CULT映画ア・ラ・カルト!【09】黒蜥蜴

                   

【SNAKEPIPEオリジナル黒蜥蜴ポスターを切り貼りで作ってみたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

ひと月に何本もの新作映画が封切られ、それに合わせてDVD化されているため仕方がないのかもしれないけれど、
「あの映画をもう一度観たい」
と切望しても叶わぬことが多い。
古い映画はどんどん新しい映画に入れ替わってしまうようだ。
DVDが出る前のビデオ時代の作品になると尚更である。
もしかしたらSNAKEPIPEがややマイナー作品を好む傾向があるせいかもしれない。
残念なことにメジャーから外れた作品はDVD化されず、排除されてしまうようである。

今回ご紹介する1968年深作欣二監督の「黒蜥蜴」もそんな映画の中の一本。
随分昔にビデオで観た記憶があり、もう一度鑑賞したかった作品なのである。
ROCKHURRAHが苦労して手に入れてくれたおかげで、再び観ることができた。
ありがとうROCKHURRAH!と涙を流して喜んだSNAKEPIPEである。(←本当?)

「黒蜥蜴」とはご存知の方も多いと思うけれど、我らが江戸川乱歩先生原作の推理小説である。
その小説を元にした戯曲が書かれ、舞台化や映画化が何度もされているらしい。
戯曲で有名なのが三島由紀夫の作品とのこと。(未読)
今回の深作欣二監督版の映画も三島版の戯曲を元に作られているようだ。
「黒蜥蜴」のあらすじは簡単に言うと、宝石泥棒の女と明智小五郎との対決である。
「黒蜥蜴」とは宝石泥棒の女が使っている、怪盗ルパンやキャッツアイなんかと同じような感じのペンネームだね。
見所は好敵手としての明智と黒蜥蜴の駆け引きや、ちょっと恋愛要素が入るあたり?(笑)
明智小五郎シリーズで恋愛問題が語られることは非常に稀だと思うので、この作品は珍しいんじゃないかな。

今回明智小五郎を演じたのは木村功
「美女シリーズ」で天知茂版明智小五郎に見慣れているSNAKEPIPEにはかなり物足りない配役。
印象が薄いし、セリフも聞き取り辛いんだよね。
そして黒蜥蜴役は美輪明宏(当時は丸山明宏)!
美輪明宏は舞台の「黒蜥蜴」も有名だけど、映画版も存在するんだよね。
これが本当にハマリ役。
恐らく美輪明宏版を観てしまったら、他の配役が考えられなくなるように思う。
気高く美しく、欲しい物は絶対に手に入れる強い意志と知恵を持つ。
ヨーロッパのマダムを思わせる、妖艶で少し残酷な黒蜥蜴。
日本人女性ではなかなか難しい役柄だよね。
「貞淑で従順」というのが日本女性の姿だろうから。
えっ、今は違う?(笑)
そんな強さと美貌を兼ね備えた妖しげな黒蜥蜴とぴったりマッチしている美輪明宏。
惚れ惚れしちゃうよ、ほんと!(笑)

映画の中で感心しながらも笑ってしまったのは黒蜥蜴一味の暗号。
通常ならば「山、川」くらいだろうけど、さすがに三島由紀夫の戯曲が元ではそういうわけにいかないんだな。
【暗号1】
女:美しい空は夕焼けで紫色になりました。
  猿達は牛の背中に蝋燭を飾り、朱肉のような吐息を漏らします。
男:山の中で人が燃え、人の中で海が燃える。
【暗号2】
女:黄色い獅子!黄色い獅子!夜の髭と朝の尻尾の…。
男:柘榴の帽子が硝子のように粉々になった。

いやはや、暗号とは言っても非常に詩的でしかも長い!
覚えるのも大変だろうね、これ!(笑)
紫色と黄色、という色が入っているところと動物の組み合わせが特徴か。
こういう点からも女賊・黒蜥蜴がエレガントで美的である、と言いたいんだろうね。
美輪明宏の有名な自叙伝も「紫の履歴書」で、やっぱり紫色だしね。(笑)
ちなみに江戸川乱歩の原作ではどうだったのかを読み返してみたけれど、黒蜥蜴一味が暗号を言い合う場面は登場していなかった。
三島由紀夫の創作なんだね。(笑)


深作欣二版「黒蜥蜴」の目玉は、前述したような美輪明宏の魅力と共に、戯曲を手がけた三島由紀夫本人の出演だろう。
黒蜥蜴の「人間コレクション」の中の一体として登場する三島由紀夫。
この「人間コレクション」は「美しい人間をそのままの状態で保持したい」という黒蜥蜴の願いにより人間剥製が展示されている。
三島由紀夫はケンカで刺され、ナイフが腹に埋まったまま剥製化されている設定。
それで上のような顔になっているんだよね。(笑)
肉体美を褒められ、更に美輪明宏から接吻を受ける役どころ。
自分のためにこのシーンを戯曲に加えるとはね!(笑)

「黒蜥蜴」の他のバージョンでは、黒蜥蜴役を小川眞由美が演じた「美女シリーズ版黒蜥蜴」、サブタイトルは「悪魔のような美女」を観たことがある。
明智小五郎は天知茂なので言うことナスだけど、やっぱり小川眞由美では黒蜥蜴の気高さが表現し切れてないように思った。
本当はできれば明智を天知茂、黒蜥蜴を美輪明宏で映画化して欲しかったなあ!
舞台では共演があったようだけど、残念ながら今となってはもう観ることができないからね。

京マチ子が黒蜥蜴を演じた「ミュージカル版黒蜥蜴(1962年)」が存在するようだけど、こちらは残念ながら未鑑賞。
京マチ子だったらイイ線いってるんじゃないかな?
いつの日か鑑賞したいものである。
岩下志麻が黒蜥蜴を演じたテレビドラマ版もあるらしい。
この時の明智小五郎はなんと伊武雅刀だって!
かなりハチャメチャみたいだから、これも観てみたいね。(笑)

深作欣二監督は翌年の1969年、再び美輪明宏を主演にした「黒薔薇の館」という作品を手がけているようだ。
現在手に入れられるのはVHSビデオのみ。
お値段なんと15000円也!(笑)
こちらもいつの日か鑑賞してみたいね。
またROCKHURRAHにお願いしてみようかな。(笑)

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