ビザール・ポスター選手権!54回戦

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【1922年10月に刊行されたポピュラー・サイエンス紙の表紙。悪魔が車に悪さしているシーンだって】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年3月の「箱根初上陸!ポーラ美術館」をはじめ、今まで何度も1920年代への憧れについて語ってきたことは、皆様ご存知のはず。
シュルレアリスム、ロシア構成主義、バウハウス、ダダやアール・デコなど、現代アートの礎を築いた年代だからね!
一般庶民の生活はどうだったんだろう?
フランスではカッサンドル、ロシアではロトチェンコリシツキーの作品が街を彩っていたようなので、文化的な意識が高かったことが想像できるよ。
今回の「ビザール・グッズ選手権」では、1920年代(一部は1930年代)の庶民向けポスターを特集しよう。
生活に密着したポスター類、早速見ていこう!

電話で楽しげに話す女性が描かれている。
電話の宣伝なのかと思いきや「JELL-O」と「America’s Most popular dessert(アメリカで最も有名なデザート)」の文字が!
これはジェローというゼリーの宣伝用ポスタだったんだね。
日本でいうところのゼリエースみたいな感じ?
調べてみるとジェローは1897年に商標登録され、1904年には「アメリカで最も有名なデザート」のキャッチフレーズが採用されているという長い歴史があるという。
女性が誰に対してジェローを注文しているのかは謎だけど、商品そのものを載せない広告として斬新!
それほどまでにジェローが一般家庭に普及していた証なんだろうね。

続いては帽子の広告だよ!
これはデントン・ハットのアッタボーイ・ソフト・フェルト・ハットという商品らしい。
1702年に、イングランドのマンチェスターにあるデントンで初めてフェルトの帽子が製造され、それ以来デントンは帽子産業で栄えたという。
300年以上も歴史があるとは、さすがイングランド!(笑)
イギリス製のソフト帽は、1920年代の身だしなみには欠かせないアイテムだよね。
強風に飛ばされる帽子を描いた広告、情緒があって素敵だよ!

続いてはアンリ・モリニエのグラフィック作品ね。
このポスターは、1932年の物らしい。
ステラというフランスの家具メーカーが「不動の椅子」として特許を申請したのは、1922年のことだというから、こちらも歴史のあるメーカーなんだね。
ル・コルビュジエはん(安藤忠雄風の呼び方)と同世代のレオン・リュイソーによって発明された「LUCETA」という椅子は、「誰も分解できない」強度が高い商品として絶賛されたという。
そうした技術に関する特許取得だったんだね。
ポスターは椅子を壊そうとしている人物が描かれ、虫眼鏡で構造をアップして見せる技法が採用されている。
「こんなことではびくともしませんよ」と強調しているところが面白い!
現在もステラは存続していて、このポスターがロゴになっていることを知り嬉しくなったよ。
今でも当時の椅子を使い続けている人も多いだろうね!

次はちょっとセクシー系の広告だね。
これはMUM(マム)という制汗剤の宣伝とのこと。
「男性が決して口にしないが、すべての女の子が知っておくべきこと」や「清潔さを怠る女の子は人気者になれない」など、扇状的な文章が並んでいるという。
唇に指を当てている女性が、何か秘密にしておきたいような、悪巧みする表情に見えてしまう。
「マム」は、脇の下と「その他の場所」に使用するよう指示されているというので、広告の女性の表情と併せて「いかがわしい」想像を膨らませてしまうよ。
この制汗剤を買う時には、勇気が必要だったかもね?(笑)

最後はこちら!
THO-RADIA」というフェイシャル・クリームのポスターだよ。
化粧品の広告なのに、下からの光源により、まるでホラー映画みたいに見えてしまうよ。
調べてみると、どうやら光源はラジウムを表しているんだとか。
「循環を活性化し、組織を引き締め、油分やしわを取り除くなどの効果がある」として実際にラジウムを含んだ商品が販売されていたという。
2023年9月に刊行された京極夏彦17年ぶりの長編小説「鵼の碑」にも、何度となく出てきたワードがラジウムだったよ。
「鵺の碑」の文中にもあったけれど、ラジウムは放射性物質と認定される以前は、むしろ健康に良いとされていたという。
フランス製のクリームは、1937年に規制が変わるまで同じ配合で製造されていたみたい。
使用した人はどうなったのか、怖くて調べられないよ。
研究が進むと、信じられてきた常識が覆されることがあるという例になるポスターだね。

今回は1920年代と30年代の広告を特集してみたよ。
当時の人たちがどんな生活を送っていたのか、少しは垣間見ることができたかもしれない。
1920年代についてもっと知りたいので、今回の続編を検討してみよう。
次回もお楽しみに!

Holidays In The 散歩 大倉山公園

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【花曇りの日にお花見を決行!】

SNAKEPIPE WROTE:

毎年桜の季節になると、どこかしら花見に出かけているROCKHURRAH RECORDS。
以前記事にしたのは2022年4月の有名なお花見スポット「千鳥ヶ淵公園」!
昨年は近所でお花見したっけ。
さて今年はどうしようか、とROCKHURRAHと相談する。
せっかく神奈川県民になったことだし、今まで行ったことがない場所を散策してみようか。
ROCKHURRAHが提案してくれたのが「大倉山公園」という梅の名所。
桜もキレイとの情報があり、散歩がてら出かけることにしたのである。

今年の3月は雪が降ったり夏日近くまで気温が上がったりして不安定な気候だったよね。
桜の開花宣言は例年より遅く、東京は4月4日が満開の予報だった。
昨年の花見は、春分の日の頃だったので2週間違っているんだね。
薄曇りで寒そうな予想だけど、お弁当を持ってLet’s Go!(笑)

東横線の大倉山駅は、今まで一度も降りたことがないよ。
ROCKHURRAHが、大倉山には「ギリシャ風建築風情が漂うエルム通り」という商店街があること、大倉山記念館というレトロな建築があることを教えてくれた。
大倉山駅西口を道なりに歩くと、そこがエルム通り。
確かにギリシャ風の柱を使った建築がいっぱい!
商店街全体でムードを盛り上げているのが良く分かるよ。
駅方向に戻り、大倉山公園を目指す。
東横線の線路沿い、急坂なんだよね。
上がって上がって、また上がって。(笑)
ようやく「大倉山公園」というプレートが見えてくる。
寒いと思って厚着してきたROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、坂で汗をかいてしまったよ!
この道を毎日行き来している住民の方は大変だろうなあ。

公園の中を歩いていくと、大倉山記念館が見えてくる。
想像していたよりも広大で、重厚な建築だよ!
「大倉山記念館は大倉邦彦氏により昭和7年(1932年)に創設された90年を越える歴史を誇る建造物です」と記念館のサイトに説明がある。
大倉邦彦氏というのは、実業家であり教育にも力を入れていたそうで、大倉精神文化研究所を設立したんだとか。
巨額の私財を投じて竣工された建築とは驚いてしまうよ。

1981年に大倉精神文化研究所は敷地を横浜市に売却し、研究所本館を横浜市に寄贈したらしい。
公園が作られ、建物を整備して1984年に横浜市大倉山記念館として開館した歴史があるんだって。
建物の中に入ってみよう。
雰囲気が目黒の庭園美術館に似ているね、と話しながら階段を上る。
旧朝香宮邸(庭園美術館)の創設が1933年なので、同時代になるんだね。
階段を上がると内部がシンメトリー構造だと分かる。
凝った石の彫刻と三角形の意匠が特徴的だね。

上を見上げると吹き抜けになっていて、彫刻が並んでいる。
獅子と鷲が交互に配置されているんだよね。
地を駆けるライオンや空を飛ぶ鷲のように強くなれ、というメッセージなのかな。
東西文化の融合を建築理念として、プレ・ヘレニック様式が採用されているという。
プレ・ヘレニック様式とは「古代ギリシャ以前の」という意味で、設計を手掛けた長野宇平治が命名したというから面白い。(笑)
荘厳な建物だけれど、開放されているのは嬉しいね。

記念館を出て大倉山公園に向かう。
映画やテレビの撮影にも使われているというのが納得のカッコ良さ!
SNAKEPIPEは、天知茂が明智小五郎を演じた「江戸川乱歩の美女シリーズ」の舞台にピッタリとイメージしたよ。(笑)
暗くなったらホラーも似合うかもしれないよね。
桜を鑑賞する前に何枚も撮影してしまったよ。(笑)

大倉山公園は敷地が広くて、かなりの距離を歩いたよ。
高台に階段を使って上ると、誰もいないガランとした空間が広がっている。
のんびり歩くには最適な公園だね。
ピンクが濃い目の桜と白っぽい桜が楽しめる場所でお弁当を広げる。
桜からは少し遠かったけど、キレイな景色だよね!
太陽が出てきて、風が心地良い。
今年も良いお花見ができて良かった。
大倉山公園は、また別の季節に歩いてみたいなと思ったよ!

映画の殿 第63号 韓国ドラマ編 part18

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【良い味出してる俳優がいっぱい】

SNAKEPIPE WROTE:

約3ヶ月ぶりに更新する「映画の殿 韓国ドラマ」編だよ!
今回は4本のドラマを紹介していこう。
ROCKHURRAH RECORDSが鑑賞した順番で書いているので、制作年順ではないからね。(笑)
新作あり過去の作品ありでお届けしよう!

「憑依~殺人鬼を追え~(原題:빙의 2019年)」は、主役のソン・セビョクが気になって観たかったんだよね。
マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜(原題:나의_아저씨 2018年)」で主役3兄弟の三男役が印象的で、他の出演作を探していて見つけたドラマ。
マイリストに登録していたけれど、やっと観ることにしたのである。

生まれながらに並外れた霊能力をもつ美女と、根はやさしいが粗野でさえない刑事。
ひょんなことから出会った2人が、時を超えてよみがえった最悪の殺人鬼に挑む。(Filmarksより)

ドラマが始まった数回はコミカルさとホラー要素が混ざった面白いストーリーだった。
回を重ねると、タイトル通り霊に憑依されて主役が別人に変化してしまい、ドラマの雰囲気も重苦しくなってしまう。
最後まで観るのが辛くなり、惰性で(?)観終えた感じ。(笑)
「霊能力がある美女」と紹介されていたゴ・ジュンヒは、せっかくヒロインに抜擢されたのに、出来の良くない展開のせいで気の毒だったよ。
「憑依」は、あまりお勧めではないドラマだね。

次は続きが気になる面白いドラマにしよう、とROCKHURRAHが選んでくれたのが「殺人者の買い物リスト(原題:살인자의 쇼핑목록 2022年)」。
「韓国No.1を探せ」などのバラエティ番組や「ライブ~君こそが生きる理由~」や「サウンド・オブ・ハート」などで馴染があるイ・グァンスが主演のドラマと聞くと期待しちゃうよ。
グァンスが出ているドラマや映画に外れなし、とSNAKEPIPEは確信しているから。(笑)
根は優しいけれど、運がないという役がピッタリなんだよね!
あらすじはこちら。

実家がスーパーを営むテソンは、子供の頃、天才的な記憶力で偽札を見つけ、母と共に犯人を捕まえる。
そして今、彼は公務員試験に何度も失敗し、彼女とは別れる寸前。
公務員を諦め、スーパーで働き始めたテソンはある日、常連客の死体を発見するが…。(UNEXTより)

日本語字幕付きの予告が見つからなくてごめんなさい。
スーパーマーケットが舞台のドラマで、購入履歴を犯人逮捕につなげていくところが面白い。
スマホの登録名が名前ではなく「鮮魚担当」「精肉担当」など、スーパー内での部署名になっているところも笑ってしまった。
出てくる人全て怪しく見えてくるので、サスペンス・ドラマとしても成功していると思う。
グァンスはいつも通り、とても良い味出していて、「殺人者の買い物リスト」もやっぱり当たりだったよ。(笑)

「もうすぐ死にます(原題:이재, 곧 죽습니다 2023年)」はウェブトゥーンが原作のファンタジー転生ドラマだという。
ファンタジーと転生と聞くと、鈴木光司の小説「楽園」を思い出すよ。(笑)
ROCKHURRAHはそれより前の「火の鳥」を連想したという。
「楽園」は壮大な恋愛小説だったけれど、「もうすぐ死にます」には試練が待ち受けていたよ。
主演は「元カレは天才詐欺師」や「主君の太陽」のソ・イングクと「三食ごはん 山村編」や「パラサイト」に出演したパク・ソダム。
ポスターではソダムの化粧が濃い目だよね。

地獄行き間際のイジェが12回の死と生を経験することになる転生ドラマ(Filmarksより)

転生して12人に生まれ変わる物語なので、回ごとに主役の顔が変わってるんだよね。
ビューティー・インサイド(原題:뷰티 인사이드 2015年)」も似たシチュエーションの映画だったことを思い出す。
「もうすぐ死にます」で転生の度に変わる主役は、ドラマや映画で観たことがある豪華キャスト!
見目姿が変わっても魂(攻殻機動隊的に言うとゴースト)は一つで、記憶が受け継がれていくんだよね。

ソ・イングク演じるイジェは、7年の就職浪人生活に嫌気がさし、自ら命を絶ってしまう。
高い自殺率の韓国ならではなのかもしれないけど、ドラマや映画での自殺シーンって多いんだよね。
思いを踏みとどまらせる意味も含めて、罰を受ける内容のドラマにしているのかもしれない。
オンマ(母親)役のキム・ミギョンは、今まで数々のドラマで観ている「国民の母」だけれど、「サウンド・オブ・ハート」が強烈過ぎて、感動シーンにイマイチ乗れなかったSNAKEPIPE。
以前の役どころのイメージが強い時に起こる現象だから仕方ないかもね?

恋のスケッチ〜応答せよ1988〜(原題:응답하라 1988 2015年)」を観る前に「花より青春 アフリカ編 〜双門洞4兄弟」を観ていたROCKHURRAH RECORDS。
「花より青春」は「恋のスケッチ」収録後の2016年にドラマに出演していた4人の俳優がアフリカを訪れたバラエティ番組だった。
野生の動物を見たり、ヴィクトリアの滝を観光する旅で面白かったよ。
プロデューサーは「三食ごはん」と同じナ・ヨンソクとのこと。
有名な俳優の素顔を見せる企画という点が共通しているよね。(笑)
「恋のスケッチ」は大人気のドラマだったらしい。
あらすじから書いてみよう。

韓国で初めてオリンピックが開催された1988年。
この年は国中がお祭りムードで活気が溢れていた。
学校の成績よりもオシャレに興味津々な普通の女子高生ドクソンは、両親と姉、弟の5人家族。
ドクソンには、小さい頃から兄弟のように育った4人の幼なじみであるサッカー好きのジョンファン、優等生のソヌ、お調子者のドンリョン、そして天才囲碁将棋のテクたちがいた。
ある日、友達からの一言がきっかけで、ドクソンはソヌを意識はじめる。
しかし、ソヌが思いを寄せていたのはドクソンではなくドクソンの姉ボラだった。
それを知ったドクソンは失恋。
そんなドクソンをそばで見ていたジョンファンは、少しずつドクソンのことが気になっていた。
さらにテクも、ドクソンのことが好きだと宣言!
そんな二人の恋のバトルは…?(Amazonプライムビデオより)

80年代のソウル道峰区双門洞を舞台に、ご近所さんたちが助け合って暮らしている。
主役の女子高生と幼馴染の男4人が繰り広げる青春ラブ・ストーリーと言ってしまえば簡単だけど、ドラマに登場する人達のキャラクターがみんな濃いんだよね!
SNAKEPIPEが気に入ったのは、母親たちの「あけすけ」な会話。
まるでアルモドバルの映画に出てくるスペインのおばちゃん達みたいなんだよね。(笑)
父親たちも負けていなくて、みんな良い味出してるの!
主役のドクソンを演じたヘリは、アイドルグループ出身とは思えない、おバカな顔を見せて笑わせてくれる。
最終回が近づいてくると恋の行方が分かってくるけれど、ドクソンが真面目になってしまい残念だった。

私たちのブルース(原題:우리들의 블루스 2022年)」は済州島が舞台で、村で暮らす人々が共同体として生活している話だった。
村と横丁の違いはあるけれど、お互いが相手の家の事情を全て知り尽くしているという状況が似ていたよ。
血がつながった親戚以上に深いつながりがあるというのは、安心感と鬱陶しさが混在しそうだよね。
「恋のスケッチ」では、「おかず」を分け合ったり、小さな子どもを交代で預かったりして、みんなで協力し合っていて微笑ましかったよ。
SNAKEPIPEは田舎が舞台のドラマが好きなのかも。(笑)
「応答せよ」は他にも「1994」と「1997」があるので、機会があったら観てみよう。

今回は4本のドラマを紹介したよ。
最初の「憑依」以外は3本とも面白かったので、お勧め!
ドラマ鑑賞は続いているので、また感想をまとめていこう。
次回をお楽しみに!

箱根初上陸続編!ガラスの森美術館 鑑賞

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【箱根ガラスの森美術館前を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「箱根初上陸!ポーラ美術館」の続編を書いていこう。

ポーラ美術館をあとにしたROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、予約していた温泉宿へ。
露天風呂付き客室をチョイスしてもらったので、宿に着くなり体を温めることにする。
首から下はじんわり温かくて、頭は冷風に当たっていると「これぞ温泉」と感じるね。(笑)

旅館というのはどこも同じだけど、通常生活しているよりも夕食時間が早いよね。
この日も18時前には食事がスタート。
刺し身の舟盛りやしゃぶしゃぶ、キンメダイの煮付など、お腹がパンパンになるほど食べてしまった。
どうして旅館のご飯は進んでしまうんだろうね。(笑)
そんなに晩ごはんを食べたのにもかかわらず、翌日の朝食もおかわりして食べているし。
金沢に行った時もお米が美味しかったんだけど、旅行の時は食べ過ぎ注意だね。

10時のチェックアウトで、次に向かったのは「箱根ガラスの森美術館」。
ガラスに特別な興味があるわけではないけれど、宿からのアクセスが良かったんだよね。
今まで観たことがない作品に出会えることを楽しみに、行ってみることにしたのである。

歴史を感じさせる石造りの建物にエントランスがあり、チケットを購入する前にコインロッカーについて尋ねる。
ガラスの作品が多い中、荷物が少ないほうが良いからね!
「ロッカーはそちらです」と指し示されたのが、細い階段を降りた地下の場所。
ちょっと謎めいていて怖い雰囲気だったよ。(笑)
館内に入ってすぐ、見えてきたのがこの光景。
中央の池に、不思議な造形物があるよ。
これはデイル・チフーリの「パラッツォ・ドゥカーレ・シャンデリア」という作品とのこと。
タイトルにシャンデリアとあるけれど、SNAKEPIPEには未知の生命体のように見えたよ。
増殖していきそうな不気味さがとても良かった!(笑)

中庭の池を眺めながら道に沿って歩いていくとヴェネチアン・グラス美術館の館に到着する。
入ってすぐ目に入ったのが画像のヴェネチアン・マスク!
この仮面を見ると、スタンリー・キューブリック監督の映画「アイズ・ワイド・シャット(原題:Eyes Wide Shut 1999年)」を連想しちゃうんだよね。
ROCKHURRAHと交互に仮面で変装し、写真を撮る。
一番右端の仮面をかぶったROCKHURRAHが怖くて怖くて!
一瞬で別人になってしまう効果に驚いたよ。

散々撮影し合った後、ヴェネチアン・グラスの逸品が展示されている会場を歩く。
どの作品も美しくてドラマチックなんだよね!
本来の用途を超えて「これでもか」というくらい装飾し、技工を競い合っていて素晴らしい。
無駄な要素を剥ぎ取ったバウハウスも大好きだけど、TOO MUCHなデザインも良いよね!
例えるならばドラァグ・クイーンみたいな感じかな。(笑)

2つの作品を並べて載せているよ。
左のランプの豪華さったら!
土台まで贅を凝らしているのが分かるね。
右は大杯と書かれていたので置物なのかな。
ピンクと水色の色合わせが見事。
細工も細かくて匠の技を見せてくれてるね。
ガラスの森美術館は背景にも気配りされていて、タイムスリップしたような気分になったよ。

子供の道化師をモチーフにした作品。
手にランプを持ち、壁から半身を出している。
いたずらっ子みたいな無邪気さを装っているけれど、笑っている顔が非常に怖い!
このランプが似合う屋敷は、ゴシック様式だろうね。
古いタイプのホラー映画の中で、子供の目が動いたり表情が変わったりする想像をしてしまうよ。
SNAKEPIPEは「あげる」と言われても欲しくないかも。(笑)

アーティストの作品も展示されていたよ。
上がマックス・エルンストの「鵞鳥(ガチョウ)」、左下がシャガールの「農夫」、右下はピカソの「雄牛」で、それぞれデザインを担当している。
ガラスの制作はエジディオ・コスタンティーニによるもの。
エジディオ・コスタンティーニは「ガラス彫刻」の第一人者で、その創作プロジェクトはジャン・コクトーにより「フチーナ・デリ・アンジェリ(天使の窯)」と命名された、とガラスの森美術館に説明があったよ。
コクトーの働きかけでアーティストのデザインが集まったらしい。
錚々たるメンバーにより、ガラス彫刻が発展していったんだね!

ヴェネチアン・グラス美術館の鑑賞を終え、続いて現代ガラス美術館へ。
リヴィオ・セグーゾの作品は、非常にシンプルで洗練されていた。
光の当たり方で作られる影や反射はガラスならでは、だね。
大理石とガラスを使ったり、ワイヤーで吊るされた作品などもあったよ。
豪邸やホテルなど、広い空間に一点だけ飾っておきたいなあ。
もちろん適正な照明を当ててね!

モノトーンだったリヴィオ・セグーゾの展示室からカラフルな世界へ。
デイル・チフーリの作品はオレンジや黄色、深いブルーなど色とりどりで華やかだった。
画像右上は、まるで岡本太郎!
赤と緑という組み合わせとニョキニョキ生えているような形状が面白いよね。
一番最初に紹介した池に浮かんでいる「シャンデリア」もチフーリの作品だったわ!
呼吸しているような生命力を感じる作風が新鮮だね。

ミュージアム・ショップに立ち寄ってみる。
ヴェネチアン・グラスの素晴らしいランプや仮面などが販売されていたよ。
いくら気に入っても、ROCKHURRAH RECORDSの事務所にヴェネチアの仮面は似合わないなあ。(笑)
何も買わずに庭園を散歩する。
クリスタル・ガラスの粒が飾り付けられたオブジェが、そこかしこに点在している。
光が当たるとキラキラしてとてもキレイ。
雪が残る地面も良い感じだね!

「箱根ガラスの森美術館」は、来館数が多い人気のスポットなんだね。
たまたま訪れたROCKHURRAHとSNAKEPIPEも楽しんだよ!
バス乗り場まで歩いてから、ガラスの森美術館正面の写真を撮り忘れたことに気付く。
慌てて撮ったのが一番上の画像。
手前のライオンが主役みたいだよね。(笑)

一泊二日の箱根旅行、存分に満喫したよ!
憧れのポーラ美術館にも行かれたし、温泉に入って癒やされたし。
素敵なプレゼントをしてくれたROCKHURRAH、ありがとう。(笑)
またどこか旅行に行こうね!