映画の殿 第26号 松尾スズキ part2

【役者、映画監督、脚本家、小説家。いろんな顔を持つ男】

SNAKEPIPE WROTE:

前回「映画の殿」で特集した松尾スズキの第2弾を書いてみよう。
特定の個人を気に入ると、関連している作品をROCKHURRAHが調べてくれて、鑑賞が可能な作品を探し出すのがROCKHURRAH RECORDS流。
ウィル・フェレルやジャック・ブラックなども、そんな感じで作品を鑑賞したっけ。(笑)
そういえば最近、ウィル・フェレル関連の新作情報を調べてなかったよ。
元々日本での知名度が低く、劇場公開されずDVDだけで販売・レンタルされることが多かったウィル・フェレルだけど、DVDすら出ない作品が続いてるんだよね。
ついにはネット配信のみになっているため、TSUTAYAの新作情報には載っていない。
もしくはネット配信すらされなくなる日も来るのだろうか…。

今回の特集とは関係のないことを書いてしまったね。(笑)
松尾スズキは劇団「大人計画」を設立し、役者、映画監督、脚本など一人何役もこなし、更には小説も書いているマルチな才能を持っている人物なんだよね!
NHKのドラマ「ちかえもん」からすっかりファンになり、関連する作品を鑑賞しているところである。
今回はドラマを中心に紹介していこうかな!

TAROの塔」(2011年)は岡本太郎生誕100周年を記念して制作されたNHKのドラマである。
これは2011年に書いた「生誕100年 岡本太郎展」と同時期のことだったんだね!
その時には全く気付いていなかった情報だったけど、DVDで鑑賞することができて良かったよ。
少年期から晩年に至るまでの岡本太郎の人生を全4回のドラマにしていて、松尾スズキは岡本太郎の中年から晩年期を演じている。
漫画家だった岡本一平を父に、歌人で作家だった岡本かの子が母という家庭に生まれた太郎は、かなり特殊な環境で育っていったことがよく分かる。
奔放な母親は、現代でも珍しいタイプの女性だと思うし。
更に岡本太郎は、多感な青年期をパリで過ごしているんだよね。
シュルレアリスムの時代のパリだもんね!
型破りな日本人になるのは当然、という感じ。
岡本太郎という人格が形成されていく様子がよく表されていたと思う。
松尾スズキは半分モノマネのような演技で、本当に岡本太郎みたいだったよ。
あまりに熱演し過ぎて、笑ってしまうほど。
養女だった平野敏子を常盤貴子が演じていたんだけど、あの太郎ぶりを目の当たりにして、よく吹き出さなかったと感心してしまう。(笑)
松尾スズキを主役に決定したNHK、すごい決断だよ!
あ、またNHK好きを披露してしまったね。

松尾スズキ関連を探索していたら、昔のドラマが鑑賞できることが分かった。
演歌なアイツは夜ごと不条理(パンク)な夢を見る」(1992年)は日本テレビの深夜枠で放映されていた全5回のドラマである。
ツイン・ピークス並に昔のドラマなのに、2006年にDVD化されたみたいだね。
松尾スズキは脚本を担当、出演もしている。
このドラマの主演はなんと、竹中直人!
ダーク五郎という手品師なんだよね。(笑)
そして松尾スズキは性的不能を専門にしている精神科医の役。
阿部サダヲのデビュー作にもなっているドラマで、「カルトなドラマ」とされているんだよね。
それもそのはず。
今だったら放映できないだろうと思われる、タブー(性とか薬とか)がいっぱいの内容だからね。(笑)
イカ天バンドだった「マサ子さん」のメンバーが出演していたりして、かなりクセのある俳優が多かったのも魅力の一つ。
途中で挿入されるイラストの出来が素晴らしかったんだよね。
劇中イラストは青木すみれ(天谷すみれ)という方のようで。
今もどこかで描いているのかな。
もっと鑑賞してみたいんだよね。

こちらも医者の役だった「イン・ザ・プール」(2005年)。
奥田英朗原作の小説を映画化したもので、やっぱりこれも精神科医だったね。(笑)
原作は5話の連作短編集だったようだけど、映画ではその中の3話を描いていた。
何かしらの精神的な疾患を抱える人物が、松尾スズキ演じる精神科を訪れる、という物語なんだよね。
オダギリジョーは継続性勃起症で、市川実和子は強迫神経症になっている。
市川実和子の「家の鍵、かけたっけ?」「ガスの元栓しめたっけ?」と、自分の行動に自信がなくなる症例は、誰にでも経験あるんじゃないかな?
もちろん程度が軽いので、一年に一度あるかないかの「不安」だけど、それが毎日になったら相当苦しいだろうね。
田辺誠一はプールで泳がずにはいられない病気になっている。
これも一種の強迫神経症なんだろうね。
「何かをし忘れると気持ち悪くて眠れない」くらいは誰にでもあることだからね。
全て程度の問題だろうけど、他人事と思えないリアルさが面白かった。
松尾スズキはかなり変な医者役で、とても似合っていたね。

医者ではないけれど、やっぱり白衣を着ていたのは「悪人」(2011年)でのこと。
人当たりが良くて、老人達には軽口が大ウケ!
皆から「先生」と呼ばれて親しまれている存在。
ところがそれは仮の姿なんだよね。
実は詐欺まがいの商売のため、騙しのテクニックとして「良い人」を演じている、という役だった松尾スズキ。
この役もぴったりだったね!
騙された役の樹木希林も見事な演技だったよ。
SNAKEPIPEが樹木希林の映画出演を観るのは「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)以来かなあ。
えっ、古過ぎ?(笑)

現在「ツイン・ピークス The Return」を鑑賞するためにWOWOWに加入しているので、WOWOWが制作したドラマも鑑賞できるんだよね。
松尾スズキが出演していることを知ったROCKHURRAHが録画予約しておいてくれたのが「北斗 ある殺人者の回心」である。
石田衣良原作の小説をドラマ化した作品で、我らが松尾スズキは国選弁護人という役どころ。
あれ?いつの間にか「我らが」になってるよ。(笑)
やっぱり「先生」と呼ばれる役なんだけど、今回はかなーりシリアスなので、全く「おかしな」要素はないんだよね。
どうしても松尾スズキじゃないとダメな役ではなかったように思う。
松尾スズキは良い人より悪い人、もしくは「おかしな人」が良いのかもしれないね?

まずは観てみよう、と第一話を観てあまりの凄まじさに驚いてしまう。
「僕は生まれてこないほうがよかった」
というセリフに説得力を感じてしまう悲惨な家庭環境だったからね。
もうこれから北斗の父親役だった村上淳と母親役の中村優子は、違う役で観たとしても「あの虐待の両親!」と思ってしまうだろうね。(笑)
それだけ演技が上手だった、ということなのかもしれないけど、悪い役をやるのって役者さんも勇気が要るだろうなあ。
宮本信子が演じた義母の器の大きさには驚かされた。
あんなに優しい人が近くにいたら、別人になれるかもしれないね。

いとうせいこうのエッセイ「ボタニカル・ライフ 植物生活」を原作にした「植物男子ベランダー」が全シリーズDVD化されていないのが残念でならない。
youtubeなどで何話かだけ観ることができるんだけど、とても面白そうなんだよね。
2013年から2014年にかけてNHKのBSプレミアムで制作されていたようなんだけど。
あー、またNHKだ。
どうやらROCKHURRAH RECORDSはNHK好きみたいだね。(笑)
主演は田口トモロヲ!
自宅のベランダで植物を愛でる温厚な男なんだよね。
松尾スズキは田口トモロヲの先輩で、盆栽好きという役。
いとうせいこうと田口トモロヲの好みなのか、テーマ曲がセックス・ピストルズの「Anachy in the U.K.」が採用されているところもポイント!
パイロット版からシーズン3まである大人気企画だったようなので、今からでもDVDにして欲しいな!

今まで観てきた松尾スズキに関連する作品についてまとめてみたよ!
これからも注目していきたい興味ある人物だね。
今度は「大人計画」の演劇も鑑賞してみよう。
WOWOWに加入しているうちがチャンスだね。(笑)

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