Naonシャッフル 第5夜

                   

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【叫べ!スクリーミング・ガールズ大特集(ウソ)】

ROCKHURRAH WROTE:

SNAKEPIPEと二人で2006年に始めたウチのブログだが、二人で共通のシリーズ記事を執筆(大げさ)してるものと、それぞれ一人だけが担当のシリーズ記事に分かれている。
しかしROCKHURRAHが担当してるものはシリーズのタイトルが違うだけで、見事にいつも同じパターンでブログを書いてるのは間違いない。10年以上も続けたブログで記事数も記事の文字数もかなり多いのに、ROCKHURRAHの進化は完全に止まったまま、よくネタが尽きないなと自分でも感心するよ。
まあ進化して新しいものにどんどん目を向けてたら、こんな80年代満載のブログなんかやってないだろうね。時が止まったようなブログだからこその価値も少しはあるんじゃなかろうか?

さて、今回はそこまで久しぶりでもないけど、このシリーズ企画を書いてみよう。
ROCKHURRAHの数ある記事の中で女性ロッカーにだけ着目したシリーズね。

世の中にガールズ・バンドは数多くあるにも関わらず案外記事数が少ないのは、記事に出来るくらいの個性を持ったバンドや歌姫は既に違うシリーズ記事に登場済みだから、というのもある。
似たようなバンドをひとまとめに書こうと思っても、どれもそんなに個性に違いがなくて、本当に「似たようなバンド」としか書きようがないので書いてる途中でイヤになった、というネガティブな理由で中断したボツ原稿もある。
まあ企画を思いついた時にそこまで多く書けそうにない、と見抜いておけば良かったんだがね。

今回は特に名案が思いつかなかったので、その場しのぎで「ロッキン・ガールズ」特集としてみよう。
六筋=シックスパック、腹筋がきれいに割れて鍛え抜かれたガールズの特集・・・ではなくてRockin’ね。
ロッキンという言葉自体、ROCKHURRAHが思うニュアンスと一般的な解釈がすでに大きく違うとは思うけど、要するに「何とかビリー系」のガールズ・バンドを集めてみたよ。

1950年代がロカビリーの最盛期、そして70年代の終わり頃からネオ・ロカビリーと呼ばれる音楽が流行ったが、単なるリバイバルだけじゃなくてパンクやニュー・ウェイブ、ガレージ、ウェスタンなど様々な音楽と結びついて発展していった。単なる50年代の焼き直しだったバンドも多数だけど、ROCKHURRAHの好みはもう少しウソっぽいもの。
ウソっぽいと言えば、ロカビリーをもっとグロくして異常性を加えたサイコビリーなんてのも80年代には生まれた。ロカビリーやパンク、ハードコアが根底にあるものの、ネオ・ロカビリーよりもさらに柔軟に、どんな音楽とも結びつくしたたかなバカ音楽だった。

ロカビリーやサイコビリー自体が誰でも知ってるとは言えない音楽だけど、ごくたまにそういうファッションが一部で流行ったりもする。サイコビリーの方は特に近年ではハロウィーンのイベントでもてはやされてるゾンビ・メイクのルーツでもあるから、また突然流行りだしてもおかしくはないかもね。
ちなみにネオ・ロカビリーとサイコビリーの違いが言葉ではイマイチわからないという人のために左の画像も用意したよ。
ん?男の画像じゃロッキン・ガールズとは関係ないか?
女性の場合はネオ・ロカビリーとサイコビリーの違いが非常にわかりにくいし、こっちが考えてるほどには厳密な違いなんかないんだろうけど。
メイクがより病的だったり服装が典型的ロカビリーじゃなかったり、かなりいいかげんな見方ではあるけど、ROCKHURRAHはライブでサイコ・ガールを見かけた時はその辺が判断基準になってたよ。

こういうビリー系については前に二回は特集したから(これコレ)、あまり知らなくて、もし本気で興味ある人がいたらそっちも読んでみてね。

そのネオ・ロカビリーやサイコビリーが盛んだった80年代半ばくらいは正直言って女性バンドは非常に少なかった。
この手の音楽は能天気っぽくしてても演奏力がちゃんとないと成り立たない部分が多いし、その要とも言えるウッドベースは重くて巨大で、これを自在に操る女性はなかなか登場しなかったからだと思える。日本じゃ住宅事情もあって練習する場所もあまりないよね。

近年はその手のバンドは昔よりは多くなったとは思うけど、そういうわけもあって、今回の企画ではROCKHURRAHがいつもうわ言のように言ってる「70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブ限定で」という主旨とは反する(もっと後の)時代のバンドが多くなりそうだけど、まあ仕方ないと思って許してね。

前置きがえらく長くなってしまったが、そろそろ始めてみるか。

まずはロッキン・ガールズのパイオニアとしてこれを筆頭に挙げないわけにはいくまい。
それがこのShillelagh Sisters。
う、読めん・・・と一瞬別のシリーズ記事の方で書きたくなってしまったが、日本では複数のカタカナ表記があるので、どれが正しいかはよくわからなかったよ。

Shillelagh(シレイリー、シレイラ)とはアイルランドの伝統的な棍棒や杖だとの事だけど、日本ではほとんど知る必要のない単語だと思われるな。ゴルフのドライバー(1番ウッド)を一本の木で作ったような形状をしていて、アイルランドというよりは漫画とかで仙人のじいさんが持ってるあの杖を想像してもらえればイメージしやすいかな。この棍棒で敵を殴り倒すのかな?
また、兵器マニア以外には全く必要ない知識だが、MGM51という対戦車ミサイルがシレイラと呼ばれていたらしい。

このバンドを誰が最初にカタカナ表記したかは知らないが、大抵の日本語サイトではシレラ・シスターズと書かれていて、レコード屋のページでもそう紹介されているのでその表記でいいのかな?
個人的には彼女たちの髪型がシレイラ(棍棒)みたいなのでシレイラ・シスターズの方がしっくりくるんだが。

このバンドは80年代のネオ・ロカビリー界で大人気だったポールキャッツのギタリスト、ボズ・ブーラーの彼女(後に奥さん)だったリンダー・ハルピンによるバンド。中国人でもないのにハルピンとはこれいかに?いや、中国人でも滅多にいないはず。彼女はこのバンドでウッドベースを弾いていた。
ヴォーカルはそのリンダーではなく、なかなかキリッとした顔立ちの美人だと思ったが、後にバナナラマに加入するジャッキー・オサリバンのデビュー当時の姿がこのバンドなんだよね。ネオ・ロカ出身のアイドルというのも珍しい経歴。この頃はポールキャッツのベーシストと付き合っていたというから、このシレラ・シスターズはまさにポールキャッツが全面協力したガールズ・バンドだと言える。見てきたわけじゃないから知らんが、一緒にライブとかやってないのかね?

1984年にレコード・デビューして2枚のシングルを残しただけであっという間にいなくなってしまったが、見た目といい演奏といい、さすがのカッコ良さがあり、伝説となったバンドだった。
ROCKHURRAHがこのバンドを知った頃はすでにレコードが入手困難で高価だったが、その当時は欲しいレコードランキングの上位にあったなあ。意を決してわざわざ横浜(当時、横浜にネオロカ専門店があった)まで買いに行ったが、やっぱり高くて断念した悔しい思い出がある。その時はそのまま帰るのも癪だったのでスクリーミン・サイレンズ(これまた女性のカウパンク・バンド)のシングルを買ったな。ん?思い出話はどうでもいい?

この曲は60年代に大ヒットしたフランク・シナトラの娘、ナンシー・シナトラの代表曲で邦題は「にくい貴方」のカヴァー。数々のカヴァーが存在しているが、その中でも一番好きなのがこのシレラ・シスターズ版のもの。80年代前半はちゃんと演奏したロカビリーのガールズ・バンドが非常に少なかった(皆無?)はずなので、まさに先駆者と言える。

その後、ガールズ・ロカビリー&サイコビリー・バンドの系譜を書こうと思ったが、80年代前半のシレラ・シスターズ以降はこの手のバンドが見当たらないんだよな。
男のバンドの中で女一人だけヴォーカルというスタイルはあっても、少なくとも80%以上は女性のバンドというのはやっぱり難しい。前述したようにちゃんと楽器が弾けてプロとしてやっていけるような人材が少なかったんだろうね。それ以前にこの手の音楽を好む女子が世の中に少なすぎってのが一番の原因なんだろうな。ファッションやメイクだけじゃなくて他のことも頑張れ女子。
90年代半ばくらいに登場したデンマークのホラーポップスというバンドが女性ウッドベース奏者で有名だが、これも男の中に混ざってるだけなんで「Naonシャッフル」というくくりでは紹介出来ないな。
そう、今回はメンバーの大半が女性というバンドを特集しようと思ってるので、ただの女性ヴォーカルのバンドは全て不採用なのだ。

それで、これ以降はたぶん全部2000年以降のバンドばかり登場する。
バンド名や音楽がわかっても公式サイトさえないようなバンドばかりで、情報がとても少なくて難儀したよ。ファッションやメイク、写真をSNSにアップだけじゃなくてちゃんとサイト作りも頑張れ女子。

で、このバンド、The Deadutantesも情報がとても少ないひとつね。
うーん、これまた何と読むのか不明だな。デッデュタンテス?
フランス語で社交界にデビューした若い娘の事をデビュタントというらしいが、それをもじってつけたバンド名なのかな?死者デビューした若い娘?
©2003年の公式サイトがあったんだけどUnder Constructionだとの事で、トップページだけは作ったものの面倒だったりケンカしてイヤになったり逮捕されたり、様々な理由(全部想像)でやめたんだろうかね?ROCKHURRAHに言ってくれればサイトくらい軽く作ってやるのにね(安い)。

さて、このDeadutantes(読めん)、YouTubeに動画はいくつかあるんだけど、それを見る限り女性だけの4人組。
どうやらサンフランシスコのバンドで少なくとも2003年には結成されていたはずだが、その後どういう活動してたのかはよくわからなかった。
ちゃんとウッドベースも入ってて昔ながらの80年代サイコビリーをそのまんま2000年代に再現してるみたいな演奏スタイル。
このビデオはサイコというよりもガレージ風で、ヴォーカルが聴こえにくいけど、雰囲気はバッチリだね。SNAKEPIPEがこの手の踊り大得意なんだよね。

珍しく2曲も紹介してしまおう。
こっちはさっきの「80年代サイコビリーをそのまんま2000年代に再現」という発言を覆すようだが、もう少しキャッチーな近代サイコビリーという感じ。Mad Masatoとかを思い出してしまった。
ヴォーカルが何故に裸足?と思ったが途中の痙攣パフォーマンスも面白いね。お色気を売り物にしてるのか何なのかはわからないが、サイコやるんだったらこれくらいはしないとね。ギターが途中で間違えるのもご愛嬌。

メンバーがみんな、なかなかの美人なのに人気なかったのか、CD一枚くらいしか出してないみたいだね。もっと売り方を工夫すればこのルックスだったら有名になれたのにね。そもそも読めんバンド名じゃ日本で売る事も難しいか。

ロカビリーはアメリカ生まれの音楽でサイコビリーの元祖とも言われるクランプスもアメリカなんだが、サイコビリーの初期に活躍したのは断然ヨーロッパのバンドが多いという歴史がある。
イギリスよりも伝統が少ないお国柄だから、よりいっそう保守的になってしまうのかな?
サイコビリーなんてピュアなロカビリーの人間から見れば唾棄すべきインチキ音楽って事になるんだろうか。
おっとまたニセ文化論みたいになりそうだから止めておこう。

90年代に福岡に住んでる頃、顔見知りの古着屋の店員と偶然に電車で一緒になったんだが、その人は全身バリバリの50’sロカビリー娘だった。その時はROCKHURRAHもサイコビリーやネオロカを一番聴いてた頃だったんだけど、やっぱり全然話が合わなかった覚えがあるよ。
ROCKHURRAHはちゃんとしたロカビリーに敬意は払いつつも、ついお下劣なサイコビリーの方に興味が行きがちだったからね。80年代にポジティブ・パンクにのめり込んだ時も同じような心情だったよ。
傍目には同じ類いに見えても両者の間には深くて暗い川がある(野坂昭如)というわけだ。

そんなアメリカから登場したのがこのThee Merry Widowsというバンド。
「メリー・ウィドウ」というオペレッタがあるのでそこから付けたバンド名だとは思うが、なぜそこから引用するのか意味不明。
ちなみにオペラ=大劇場で貴族が鑑賞するもの、オペレッタ=より庶民的な小劇場でのコメディという分類されてるんだって。知らなかったよ。
Theeというのは「汝」というような意味の古語らしいが、80年代からビリー・チャイルディッシュがやってたミルクシェイクス、マイティ・シーザーズ、ヘッドコーツが全てTheeで始まるという歴史がありまして、その後なぜかガレージ系のバンドに大人気となってしまった。日本のミッシェルガン・エレファントとかもTheeが付いてるね。
昔、下北沢のレコード屋で働いていた頃、ミルクシェイクスはMじゃなくてT(Theeだから)の棚に入れてたのを思い出す。

さて、このバンドはレーベルの謳い文句によると世界初の女性のみのサイコビリー・バンドという事になってるけど、本当に元祖なのかどうかはよくわからない。まさに最古のサイコビリー。
2002年くらいからやってるらしいが、それで最古とは。80年代90年代は何やってたの?サイコ女子。

見ての通り他のメンバーは割とまともなのにヴォーカルがすごいデブの全身刺青女、ギターもややデブのメガネ女というインパクトだけが先行して、音楽の方は見た目に比べるとありきたりな印象がある。
デブだけの魅力じゃ心もとないのか、他のライブ映像では太めのストリップ嬢とかも導入してたけど、そこだけで観客を沸かせてどうする?と思ったよ。
デブを売り物(?)にしたバンドと言えばロメオ・ヴォイド、バッド・マナーズ、ペル・ユビュ、Blubbery Hellbelliesなど各界に著名なのがいたが、みんなそれだけじゃない個性を持っていたから名前が残ってるもんね。

ビデオの曲はサイコビリー好きなら誰でも知ってるディメンテッド・アー・ゴー!の「Holy Hack Jack」のカヴァー。マッド・シンとかも好きみたいなので、心底サイコビリーが好きなのはわかるけどね。

お次はオーストラリアのロカ&サイコビリー歌姫、Brigitte Handley。うん、これなら何とか読めるぞ。
ブリジット・ハンドリーは2000年頃にネオ・ロカビリー界でも名高いロカッツのギタリスト、ダニー・ハーヴェイとの共作で有名になったようだが、なぜかCDが日本でしか出てなかったのが謎。
日本でだけ大人気ってわけでもなさそうなんだが。

ここまでの経歴だったら到底Naonシャッフルで語る事もなかったんだが、この後でダーク・シャドウズという女性だけのバンドとなったので取り挙げてみた(偉そう)。
こちらのバンドの方は純粋にサイコビリーというわけではなくてベースもエレキ・ベースだけど、ダークな曲調のルーツやパンチのある歌い方はやはりサイコビリーを感じる。この手のジャンルにしては毒がないのが玉に瑕だけどね。
曲はROCKHURRAHとSNAKEPIPEがかつて最もライブに通った日本のバンド、ROBINのどれかの曲に似てるように感じたが、2000年に出たシングルではもうこの曲を歌っていた。こっちの方が古いのか。ダーク・シャドウズでも昔の曲をレパートリーにしてるというわけだね。

このブリジット・ハンドリー、腕に覚えがあるのかわからないがギターを弾きまくりのライブ映像が多いね。しかも愛用してるギターがROCKHURRAHのと同じモデルのダン・エレクトロのもの。今回のビデオではピックアップが3つ付いた56-U3というのを使ってるが 、全く同型のを(ピックアップ2つのもの)持った写真もある。
通称ダンエレといういかにもチープっぽいギターなんだけど結構個性的な音色なんだよね。
別の形のギターはジミー・ペイジをはじめ数多くのギタリストに愛用されたけど、このレスポール風のはレトロな色合いがかわいいので女性受けしそう。
同じギターを使ってるだけで個人的には高得点だよ。ROCKHURRAHに高得点つけられても本人は嬉しくなかろうけど。

最後はブラジルから参戦、サイコビリーのガールズ・バンドと来ればこれを思い浮かべる人も多いだろう、2009年にデビューしたAs Diabatzだ。アズ・ディアバッツでいいのかな?
ブラジルは意外とサイコビリーが盛んで大規模なフェスティバルがあったりもした国。上に書いたROBINもブラジルのステージに立った事もあったね。

見ての通り三人組のガールズ・バンドなんだが、ウッドベースとドラムは完全にサイコ・ガールの典型。これを見てると「今は西暦何年?」と思えるくらいに80年代サイコを踏襲したルックスと音楽。
ちなみに典型的なサイコ・ガールには男と同じルックスのと、女性特有のセクシー・サイコ・ガールという形態があり、こっちは男系の方ね。

真ん中のヴォーカルは小柄だからグレッチのフルアコ(ギター)が大きく見えすぎてあまり似合ってはいないが、演奏も曲も昔の、あまり迫力ないサイコビリーを知ってる人にはかなりグッとくるんじゃなかろうか?
ミクスチャーされ過ぎててサイコなのか何なのかさえもわからない近年のサイコビリー業界に比べると、女性だけのバンドの方がずっと原典に忠実でシンプルだな。
プロモもコウモリが飛んだり、あくまでも古臭い。 サビの時にみんなでちょっと前かがみの姿勢になるのが昔のスケバン風(ケンカの前の構えみたいな)でいいね。プロモーション・ビデオの撮影が恥ずかしかったのか、ちょっとぎこちないところが初々しい。

余談がとても多くなってしまい、大した事は書いてない気がするけど、今日はこんなところだね。
日本でも90年代にFloozy Drippy’sとか、ちゃんとしたロッキン・ガールズ・バンドがいたんだけど、動いてる映像がなかったので今回は割愛したよ。

ロカビリーやサイコビリーっぽいメイクや服装、髪型などは面白いと注目される事があっても、肝心の音楽の方はあまり興味を持たれないジャンル。それを広めたいなどとも思わないけど、たまたま思いついたので書いてみたよ。

それではまた、ヂス レヴィード(エスペラント語で「さようなら」)。

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