春色ジャケット大特集(なわけない)

【ROCKHURRAH制作の意味不明なレコード・ジャケット】

ROCKHURRAH WROTE:

短い2月も最終日、先週などは最高気温18℃以上などという日もあり、すっかり春らしくなってしまったな。前にブログで「夏嫌い」と書いた(「マルワランド・ドライブ」参照)ROCKHURRAHだが風が強くて寒いのか暑いのかハッキリしない、花粉の舞い散るこの春という季節も大嫌いなのだった。大好きな革パンもムートンも防寒フライトジャケットもまた晩秋までおあずけになってしまうしなあ。
とにかく春物なんてあまり持ってないから毎日が楽しくない。
しかし世間は着実に春物になってゆくだろうし、春らしいカラフルな服も出回っている。そこで思いついたのが今回のテーマ、レコード(またはCD)ジャケットに使われるさまざまな色について。しかし毎回このブログ読んで下さる方にはおなじみだけど、相変わらず何も考察はしない、思いつきだけの浅はかな記事になるに違いない。またまた相変わらずだけど世の中に出回ってるレコード・ジャケットではなくて、あくまで個人的な持ち物だけを語るから実はあまり色のヴァリエーションもなかったんだよね。しかもやっぱり音楽全体ではなく70〜80年代のパンク、ニュー・ウェイブのみ。こんなんだけで商いやってて飽きない?と聞かれそう。

赤とか黄色とかでも細かいニュアンスの違いが言葉ではわかりにくいので今回はこういう色見本みたいなの用意してみた。見る人の環境によっても随分違うだろうなあ。さらに今回の青色リンク文字はジャケットが拡大するので、記事と一緒に見てね。


まずはもしかしたら最も多いかも知れないこの白黒の基本的な組み合わせ。
季節に関係なくこれを基本カラーにしている人も多い事だろう。
この色合いで最も印象深かったのはやはり70年代後半から80年までの変革期に活躍したジョイ・ディヴィジョンだろうか。少なくとも自分の中では真っ先に思い出される。とにかく最もありふれた色だから思いつくと言えばいくらでも出てくるだろう。例えば同時期のバウハウスなども白黒を基調としたイメージなんだけど、1stが黒白、2ndが白黒というジョイ・ディヴィジョンの方が明確。曲の方も多少ヴァリエーション豊富なバウハウスに比べて完璧なモノトーンであり、ポップな曲も難解で理解不可能な曲もない。あまり演奏力のあるバンドではなかったからというのもあるがシンプルこの上ない音楽。ムダなものは一切なし。
タイトルがそのものズバリ「Black And White」というストラングラーズの3rdアルバムもこの配色の代表的なものだろう。彼らのアルバムでどれを好きかと聞かれれば即座にこの作品を挙げる人も多いはず。ホワイトサイドが比較的聴きやすくてブラックサイドが実験的、とかそんな事はどうでもいいくらいに、もうストラングラーズにしか出せない音が高密度で詰まっている。「Tank」や「Sweden」といった攻撃的な音楽に痺れて、ピストルズやクラッシュよりも聴き狂っていた時期もあった。


個人的に白い服が苦手で最も似合わない色だと思えるROCKHURRAHはむしろこのような色合いのコーディネートの方が好きだ。チャコールグレーに朱色とでも言うべきか?このシックな色をジャケットに使ったのがオランダのメカノというバンドだ。と言ってもこのジャケットのは再発盤らしい。
メカノというのは穴がたくさん開いた金属製の板をボルトやネジで組み合わせて好きな形に作る欧州発のおもちゃなんだが、我が家もコーナンで買ったスチールラックを所狭しと合体させた大型メカノと言えなくもないようなやや奇妙な部屋作りを基本としてるので、メカノ好きの心情もよくわかる。メカノの実物を見た事ないSNAKEPIPEもあればきっと珍妙なオブジェを作るはず。
その本物のメカノは置いといて、これはディック・ポラックという人物を中心としたオランダのニュー・ウェイブ・バンド、メカノの話。やはりまたジョイ・ディヴィジョン以降・・・と呼ばれるようなモノトーンな音作りのバンドに属する。しかしレコード・ジャケットの単調さとは裏腹に意外とダイナミックでスケールが大きな音楽を展開していて、ジョイ・ディヴィジョンというよりはむしろニュー・ウェイブ世代のドアーズとかに近い雰囲気がたまらない。どう考えても影響受けてないように感じるけどなぜか偶然、後の世代のスカコアとかを思わせる速い曲も80年代前半にやっていて侮れない。ROCKHURRAHは所有してない作品が多いがオリジナル盤は前述のおもちゃ、メカノをコラージュしたようなちょっとシュールでかわいいジャケットも魅力。スペインかどこかに似ても似つかぬラテン系ポップス・バンドのメカノが存在してるので要注意。


この色を見た瞬間にわかる人は絶対にわかる。そう、それは70年代後半に登場したディス・ヒートの1stアルバムで有名な配色だ。
レコード盤に針を落とすとモールス信号のような音がいきなり始まる。「何じゃこりゃ?レベル低いな」と思い音量を上げるとその直後にこれまで聴いた事のないような不協轟音(貧困な語彙力でごめん)が突然襲ってきて飛び上がるという寸法。伝説となった「Horizontal Hold」のイントロだ。
個人的にはロック史上で衝撃的だったイントロのベスト3に入るだろう。一般的なノイズ・ミュージックとは全然違うし歌もわずかだし、この後の展開も眠くなる人続出だから万人には決してオススメ出来ないし興味本位で買ってはなりませぬ。



世界的に著名な配色、この色と言えば誰でも連想するセックス・ピストルズの伝説的名盤「Never Mind The Bollocks」で決まりだろう。と思ったがあまりにも有名なので何も書けない。なので世間的には格段にマイナーと思われるペル・ユビュのこのジャケットを挙げたい。同じピンクx黄色でも若干色合いが違うだけで随分印象が変わるもんだ。
アメリカのオハイオ州クリーブランド出身のRocket From The Tombs、知ってる人も多いだろうがこれがデッド・ボーイズとペル・ユビュの母体となったバンドだ。
70年代当時のニューヨーク・パンクとは一線を画する派手なアクションとロンドン・パンクに近いルックスで人気だったデッド・ボーイズとデブ・ヴォーカリストによるノイジーでアヴァンギャルドな音楽性のペル・ユビュが同じルーツだというのも意外だな。
本作はペル・ユビュの入手困難な初期のシングルを収録した再発もので、素っ頓狂とも言えるデヴィッド・トーマスのヴォーカルが英国の渾沌音楽と比べるとよりギリギリ感に溢れていて好きな人には堪らない。


上に挙げたペル・ユビュの1stアルバムは工場地帯をバックに工場労働者がバレエを踊っているという奇妙なものだったが、このDAFの1stアルバムも機械そのものの中にいるプリマドンナという不思議に一致したコンセプトのもの。デザイン的に大好きなタイプのジャケットだ。
DAFと言えば男二人のちょいマッチョで単調なエレクトリック・ボディ・ミュージックの元祖というイメージがあるが、この1stではまだそういうスタイルにはなってなくてフリー・スタイルかつアヴァンギャルドなインストのバンドだった。曲目クレジットも何もなくて細切れのような演奏の断片がコラージュされている本作はニュー・ウェイブが「変な音楽デビュー」という若輩には理解が困難。これはジャーマン・クラウト・ロックの難解な音楽の延長線だと考えればそれほど遠いものではないかな。どちらにしても今回の記事はたかがロックだけど万人受けしない系統の音楽(最後の2つ除く)が多いので色々な音楽を聴きまくった後で辿り着いてね。


同じドイツつながりでAbwartsのこの派手なジャケットのアルバムも紹介しよう。アプヴェルツと読むのか?読めん。無学のROCKHURRAHはアブワルツと長年読んでいたよ。赤と黄色に黒が入ればドイツの国旗だね。ジャケットのイラストも戦争風?
アインシュタルツェンデ・ノイバウテンのF.M.アインハルトとマーク・チャンが在籍していた事でも知られるバンド。ジャケットはカラフルだが音の方はちょっと実験的風味も持たせたパンク・バンドという事になるのかね。随分前に売れてしまったので記憶もあやふや、あまり詳しくないのでアッサリしたコメントでごめん。今風の略語にするとアサコメ(意味不明)。


続いてはオレンジとレモンイエローのきれいなジャケット。英国リーズ出身の長い経歴を誇るメコンズのシングルだ。
70年代パンク・バンド達とほぼ同じ頃のスタートでずっとやってるというから驚きじゃありませんか。80年くらいから85年くらいの作品しか知らないが明るくも暗くもなく、何だかわからんくらいに抑揚のない音楽やってて個人的にはこのバンドの面白みとか良さが全くわからない(笑)。「んなもん紹介すんなよ」と言われてしまうけど、今回はあくまでジャケットの色についてのみなので。と言うか色についてもあまり語ってないな。


赤x黄に加えてターコイズ・ブルーのような色を組み合わせた三色使いはリヴァプール出身のワー!ヒート、79年作2ndシングルだ。知ってる人は知ってるけど知らない人も数多いバンドなんだが、元々はエコー&ザ・バニーメンのイアン・マカラック、ティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープと共にクルーシャル・スリーという世に出なかったバンドをやっていたピート・ワイリーによるバンドだ。この人は同じリヴァプールのピート・バーンズ(後のデッド・オア・アライブ)ともバンドやってて、これほど有名人と共演したにも関わらず日本ではほとんど無名というのも珍しいほど不運なタイプ。
詳しくも書いてはいないけど過去記事「リヴァプール御三家編」も参照してみてね。ワー!という冠名だけ同じでバンド名を次々に変えてゆき、それによって音楽性も大きく変わるという柔軟かつ不可解なスタイルで一部有名。この曲はワー!の中でも最もドラマティックでエモーショナルな傑作。アルバムとはヴァージョンも違ってこちらの方が恰好良い。


いわゆるラスタ・カラー+紫というこの組み合わせは非常に有名なXTCの3rdアルバムより。大きく描いたXTCという文字が顔になってるというところが当時斬新だった、という程でもないか。
「Making Plans For Nigel」などヒット曲も入っていてこれまでにないポップな出来の本作は彼らにとって出世作となったわけだけれど、その前の二作のような勢いと若気の至りがなくなってROCKHURRAHとしてはもの足りないアルバムだ。やっぱり今聴いても元気になれるのは1stであり「Radios In Motion」であり、この後のポップ職人芸みたいな上級の完成度は個人的に求めてないのだ。リュースケ・ミナミならこの気持ちわかってもらえよう。


何だこの色合いは?横に並べるとかなり品がないぞ。がしかし色使いはアレだがこのジャケットは妙に大好きなブラム・チャイコフスキーの1stアルバム。絵の感覚はほとんど文化屋雑貨店か宇宙百貨か大中か、というより駄菓子屋のメンコ、軍人将棋のパッケージ?どれもこれも今の子供には通じない世界かも、というのが悲しいがこのレトロなジャケットで想像したような音楽とは全然違った極上のパワーポップ職人芸が本作だ。
元モーターズという以外には日本でほとんど知られてなかったブラム・チャイコフスキーだがこの時代にジャケ買いした人はみんなラッキーだったと言える。

まあそんなこんなで書いてる文章も本店オンライン・ショップのコメントと大差ないし「ジャケットの色で性格占い」などという興味深い記事にもならなかった。特に春らしい色も選んでないからタイトル通りかな。ただひとつ、ROCKHURRAHが全く身につけない黄色という色をレコード・ジャケットとしては案外好んでいるという隠れた傾向がわかっただけ。カラー・コーディネイト大好きなSNAKEPIPEにこういう記事書いて欲しかったよ。ではまた来週。

Macで●REC 2

【スカルに好かれる骨伝導ヘッドフォン?】

ROCKHURRAH WROTE:

最近はブログの方ばかりで本家のレコード通販の方は開店休業中といった状態が続いている。他に色々と楽しい趣味の事があってやる事が山積みで、商品登録にかける時間が少なくなってしまったのが原因なんだが、さすがにこれじゃマズイかな?マズイよな。
「もうROCKHURRAH RECORDSやってないんじゃないの?」とか「ROCKHURRAH出家説」「SNAKEPIPE一人二役説」とか出ても困るしね。

そこで重い腰を上げて商品登録を再開しようとしたんだが、最近レコードプレイヤーの調子がイマイチ。試聴サンプルの録音にストレスを感じるためさらに気乗りしない状態となってる。
使っていたのはSONYのありふれたレコード・プレイヤーで、もう針が劣化してるんじゃないだろうか(落としたりもしたしね)。別売りの針やカートリッジなどもあるのはあるんだろうけど、それに金をかけるくらいならいっその事、プレイヤー自体を買い替えた方がいいんじゃなかろうかと思えてくる。

プレイヤーなんて何年も気にした事なくて情報にも疎いんだが久しぶりで探してみた。最近はUSB端子でパソコンと繋いで直接アナログ・レコードを録音出来るタイプがたくさん出ていて、その辺も視野に入れながらネットで色々検索。主要メーカーと言えるのかどうかわからんがわりとたくさんの候補が出てきてその中から選ぶ事にする。
見た目からいかにも高価なプロ用オーディオ装置を専用のリスニング・ルームで聴いてそうなイメージがあるROCKHURRAHだが、実際はそんな事なくて、実に庶民的かつ違いがわからない男なので選ぶと言っても安い機種の中から何とかマシそうなものをピックアップ。高けりゃいいのはわかるけど、そこまで趣味三昧の暮らしもしてなくてじっと手を見る。

ちなみにこちらが選ぶ基準は以下の通り。

・USBでパソコンと直接繋ぐ事が出来る事。
・アンプは比較的ハイパワーのものを持っているため、USBもPHONO端子も両方いけるもの。
・音楽を取り込む録音・波形編集ソフトは「Macで●REC」の記事で書いた通りやたら持ってるのでプレイヤー同梱のソフトについては全く使う気がない事。
・好きな音楽ジャンルでわかる通り、DJプレイやスクラッチなどクラブ・ミュージックの好みは全くないが、フツーのプレイヤーじゃ面白くないから何となく見た目だけでもちょっとこだわりたい事。
・テクニクスとかオーディオ・テクニカとかDENONとかじゃなくて何か洋風なもの。
・2万くらいで何とか手頃なのないかね?。

というわけで微妙な見栄や心情もかなり混ざっているな。

まずはVESTAXのhandy trax USBが目に留まる。形はまるで大昔によくあったポータブル・プレイヤー。90年代にコロムビアとかで復刻したような形もあったがこれ単体でも電池で動いて、しかもスピーカー付き。うーん、一体どんな用途に使うのだろうか?昔レコードをよく買い漁っていた頃は買ったレコードを家に帰る前に即座に聴きたいというような欲求はあったが、今は全然そんな気はない。例えば海や山に持っていってそこでかけるとか?それもiPod周辺機器が発達した今ではあまりあり得ない光景だろうな。プレイヤー持ってない友達の家に持っていって聴くとか?

そういえばサウンドバーガーなるポータブル・プレイヤーが大昔にあった事を急に思い出した。これはLPレコードをかぱっと挟むタイプのデザインでレコード版ウォークマンというシロモノ。どちらにせよ家庭内で聴くだけの目的だから持ち運び出来るというのはROCKHURRAHには意味のない機能だし、同じ系統ならばむしろサウンドバーガーの方が思いきりが良くて斬新だと感じる。

さて、次はionというメーカーのTTUSB10なるものがお手頃価格だったのでチェックしてみた。実は全然知らなかったがアメリカのメーカーらしく、イオンではなくアイオンと読むのだそうだ。何となく流線型のデザインがレトロ・フユーチャーな感じがして上記のベスタクスよりは好みかな。しかし、このデザインはNumarkのプレイヤーと非常に似ていて、価格的にはこちらのionの方が少し安いみたいだ。詳しい事は皆目わからないけど、どうやらどちらも同じ系列の会社のようでユニクロとg.u.みたいなもんか?違う?で、ヌマーク。うーん、上位機種はいいんだろうけどこのクラスではどうかな。小倉の沼中出身者ではあるがそれはこの際関係ないか。

お次はGEMINIのTT-02MK2。これまたカッコつけてジェミナイと呼ぶのだそうだ。ターンテーブルは大別してベルトドライブとダイレクト・ドライブのものがあるんだが、ベルトというのは文字通りゴムベルトが回転するもの。ダイレクトは文字通りモーターから直結で回転する=トルクが強いという利点がある。説明するまでもなかったか?これはそのダイレクト・ドライブの機種で最安値という事から人気のプレイヤーだ。アームもデザインも直線型で武骨な感じだが別にスクラッチする予定もないし、よく見たらUSB接続でもない。これを買いたいと思ったが自分の掲げた条件や用途とは違うので断念。

右のAmerican AudioのDTI1.8もジェミナイと同じ価格帯でハイトルクのダイレクト・ドライブ。78回転まで対応でリバース逆回転まで出来るらしいが、どちらも今のROCKHURRAHには無用の介。今回取り上げたメーカーの中で唯一ひねってないメーカー名が潔いがジェミナイと同じ理由で断念。

左のプレイヤーもなかなかカッコ良くて気に入ってたんだが、取り扱い店舗が少なくて
断念したもの。Neuというメーカーでジャーマン・ロックのファンならば間違いなくノイ!と読むところだがこれは意表をついてヌーというらしい。うーん、何とも抜けたネーミング・センスだな。クラウス・ディンガー大好きなROCKHURRAHは名前だけでこれを選びたかったんだが、ちょっと予算オーバーだな。
ジェミナイ、アメリカン・オーディオ、ヌーの三つはUSB接続ではないのでパソコンにデジタルで繋ぐ予定じゃない人にはいいと思う。別にUSBじゃなくてもRCA→ミニジャック端子のコードさえ買ってくればパソコンに直結出来るけどね。

それでもって結局購入したのはSTANTONのT.55 USBというもの。これもカッコつけてアイオン、ジェミナイのようにスタントオンなどと呼ぶのか・・・と思ったらそのまんまスタントンで良かったのが購入の決め手、というのはウソだが。とりあえず歴史の長いメーカーだし自社カートリッジ出してるし、何となく華やかな外見にも惹かれるものがある。このメーカーは高いのも安いのも大体同じようなデザインだな。強烈な決め手は特にないが、専門家でもないので直感で選んでみた。
毎回の事だがこれだけ挙げつらって特に比較も検証もなく買った理由もやめた理由もハッキリしないなあ。まあいいか。
他の機種と比べたわけじゃないから音も使いやすさもよくわからんが、個人的には満足していてレコードを聴く機会が増えて喜ばしい。前は録音の時は立ってやってたがこのプレイヤーのためにパソコン横に専用スペースを作り、座ったままでレコードの取り替えが出来るようになった。これまたスタントンとは何の関係もないか。

ついでに愛用していたオーディオ・テクニカのヘッドフォンも音漏れが激しかった(音は素晴らしかったが)のでPHILIPSのかわいい密閉型のに替えてみた。電気カミソリのブランドだと一般的に認知されているオランダのメーカーだが、元々CDの規格を開発したという実績もあるしなぜか今どき個人的にフィリップスが熱い。これは実際に店舗まで見に行ったけど試聴出来ずに見た目だけで選んでしまったもの。音の方はハッキリ言って好みの世界だから10人いたらオススメは全部違ってて当然。金と時間に余裕があれば色々試して自分好みのものを見つけるというのも楽しいかもね。つけた感触はAKGやSHUREなどもなかなか良かったから次回はその辺も候補に入れよう。

前に書いた記事「MacでREC」の時には最新ヴァージョンを持ってなかったがMac環境の波形編集ソフト最高峰、Bias社のPeak Pro 6も入手して録音環境も以前よりはかなり良くなった。以前はSound Studioで充分などと書いたがやはりPeakの力量は素晴らしく、ヴァージョン6になってからさらに良くなった気がする。レコードのプチプチというノイズもペンツールを使って簡単に波形修正とか出来るし、もう手放せません。
前回の記事の時には持ってなかったアドビのSoundBoothも入手してみたが、これはちょっとクセが強い感じがしてROCKHURRAHにはあまり合わなかった。やはりMacの人はPeakが最も良い選択肢だと思える。買ったプレイヤーなんかよりずっと高価なんだけどね。
波形編集ソフトを持ってない人でもUSB接続タイプのプレイヤーには大抵ソフトも同梱されてるからはじめての人でもたぶん大丈夫。

そう言えばかなり前に同じBias社のDeckというマルチ・トラック・レコーディングのソフトを使っていたんだがPeakがこんなに進化してるのにDeckの方は全然新しくならないね。公式サイトでもレガシーなどと書かれているのが悲しい。

まあこんな感じでレコードから簡単に録音してノイズ除去やちょっとした加工してパソコンに保存。そういった作業が楽しくて仕方ないというほどのマニアではないけど、iTunesミュージック・ストアなんかで楽曲ダウンロードするよりかは随分愛情が増す行為だとは感じる。

以上、音がどうのとかまるで言えない素人のROCKHURRAHレビューはこれで終了。
しかしこれで「レコード・プレイヤーの調子が」などという言い訳がきかなくなってしまったな。今年はもっと通販サイトの方も充実させる予定なので乞うご期待。

時に忘れられた人々【06】ヴィンテージ漫画篇2

【愛読してた割には愛のない文章でごめん】

ROCKHURRAH WROTE:

前回はひどい風邪で高熱もあり、不調真っ只中でのブログだったがその後は何とか回復してとりあえずはメデタシ。
さて、今回もその続きで過去に愛読していた漫画への個人的な思い入れを書いてゆこう。解説でも考察でも紹介でもなくて単なる回想だからディープな話は全くない。
これを書いているのが深夜で早く眠りたいため、いつものような長い前フリはなしでね。

「虹を呼ぶ拳/つのだじろう」
絵的には全く好みじゃないはずなんだが「うしろの百太郎」「恐怖新聞」「空手バカ一代」は読んでて当然。かなりカルトな作品とも言える「メギドの火」までも愛読していた(キャンサー白鳥ファン)ので「全然ファンじゃありません」とは言い難い漫画家。
運動が全くダメでガリ勉タイプの団地のモヤシっ子(死語)が強盗に襲われて、それを救ったのがクラスの劣等生。強さの秘密は空手だと言う。これをきっかけに空手の道にのめりこんでゆくという話なんだが、前半がやたらリアルというかせせこましい生活感にあふれた描写。いちいち細かくは言及しないが中学生が月謝払うために新聞配達するとか、空手道場の経営が厳しいとかその辺の話。インチキが横行する空手界で本当に猛者を決めるという格闘技世界一のようなイベントは成功するが、それに理解をしない両親がイヤになり、主人公は家出して、あっという間に騙されて北海道網走のタコ部屋の俘虜となる。ここで鍛えられてなぜか一年ほどで殺気立った野生児に変貌した主人公、ついにはタコ部屋で暴動を起こし、元プロレスラーの用心棒を倒すまでに強くなる。それからライバルとなる天才空手家との出会い、野獣に生まれ変わったとか言いながらも妙に理屈っぽく鬱陶しい主人公なんだよね。そして最後はムエタイの神様と戦うというすごい飛躍となる。
本作は梶原一騎原作のいわゆるスポ根漫画なんだろうが、後半は予想外の展開続きで王道とはかけ離れている。色々批判されたりはしたがこの時代の梶原一騎のようなストーリーはなかなか発想出来るもんじゃないと思える。何てったって少年漫画でタコ部屋という展開は並みじゃないよ。

「エスの解放/倉多江美」
タイトル書いたものの実は現物も手元になく、ストーリーも全然記憶にない、だったら書くなよと言われても仕方ない。ただ当時の少女漫画とはまるっきり違う難解で形而上的な作風、深井国(SFの挿し絵などで有名なイラストレーター)を思わせるスタイリッシュな絵柄など素晴らしい魅力に富んだ漫画家で、恋愛とコメディとファッションが主流だったような70年代少女漫画界にもこんな人材がいるんだ、とROCKHURRAHを唸らせた。ただそのことが書きたかっただけ。他の作品も素晴らしいので探して読んでみてね。

「あかつき戦闘隊/園田光慶」
第2次大戦中、南方のパゴス島なる孤島を基地とする海軍の荒くれ集団、あかつき戦闘隊に赴任(と言うのか?)してきた新米隊長。素行は悪いが戦闘機に乗らせれば米軍もビビる程の強者たちを相手に実戦経験のないこの隊長がガッツと愛国精神でリーダーシップを発揮してゆくという戦記ドラマが本作だ。今ではほとんどないと言っても良いジャンルの戦争漫画だが、この時代には結構たくさんあって、この「あかつき戦闘隊」もヒットした部類なのではなかろうか?ただマイナーな出版社が出していたのでコミックスが入手し辛くて、ずいぶん後になって古本屋で手に入れた記憶がある。過去に持っていた漫画をほとんど手放してしまったROCKHURRAHだが、なぜか今でもこの本は所有しているのが不思議。絵柄もストーリーも家宝にするまで愛着のあるものではないのに。引越しの際に処分するモノと残しておくモノの判断をいつも間違ってしまうんだろうね。
本作に関しては主人公よりも周りのあかつき戦闘隊の面々がなかなかいい味出していて、特に酒飲みの軍医くずれ(というか心得があるだけ?)の左近が個人的には好きだった。

「釣りキチ三平/矢口高雄」
こうやって色々と過去の漫画について回想してみると、現在のROCKHURRAHの趣味嗜好とはかけ離れた世界が見え隠れする。漫画を主に読んでいたのがパンクになる前だから仕方ないと言ってしまえばそれまでだが、このROCKHURRAHの風貌を見てまさか「釣りキチ三平」の話が出来る人間とは誰も思うまい(笑)。話が出来るどころかほぼ全巻持っていたのも意外だと自分でも思える。アニメにもなったし有名な作品だからあらすじなどは書かないが、中学生の時に釣り好きの友達がいて、この漫画に影響を受けたような遊びをやっていたのを思い出す。スピニング・リールの釣り竿、テグスの先に大きなオモリをつけて投げ釣りにおける遠投の練習を裏の畑でやっていたのだ。名付けて「シロギスの涙ごっこ」。人に当たれば間違いなく即死だろうし、随分危ない遊びをやっていたもんだ。実際に釣りの腕前の方はさっぱりだったが、なぜかこの時代には「釣り人」などという月刊雑誌まで読んでいたのが恐ろしい。
ゲーム「どうぶつの森」や「モンスターハンター」で釣りばっかりやってた都会っ子のSNAKEPIPEとそのうちどこか釣りに行ったり・・・とかはまずないと思えるが、そういう趣味に対する憧憬はいつまでも心の中にある。キメキメ(死語)の服装でライブ行って、というメインの趣味がどうしても都会じゃないと出来ない事なので関東に住んではいるが、本当は都会なんか全然好きじゃないもう一人の自分がいる事も自覚している。話がすっかりそれてしまったが漫画の方は「カルデラの青鮒」とか「三日月湖の野鯉」とか現実離れした怪魚への興味でワクワクして読んでいたものだ。子供の頃からUMAとか好きだったものなあ。

「子供の王国/諸星大二郎」
前にSNAKEPIPEと諸星大二郎原作という「壁男」なる映画を観て非常につまらなかった事を思い出す。諸星大二郎はROCKHURRAHの好きな漫画家だったので「本当はもっと面白い漫画家なんだよ」と言い訳しながら観た次第なんだが、この「子供の王国」などは好みの作品と言える。
薄汚い大人に成長する事を止めて子供の姿のまま大人になってしまった人間が多数という未来社会の流行を描いた作品。大人の姿である主人公は異端児であり下層階級というわけだが、恋人までも子供(の大人)にとられてしまう。その理不尽な社会に怒り子供の王国に潜入した主人公は・・・というようなストーリーだ。
逆「ブリキの太鼓」と言えなくもないがなぜか筒井康隆の「こぶ天才」を思い出してしまった。え、全然違う?
独特の頼りなげな絵柄も含めてやっぱり個性的な漫画家だと思う。

なぜか熱にうかされて書いた初回の方が筆が速く、文字通り熱のこもった文章だったが、いくら書いてもキリがないのでこの辺でやめておく事にする。
そう言えば過去に通ったレコード屋についての続きも書いてなかったが、きっとまた書きますので今年もよろしく。←年頭の挨拶遅過ぎ。

時に忘れられた人々【06】ヴィンテージ漫画篇1

【ROCKHURRAHが少年時代に愛読した漫画の登場人物たち】

ROCKHURRAH WROTE:

何と大晦日から元旦、2日にかけてROCKHURRAHとSNAKEPIPE、二人して風邪をひいてしまい、絵に描いたような寝正月となってしまった。特に今ブログを書いてる本人のROCKHURRAHは通常の風邪も微熱程度で終わるはずなのに39度近い高熱を出して下がっても37度以上というありさま。それくらいは大した事ないよという人も多かろうが、普段あまり高熱を出さない者にとってはビックリのハプニングだ。元旦の風邪など生まれてはじめての経験かも。とりあえず市販の風邪薬や解熱剤が効かなくはないのでインフルエンザではないと思えるけど。

さて、SNAKEPIPEも熱はなくても年末の疲れからちょっぴりダウン気味なので、今回は二人ともブログどころじゃない状況。だけど開設以来一度も休まずに毎週日曜日に更新してるものだから思考力もあまりない朦朧とした頭でROCKHURRAHが書くことにする。何だか新年早々悲壮な決意だな(笑)。
今日の内容はほとんど初めてといってもいい話題だが過去漫画について。

昔は大変に漫画好きの子供だったROCKHURRAHだがある時期よりピタッと読まなくなってしまった。原因は今でも不明なんだが「漫画より小説や映画の方が面白くなった」とかそういう理由ではないのだけは確かで、おそらく好きな漫画が絶版になって手に入らなくなってしまったとかそういう時代的な理由で買うのをやめたんだと思う。

そんなROCKHURRAHが個人的に好きだった作品について軽く思い出話を語ってみようというのが今回の趣旨だ。ちなみにROCKHURRAHには兄が二人いて、その二人のコレクションも読んでるので実年齢よりもさらに古い作品が含まれている。漫画はほとんどがコミックスで読んで漫画雑誌を毎週買ったりもあまりしてなかったしね。
では思いつくまま書いてみよう。熱があるのでリンクなど一切なしで勘弁してね。

「デビルマン/永井豪」
漫画家自体の大ファンでこの人の作品ならばどれでも好き、と言えるほどのめり込んだわけではないが、70年代前半の永井豪の暴走っぷりは確かに誰が見ても素晴らしくとんでもないものだったろう。個人的に好きな作品も多く、この時代の漫画の中では最も過激な表現に衝撃を受けた子供たちも多かったろう。
主人公が雪山で怪物に食い殺されるという衝撃的な発端の「魔王ダンテ」、痛快時代劇から出発して後半は何だか収拾がつかなくなる永井豪版「魔界転生」とも言える「ズバ蛮」、学生運動という特異なテーマを扱ったヴァイオレンス・アクションの傑作「ガクエン退屈男」、この辺はとにかく大好きで何度読み返したかわからない。ちなみに三作とも朝日ソノラマのサン・コミックスから出ていて、ROCKHURRAHはなぜかここの装幀が大好きだったとみえる(落丁が多いのがタマにキズだったが)。
そんな永井豪の代表作とも言えるのが誰でも知ってるこの「デビルマン」だろう。有名だから敢えてストーリーとか感想については書かないけれど、後半の暴走ぶりは凄まじく、当時の漫画ではタブーとされていた(に違いない)表現を少年マガジンというメジャー誌で堂々と行なったところが凄い。後半の魔女狩りという歯止めの利かなくなった民衆のエピソードも衝撃的だったが、個人的には前半のシレーヌ編も捨て難い。デビルマンが敵とするのは血も涙もない悪魔ではなくて愛も感情もある悪魔なのだ、というところがROCKHURRAH少年の琴線に触れたらしい。

「ワースト/小室孝太郎」
上記の「デビルマン」とかと比べるとかなりマイナーな部類に入るのかな?とりあえず天才的漫画家と言われる小室孝太郎の唯一の代表作だ。
世界中で同時に降った雨に濡れた人間はみんな死に絶えて、その後に食人鬼として甦る。彼らは残った人類をどんどん食い殺してゆき、ワーストマンと呼ばれる怪物だらけの世界になるという発端から始まる物語。ホラー映画好きならば誰もが思うだろう。これはジョージ・A・ロメロ監督の代表作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」とほぼ同じシチュエーションなわけである。この漫画は70年くらいであるからまだ「ゾンビ」は誕生してなくて、もし作者が着想を得たとしても「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」からという事になる。さらにロメロ監督の作品が割とローカル限定だったのに対してこの「ワースト」は生き残った人類VSワーストマンという壮大なスケールの物語になっていて、主人公も三世代にわたる。そして最後の決着は氷河期のあとという途方もないSF作品となっている。ゾンビも最終的にはちょっと喋れるようになったり進化はしたがこのワーストどもはたった数十年と思える三世代にして空を飛べるようになったり海を泳いだり、恐ろしく進化の度合いが速い生き物というのがありえなくも怖かった点だ。

「青の6号/小沢さとる」
潜水艦を主役としたSFアドベンチャー大作の第一人者とのことだが、そういう特殊なジャンルを描いた漫画家はその後も滅多には現れず、たぶんずっと第一人者のままだったのではないかと思われる。先に大ヒットした「サブマリン707」も無論好きだったのだが、この「青の6号」の方が単に出てくる潜水艦が好きだったというわけ。主役はヒゲにパイプのダルマおやじとも言える艦長とポンコツ潜水艦青の6号。しかし撃沈された青の1号コーバック号や敵艦ムスカの方がなぜか恰好良かった。上記の2つなどと比べると危ない思想もなく、単純に少年漫画の王道とも言える善悪の図式、この作品に関しては漫画そのものが云々というより、純粋にメカに対する興味(というほどメカに興味持った覚えもないが)だけが思い出に残る。「原子力潜水艦シービュー号」「スティングレイ」などの海外特撮TVドラマもそうだったが「青の6号」シリーズもプラモデルとなって風呂での遊びに活躍したものだ。しかもなぜか同じシリーズなのに全然縮尺合ってなくて青の6号搭載のミニ潜水艇フリッパー号よりも青の1号コーバック号の方がずっと小さかったり、なんだかいいかげんな大らかな時代。

「聖マッスル/ふくしま政美」
一時期Quick Japanなどで再評価されて多くの人がそれをきっかけに復刻版を手にしたはずだが、オリジナルは少年漫画史に残るカルト漫画であり醜悪で奇っ怪な作品として伝説だったものだ。何がすごいってこの主人公(名前はない)物語の大半で究極に鍛えられた筋肉を惜しげもなく披露しっ放し、つまりほとんどの場面で全裸なのである。古代ローマとかその辺をミックスした世界でこの名無しの青年が自慢の肉体を武器に渡り歩いてゆくというただそれだけのストーリーなんだが、とにかく見せ場はど迫力のコマ割りと筋肉のぶつかり合いのみというノーマルな少年少女の読者には理解不能という世界。独特のいやらしいタッチの絵も好き嫌いが分かれる(というか好きと言える人はめったにいなかったはず)ところだった。本来ならばこの当時の少年だった者たちの間でのみひっそり語られるはずの作品が後の世代の人間に見出されるというのは音楽の世界でも数多くあることだけれども「消えた漫画家」とかそういうネタ本じゃなくて、どうか自分の力で見出すようにしてもらいたいものだ。

「ワイルド7/望月三起也」
どちらかと言えばSF的な漫画を好むような作品を挙げてきたがここに書けなかったものも多数、スポ根から少女漫画まで幅広い趣味があったのが自分でも意外だと思える。望月三起也作品も「ケネディ騎士団」「秘密探偵JA」「竜の旗」などなど子供の頃から大好きなジャンルで、特に代表作の長編「ワイルド7」は日本のアクション漫画の中では最も好きな作品だ。少年キングという当時からかなりマイナーな雑誌で連載していたにも関わらず大ヒットしたので知っている人も多かろうこの作品。ごく簡単に書くならば法の力で裁く事が出来ない悪党を「退治」するために集められた札付きの不良どもがワイルド7なる警察の非合法組織となり、悪の組織と戦うという話だ。飛葉、ヘボピー、両国、オヤブン、八百、ユキなどという個性的な面子の性格設定もよくされていて各人が乗るバイクや拳銃も素晴らしく凝っていたのが多くの読者に受けた原因だ。これまでの日本の漫画とは明らかに違うダイナミックな描写とあっと驚くアクション、ストーリー展開も素晴らしい。特にコミックス9巻分にもなる最終章「魔像の十字路」ではいい味を出していたキャラクターが一人一人犬死してゆくというやりきれない展開で最後まで読むのが辛かったという思いを漫画ではじめて経験した作品。

ここまで書いたけどやっぱり一回のブログで書ききれなかったため、とりあえず今日はここまで。レコード屋について書いてたブログ記事も中途半端のままだし、今年一年も何だか宿題の多い年になりそうだな。では今から療養に専念しマッスル。