ふたりのイエスタデイ chapter16 /The Monochrome set

20190224 yop
【SNAKEPIPEが聴き込んだ一枚】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEは夢を覚えていることが多い。
先日見たのは、三島由紀夫が登場する夢だったっけ。
SNAKEPIPEは撮影のための小道具を準備する役割を担っていて、何故だか三島由紀夫に藁で編んだ褌を用意しているんだよね。
藁を編むのが難しくて、「これで良いですか」と渡してみるとダメ出しされてたよ。(笑)
その翌日に見た夢に出てきたのは、かつてSNAKEPIPEと一緒に遊んでくれたお姉さんだった。
このお姉さん、イニシャルでIさん、としておこうか。
IさんはSNAKEPIPEよりも年上で、音楽、映画や本など様々な知識が豊富なため、SNAKEPIPEが好きそうな企画を見つけると一緒に行こうと誘ってくれた女性だった。
もうずいぶんお会いしていないけれど、このIさんが現在のSNAKEPIPEに、かなり影響を与えた女性だったと思う。
そして数日前、突然Iさんが夢に登場したんだよね。
本がぎっしり並んだ本棚を2人で見ていて、「まだこの本は読んでない」などと話している他愛のない夢だった。

Iさんが夢に登場したことにより、突然思い出したのがIさんが教えてくれた音楽のこと。
「きっと好きだと思うよ」
と言ってレコードから録音したカセットテープをもらったのは、いつのことだったんだろう。
手渡されたのはThe Monochrome Set(モノクローム・セット)というバンドの音楽だった。
帰宅後聴いてみて、すぐに虜になったSNAKEPIPE。
さすがIさん、よくSNAKEPIPEの好みを知ってるなあと感心したものだ。
何度も何度も聴いていたテープだったけれど、カセットデッキは壊れてしまい、時代はCDになっていた。
モノクローム・セットのCDを買おうとショップに行ってみるけれど、なんと売ってない!
何軒もCDショップを回ってみるけれど、結果は同じ。
ショックを受け、Iさんにそのことを伝えると
「CD持ってる知り合いがいるから、借りてきてあげる」
と言ってくれるではないの!
どういう知り合いの人なのかは聞かなかったけれど、実際Iさんからお目当てのCDを手渡された時には、飛び上がらんばかりに喜んだね。(笑)
もちろん聴いてから丁寧にお礼を言ってお返ししたよ。

その時にお借りしたのが「Westminster Affair」(1988年)というコンピレーションアルバムだったんだね。
アルバムの1曲目を載せてみようか。 

当時はパソコンもなかったので、今のように簡単に動画が見られる環境ではないからね。 
今回このビデオも初めて観たよ。(笑)
ジャンルを特定するのが難しい、無国籍で不安定な感じのメロディラインは、このヴォーカルの特性だったのか?
音楽しか知らなかったSNAKEPIPEだったので、少しモノクローム・セットについて調べてみよう。

モノクローム・セットは1978年にロンドンで結成されたバンドで、初期メンバーには後に「アダム&ジ・アンツ」で知られるアダム・アントも在籍していたというので驚いてしまった。
その当時のバンド名は「The B-Sides」だったという。
時代的に考察して、恐らく最初はパンク・バンドだったんだろうね?
ヴォーカルはインド出身、ギターはカナダ出身というので、国際色豊かなバンドなんだね。
4枚目のアルバムを出した1985年、バンドは解散している。
1990年に再結成し、どうやら日本ツアーも行っていたみたいだよ。
この頃のSNAKEPIPEはレゲエとテクノばっかり聴いてたなあ。(笑)
時代によって興味の対象が変わっていたので、来日を知っても興味を示さなかったかもしれないよ。

1998年、再びバンド活動を休止する。
それから10年が経った2008年、イギリスのインディーズ・レコード・レーベルの中でもラフ・トレードと並んで最も有名な大手インディーズ(変な言い回しだけど)であるチェリーレッドの30周年記念パーティのために再結成。
その後はまた活動を続け、現在に至っているようだよ。

モノクローム・セットについて書こうと思って、とROCKHURRAHに話すと
「やっぱり1stが良かったよね」
と語りだすではないの!(笑) 
ROCKHURRAHは、当時北九州に住んでいたけれど、ロクなレコード屋がなかったためわざわざ高速バスに乗り、福岡までレコード漁りに行っていたらしい。
その頃の目新しいニュー・ウェイヴは手当たり次第に買って、聴いていたという。
ROCKHURRAHは試聴をせずに、ジャケットやバンド名などからインスピレーションを感じるレコードを買うことが多く、その方法で好みのバンドを探し当てることに成功していた、とやや自慢げに言う。(笑)
モノクローム・セットを買う前のレコード漁りの時に、ジョイ・ディヴィジョンとディス・ヒートを同時に購入して、まるで宝くじを当てたような運命的な出会いをしていたROCKHURRAH。
その勢いがついた状態で、再びインスピレーションの赴くままにチョイスしたのが、モノクローム・セットの1stだったらしい。
ジョイ・ディヴィジョンのレコード・ジャケットを手がけたのはピーター・サヴィルというグラフィック・デザイナーだという。
モノクローム・セットの1stも彼の手によるものだったことに、ROCKHURRAHが気付いていたのかどうかは不明だけど、似た雰囲気を感じ取ったことに間違いないだろうね!
結果としてジョイ・ディヴィジョンの系列とは全く違ってけど…。
今まで聴いたことのないジャンルだったため、戸惑いながらも聴き続けていくうちに耳慣れていったという。
ROCKHURRAHのお気に入りを載せてみよう。 

モノクローム・セットだけに、モノクロ!(笑)
ライブなのでレコードとはかなり印象が違うような?

モノクローム・セットの真骨頂とも言える曲をもう1曲載せようか。

まるで呪文のように聴こえていた箇所の歌詞が分かったよ。
螺旋階段をぐるぐる回りながら上ったり下りたりするような、酩酊感があるんだよね。
なんとも不思議な気分になる曲だと思う。

ふとした瞬間に懐かしい人を思い出し、その連鎖で昔聴いていたバンドや曲を思い出したよ。
Iさん、今は何をしているんだろうなあ?
もう何年もお会いしていないけど、実はどこかですれ違っていたのにお互い気付いていなかったりして?(笑) 

ふたりのイエスタデイ chapter15 /思ひ出のポスターたち

20181028 03
【一番最初に飾ったポスター】

SNAKEPIPE WROTE:

皆様は部屋にポスターやポストカード飾ってますか?
その人の趣味嗜好が一目でわかってしまうから、怖いアイテムとも言えるかもしれない。
我が家を好きな物で満たしたいSNAKEPIPEは、必ず何か飾ってしまうよ。
一番最初に飾ったのは、あの有名なアンディ・ウォーホルのマリリンのポスターだった記憶が蘇ってきたよ。
その時の部屋は50年代のアメリカをイメージしていたっけ。
白黒の市松模様のスツールに合わせたモノクロームのマリリン。
フィフティーズっぽくスクールクロックも隣にかけていたよ。
なんだかとても懐かしいなあ!(笑)
あのウォーホルはどこにいってしまったのやら?

興味を持つ対象が変化すると、インテリアにも影響が出る。
次はアジアな雰囲気の部屋にしていたんだよね。
ベッドもパソコンデスクも椅子もすべて藤の家具。
それでもトイレの中だけはインダストリアルを演出していたっけ。
その時の様子は「インダスとリアル(意味不明)」に載せているね。
中央に見えるのが映画「リキッド・スカイ(原題:Liquid Sky 1982)」のポストカードを集めたもの。
2009年の記事「カルトは儲かると?(博多弁)」に感想をまとめていたことを思い出した。
それにしてもブログのタイトルがダジャレばっかりだよね。(笑)
「リキッド・スカイ」のトレイラーがあったので載せておこう。

今観ても、すごく刺激的!
ちゃんと調べたわけじゃないから断言できないけど、この映画はまだDVDになっていないみたいね。
若かりし頃のSNAKEPIPEが熱中し、何回鑑賞したのか覚えていない、お気に入りの作品なのに残念だよ。
今はこうして断片的にでも映像を観ることができるので、少しは満足だけどね!(笑)
調べていて知ったことだけど、「リキッド・スカイ」の続編が制作されるらしいよ。
主役だったアン・カーライルは62歳で再び同じ役柄を演じるという。
果たしてどんな作品になるんだろうね?
今まで続編にはガッカリすることが多かったので、観たいような観たくないような複雑な心境だなあ。

当時のトイレ左側に飾っていたのがこのポストカード。
これまた若かりし頃のSNAKEPIPEがオン・サンデーズで購入したもの。
「カッコ良い!」と一目惚れし、レザーのミニスカートの女性に憧れを持っていたっけ。それからかなりの年月が経ってから、このレザー・ガールを別の場所で目にすることになる。
ファッション・ブランド「ヒステリックグラマー」が流用しているんだよね。
最初に発見した時は「あ!ウチのトイレの!」って思ってしまったSNAKEPIPE。(笑)
「Hell’s Belles」は1969年のアメリカ映画で、ポストカードを見ての通りバイカー物なんだよね。
YouTubeで映像を観ることができるけど、ちょっとチープな雰囲気で、ミニスカートの女性もイマイチな感じ。
このポスターだけが独り歩きしたのかもしれないね。 

SNAKEPIPEの部屋に話を戻そう。
トイレ右側にはフランシス・ベーコンを配置。
これらのチョイスは、ただ単に好きという感覚だけ!
一見支離滅裂に見えるけれど、台紙にダンボールを使用することで統一感を出したところがさすがだね!(自画自賛)
過去の話を書いているのに、全く嗜好が変わっていないことがよく分かるね。(笑)

次に越した先のトイレに飾っていたのは横尾忠則のポストカード。
SNAKEPIPEはコレクションをトイレに飾るのが好きみたいだね。(笑)
横尾忠則が手がけた唐十郎主催の「状況劇場」 のポスターを複数枚並べていたっけ。
1960年代後半もSNAKEPIPEの憧れなので、その時代を感じるんだろうな。
実は現在の部屋でも横尾忠則のポスターを飾っている。
30号ほどの大きさがあるので、かなりインパクトが強い!
このポスターがあることで、部屋の方向性が決まってしまうほど。
もしかしたら、このポスターの裏にウォーホルのマリリンが隠れているかもしれないな!
近いうちに外す機会があるので、確認してみよう。

実はROCKHURRAH RECORDSの事務所移転が決まったんだよね。
そこで思いついたのが、今回のブログネタってわけ。
新事務所にはどんな作品を飾りたいかROCKHURRAHに尋ねると「リヒター」という答えが返ってきた。
やっぱり!(笑)
2014年に鑑賞した「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」で実物を目にした時から、2人揃って虜になっているのがゲルハルト・リヒター。
マーク・ロスコもそうなんだけど、実物に対峙した時の、あのなんともいえない感覚ったら!
抽象絵画の素晴らしさが分かったような気がするよ。
実際に買うとしたら、、、4億6千万だって!(笑)

現在荷物の整理で大忙しのROCKHURRAH RECORDS。
そのため来週のブログはお休みとさせて頂きます。
ファンの皆様、再来週までしばしのお別れね!
まずは引っ越し、頑張ります。(笑)

ふたりのイエスタデイ chapter14 / MONSOON

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【愛聴していた一枚】

SNAKEPIPE WROTE: 

アジアやインドに興味を持ったのは、いつからだっただろうか。 
若い頃から雑貨などを好んでいたんだよね。
特にインドには憧れを持っていて、インドに関する書物も相当量読んだっけ。
誕生日が同じ藤原新也の「 印度放浪」も愛読書だったなあ!

社会人になってからも、話が合うのはインドを旅したことがある人だった。
実際、あのサイババにご対面された方もいるんだよね!
確かネックレスを貰ったと聞いている。
サイババに会うために列を作っているインド人達が、はるばる日本から来たなら、と前へ前へと譲ってくれたらしい。
自分たちも並んで順番待ちしているのに、なんて良い人たちなんでしょ!

大好きな画家・横尾忠則のように、 「君はもうインドに行っても良いようだ」と三島由紀夫から言われた劇的なエピソードは、当然ながらSNAKEPIPEは持ち合わせていない。
それどころかインドに足を踏み入れることもなく、今に至っている。
横尾忠則はインドに行ってから、劇的な変化を遂げたんだよね。
まるでビートルズがそうだったように。
インドという国には、思考や思想を変えるエネルギーがあるんだろう。
SNAKEPIPEもヨガとか精神世界に興味を持ったのは、インドへの憧憬からだったもんね。
その頃ほどの熱い情熱は持ち合わせていないけれど、やっぱり今でもインドと聞くと胸が踊るよ。

先日、ROCKHURRAHがYouTubeを視聴していた時のこと。
耳にした音楽に聞き覚えがあった。
でも知っているのは違うバージョンだったんだよね。
ここで思い出したのが、昔所持していたLPレコードだ。
SNAKEPIPEが聴いていたのはMONSOONというバンドが演奏していたもの。
てっきりそれがオリジナルだと思いこんでいたけれど
「ビートルズの有名な曲だよ」
と言われ唖然とする。
今までずっとMONSOONの曲だと信じていたからね!(笑)
ビートルズのファンなら誰でも知ってる曲のようで、お恥ずかしい限りだ。

「Tomorrow Never Knows」を最初に聴いたのがこのヴァージョンだから、こういう曲なんだと思ってしまうね。
そう、MONSOONのヴォーカルはインド系のイギリス人なんだよね。
名前はシーラ・チャンドラ。
インドの女性は、なんてキレイなんだろうとうっとりしていたっけ。(笑)

ROCKHURRAHは別の角度から、このバンドを知っていたという。
バックで演奏しているアーティストがマニアックな面々だったそうで。
特にお気に入りのビル・ネルソンがギターとベースで参加していたので、注目していたらしいよ。 
さすがにレコード屋はん、よう知ってはるわぁ。(急に関西弁)

ここでROCKHURRAHのちょこっとガイド!

ビル・ネルソンは70年代には先進的なバンド、ビー・バップ・デラックスを率いていたことで有名だけど、ニューウェイブの時代にはソロ・ミュージシャンとして活躍していた人。
彼のギターをリスペクトするバンドマンも多く、YMOのゲスト・ギタリストとして名前を記憶している人も多いのではないだろうか。
自身のレーベルも持っていて、プロデューサーとしてもスキッズやア・フロック・オブ・シーガルズなどを手がけていた。
「Tomorrow Never Knows」でキーボードを担当したデヴィッド・バルフはティアドロップ・エクスプローズのメンバーとしても知られている。
90年代にはイギリスのバンド、ブラーなどで有名なFOODレーベルを立ち上げて、多方面で活躍していた。
ドラムのメリックは、80年代に一世を風靡したアダム&ジ・アンツのメンバー。
本名のクリス・ヒューズ名義では、80年代ニューウェイブ系プロデューサーとして著名だった。
このようにそうそうたるメンバーがバックを固めていたとは、MONSOONへの期待度が高かったことが分かる。 

以上がROCKHURRAHが語った内容だよ!
ほお、そんなことだったとは。
教えてくれてありがとう。(笑) 

こちらがオリジナル、ビートルズのほうね。
サイケデリックな雰囲気がムンムン!
通常だったらこのバージョンを知ってから、MONSOONを聴くんだろうね。(笑)
歌詞を調べると、輪廻について言っている宗教的な内容なんだよね。
精神世界に傾倒していた時に知っていたら、SNAKEPIPEのテーマ曲になったかもしれないな!(笑)
そして今頃になってやっとケミカル・ブラザーズのお気に入りだった曲「Setting Sun」は、「Tomorrow Never Knows」が元ネタだったことに気付いたよ。
遅いって!(笑)

美しいシーラの動いているところも観たい!

手の長さに驚いてしまうね。
1982年だって。
今から、、、36年前になるんだね。
繰り返し聴いていた曲だけど、ビデオを観たのは初めてだよ!
この曲はイギリスのシングルチャートで12位を記録しているらしいので、ヒットしたんだね。

どうしてSNAKEPIPEがMONSOONのLPを購入したのかは覚えていない。
当時熱中していたエアチェック(古い!)で聴き、買うことにしたのか。
それともインドへの興味から、ジャケ買いしたのか?
どちらにしても、その選択は間違いなかったね!
今聴いても新鮮だと思うよ。

突然思い出したMONSOONなので、近況については全く知らなかった。
調べてみて驚いたのは、ボーカルのシーラ・チャンドラは2010年に「burning mouth syndrome」のため引退しているという。
訳してみると灼熱口症候群、Wikipediaには舌痛症と書いてあるね。
器質的な変化が認められないのに、舌に慢性的な痛みやしびれが生じる原因が解明されていない病気だという。
美しい歌声だったのに、もう歌っていないとは残念だね!

さてそろそろインドカレー食べようかな。
MONSOON聴きながらね!(笑)

ふたりのイエスタデイ chapter13 / ネオGS

20180318 top
【SNAKEPIPEが愛聴していた一枚】

SNAKEPIPE WROTE:

何かの拍子に、突然脳内に音楽が流れることがある。
もちろん知らない曲ではなくて、以前耳にしたことがあるものだ。
そしてその曲は一度記憶の枠から流れ出たのを良いことに、何度もリピートする。
これはイヤーワームという現象で、誰にでも起こることらしいね?

先日のイヤーワームでは、非常に懐かしい曲が聞こえてきた。
1980年代後半に一部でブームを巻き起こした「ネオGS」の代表格とされる、「ザ・ファントムギフト」のデビュー曲「ジェニーは嘘つき」だったのである。
どうして急にこの曲が蘇ったのかは謎だけど、おかげで当時を思い出すことができた。
今回の「ふたりのイエスタデイ」は「ネオGS」について書いてみようか。
とは言っても、「ネオGS」として括られるバンドを総合的に知っているわけではないので、偏りがあることはご了承下され。(笑)

そもそも「ネオGS」って何?と疑問に感じる人が多いのではないだろうか。
1960年代後半に大ブームとなった「グループ・サウンズ」、略してGSの服装をマネたり、曲調を当時の雰囲気にしたバンドが出現してきたのが、前述したように1980年代後半のこと。
流行は繰り返すというけれど、元祖GSから20年経って「ネオ」が発生した、ということになるんだね。
もちろん60年代のGSのような全国区の広がりじゃなくて、恐らく一部の熱狂的なファンがいたようなブームだったと思う。
知ってる人は知ってる、くらいなのかな?

SNAKEPIPEが最初に「ネオGS」を知ったのは、当時アルバイトをしていた新宿伊勢丹でのこと。
今でも新宿伊勢丹は日本国内での百貨店のトップだと感じているけれど、流行を取り入れたり提案していく姿勢は、もしかしたら80年代のほうが上だったのかもしれない。
なんと新宿伊勢丹で、「ネオGS」をバックアップするようなイベントが開催されたんだよね。
伊勢丹の屋上で2日間に渡って、複数のバンドが演奏をするという。
SNAKEPIPEは2日間とも行ったっけ。(笑)
そこで「ザ・ファントムギフト」や「ザ・ストライクス」を知ったのである。
新宿伊勢丹はイベント以外に「ザ・ファントムギフト」のメンバーを伊勢丹のポスターに起用するなど、「ネオGS」に力を入れていたんだよね。
SNAKEPIPEは人の「つて」を頼って、そのポスターをGETしたなあ!
残念ながら今はもう所持していないけど、サイケ文字とメンバーがオレンジと黄緑で彩られた、いかにもGS調のポスターだったんだよね。
開店前の掃除タイムに「ザ・ファントムギフト」の「ハートにOK!」が店内放送で流れていたことは、今でも信じられない感じだしね!(笑)
その曲を載せておこうね。(秒数の関係で途中からの再生に設定しています)

いやはや、懐かしい。(笑)
その頃のSNAKEPIPEにとって「ザ・ファントムギフト」は、曲や演奏よりファッション要素の強さを感じていたので、あまり夢中になることはなかった。
それから少し経ってから、知人に連れられて出かけたライブを観てすっかり虜になったのである。

新宿ANTIKNOCKにはライブの途中で入場したため、大勢の観客が発する熱気が充満していた。
出演者が誰なのかも聞かされないまま会場に入ったので、最初はステージに誰が立っているのか分からなかった。
そのうち出演しているのが「ザ・ファントムギフト」だと気付く。
おや?新宿伊勢丹で観た時とはパワフルさが違っている!
ギターは爆音で鳴り響き、ヴォーカルの声がのびやかだ。
「ザ・ファントムギフト」はライブ・バンドだったんだね。

それ以降、ライブに足しげく通うようになり、「渋谷クラブクアトロ」で行われた解散ライブにも行ったなあ。
「ザ・ファントムギフト」のヴォーカル、ピンキー・青木はGSっぽく王子様のような服装だったのに、後半になるとレザーのバンツなどのハードな服装に変化し、髪も伸びていたよ。
女の子がキャーと叫ぶようなアイドル的なバンドというよりは、むしろ男性が好みそうな音になっていた気がする。
最初のイメージを持ったままの人がいたら、それは少しもったいないかも?
テレビ情報誌「TV Bros」で当時、故・川勝正幸氏が「ネオGSの雄、ファントムギフトの解散ライブは鬼気迫るものがあった」と書いてあったように記憶する。
ものすごく迫力があって行って良かったライブだったからね!
解散するのが残念なバンドだったなあ。

「ザ・ストライクス」も最初に観たのは伊勢丹の屋上だったね。
いかにもビートルズを意識してます、というメンバー4人が揃いのスーツ姿。
音も甘めで、「いい子ちゃん」の感じがしたので、SNAKEPIPEはどちらかというと苦手だったかも。
この印象も、後に変化することになる。
「ザ・ストライクス」も、たまたま観に行ったライブに出演していたのだった。
この時に演奏の上手さ、ノリの良い音に驚き、大ファンになってしまった!
「ザ・ストライクス」は優等生の雰囲気から、ガレージ・バンドに変わっていたんだよね。
ヴォーカルのかわいい声からは想像できないほどの、パワフルなステージに圧倒される。
SNAKEPIPEもノリノリで踊ったなあ。(笑)
「ザ・ストライクス」を最初のビートルズ風イメージとだけ持っていた人は、ライブ観たら驚くだろうね。
当時の映像を載せておこうか。(秒数の関係で途中からの再生に設定しています)

2007年に「ガレージGSとR&E」という記事を書いているSNAKEPIPE。
あっ、もう既に「ザ・ストライクス」についていっぱい書いてるじゃないの!(笑)
GS系の音楽は好き嫌いが別れると思うので、誰にでもお勧めはしない。
ただし、食わず嫌いというのがあるからね、という忠告だけはしておきたい気分かな。
「ザ・ストライクス」は広範囲に受け入れられるバンドだと思うけどね?

「ネオGS」が好きになった後は、オリジナルのGSに興味が出た。
「グループ・サウンズ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「ザ・スパイダース」「ザ・タイガース」「オックス」だよね。
「ザ・スパイダース」はかまやつひろし、堺正章、井上順が所属していたバンド。
「ザ・タイガース」は沢田研二、岸部一徳、岸部シローがいたよね。
失神バンド「オックス」は真木ひでと、赤松愛だよって言っても、もう知らないか?(笑)
SNAKEPIPEも、もちろんその辺りにも探りは入れたし好きな音楽だったけど、のめり込むほどにはならない。
探していってぐっときたのは2つのバンドだったよ。 

「ザ・ダイナマイツ」の「トンネル天国」は「ザ・ファントムギフト」がカバーしていた影響で、曲自体は知っていた。
他の曲を聴いてびっくり!
60年代のバンドとは思えない演奏力、カバー曲選択のセンスなどに夢中になってしまった。
ギター・山口冨士夫のテクニックは他のミュージシャンに影響を与えた、という記載もあったので、全体レベルが高いバンドだったんだね。
今聴いても全く古臭さがないと思う。
いわゆる「GS」としては、すぐに名前が出てこないバンドかもしれないけど、通好みの本格派R&Bを聴かせてくれるよ!

「ジャックス」と検索するとクレジットカードのジャックスがヒットしてしまう。(笑)
バンドの「ジャックス」だからね!
Wikipediaによると「日本のサイケデリック・ロック・バンド」だって。
一番好きな曲「堕天使ロック」を載せてみたけど、大江健三郎の「見るまえに跳べ」にインスパイアされた歌詞は文学的で、歌い方は演歌調。
バンドの「怒髪天」より先にR&E(リズム&演歌)をやってる感じだよね。(笑)
ヴォーカルの早川義夫が怪しい雰囲気で、いかにも60年代的!
かなり濃い目のキャラクターだね。
どうやら「ジャックス」は活動していた時には、ほとんど支持されなかったらしい。
「ザ・スターリン」の遠藤ミチロウが影響を受けたと語っていたり、「ザ・ファントムギフト」も「ジャックス」の「いい娘だね」をカバーしてたっけ。
暗くて情念的な部分があるので、好き嫌いが分かれそうなバンドだけどね!
そう言えば「いかすバンド天国」に出た「ザ・ゴールデン・エッグス」、ライブ観たことあるんだけどね。(笑)
「ジャックス」の完全コピーやってたね。
全部一緒に歌ってしまったSNAKEPIPEだよ!

「ネオGS」では他にも「ザ・コレクターズ」や「ヒッピー・ヒッピー・シェイクス」など、人気のバンドがたくさんあったね。
未だに活動しているバンドもあるし、再結成ライブやってる情報もあるね。
今でも行ってみたいとしたら、やっぱり「ザ・ファントムギフト」と「ザ・ストライクス」かな。
ROCKHURRAHが一緒に行ってくれるかどうか?
そこが問題かな。(笑)