MONDO 映画ポスターアートの最前線 鑑賞

20220130 top
【国立映画アーカイブの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHから誘われたのは、国立映画アーカイブで開催されている「MONDO 映画ポスターアートの最前線」という企画展の鑑賞だった。
国立で映画を扱っている施設といえば「国立フィルムセンター」があったはずだけど?
調べてみると2018年に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」になったそうで。 
ニューヨークのMOMAで、例えばカルト映画「ピンク・フラミンゴ」が永久保存されたことが話題になったりするように、日本にも邦画を保存する国立の組織があるってことなんだね。
検索してみると「薔薇の葬列(松本俊夫監督 1969年)」も所蔵されていたよ!(笑)
あまり行った記憶がない国立フィルムセンター、じゃなかった国立映画アーカイブは、チケット予約の必要もないそうなので、天気の良い日に出かけることにしたのである。

銀座線の京橋駅より徒歩1分という、方向音痴にも優しい立地にある国立映画アーカイブ。
ほとんどのお客さんの目当ては映画の鑑賞だろうね。
今回は香港映画を上映していて、チケットは予約が必要だったみたい。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの目当ては企画展の「MONDO 映画ポスターアートの最前線」で、常設展「日本映画の歴史」も鑑賞できるという。
他のお客さんはほんの数名だったので、ゆっくり鑑賞できそう!(笑)
写真撮影もオッケーだったので、たくさん撮ってきたよ。
感想をまとめていこうか。

まずは「日本映画の歴史」から観ていこう。 
1919年の映画「カチューシャ」のポスターや当時活躍していた役者のスナップ写真などが展示されている。
中でも目を引いたのは「丹下左膳」のポスターだよ。
主演の大河内傳次郎の顔をアップで描く手法は、いわゆる浮世絵の大首絵と同じだよね。
「ウエスタン式時代劇」というコピーも気になるし。(笑)
そして驚くのは、フォントの素晴らしさ!
1933年の映画とのことなので、時代はアール・デコ後半といったところか。
浮世絵とアール・デコのミクスチャーと言っても過言ではないかも。
このポスター制作したのは、一体誰なんだろうね。

1953年に初号機が完成した、コニカラー・システムというコニカミノルタ製の撮影機材がこれ。
なんともレトロな佇まい、手書きのように見える商品名が良い味出してるよね!
ほんの5、6年ほどしか出回らなかったらしいけど、オブジェとしても良い感じ。
映写機などの展示もあって、映画の人気が高まっていたことがわかるよね!
他に注目したのが荻野茂二監督が手がけた実験映像「AN EXPRESSION(表現)」や「色彩漫画の出来る迄」で、思わず見入ってしまった。
映像が載せられないのが残念だよ!

順路に従って歩いていくと、「MONDO 映画ポスターアートの最前線」に続いていた。
71点ものポスターが所狭しと展示されている。
これは米国テキサス州オースティンを本拠地として活動している「MONDO」による作品群とのこと。
「MONDO」はデザイナーやイラストレーターに映画ポスターを描いてもらい、オースティンにあるギャラリーで展示を行っているという。
ポスターはオンライン・ショップで購入できて、$50から$55、5,700円から6,300円くらいなので、手が出せない金額ではないよ。
ポスターは全てシルクスクリーン印刷のため数量限定だというから、余計にマニアにはたまらないかもね?
それでは気になった作品を紹介していこう!

悪魔のいけにえ(原題:The Texas Chain Saw Massacre 1974年)」はトビー・フーパー監督作品で、ホラー映画好きのROCKHURRAH推奨の一本だよ。
 ほとんどホラー映画を観たことがなかったSNAKEPIPEもお勧めされて一緒に鑑賞したっけ。
怪奇現象や霊が出てくるようなホラー映画とは違い、リアリティのある恐ろしさ!
ポスターは、そんな人間の怖さを表しているよね。 
ポスターを描いたのはジェフ・プロクターだって。
このTシャツあったら、きっとROCKHURRAHは購入したに違いないよ。(笑)

ジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X(原題:The Thing 1982年)」を描いたポスター。
この映画もROCKHURRAHにお勧めされて鑑賞したSNAKEPIPE。
とても怖かったよ!
2011年に公開された「ファーストコンタクト」も観たはずだけど、 あまり記憶にない。(笑)
とてもホラー映画のポスターには見えない南極観測所の静寂を描いたのは、ジェイソン・エドミストン。
カナダ在住のアーティストだって。 

2011年8月に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #11 Tomer Hanuka」で取り上げたトマー・ハヌカの名前を目にして嬉しかった。
美しい色彩と構図に魅了され、10年以上前からファンになったアーティストだからね!
アニメ映画「戦場でワルツを(原題:Waltz with Bashir 2008年)」の映像美も印象に残っているよ。
今回の展覧会では、トマー・ハヌカの作品2点を鑑賞することができた。
1つはヒッチコック監督の「サイコ(原題:Psycho 1960年)」。
ヒロインの、あの有名なシャワー・シーン後を描いていてナイスだよ!

もう1点はニコラス・ローグ監督の「地球に落ちてきた男(原題:The Man Who Fell to Earth 1976年)」。
デヴィッド・ボウイ主演の映画だということは知っているけれど、なんと未鑑賞!
そのためポスターの意味が分からなくてごめんなさい。(笑)
ROCKHURRAHは観たことがあるらしいけれど、昔のことなので内容を忘れてしまったとか。
トマー・ハヌカらしい中間色を使用していて、美しいポスターだよね!

レポマン(原題:Repo Man 1984年)」はアレックス・コックスのデビュー作だったね。
主演だったエミリオ・エステベスの名前も懐かしいけれど、最も強く記憶に残っているのはオープニング・シーン。
この場面をパクっていたのが、大昔放映されていた深夜番組「FM-TV」だったことを思い出す。
あの番組大好きだったんだよね。(笑)
「レポマン」のオープニングを使用してモヒカンにしちゃったポスター、秀逸だよ!
描いたのはジェイ・ショーという「MONDO」の初期から携わっているアーティストだって。

カリガリ博士(原題:Das Cabinet des Doktor Caligari 1920年)」を観たのは大昔のことなので、あまりよく覚えていないよ。
丸尾末広がカリガリ博士を題材にしていたのを観たことがあるけれど、ベッキー・クルーナン版のポスターも素晴らしい!
黒い線が特徴的で、構図の大胆さや色味の少なさが効果的なんだよね。
遠目からでも注目されるポスターだと思うよ。

最後に紹介するのはキューブリック監督の「時計じかけのオレンジ(原題:A Clockwork Orange 1971年)」だよ!
SNAKEPIPEだったら、好きな映画ベスト10にこの映画をチョイスするかも。
この映画のポスターだったら、主人公のアレックスを描く場合が多いんじゃないかな。
ロリー・カーツは「コロヴァ・ミルク・バー」のオブジェをアップで描いているよ。
2008年8月の「好き好きアーツ!#04 スタンリー・キューブリック」で、「あのマネキン人形も一体欲しい」と書いているSNAKEPIPE。(笑)
また「時計じかけのオレンジ」が観たくなったよ!
 
公開当時に発表されたポスターも面白いけれど、現役で活躍しているアーティストによるオマージュとしてのポスターも見事だったね。
自分が好きな映画が、違う視点からポスターになっているのは刺激的!
敬愛するデヴィッド・リンチのポスターが展示されていなかったのが少し残念だったかな。(笑) 
鑑賞できて良かった展覧会だったよ! 

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