映画の殿 第13号 ジェイコブス・ラダー

【ジェイコブの悪夢はいつ消えるのだろうか?】

SNAKEPIPE WROTE:

「ベーコンさんっぽい映像の映画があるの、知ってる?」
と食事をしている時に長年来の友人Mが聞く。
友人Mは何故だかいつでもフランシス・ベーコンのことをベーコンさん、とまるで知人のように話す。
ベーコンっぽい映像の映画って何だろう?
教えてもらったのが、「ジェイコブス・ラダー」(原題:Jacob’s Ladder 1990年)だった。
25年も前の映画とは!
ベーコンっぽい映像だったら興味を持っていて不思議じゃないのに、どうして当時観ていなかったんだろう?
その頃はパソコンも持っていなかったから、今のように簡単にインターネットで情報を得ることはできなかったのも要因かもしれないね?

簡単にあらすじを書いてみようかな。

ニューヨークの郵便局員であるジェイコブは最近夢と現実の区別がつかなくなるほど奇妙な出来事に遭遇していた。
疾走する地下鉄に乗る得体の知れない人々。
掛かりつけの医者の死亡。
自分を轢き殺そうとした車に乗る異様な人物。
そしてベトナムの悪夢や幻覚までもが見え始める。
そんな時、ベトナム時代の戦友から電話がかかってくる……。

悪夢、奇妙、異様、幻覚という魅惑的な単語が並んでいるよね!(笑)
フランシス・ベーコンっぽい映像ってことは、敬愛する映画監督であるデヴィッド・リンチっぽい映画と言い換えても良いと思う。
リンチの雰囲気を表すのに最適な単語が上の4つに集約されていると言っても過言ではないはず!(笑)
これは期待しちゃうよね!

「ジェイコブス・ラダー」の監督はエイドリアン・ライン
ほとんど聞いたことないなあ?と調べてみると「フラッシュ・ダンス」「危険な情事」「ナインハーフ」と1980年代話題になった映画がズラリと並んでいる!
ヒットメーカーと言えるけど、 リンチっぽい映像かと問われたら「?」になってしまうよね?

主役は「ショーシャンクの空に」や「ザ・プレイヤー」でお馴染みのティム・ロビンス
タイトルにあるジェイコブという名前の役である。
大ファンのスペイン人俳優ハビエル・カマラ目当てで観た「あなたになら言える秘密のこと」にも出演していたっけ。
「ジェイコブス・ラダー」では30歳くらいの、若いティム・ロビンスを観ることができるね。
とは言ってもかなり童顔なので、とても3人の子供がいる父親には見えなかったけどね。(笑)

ちなみに「ジェイコブス・ラダー」とは「ヤコブの梯子」のこと。
旧約聖書の創世記28章12節でヤコブが夢に見た、天使が上り下りしている天から地まで至る梯子あるいは階段のことを指すらしい。
左の画像はウィリアム・ブレイクの作品「Jacob’s Dream」(1805年)である。
ヤコブは天国に上る階段の夢を見て、自分の子孫が偉大な民族になるという神の約束を受ける、ということになっているらしいよ。
毎日のように夢をみるSNAKEPIPEも梯子の夢を見ないとね!(笑)

今回の「映画の殿」は映画の内容の紹介というより、リンチっぽい映像に焦点を当てていこう!
映画開始から10分程で気になる人物が登場!
主人公ジェイコブがニューヨークの地下鉄で出会う女性なんだけど、英語圏の人ではないためなのか、ジェイコブの問いかけに一切答えようとしない。
そればかりか一度も瞬きをしないんだよね!
カッと見開かれた目でじーーっとジェイコブを見つめるだけ。
通り過ぎるまでずっと見つめられ続けるのは怖いなあ!
リンチの映画に出てきそうな女性だったね。


外側から電車の中にいる人を見ているジェイコブ。
その流れていく映像を画像にして、ROCKHURRAHに3枚並べて作ってもらった。
これはもうフランシス・ベーコンだよね!(笑)
歪んだ口やブレた輪郭。
うーん、確かにベーコンさんっぽい映画だ!(笑)

あらすじにもあった「自分を轢き殺そうとした車に乗る異様な人物」というのがこれ!
追いかけてくる車を運転しているのは、普通の人間だったのは確認できた。
正面から見た時には後部座席の人影しか見えないんだけど、通り過ぎる時に窓から顔をのぞかせる。
いきなりこんな人がいたら怖いよねー!
更に通り過ぎた後、後方から車をみると、スキンヘッドの異形だったはずの人物がまた別の異形になっている!
隣にはこれもフランシス・ベーコンの絵から抜けだしてきたような、顔がぼんやりした異形がいる!
これらのシーン、時間にすると短かかったので、まさかこんな顔が隠れていたなんて知らなかったよー!
じわじわ怖いって感じてたけど、やっぱり怖い映像がミックスされてたんだね。

パーティ会場で冷蔵庫を開けると入っていたのがこれ!
人の家の冷蔵庫だから、何が入っているのか分からないのは当然だけどね。
牛か羊か分からないけど、動物の頭には違いないよ。
アントニオ・デ・ラ・トレ主演の「カニバル」では冷蔵庫に人肉入ってたけど、切り分けられてたからグロテスクじゃなかったんだよね。
やっぱり「頭部そのまま」っていうのが怖いんだろうな。

恋人の顔が急に変貌しているように見えるのも恐怖だよね。
悪魔に関する本を読んでいる途中で声をかけられ、生返事したら恋人が怒り出す。
よくある状況だけど、こんな顔で怒鳴られたら逃げ出してしまうよね。(笑)
この画像も一瞬だったからはっきり確認できなかったんだけど、目も鼻も口(歯)の全てに手が加えられてるね。
リンチの「ロスト・ハイウェイ」の中でも、隣に寝ている妻の顔がミステリーマンの顔に変わっていた怖いシーンがあったのを思い出す。
知っている人、愛している人の顔だから余計に恐怖するんだよね。

怪我をしたジェイコブが連れて行かれる病院がすごかった!
ただの外科で良いはずなのに、担架で運ばれていったのは精神病院のようだ。
床に横たわる女性、窓に頭をぶつけ続け血を流す男性(嶋田久作似)、逆立った毛髪でじっと一点を見つめる男性(フランシス・ベーコン似)、網になった天井を這い回る小人など、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い起こしてしまうね!
まさに「狂人の開放治療」といえる映像化は見応え充分。
松本俊夫監督の「ドグラ・マグラ」(1988年)も映画館で観たSNAKEPIPEだけど、「ジェイコブス・ラダー」の精神病棟も負けてないね!

リンチの「ロスト・ハイウェイ」で印象的だった、顔が左右にブンブン揺れて痙攣しているように見える映像は「ジェイコブス・ラダー」が元ネタだったようだね。
「ジェイコブス・ラダー」は1990年、「ロスト・ハイウェイ」は1997年だから。
こんなに興味がありそうな映画を、どうして当時観ていなかったのか本当に不思議でならない、と再び思ってしまう。
「フラッシュ・ダンス」と「ナインハーフ」の監督だからなって思っちゃったのかもしれないね?(笑)
監督で作品を判断することが多いSNAKEPIPEなので、「ジェイコブス・ラダー」のような例もあることを覚えておかないとね!

好き好きアーツ!#28 John Waters Beverly Hills John

【ジョン・ウォーターズの偽子供<ビル>との記念撮影。ナン・ゴールディン撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEが敬愛する映画監督デヴィッド・リンチは、映画だけではなく絵画や写真、最近では音楽の分野でも活躍していることはこのブログで何度も取り上げたよね。
更には尊敬する映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーも絵を描いたり、バンド・デシネの原作者としても活躍している。
毎朝見ている「めざましテレビ」で仕入れた情報によると、映画監督ティム・バートンも絵を描いているとか。
監督っていうのは多才なんだね!

そしてなんと偏愛している映画監督ジョン・ウォーターズが個展を開いているという情報がっ!
えー!ジョン・ウォーターズも映画だけじゃなかったんだ!
ニューヨークにあるMarianne Boesky Galleryで2015年1月9日から2月14日まで「Beverly Hills John」という個展を開催しているとのこと。
調べてみると、個展は50回以上も開催されているようだ。
しかも1999年にはパルコギャラリーでもやってたみたい。
偏愛しているなんて書いておきながら、今まで全然知らなかった事実に驚いたり、残念がったり。
これは是非とも「好き好きアーツ!」で紹介しないとね!


現在開催中の「Beverly Hills John」 を検索すると出てくるのが写真右の人物写真…ジョン・ウォーターズっぽく見えるけど別人?
普段のジョン・ウォーターズ(写真左)と並べて比較すると、やっぱりご本人だよね!
ペンシル髭があるから「もしかしたら?」と思うけど、なかったらジョン・ウォーターズとは思わないよね。(笑)
「ビバリー・ヒルズの見本」として唇にボトックス注射を打って分厚くしたり、極端にシワを伸ばした状態らしい。
アメリカの高級住宅地として有名なビバリー・ヒルズに住むお金持ち連中が、若返りのためにシワを伸ばす美容整形をしている状態を表現しているようだ。
ボトックス注射は半年くらいで効果が切れるらしいけど、当分はこの顔のままなのかな?(笑)
写真を加工しただけなのか、本当に注射したのかは不明だけど、自らの肉体を変貌させてまでシニカルを演出するアートってどうなの?(笑)
ジョン・ウォーターズらしい、と言えるよね!

Marianne Boesky Galleryで今まで展示されたことのある作品も紹介してみようか。
これもまたジョン・ウォーターズらしく、かなりゲイ寄りの作品が多いんだよね。
ほとんどの作品が写真としての展示らしい。
電飾で飾られた「Haunted」 (2006年)も写真作品だ。
「My ass is haunted」は直訳すると「私の尻は悩まされている」になるんだけど、 スラングっぽい訳し方あるんだろうね。
例えば「お尻がムズムズしちゃうの!」とか、ね。(笑)


次もお尻ネタ!
「Rear Projection」(2009年)は左から右に向かってストーリーが展開しているようだけど、タイトル通りお尻に映像を映し出したり、途中でまたもや「ass」という文字が入ったりして「そのまんま」な仕上がりだよね。
何が何でも「尻」のことだけを言いたかったのはよくわかる。
そして無事に「The End」になってようで安心したよ。(笑)

日本人ではあまり見かけないし、そこまで需要もなさそうだけれど、その道の方には大人気の(?)胸毛!
ジョン・ウォーターズはゲイであることを公言しているので、この手の作品が多いんだろうね。(笑)
「Hairball」(2014年)は胸毛用ウィッグの写真作品なんだよね。
ウソ広告写真みたいな感じのパロディなんだろうけど、こんな作品を2014年に制作するとは、さすがジョン・ウォーターズだよ。(笑)


写真作品以外に人形の展示もあるんだよね。
「Jackie Copies Divine’s Look」(2001年)はそのタイトル通り、ジョン・F・ケネディ夫人だったジャクリーン・ケネディが「ピンク・フラミンゴ」でディヴァインが着用していた真っ赤なドレスを着て、ピストルを構えている人形なんだよね。
分かり易くするために本家のディヴァインと並べてみたよ。(笑)
ジョン・ウォーターズはこんなお遊びもやってるんだね。
ジョン・ウォーターズもデヴィッド・リンチと同じように、やっぱり50年代へのノスタルジーを持ち続けているんだろうな、と予想できるよね。
そして長年一緒に映画を作ってきたディヴァインへの想いも、ね。

日本でもジョン・ウォーターズの個展、開催されないかなあ!
1999年以降やっていないなら15年分の作品あるだろうし。
その時には是非とも普通の顔に戻ってから来日して欲しいね。(笑)

2人のデヴィッド監督作品鑑賞

【「マップ・トゥ・ザ・スターズ」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mからデヴィッド・フィンチャー監督の新作が面白そうだ、という情報を聞いたのはかなり前のことだ。
映画のタイトルは「ゴーン・ガール」だという。
すっかり忘れていた頃、映画公開前日の先行上映に行く、と友人Mから連絡があった。
さすがは情報通の友人M!
先行上映のことまで知らなかったよ。(笑)
観終わったら、映画館まで観に行ったほうが良いか、DVDになってから観ても良いと思うか教えて欲しいとお願いする。
友人Mはさすがに付き合いが長いため、SNAKEPIPEの好みを熟知してるからね!
映画は3時間近くの長い上映とのこと。
その長さの問題もあって、余計に参考意見が欲しかったのである。

そして鑑賞後に友人Mより連絡が入る。
DVDを待たないで、是非映画館で観て欲しいとのこと。
感想を語り合いたいと言う。
上映時間の長さは気にならなかったらしい。
よしそれでは、とチケット予約したのである。

観てきた感想をまとめてみようか。
まだ上映中の映画なので、ネタバレしないように書かないとね!
まずは簡単なあらすじから。(公式サイトより転記)

結婚5年目の記念日。
誰もが羨むような幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミーの夫婦の日常が破綻する。
エイミーが突然姿を消したのだ。
リビングには争ったあとがあり、キッチンからはエイミーの大量の血液が発見されたのだ。
警察は他殺と失踪の両方の可能性を探るが、次第にアリバイが不自然な夫ニックへ疑いの目を向けていく。
新妻失踪事件によってミズーリ州の田舎町に全米の注目が集まり、暴走するメディアによってカップルの隠された素性が暴かれ、やがて事件は思いもよらない展開をみせていく。
完璧な妻、エイミーにいったい何が起こったのか?

トイレに行くこともなく無事に鑑賞し終わる。
友人Mが言うように、それほど上映時間の長さは気にならなかった。
最初に持った感想は、夫ニックを演じたベン・アフレックにぴったりの役!だった。
実はそれほどベン・アフレックについて知っているわけではないし、出演してる作品より監督している作品のほうを観ているようだ。
そのため俳優として、他の作品との演じ方に違いがあるのかは不明だけど、「ゴーン・ガール」でのベン・アフレックは「こういう男いるよね!」と信じてしまうほどのリアリテイがあって良かったと思う。
妻エイミー役の女優、ロザムンド・パイクは「美しく聡明な妻」という役どころだと思うんだけど、SNAKEPIPEもROCKHURRAHも、どうしてもこの女優さんが好きになれなくて。
友人Mも「まゆげが嫌い」だという。(笑)
「きょとん」とした上の写真をみても、愛らしいとは感じられないし、たくさんの人から愛されるような存在とは思えなかったところが、映画の真実味にマイナスだった気がする。
「あの人がまさか!」にならないんだよね。(笑)

ネタバレしないように書きたいけれど、あえてキーワードを並べるとすれば、「ステレオタイプ」と「演技」かな。
「こうあるべき」という強迫観念で上辺だけを繕う生活は、自分自身のたためじゃなくて、世間体や人の目だけを気にして生きるってことなんだろうね。
「結婚しているカップルにとっては怖い映画」のような感想をどこかで読んだけれど、この映画を観て「妻が怖い」という感想を持つ男性がいたら、「ゴーン・ガール」みたいな夫婦関係なんだろうな。(笑)
宣伝だけの情報でSNAKEPIPEが勝手にイメージしていた映画とは違っていたけれど、鑑賞して良かったかな。

もう1本気になる映画があるから観に行こうよ、と友人Mから誘われる。
デヴィッド・クローネンバーグ監督の「マップ・トゥ・ザ・スターズ」はROCKHURRAHからも「面白そうだよ」と聞かされていた映画だった。
どこの映画館にしようか調べてみると、驚くことに近くでは新宿武蔵野館しか上映していないことが判明。
武蔵野館は何度か足を運んだことがある映画館なので問題ないんだけど、渋谷や有楽町では公開されないとは!
クローネンバーグ監督の前作「コズモポリス」も確か武蔵野館での鑑賞だったっけ。
日にちを決め、友人Mと武蔵野館で待ち合わせる。

予想はしていたけれど、80席のうち埋まっていたのは30席程度。
これでも主演のジュリアン・ムーアがカンヌ国際映画祭女優賞を獲得しているためなのか「コズモポリス」の時より入りがあったのかな。(笑)
ほとんどが一人で観に来ているお客さんだったので、お付き合いではなく本当に観たいと思って来ている人なんだろうね。
では簡単にあらすじを。

ワイス家は典型的なハリウッドのセレブファミリー。
父のワイスはセレブ向けのセラピストとして、TV番組も持つ成功者。
13歳の息子ベンジーはドラッグの問題を乗り越え、超有名子役としてブレイク中。
そして母親のクリスティーは、ステージママとして息子の出演作の物色にいとまがない。
一見なんの不自由もなく、富も名声も手に入れたワイス家。
しかしこの一家には封印された秘密があった。

ワイスのセラピーをうけている落ち目の有名女優ハバナは、知人の紹介で顔に火傷の跡がある少女アガサを個人秘書として雇うことにする。
アガサ出現から、周囲の人々の歯車が狂い始める。(公式サイトより)

髪をブロンドにしたジュリアン・ムーアがマドンナに見えるんだよね。
年齢的にも近いから余計なんだろうけど。
母親も有名な女優でその子供という設定だから、いわゆる2世タレントってことになるんだね。
役を取るために必死な姿は、かなり真に迫っていたよ。

ついに役をGETした時に歌いながら踊っていたのが、バナナラマの「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye(邦題:キスしてグッバイ)」だったのが懐かしかった。(笑)
恐らくオリジナルはSteam、カヴァーはシュープリームスもやってるみたいなんだけど、SNAKEPIPEにとってはバナナラマの曲!なんだよね。


火傷の跡がある不思議な少女の役を演じていたのがミア・ワシコウスカ
初めて観た女優だと思っていたら、2012年の「欲望のバージニア」で観ていたみたい。
あんまり覚えてなんだけどね。(笑)
リンチ評論家滝本誠氏はツイッターに「ミア・ワシコウスカは<あるテイスト>を求める監督にはミューズだ」 と載せている。
彼女の出演作を調べれば<あるテイスト>についてなんとなく解る気がするけど、「マップ・トゥ・ザ・スターズ」を観ただけではファンにはなれないなあ。(笑)
変わった顔の女優だな、という印象を持った。

「マップ・トゥ・ザ・スターズ」はとても簡単なキーワードで説明したい映画なんだけど、その漢字四文字を書いてしまうと完全なネタバレになってしまうので書くのはやめておこう。
どうして武蔵野館だけでしか公開されなかったのか理解できてしまった。
「ハリウッドの闇に迫る」というような謳い文句は大袈裟だし、闇を描いた作品といえばリンチの「マルホランド・ドライブ」や「インランド・エンパイア」の方に軍配が上がる。
ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2014年のNo.1が「マップ・トゥ・ザ・スターズ」で「大笑いするほど面白い。そしてあえて言わせてもらうが悪質。自分のヒゲよりもこの映画が好きだ」とコメントしているらしい!
SNAKEPIPEからみると、そこまで悪質とも思えなかったし、ハリウッドに限らず芸能関係ってあんな世界じゃないの?って感じだったけどね。
誰にでもお勧めはしないけれど、ジョン・ウォーターズの感想に興味を持つ人なら観ても良いのかも?

クローネンバーグ監督作品は「コズモポリス」と「マップ・トゥ・ザ・スターズ」共に劇場で鑑賞したけれど、次回作が発表されたら迷いそう。
クローネンバーグ監督作品って結構観てるんだけど、なんで観てしまうのか思い返してみると「戦慄の絆」が大好きだったからなんだよね!
次回作があの雰囲気だったら、また行くんだろうな。(笑)

今回は2人のデヴィッド、デヴィッド・フィンチャー監督とデヴィッド・クローネンバーグ監督の新作映画について書いてみたよ!
SNAKEPIPEにとって最も大事な3人目のデヴィッド、リンチ監督の作品はいつなんだろう?
まずは2016年公開の「ツイン・ピークス」を楽しみにしていよう!

ミシェル・ゴンドリーの世界一周 鑑賞

【「ムード・インディゴ うたかたの日々」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

皆様明けましておめでとうございます。
今年も趣味全開の記事を書き続けて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます!

夏の終わり頃から、長年来の友人Mより「行こうよ」と誘われていたのが、東京都現代美術館で開催されている「 ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展であった。
そもそもミシェル・ゴンドリーについてほとんど知識のないSNAKEPIPEなので、実を言うとあまり気乗りしなかったんだよね。(笑)
Wikipediaで読む限りではミュージック・ビデオからキャリアをスタートさせ、有名なのはビョークのビデオとのこと。
細菌、じゃなくて(笑)最近はミュージック・ビデオを観る機会もないし、ビョークの音楽も聴いたことないし!
そのため鑑賞の予定は延ばし延ばしになってしまっていた。
ようやく2014年末に友人Mと都合を合わせ、久しぶりに木場に向かったのである。

どんな展示の時でも大抵はゆっくり鑑賞できる余裕のある美術館なのに、珍しく年末は人が多かった。
SNAKEPIPEが知らないだけで、ミシェル・ゴンドリーって人気あるんだね。(笑)
動画の撮影はNGだけど、それ以外は撮影して良いとのこと。
面白いのがあったら撮ろうね、と言いながら最初に入った部屋が素晴らしかった!
天井までみっちりと貼付けられているのは、1000人分のポートレイト。
ミシェル・ゴンドリーが出会った人々の似顔絵を描いたものだという。
あまりの数の多さに初めは驚き、続いて一枚一枚に目を転じると、その完成度の高さに再度驚かされる。
まるで今そこにいるかのように、生き生きとした表情をみせているのだ。
その人物の人柄や趣味などが手に取るように判る気がするんだよね。
構図や色使いなども斬新で、ものすごく好きなタイプの絵!
20ドル払って描いてもらいたかったな!(笑)
「1000 portraits」という画集になっているのが展示会場に置いてあるじゃないの!
「欲しい!」
「買って帰ろうね」
今回の展覧会には来られなかったROCKHURRAHへの良いお土産になるな、とほくそ笑むSNAKEPIPEだったけれど、残念ながらミュージアム・ショップでは既に完売してしまったとのこと。
9月から始まっていた展覧会を12月に鑑賞してるんだもんね。
仕方ない、と今回は諦める。(涙)

次の展示はミシェル・ゴンドリーが手がけたミュージック・ビデオを、音楽と共に鑑賞するコーナーだった。
入り口で渡されたヘッドホンを装着し、大きなスクリーンのある地点に立つと音が聴こえる仕組みになっている。
多くの人が1つのスクリーンに集まってしまうと、音が全く聞こえなかったり雑音が混ざった音が聞こえてしまうのが難点だったね。
ビデオは冒頭にも書いたビョークやローリング・ストーンズなど様々なアーティストの作品がミックスされて再生されている。
19のスクリーンを順路通りに歩くと、ビデオの内容も順路と平行して進んでいるようだ。
「この方法新しいよね」
と友人Mが言うけれど、2011年11月に鑑賞した「ゼロ年代のベルリン展鑑賞」でのミン・ウォンの作品「テオラマ」も複数のスクリーンでの上映だったことを思い出す。
あの時に画期的!と感じてしまったSNAKEPIPEなので、今回は驚かなかったなあ。(笑)

次は映画の撮影でよく使用されるスタジオが展示されているコーナーだった。
ワークショップとして、実際に来場者が映画を作ることもできる仕掛けになっているとのこと。
路地裏や電車の中など、簡単にシチュエーションがイメージできるような場面がいくつか設定されている。
友人Mと「こんな感じはどお?」と言い合いながら、お互いに役割を決めて撮影し合う。
その時に着ていた服装によっても違ってくるのかもしれないけど、そこまで奇想天外なアイデアはパッと浮かばないなあ。(笑)
それにしても映画の撮影には、このような場面設定に合わせて、美術の人が作ったり、小道具を揃えたりする裏方の存在が解るのが面白かった。
映画鑑賞している時には気にしていないからね。
これで少し映画の観方が変わるかも?(笑)

最後はミシェル・ゴンドリー監督の作品「ムード・インディゴ うたかたの日々」 で使用された小道具の展示だった。
冒頭にも書いたように、SNAKEPIPEはミシェル・ゴンドリーについての知識が少なくて、当然のように(?)映画も鑑賞してないんだよね。(笑)
本当は映画を鑑賞してから展覧会に行くべきだったんだろうなあ。
そうしたら「あのシーンで使われれた!」などと違う感想を持ったんだろうね。

全く勉強しないで行ってしまったけれど、小道具の面白さは充分伝わってくる。
小道具はフエルトや布で人体を表現したり、食材を作っていたりして、とても興味深かった。
映画の中ではどんな風に映っているのか分からないけれど、近付いてじっくりみると手縫いの糸が見える、手作り感満載の小道具だったんだよね。
ここでもまた小道具を手作業で創作する人の存在を感じることができた。
順番は逆になってしまうけれど、近いうちに「ムード・インディゴ」観てみよう! (笑)