好き好きアーツ!#27 鳥飼否宇 part6–迷走女刑事–

【「迷走女刑事」の中で店名として登場したソフト・マシーン】

SNAKEPIPE WROTE:

大ファンの作家、鳥飼否宇先生の新作が発売される情報をもたらしてくれたのはROCKHURRAHだった。
Kindleのような電子書籍を読むための端末が人気のご時世だからなのか、鳥飼先生の新作はハードカバーではなく新刊として文庫本で登場!
実際SNAKEPIPEも通勤電車で読むのはスマートフォンに落とした電子書籍だもんね。
でもこれって、新作じゃなくて前に発表した作品の文庫化じゃないの?
だってタイトル同じじゃない?
おや?よく読んでみると「迷走女刑事」!
2012年に発表されたのは「妄想女刑事」!
鳥飼先生のファンと言っておきながら、読み違えるとはファン失格‥‥‥。
いやいや、しょんぼりする必要なし!
鳥飼先生の新作が読めるんだもんね!(笑)

近所には本屋が何軒もあるので、発売日当日に出向けば問題なく手に入ることは分かっていたけれど、発売の情報を知ったその時にネットで予約注文した。
確実に入手できることがはっきりしないと安心できないんだよね。(笑)
あとは到着を待つのみ!楽しみだ。
お待ちかねの発売日当日。
郵便ポストにメール便が到着!
やったー!
慌ててページをめくるSNAKEPIPE。
早速読み始めたのである。

前作では妄想し、本作では恐らく(?)迷走するであろう主人公の宮藤希美と、前作でコンビを組んでいた荻野正則が居酒屋で飲んでいるシーンから小説が始まる。
キュートなルックスに似合わず酒豪の宮藤に付き合うように、下戸の荻野が烏龍茶を飲んでいる。
どうやら本作では、宮藤と荻野がペアで捜査しているのではなく、それぞれが新しい相棒を得ているという。
ここで新しい登場人物の紹介だね。
宮藤の相棒は甲賀忍者の末裔で、武芸十八般に通じているという望月暁子。
武芸十八般とは弓・馬・槍・剣・水泳・抜刀・短刀・十手・銑鋧(しゅりけん)・含針・薙刀・砲・捕手・柔・棒・鎖鎌・錑(もじり)・隠(しのび)のことらしい。

そして暁子が得意としているのが手裏剣、鎖鎌、十手とのこと!
2012年に行った明治大学の博物館で実物を観たっけ。(笑)
常にこれらの武器を携帯してるんだろうか?(笑)
宮藤と同い年だけれど、ノンキャリアのため刑事歴は宮藤より長い。
「踊る大捜査線」でもよく出てきた構図だね。
そんな叩き上げで、ルックスも男まさりの力強い女だからこそ宮藤に反感を抱いてしまうのも仕方ないのかもしれない。
本作でSNAKEPIPEが1番注目したのは彼女!
友達になりたい、というよりは見ていたいんだよね。
ネタが豊富そうで。(笑)

そして荻野の相棒になったのは、宮藤の場合と同じように荻野とは正反対の特徴を持つ三谷浩二朗。
女性に人気がありそうなルックスの新人だというから荻野は完全な引き立て役になっちゃうね。
でも実は三谷は‥‥文章にするのは差し控えておきましょ。(笑)
本作は2組のペアが難事件に挑むお話なのである。

事件ファイル1 三人の数学教師の問題

大学の数学教師の死体が河川敷で発見されるところから話が始まる。
調査をする宮藤と荻野。
テンポの良い二人の掛け合いは相変わらず面白いね!
趣味全開の荻野の発言は刑事らしくないし。(笑)

SNAKEPIPEが大注目だったのはやっぱり望月暁子だね。
灯火目付という視力の鍛錬法により、視力が3.0あるという。
いつの間にか視力が0.02くらいになっているSNAKEPIPEには信じられないよ!
灯火目付、本当に効果あるんだろうか?
今からでもやってみようか!もう遅い?(笑)

数学教師の事件なだけあって「フェルマーの最終定理」についての説明がされていたね。
「ドラゴン・タトゥーの女」で主人公リスベットが夢中になっていた問題だったことを思い出したよ。
実は最近になって理数系の面白さに気付いたSNAKEPIPE。
学生の頃から好きだったら良かったのに!
きっと「ブレイキング・バッド」を見てから、化学に興味を持つ人もいるだろうね?
えっ、動機が不純?(笑)

宮藤は自慢の妄想がなかなか発揮できない様子。
まだ本人は何が理由だったのか気付いていないんだね。(笑)
ところがヒョンなところで、またもやロッターズクラブのバーテン・御園生独、登場!
宮藤にヒントを与えてくれるのである。

めでたく事件は解決。
まさかそんなことだったとは!
「んなバカな!」と叫んでしまったSNAKEPIPE。
こんな事件は前代未聞だよ。(笑)

事件ファイル2 三枚の天狗の面の問題

代議士の子供が誘拐される事件が発生する。
ところが宮藤希美は相棒である望月暁子と共に、誘拐事件とは別の骨董品を扱う「夢幻堂」の壺盗難事件の捜索に駆り出されたのである。

この「夢幻堂」のオヤジが良い味出してるんだよね!(笑)
宮藤希美をクドミ、望月暁子をモチコと勝手に名付けてしまう。
実際に関わると面倒なタイプだろうけれど、本当は誰かに構って欲しくてたまらない孤独な老人なんだろうと推測できるよね。
この古物商で望月暁子が棒状の手裏剣に見惚れるシーンが良かったね。
あまり手裏剣に詳しくないSNAKEPIPEなので調べてみると、武術の世界での手裏剣とは棒状のタイプが一般的らしい。
忍術について勉強になるなあ。(笑)

この事件の中で最も興味を感じたのは、話の中に登場する油絵!
青系の暗い絵の具が塗り重ねられ、まるで子供の落書きのような人物や動物が描かれている絵とは?
人物が死にかけのアザラシやトドとかセイウチに見えてしまう具象画ってどんなだろう?
SNAKEPIPEが思い浮かべたのはリンチの油絵だね。
最近のリンチはリトグラフで作品を制作することが多いみたいだけど、80年代後半から90年代に描いていたのが、まさに大人の落書きのような油絵!
参考にした画像は1996年の「Dr. Howl’s Philosophy」という作品ね。
こんな雰囲気の絵だったら、観てみたいな!

事件に関しては読んでいる途中で、
「もしかしたら?」
と真相を予想したSNAKEPIPE。
そして結論は当たっていたんだけど、理由までは推理できなかった。
そして更にまさかそんなことだったとは!(笑)

事件ファイル3 三体の不明死体の問題

続いはゴミ屋敷で発見された男性の全裸死体にまつわる事件である。
確かにゴミ屋敷というのは、どこに何があるか判別できないだろうから、死体の隠し場所としては最適かも!(笑)
捜索にはものすごく時間がかかるだろうからね。
この小説の中でも、捜索は難航していて、何が物証なのかを判断するのにも苦労している様子。
こんな舞台を事件現場に設定されるとは、さすがは鳥飼先生!
何が出るかな?何が出るかな?(ごきげんようのサイコロ風)

3つ目の事件の頃には、宮藤と望月はそれなりに意気投合しているようで安心した。
お互いの役割を認識したということかもしれないけれど、1番近くで長い時間を過ごす同僚とは気持ち良く付き合えるほうが良いからね!

この事件で望月暁子が使用したのが、直径4センチほどの中央の輪に長さ35センチほどの3本の分銅鎖が付いた微塵と呼ばれる武器である。
扱い方次第では敵の骨を木っ端微塵に打ち砕く威力をも発揮することから「微塵」と名付けられたというから恐ろしいよね!
そして金剛力士像のように憤怒の表情を浮かべている記述もあったので、本当に敵に回すとロクなことがない女性なので、宮藤希美は仲良くなれて良かったよね。(笑)

事件には驚くべき真相が隠されていて、SNAKEPIPEは横溝正史を思い出したよ!

事件ファイル総括 三件の重大事件の問題

タイトル通り3つの事件の締め括りである。
もうそれぞれの事件は解決してるじゃない?
そう、もう事件は解決してるんだけどね。
宮藤希美の元にまたもやバーテン・御園生独が登場する。
そして宮藤希美は「世界の真理」を知るのである。

最後の最後まで「やられた〜!」って感じだったね。
大満足のSNAKEPIPEである。(笑)

ミステリー小説でキモになる部分は書きたくないので、核心に触れないような感想しか書けないのがもどかしいね。
鳥飼先生の魅力を充分お伝えできていない気がして残念だけど、非常に楽しい読書時間を過ごせて嬉しかったな!
そして来年、2015年1月10日にはまたまた鳥飼先生の新作が発売だよ!
死と砂時計」なんて、タイトルだけでもワクワクしちゃうよね。
早速予約しないと!(笑)

五木田智央 THE GREAT CIRCUS鑑賞

【五木田智央のネタ帳?のような壁一面を埋め尽くす作品群】

SNAKEPIPE WROTE:

先日書いた「収集狂時代」の中でマーク・ロスコについて触れた後、無性にロスコと対面したくなってしまった。
DIC川村記念美術館では、現在何の展示がされているのかROCKHURRAHが調べてくれたところによると、五木田智央という1969年生まれのアーティストの展覧会が開催されているという。
モノクロームの油絵はちょっと珍しいし、ROCKHURRAH曰く、シュルレアリズムっぽいとのこと。
3連休を利用して行ってみようか。

キレイな秋晴れの日、久しぶりの佐倉である。
車を持っていないROCKHURRAHとSNAKEPIPEはいつも電車で出かけ、川村記念美術館の送迎バスを利用して美術館に行っている。
今まで何度もその方法で行っているけれど、今回はバス停で待っている人数の多さに驚く。
今まではいてもほんの数人、時にはROCKHURRAHとSNAKEPIPEの2人だけで、バスが貸し切り状況になったこともあった。
なんと今回は補助席以外の席が全部埋まっている状態!
路線バスクラスの大型バスなのに、満席って!
しかもバスで20分以上もかかる僻地にある美術館なのに?(笑)
えっ、五木田智央ってそんなに人気あるの?
ROCKHURRAHの見立てでは、美術館目的というよりは、併設されている自然散策路の紅葉を目的にしている人が多いのではないか、と言う。
果たして本当にそうなのか?

バスを降りるとバス停近くにチケット売り場が見える。
観察していると、バスから降りた乗客がチケット売り場に並んでいる!
えーっ、やっぱりほとんどの人が五木田智央展の鑑賞のために来てるんだ!とびっくりする。
人を見た目で判断するわけじゃないけど、とても現代アートに興味があるようには見えない方がたくさんいたので。(笑)
それにしてもバスが満員だったこと、チケット売り場に人が並んでいる光景は、川村記念美術館に限っては初めて見たので驚いた。

少し時間をズラしてからチケットを購入。
美術館への道すがら、見事に紅くなった紅葉を鑑賞する。
館内に入ると、先程行列していた人達はどこにいるのか、いつも通りのゆったりした空間が広がっているので安心する。
まさかとは思うけど、自然散策路に入るために間違ってチケットを購入した人もいたのかな?
まずは常設展から鑑賞していく。

何度か来ているので、作品の配置を多少は覚えていて、前回来た時とは違う作品が展示されていることに気付く。
常設展も少し変化があるんだね!
ジョゼフ・コーネルの作品は、前回と同じようにコーネル・ルームとして単独の部屋で展示されていて嬉しくなる。
フォトモンタージュの作品と、箱の作品。
箱のオブジェはいつ見てもかわいいな!
マックス・エルンストの「石化せる森」も観られて良かった。

いよいよお待ちかねのロスコ・ルーム!
さすがに今回は途中で何度か他の客が入り、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEだけの特別鑑賞会にはならなかったのが残念。
それでもなんとも言えない重厚な空間に身を置くと、自分の存在とロスコの絵との距離感が曖昧になってきて、トリップしちゃうんだよね。
自分が絵に溶け込んでしまったような。
無我の境地ってこんな感じかもしれないね?

ロスコルームを鑑賞し終えると、1階の展示は終了である。
続いて2階へ。
入ってすぐにジャクソン・ポロック!
フランク・ステラの大型作品は、いつ観ても迫力があるね!
最後の部屋が、今回の展覧会である。

実は五木田智央という名前は川村記念美術館のHPで初めて知った。
略歴によるとサブカルチャーに多大な影響を与えたイラストレーターとのこと。
どうやらミュージシャンのイラストで有名らしいけど、見たことあるのかな?
最近は画家として活躍し、ニューヨークのメアリー・ブーン・ギャラリーでは絵が完売ってすごいよね。
日本より先に海外で認められた、いわゆる逆輸入アーティストということになるらしいよ。
五木田智央展に関しては撮影オッケーとのことなので、バシバシ撮ってみよう!

入ってすぐに飛び込んできたのは、スクエアのキャンバスに描かれたモノクロームの作品群。
どうやら全て2014年の新作らしい。
余程筆が速いのか、かなりの数が並んでいる。
サラサラと描いた感じが出ていて、ちょっと会田誠を思わせる、人をおちょくったような雰囲気を感じる。
まるでリンチの「イレイザーヘッド」を彷彿とさせる謎の生物まで発見したよ。
これ、あの赤ん坊だよね?(笑)

 既に発表されている、パロディ風の大型モノクローム作品群。
ピカソの絵画からパクった手が描かれているのを観て、笑ってしまう。
撮影した画像はピンぼけになってしまったけれど、判るかな?(笑)
他の作品も何かのパクリのように見える、どこかでみたことがあるような?
キリコやイヴ・タンギーなどの画家の影響について聞かれることが多いというのも納得だよね。
それにしても「影響」と「流用」の違いってなんだろうね?(笑)

左の画像は「Slash and Thrust」という2008年の作品である。
インタビュー記事で読んだ情報では、なんとこの絵は3時間で描いてしまったというから驚いてしまう。
かなり大型の作品だったし、描きこまれていたのにね!
ブルーを基調としたシリーズやオレンジ系の暖色のシリーズは、モノクロームに慣れた目には意外性を感じた。
何が描かれているのか判然としない具象画だから余計だったのかもしれない。
好みの問題だと思うけど、SNAKEPIPEはモノクロームの絵のほうが五木田智央らしさを感じるな!

初期の作品で、紙に墨や鉛筆で水面を描いているようなシリーズがとても良かった。
まるでリンチを思わせる黒々とした作品群は、今回の展覧会の中で1番好きだったな!
鑑賞しているうちに、五木田智央の自己破壊願望、つまり自殺願望のような衝動を感じたのは気のせいだろうか。
リンチの暴力性は完全に外に向かって放たれているため凶暴だけれど、五木田智央の場合は内側に向かう暴力なので、攻撃性は感じられない。
溜め込まれた怒りが黒色として静かに爆発している印象。
インタビューでは飄々とした雰囲気の五木田智央なので、SNAKEPIPEの思い過ごしかもしれないけどね?(笑)

「五木田智央 THE GREAT CIRCUS」を鑑賞して、パンク的な破壊衝動を強く感じたSNAKEPIPE。
実際「PUNK」というモヒカンの頭部を描いた作品もあったしね。(笑)
五木田智央が実際にはどんなジャンルの音楽を聴いたり、DJとして選曲してるのかは知らないけれど、根本にパンク魂があるような気がしてならないな。
DEATH DEATH DESTROY !って感じでこれからもG.I.S.M.っぽくいきましょー!(笑)

収集狂時代 第2巻 高額アート編#02

【ROCKHURRAHが制作した、なんとなく現代アートっぽい作品(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

シリーズ化しようと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていたこの企画!
2011年11月に書いたきりになっていた「収集狂時代」は、コレクターズアイテムを紹介する記事である。
第1回目に書いたのは、高額で取引されたアート作品について。
写真と絵画と彫刻という分野で、最も高く売買された作品を紹介したんだよね。
アート作品の値段ということでは、2014年8月に書いた「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」鑑賞での台湾資本のヤゲオ財団が所有するコレクションを思い出すね。
この展覧会は珍しく作品の金額について触れていて、オークションでの落札金額が提示されていたっけ。
実際に展示されている作品をヤゲオ財団がいくらで買ったか、ではなくて同じタイプの作品はこんな金額でしたよ、というヒントだったけどね。
鑑定士と顔のない依頼人」という映画の中にもオークションの様子が出てきて、まるで市場のセリのように金額が飛び交っていたよね。
実際にアート作品の競売風景を見ることはないので、興味深かったね!

今回は2014年版の高額アート作品について書いてみようかな。
高額ランキングには必ず入っている印象派の絵画は抜かして、現代アートに絞っていってみよう!
2014年11月時点でのランキング、日本円のレートってことでよろしく。

2014年5月、ニューヨークのクリスティーズのオークションで売りに出され、今年の最高金額を付けたのがバーネット・ニューマンの「Black Fire I」(画像左)だ。
この手の絵画を理解するのは本当に難しくて、究極は「好き/嫌い」で良いと思っているSNAKEPIPEだけど、一応調べてみようか。
自己批判を繰り返しながら余計な物をそぎ落とし根本的な要素まで還元し、形態・輪郭・色彩が平面上ですべて一つになる「形態的な純粋性」にいたる途上にあるモダニズムの前衛として評価されているとのこと。
カラー・フィールド・ペインティングと呼ばれるそうだ。
解るような解らないような説明だけど、まあ良いか。(笑)
確かにシンプルこの上ないけれど、絶妙なバランス感が心地良いよね。
バーネット・ニューマンってどこかで聞いたことがあるな、と思ったら!
千葉県佐倉市にある大好きなDIC川村記念美術館 にバーネット・ニューマンの代表作「Anna’s Light」があったはずだけど?
残念ながら2013年10月、今から1年前に美術館が手放しているみたい。
その時の落札金額107ミリオンダラー、日本円で124億7500万円也!
うひゃー、ゼロの数を数えるのが大変なのよ。(笑)
さすがにバーネット・ニューマンの代表作なだけあるよね。
それにしても、佐倉にあるうちに鑑賞するべきだったなあ!
「Black Fire I」は今年の最高金額で84ミリオンダラー、97億8000万!
誰が買ったのか、気になるところだよね!

2014年の高額ランキング第2位はフランシス・ベーコンの「Three Studies for a Portrait of John Edwards」で80ミリオンダラー、93億9000万円!
ベーコン得意の三幅対、きっとこの絵は2013年3月に「フランシス・ベーコン展鑑賞」の時に観ているはず。
3枚で1組セットの実物は、迫力満点で存在感抜群なんだよね!
100億近い金額で購入できる人なら、絵のための部屋を用意するだろうな。
自宅にベーコンの絵があるってすごいよね!
ベーコンは非常に人気があって、144ミリオンダラーで取引された作品もあるんだよね。
144ミリオンって168億円ね!(笑)

続いて第3位はマーク・ロスコの「Untitled」が66ミリオンダラー、76億9000万円で取引されているね。
前回もそうだったけど、書いているうちにだんだん金額に驚かなくなってしまうのが不思議だよね。
ジャンボ宝くじの6億も当たらないっていうのに、76億だもんね。(笑)
1位と3位が共に抽象絵画で、どちらも前述したDIC川村記念美術館に縁のあるアーティストという点に注目かな。
DIC川村記念美術館には世界に3つしかない「ロスコ・ルーム」があるからね!
千葉県民として誇りに思うよ!(大げさ)
「ロスコ・ルーム」については今までブログに書いているから詳細は省くけれど、本当に素晴らしい何度でも通ってずっと室内に身を置いておきたい部屋なんだよね!

彫刻部門では2014年11月4日サザビーズでアルベルト・ジャコメッティの「Chariot」が100ミリオンダラー超えで落札されたとのこと。
117億3000万!
今までの彫刻部門ランキングでもトップのジャコメッティ、1位と2位を独占することになるんだね。
3位にランクインしているのがジェフ・クーンズの「Balloon Dog (Orange)」。
ジェフ・クーンズは人をおちょくっているようなタイプの作品が多いので、高額で取引されているのを知って驚いた。
かつて一世を風靡したポルノ女優で国会議員のチチョリーナと破局していたことも初めて知ったよ。(笑)

クリスティーズやサザビーズのオークションでの落札金額は、アーティストの人気度や評価の高低を知る目安になるよね。
今回はトップ3しか書いていないけれど、SNAKEPIPEには全く知識がなかったアーティストの作品が高額取引されているのを知り、どんな作品なのか興味を持つきっかけになったり。
億単位の金額に驚くだけじゃなくて、注目されているアーティストの情報を仕入れるソースとしての役割も担っているんだろうね。
購入できないからこんな書き方になっているのがバレバレだ。 (笑)
世界のコレクターズ・アイテム探し、次はどんなアイテムにしようか。
また書いてみよう!

ROCKHURRAH紋章学 薬ラベル編

【腕の手術方法が描かれている不思議な絵。これで本当に大成功なのか?】

SNAKEPIPE WROTE:

なんと「ROCKHURRAH紋章学」というシリーズ企画を1年以上書いていなかったことに気付いたSNAKEPIPE。
元々はROCKHURRAHが考えた面白いラベルを紹介するシリーズだったのに、2回目以降はSNAKEPIPEが書いている。
そして本来の趣旨から少しずつ外れていって、世界のビザールな逸品を紹介する「ビザールグッズ選手権」との区別がつかなくなっているのが現状だ。(笑)
企画を色々考えたとしても、書いているのはROCKHURRAHとSNAKEPIPEの2人だからね。
興味や趣味が一貫しているから仕方ないか。(笑)

今回は1年ぶりの紋章学の記事ということで薬のラベルを特集したいと思う。
なんで薬なのかってあんまり意味はないんだけど。(笑)

では早速ショッキングなラベルから紹介してみようか。
「Quick Death」と名前の付いたこの商品。
日本語に訳すと「即死」になると思うんだけど、こんな直接的な表現の商品はあまり聞いたことがないよね。
19世紀に販売されてたみたいなんだけど、まさか人間に使用するんじゃないよね?
ラベルをよーく見てみると上のほうに昆虫が描かれているのが分かる。
そして下の文章も注意深く読んでいると、これはどうやら殺虫剤みたいなんだよね。
蚊や蟻などに効くと書いてあるから間違いないね。
日本だったら「◯◯コロリ」などと、少しコミカルな表現になるところが、「即死」だもんね。
さすがアメリカ。
イエス/ノーがはっきりしてますな!

次も似たタイプのラベルにしてみようか。
これもどうやら19世紀に商品化されていた殺鼠剤のラベルみたいなんだけどね。
「中国製の毒」「ネズミ殺し」と直接的な表現で記載されている。
何故中国の毒なのか?
何故中国人と思われる人物がネズミを食べようとしているのか?
謎だらけだけど、とっても説得力があると感じてしまうところが更に不思議!(笑)
このラベルに興味を持った人が、新しい缶に同じプリントで売り出しているのも発見したよ。
ビンテージ物ヘタウマ系のイラストって最高だもんね!
この缶があったらSNAKEPIPEも欲しいな。 (笑)

動物つながりでこれはどうだ!
じゃーん!その名も「蛇油」だ!(笑)
SNAKEPIPEだけに、どうしても蛇の名前があると気になっちゃうんだよね!
さてこの「蛇油」とは一体何?
筑波山の土産物として有名な「ガマの油」を思い出してしまうよね?(笑)
調べてみるとあっさりWikipediaの記事が出てきてしまった。
英語版なので訳して理解したところによると、始まりは19世紀に大陸横断鉄道を建設するヨーロッパの現場作業員に筋肉痛の緩和として、中国人がインチキ薬を与えたこと、と書いてある!
20世紀初頭にはスタンリー・クラークが独自の調合で「SNAKE OIL」を売りだしたけれど、分析の結果は1%の脂肪油や赤トウガラシ、テレビン油、カンフルでインチキと判明し、罰金を払わされたとのこと。
こういったことから「蛇油」はインチキを意味する言葉になったらしい。
はー、ひとつ勉強になったね!
それにしても中国人がインチキした、としっかり書いてあるところが興味深いね。(笑)

なんでしょうか、このラベルは!
「Makes children and adult as fat as pigs」
子供や大人を豚と同じくらい太らせます、というキャッチフレーズ付きのこの商品、一体なんだろう?
調べてみると、どうやら1878年にパリでエドウィン・ウィリー・グローブがマラリアの再発防止、および随伴症状の治療法強壮剤として作り、実際に売られていた薬とのこと。
使用されていたキニーネは、多少はマラリアに効果があったようだけど、特効薬とはいえなかったにもかかわらず、1890年にはコカコーラよりも売れていたという。
太ってもマラリアにはかかりたくない、ということなのか?
それとも味が美味しかったのか?
謎の商品だよね!

最後もインパクトのあるこちら!
「10日以内に目が開かなかったらこの商品を買ってね」と書いてある。
目専用の軟膏のラベルみたいなんだけど、この少年の顔の不気味さが際立ってるよね!(笑)
困ってるはずなのに、なんで笑ってるのか?
見えてる左目は必要以上に見開かれてるよね。
この商品もまた1885年から1900年頃の商品のようで、調べたところではこれもインチキ商品だったって?
そう聞くと、この少年の歯を見せた笑顏もかなりインチキ臭く見えてきちゃうよね!

今回は19世紀から20世紀初頭のラベルを選んでしまったみたいだけど、ビンテージのラベルにはユニークなものが多いよね。
SNAKEPIPEの検索作業はまだまだ続くよ!