SNAKEPIPE MUSEUM #12 Hans Bellmer&四谷シモン

                   

【なんとも妖しい雰囲気。木立後の人影が効果倍増だよね!】

SNAKEPIPE WROTE:

初めて球体関節人形を見たのはいつだったのだろう。
全く思い出せないほど昔のことだ。
恐らく初めに見たのは四谷シモンの人形の写真集「人形愛」だったと思う。
まるで生きているような精巧さと美しさに魅了されてしまった。
子供が遊ぶ人形とはまるで違う、怖いくらいの存在感。
それから四谷シモンに興味を持ち、シモンがハンス・ベルメールという作家からインスピレーションを得ていたことを知るのである。

ハンス・ベルメールは1902年ドイツ出身のアーティスト。
人形作家、写真家、画家、グラフィックデザインと先週のモホリ=ナギに引き続きマルチな活躍で有名である。
1920年代にはダダイストと交流。
1930年代にナチズムに反対するために等身大の人形を制作し、撮影。
そして写真集を自費出版する。
その写真集がパリのシュルレアリスト達から大絶賛され、交流が始まる。
その後様々なシュルレアリスム展に出品、国際的にも名前が知られていくのである。
日本では1965年に澁澤龍彦がベルメールの球体関節人形を雑誌に紹介したことで、より多くの人に知られるようになったらしい。
この時の雑誌を四谷シモンが読んだんだね。(笑)

ここで簡単に四谷シモンについてご説明しようか。
1944年東京生まれの人形作家、俳優。
幼少の頃より人形制作を好む。
1960年代は唐十郎の「状況劇場」や大島渚監督「新宿泥棒日記」などに俳優として出演。
映画の中で女装姿で歌っているシモンを観たなあ。(笑)
1978年、人形学校「エコール・ド・シモン」開校。
四谷シモンのHPに記載されてたんだけど、なんとシモン作の球体関節人形は販売しているとのこと!
1体500~1000万円だって!
どうする、購入してみる?(笑)

球体関節人形というのは、肘や膝など関節の部分が球体でできていて、腕や足が回るような仕掛けになっている人形のことである。
そのため手足を曲げたり動かすことができ、好みのポーズに設定可能!
より人間に似せることができるよね。

SNAEKPIPEが所持しているハンス・ベルメールの写真集は1冊だけ。
上の写真も載っているハガキサイズの小さい写真集である。
ハンス・ベルメールの人形は、可愛らしさを感じる種類のものではない。
病的で暗く、美しい。
もしベルメールの人形を所持していたとしたら、誰にも知られないように部屋の中でひっそりと愛でるような雰囲気。
そう、まさに江戸川乱歩の「人でなしの恋」にぴったりな感じなんだよね!
乱歩が「人でなしの恋」を書いたのが1926年というから、時代的にはベルメールより前になるんだね。
乱歩の先見の明にまたまた驚き!
現代だったらオタク系でそういう人いるかもしれないけど、大正15年だもんねー!
やっぱり乱歩はすごいよね。(笑)

前述したように「ナチズムに反対するために等身大の人形を制作」したベルメール。
民族の優劣問題を批判するために、わざとねじまげ変形させ皮膚を裂いた人形にしたらしい。
つまり健全な肉体じゃないものを表現したかったんだろうね。
しかしその「批判」はシュルレアリストにも受け入れられ、四谷シモンに衝撃を与え、SNAKEPIPEを含む多くのファンを作っている。
「廃墟写真」などでも似たようなことがあり、途中の段階の写真というのが「建設中」なのか「解体中」なのかたまに判らなくなることってあるんだよね。
嫌いで壊したのか、かわいがって触り過ぎて壊れてしまったのか区別が付かない人形達。
どちらを想像するかは鑑賞者の自由なのかもしれない。
ただ残念ながらベルメールの人形作品を実際に目にしたことはないんだよね。
いつも写真作品の展示のみ!
いつか実物を鑑賞してみたいものである。

四谷シモンの人形は「四谷シモン–人形愛」展(小田急美術館)で鑑賞したことがある。
調べてみたらなんと2000年の8月!
ぎょっ、今から11年前か~!(遠い目)
初日の閉館間際に駆け付け、じっくり鑑賞。
1体1体の人形の素晴らしさを実際に観ることができて、本当に嬉しかった。
初めて観た写真集「人形愛」から長い年月が経過しての実現だからね。
感慨無量だったよ!
そしてこの日は展覧会初日だったために、オープニングパーティが開催される予定だったみたいで四谷シモン、ご本人も会場にお目見え!
生シモンに喜んでいるところに
「あら、龍子夫人よ!」
「かわいらしいわぁ~」
と後からヒソヒソ声が聞こえる。
龍子夫人といえば…?
そうだ!確か澁澤龍彦の奥様の名前だったはず!
チラと盗み見るSNAKEPIPE。
その時にお幾つだったのか分からないけれど、少女がそのまま大人になった空気を持った女性だった記憶がある。
その女性はシモンとも楽しそうに歓談していたので、多分間違っていないと思うな!
展覧会のことも鮮明に覚えているけれど、あの時の生シモンと龍子夫人の姿もしっかりと瞼に焼き付いている。

2004年に木場にある東京都現代美術館で「球体関節人形展」が開催されていた。
押井守監督「イノセンス」公開記念の企画で、様々な人形を鑑賞することができるというもの。
この企画、長年来の友人Mと行くのをとても楽しみにしていたSNAKEPIPE。
なのになんと約束の日当日、友人Mと大喧嘩!
人形展に行くのが中止になっちゃったんだよね。(笑)
うーん、今から考えても残念だったなあ。
またこんな企画があったら是非鑑賞したいね!

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