映画の殿 第36号 何がジェーンに起ったか?

                   

20190106 top
【ROCKHURRAH作成2大女優の怖い顔!】

SNAKEPIPE WROTE:

あけましておめでとうございます。
2019年初のSNAKEPIPEのブログだよ!
今年もアート系を中心にした記事を書いていく予定なので、どうぞお付き合いくださいまし。(笑)

新年にふさわしい映画の紹介と考えたけれど、「正月だから時代劇だよね!」といったルールは我らROCKHURRAH RECORDSにはない。
クリスマスも同様でディズニー映画は観ないんだよね。(笑)
今回紹介するのは1962年公開のアメリカ映画「何がジェーンに起ったか?(原題: What Ever Happened to Baby Jane?)」である。
NHKのBSで放映されたものをROCKHURRAHが録画しておいてくれたんだよね。
どうやら有名な映画らしいけれど、2人共鑑賞するのは初めてのこと。
1962年というと57年も前の映画なので、観る機会がなかったのは当然かもしれない。

まずはトレイラーを載せてみようか。

主演がベティ・デイヴィス!
名前は聞いたことあるけれど、映画を観たことはないよ。
代表作は「イブの総て(原題:All About Eve 1950年)」で、タイトルは知っているけれど未鑑賞。
これはアルモドバル監督「オール・アバウト・マイ・マザー」が元にしているタイトルだよね。
それにしても、このトレイラーで観るだけでも、かなり強烈なインパクトのベティ・デイヴィス! 

80年代に流行ったキム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」ね!
この曲によって名前だけは知っている人、多いんじゃないかな?
それにしてもこの曲、カヴァーだったとは知らなかった!
オリジナルは1974年にジャッキー・デシャノンが歌っているんだけど、全く別の曲に聴こえてしまう。
カヴァー・バージョンのほうが断然グッドだと思うね!
「女ロッド・スチュワート」と言われたキム・カーンズのハスキー・ボイスが耳に残る名曲だよ。
この曲を聴くと当時を思い出すなあ。(しみじみ)
1990年に発売されたマドンナの「ヴォーグ」にも「Bette Davis, We Love You」という詩(というかラップ)が入っていたっけ。
歌詞に名前が登場するほど有名なベティ・デイヴィス主演の映画、これは楽しみだ!

「何がジェーンに起ったか?」のあらすじを書いておこうね。

かつてベビー・ジェーンという名で子役として活躍したジェーン。
そして美しいスターだったが、事故で不具となったその姉ブランチ。
年老いたふたりは古い屋敷で隠遁生活を送っていた。
ジェーンは酒に溺れ異常な行動を繰り返し、そのあげく体の不自由なブランチに暴力を振るうようになる。
追い詰められていくブランチに、やがてジェーンは……?(映画.comより)

※ネタバレしていますので未鑑賞の方はご注意ください

ベビー・ジェーンという名前で歌と踊りを披露しているジェーン。
絶大な人気を誇り、ベビー・ジェーン人形まで売り出されるほど。
この人形と一緒にポーズを取っている画像がこれね。
子役が大成しないで消えていくというのは芸能界ではよく聞く話だけど、ジェーンもその例に漏れず、華やかだったのは子供時代だけだったようだ。
子供の頃にちやほやされてしまうと、我儘な子になるだろうというのは予想できるよね。
ジェーンも身勝手で自分の言うことは何でも許されると思うような生意気な子供に育ってしまったようだ。

拍手喝采を浴びるジェーンを無表情で見つめる姉のブランチ。
きっとあなたの時代が来るからね、と母親に言われると「絶対にそうなるわ!」と強い意志を露わにする。
おとなしそうに見えるけれど、実は内心穏やかではなくメラメラと炎が燃え、ジェーンに対して闘志を燃やす少女時代のブランチ。
これらのエピソードで姉妹の性格がよく分かるよね。

そして少女の頃宣言した通り、ブランチは女優として脚光を浴びる。
大女優として絶好調の最中、車による事故のシーンが映し出されるのである。
まるで誰かが故意にアクセルを踏んでひき殺そうとしたかのような?
女性の足元しか映っていないので、殺意を持って運転していたのが誰で、被害者が誰なのか不明なまま!
そして現在の2人の様子をカメラがとらえる。
車椅子の女性は黒髪なので、姉のブランチだとわかる。
被害者は当時人気を博していたブランチで、恐らく大根役者として姉の足を引っ張っていたジェーンがアクセルを踏んだだろうと想像するのが自然な流れだよね。

金髪を縦巻きロールにしているこの女性がジェーン? 
きっとそうだよ、子供時代も縦巻きだったもんね。
少女の頃から一体どれくらいの年月が経っているんだろう。
欧米人は老けてみえがちだけれど、60代くらいだと推測する。
ベビー・ジェーンから50年くらいが経過したという計算ね。
実際のベティ・デイヴィスはこの時54歳。
わざとメイク・アップで老けさせていたのかもしれないね?
そして曲のタイトルにもなった印象的な目は、確かにすごい。
この写真でも分かるよね! (笑)

ちっとも仲良さそうには見えない姉妹だけれど、長年2人は一緒に暮らしているようだ。
事故で足が不自由になったため、負い目のあるジェーンが世話をしているということか。
大女優だったブランチには気品が感じられる。
昔自身が主演した映画を観てうっとりしているところをジェーンに邪魔され、訪ねてきたファンもジェーンによって追い返される。
とことん姉を憎み意地悪をするジェーンと涙するブランチという対比が描かれるんだよね。
どうしてこんなに仲が悪いのに一緒に生活しているのか不思議に思ってしまうよ。

ジェーンは若い頃から酒好きで、今ではほとんどアル中状態。
アルコールが原因なのかもしれないけれど、感情の起伏が激しいんだよね。
酒の勢いで余計にブランチに辛くあたっているのかもしれない。
ブランチが可愛がっていた小鳥を殺してブランチの食事として提供するあたりから、ジェーンの意地悪な行動はエスカレートしていく。
ゲラゲラ笑いながら残酷な仕打ちを繰り返すジェーンは、迫力があって怖かったよ!
そしてブランチが歩けないことをいいことに、財産をアルコールや自分自身の夢であるベビー・ジェーンの復活に向けて浪費するのだ。

ブランチが所有している小切手を、ブランチのサインを真似て勝手に使っているのである。
何度もブランチのサインを真似て書いた紙が出てきたけれど、これはまるでアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい(原題: Plein soleil 1960年)」みたいだよね。
ジェーンは復活に向けて着々と準備をする。
新聞に伴奏者を募る広告を出し、舞台で着るための衣装を揃える。
ジェーンを駆り立てたのは、鏡を見てからなんだよね。
しっかりと鏡を見た瞬間キャーと叫び、顔を両手で覆う。
こんなはずじゃないわ、私はこんなにおばあちゃんじゃないはずよ!
まだまだ返り咲けるはずだもの。

パパが才能はいつまでも消えないって言ってくれたもの。
そうだ、ベビー・ジェーンの時の衣装を着て、またあの歌を歌うのよ。
ほら、まだこんなに歌えるんだもの!
自己評価が高いといってしまえば聞こえが良いかもしれないけれど。
若い頃の栄光にすがり老いを認めず、少女時代と今の違いに気づかないフリをすることの、なんと恐ろしいことか!
ブランチに意地悪しているジェーンよりも、このシーンが一番怖かったSNAKEPIPE。
これ、恐らく全ての人間が体験することになる課題だと思うんだよね。
老人は老人らしくしようと言っているわけではないので、勘違いしないで欲しい。
現実を見つめることが必要と言ってるんだよね。

新聞広告を見て伴奏者がやってくる。 
作曲家として活動しているピアニストのエドウィンである。
ジェーンの歌を聴き、ダンスを見て実際にはどう思ったんだろう? 
素晴らしい!と褒めていたけれど、それは本心だったんだろうか。
食事を共にしたり、会合を重ねていくうちにジェーンに惹かれていたのだろうか。
エドウィンは母親と2人暮らしの独身男のようなので、女性と知り合いになれることが嬉しかったのかもしれない。
ジェーンに冷たくされる度に泥酔していたので、好きになっていたのかもしれない。
SNAKEPIPEは、このエドウィンの心境が掴みきれなかったなあ。

そのエドウィンに、一番見られてはいけない状況がブランチの監禁だったのに。
ブランチの機転によって物音が聞こえ、エドウィンは監禁部屋を開けてしまうのである。
エドウィンは家を飛び出し、警察に通報する。
一方ジェーンは、錯乱状態に陥って監禁したブランチに助けを求めるのである。
どうしたら良いのかわからなくなると人に頼る、幼児程度の精神レベル。
ジェーンは少女の頃から全く精神的な成熟を果たせなかったのかもしれないね?
だからこそベビー・ジェーンとして復活したかったのかもしれない。

死の淵にいるブランチを連れて逃げるジェーン。 
子供の頃からずっと好きだった海に行けば、きっと何か良い方法が見つかるはずだもの。
日焼けしながら砂遊びして、好物のアイスクリームを食べるのよ。
ジェーンの内面は完全に退化し、ベビー・ジェーンに戻っている。 
大友克洋の「AKIRA」に出てくる「子供なのに外見が老人」とは逆なんだよね。
最後にブランチから衝撃的な告白をされるジェーン。
観ているこちらも驚いてしまう内容なので、今までこの映画を観てきて持った感想がひっくり返されるほどの衝撃を受けるのである。
ジェーンとブランチが話していた内容の真偽を確かめたくなってしまう。
告白の際にはジェーンは一時正気に戻ったようだけれど、またすぐにベビー・ジェーンになったようだった。
もしかしたらもう現実逃避して、そのままベビー・ジェーンとして生きたほうが幸せなのかもしれない。
大勢の観客の前で歌い踊り、パパに褒めてもらう少女のジェーンの心のままで、ね。

この映画は「精神的に不安定な(あるいは狂った)高齢の女性を主人公とする、サイコ・ビディ(Psycho-biddy)というジャンルの元となった(Wikipediaより)」という。
サイコ・ビリーならぬ、サイコ・ビディとはね!(笑)
そんなジャンルがあることを知ることができたことも収穫だよ。
57年も前の映画だけれど、前のめりになって鑑賞してしまったSNAKEPIPE。
公開当時はもっとショッキングだっただろうね。
2017年にはドラマとしてリメイクもされているようで、今でも人気があることが分かるよ。

調べて知ったことだけれど、ジェーン役のベティ・デイヴィスと姉ブランチを演じたジョーン・クロフォードは実際に仲が悪かったらしい。
お互いに心から嫌い合っていたからこそ、あの演技に結びついたのかもしれない。
ベティ・デイヴィスの悪女ぶり、すごかったからね! 
よくもまあ、こんなひどい役を引き受けたものだと感心していたSNAKEPIPEだったけれど、ベティ・デイヴィスが有名になったのは「 史上最低最悪のヒロインと呼ばれたほどの悪辣な女性像」を演じたからだという。
その映画「痴人の愛 (原題:Of Human Bondage 1934年)」もいつか鑑賞してみたい。
相手を射すくめる、あの特徴的な目をもう一度見たいからである。

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