風変わり者のロック・バンドだ。
ボブ・ディランやその時代のフォークソングのような字余りの歌をコックニー訛りの強烈な歌声に乗せて、しかし演奏はクラシカルな要素や大道芸、ジンタのようだったり、ブリティッシュ・ロックの中でも奇妙な部類に入る音楽だった。
3rdアルバムで確執のあったメンバーを一新して演奏は随分健全でポップな感じになったが、ハーリィのヴォーカルは一貫して破壊的で危うい均衡を保ったまま、王道のような曲をやってたのがすごい。彼らのライブを聴けばわかるように歌の崩し方、破綻の仕方が絶妙なんだよね。

そのコックニー・レベル最大のヒット曲がある程度の年代のイギリス人だったら誰でも知ってるこの曲、1975年の全英1位に輝いた「Make Me Smile」だ。邦題は「やさしくスマイル」などとラブソング風なタイトルになっているが、実は解雇した元メンバーを呪った曲というギャップが激しい名曲。
スティーブ・ハーリィのTV出演映像は割と残ってるが、ガム噛んでたりレコードと全然違うアレンジでファンをビックリさせたり、不敵なのかリラックスしすぎなのかよくわからんものが多くて見逃せない。
今回のは裸にファーのジャケットというよく見るヴァージョンだが、この歌声と表情はいつ見ても素晴らしい表現力だと思う。好きなバンドだから何を書いても褒め言葉ばかりになってしまうが、まあそれは誰にでもある事だから許してね。
最近も過去の栄光で老体ライブをやってるようだが、この70年代のコックニー・レベルを生で観たかったなあ。

とにかくコックニー・レベルの代名詞と言える代表曲だから、カヴァーの数もそれなりに存在している。カヴァーしてる方のバンドにどうでもいいようなのも多数だが、同時代にはスージー・クアトロ、80年代にはデュラン・デュランやウェディング・プレゼントがやったものなどは割と有名かな。そんな中で今回選んだのがこのイレイジャーの2003年作のヴァージョンだ。

80年代のエレクトロニクス・ポップやシンセポップ、テクノ・ポップと呼ばれた音楽を聴いた人だったら誰でも知ってるデペッシュ・モード、その初期メンバーで81年に早くも脱退したのがヴィンス・クラークだった。まあデビュー当時は全員かわいい系の好青年揃いだったけど、ヴィンス・クラークだけはやや不気味な見た目だったからな。え?関係ない?

その後太めの女性低音ヴォーカリスト、アリソン・モイエ(80年代的にはモエットと読んでたな)と二人でヤズーを結成して、デペッシュ・モードを凌ぐ人気を得たのだが、人気絶頂の頃は前髪だけフサフサの坊主、モヒカンの一種みたいな髪型しててますます奇怪な感じだった。ファンには申し訳ないが表情や顔が不吉に見えて仕方ないんだよね。
そのヤズーも短い期間で解散、今度は元アンダートーンズの高音ヴォーカリストだったフィアガル・シャーキーを仲間にしてアセンブリーを始めるが、これまた短い活動期間でやめてしまう。
飽きっぽいのかな?しかも低音が好きなのか高音が好きなのかよくわからん男だな。

その後やっと、ずっと活動を続けられる相方を見つけ、1985年からアンディ・ベルと共にイレイジャーとして落ち着いている。
男二人の怪しい関係を想像するグループはこの時代から数多く存在していて、ソフト・セル、D.A.F、ペットショップ・ボーイズ、アソシエイツ、ワム!、ティアーズ・フォー・フィアーズ、Jad Wioなどなど・・・。本当は二人組でないけどジャケットなどの写真では二人だけというのも含めてすぐに思い出せないものも多数いるに違いない。中には三人組というツワモノのゲイ・トリオ、ブロンスキー・ビートなんてのもいたなあ。
このイレイジャーもその系譜にある二人組で、ゲイとしては相当に長く続いてる国民的なユニットだが、それだけ支持してるピープルも多いって事だろうね。ヴィンス・クラークの頭もすっかりハゲてしまい時の移り変わりを感じる。

さて、割と絶え間なく作品を出し続けていたイレイジャーのカヴァー曲ばかりを集めたアルバムにこの曲も収録されている。70〜80年代に限定と書いておきながら2003年なんだが、まあ80年代っぽいままずっとやってるからこれでもいいよね。
これまでどうでもいいアレンジのおざなりなカヴァーが多い「Make Me Smile」だったが、これは中でもちゃんと丁寧にカヴァーした感じがしてプロモも陽気でいいね。あぐらで空中散歩、ROCKHURRAHもこんな能力が欲しいよ。

今回はひとつのバンドについて結構長く書いてしまったので少ないけどこれだけで終わる事にしよう。
簡単にひとことコメントとかでやってゆけばいいんだろうが、その辺が不器用というかサービス精神が旺盛というか、常に「はじめて当ブログを読む人に」「音楽があまり詳しくなくても読めるように」という親切な内容を心がけてしまう。優しいんだろうか(←自分で言うか)。

ではまた、アンニョンヒカセヨ(韓国語でさようなら)。

2 Comments

  1. 鳥飼否宇

    スティーヴ・ハーリィ久々に思い出しました。このねちっこいヴォーカルがときに耳触りがいいですなあ。ねちっこいといえば、ハワード・ディヴォートも負けていませんね。私はピート・シェリーよりも断然ハワード・ディヴォートのほうが好きなのであります。’Cut-Out Shapes’とか’Permafrost’とか最高です。https://www.youtube.com/watch?v=Om0jhPkOwhg

  2. ROCKHURRAH

    鳥飼先生、メッセージありがとうございます。
    マガジンはウチのブログでも何度も書いていますが初期ニュー・ウェイブの中でも大好きなバンドです。特に2ndアルバム「Secondhand Daylight」は今でも色褪せることなく聴ける名盤であの頃は毎日聴きまくっていました。「Permafrost」「Feed the Enemy」の気怠さ、ねちっこさは最高ですね。

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