モホイ=ナジ/イン・モーション

                   

【JR佐倉駅から出ている川村記念美術館行きのバス停にて撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

9月17日からDIC川村記念美術館にて「視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション」展が開催されている。
この美術館、千葉県民でも知らない人が多いのじゃなかろうか。
地理的にはほとんど成田という佐倉市にあるため、成田空港に用事がある方だったら通過し名前くらいは知ってるかもしれないけどね?
かくいうSNAKEPIPEも千葉県民でありながら、今まで佐倉駅で下車したのはたった一度だけ。
その時も川村記念美術館に行くのが目的だったけれど、今から何年も前のことだし、思ったより到着に時間がかかり閉館30分前に入館、あたふたと鑑賞して帰ったはず…。
と、いうことでSNAKEPIPEお得意の「あんまりよく覚えていない」記憶といえよう。(笑)
ただ、その「あたふたと鑑賞」した絵画のことだけはよく覚えている。
お目当てはマーク・ロスコの「ロスコ・ルーム」だったのである。
もう一度ゆっくり鑑賞してみたい、と思いながら長~い月日が経過。(笑)
今回「モホイ=ナジ」展が開催されることを知り、あわよくば「ロスコ・ルーム」も鑑賞できたらいいな!と期待を込めて開催日初日に佐倉に向かったのである。
「モホイ=ナジ」と今回の展覧会名に合わせて書いてみたけれど、SNAKEPIPEにとっては「モホリ=ナギ」のほうがしっくり来る。
今まで目にしてきた表記が「モホリ=ナギ」だったからだ。
表記って時代で変化するんだね?
ここから先は「モホリ=ナギ」で統一しようと思うので夜露死苦!

ここで簡単なDIC川村記念美術館についてのご説明を。
「DIC川村記念美術館は、DIC株式会社がその関連グループ会社とともに収集した美術品を公開するために、1990年5月、千葉県佐倉市の総合研究所敷地内に設立した美術館です。これまでに収集された作品は1000点を超えています。」
とHPに説明がされている。
そう、ここは国立でも市立でもない美術館なのである。
30ヘクタールという広大な敷地には総合研究所と美術館の他に、草花や樹木を鑑賞できる自然散策路があり一般へ無料開放している。
美術館目的よりも、この自然観察が目的で訪れる人が多いような?
京成佐倉駅からJR佐倉駅を経由して、美術館まで無料の送迎バスも完備!
至れり尽くせりですな!(笑)
そして約30分ごとに回っているバスに乗って美術館に向うことに。
このバスがかなり立派でびっくり!
30人くらいが座れるような大型バスで、鉄道会社が持ってる地域のバスよりもキレイで豪華。
バス停も屋根付きベンチ付きとは!
こんなバスに行きは5人、帰りは4人という状態でゆったり景色を眺めながら送迎してもらった。
素晴らしいね、川村記念美術館!(笑)

約20分程の乗車で、DIC川村記念美術館の看板が見えてきた。
看板からすでに敷地内に入っているのに、バス降車場までまだ距離がある。
降車場から更に徒歩でしばらく歩いてからやっと美術館が見えてくる、というなんとも広い敷地にびっくり!
美術館の手前には池が広がり、白鳥が泳いでいた。
「ゆったりしていてとても良い場所だね~!」
と初めて来たROCKHURRAHも満足そう。(笑)
こんな庭園だったらちょっと散歩に、と訪れる人が多いのも納得。
残念ながらこの日はとても暑かったので、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは美術館へ急いだ。
美術館の入り口になにやら巨大な物体が!
フランク・ステラの作品「リュネヴィル」である。
ステンレスとアルミナブロンズで制作された立体作品だ。
おおっ!インダストリアルー!(笑)
解体した破片を寄せ集めたような、ダイナミックさに圧倒される。
ハウルの動く城」を思い出したよ!(笑)

前述したように、この日は「モホリ=ナギ」展の初日だったので、もっと混雑しているかと思いきや意外にもそれほど人は多くなかった。
「モホリ=ナギ」の展示会場に行くまでに、川村記念美術館所蔵作品をゆったり鑑賞する。
川村記念美術館には、印象派からシュルレアリスムに至るまでの幅広い所蔵作品があるのだ。
展示は年に数回入れ替えをするようなので、行ってみないとどの作品を鑑賞できるのかわからない。
今回興味深かったのはマックス・エルンストだった。
やっぱりシュール好きだからかな。(笑)
この美術館の目玉は入り口にあったフランク・ステラのコレクションと、マーク・ロスコの「ロスコ・ルーム」。
フランク・ステラのコレクションはかなり充実していて、1950年代の作品から1990年代までの作品を網羅。
大型作品が多く、特に立体作品に興味津々だったSNAKEPIPE。
家に広い壁があったら是非一つ飾ってみたいものですな!(笑)

そして次は、マーク・ロスコの鑑賞。
世界に四ヶ所しか存在しないという「ロスコ・ルーム」のうちの一つが千葉県内にあるとは驚き!
軽く説明しておくと「ロスコ・ルーム」とは、マーク・ロスコの作品だけでできている部屋のことである。(まんまじゃん!)
これはマーク・ロスコが他人の絵が並ぶのを嫌い、自分の絵だけを展示する空間を作りたかった願いを実現した部屋、とのこと。
壁一面を覆うように展示されている7枚の大きなキャンパス。
赤が迫ってくる感じで、最初は「うわっ!」と思う。
どす黒い赤はちょっと怖い感じもする。
でもしばらくその空間に身を置いてじっくり鑑賞していると、とても心地良くなってくるのが不思議だ。
川村記念美術館HP内の説明には「赤い広がりとなった彼岸への窓あるいは扉といえる」って書いてある。
なるほど!それでなんだか吸い込まれそうな感覚になるんだね!
えっ?余計に怖い?(笑)
初めて鑑賞したROCKHURRAHも気に入ったようで、良かった!
ミュージアムショップでポストカードを販売していたけれど、「ロスコ・ルーム」はその空間を体感しないと意味がないような気がするんだよね。
あの怖・気持ち良さ(ヘンな言葉だけど)は、是非現場で経験して頂きたいな!

番号案内に沿って館内を進んで行くと、やっとメインの「モホリ=ナギ」展に到着。
ここまでがかなり長い道のりだったな。(笑)
ここで簡単にモホリ=ナギについて説明をしてみよう。
1895年ハンガリー生まれ。
絵画、写真、彫刻、グラフィックデザイン、舞台美術、映画と視覚に関係するアート全般で活躍する。
ドイツの綜合芸術学校「バウハウス」では教鞭を取り、その後シカゴに設立された「ニュー・バウハウス」では校長を務める。
マルチアーティストの先駆け的存在なのである。
そして今回の川村記念美術館の企画は「日本で最初の本格的な回顧展」とのこと。
これは期待できそう!

展覧会はモホリ=ナギの歴史順に
1.ブタペスト 1917~1919 芸術家への道
2.ベルリン 1920~1922 ダダから構成主義へ
3.ワイマール-デッサウ 1923~1928 視覚の実験
4.ベルリン-ロンドン 1928~1937 舞台美術、広告デザイン、写真、映画
5.シカゴ 1937~1946 アメリカに渡ったモダンアートの思想
と、5つのパートに分けて展開されていた。
SNAKEPIPEが最も強く惹かれたのは1920年代から始まる構成主義とタイポグラフィ(グラフィックデザイン)だった。
見事な色彩感覚と構図。
左のリトグラフ(版画)にしても、絶妙なバランスで安定感があるよね。
ダダとロシア構成主義の影響を受けている、と説明を受けても、ダダもロシア構成主義についても詳しくない。
別に「~主義」みたいに区分けしなくても、とても好きになれば全く関係ないとも思うし。
ただ、モホリ=ナギ自身はかなり主義・主張があり、自分の行っているアート活動を「〇〇宣言」として理論化している。
その「〇〇宣言」こそがモホリ=ナギの活動を理解する核なんだろうけど、SNAKEPIPEは評論家じゃないからね。(笑)
1920年代にこんなにスタイリッシュなことをやってたなんて!と感動するだけで良しとしようか?

次の作品もROCKHURRAHと一緒に
「ひー!カッコ良過ぎー!」
と二人でガラスケースに齧りつかんばかりに凝視し、目をキラキラさせながら鑑賞したお気に入り。
これは芸術学校「バウハウス」の教師たちが実験的な創作や理論をまとめた全14巻のバウハウス叢書。
学校「バウハウス」の教科書みたいなものか?
世界中のアーティストに影響を与えたらしい。
そのうちの9冊をモホリ=ナギがカバーデザインし、装幀も担当しているのだ。
左はオランダ出身の抽象画家・モンドリアン著作の「新しい造形」。
そしてグラフィックをモホリ=ナギ。
おー!なんて豪華なコラボなんでしょ!(笑)
「バウハウス」と聞いて、パッと思い付くのはピーター・マーフィーがいたバンドの「バウハウス」。
ROCKHURRAHやSNAKEPIPEは、最初にバンドを知り、バンド名の由来からドイツの学校「バウハウス」を知ったのである。
特にROCKHURRAHはバンド「バウハウス」を聴きまくり、その影響で学校「バウハウス」にも特別な思い入れを持っていたとのこと。(わかりにくい表現)
その直線的な機能美がいかにもドイツ的で、100年経っても全く色褪せないデザインだと思える。
タイポグラフィのコーナーに入ってからは、妙に興奮気味だったROCKHURRAH。
結局、ROCKHURRAHは絵よりもポスターやグラフィックデザインが好きみたいね!
SNAKEPIPEは、豪華教師陣が揃っていた芸術学校「バウハウス」で学びたかったなあ!(笑)

以前からSNAKEPIPEがモホリ=ナギについて知っていたのは写真の分野だけだった。
写真の教科書みたいな本には必ずといっていいほど載っているし、例えば写真美術館の所蔵品にもモホリ=ナギの作品があるしね。
今回の展覧会では、もちろん様々な写真作品(コラージュやフォトグラムなど)も多数展示され、映画の上映や「ライト・スペース・モデュレータ」なる光の反射と影を投影する装置なども鑑賞することができた。
写真以外の活動について知らなかったSNAKEPIPEなので、全貌を知ることができて本当に良かった。
モホリ=ナギの作品はサイズが小さいものが多く、活動があらゆる分野に及んでいるために、一堂に集結するのが難しいのかもしれないね。
「モホリ=ナギ」展チラシには「まるでレオナルド・ダヴィンチのように多彩」と書かれていたけれど、SNAKEPIPEはマン・レイが近いように感じたけどどうだろうか?
今回の企画はかなり大掛かりで、大回顧展の名前にふさわしい良い展覧会だったと思う。
川村記念美術館はゆったりしていて、とても気持ちの良い美術館なのでまた機会があったら行ってみたいな!

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