80年代世界一周 瑞西編

                   

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【スイス人のイメージとはかけ離れた面々】

ROCKHURRAH WROTE:

一体いつまでかかるんだ、と言われそうだがまだまだ引っ越し荷物の整理がつかない。
ウチの場合少し特殊で、いわゆる家具っぽいモノは極めて少ない。代わりに物流倉庫とかで使ってそうなスチールラック(アングル棚)をたくさん持っていて、金属大好きな趣きのある部屋にしてるのが特色。
穴のいっぱい開いた柱やビス、これはイギリス生まれの組み立てDIY玩具、メカノにも通じる世界でROCKHURRAHには魅力的な収納家具なのだ。
しかしこれが結構な大きさのものなので作るも分解するのも厄介。毎回引っ越しの時は全部バラして全部組み立てるという儀式を行ってるんだが、面倒なのは確かだ。
おまけに工具やカッター、ハサミなど何でこんなに見当たらないんだ?というほどどこかに置きっぱなしにして見つからずいつも何かを探してる状態。二人とも5S活動の整理整頓がちっとも出来ない体質なのかも。

さて、そんな状況で今回書いてみるのはちょっと久しぶりだが「80年代世界一周」というシリーズ企画だ。
世界中を旅してもいないし、世界情勢にも疎いROCKHURRAHだからその国の魅力をお届けする、などという内容とは程遠いのは間違いないね。ハナから何の情報も持ってないから逆にいいかげんに書きやすいかな?と思って選んだ今回のテーマはスイス。
タイトル見てわかる通り、当て字で表すと瑞西になるらしいが、この当て字も今回初めて知ったくらい。

うーん、旅番組とかで見たようなありきたりなイメージは色々湧いてくるけど実際にどんな国なのかはさっぱりわからない。ウチが扱おうとしてるのは別に観光情報ではなくて70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブについてだから、余計に旅番組とはかけ離れた内容なのは間違いない。少なくともスイスらしくアルペンホルンやヨーデルを巧みに取り入れたバンドなんてのとはまるで違うと予想するよ(当たり前)。
ではどんなバンドが過去にいたのか時代を遡ってみよう。

スイスと言えば真っ先に思い浮かぶのがこのバンド、クリネックスだね。
英国インディーズ・レーベルの大手、ラフ・トレードがディストリビュートした事もあってニュー・ウェイブ時代のスイスのバンドとして日本でも最も知られた存在だった・・・と言うか他のスイスのバンドなんて「知らん」という人が多数なのではなかろうか?
ウチもティッシュは断然クリネックス派でありスコッティもエリエールも問題外だと思ってるが、昔は高嶺の花(大げさ)だったクリネックスも近所のスーパーやドラッグストアでは他のメーカーと大差ない価格になってしまってる状況。クリネックスが安くなったわけではなくて他のものが高くなっただけなのか?うん、誰もそんな話はどうでもいいのわかってるから。

で、クリネックスはスイスのチューリッヒで1978年に結成した全員女性のバンドだった。
この当時の女性バンドとしてはスリッツ、レインコーツ、モデッツ、マラリアなどと共にクローズアップされて後に続く女流バンド達に多大な影響を与えたから知名度も高いわけだ。
この手のバンドは男性を凌駕するほどのパワーもテクニックもないからアイデア勝負になりがちなんだけど、そのアイデアまでもが何となく似てしまいがちなのが少し弱点ではあるね。パンクっぽいところからスタートして試行錯誤してスカスカの演奏とエキセントリックなヴォーカルに活路を見出したというパターン。演奏力があまりないから少しズレてしまったような部分が偶然実験的となるところはニュー・ウェイブ初期の黄金比だと言えるね。これは当然、貶した評価ではなくて大好きなワイアーなどもそういう系列だし。

クリネックスはスイスでもレコード出してたようだけどROCKHURRAHはラフ・トレードから出てたシングルで上のビデオの曲を知ったよ。
スタジオ・ライブみたいな映像が結構残ってるから本国ではスイス・ウェイブの立役者として人気もあったんだろう。ヴォーカルがちょっとぽっちゃりの田舎娘っぽいけど、ニュー・ウェイブがまだ細分化する前の時代の「パンクに近いけどパンクではない何か新しいもの」を感じさせるバンドだったな。個人的にはスリッツやレインコーツよりも好きな感じだよ。

上に書いたクリネックス・ティッシュはアメリカのキンバリー=クラーク社の商品だとの事。そこから訴えられたらしく、このバンドはクリネックスというバンド名では活動出来なくなってリリパットと改名した。だからと言って特に音楽性が激変したわけじゃないけど、ヴォーカルが田舎娘から田舎のおばちゃんみたいな人に代わったり、曲作りやアレンジでだいぶこなれてきた感じはするね(いいかげん)。
スタジオ・ライブの映像ではよりによって撮影が入る時になぜこの服装?というようなセンスだったがこのプロモ(?)の時はそれなりに80年代風にしてていいね。

こちらはスイス初のパンク・バンドとされるチューリッヒのNasal Boysだ。結成は1976年だというからロンドン・パンクと同じ頃にやってたんだね。
パンクと同時期か少し前に結成したというようなバンドは世界中にいるだろうけど、聴いてみたら古臭いロックと変わらなくてガッカリという経験も多かったもんだ。けれどもこのNasal Boysはちゃんと本気のパンク路線だったのでスイスにもこういう系統がいるのが意外だった。
まあ現代的に見ればパンク自体が古臭いロックなんだろうけどね。

この映像も1977年のものらしいから、スイスでも英米と変わらないパンクの波が押し寄せていたのは確かだろう。クラッシュやダムドの前座もした事あるというから実力もあったに違いない。観客もノリノリで人気の高さを物語るね。ただし前にやった「80年代世界一周」はスペインとイタリア、どちらも言語に特色があった国だけどスイスの場合、ドイツ、フランス、イタリア、それにロマンシュ語といった言葉もマチマチ。だから「この辺がスイスらしいよね」という響きがないのが残念。

これまた1978年にはExpoというバンド名に改名しててアルバムも出してるようだが、Nasal Boys名義ではシングル1枚のみしかリリースしてない。パンクには多かった一発屋のひとつなんだろうけどライブの映像が残ってるだけまだマシだと言えるね。

そのNasal Boysのギタリストだったのがルドルフ・ディートリッヒなるどこかの王侯貴族みたいな名前の人。何と本名らしいから思わず「殿下」と言いたくなるね。
彼がその後に結成したのがスイス初かどうかは不明だが本格派ネオ・サイケ・バンド、ブルー・チャイナだ。
当時読んでた音楽雑誌でネオ・サイケと呼ばれた暗い音楽が数年間はもてはやされた時期があって、そこでも絶賛されてたからROCKHURRAHはレコード屋巡りの日々で必死に探してたもんだ。
買ったのはおそらく下北沢のレコファンだったと思うけど一時期はなぜか2枚同じレコードを持ってたな。
ビートルズの「Tomorrow Never Knows」のカヴァーだったけど人があまり知らないスイスだし珍しいし、自慢げに自分の選曲テープに入れてたのを思い出す。
カヴァー曲だけでなくオリジナルも好みにピッタンコ、ROCKHURRAHにとっては青春の思い出の1枚だったな。専門的な事はまるでわからないしあやふやな記憶だけで書いてるが、確か彼の所有する(だったか単にレコーディングしただけか不明瞭)スタジオがすごく音質の良い事で知られてて「さすが音の反響が違うね」などといいかげんな感想を持ってたもんだ。

チューリッヒと言えば個人的に真っ先に思いつくのがトリスタン・ツァラによって始まったチューリッヒ・ダダだ。ダダダではない。有名なキャバレー・ヴォルテールを中心として花開いたダダイスム運動はアートの世界で一番好きな分野かも知れない・・・って程には全然詳しくないんだけどね。
そういう攻撃的アートが生まれた土壌が昔からある国なわけで、スイス=平和でのどかな牧歌的音楽という先入観が間違いだったと気付くね。そう言えばさっきのリリパットの時に書き忘れたけど彼女達のレコード・ジャケットでモロに1920年代のダダっぽいのがあったなあ。 

この「We Talk」は1983年に出た1stアルバムに収録の曲。曲調とかはよくあるネオ・サイケの王道だがビデオの冒頭に出てくる変な説明書イラストみたいなのが気になって仕方ない。他の曲では鉄柱みたいなものをハンマーで叩いたり、デイ・クルップスを思わせるような行為までして意外と体を張ってるな。侯爵とは思えないよ(ウソ)。この辺のイビツなセンスが魅力なのかも。

ルドルフ・ディートリッヒはスイス・ウェイブの中心的存在らしいけど、その彼とブルー・チャイナのメンバーがプロデュースしたのがこのバンド、ガールズ・フロム・タヒチだ。スイスのバンドなのになぜにチャイナにタヒチ?
1984年に出た12インチ1枚のみしかリリースがなく、スイスのバンドに興味がある人(かなり少なそう)にとっても幻のバンドとも言える。
ROCKHURRAHは当時渋谷にあったゼスト(レコード屋)で偶然に見つけて所有していたが、とっても珍しいものなのでやっぱり自慢げに自分の選曲テープによく収録していたものだ。人が知らないようなバンドを見つける事が生きがいだったと見える。
ガールズ・フロム・タヒチはパンクっぽい直線的な攻撃性とダークな曲作りが魅力のバンドで、たった4曲を知るのみだけど今でもしっかりと記憶に残ってるって事はやっぱり聴き込んでたんだろうな。フランスのAusweisと雰囲気的には似た感じ、と言ってもマイナー過ぎて誰もわかっちゃくれまい。

次はこれ、黒衣の女性3人組によるポジティブ・パンク/ゴシック系バンド、The Vylliesだ。
1983年、まさにポジパン全盛期の頃にデビューしてるから、スイス初のゴシック系という事でよろしいのか?
このジャンルで全員女性というのは珍しいし、怖そうな魔女お姉さん3人組というヴィジュアルもあってポジパン本場の英国でも話題沸騰、というわけにはいかなかったらしい。
ROCKHURRAHもレコード屋で何度も彼女達のレコードを見かけたのにジャケットが好みじゃなかったので買った事はなかったな。勝手にバナナラマみたいなのを想像していたよ。
なぜかデビュー・シングルはギリシャから出してるんだね。
1985年と1987年にアルバムも2枚出してるけど個人的にこういう系統の音楽を聴かなくなった時期に当たるから、実は今回初めてYouTubeで彼女達の曲や動いてる姿を知った。なかなか見た目がいいしプロモーション映像とかもあって本国では人気があったのがよくわかるよ。
曲は教会の鐘の音で始まるモロにゴシックな感じで否が応でも期待出来るイントロ。電子楽器による打ち込み反復ビートと単調なベースだけで呪術的に歌い上げるのだが結構クセになりそうな曲で気に入った。途中でヴォーカル女性が「ア、アー、ア、アー」などと叫ぶあたりの狂気の雰囲気もクールなだけじゃない魅力。こんなドレスで楽器持つのもいいね。という事で今頃になってこのバンドを評価してもどうにもならないが、メンバーは今でも老魔女なのだろうかね?

さて、意外と層が厚くヴァラエティに富んだスイス・ウェイブだがタイムリミットなのでそろそろ最後にしよう。このバンドも忘れちゃならない。
前にこんな記事 でも書いてたGrauzoneだ。あの記事を書いたのは2015年の事だがその頃から「読めん」などと書いてて今でも読めん。素直にグラウゾーンでいいのかな?
スイスだけどドイツ語なのでどちらかというとノイエ・ドイッチェ・ヴェレに通じるような音楽なんだろうけど妙にポップだったり実験的だったりするので全部のレコード聴かないと正体がわからないタイプ。ビデオにも本人たちが全然出てないしね。しかも一体何が言いたいのかコンセプトがよくわからん。
タイトル「Eisbaer」はおそらくシロクマの事だと思うけど果たしてこのビデオと歌詞が合ってるのだろうか?
この曲がドイツやオーストリアでチャートに入ったそうだけど演奏や歌は初期ニュー・ウェイブを感じるものでなかなか気に入ったよ。

個人的に重要な書類を今から探さないといけないのであまり集中してブログが書けなかったけど、もう少しちゃんと落ち着いたらまた何か書けるかな。まずは部屋をちゃんとして何がどこにあるかわかるようにしないとね。

ではまたsta bain!(ロマンシュ語で「さようなら」)

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