Tag Archives: SNAKEPIPE

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【愛聴していた一枚】

SNAKEPIPE WROTE: 

アジアやインドに興味を持ったのは、いつからだっただろうか。 
若い頃から雑貨などを好んでいたんだよね。
特にインドには憧れを持っていて、インドに関する書物も相当量読んだっけ。
誕生日が同じ藤原新也の「 印度放浪」も愛読書だったなあ!

社会人になってからも、話が合うのはインドを旅したことがある人だった。
実際、あのサイババにご対面された方もいるんだよね!
確かネックレスを貰ったと聞いている。
サイババに会うために列を作っているインド人達が、はるばる日本から来たなら、と前へ前へと譲ってくれたらしい。
自分たちも並んで順番待ちしているのに、なんて良い人たちなんでしょ!

大好きな画家・横尾忠則のように、 「君はもうインドに行っても良いようだ」と三島由紀夫から言われた劇的なエピソードは、当然ながらSNAKEPIPEは持ち合わせていない。
それどころかインドに足を踏み入れることもなく、今に至っている。
横尾忠則はインドに行ってから、劇的な変化を遂げたんだよね。
まるでビートルズがそうだったように。
インドという国には、思考や思想を変えるエネルギーがあるんだろう。
SNAKEPIPEもヨガとか精神世界に興味を持ったのは、インドへの憧憬からだったもんね。
その頃ほどの熱い情熱は持ち合わせていないけれど、やっぱり今でもインドと聞くと胸が踊るよ。

先日、ROCKHURRAHがYouTubeを視聴していた時のこと。
耳にした音楽に聞き覚えがあった。
でも知っているのは違うバージョンだったんだよね。
ここで思い出したのが、昔所持していたLPレコードだ。
SNAKEPIPEが聴いていたのはMONSOONというバンドが演奏していたもの。
てっきりそれがオリジナルだと思いこんでいたけれど
「ビートルズの有名な曲だよ」
と言われ唖然とする。
今までずっとMONSOONの曲だと信じていたからね!(笑)
ビートルズのファンなら誰でも知ってる曲のようで、お恥ずかしい限りだ。

「Tomorrow Never Knows」を最初に聴いたのがこのヴァージョンだから、こういう曲なんだと思ってしまうね。
そう、MONSOONのヴォーカルはインド系のイギリス人なんだよね。
名前はシーラ・チャンドラ。
インドの女性は、なんてキレイなんだろうとうっとりしていたっけ。(笑)

ROCKHURRAHは別の角度から、このバンドを知っていたという。
バックで演奏しているアーティストがマニアックな面々だったそうで。
特にお気に入りのビル・ネルソンがギターとベースで参加していたので、注目していたらしいよ。 
さすがにレコード屋はん、よう知ってはるわぁ。(急に関西弁)

ここでROCKHURRAHのちょこっとガイド!

ビル・ネルソンは70年代には先進的なバンド、ビー・バップ・デラックスを率いていたことで有名だけど、ニューウェイブの時代にはソロ・ミュージシャンとして活躍していた人。
彼のギターをリスペクトするバンドマンも多く、YMOのゲスト・ギタリストとして名前を記憶している人も多いのではないだろうか。
自身のレーベルも持っていて、プロデューサーとしてもスキッズやア・フロック・オブ・シーガルズなどを手がけていた。
「Tomorrow Never Knows」でキーボードを担当したデヴィッド・バルフはティアドロップ・エクスプローズのメンバーとしても知られている。
90年代にはイギリスのバンド、ブラーなどで有名なFOODレーベルを立ち上げて、多方面で活躍していた。
ドラムのメリックは、80年代に一世を風靡したアダム&ジ・アンツのメンバー。
本名のクリス・ヒューズ名義では、80年代ニューウェイブ系プロデューサーとして著名だった。
このようにそうそうたるメンバーがバックを固めていたとは、MONSOONへの期待度が高かったことが分かる。 

以上がROCKHURRAHが語った内容だよ!
ほお、そんなことだったとは。
教えてくれてありがとう。(笑) 

こちらがオリジナル、ビートルズのほうね。
サイケデリックな雰囲気がムンムン!
通常だったらこのバージョンを知ってから、MONSOONを聴くんだろうね。(笑)
歌詞を調べると、輪廻について言っている宗教的な内容なんだよね。
精神世界に傾倒していた時に知っていたら、SNAKEPIPEのテーマ曲になったかもしれないな!(笑)
そして今頃になってやっとケミカル・ブラザーズのお気に入りだった曲「Setting Sun」は、「Tomorrow Never Knows」が元ネタだったことに気付いたよ。
遅いって!(笑)

美しいシーラの動いているところも観たい!

手の長さに驚いてしまうね。
1982年だって。
今から、、、36年前になるんだね。
繰り返し聴いていた曲だけど、ビデオを観たのは初めてだよ!
この曲はイギリスのシングルチャートで12位を記録しているらしいので、ヒットしたんだね。

どうしてSNAKEPIPEがMONSOONのLPを購入したのかは覚えていない。
当時熱中していたエアチェック(古い!)で聴き、買うことにしたのか。
それともインドへの興味から、ジャケ買いしたのか?
どちらにしても、その選択は間違いなかったね!
今聴いても新鮮だと思うよ。

突然思い出したMONSOONなので、近況については全く知らなかった。
調べてみて驚いたのは、ボーカルのシーラ・チャンドラは2010年に「burning mouth syndrome」のため引退しているという。
訳してみると灼熱口症候群、Wikipediaには舌痛症と書いてあるね。
器質的な変化が認められないのに、舌に慢性的な痛みやしびれが生じる原因が解明されていない病気だという。
美しい歌声だったのに、もう歌っていないとは残念だね!

さてそろそろインドカレー食べようかな。
MONSOON聴きながらね!(笑)

20181007 top
【缶詰がアートになった有名な作品】

SNAKEPIPE WROTE:

子供の頃は魚が苦手だったSNAKEPIPE。
骨を取り出すのに苦労することと生臭さが理由だった。
そうは言っても寿司は好物だったし、例えば「さきいか」のような酒のつまみになるような食材は好んでいた。
骨が残っている状態での魚料理だけがダメだったのかもしれない。
単なるワガママか?(笑)

肉か魚か、と聞かれたら迷わず「肉!」と答えてきた。
ところが最近では脂っこい肉料理の後、具合が悪くなることがあるんだよね。
「こってり」したものが大好きだったのに、ぶ厚いステーキにも反応しなくなってきている。 
 あーあ、寄る年波には勝てないね。(笑)

こうなったら魚を美味しく食べよう!とレシピを検索するROCKHURRAH RECORDS。
和食としての魚だけではなく、洋風メニューが気になるんだよね!
もっとレパートリーを広げて、胃もたれしない料理を作りたい。
簡単で美味しくて、いつでも作れる魚料理ってあるのかな?
ツナやオイル・サーディンの缶詰を使うっていうのも手だよね!
よく海外の旅番組で、缶詰専門のお店が紹介されているのを見る。
お土産にしても良さそうな素敵なデザインがいっぱいあるんだよね。
今回の「ROCKHURRAH紋章学」は缶のパッケージ・デザインについて書いていこうかな!
オシャレなデザイン、たくさんあるんだよね。

最初に紹介するのはポルトガルのデザイン・スタジオ、Nósnalinhaによるもの。
SNAKEPIPEの好みよりは、少しファンシーだけど魚を擬人化するセンスは好きだな。
このお魚ちゃんは女の子みたいだけど、魚別でパッケージのバージョンが違うんだよね。
地域の象徴的なイメージやキャラクターの一部と一致させる魚を選んだ結果、とは缶詰メーカーであるRiscosの発言。
この子は「sardinha」なのでイワシなんだね。
女の子だからイワシ子ちゃんかな。(笑)

色が鮮やかなパッケージだけど、これもイワシの缶詰なんだよね。
赤と黄色で、かなり派手めで目を引くよ。
「AYAM BRAND」と書かれているので、マレー語圏のメーカーだということがわかる。
2007年というと今から11年前の記事「SNAKEPIPEの写真歴」に書いたことがあるけれど、SNAKEPIPEはジャワ島が好きで毎年のように旅行していたんだよね。
そのおかげでインドネシア語を含むマレー語が、多少わかるんだよ。
ちなみに「AYAM」は鶏のこと。
日本だったら金鳥、みたいなものか? (笑)
デザインしたのはマレーシアはクアラルンプールで活動しているRoyce Tee
今までマレーシアのデザイナーに触れたことはなかったかも?
アジアのデザインも注目だね!

最近、電車のトラブル多いんだよね。
ちょっとしたことですぐに電車が止まるから、ストレスの元だよ。
バスだったらどんなに楽だろうね!
おや?このバスは満員で混雑しているようだね?
よく見ると乗車しているのはお魚たち!
TATOO入れてにらみきかせてる輩もいるね。(笑)
ギューギューに詰め込まれている様子を表したという。
このデザインはロシアのBrandiziac Agencyによるもの。
ロシアときいて少し驚いてしまったSNAKEPIPE。
ユーモアがあるし、アメコミみたいな雰囲気だからね。
ナンバープレートをバーコードにして、リアウィンドウに品質表示を記載するとは、おぬしなかなかやるな!(笑)

次は、イタリアのデザイン・スタジオである nju:comunicazioneの作品を紹介してみよう。
英語だったらニューコミュニケーション、になるのかな?
イタリアときいて納得してしまう鮮やかさだよ。
こんなにカラフルな缶だったら、とっておきたくなるよね。
スーパーに並んでいたら手に取ること間違いなし!
全色揃えたら何に使おうか?
考えるだけでワクワクしちゃうよね!

同じデザイン・スタジオからもう一点紹介させてもらおう。
黒をベースにした缶詰って見たことないよ。
そこに赤と金のひょうたんみたいな形。
もしかしたら中は豆なのかもしれないね。
このパッケージも素晴らしいよね。
ちょっと和風な雰囲気もあるので、このデザインでお皿も良さそう。
イタリア、さすがにオシャレだね!

これも欲しくなる逸品! 
2016年のPENTAWARDで金賞を受賞しているデザインなんだよね。
ペントアワードとは「あらゆる形態のパッケージデザインに特化した世界で最も権威のあるコンペティション」とのこと。
ここで受賞するというのはデザイン業界で世界的に認められるってことになるんだね。
これはオランダのAnthemというスタジオの作品なんだけど、世界各国に事務所があるんだよね。
日本では品川区大崎にあるみたい。

この美しいフォルム!
尾ヒレをつけただけなのに、きっと今まで誰も考えてなかったんだよね。
きれいに洗って、小物入れにしたいな!(笑)

中に何が入っているのか謎の缶詰。
デザイナーはAlexander Ilinykhというロシア人。
当然のように書いてあるのはロシア語だね。(笑)
コンセプトはロシア軍のための缶詰らしいので、非常食っぽい内容なのかもしれないよ。
このデザイン、缶詰だけにするのもったいないなあ。
このまま持ち手つけて、マグカップにしても良さそう!
提案したくなっちゃうね。(笑)
WEBには売り込みのためにデザインを載せるようなサイトもあるので、これが実際に軍に納入されているのかは不明!
ロシア軍専用の本物だったら嬉しいな。(笑)

最後は番外編を紹介してみよう。
またオイルサーディンのオシャレな缶だと思っていたSNAKEPIPE。
色合いが美しいし、まるでコンビーフの缶みたいにクルクル丸めながら開けていく過程もユニークなデザイン。
中には魚の絵が描かれた内蓋があると思っていたら…。
なんとこれはヘミングウェイの代表作「老人と海」の絵本だったのね!
このパッケージから本が出てくるとは奇想天外!前代未聞!空前絶後!(大げさ)
デザインしたのはアメリカのグラフィックデザイナー、nina cornelison
どうやら学校の課題で、書籍の限定版をデザインしたということらしい。
ここまでキレイに作られていて、実際に販売はされていないのかな?
ヘミングウェイのファンじゃなくても、プレゼントされたら嬉しい逸品だよね!

缶パッケージもオシャレなデザインがいっぱいだったね。
次はどんなワクワクに出会えるのか、今から楽しみだよ!

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【ブレやボケで偶然を利用したシュールな作品が魅力】

SNAKEPIPE WROTE:

2週連続して「映画の殿」を書いてしまったのにもかかわらず、今週も横溝正史シリーズを計画していたSNAKEPIPE。
今も「こんしゅう」の「こ」と入力しただけで「コンタッチ」と変換されてしまうほどだもんね。(笑)
市川崑監督についての記事はまた次回以降にすることにして、久しぶりに「SNAKEPIPE MUSEUM」にしよう!
どんなアーティストに巡り会えるのか、ワクワクしながら検索を開始。
ラッキーなことに、今回も出会えたんだよね!(笑)

アーティストの名前はFrancesca Woodman、素直にフランチェスカ・ウッドマンと読めるね。(笑)
前回の「SNAKEPIPE MUSEUM」同様、またもや女流写真家になってしまったよ。
フランチェスカは1958年アメリカのコロラド州デンバーの芸術家一家に生まれた。
デンバーと聞くとどうしてもジョン・デンバーを連想してしまい、頭の中に「カントリー・ロード」が鳴ってしまうのはSNAKEPIPEだけだろうか?

父親のジョージは画家・写真家であり美術大学の講師をやっていて、母親のベティは陶芸家だという。
ちなみに兄のチャールズも電子アート(?)の准教授になっているというから、まさに芸術一家!
フランチェスカは13歳で写真を始め、その時からずっとセルフ・ポートレートを撮っている。
左の画像もセルフ・ポートレートね。
1979年に一家はニューヨークに移住。
その頃からポートフォリオをファッション写真家に送り、売り込みを始めるが結果は芳しくなく、自殺未遂。
そして翌年投身自殺。
国立芸術基金からの資金援助の申請失敗に関連していると見られている。
享年22歳とは早過ぎる死だよね。

フランチェスカについて調べてから写真を観ると、心の闇を表現しているように感じてしまうね。 
泥がひび割れてしまった荒廃した地面に横たわる女体。
複雑なフォルムのせいで、どんなポーズをしているのかよく分からないよ。
体の上下が不明なので、不思議な生物のようにも見えてくる。
もしくは打ち捨てられた屍のような。
フランチェスカはモデルを使った作品も撮っているので、この写真がセルフなのかどうか分からないよね。
もしモデルだったとしたら、泥だらけになって大変だっただろうなあ。

これはモデルを撮影している作品だね。
非常に痛々しいんだけど、表情は苦しそうではないよ。
むしろ満足気に見えてしまうので、本人の希望で刺しているような?
もしくは惨死体をイメージしているのかもしれない。
こんな作品を制作していたフランチェスカは、かなりのダーク好きだよね。
まだフォトショップなどで加工ができない時代に、どんな仕掛けで撮影したんだろう。
手にしているのは瓶詰めのようだけど、中に何が入っているのか興味あるよ。
まさか「地獄」じゃないよね?(夢野久作!)

これも不思議に見える写真。
「エクトプラズムみたいだね」
とROCKHURRAHが言う。
エクトプラズムとは「霊の姿を物質化、視覚化させたりする際に関与するとされる半物質、または、ある種のエネルギー状態のもの(Wikipediaより)」とのことで、煙にように見えるらしい。
2018年4月に行った「マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン 鑑賞」でも、マイク・ケリーが白目を剥いて鼻や口から煙(実際には綿)を出してる写真があったっけ。
超常現象のように見えるこの作品も不気味だよね。

フランチェスカがイメージしていた世界観はよく分かるなあ。
きっと現像して焼き付けるまで、ドキドキ・ワクワクしてただろうな。
もちろんフィルムならではの失敗はたくさんあるんだけど、見た通りに写っているか不安になったり、偶然のおかげでより面白くなっていた「棚ぼた」的な写真の発見が楽しかったからね。
デジカメ以降、この感覚が消滅してしまったのが残念なんだよね。
左はドアが宙に浮いているように見える不思議な作品。
スクエアの画面にバッチリの構図!
レコードジャケットにしたら似合いそうな作品だよね。
ダリの作品の一部を切り取ったようにも見えてくる。

大きな法螺貝に呼応するような女性の髪型。
壁の影の形も気になるよ。
一体どんな夢を見るんだろうね?
右の作品を、どこかで観たような気がしてきた。
記憶を探り、思い出したのがマン・レイだった。 
フランチェスカはシュールレアリズムが好きだったんだろうね。
こっちがマン・レイの作品。
目を閉じた女性がテーブルに頭を乗せているポーズや、小道具を使用するところなど似ているように思ったよ。
マン・レイの作品は、今観ても斬新でカッコ良いものばかり!
影響受けるのも納得だよね。

SNAKEPIPEは検索して初めて知ったフランチェスカだけれど、死後多くの写真集が刊行されたり写真展が開催されているようだ。
亡くなってから評価されるというのはよく聞く話だけど、実際のところフランチェスカが精力的に活動していた時には全く何の賛辞もなかったのかな?
1970年代後半から1980年初頭に、これらの写真を観たとしても、SNAKEPIPEだったら反応しただろうなあ。
フランチェスカの早まった決断が残念でならないね。

もしフランチェスカが生きていたら、今年が還暦。
セルフポートレートでのヌードはないかもしれないけど、どんな写真を撮っていたのか想像してしまうね。
デヴィッド・リンチも工場みたいな無機的な場所をバックに、フランチェスカみたいなブレたヌード写真撮っている。
左の画像がリンチの作品だけど、雰囲気似てるよね?
結局SNAKEPIPEの好みってことなんだろうね。(笑)

早逝したアーティストというのは、神格化されたり伝説になることが多いよね。
フランチェスカもその例に漏れず、今でもファンを獲得している女流写真家だね。
自殺した女流写真家といえば、真っ先に思い出すのがダイアン・アーバスかな。
ダイアン・アーバスもニューヨーク在住だったっけ。
モノクロームの世界に魅せられ、理由は違うけれど同じ運命を辿った2人の女流写真家。
もしかしたらSNAKEPIPEが知らないだけで、3人目がいるのかもしれない。
そしてきっとまたその写真家の作品にも感銘を受けるだろうな、と思う。

20180923 top
【フランス人をも魅了した美人女優、岸恵子】

SNAKEPIPE WROTE:

市川崑監督作品「横溝正史シリーズ」の第2弾!
今回は「悪魔の手毬唄」について書いていこう。

「悪魔の手毬唄」は1957年から1959年にかけて雑誌「宝石」に連載されていた横溝正史の小説である。
映画化されたのは1977年。
市川崑監督が横溝正史作品を手がけた第2作目になるんだね。
※ネタバレしていますので、未鑑賞の方はご注意ください
まずはトレイラーを載せておこう。

簡単なあらすじはこちら。(Amazonより)

古い因習が息づく鬼首村(おにこべむら)で、村に伝わる手毬唄をなぞらえた殺人事件が次々に起こる。
事件解決を要請されて駆けつけた金田一は、手毬唄の謎を解こうと奔走する。

「犬神家の一族」に続き、金田一耕助を演じるのは石坂浩二。
ぼさぼさ頭で、髪をかきむしると大量のフケが落ちるのがお約束なんだけど、「悪魔の手毬唄」では入浴シーンがあるんだよね。
お風呂に入ってもシャンプーはしないってことかな?(笑)
「悪魔の手毬唄」では以前からの知り合いである岡山県警の磯川警部に調査を依頼され、鬼首村にやってくるのである。
この村の名前からしてすでに禍々しいもんね。

金田一耕助に調査を依頼した磯川警部を演じたのは若山富三郎。
20年間も粘り強く未解決の事件を追っているんだよね。
SNAKEPIPEは勝新太郎と若山富三郎の区別がつかない時があって、今回も間違えそうになっていたよ。(笑)
あまり邦画を観ないせいもあるけれど、若山富三郎が出演した作品の記憶がないんだよね。
「悪魔の手毬唄」では、警部役が似合っていたよ。
Wikipediaで出演作品一覧をみると、時代劇かヤクザ映画が多いみたいだけど、人情味のある穏やかな今回の役はとても良かったよ。
もっとこんな役があったら、若山富三郎の代表作が違っていたかもしれないよね?
あまり知らないで書いてるので、間違っていたらごめんなさい。

金田一耕助が逗留した宿の女将リカ役の岸恵子。
岡山の僻村に、こんな女将がいたら大事件だよ!
1932年生まれの岸恵子、この映画の時45歳なのかな。
驚くほどの美しさに惚れ惚れしちゃうね。
昭和の時代の女優さんってキレイな人多いよ。
ちょっとおっちょこちょいな女、という役柄も合っていたね。
リカには一男一女の子供がいるんだよね。

「犬神家の一族」では元ジャニーズのあおい輝彦が重要な役を演じていたよね。
市川崑監督2作目でリカの長男を演じたのは、ある程度の年齢の人なら知ってるフォーリーブスの北公次。
ジャニーズ事務所所属タレントとしては、かなり古株だからね。
ちなみに画像左にいるのは大和田獏ね。若い!(笑)
映画というのは、ある程度の宣伝効果も考えてキャスティングされるだろうけど、この時期のフォーリーブスの人気は下降気味だったみたいね。
役者として活躍していく、というところまでいかなかったのは、この演技を見ると納得かも。
最近のジャニーズ事務所所属タレントは、歌も踊りも演技も得意だからね。
器用さがないと芸能界では生き残れないんだろうなあ。

リカの長女、里子。
生まれつき体の半身に痣があり、人目を避けるため蔵に住んでいる。
鬼首村にいわくつきで生まれた女、というだけで小説やホラー映画の題材になるよね。
あまりセリフもなく、頭を頭巾でくるむ登場が多かったし、あんなことになってしまうので、ずっと不幸なままの里子だったよ。
演じていたのは永島暎子。
出演作品を調べてみたけど、ほとんど知らないものばかり。
邦画もドラマも、あまり知らないからねえ。

里子には3人の幼馴染がいるんだよね。
それぞれ屋号を持った家に生まれた女の子達が、仲良く遊んだ記憶の映像化が怖かった!
少女達が毬をついているだけのシーンなんだけど。
人形なのか人間なのか判別できなかったんだよね。
日本人形というのが、愛らしさよりも怪談で語られることが多いせいかな。
かなり不気味で、SNAKEPIPEは殺人現場よりも恐ろしく感じたよ。

金田一耕助に手毬唄を聞かせたい、と由良家の隠居である五百子が手毬唄を歌いながら毬をつくシーンも怖いんだよ。
演じているのは原ひさ子。
おばあちゃん役でしか観たことがないような?
腰が曲がっているので、畳と毬との距離は30cmもないみたい。
かぼそい声で歌うのが鬼首村手毬唄。

うちの裏のせんざいに
すずめが三匹とまって
一羽のすずめのいうことにゃ
おらが在所の陣屋の殿様
狩り好き酒好き女好き
わけて好きなが女でござる
女たれがよい枡屋の娘
枡屋器量よしじゃがうわばみ娘
枡ではかって漏斗で飲んで
日がないちにち酒浸り
それでも足らぬとて返された
返された

二番目のすずめのいうことにゃ
おらが在所の陣屋の殿様
狩り好き酒好き女好き
わけて好きなが女でござる
女たれがよい秤屋の娘
秤屋器量よしじゃが爪長娘
大判小判を秤にかけて
日なし勘定に夜も日もくらし
寝るまもないとて返された
返された 

桝屋こと由良家の泰子が最初の犠牲者、 秤屋こと二礼家の文子が2番目に殺害される。
手毬唄通りに演出された現場は、芸術的ともいえるよね。
そして手毬唄3番で錠前屋の娘が「返される」ことになっている。
「返される」とは「始末される」ってことね。
錠前屋こと別所家の千恵を演じたのは仁科明子。
ところが別所知恵は生き残る。
別人が「返され」てしまったんだよね。 

里子の幼馴染3人の母親達は、脇役ながら大女優が揃っていたよ。
左から白石加代子、渡辺美佐子、草笛光子ね。
草笛光子は「犬神家の一族」では三姉妹の三女で登場していたけれど、今回は少し足を引きずって歩く由良家の嫁だったよ。
以降の横溝正史シリーズでは必ず出演しているんだよね。
白石加代子は、なんともいえない迫力がある女優で、初めて観た時は驚いたよ。
ドロドロした日本土着の風習や因縁めいた話を語らせたら、右に出る者はいないんじゃないかという雰囲気がある。
なんといっても顔が怖い!
脇役でも強い印象を残すんだよね。
渡辺美佐子はSNAKEPIPEにとっては「ムー」のおかみさんなんだよね。(笑)
優しいおかみさんのイメージだから、横溝正史シリーズに出演している事自体に違和感があるよ。
そんな感想を持つのは少数かもしれないけどね?

「犬神家の一族」で存在感を示していた加藤武が、再び岡山県警の主任として登場!
勝手な推理で犯人を特定し、
「よーしわかった!」
と手を叩くポーズと粉薬を口から吐き出しながら喋るシーンは、シリーズ全編を通して見ることができるよ。
「いつでるか」
と期待して待ってしまうんだよね。(笑)
加藤武の後ろにいるのは岡本信人ね。若い!

「いつでるか」と期待して待ってしまう俳優は他にもいる。
三木のり平と沼田カズ子である。
今回の三木のり平は元活弁士という役どころ。
沼田カズ子は前回同様、無愛想な妻役である。
昔を懐かしがって当時の思い出を語り続ける三木のり平に対して、ぶっきらぼうながら金田一耕助の手助けをするカズ子。
この2人、名コンビだなあ!
毎回楽しみにしちゃうよ。(笑)

事件解決のヒントが鏡に写ったみかんというのが面白かったよ。
相変わらず、相手に不審がられないちょっと間延びしたような口調で、必要な情報を集めていく金田一耕助。
強烈な事件現場とは対照的に、安心感や時に笑いをもたらす金田一耕助の存在を象徴するようなシーンだったね。

コン・タッチは当然のように「悪魔の手毬唄」でも健在だよ。 
唐突に右のようなコンマ何秒かの映像が挟み込まれる。
思考する金田一耕助を表していると思うんだけど、この短い映像があるのとないのとでは全然印象が違うだろうね。
Wikipediaによれば、市川崑監督というのは非常に感覚的な人だったらしい。
こういうアイデアも突発的に浮かんで採用したんだろうね。
オープニングのクレジットにおけるタイポグラフィは真似て使った人がいるけれど、映像はどうだったんだろうね。
影響受けて、コン・タッチを真似た監督いたのかな?

「悪魔の手毬唄」には、上に書いてきたように記憶に残るシーンはたくさんあるけれど、このシーンが最強かな。
夕暮れ時の峠で、金田一耕助は腰が曲がった老婆に出会う。
「おりんでござりやす。かわいがってやってつかあさい」
ぶつぶつ喋りながら通り過ぎて行く、あの場面ね!
全体的に色調が暗めの「悪魔の手毬唄」だけど、夕暮れ時だから更に暗くて、左の画像でもほとんどシルエットにしかみえないよね。
いつかこんな峠を歩くことがあったら、「おりんごっこ」してみたいよね。(笑)
たまたま知ったけど、どうやら岡山県倉敷市に「おりん像」が建っているとのこと!
このシーンがいかに強い印象を残したのか、わかるエピソードだよね。

「犬神家の一族」に続いて制作された「悪魔の手毬唄」も、石坂浩二が主演だったため、金田一耕助像が「あの姿」で定着したよね。
他の俳優が演じた場合には、石坂浩二版金田一を踏襲してるからね。
脇を固める加藤武や大滝秀治といった俳優も、毎回出演することが決定的になったのがこの2作目だろうね。
40年以上前の作品なのに、改めて鑑賞しても展開にハラハラしながら引き込まれるよ!
市川崑監督の横溝正史シリーズは制作順に特集するので、次回は「獄門島」だね。
どうぞお楽しみに!(笑)