SNAKEPIPE MUSEUM #29 Wangechi Mutu

【「Riding Death in My Sleep」2002年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMはアフリカのケニア出身のアーティストをご紹介してみよう。
アフリカ系といえば「SNAKEPIPE MUSEUM #19 Kendell Geers」で特集したのが南アフリカのケンデル・ギアーズがいたっけ。
恐らく日本で開催される現代アート展では、アフリカ大陸からの作品を目にすることは少ないと思う。
そして自分の好みのアーティストに出会える確率も非常に小さいよね。
Wangechi Mutuの作品に出会った瞬間、ハッとした。
色使いも構図もモチーフも、とても新鮮に感じたのである。
調べてから初めて、ケニア出身の女性だと解り驚いた。

ワンゲチ・ムトゥは1972年ケニアのナイロビ生まれ。
現在はニューヨークのブルックリンに住んでいるという。
どうしてもケニアと聞くと、広大なサバンナと野生動物を思い浮かべてしまうけれど、ナイロビのロレト修道院で教育を受けた後にはウェールズのユナイテッド・ワールド・カレッジで学んだというから、10代でイギリスに渡ってるのね。
1990年代にはニューヨークに移り、エール大学を卒業したのが2000年とのこと。
ずっと社会研究やアートと科学について勉強していたというから、最初に書いた「広大なサバンナ」のイメージとは大きく異なっているようだね。

作品もアメリカ、イギリス、ドイツ、モスクワなど、世界各国で展示されているようで、どうやら2006年には森美術館で「アフリカ・リミックス展」として開催された展覧会にも参加していたことを今更ながら知ったSNAKEPIPE。
さすが、森美術館は早いね!(笑)

ワンゲチ・ムトゥがどんな女性なのか気になって画像検索してみたら、あらまびっくり!
ファッショナブルで知的な美女だったの!
ダイアナ・ロス(左)に似てると思ったんだけど。
右がワンゲチ・ムトゥなのね。
どお?似てない?(笑)

ワンゲチ・ムトゥの作品は、ネット上で見ていると判り辛いんだけど、描いている部分に写真を組み合わせたコラージュがほとんどなんだよね。
SNAKEPIPEも現物を見ていないのでハッキリ言い切れないんだけど、拡大して見ると明らかに写真が使われているのが判る。
左は「Family Tree」(2012年)というコラージュ作品。
例えば手だったり、目の部分に写真が使用されているよね。
SNAKEPIPE MUSEUM #22 Hannah Höch」で特集したダダの女流アーティストであるハンナ・ヘッヒもフォト・モンタージュで素晴らしい作品を完成させていたよね!

フォト・モンタージュをマネして作ってみようと
思った場合、今だったらフォトショップなどを使用して、
レイヤーを部分的に消したり、重ねたりすれば
なんとなくそれらしいものは作れるだろう。
表面的な技法を取り入れることは可能なんだけれど、
ハンナ・ヘッヒが作っていたような作品とは
まるで違うものになってしまうのがオチだ。

とSNAKEPIPEは書いている。
その時代の空気感を纏い、情熱の持ち方が作品に反映され、重要なエッセンスになっていたのではないか、とも続けて書いていて、もうあんな作品を作ることなんて不可能だろうと思っていたんだよね。
ところが、ワンゲチ・ムトゥは最近の雑誌から切り抜いた写真を使用して、上のような作品を制作しているというから驚いちゃうよね!
ワンゲチ・ムトゥにはダダの影響もあるのかもね?

ケニア・ナイロビをあえて前面に打ち出しているような作品もある。
「Misguided Little Unforgivable Hierarchies」
(2005年)は直訳すると「小さな許しがたい階層の間違った指導」になるのかな?
訳が難しいんだけど、なんとなく言いたいことは判るよね?
人種問題、性差別問題、奴隷制の問題など、恐らくワンゲチ・ムトゥは差別についての問題を作品に含ませているんだろうね。
モチーフに女性を多様していることからも、自らが女性であり、アフリカ系であるということで訴えたいことがあるんだろうなと予想する。
ただしSNAKEPIPEは、 そういった主義主張について理解したいわけではなくて、作品を観て「好き!」と思った、ということを一番に考えているので、あんまり作品やタイトルについて調べなくても良いのかもしれないなあ。

アフリカっぽさだけじゃなくて、アジアを感じる作品もあるんだよね。
「The Bride Who Married a Camel’s Head」(2009年) は「駱駝頭と結婚した花嫁」と訳して良いのかしら?
花嫁といっても、ちっとも晴々しくなくて、手には何やら血飛沫が上がった物体があるし、花嫁の肌色もどす黒いし、髪の毛は蛇だし。
グロテスクで禍々しい雰囲気が素晴らしい!
背景の空間の使い方が秀逸で惹かれてしまうね。
パッと観た時にはヒンドゥー教の絵なのかと思ってしまったSNAKEPIPE。
他に思い出したのはワヤン・クリッ(Wayang Kulit) の人形かな。
ワヤン・クリッとはインドネシアのジャワ島やバリ島で行われる、人形を用いた伝統的な影絵芝居のこと。
そこで使われている人形に上の作品が似ているように感じたけれど、どうだろう?

ワンゲチ・ムトゥは、コラージュ作品だけではなく、彫刻やビデオ作品も手がけている。

「The End of eating Everything」(2013年)を観ることができるので載せてみようか。
現代アートのビデオ作品には、意味不明のものが多いので敬遠しがちだけど、この作品は時間も長くなくてストーリーもあって判り易かった。
ちなみに出演している女性はワンゲチ・ムトゥ本人ではないみたいよ。

ワンゲチ・ムトゥの特徴であり最大の魅力は異種混同。
それは人間と動物のハイブリッドだったり、機械と人の融合や土着的な題材と現代的な題材のミクスチャーだったり。
大陸や人種、宗教までもミックスされている面白さがある。
だからこそ国や人種の違いを超えて、どこかに懐かしさを感じるのかもしれないね。
観たことがあるような、初めて観るアート。
また森美術館でワンゲチ・ムトゥ展、企画してくれないかしら?(笑)

アフリカ大陸はまだまだ未知なので、これからも探索してみたいよね。
他の国のアーティストももっと調べていきたいな!

映画の殿 第12号 ウィル・フェレル04

【「アダルト♂スクール」でステージに立つ全裸のウィル・フェレル】

SNAKEPIPE WROTE:

今週のROCKHURRAH WEBLOGは、ついに驚きのウィル・フェレル特集4回目!
どれだけウィル・フェレルの映画を観ているか、どれだけウィル・フェレルが好きかがよく解るよね。(笑)
何度も言うように日本での知名度は今ひとつというウィル・フェレルだけど、アメリカではドル箱スター!(言い方古い?)
どちらかと言えば「どぎつい」タイプの笑いなので、好き嫌いが分かれるだろうという予測はつくね。
ただし中年になったテディベアを主人公にした「Ted」も、ウィル・フェレル風の下ネタ系のジョーク満載だったにも関わらず、日本でもヒットしてるから驚きだ。
ぬいぐるみなら良いのか?(笑)
別に日本でウケなくても、全然関係ないけどね!
では早速いってみよう。
いつも通り、映画の製作順じゃなくてROCKHURRAH RECORDSで観た順番で書いているのでよろしくね。

最初は「アダルト♂スクール」(原題:Old School 2003年)から。

法務関係の仕事をしている主人公ミッチは、
婚約者の乱交パーティをきっかけに離別。
新しく借りた家はカレッジの敷地内にあるので、
悪友たちがそこを「社交クラブ」というクラブ名目で
利用することを画策する。
実情はバカパーティで、対立する学部長は難癖をつけて
クラブを潰そうとするが、
メンバーは試練に耐えて頑張り、学部長の陰謀を潰す。

非常に簡単過ぎるあらすじなので、これだけだと意味不明だよね。(笑)
「アダルト♂スクール」でのウィル・フェレルは、主人公ミッチの悪友フランクという設定で、一番初めに結婚式を挙げるんだよね。
最初は真面目な夫になろうと努力はしてみたものの、やっぱり友達と遊んでいるほうが楽しい様子。
新妻との約束を破り、アルコールを大量に摂取したせいで、またもやお得意の全裸になる始末。
映画の途中では定番のパンツ一丁シーンもあってノリノリのウィル・フェレル!
自慢の喉を披露するシーンもあったね。
新体操のリボンの演技は大笑いさせてもらったよ。(笑)

「アダルト♂スクール」の主人公はルーク・ウィルソン演じるミッチなんだよね。
なんとこの方、「映画の殿 第11号」で記事にした「ズーランダー」で新人モデルを演じていたオーウェン・ウィルソンの実の弟とのこと!
全然顔が違うから気付かないよね。(笑)
あらすじにもあったように婚約者と別れたミッチが一人暮らし用に家を借りる。
せっかくだから引越し祝いを兼ねてパーティやろう、と「ミッチ祭り」なるポスターまで作り、見知らぬ人まで押し寄せるような大規模な企画に発展したところから「社交クラブ」が発足してしまう。
ミッチ本人よりもやる気満々なのは、悪友たちなんだけどね。(笑)

もう一人の悪友はヴィンス・ヴォーン演じるバーナードである。
おや、この顔はどこかで見たような?
なんとヴィンス・ヴォーンも「ズーランダー」に出ていたんだね。
俺たちニュースキャスター」にも。(笑)
コメディ系の俳優というのは、皆どこかでつながっているみたいだね。
このバーナードが煽り、ミッチの家に実際に人を集めて「社交クラブ」が何故大切なのか力説したことで本格的に活動が始まってしまう。

映画の中で気になったのが、大学に勤めている職員の一人。
この俳優の顔は見間違えることがないね。
リンチの「マルホランド・ドライブ」でウィンキーズというダイナーで見た夢の話をしていた眉の太い青年だよね!
リンチの映画以外で見たのは初めてだからビックリだったよ。

もう一点気になったのは、「ミッチ祭り」でゲストとして登場したのがスヌープ・ドギー・ドッグだったこと!
今はドギーが抜けてスヌープ・ドッグになってるなんてことも知らなかったなあ。
映画の中で披露していたのが「paid in full」だったんだけど、SNAKEPIPEはEric B & Rakimの曲だと思っていたけど?
単なるカバーなのかな。
大好きな曲だったので嬉しかったな!(笑)

「アダルト♂スクール」も黄金期→挫折→復活というウィル・フェレル得意のパターンを踏襲しているタイプの映画だったね。
大人の男が真剣に遊ぶことについて考え、生きがいになっていく。
ハチャメチャなシーンは多いけど、共感できる人も多いんじゃないかな?

続いては「ペナルティ・パパ」(原題:Kicking & Screaming 2005年)ね!

闘争心あふれる父バックに育てられた冴えない
中年男フィルは、息子が所属する弱小サッカーチーム
「タイガース」の監督を引きうけることに。
バックが監督を務める強豪チーム「グラディエーターズ」にボロ負けしたことから、フィルは鬼コーチと化して
チームメイトたちを鍛えはじめるが……。

ウィル・フェレルの役名がフィルなんだよね。(笑)
フィル自身が子供の頃から運動が苦手で、大人になっても父親に見下されてしまうという役どころである。
どうしてダメダメな役なのか、って?
それは例の黄金パターンのためだよ!
ウィル・フェレルはスポ根物が得意だからね!(笑)

ウィル・フェレルの父親バックを演じているのがロバート・デュヴァル
「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」で有名な俳優だよね。
SNAKEPIPEは、前述した「paid in full」がサウンドトラックに入っているデニス・ホッパー監督作品「カラーズ 天使の消えた街」 の時のロバート・デュヴァルが印象に残っているけど。(笑)
「男は強くあるべき」という頑固で一歩も譲らないタイプのアメリカ男がよく似合っていたと思う。

弱小サッカーチームが、努力をすることで勢いに乗っていく展開は、予想通りだった。
そして父親vs息子という構図は、「巨人の星」や「美味しんぼ」などでもお馴染みのテーマだよね。
「ペナルティ・パパ」ではスッキリする結末で、ほとんど下ネタもないのでファミリー向け映画という感じかな。
実はSNAKEPIPEには物足りなかった。(笑)

最後は「奥様は魔女」(原題:Bewitched 2005年)で締めようか。

元はトップスターだったジャックのもとに、
テレビドラマ「奥さまは魔女」の出演依頼が来た。
そして、彼は相手役のイメージにぴったりな女性
イザベルと出会うのだが……。

タイトルは60年代にアメリカ人気テレビドラマだった「奥様は魔女」と同じだけど、この映画はそのリメイクじゃないんだよね。
映画の中でリメイクを作る、という設定になってんだけど。
元トップスターだったジャックを演じるのがウィル・フェレル。
すでに最初から落ちぶれている設定なのね。(笑)
出会う人のほとんどから「私あの人嫌い」と言われてしまうほど。
黄金パターンを信じて観ていこう!

相手役のイメージにぴったりな女性として登場したのがニコール・キッドマン演じるイザベル。
特別選んでいるわけではないのに、意外とニコール・キッドマンの映画って観てるんだよね。
今まで観てきた映画の中では、一番ニコール・キッドマンが美しく見えたと思うSNAKEPIPE。
それなのにゴールデン・ラズベリー賞でウィル・フェレルと共に最悪カップル賞を受賞したらしい。
なんでだろう?
そんなにひどい映画なのか?(笑)

ニコール・キッドマンのお父さん役がマイケル・ケイン演じるナイジェル。
このお父さん、娘が心配なのかどんなところにも顔を出して忠告を与えるシーンが面白かった。
例えばスーパーで買い物をしているとポップコーンのパッケージに隠れて喋り出したり。
他にも色々なバージョンがあって、よくできていたね!

60年代のテレビドラマ「奥様は魔女」に出演していた役どころが登場していたようで、当時を知っている人には懐かしく感じるんじゃないかな?
テレビドラマ版で魔法を使う時にサマンサがやっていた「鼻をピクピク動かす」仕草も、ニコール・キッドマン頑張ってやってたし。
なぜラジー賞なのか不思議でならないよ。
えっ?ウィル・フェレルを贔屓にしてるから、褒め言葉しか出てこないんだろうって?
うーん、もしかしたらそうかもしれない。(笑)

ウィル・フェレル特集を4回も書くとは、SNAKEPIPE自身驚き!
もうウィル・フェレルが主演、もしくは準主役の映画が少なくなってしまったので、5回目の特集記事を書くことができるとしたら新作が発表されてからになるのかな。
ウィル・フェレルの活躍を期待して待っていよう!

二人のホドロフスキー 愛の結晶展 鑑賞

【会場内を撮影させて頂いた1枚】

SNAKEPIPE WROTE:

ホドロフスキー新聞やキネマ旬報での記事、インターネット上などで以前から知っていたホドロフスキー夫妻による絵画展。
かなり長い期間開催されていると思い、いつかチャンスがあったら行こうとボンヤリ考えていた。
長年来の友人MやROCKHURRAHからも、絵画展の情報知ってる?などと聞かれたこともある。
先日ふと思い出し、もう1度絵画展について調べると会期は9月21日まで!
まだまだ大丈夫、なんて悠長に構えていられないほど迫ってるじゃないの!
これは早速計画しなければ!

9月には2回連休があるので、どちらかの日程で調整しようとROCKHURRAHと相談する。
友人Mにも声をかけると是非一緒に行きたいとのこと。
怪しい3人組、今回は渋谷に参上である。

会場となっているアツコバルーに行くのは今回が初めて。
サイトに表示されているマップによれば、Bunkamuraのすぐ近くとのこと。
最近全然Bunkamura方面行ってないなあ!
かつては仕事の関係で月に1度は通っていた渋谷区松濤だったのに、すっかりご無沙汰。
いつの間にかドン・キホーテまでできてるよ!(笑)

友人Mとは109前で待ち合わせ。
方向感覚に優れている友人Mが一緒だと、初めて行く場所も安心ね!
バルーといえば、かつて一世を風靡したサラヴァ・レーベルの主催がピエール・バルーだから、アツコバルーと関係あるんじゃないの?とROCKHURRAHが話す。
さすがはレコード屋、良く知ってるね!
ピエール・バルー!
ルールールーシャバダバダシャバダバダ~
あの有名な「男と女」の俳優、そしてあの主題歌!
そうなのかな?関係あるのかな?

などと話しているうちに、目的の場所アツコバルーのビルに到着する。
ホドロフスキー夫妻絵画展のボスターが貼ってあったので分かり易かった。
5階へ向かう。
エレベーターを降りるとすぐに会場になっている。
靴を脱いでお上り下さい、と声をかけられる。
展覧会で靴を脱ぐのは初めてかも!
チケットはドリンク付きで500円。
しかもドリンクはコーヒーや紅茶だけではなくて、カクテルやワインなどのアルコール類も選べることになっていてびっくり!
飲み物を持ったまま鑑賞してもOKとのこと。
何もかもが初めてづくし、少しだけ戸惑いながら鑑賞することにしたのである。

実はドリンク付きで500円の情報を知った時に、恐らく展示作品数が少ないんだろうなと勝手に予想していたSNAKEPIPE。
ところがその予想は大きく裏切られ、展示作品数の多いこと!
総展示数52点とは、びっくりだね。
1枚ずつじっくり鑑賞していく。

ホドロフスキーは1967-1973年の間
メキシコの新聞「EL Heraldo」 誌の週末増刊号に、
カフカ的実存主義に支配されたナンセンス・ストーリーから
次第に自身が影響を受けた禅の悟りに関する
「ファブラス・パニコス(素敵なパニック)」を
合計284ページにわたり連載し、プロの漫画家として
活躍していた(webより引用)

そしてホドロフスキーのデッサンを観た奥様、パスカル・ホドロフスキーが 絵を描くことをホドロフスキーに勧めたことから、ドローイングを共作するスタイルになったという。
バンド・デシネ(ベルギーやフランスを中心とした地域の漫画)の原作者としてのホドロフスキーは知っていたけれど、ホドロフスキー自身も描いていたとは全く知らなかったよ!
ペン画をホドロフスキーが、水彩で色を付けるのが奥様という共作スタイルだって。
さすがにプロの漫画家だった程の腕前、構図も題材も素敵、そして色合いのバランスが素晴らしい!
結婚して10年というホドロフスキー夫妻の仲睦まじさ、関係の深さがにじみ出てると思う。
上の画像は「虎のタンゴ」という2014年の作品とのこと。
2014年って今年なんだよね!
「リアリティのダンス」と「DUNE」のプロモーションで忙しかっただろうに、精力的に活動してるよね。

映画監督でもあり、絵も描くと言えばSNAKEPIPEが敬愛しているデヴィッド・リンチがいるよね!
恐らく「カルト映画」として同じジャンルで括られてしまう2人だけど、絵を鑑賞すると全くタイプが違うことが判るね。
リンチの絵に感じた暴力性がホドロフスキーには感じられない。
リンチの異常性もホドロフスキー夫妻には見受けられなかったね。
タイトルに「愛の結晶」と謳われているのが良く解る。(笑)
ホドロフスキー夫妻の絵には残酷な題材もあるんだけど、コミカルな雰囲気なんだよね。
ROCKHURRAHいわく「日本語にしたら’ひょうきん’」だって。
確かに観ていて怖くなるリンチの作品にはなかった表現だよね!

8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで鑑賞した「好き好きアーツ!#26 DAVID LYNCH –「鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展」と「イメージメーカー展」」の時も今回のアツコバルーも、どちらも展示販売の形式だったけれど、どちらの展示会にも購入者がいるんだよね!
今回のホドロフスキー夫妻のドローイングは原画ではなくジクレー版画で販売しているとのこと。
ジクレー版画って一体なんだろう?

リトグラフやシルクスクリーン版画と違い、
版を用いずに刷り上げるのが特徴で、
デジタルデータを上質なキャンバスや版画用紙、
高級写真用紙や和紙などの最高級の素材に、
150~250年規模の高い保存性を誇る、
ミュージアム・クオリティの顔料プリントのこと。
ポスター印刷との最も大きな違いは、
作家自身が監修を行いプリント工房(グラフィック)と
共同で作り上げる「作品」という点にある。

と説明されている。
より原画に近い形で再現されていて、お手頃価格で購入できる点がファンには嬉しいってことだよね!(笑)
いや、いくらお手頃とはいってもSNAKEPIPEにはちょっと難しい…。
画集があったら欲しいなあ!

ひと通り鑑賞が終わったところで、飲み物を頂きながらホドロフスキーのインタビュー映像を観ることにする。
入り口でチケット販売をしていた女性をハッキリ見ていなかったSNAKEPIPEは、ドリンクカウンターにいる彼女を見てビックリ!
なんて美しいんでしょー!(笑)
思わず、綺麗ですね!と声に出してしまったほど。
そしてその女性の後ろにある「うちわ」に目が止まる。
「ほどろふ」「すきっ」と書かれた、ホドロフスキーうちわ!(笑)
アツコバルーの関係者である美大生が制作されたとか。
友人MとROCKHURRAHに持ってもらい、撮影した画像!
快く撮影OKさせて頂き、ありがとうございました!
作品1枚ずつの接写以外なら、会場内の撮影も快諾して頂きとても嬉しかった。(※上の作品画像はネットからの引用です。念のため)

ホドロフスキーの映像は「リアリティのダンス」と「DUNE」のトレイラーに加え、先日ホドロフスキーが来日した際のインタビューが入っていた。
若さの秘訣について聞かれると「若い妻を得ること」などとユーモアを混ぜて答えている。
日本との関わりについても、「リアリティのダンス」にも登場した日本人の床屋の話などをしていたね。
顔の色艶も良くて、とてもパワフルなホドロフスキーだったよ!

帰り間際にチケット販売の美人さんが名刺をくれた。
ブログに書いた際には連絡して欲しいとのこと。
ってことで今回のブログはご了承頂いた上で書かせてもらいました!
そして11月に開催される「世界のCMフェスティバル」にも足を運んでね!とフライヤーを渡してくれた。
美人さんの関係者が主催しているとのこと。
「好きなことしかやらないんです」
って羨ましい環境だねー!(笑)
いつかそんな言葉を言ってみたいな。

会場に入る前に疑問だった「バルー」についても教えて頂いた。
アツコバルーのアツコさんは、ピエール・バルーの奥様とのこと!
関係あるどころじゃなかったね。(笑)

2014年はすっかりホドロフスキー・イヤーになったね。
次回作「フアン・ソロ」も楽しみだ!
そしてアツコバルーの次回の展覧会「野又穫 展 「Ghost」 浮遊する都市の残像」とのこと。
野又穫は一目惚れで画集を購入した大好きなアーティストなので、また行ってみたいと思う。

映画の殿 第11号 ウィル・フェレル03

【「ズーランダー」でウィル・フェレル演じるムガトゥ!HAPPY!HAPPY!HAPPY!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のROCKHURRAH WEBLOGは先週に引き続きウィル・フェレル特集にしようか。
好きになるとトコトン追求してしまうROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
日本での知名度なんて関係ないもんね。(笑)
2013年の夏にもペドロ・アルモドバル監督の特集を驚きの4週連続企画にしたことを思い出すね。
きっとその時と同じような衝撃的な企画になること間違いなし!
では早速行ってみよう!
毎度のことだけど、映画は製作年度順ではなくてROCKHURRAH RECORDSで鑑賞した順番で書いているのでお間違いないようお願いします。

最初は「タラデガ・ナイト オーバルの狼」(原題:Talladega Nights: The Ballad of Ricky Bobby 2006年)から!
監督はもうすっかりお馴染みになっているアダム・マッケイ。
簡単にあらすじを書いてみようね。

アメリカの人気カーレース「NASCAR」にデビューすると瞬く間に頂点に登り詰め、国民的ヒーローとなったリッキー・ボビー。
しかし、F1から転向してきたフランス人ドライバー、ジャン・ジラールの出現が、彼の人生を一変させてしまう。

天才カーレーサー、リッキー・ボビーを演じるのは我らがウィル・フェレル。
フィギュアスケート、バスケットボールに続いて今回はカーレースとは!(笑)
この「いかにも」な雑誌の表紙など、どんな役にもすっかり馴染んでしまうのはさすがだよね。
豪邸に住み、モデルのような妻と2人の子供と暮らす成功した人物だったのに…そう!またいつもの黄金パターンなんだよね。(笑)
栄光から転落、そして這い上がる。
これでいいのよ!ね?(笑)
定番になるつつあるパンツ1丁姿も見逃せないね!

リッキー・ボビーの右腕として、同じくレースに登場するのが親友のカル。
演じているのは「俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』(原題: Step Brothers 2008年)で義理の兄弟として登場したジョン・C・ライリー
「タラデガナイト」ですっかり意気投合したから「ステップブラザース」につながったのかな?
ボビーの右腕とは言っても、実際には「そんなバカな!」という手を使ってボビーを優勝させる脇役なのである。

ボビー転落のきっかけになったのが、フランス人ジャン・ジラール。
演じているのはイギリス人コメディアンで俳優のサシャ・バロン・コーエン
全然フランス人じゃないんだよね。(笑)
だからこそできたであろう、フランスこきおろしネタ!
カーレースの最中にカプチーノを飲んだり、カミュの小説を読んだり。
レース用のつなぎには大きなペリエのロゴがあったり。
フランス人が観たら怒らないのかハラハラしちゃうね。(笑)

映画の中で大笑いしたのが、レポーターが客席の中に有名人を発見してインタビューするシーン。
字幕に出ているように、レポーターはケニー・ロジャースだと思い込んで出演させているけど、どう見ても別人なんだよね。(笑)
他にも別人だと思われる人物が同じようにインタビューに答えてたけど、SNAKEPIPEは知らない人だった。
アメリカではきっと大ウケなんだろうな。

マーシャル博士の恐竜ランド』(原題:Land of the Lost 2009年)は1970年代にテレビシリーズだった作品の映画化とのこと。
Wikipediaによると

ディズニーやソニーと映画化権を争い、
1億ドルの製作費がかけられた割に
北米興行収入は5000万ドルにも満たなかったため、
ユニバーサルでは重役の首が2つ飛んだと言われる

らしい。
ウィル・フェレルが主役になるって時点で、下品な笑いになることなんて最初から分かるはずなのにね? (笑)
もしディズニーだったとしてもウィル・フェレルはそのまんまだっただろうね!
そんな大コケした映画と聞くと益々興味が湧いてしまうのがROCKHURRAH RECORDSだよ。(笑)

科学者リック・マーシャルはタイムワープの研究で
未知なる世界の存在を信じているが、
学会からは全く相手にされなかった。
しかし、若い女性科学者ホリーはリックの学説を信じ、
研究のサポートをする。
やがてタイムワープが完成し、2人は案内役の
ウィルを巻き込みながら時空の旅に出る。

今度は科学者リック・マーシャルという役どころのウィル・フェレル。
テレビ出演の際に司会者と乱闘騒ぎになったため落ちぶれてしまう。
研究も全く評価されず不本意な仕事に就き、世間からは笑いものになっている。
あ、これも黄金パターンだね!(笑)
ウィル・フェレルのハチャメチャぶりは健在なので、ユニバーサルの不振の原因はもっぱら制作費がかさんだことなんじゃないかと推測する。
ウィル・フェレルは悪くないよ!

科学者リックを応援するのが、今回のヒロイン、ホリー。
演じているのはアンナ・フリエルというイギリス人女優なんだけど、今まで一度も観たことないみたい。
ちょっとシガニー・ウィーバーとスターウォーズでレイア姫だった 、当時のキャリー・フィッシャーに似てるように思ったよ。
活発なおてんば娘という役だからかな?
えっ、陰気なおてんば娘なんていないから日本語おかしい?(笑)

そんな2人と偶然に冒険を共にすることになるのが洞窟案内係のウィル。
演じているのはダニー・マクブライドという俳優。
コメディ映画によく出演しているというだけあって、ウィル・フェレルとの掛け合いも抜群だったね!

最も面白かったのは、謎の建造物に触れた時に声が劇的に変化することに気付くシーン。
ダニー・マクブライドが突然シェールの大ヒット曲「Believe」を歌い出すのだ!
その様子を見ていたウィル・フェレルはどうするのかと思いきや、同じように透明な建造物に手を当て、「Believe」を歌い初め、2人でハモる。
シェールの「Believe」はオートチューンを使いボーカルにエフェクトをかけていることで有名だよね。
「シェール・エフェクト」 と呼ばれるらしいね。
それを再現しようとしているのが実に面白かったよ!(笑)


他にもウィル・フェレルお得意の歌のシーンや、タイトル通り恐竜が出てきたりと見どころ満載の映画なんだよね!
どうしてヒットしなかったのか不思議でならないよ。

最後は「ズーランダー」(Zoolander 2001年)で締めようか。

スーパーモデルであるデレク・ズーランダーは
キメ顔「ブルー・スティール」を武器に年間最優秀モデルを3年連続で受賞して、トップの座に君臨していた。
しかし、新人のハンセルに4年連 続受賞を阻まれる。
デレクは引退を決意して地元に戻るが、家族に歓迎されず再びファッション界に身を置くことになる。
ある日業界業界No.1デザイナー、ムガトゥから
ショーモデルのオファーがかかる。
これを機に復活を懸けるデレクは、ムガトゥがある計画を企んでいるなど知る由もなかった。

映画のタイトル「ズーランダー」とは人の名前だったのね!
演じているのは俳優・映画監督・脚本家のベン・スティラー
キメ顔「ブルー・スティール」でも笑わせてもらったけど、完成した「マグナム」も素晴らしい!(笑)
撮り方で本当にモデルっぽく見えてしまうんだよね。
LIFE!」(原題: The Secret Life of Walter Mitty 2013年)でも監督兼主演俳優のベン・スティラーだけど、ウィル・フェレルを知るまでは、ほとんどコメディ映画を知らなったSNAKEPIPEなので、ベン・スティラーの他の作品も観てみたいな。

あらすじにあったズーランダーの最優秀モデル賞を阻んだ新人ハンセルを演じているのがオーウェン・ウィルソン
ウェス・アンダーソン監督作品でよく見かける俳優だよね。
ズーランダーとハンセルが決着をつけようと、ウォーキング対決をするシーンが見どころの1つかな。
ウォーキングって、ダイエットのアレじゃないからね!(笑)
モデルがファッションショーでキャットウォークと呼ばれる客席に長くつきだしたステージを歩く、あの歩き方でどっちがモデルとして優れているかを競う、というもの。
コメディ映画だから、普通の対決じゃないんだよね。(笑)
そしてこの時審査員になっていたのがデヴィッド・ボウイ
「ズーランダー」にはボウイの他にも、たくさんの著名人が出演しているので、見つける楽しみもあるよね!

「ズーランダー」の中で最も強烈な個性を放っているのが、業界No.1のファッションデザイナー、ムガトゥ!
我らがウィル・フェレルが演じている。
奇妙なヘアスタイルに、「MUGATU」と大きなロゴが入ったニットを着ているところは、本当に実在しているデザイナーみたいで秀逸!
悪巧みのためにおかしなプロモーションビデオまで作っていて、大笑いしてしまった。(笑)
写真の隣に写っているのはミラ・ジョヴォヴィッチ
彼女もファッション業界にいそうだから、キャスティングがバッチリだよね!

俺たちフィギュアスケーター」の元ネタはこれだったのかな、と感じるシーンがいくつかあったね。
音楽も80年代で良かったし、それに関する秘密も隠されていたりして大満足だった。
こうして更にウィル・フェレルのファンになっていくROCKHURRAHとSNAKEPIPE!
ウィル・フェレル特集はまだまだ続きそうだね。(笑)