ふたりのイエスタデイ chapter13 / ネオGS

20180318 top
【SNAKEPIPEが愛聴していた一枚】

SNAKEPIPE WROTE:

何かの拍子に、突然脳内に音楽が流れることがある。
もちろん知らない曲ではなくて、以前耳にしたことがあるものだ。
そしてその曲は一度記憶の枠から流れ出たのを良いことに、何度もリピートする。
これはイヤーワームという現象で、誰にでも起こることらしいね?

先日のイヤーワームでは、非常に懐かしい曲が聞こえてきた。
1980年代後半に一部でブームを巻き起こした「ネオGS」の代表格とされる、「ザ・ファントムギフト」のデビュー曲「ジェニーは嘘つき」だったのである。
どうして急にこの曲が蘇ったのかは謎だけど、おかげで当時を思い出すことができた。
今回の「ふたりのイエスタデイ」は「ネオGS」について書いてみようか。
とは言っても、「ネオGS」として括られるバンドを総合的に知っているわけではないので、偏りがあることはご了承下され。(笑)

そもそも「ネオGS」って何?と疑問に感じる人が多いのではないだろうか。
1960年代後半に大ブームとなった「グループ・サウンズ」、略してGSの服装をマネたり、曲調を当時の雰囲気にしたバンドが出現してきたのが、前述したように1980年代後半のこと。
流行は繰り返すというけれど、元祖GSから20年経って「ネオ」が発生した、ということになるんだね。
もちろん60年代のGSのような全国区の広がりじゃなくて、恐らく一部の熱狂的なファンがいたようなブームだったと思う。
知ってる人は知ってる、くらいなのかな?

SNAKEPIPEが最初に「ネオGS」を知ったのは、当時アルバイトをしていた新宿伊勢丹でのこと。
今でも新宿伊勢丹は日本国内での百貨店のトップだと感じているけれど、流行を取り入れたり提案していく姿勢は、もしかしたら80年代のほうが上だったのかもしれない。
なんと新宿伊勢丹で、「ネオGS」をバックアップするようなイベントが開催されたんだよね。
伊勢丹の屋上で2日間に渡って、複数のバンドが演奏をするという。
SNAKEPIPEは2日間とも行ったっけ。(笑)
そこで「ザ・ファントムギフト」や「ザ・ストライクス」を知ったのである。
新宿伊勢丹はイベント以外に「ザ・ファントムギフト」のメンバーを伊勢丹のポスターに起用するなど、「ネオGS」に力を入れていたんだよね。
SNAKEPIPEは人の「つて」を頼って、そのポスターをGETしたなあ!
残念ながら今はもう所持していないけど、サイケ文字とメンバーがオレンジと黄緑で彩られた、いかにもGS調のポスターだったんだよね。
開店前の掃除タイムに「ザ・ファントムギフト」の「ハートにOK!」が店内放送で流れていたことは、今でも信じられない感じだしね!(笑)
その曲を載せておこうね。(秒数の関係で途中からの再生に設定しています)

いやはや、懐かしい。(笑)
その頃のSNAKEPIPEにとって「ザ・ファントムギフト」は、曲や演奏よりファッション要素の強さを感じていたので、あまり夢中になることはなかった。
それから少し経ってから、知人に連れられて出かけたライブを観てすっかり虜になったのである。

新宿ANTIKNOCKにはライブの途中で入場したため、大勢の観客が発する熱気が充満していた。
出演者が誰なのかも聞かされないまま会場に入ったので、最初はステージに誰が立っているのか分からなかった。
そのうち出演しているのが「ザ・ファントムギフト」だと気付く。
おや?新宿伊勢丹で観た時とはパワフルさが違っている!
ギターは爆音で鳴り響き、ヴォーカルの声がのびやかだ。
「ザ・ファントムギフト」はライブ・バンドだったんだね。

それ以降、ライブに足しげく通うようになり、「渋谷クラブクアトロ」で行われた解散ライブにも行ったなあ。
「ザ・ファントムギフト」のヴォーカル、ピンキー・青木はGSっぽく王子様のような服装だったのに、後半になるとレザーのバンツなどのハードな服装に変化し、髪も伸びていたよ。
女の子がキャーと叫ぶようなアイドル的なバンドというよりは、むしろ男性が好みそうな音になっていた気がする。
最初のイメージを持ったままの人がいたら、それは少しもったいないかも?
テレビ情報誌「TV Bros」で当時、故・川勝正幸氏が「ネオGSの雄、ファントムギフトの解散ライブは鬼気迫るものがあった」と書いてあったように記憶する。
ものすごく迫力があって行って良かったライブだったからね!
解散するのが残念なバンドだったなあ。

「ザ・ストライクス」も最初に観たのは伊勢丹の屋上だったね。
いかにもビートルズを意識してます、というメンバー4人が揃いのスーツ姿。
音も甘めで、「いい子ちゃん」の感じがしたので、SNAKEPIPEはどちらかというと苦手だったかも。
この印象も、後に変化することになる。
「ザ・ストライクス」も、たまたま観に行ったライブに出演していたのだった。
この時に演奏の上手さ、ノリの良い音に驚き、大ファンになってしまった!
「ザ・ストライクス」は優等生の雰囲気から、ガレージ・バンドに変わっていたんだよね。
ヴォーカルのかわいい声からは想像できないほどの、パワフルなステージに圧倒される。
SNAKEPIPEもノリノリで踊ったなあ。(笑)
「ザ・ストライクス」を最初のビートルズ風イメージとだけ持っていた人は、ライブ観たら驚くだろうね。
当時の映像を載せておこうか。(秒数の関係で途中からの再生に設定しています)

2007年に「ガレージGSとR&E」という記事を書いているSNAKEPIPE。
あっ、もう既に「ザ・ストライクス」についていっぱい書いてるじゃないの!(笑)
GS系の音楽は好き嫌いが別れると思うので、誰にでもお勧めはしない。
ただし、食わず嫌いというのがあるからね、という忠告だけはしておきたい気分かな。
「ザ・ストライクス」は広範囲に受け入れられるバンドだと思うけどね?

「ネオGS」が好きになった後は、オリジナルのGSに興味が出た。
「グループ・サウンズ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「ザ・スパイダース」「ザ・タイガース」「オックス」だよね。
「ザ・スパイダース」はかまやつひろし、堺正章、井上順が所属していたバンド。
「ザ・タイガース」は沢田研二、岸部一徳、岸部シローがいたよね。
失神バンド「オックス」は真木ひでと、赤松愛だよって言っても、もう知らないか?(笑)
SNAKEPIPEも、もちろんその辺りにも探りは入れたし好きな音楽だったけど、のめり込むほどにはならない。
探していってぐっときたのは2つのバンドだったよ。 

「ザ・ダイナマイツ」の「トンネル天国」は「ザ・ファントムギフト」がカバーしていた影響で、曲自体は知っていた。
他の曲を聴いてびっくり!
60年代のバンドとは思えない演奏力、カバー曲選択のセンスなどに夢中になってしまった。
ギター・山口冨士夫のテクニックは他のミュージシャンに影響を与えた、という記載もあったので、全体レベルが高いバンドだったんだね。
今聴いても全く古臭さがないと思う。
いわゆる「GS」としては、すぐに名前が出てこないバンドかもしれないけど、通好みの本格派R&Bを聴かせてくれるよ!

「ジャックス」と検索するとクレジットカードのジャックスがヒットしてしまう。(笑)
バンドの「ジャックス」だからね!
Wikipediaによると「日本のサイケデリック・ロック・バンド」だって。
一番好きな曲「堕天使ロック」を載せてみたけど、大江健三郎の「見るまえに跳べ」にインスパイアされた歌詞は文学的で、歌い方は演歌調。
バンドの「怒髪天」より先にR&E(リズム&演歌)をやってる感じだよね。(笑)
ヴォーカルの早川義夫が怪しい雰囲気で、いかにも60年代的!
かなり濃い目のキャラクターだね。
どうやら「ジャックス」は活動していた時には、ほとんど支持されなかったらしい。
「ザ・スターリン」の遠藤ミチロウが影響を受けたと語っていたり、「ザ・ファントムギフト」も「ジャックス」の「いい娘だね」をカバーしてたっけ。
暗くて情念的な部分があるので、好き嫌いが分かれそうなバンドだけどね!
そう言えば「いかすバンド天国」に出た「ザ・ゴールデン・エッグス」、ライブ観たことあるんだけどね。(笑)
「ジャックス」の完全コピーやってたね。
全部一緒に歌ってしまったSNAKEPIPEだよ!

「ネオGS」では他にも「ザ・コレクターズ」や「ヒッピー・ヒッピー・シェイクス」など、人気のバンドがたくさんあったね。
未だに活動しているバンドもあるし、再結成ライブやってる情報もあるね。
今でも行ってみたいとしたら、やっぱり「ザ・ファントムギフト」と「ザ・ストライクス」かな。
ROCKHURRAHが一緒に行ってくれるかどうか?
そこが問題かな。(笑)

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