ビザール・ポストカード選手権!34回戦

                   

【Charles Allan Gilbertのイラストをジャケットに使用したThe Damnedの曲】

SNAKEPIPE WROTE:

例年この時期になるとROCKHURRAHと頭を抱えるのが年賀状のデザイン。
お互いに何かしらのテーマを考えて試行錯誤を繰り返すことが多いんだよね。
この数年はROCKHURRAHがほとんど一人でデザインやら文言を選んでくれていたので、アイデアを出し合っての箇所に共感してもらえないかもね。(笑)
そして「ビザール・ポストカード」を特集するのもやっぱり12月が多いよ。
クリスマス・カードや新年用のカードを送るのは世界共通だから、面白い物が見つかるんだよね。 
ちょっと「トホホ」だったり「何故このデザイン?」と目を疑うような題材に惹かれ、紹介してきたSNAKEPIPEだけど、今年は少し趣向を変えてみようか。

2018年8月と9月の2週に渡って紹介したのは「ビザール・マッチ選手権」だったね。
この時、20世紀初頭のMADE IN JAPNのマッチ・デザインを載せたSNAKEPIPE。
なんてカッコ良いデザインがたくさんあるんだろう、と感動したものだ。
今回の特集も、1920年頃の日本製ポストカードを紹介してみようか。
その頃、アートの世界ではシュルレアリスム真っ盛り!
当時のパリは素晴らしかっただろうなあ、と思いを馳せる憧れの時代である。
日本のアートはどうだったんだろうね?
美術史について語りたいわけではないので、庶民に流通していたであろうポストカードで検証してみたいと思う。

このブログの一番最初にYouTubeを載せたのが70年代パンクの一翼を担ったThe Damnedの限定版シングル「Stretcher Case Baby」。
実は左の日本製ポストカードを見つけて、ROCKHURRAHに見せると
「その元ネタはダムドが使ってるよ」
とあっさり答えるではないか!
その元ネタって何?と調べてみるとチャールズ・アラン・ギルバートというアメリカのイラストレーターが1892年に描いた作品だったことが判明。
日本で描かれたのは1910年のようなので、約20年の時を経て上陸したことになるね。
2人の女性を描いているのに、遠目からだとドクロに見える「だまし絵」がポストカードとして一般販売されていたとはびっくり。
ギルバートの作品名は「All Is Vanity」(すべては虚栄)だというから、なんとも皮肉たっぷりだこと!(笑)
今が美しくても最期に待っているのは死だよ、と言いたいらしいよ。
それにしても、そのダムドのシングルって世界で5000枚しかプレスされていない限定版で、ライブで配られるかファン・クラブのメンバー以外は手に入らなかったらしいんだよね。
高額で購入したらしいROCKHURRAHだけど、現在は所持していないという。
ひゃ〜残念だねえ! 

これも強烈じゃない?
まるで丸尾末広が「ひゃーほっほっほっ」などと笑い声を書き込んでいるかのような波打つ「ハルナー」の文字。
中央に鎮座しているのは「マジンガーZ」に登場する「あしゅら男爵」のように、顔面が白と黒の真っ二つに分かれている無表情な人物!
白と黒とオレンジという3色だけのシンプルな色使いも効果的。
「ハルナー」は1920年〜1940年代に販売されていた商品のようなので、このポストカードもその時代に作られたと推測できる。
顔の周りに「美身白色薬ハルナー」と書かれているので、色黒の人でもハルナー使えば色白に変身しますよ、という宣伝なのかもしれないね?
今から約100年前のセンス、素晴らしいよね!

オレンジで色合わせしてみたよ!
大胆に郵便記号を中央に配した構図はインパクトが強いよ。
一体郵便記号っていつからあるんだろうね?
調べてみると、なんと1887年に考案されたと書いてあるよ。
そしてこのポストカードは1905年の物らしい。
というのは、「陸軍凱旋観兵式記念」としてスタンプが押されていることから伺い知ることができるんだよね。
場所は千葉県の佐倉なのかな?
1905年に郵便局が考案したデザインだと考えると、非常にセンスが良くてアイデアを通過させる度量がある責任者がいたってことになるよね。
郵便記号に隠れた学生さん(?)が手紙を持って走っているところ、ということなのかな。
どんな内容が書かれていたのか。
とても気になるよね。(笑)

この服装は水平さん?
どうしてこの時代には「さん」付になっちゃうんだろうね。
学生さん、とか水兵さん、書生さん、みたいにね。(笑)
ここからのポストカードは戦争関連になってしまうんだけど、戦争を礼賛しているわけではないので、そこのところ4649!
バッテン印はロシアを示しているようで、日本の水平さんがロシアの軍艦旗を破り去って、旭日旗を露わにしようとしている様、ということになるのかな。
このポストカードは日露戦争の時代に制作されたのかしら。
日露戦争は1904年から1905年にかけて行われているので、もしその時代に描かれたとすると、今から約120年程前にこんなに斬新な構図のポストカードが存在していたことになるんだね!
SNAKEPIPEは嬉しくなって、他にも戦争モノのポストカードを探してみたよ。

これもまた素晴らしいじゃないの!
前に載せたポストカードで、バッテン印がロシアの軍艦だということはわかったよね。
その軍艦と燕をモチーフにして、オレンジ色とペールブルーを組み合わせたシンプルな色合いが素晴らしい。
恐らく有名な絵師や画家が描いたわけじゃなくて、ポストカード制作会社のスタッフや職人が考えたデザインだったんじゃないかな。
日本には浮世絵の伝統があるけど、ここまでスタイリッシュなポストカードが明治時代に制作されていたことに驚いてしまう。

日露戦争第3弾はこれ!
いかにも日本画にありそうな「間」の取り方。
このスペースの使い方は西洋には見られない構図だよね。
そして右側には「ワリヤークの自滅」と書かれた文字に加え、まるで篆刻印や落款印と呼ばれる日本画に作者名を表す印鑑のように描かれた旭日旗も効果的。
ここでは「ワリヤーク」と書かれているけれど、調べてみると「ヴァリャーグ」 として有名な防護巡洋艦のことらしい。
降伏するより自沈を選んだ艦長が英雄視されたエピソードが残っているそうだ。
敵に捕まるくらいなら自害するといった決断を誇り高き行為と考えるのは、世界各国共通の認識かもしれないね?
もしかしたらこのポストカードは「敵ながらあっぱれ」ということを表現しているのかもしれないな。

では平和を祈って、最後はこちらのポストカードを紹介しよう。
「大阪 平和記念 8.7.1」とスタンプが押されているんだよね。
8年7月1日で良いのかな。
ダンスパーティーの様子をデザインしているようなので、日本における歴史を調べてみたところ、1918年にダンスホールが開設された後、流行したとWikipediaに書かれている。
そのため大正8年(1919年)のポストカードと考えるのが自然かもしれないね。
踊りに興じている男女を俯瞰した図を左側に配置し、右側には手紙が書けるように原稿用紙状のマス目を取り込んだポストカードは、実用性とデザイン性を兼ね備えた逸品!
色合いの美しさも素晴らしいよね。
こんなポストカードをもらったら嬉しいな!

今回のポストカード特集もマッチ・デザインの時と同じように20世紀初頭の日本人が持っていた美意識に感銘を受けたよ。
100年以上前の前衛的でモダンなデザインは現代でも十分通用するカッコ良さだよね!
これぞ温故知新という特集になったけれど、全く「ビザール」じゃなかったね。(笑)
 

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