Bad Ass 鑑賞

【Bad Assのトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

2013年2月に書いた「ROCKHURRAH紋章学 ワイン・ラベル編」の中で「BADD ASS」というアメコミを使用したワインについて紹介した。
そのワインについて調べようとしても、映画「Bad Ass」ばかりがヒットしてワインについての詳細は不明だった。
そのかわり我らがヒーロー、ダニー・トレホ主演の映画があることを知り、日本公開はいつになるのかと期待してずっと待っていたSNAKEPIPE。
結局日本公開の知らせはないまま時は過ぎ、先日ふと
「そういえばダニー・トレホの映画ってどうなったんだろう?」
と再び検索してみたのである。
すると!なんという幸運!
2013年5月2日に日本未公開のままDVD化されることを知るのである。
飛び上がって喜ぶSNAKEPIPE!
そしてレンタル開始当日、TSUTAYA前で開店を待つのである。

新作コーナーにまっすぐ向かい、アクション映画の棚を探す。
見つからない!
心を落ち着けてよーく見てもない!
おかしいな、と違う棚のほうに目を向けると、びっくりしたことに「Bad Ass」だけで15本も揃っていて、しかもそのうちの9本が貸出中になっている!
店舗によってルールが違うのかもしれないけれど、レンタル開始と表記された当日の開店と同時に行って、既に貸出中ということは前日に出してるんだろうね?
例えば24時を過ぎたら並べる、という暗黙の了解があるのかしら。
24時間営業なのか、そうじゃないのかによっても違いがあるのかもしれない。
「Bad Ass」は残り6本あったので良かったけれど、もし1本しかないDVDがレンタル開始当日の朝一番に貸し出されてたらショックだろうな。(笑)
こうしてSNAKEPIPEは無事に当日中に鑑賞することができたのである。

ここでダニー・トレホへの想いについて少し書いてみたい。
2010年8月の「CULT映画ア・ラ・カルト!【08】Robert Rodriguez」で映画「デスペラード」について書いた時、

この映画の中で一番興味を持ったのは刺青を入れたナイフ投げの男。
一言もセリフがない役だったけれど、非常に存在感があった。

と紹介していたのが、ダニー・トレホのことだったんだよね。
「デスペラード」を観た1995年当時には全く情報を得ていなかったけれど、特徴のある顔や刺青、マッチョな肉体は一度見たら忘れらない独特の雰囲気を持った俳優なので、別の映画で発見した時にも、
「あ、あのナイフ投げの男!」
と名前を知らなくても認識できたのである。
随分あとになってWikipediaなどで情報収集できるようになり、やっと名前や経歴を知る。
ロバート・ロドリゲス監督の従兄弟だったことから、同監督の作品への出演が多いこと、そして実際にダニー・トレホが長い期間刑務所に入っていたことも知るのである。
強烈な個性は、本物の凄みのせいだったのね!(笑)
以前より注目していた俳優が、偽の映画予告編だったはずの映画「マチェーテ」で実際に主演すると知り、大喜びしたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
ダニー・トレホは2010年に「みうらじゅん賞」をもらっていたことを知り、大きくうなずいてしまった。
みうらじゅんもグッと来たんだろうね!(笑)
かつてはチョイ役が多かったダニー・トレホが、60歳を越えてから主役の座に座っているところも応援したくなる要因だよね。

「Bad Ass」について簡単に書いてみようか。
これはアメリカで実際に起こった出来事をモチーフにしている、最近はやりの「Based On a True Story」、もしくは「Inspired By***」の類である。
バスの中で暴言を吐き暴力を振るった若者を、67歳の初老の男性Tom Brusoが怒り叩きのめしてしまった、という事件が元ネタ。
動画サイトYouTubeでかなりのアクセス数を獲ったことで、事件が話題になったようだ。
この事件で有名になったTom Brusoはベトナム戦争経験者。
Tom Brusoがインタビューに答えている映像も観ることができるけれど、本当にM65を着てるんだよね。(笑)

※ネタバレしないように用心して書いているつもりですが、鑑賞前の方はご注意下さい。

映画はバス事件が起こる前、ダニー・トレホ演じる主人公、フランク・ベガの半生を描き出す。
高校卒業後軍隊に入隊。
1967年にはベトナム戦争へと向かい7年間従軍する。
負傷し、復員兵となる。
待っていてくれるはずの高校時代の恋人はいつの間にか結婚し、母親になっている。
警察学校に志願しても、負傷した者は入学できないとの通知が来る。
社会人になるため就職活動をするが、大学を出ていない、職歴がないなどの理由でことごとく断られる。
左の写真が、フランク・ベガが会社訪問をして面接を受けているところ。
ベトナム帰り、ということを象徴して髪型とかヒゲにしたんだろうけど、いかがなものでしょう?(笑)
そして右がダニー・トレホの若い頃の写真なんだけど、雰囲気どうかな?
フランク・ベガはそれから先40年間、ホットドッグ屋として生きていくのである。


そしてある日、事件が起きる。
いつも乗っているバスの中で、2人組のスキンヘッドが高齢の黒人男性にいちゃもんをつけている。
MA-1に、編み上げブーツにパンツの裾をINという完全なOi!のスタイルである。
黒人男性は気丈で、2人の脅しに耳を貸さない。
まるで「公民権運動の母」ローザ・パークスみたいだね!
その様子を見ていたフランク・ベガが、2人組に着席するよう呼びかける。
すると次に2人組が標的にしたのが、フランク・ベガだった。
騒ぎにならないように、と若者を諌めていたのにも関わらず調子に乗ったOi!の連中。
殴ろうとして、反対にフランク・ベガにボコボコにされてしまう。
この様子を携帯で撮影していた観客達もビックリするほどの鮮やかさ!
そしてフランク・ベガはバスから降りていく。
この時にTシャツのバックプリントが判るんだけど、なんとこのTシャツも、モデルとなっているTom Brusoが着ていたのと全く同じ!
「I AM A MOTHERFUCKER」
って書いてあるよ。(笑)
黒いキャップをかぶり、Tシャツに短パン、腰にはウエストポーチ、そして白いソックスでスニーカーというスタイル、更にヒゲまでモジャモジャに生やしちゃって、もうその姿はTom Brusoそのものだよ!(笑)
乗客が撮影した映像がYouTubeで評判になり、フランク・ベガは一躍有名人になってしまうのである。


壁に似顔絵が描かれたり、地元のヒーローとしてテレビに出演したり、Tシャツが作られたり、「Bad Ass」というニックネームも付けられて、フランク・ベガ・フィーバーは続く。
上の写真がテレビ番組に母親と一緒に出演した時のものなんだけど、年齢差があまり感じられなくて、母親と息子には見えないんだよね。(笑)
そしてこの年齢になるまで、母親から「my son」(坊や)と呼ばれていることにも驚いてしまう。
母親も息子が注目を集めていることが得意な様子だ。
ところがその幸運は長くは続かない。
最愛の母親が亡くなり、更に親友であるクロンダイクが殺害されてしまうのである。
警察が親友殺しの捜査のために動いていないことを知ったフランク・ベガは、自らの手で犯人を探し出すことを決意する…。
というのが、少しだけ詳しく書いたあらすじね。

ところでそもそも「Bad Ass」ってどんな意味なんだろうね?
直訳してしまうと「悪いお尻」になっちゃうから、ちゃんと調べようね。(笑)
映画の中に出てきた訳には「イカした英雄」って書いてあったよ。
1つ1つは悪い意味の単語でも2つつなげると褒め言葉になってしまう、という英語の摩訶不思議な使用法。
かなりカジュアルな言い方らしいけど、面白いよね!(笑)

SNAKEPIPEが非常に気に入ったのは、フランク・ベガのテーマ曲のようなkid frost and big tankの「I’m a Bad Ass」である。
ラップやヒップホップが大好きだった時代に聴いていた雰囲気なんだよね。(笑)
「へーい!」と叫ぶあたりが、DJ Jazzy Jeff & The Fresh PrinceとかNaughty By Natureを思い出すね。

曲調はデニス・ホッパーが監督した映画「カラーズ」(原題:Colors 1988年)の主題歌だったIce-Tの「COLORS」に似てるように思う。
結局SNAKEPIPEが懐かしいと感じる、約25年前の音楽に近いってことね。(笑)
この手のラップが好きだった人にはお薦めの曲だね!


「Bad Ass」は、いつものマッチョな雰囲気だけではなくて、お茶目なダニー・トレホも見せてくれる。
上の写真は女性と食事をするために支度をしているところ。
ウキウキしながら、ルンルン気分のダニー・トレホ!
こんなに嬉しそうなダニー・トレホの顔を見るのは、もしかしたら初めてかも?
笑顔は前に「スパイ・キッズ」の中で見た記憶があるけどね!
ダニー・トレホ、歯がとてもキレイなのね!新発見!(笑)

「Bad Ass」はダニー・トレホ・ファンはもちろんのこと、アクション映画が好きな人にもお薦めである。
「若いもんには負けやせん!」
なんて気骨のある高齢者にも、是非観てもらいたいよね。(笑)
ストーリーが単純で、解り易いところも良い。
鑑賞後にスッキリすること間違いなし、である。
そしてどうやら「Bad Ass 2」が制作されているらしい!
facebookにアカウントがあり、その中で語られているので間違いないだろう。
「Bad Ass」は日本で公開されなかったから、きっと「Bad Ass 2」も無理かな?
どうかせめてDVDだけでも発売お願いします!
そしてダニー・トレホといえば、「マチェーテ」。
この続編「Machete Kills」はアメリカで2013年9月13日公開予定とのこと。
日本ではいつになるんだろう?
それにしても毎年のように主演作がある68歳のアクション俳優ってあんまりいないよね?
まだまだダニー・トレホから目が離せないね!(笑)

ROCKHURRAH視察団/COSTCO編

【なんとも殺風景な外観!この中にあんなモノやこんなモノがあるとは!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

都内在住の友人Mは、ほとんど千葉県内にある商業施設を訪れたことがなく、3月には「どうしてもIKEAに行ってみたい!」という要望に応えて、一緒に訪れた話は「SNAKEPIPE MUSEUM #20 Germaine Richier」の冒頭に書いた通りである。
味をしめた友人Mは「次はコストコだね!」と勝手に次の目標設定をして、意気揚々と帰って行った。
千葉県民でありながら、実を言うとコストコ体験をしたことがないSNAKEPIPE。
少しコストコについて勉強が必要みたいだね。

今更だとは思うけれど、簡単に説明してみようか。
コストコとはワシントン州に本社がある、会員制倉庫型卸売小売チェーンで、正式な会社名はコストコ・ホールセールという。
世界各国に倉庫を展開、日本にも15拠点あり、今年中に3倉庫オープン予定とのこと。
現在千葉県内にあるのは幕張倉庫。
なんとオープンしたのは2000年というから、すでに13年経ってたのね。
その間、一度も訪れたことがなかったとは驚き!(笑)

特徴としては、前述したように年会費を支払う会員制であること。
SNAKEPIPEの場合は個人会員となるため、4200円が必要になる。
買い物しなければ会員証は不要なのかどうかを調べてみると、入場するために会員証が必要とのこと。
ぎょっ、初めて行く場所で何も分からないのに、4200円を払うのは勇気が要る! 恐らく同じように考える人が多いようで、なんとかして一日だけでも見学できないだろうか、といったブログを見かけた。
ただし、コストコでは「買い物しないし、もう来ることもない」と思った人には、年会費を返してくれるシステムもあるそうだ。
まずは入会して、どんな商品があるのかを見てみないとね!(笑)

幕張倉庫店は千葉市美浜区豊砂、駅名でいうとJR京葉線の新習志野駅と海浜幕張駅の中間に位置する場所にある。
SNAKEPIPEは免許は持っているけれど、完全なペーパードライバーなので、電車やバスを乗り継いで行くしかない。
4月だというのに冷たい雨と強い風が吹く中、SNAKEPIPEと友人Mは初めてのコストコ行きを決行したのである。

「新規会員登録はどうしたら良いですか」
という質問に、3階へ上がるように指示をされる。
皆さん、大きいカートを押して、長ーーいエスカレーターを上っている。
このカートだったら、SNAKEPIPEと友人Mの二人くらい余裕で乗れるね!
そんな大きいカートとカートの間に挟まれながら、3階へと進む。
皆さんの買い物をさりげなくチェックしてみると、あの大きなカートに載せきれなくて、2台カートを使用しているような家族までいる!
たくさん買うんだなーとびっくりするSNAKEPIPE。
どうやら、3階に駐車場があるために、買い物が終わったらカートのまま上がって車に乗せるつもりなんだね。

SNAKEPIPEと友人Mは駐車場横にある新規会員用スペースへ。
全くまばたきをしないような大きな目の女性から、登録についての説明を受ける。 コストコ内で使えるクレジットカードはアメリカン・エキスプレスとコストコオリコカードの2種類のみ!
どちらも持っていない場合は、ご入会いかがですか、今ならコストコ商品券付いてますよ、などと勧誘される。
でもね、この段階ではまだどんな商品が置いてあるのか不明なんだよね。
何かの目的があるなら別だけど、なるべくならカードを増やしたくない人のほうが多いように思うけど?
クレジットカードについては丁寧にお断りして、それ以外のコストコ入店の際の説明を受け、2階へ。
ここでは写真撮影と会費の徴収。
会員証には写真を載せるらしいので、撮影が必要なんだよね。
レジに向かうと、背中部分にブルーの布があり、その前で撮影するらしい。
まるで胃カメラのような小さなカメラをおでこ辺りに向けられ、カシャッ。
お金を払い、会員証を渡されて写真を確認してみると…。
なんと、まるで魚眼レンズで撮影したようなSNAKEPIPEの顔が!
これで本当に本人確認できるのか謎。
他の人達もこんな顔写真にされてるんだろうか?(笑)

会員証を手にしたら、入り口にスキャナーを持った係の人に会員証のバーコードをスキャンされてやっと入場することができる。
カートが非常に大きいので、押して歩くだけでも一苦労である。
初回はまずは見るだけ、と思っていたSNAKEPIPEだったので、大きなカートの中は空っぽのまま。
やっと「これは安い!」と思って購入を決めたのは風邪薬!(笑)
ひ~!大きいカートに薬1個とは!

2階にいる時に面白かったのは、コストコ職員が商品陳列のためのカートを押していた時のこと。
お客さんに対して「失礼しまーす、通りまーす」などと声をかけていたのは普通。
ところがその職員に対して、
「ナンバーセブンティセブン、アベイラブル」
のような、完全に日本的なカタカナ英語で指示がされている!
棚番号と準備が完了したから入庫を開始せよ、と言いたかったんだろうけどね?
いくらアメリカが本社の会社でも、わざわざ英語にしなくても。(笑)

他の倉庫はどうなっているのか分からないけれど、幕張倉庫店は2階建てになっていて、店内を回る順番は2階から1階へ降りるようになっている。
1階に降りてしまうと、もう2度と2階には戻れないシステムです、という説明を受けていたので、目をキョロキョロさせて商品陳列をくまなくチェック!
いかにもアメリカっぽい、と思えるような商品もあるけれど、半数近くは日本でもお馴染みの商品だった。
驚くのは、そのパッケージ。
さすがに業者用だけあって、例えば10個セットのように、仕入れ用になっているんだよね。
通常の家族にはほとんど必要がないであろう大量パックは、見ているだけで面白かった。
くまなく探してはみたけれど、2階には薬以外買うものがなく、1階に降りる。

1階は食品コーナーで、ここでの買い物を友人Mは楽しみにしていたらしい。
一応こちらも棚の順番にぐるぐる回って見物してみる。
ほとんどのお客さんのカートの中に、45リットルゴミ袋程の大きさの袋に入ったパンがあることに気付く。
それにしてもパンの数、多過ぎじゃない?(笑)
どんなパンがあるのかを見に行くと、様々なパンが大量パックで売られている。
美味しそうだから何か買おう、とクロワッサンをチョイス。
これを友人Mと分けることにする。
大きなクロワッサン12個入りで798円!(笑)

友人Mはそれ以外にもグレープジュースや豆乳など、次々とカートに入れていくではないか。
「せっかく来たんだから、買わなきゃ!」
買う気満々の友人Mのおかげで、空っぽだったカートが商品でいっぱいになっている。
お菓子やデリなど、他にも気になるものはあったけれど、初回はこのくらいにしておこうね。
レジに向かうと、そこはIKEA方式。
自分でカートからローラー式の台に購入する商品を並べ、レジ係がスキャンして会計し、またカートに商品が戻される仕組み。
レジ袋はないので、自分で持っていくしかない。
他の人達を見ていると、コストコとプリントされたショッピングバッグを持っていて、その中に購入済商品を詰めている。
あのバッグはどこで売ってるんだろう?

友人Mは買った商品を配送するため、手続きカウンターへ。
コストコに来る人のほとんどがマイカー族のようで、配送で並んでいる人は少ない。
前にいたミドル系の女性2人組のうちの一人が配送が必要だったらしく、係の人とやりとりしている。
「この量だと配送3個口になります」
「え~!どうしてよ~!」
などとやりとりしている隣で、連れの女性がパンの袋をバリッと開けて、素手でわっしわっしとパンを分けている!
その様子に目を見張るSNAKEPIPEと友人M。
多い量を分けるにしても、もう少しTPOがあると思うんだけど?
友人Mの配送は1個口で収まったので、安心安心。(笑)
後日コストコからの配送はゆうパックで無事に届いたそうで、購入した商品全てに満足したらしい。

こうしてSNAKEPIPEは一度足を運んだが、ROCKHURRAHがまだコストコ・デビューをしていない。 (笑)
今度は2人で行ってみようということになった。
ROCKHURRAH視察団としての偵察だね。(笑)
天気の良い日を選んで、自転車で出かけたのである。
海浜幕張近辺は1区画が広いため、見えている建物でも到着するまでには、かなりの距離があり遠い。
自転車でもキツいのに、駅から歩いている人が意外と多いのにびっくり。
健康のためにはなりそうだけど?(笑)

初回は会員登録のために3階に行ったけれど、会員になった今では最初から2階に直行できることになった。
大きなカートも、さすがに男性は軽く押せるんだね!
そして目の付け所も違っていて、前回は全く気付いていなかった商品の前で立ち止まるROCKHURRAH。
確認していたのは50本入りのベロアハンガー!
1本当り3.3円と書いてあり、滑らない薄型で、更に何本かを連結して省スペース化することもできるというスグレモノ!
慢性的にハンガー不足の六波羅家には丁度良い逸品なので、購入することに決定!
今回はカート空っぽのままにならなかったね。(笑)

購入はしなかったけれど、非常に気になったのがこれ。
ガーデン・ダンプ・カートという商品で、本来は庭で使用するためのものだと思われる。
恐らく運んできた土を、ワンタッチで地面にまくような使い方なんだろうね。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが反応したのは、その車輪部分の重厚さの割にカート自体が小さいアンバランスな可愛らしさ!
部屋の中にいくつか並べて置いてみたいねと話したけれど、実際にはかなりの面積が必要になるはず。
広い家に住んだ暁には、是非購入したいな!(笑)

いよいよ1階へ。
前回友人Mと行ったのは平日だったけれど、今回はゴールデンウィーク前の土曜日のせいか、かなり混雑していた。
2階よりもずっと人口密度が高くなり、カートがすれ違うのが大変になっている。
今回は全部を回って見るのを諦めて、ある程度目星を付けておいた場所だけを見て歩くことにする。
デリカテッセン、パン、ウインナーの購入を決定し、すぐにレジへと急ぐ。
一応目的としていた商品の購入ができたので、良かった!

その夜の献立はコストコ・セットである。 写真上にあるのが購入したJohnsonvilleのウインナー。
試食させてもらい「うまい!」とすぐさま購入を決定した商品。
これは中にチェダーチーズが入っていて、トローリしたタイプ。
ビールによく合いそう!(笑)
そして写真の下にあるのがメキシカン・サラダ・ラップというチキンや野菜をトルティーヤで巻き、助六寿司と同じくらいの太さがあるデリカテッセン。
5本入りで、かなりずっしりしている。
野菜多めだから、この2品くらいなら軽く食べられるだろうと思ったSNAKEPIPEの予想は外れてしまった!
トルティーヤはサルサソースに加え、輪切りのハラペーニョ入り!
お子様には食べられないんじゃないかと思うほど、激辛で美味しい。
そしてウインナーは、頬張った瞬間に溶けたチーズがジュワーッと広がり、口の周りまでベトベトになるほどのコッテリ具合。
どちらもとても美味しいんだけど、トルティーヤは2本が限界。
ウインナーは1本で充分だったみたい。
大丈夫だと思ったいたのに、お腹いっぱいで苦しい!
大家族で奪い合いながら食べるわけではないので、惣菜などのナマモノを購入する時には気を付けようと思ったSNAKEPIPEである。

次にコストコに行くとしたら、いくつか教訓があるな。

  • できれば平日に行く
    土日の子供連れや大家族の回避のため。
    特に子供はカートに乗りたがり、通路を走ったりする危険行為が目立つ。
    道にカートを置き去りにしたまま、別の場所で商品をみる人も多い。
  • 大きな買い物を考えていない時には、カートを使わない
    スレ違い対策。
    通路によっては、カート3台分のスペースがないので渋滞が起きる。
    少ない点数しか買わないのに、あの大きさは不必要。
  • 大きなショッピングバッグを持っていくこと
    車の人は問題ないけど、歩きの人は買い物袋ないからね。(笑)
  • 友人と食料を分けるかも、と思う時にはジップロックを持っていくこと
    デリの場合はタッパーも必要かな?
    素手で分けるのが嫌だから、手袋とか割り箸も必要だね。

以上を踏まえて、次回もチャレンジしてみたい。
商品展開がどれくらいの期間で変化しているのかを知らないので、もう少ししたらまたコストコ行きを計画する予定である。

ビザール・チェア選手権!9回戦

【チェアと聞けばやっぱりこれ!アンディ・ウォーホルのエレクトリック・チェア】

SNAKEPIPE WROTE:

ふと思い立ったように、何かしらの画像検索をしてしまうSNAKEPIPE。
アーティスト検索したり、作品を観たり。
毎回ハッとさせられる画像に出会うわけではないけれど、ワクワクしながらパソコンに向かう時間が好きだ。
それはもしかしたらフィルム現像に近い感覚なのかもしれない。
デジタルカメラとは違い、フィルムでは何が写っているのか見るまで分からない。
もしかしたら何かの偶然が作用して面白い作品になっているのではないか、という小さな期待を寄せる、あの瞬間に似ている気がする。
ラッキーなことに、またビザールな逸品を発見したので紹介してみよう。
初心にかえって今回は椅子特集ね!

この画像を観た瞬間
「これぞまさに人間椅子!」
と叫んでしまったSNAKEPIPE。
人間が中に入らないと成り立たない、そのままでは椅子とは呼べないモノ。
いや、まてよ。
「人間椅子」だったら、本来の目的としては、中に人が隠れていることがバレないようにしないといけないのか!(笑) 江戸川乱歩の世界とは違うけど、ユニークなので、書いてみよう。
調べてみると、この椅子はJamie Isensteinというアメリカ人アーティストの作品らしい。
ページには他の作品も載っているんだけど、どれもちょっとヒネった雰囲気の作品ばかり。
恐らく現代アートならではの、小難しい解説や理論があるんだろうねえ。(笑)
それらをすっ飛ばして、鑑賞するだけでも面白い。
鑑賞だけじゃなくて、展示されている時には実際に座ってみたい逸品だね!
ひょっとしたら筋トレにも活用できるかもしれないしね。(笑)

続いても、ヒトにこだわった椅子ね。
シルバー色で流線型のフォルムが美しい逸品!
これはどうやら人間の骨盤をイメージして作られたみたい。
人体解剖型ロッキングチェアは、テヘラン出身のPouyan Mokhtaraniによるデザインとのこと。
Ruby Rocking chairという名前が付いている。
ルビーちゃんなんてかわいいね。(笑)
デザイナー本人のHPとは別に、ルビーちゃんだけの専用HPもあったよ。
どちらのサイトもかなり凝った作りになっていて、ハイパーな仕掛けが楽しい。
サイトにルビーちゃんに実際に座った時の画像も載っていて、なかなか座り心地が良さそうだった。
この椅子はあなたに最高水準の心地良さと自由を与えてくれるでしょう、なんて宣伝文句も書かれてるしね。
好きなようにオーダーできるシステムのようなので、値段は不明!
一度座って感触を確かめてみたいよね。(笑)

骨盤に続いて、こちらも骨のロッキングチェア!
まさに骸骨をあしらった、なんとも不気味な逸品ね。
19世紀ロシアのアンティークのよう。
木製で、足の辺りの装飾も細かく凝った作りになっているよ。
台座下にはペガサスのような動物が何体か彫られているし、足部分には人の頭部が付いている。
どうして上は全身骸骨なのに、足元だけ人の頭なんだろう?
なんで下も髑髏にしなかったのかな?
そして背もたれに当たる部分が胸骨になると思うんだけど、この椅子の座り心地はどうなんだろう?
骨が当たって痛くはないんだろうか、なんて心配になっちゃうけど、インテリアとして考えるのが普通なのかも?
どうやらオークションに出品されていたらしく、お値段$2,500から$3,500だって。
今のレートでは25万円から35万円ってところか。
手が出せない金額じゃないよね!
一体誰がオークションに出品したんだろう。
SNAKEPIPEはそれがとても気になるなあ!(笑)

さて、お次は単なる椅子という枠を越えた多機能娯楽椅子のご紹介。
これはイギリスのデザイナーであるDavid Gawthorpeがミニ・クーパーのフロント部分を使って、2年をかけて制作した作品。
どうやら映画を観たり、音楽を聴いたり、PS3やXboxで遊ぶことができるらしい。
そして後部には小さい冷蔵庫もあるようで、至れり尽くせり。
更に驚くのは、映画などの弾丸の音に反応して座席が振動するシステムまで搭載!(笑)
臨場感溢れる仕組みになってるんだね。
気になるお値段は£8000、日本円で約120万円。
この金額は中古でミニを買うのとほぼ同額とのこと。
熱狂的なミニのファンにはお薦めの逸品だね!
ただし、車の幅以上のスペースが部屋に必要だね。(笑)

さて、こちらもリサイクル品を使った椅子の登場だよ!
ぎょぎょっ!
こ、これはもしやライフルでは?
画像だけ見ていると、なんとも恐ろしい椅子のようだけど?
調べてみると、これは大英博物館に所蔵されている作品のよう。
モザンビークのアーティスト、Cristovao Canhavato (Kester)が制作し、タイトルは「Throne of weapons」とのこと。
1992年に内戦の終結以来集められた廃兵器から作られたというから、本物の武器だったのね!
AK47アサルトライフルH&K G3ライフルなどの武器は、モザンビーク・キリスト教協議会「銃を鍬へプロジェクト」を行なっているTAEというチームの支援により世界中から集められているらしい。
ライフルを農器具や建設用工具に交換 する運動を展開しているとのこと。
確かメキシコでも銃を品物に交換できるなんてニュースがあったね。
「Throne of weapons」プロジェクトについては、大英博物館のページに詳しく載っているのでご参照下さいませ。
それにしても、この椅子を展示しているという大英博物館、やるなあ!(笑)

最後はこちら。
もしかしたらこれは厳密に言うと椅子の括りに入らないのかもしれないけど、武器つながりということでいいか。(笑)
これはベビーカーなんだけど…。
名前が「gun shape baby carriage」なんだよね。
写真では見辛いと思うけど、至る所にガンが仕込まれてるよ!
なんとも物騒な作品だけど、非常に美しい仕上がりにうっとりしちゃう!
ステンレスの冷たい輝き、重厚感のある見事なフォルム!
これは中国のアーティスト、shi jinsongの作品「ne zha」シリーズの一つらしい。
「ne zha」とは哪吒(Nezha、Na-zha、Nataなど)と漢字では表記され、ナタク、ナタまたはナタ太子とも呼ばれ、中国、道教の伝承、封神演義、西遊記に出てくる子供の姿の英雄、武神であり、民間信仰では厄払いの霊として崇められている存在とのこと。
Shi Jinsongは「ne zha」シリーズを、超自然的な力と中国の架空の創造物であり、古い中国の文化の衝突および現代世界を示す装置として展開しているという。
現代アートだから、解説が難しいね。
とりあえず何故ベビー用品ばかりなのか、の意味は解ったね。(笑)

2011年11月の「ビザール・ベッド選手権!3回戦」で「グッと来た逸品」として紹介したピカピカ光るステンレスで作られたゆりかごも「ne zha」シリースの作品だったと判明!
SNAKEPIPEの好みにドンピシャなんだよね。(笑)
ゆりかごやベビーカー以外のシリーズ作品も、安全基準を全く満たさない物騒系で素晴らしいよ!
デヴィッド・クローネンバーグ監督の「戦慄の絆」に出てきた、非常に危険でアーティスティックな鉗子の雰囲気に似てるんだよね。
道を塞ぐ、でしゃばりなベビーカーは大迷惑だけど、この作品は見惚れるね!
是非ロバート・ロドリゲス監督の映画で、いかにも怪しげなメキシコ系グラマーにこのベビーカーを押してもらって、ここぞという時に発砲する小道具として使って欲しいね!(笑)

5つのビザールな椅子、いかがだったかな?
椅子に関しては今回で4回目の特集になるんだよね。
おかげでSNAKEPIPEの目も肥えてきてるよ!(笑)
ちょっとやそっとじゃ驚かなくなってるはずなのに、まだまだ世界にはビザールな逸品があるし、日々生産されているんだね。
また新鮮な驚きに出会ったら特集してみたいと思う。

映画の殿 第02号 オフィスキラー

【普通では、なかなか撮れない記念写真】

SNAKEPIPE WROTE:

新作映画でもカルト映画でもない、観た映画を自らの好きな視点からブログにしていこうという企画の「映画の殿」。
今まで鑑賞した映画はかなりの数になっているのにも関わらず、ほとんど記事にしてこなかったからねえ。
こんな企画を考えてくれてありがとう、ROCKHURRAH!(笑)
残念ながら、SNAKEPIPEは「映画の殿」の元ネタである「映画の友」については、全く知らないんだよね。
ま、いいか。(笑)
第2号はSNAKEPIPEが担当させて頂きましょー!

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEがDVDをレンタルするのは、皆様お馴染みのTSUTAYAである。
急に場所が変わっていたりして商品が探しにくいという難点はあるけれど、ある程度の映画は借りることができるので、度々利用している。
TSUTAYAでは埋もれた名作を「発掘良品」としてDVD化する試みがあり、毎回興味深くチェックしている。
何故だか毎回多くの人がリクエストしているにも関わらず、復刻されないのがジョン・ウォーターズ監督の「シリアル・ママ」!
SNAKEPIPEも大好きな作品なので、是非復刻して頂きたいと思っているのに、何故か毎回見送り。
版権の問題なのか、倫理規定やR指定系の線引きのせいなのか疑問だけど、もっと過激な作品はたくさんあるだろうに。
例えば、写真家シンディ・シャーマンが初監督した作品「オフィスキラー」とかね?

「オフィスキラー」(原題:OFFICE KILLER 1997年)は当然のように、「あのシンディ・シャーマンが初監督!」という情報を知った時から楽しみにしていた作品である。
2010年に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #4 Cindy Sherman」にもあるように、1996年にはシンディ・シャーマン写真展を観てるしね!
そして実はワクワクしながら観たのにも関わらず「イマイチ!」と思ってしまったSNAKEPIPE。
当時仲良くしていた友達連中も同じ感想だったな。
そのため「シンディ・シャーマンが監督した映画あったよね」程度の記憶しか残らなかった「オフィスキラー」。
16年の時を経て、急に思い立ち再び鑑賞してみたのである。

では、「オフィスキラー」のあらすじに、SNAKEPIPEの感想を交えながら書き進めていこう。
※鑑賞していない方はネタバレしてますので、ご注意下さい。

主人公は出版社で校正の仕事に就いているドリーン(写真)。
勤めて16年と答えていたので、推定年齢は40歳手前くらいというところか。
メガネをかけ、体の線を出さない落ち着いた色合いの服装で、かなり地味な印象である。
そのドリーンは、半身不随のため介護が必要な母親と二人暮らし。
食事の時以外、2階で横になっている母親は、用事がある度に耳障りなブザーでドリーンを呼び付ける。
母親は多少耳が遠くなっているようで、大声で話しかけないと聞こえないようだ。
ここ、大きなポイントね!(笑)

性格は真面目で仕事も正確にこなすドリーンだけれど、社内ではほとんど誰とも喋らず、友達と呼べるような存在も見当たらない。
「何を考えているのかわからない不気味な人」
というのが、社内での評判。
自分に自信がないせいか、いつでもおどおどしているため、気が短い人には余計に嫌われる要因になっているようだ。

ある時、ドリーンの勤めている会社では、業績不振のために大多数の社員をパート扱いにして、自宅にて勤務することが発表される。
大幅な人員削減、いわゆるリストラだよね。
社内に残るのは優秀な社員のみ。
当然のようにドリーンもリストラ組、自宅勤務になる通告を受けるのである。

ドリーンが自宅勤務になる少し前、社内にて残業をしている時にパソコンから異常音がする。
あいにく、夜の社内には人が残っていない。
唯一残っていた上司(写真右)に調査を依頼したドリーンは、全くの偶然で電源を検査していた上司を感電死させてしまう。
これは本当に事故だった。
驚いたドリーンは慌てて911(救急車手配)に電話をするけれど…。
「あなたはとても私に対して意地悪だったわね」
と感電死した上司を見下ろしながら呟き、救急用の電話を切るのである。

そしてドリーンはどうしたのか?
なんと、上司の死体を車に詰め込み、自宅の地下室に運び込むのだ。
そして何事もなかったかのように翌日も出勤するのである。
締め切りに追われていたはずの男が、無断欠勤しているので社内は大騒ぎ。
とにかくなんとしてでも締め切りに間に合わせるために、原稿をでっちあげてでも作り上げるのよ!と女社長から命令されたドリーンは、再び残業することになる。
雷の鳴る、人気のない夜の時間。
今度は女社長を殺害!
恐らく自宅勤務になり、差別を受けていながらも、残務処理には良いように使われていることへの恨みのせいだと推測する。
今までじっと耐えていたためなのか、行動し始めたら堰を切ったように次々と殺しに手を染めていくドリーン。

一体自宅に運び込んだ死体はどうなっているのか、というと…。
それが冒頭の「映画の殿」のカバー写真である。
あれは2体の死体に囲まれた写真なんだよね!
「いやだわ、マイケルズさんったらそんなこと言って」
などと、クスクス笑いながら死体と会話し、その状況を楽しむドリーン。
ドリーンはいつの間にかサイコ・キラーになってしまった。
すでにどこかのネジは緩んでいるみたい。
前述したように、母親は一人では動けないし、耳も遠いためドリーンの奇行に全く気付いていないのだ。

ここからドリーンの暴走は加速する。
そんなに手をかけてしまったら、会社に人がいなくなるんじゃないかと心配になるほど殺しまくるのである。
その代わり、殺風景だった地下室は賑やかになっていた。
「会社に出社できないなら、地下室を会社にしちゃえばいいんだ」
とでも思ったのだろうか。
電話をさせたり、メモを取らせたりして、まるでお人形遊びをしているように、死体で遊ぶのである。

死体で遊ぶ、と行為で思い出すのが坂口安吾原作の「桜の森の満開の下」である。
1975年、篠田正浩監督により映画化された作品であり、主演は監督の奥方である岩下志麻
そして山賊役が若山富三郎という豪華キャスト!
岩下志麻の美しさったら、それはそれは、びっくりしちゃうほどなんだよね。(笑)
「日本のカトリーヌ・ドヌーヴ」と勝手に呼ばせて頂き、昔から大ファンのSNAKEPIPE。
この映画は岩下志麻の妖艶な魅力が堪能できる作品なのである。
写真では小さくて判りにくいと思うけれど、このシーンは、まさに岩下志麻が首遊びをしているところ。
実際に人間の首を使って、人形遊びをする。
山賊である若山富三郎に「美男の僧侶の首が欲しい」、などと命じて首を持って来させるこわーい女性なのである。
やっぱりドリーンと同じように、どこかが麻痺しているみたいで、首を死体とは思っていない様子。
ドリーンにしても、岩下志麻演じる女にしても、鈍感になっているのは鼻だよね。
あそこまで死体がいっぱいあったら、臭いに耐えられないように思うけど?
「桜の森の満開の下」は、とてもシュールで映像の美しい作品だった。
この映画もお薦めだよ!(笑)

次々と殺人に手を染めていく女性という点では、前述した「シリアル・ママ」の雰囲気に近いよね。
「シリアル・ママ」の殺人動機は、
「レンタルビデオを巻き戻さず返す」
「労働感謝の日を過ぎたのに、白い靴を履いている」
などという非常に些細なルールを守らないこと。
怒りを覚えた普通の主婦が、制裁を加える話なのである。
ジョン・ウォーターズらしいブラック・ユーモア満載の「シリアル・ママ」には、大笑いしちゃうシーンがいっぱいあるんだよね。
裁判で自らを弁護し、無罪を勝ち取るシーンは見事だった!
そしてあの大股開きは最高だったよね。(笑)

「オフィスキラー」には、そんな笑いの要素はほとんどない。
死体はリアルな演出がされていて、かなりグロいし、死体をパーツにして遊ぶエグいシーンもある。
「もっと訳の分からないアート作品だと思ったのに、ホラーで面白い!」
とROCKHURRAHが感想をもらしたように、ホラー好きをも唸らせる出来栄え。
ヒッチコック監督「サイコ」へのオマージュと思えるシーンもあったね。(笑)
社内では鈍臭い女と思われていたドリーンが、非常に素早い動きで包丁を使うのは驚きだった。

最後にドリーンは「楽しい自分だけのオフィス」を焼き払ってしまう。
証拠隠滅の意味と、遊びに飽きたことの両方だったのかもしれない。
そしてドリーンは変装して、求人情報を頼りに次の仕事探しに向う。
変装はシンディ・シャーマンの得意分野だもんね!
別人になったドリーンは、シンディ・シャーマン本人なんじゃないかと思うような出で立ちになっていたよ。(笑)
日本で起きた実際の事件でも、変装して何年間も逃亡生活を続けていた女性が、髪型や化粧で別人に見せることができる証明をしてくれたよね。
女は化けるなー!騙されそうで怖いなー!
あ、SNAKEPIPEも性別、女だったんだ。(笑)

もう一つ気付いたこと。
やっぱりこの映画はシンディ・シャーマンらしいな、ということ。
シンディ・シャーマンは映画のスチール写真のような、擬似映画の中の登場人物に自らが成り切って作品にしたシリーズが有名だよね。
「オフィスキラー」の場面を切り取ってみると、それらはまるっきりシンディ・シャーマンの写真なんだよね。
モノクロームにして、作品っぽく加工してみたよ!




映画の中でのメールに関する問題や、警察が全く関与していないことなどは、この際突っ込まないことにしようね。(笑)
16年前には「イマイチ!」と感じたSNAKEPIPEだったけれど、今回改めて鑑賞して思ったのは
「ものすごく怖い映画!」
ということ。
きっとそれは、「本当に起こりそう」だと感じたからだと思う。
16年前には荒唐無稽で「そんなことあるわけない」と思ったのだろう。
ところが現在では「こんな人、いるかもしれない」に変化したんだろうね。
「人間」ということにこだわり、自身の作品を制作していたシンディ・シャーマンだからこそ、将来を予見してこの映画を撮ったのかもしれないね。
ここで教訓!
「大人しそうにみえる人こそ、本当はアブナイ!」