痛くて怖い物語

                   

【「28日後…」でチンパンジー教育用に使用されていた映像より】

ROCKHURRAH WROTE:

今まで滅多に映画鑑賞記みたいなものを書かなかったROCKHURRAHが久々に映画について書いてみよう。
映画に関してはROCKHURRAHサイトのキーワードとも言える「70〜80年代の・・・」限定というわけにはいかないが、そもそも昔はよく見かけた定番の映画(と言ってもちょいマニアックなもの)でさえ大手レンタル屋チェーンとかでは見事に姿を消しているという嫌な時代。仕方なく入手しやすい映画ばかり観ているけど、ブログで感想書きたくなる程の作品は少ないなあ。しかも面白いのはSNAKEPIPEの「CULT映画ア・ラ・カルト」シリーズでもう書いてしまってるから、それ以外の「地味な映画」担当になっちまった(笑)。まあそんな映画の中から何とか探して書いてみましょう。微妙にちょっと前の映画なのがROCKHURRAH流時代遅れのススメというわけ。

さて、今回はありそうでなさそうな怖い話というような括りでいくつかピックアップして軽く書いてみようか。ROCKHURRAHが書く時はいつもなんだが、相変わらず考察も批評も特になくて、単にこんな映画もあったなあ、という程度だから何も期待しないで。
また、ネタバレにならないように書いてるつもりでもうっかりバレてしまったらごめん。


まずはクエンティン・タランティーノが製作総指揮でイーライ・ロス監督の「ホステル」から。この世界では若手と言ってもいいのかな?作品数も少ないからこの「ホステル」が代表作となる。結構話題になってたから知ってる人は知ってるだろうが、監督の名前を聞いても知らない人も多いかも。この人はタランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」に俳優として出てたのも記憶に新しい(劇中に出てくるナチス映画もイーライ・ロスが監督)。
ストーリーは単純なものだが、3人組のバックパッカーがヨーロッパで無軌道な旅をしている最中の怖い話。旅先で紹介されたスロバキアにあるホステル、そこが問題の場所なんだが最初は楽しい天国のような歓待を受ける3人。それが一転して次々と・・・とまでは行かない少人数だな。2人いなくなれば次は3人目だって事くらいは誰でもわかる。
まあ世にも恐ろしい目に遭ってしまうわけだ。古典的すぎて涙が出てしまう展開だが、オーソドックスでも怖いものは怖いのよ、という自信に充ち溢れた作品。ジャンルとしてはものすごく痛い系列かな?
「SAW」や「マーターズ」なども似たタイプで得体の知れない敵という存在はあるんだが、こちらは割と直球勝負。というか勝負したくないタイプ。いやあ、絶対こんな目に遭いたくないものだ。


この映画はヒットしたために続編「ホステル2」も同監督で2007年に公開された。前作ラストの後日談が映画の冒頭で出てきていきなりショッキング。今度は女子美大生3人組プラス1名で発端も展開も同じようなもの。やっぱりまんまとスロバキアに誘われてしまう。途中まではここまで前作を踏襲した2も最近では珍しい、とまで思ったが最後だけ大どんでん返し。いや、その展開も充分読めるけどね。
タランティーノ監督の「デス・プルーフ in グラインドハウス」にも似たラストの爽快感はあるものの、この主役以外だったら全く救いようのない映画だったろうね。
前作では少しだけしか説明されてなかった得体の知れない組織もある程度全貌が明らかになってゆく。こういう組織が現実にあってもちっともおかしくはないという気がする点がこの映画の恐ろしい部分かな。

しかしこの2本の映画を観て「絶対にスロバキア行きたくねー」と思った人は数知れずいるに違いない。実在する国で観光による収益もあるだろうにねえ。スロバキアの人にとっても別の意味で背筋の凍る映画だと言えよう。


さて、次はダニー・ボイル監督の「28日後…」について。「トレインスポッティング 」や「スラムドッグ$ミリオネア 」など大ヒットした映画を撮っているから、90年代以降のイギリスを代表する監督と言ってもいいだろう。
ストーリーとしてはこれまた割と単純なもの。感染症にかかった猿に噛まれた事によりレイジ・ウィルスなるものが人間の間であっという間に大流行。噛まれるとわずか数秒で凶暴なゾンビのような人間となり、見境なく人を襲って次々と感染者が増えてゆく。そしてロンドンは死者と感染者ばかりの街になってしまい、イギリスは壊滅状態となる。それから28日後に病院で目覚めた男が主人公だ。同じように何らかの理由で感染せずに生き延びた仲間に出会い、感染者から必死に逃げてゆくというサバイバル・ホラーだ。
「ナイト・オブ・ザ・リビンデッド」や「ゾンビ」「バイオハザード」などのパターンを踏襲してはいるもののさすがイギリス映画。上記のアメリカ物に比べるとずっとダークで主人公たちのバイタリティが低い感じがする。もっとうまい逃げ方もあるだろうに、と何回も思うもどかしさがある。逆に感染者たちの凶暴具合、その勢いは大変なもので、こんなのに追いかけられたらたまったもんではない。
この監督の特色なのか「トレインスポッティング 」「スラムドッグ$ミリオネア 」などと同じく冒頭に全力疾走するというスピーディな映像効果(上記の感染者から逃げる図)が印象的だ。
見た目も冴えず最初はダメ男に見えた主人公が愛する女のためにランボー(古い)並の活躍をするのはちょっと有り得ない展開だが、よくわからないウィルスによる感染の恐怖というのは誰にとっても非現実的なものではないはず。その辺の潜在的な弱点をよく捉えた映画だと思える。
また、映画の内容とは関係ないがイギリスを舞台としている事からイギリス軍のDPM迷彩服がふんだんに登場するのも個人的にはポイント高い。


この「28日後…」もヒットしたのでファン・カルロス・フレナディージョ(長い)なる別の監督でダニー・ボイルが製作総指揮という続編「28週後…」が2007年に公開された。
前回と同じ舞台設定だがこれは別なエピソード。しかも前作よりは格段に複雑な話。
28日後と同じ頃(変な表現)、別の土地で生き延びた夫婦と一時的な仲間たちがいた。しかし隠れ家に子供を匿った事から追ってきた感染者集団の襲撃を受けてしまう。そして全滅してしまうエセ・コミューンなのだが、この時に妻を見捨てて逃げた非道な夫が物語のキーマンとなる。
28日後騒動の後(変な表現)、壊滅したイギリスはアメリカ軍の統治により復興が進んでいて「まあ、もう大丈夫なんじゃない?」という程度の安全宣言が出された。これが28週後というわけ。生き延びた人たちは安全区域で米兵に守られて生活していて、最初に一人だけ逃げた夫も外国にいた二人の子供を引き取り、とりあえずはメデタシ。当然の展開だが「お母さんはどうしたの?」という問いかけに自分だけが生き延びたウソの顛末を語り、保身を図る嫌なおやじ。悲しむ子供は立ち入り禁止となっている自宅に戻り、それが元でまたしてもレイジ・ウィルスがあっという間に再発してしまう・・・。そして米軍は事態を鎮圧するために地区内の人間も感染者も全部焼いてしまおう、というコード・レッドなる非常手段を発令する。
主人公は二人の子供でサバイバル生活に突入してゆくが、それを助けるのが後に「ハート・ロッカー」で戦争ジャンキーみたいな爆発物処理人役を演じるジェレミー・レナーだ。しかしこちらでもあちらでも米軍の軍曹役という事でACU迷彩着用のどちらも同じ姿。巷ではACU迷彩が最も似合う俳優という事で通っているのかね?どちらかと言えば軍人のキリッとしたタイプではないしSNAKEPIPEによると「デュラン・デュランのサイモン・ル・ボンをふくよかにしたような顔」とのこと。この3人ともう一人女性兵士を加えた一団で感染者や米軍から逃げたり戦ったりするというのが大まかなあらすじだ。

前作では一旦助けてもらったイギリス軍こそが感染者よりも恐ろしい存在だったが、この続編ではアメリカ軍兵士でプロのスナイパーが味方、という事で多少の希望がある。がしかし、この兵士は軍の脱走者と同じ扱いという事で、敵の強大さという点では遥かにスケールアップしている。やっぱりね、と思う救いようのなさは「ゾンビ」や「サンゲリア」などと同類だね。


最後はジャウム・コレット=セラというあまり知名度はないと思われる若い監督の作品で「エスター」。この映画自体は結構怖いという評判だったので観た人も多いはず。

両親と2人の子どもがいる家庭。一見幸せに見えるが三人目の子供を流産したという悲しみが一家の影になっている模様。両親は孤児院に行き、養女に出来そうな子供を物色する。そこで偶然に出会った少女がエスターというわけだ。絵を描くのがうまく聡明な少女で、この子を引き取る事にする。兄妹の妹は難聴なんだが、エスターはすぐに手話を覚えて妹とも仲良くしてメデタシ。が、兄の方はどうやらこのエスターが気に入らなくて家にやってきた他人扱いする。エスターの服装が今風ではなくて一緒にいるのが恥ずかしいというような思春期にありがちなものだろう。それなりに馴染んできたエスターだったが、学校ではイジメに遭っていて家では母親や兄ともちょっとうまくいかないところがある。
まあそういう感じのはじまりでエスターの理解者は優しい父親と難聴の妹だけとなる、という部分が割ときめ細かく描写されていて、後半になってからはこのエスターの怖い部分が徐々に明らかになってゆく。

今時珍しいほど古典的ホラー要素を踏襲していて「最近のホラーは派手でショッキングなばかりで面白いのがないねぇ」などと思ってたROCKHURRAHもビックリのずっしりとした王道ホラーだった。今回ピックアップした中では最も飛躍がなくて、現実的な恐怖を追求した作品だと言える。しかし全然子供がいなくて寂しい夫婦というわけではなくて2人もちゃんと子どもがいるのに、それでもなおかつ、充分に物心ついた子供をさらに欲しがるこの両親の気持ちはちょっと理解出来ないなあ。

こんな感じでちょっと怖い映画を選んでみたが、最近は「ホラー映画苦手」と言っていたSNAKEPIPEも普通に平気で観れるようになって喜ばしい。変態サイコキラーが街中を脅かすような映画は大好きのくせにね(笑)。また書けるような題材があったら映画についても書いてゆこう。

尚、来週はrockhurrah.comのサーバーが大掛かりなメンテナンスを行うため、ブログは休ませてもらうかも。この場を借りて告知させて頂きます。

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