Chim↑Pom展:ハッピースプリング 鑑賞

20220327 top
【Chim↑Pom展入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

友人Mから「観に行きたい」と誘われたのは、森美術館で開催されている「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」だった。
森美術館は興味深い企画が多いので、できるだけ鑑賞するようにしているんだよね。
Chim↑Pomについては会田誠と何か関係がある人達、という程度の知識しかないSNAKEPIPE。
友人Mも殆ど知らないというので、行ってみることにした。

帰宅後調べたChim↑Pomの経歴について書いておこうかな。
まずは読み方から!
「チンポム」で良いみたいだけど、人前では言いづらいかもね?(笑) 

2005 東京で結成 
会田誠のサンフランシスコでの個展開催時に会場の一部で作品を展示し、アート界にデビュー
2008 被爆地である広島市の上空に、飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いたことが問題となる
2010 河出書房新社より初作品集が出版 
「Asia Art Award」のファイナリストが発表され、日本代表に選出される
国際美術展サンパウロ・ビエンナーレに参加
2011 渋谷駅構内に設置されたパブリックアートである岡本太郎の壁画「明日の神話」へ絵を付け足したことが問題になる
2015 アーティストランスペース「Garter」を東京、高円寺にオープン
東京電力福島第一原子力発電所事故による帰還困難区域内で、封鎖が解除されるまで“観に行くことができない”国際展「Don’t Follow the Wind」の発案と立ち上げを行い、作家としても参加

年表でみる限りでは、かなりのお騒がせ集団みたいだよね。
森美術館の宣伝文句にも「日本で最もラディカルなアーティスト・コレクティブ」と書いてあるし。
どんな作品が並んでいるのか、早速会場に入ってみよう! 

入り口横に「くらいんぐみゅーじあむ」と書かれた壁がある。
どうやらこれは「子供がいるために美術館に来ることが困難な人」のために、美術館内に託児所を設ける企画らしい。
クラウドファンディングで寄付を募り、託児所を運営するというもの。
客入りが多いであろう、金土日の10時から15時まで開設するんだとか。
確かに子連れの方は周りに気を使うだろうし、周りのお客さんも静かな環境で鑑賞できたほうが良いはず。
「くらいんぐみゅーじあむ」がどんな感じだったのかは見に行かなかったので不明だけど、今後の美術館運営のヒントになるかもね。

会場に入ると、そこは鉄パイプなどが張り巡らされた異様な光景だった。
節電のためではないだろうけど、照明が落とされて暗い。
展示物があっても、作品タイトルなどは非常に見づらいよ。
そのためChim↑Pomの作品を初めて観るSNAKEPIPEにとっては、「?」な展示が並ぶことになる。
画像は崩壊したビルの模型なんだよね。
ここらへんの雰囲気は、2018年に鑑賞した会田誠の「GROUND NO PLAN」みたいだったよ。

会場で鑑賞していた時には、意味不明のまま撮影した画像がこれ。 
帰宅してから調べて、これは「酔いどれパンデミック」というパフォーマンスのワン・シーンだったことが分かった。
英国マンチェスターのヴィクトリア駅では、19世紀のコレラ流行時に感染・罹患して亡くなった人々が埋葬されたという。
そうした歴史を持つ地下の廃墟でオリジナルのビール「A Drop of Pandemic(パンデミックの一滴)」を醸造し、移動型公衆トイレを改装したパブで一般の人々に販売・提供するというパフォーマンス・アートだったみたい。
貧富の差や差別問題に焦点を当てた行為のようだけど、説明受けないとわからないなあ。

「ゴールド・エクスペリエンス」という展示の中での撮影だよ。
外から見ると、黒くて丸い物体なんだよね。
コロナの影響で順番に並び、連れ同士でしか内部には入れなかった。
一組終わると、その都度消毒してもらい、次の組が入れるようになっていたよ。
美術館の方も大変だよね。
友人Mと2人だけで丸い物体の中に入ると、足元は柔らかい厚手のクッションみたいな感じで、ゆらゆら揺れるの。
天井を見上げると、テントの中心から光が差しているように見えたよ。
普段はゴミを捨てる側の人間が、この作品では袋の中に入れられたゴミそのものになってしまうという設定の企画のようで。
Chim↑Pomの作品は難しいねえ。

「わっ、すごい」と声が出たのが夥しい数の千羽鶴を盛った「パビリオン」という作品。
平和の願いを込めた千羽鶴が毎年送られて、その保管に困っていたという広島市から借用して作品にしたという。
年表に広島の空に「ピカッ」という文字を書いて謝罪したとあるけれど、広島市とは友好な関係を築いているようだね。
こんもりと盛り上がった千羽鶴の内部に入れる構造になっていて、周囲を千羽鶴で囲まれる不思議な体験ができたよ。
これほど大量の平和への願いを目の当たりにするのは、念の集合体のように感じられて怖いくらいだった。
半透明の巨大なガラスに入った千羽鶴も展示されていて、人々の想念が流れ出ないように箱詰めしたように感じたよ。

Chim↑Pomにはエリィという紅一点が参加している。
そのエリィの結婚式を路上で行った時の様子を作品にしているらしい。
式自体が「LOVE IS OVER」というパフォーマンスだったようで、検索すると篠山紀信が撮影した画像などが出てくるよ。
デモ申請をして、新大久保から歌舞伎町までを警察官に見守れながら行進したという。
撮影した写真を等身大に引き伸ばし、一人一人切り抜いて展示したんだね。
これも調べてから分かった情報なので、会場では面白い展示としか分からなかったよ。

Chim↑Pomは自費でカンボジアを訪れ、地雷爆破と寄付を募るプロジェクトを行ったという。
その際、メンバーであるエリィに見立てた石膏像や私物を地雷で爆破し、日本に持ち帰ったのがこれ。
私物などの爆破された物をオークションにかけ、販売金210万円をカンボジアに寄付したんだとか。
アートとも慈善事業とも言える行為になりそうだよね。
森美術館の説明によれば、先進国と発展途上国との経済格差の問題や、美術と資本主義との密接な関係性について問いかけるもの、とのこと。
やっぱり難しいなあ。(笑)

 Chim↑Pomの作品はメッセージ性の強いパフォーマンス・アートというジャンルになるのかな。
発信を正確に受け取る必要があり、上述したように知識を持たないまま鑑賞しても理解できない場合が多くなってしまうかも。
今回の展覧会では、SNAKEPIPEは恐らく半分以下の理解しかできていなかったかもしれないよ。
以前より何度か書いているように、観た瞬間に「好き!」と感じるのがアート鑑賞の醍醐味だと思っているので、Chim↑Pomは得意なジャンルではないアートということになりそうだね。(笑)
ただ、そういう感想も鑑賞したから言えるので、行って良かった展覧会だったよ! 

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