映画の殿 第08号 ウィル・フェレル01

【「俺たちフィギュアスケーター」より氷上の男子ペア!】

SNAKEPIPE WROTE:

前回の「映画の殿 第7号」で、トホホな映画として「俺たちサボテンアミーゴ」について書いたことは記憶に新しいね。
その主演男優であるウィル・フェレルにとても興味が湧いたため、彼が出演している映画を調べることにした。
ウィル・フェレルが主演の映画には、「俺たち〜」という邦題が付けられていてまるでシリーズのように展開されていることが分かったんだよね!
当然ながら前回の「俺たちサボテンアミーゴ」もそのシリーズの中の1本ということになるんだろうね?
とは言っても、監督や配給会社が全て同じというわけではなく、共通しているのはウィル・フェレルが主役であるという点だけ!
恐らくウィル・フェレル関連を全て「俺たち〜」というタイトルで統一させてしまっているのは、日本だけなんじゃないかな?

せっかくなので他の「俺たち〜」シリーズも鑑賞してみようということになり、トホホな感覚をとことんまで追求することにしたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
B級、マイナー、アングラなんて言葉に反応する人なら、きっと同じように面白いと思うんじゃないかな?(笑)
「俺たち〜」シリーズの紹介は年代順ではなくて、SNAKEPIPEとROCKHURRAHが鑑賞した順番になっているので4649!

一番初めにご紹介するのは「俺たちフィギュアスケーター」(原題:Blades of Glory)である。
アメリカでの興行収入がディズニーを上回るほど大人気、日本でもみうらじゅん賞を受賞している2007年の作品である。
みうらじゅん賞受賞ということで、ある程度の傾向が解るよね?(笑)

簡単にあらすじを書いてみると、

フィギュアスケート界から追放された2人のスケーターが史上初の男子ペアを結成し、再び栄光を取り戻すスポ根コメディ

ということになる。
ウィル・フェレルは野性味あふれるセクシーさが売り物のチャズを、もう一人の主役である色白で金髪の美青年ジミーをジョン・ヘダーが演じている。
見かけも性格も対照的な2人が、特訓を続けていくうちにお互いを認め合い、友情へと発展していくというスポ根ではお馴染みのテーマが根幹にある映画なのに、どうしてここまでヒットしたのか?
それは鑑賞して解った。

 下ネタ満載の下品さがプラスされてるんだよね。(笑)
北朝鮮をネタにした、かなりどぎつい映像があったり。
国民性の違いなのかもしれないけど、恐らく日本での好き嫌いは完全に分かれてしまうタイプのギャグなのかもしれない。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHは涙を流して大笑いしてしまった。(笑)
どこまで本当にスケートができるのか不明だけど、ウィル・フェレルもジョン・ヘダーも本物のスケート選手に見えるんだよね。
きっとかなり練習したんだろうなあ。
そしてすっかりウィル・フェレルに魅了されてしまったのである。
これは他の「俺たち〜」シリーズも鑑賞しなければ!

 「俺たちニュースキャスター」(原題:Anchorman: The Legend of Ron Burgundy)は2004年の作品で「俺たち〜」シリーズの第1作目になるんだね。
「俺たちフィギュアスケーター」の衝撃から抜け切れていないまま鑑賞してしまったので、少しおとなしい印象を受けてしまったかも?
こちらも簡単にあらすじを書いてみようか。(allcinemaより引用)

1970年代のサンフランシスコ。
地元テレビ局の人気ニュース・キャスター、ロン・バーガンディは、おバカな仲間たちと街を闊歩し、何でもやりたい放題の 日々を満喫していた。
そんな中、キャスター志望の野心溢れる女性ヴェロニカが入社してくる。
間もなく惹かれ合うロンとヴェロニカ。
しかし、ヴェロニカがメ インキャスターに抜擢されたことをきっかけに、2人の間には亀裂が生じ始める。
それはやがて、ライバル他局のキャスターたちをも巻き込む激しいバトルとな り、収拾がつかなくなっていく。

最初に見た時にはウィル・フェレルだと判らなかったほど、ニュースキャスター、ロン・バーガンディに成り切っている。
口ひげもあって、いかにもアメリカの番組で司会をしている雰囲気。
どうしてそこまで人気キャスターなのか謎だけど、ウィル・フェレルが主演の映画の場合は「俺ってセクシー」と自画自賛する役どころが決まりのようなので、これで良いのかな。(笑)

この映画の中で特筆すべき点は、口を滑らせてしまったせいで、落ちぶれた生活を送っているロン・バーガンディがバーで酔っ払っているシーン。
なんとここのバーテン、我らがダニー・トレホじゃないの!(笑)
ちゃんとセリフのある役で、やっぱりかなりの存在感だね!
全然情報を知らずに鑑賞していたので嬉しかった!

そしてなんとこの「俺たちニュースキャスター」は続編が既に昨年アメリカでは公開されていて、2014年5月28日「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」という邦題でDVDリリースされるんだよね!
これも絶対観ないとね!(笑)

 「俺たちダンクシューター」(原題:Semi-Pro)は2008年の作品である。
えっ、まさか今度はバスケット選手?!
ウィル・フェレル、頑張るなあ。(笑)

1970年代、アメリカではNBAとABAの2大プロ・バスケットボール・リーグがあった。
過去にヒット曲を出したシンガーのジャッキー・ムーンは、 ABAのチーム「トロピックス」のオーナーであり、なおかつ監督兼選手だ。
試合前に歌を披露してショーアップするも、チームの試合成績と観客動員は悲惨な 状況。
ある日、ジャッキーはリーグの会合で、NBAに吸収合併される上位4チームを除き、ABAは解散と告げられてしまう。

あらすじにあった過去のヒット曲が「Love Me Sexy」というタイトルで、ウィル・フェレル本人が本当に歌ってるんだよね。

なかなかどうして!(笑)
歌手でもイケるんじゃないかと思うほどの歌声にびっくり!
お父さんの遺伝子受け継いでるんだねー!
そしてまたもや時代は1970年代という点にも注目。
きっとウィル・フェレルが好きなんだろうね?
そして定番の「俺ってセクシー」も健在。(笑)

 もう一点、SNAKEPIPEが注目したのは、「Hey Ya!」が大ヒットしたアメリカのヒップホップデュオ、OutKastAndré 3000がバスケットボールの選手として登場していたこと!
鑑賞後に調べるまでは全然気付かず、本当にバスケット選手が起用されていると思っていた。
ミュージシャンでありながら俳優もできて、バスケットも上手とは!
その姿はウィル・フェレルにも通じるよね。(笑)
そんな2人が同じチームに所属しているせいなのか、バスケットの試合前恒例のショータイムは、かなり気合が入っていたね。
このショーだけでもウケそうだけど、観客の本当の目当てはバスケットだもんね。(笑)

結局「俺たちダンクシューター」もスポ根物で、難題に立ち向かい克服していく、涙と友情の物語という点では他の「俺たち〜」シリーズと全く同じ展開だよ!
でもなんでだろう?
ウィル・フェレル、クセになる!(笑)

そして最後に2008年の「俺たちステップブラザーズ」(原題: Step Brothers)のご紹介。
SNAKEPIPEはてっきり今度は兄弟2人でステップを踏む、つまりダンス映画なのかと勝手に想像していたら、義兄弟の意味だったのね!(笑)

それぞれの片親同士が結婚したことから義理の兄弟となった、39歳のブレナンと40歳のデール。
親元で暮らして定職に就かず、経済的にも精神的にも自立できないまま育ってしまったダメ人間である。
大人げない言動で衝突を繰り返し、騒動を繰り広げていくさまを描いたドタバタ・コメディ。

ひゃー!
日本にも最近多いタイプと聞くけれど、アメリカにも親元を離れず自分の趣味のことだけに没頭している中年っているんだね!
わがまま言いたい放題、精神的には子供のままの中年ってどお?
そんな子供に育てた親が悪いのかもしれないけど、自立しようという気が全くなく親に頼りきっている人生って楽しいのかね?(笑)

 ウィル・フェレル演じるブレナンとジョン・C・ライリー演じるデールは、見ていて嫌になるほど甘えん坊の中年を見事に演じていたね。(笑)
中でも最も印象的だったのが、2人共が夢遊病のために部屋をメチャクチャにするシーン。
40歳をとうに過ぎている大人の男性2人が、子供のフリをして演じてるところが本気っぽくて怖かったなあ!(笑)

そんな子供じみたことばかりやっている2人が、将来に向かって歩み出すための手段として選んだのがブレナンの歌、なんだよね。
ああ、やっぱりウィル・フェレル相当喉に自信があるよね!
もしかしたらこれはポール・ポッツ のエピソードを少し取り入れてるんじゃないかな?
歌っていたのも「アヴェ・マリア」だったしね。
ウィル・フェレル、この歌も堂々と歌唱していて、素晴らしい!
そしてダメ中年男達も歌の成功がきっかけで、 人生が明るくなっていくハッピーエンドなんだよね。

「俺たち〜」シリーズはウィル・フェレルが脚本を手がけていることもあり、似た雰囲気の映画に仕上がっていることが多いみたい。
分かっていても、観たくなってしまう恐るべしウィル・フェレル効果!
何も知らないまま鑑賞してしまった「俺たちサボテンアミーゴ」をもう一度観たほうが良いかもしれないね。
ウィル・フェレルの魅力を知る前と後では、感想が違ってくるかもしれないし?
そして3日後に迫った「俺たちニュースキャスター」の続編も楽しみだ!
SNAKEPIPEは「俺たちフィギュアスケーター」の続編を希望したいんだけどね。(笑)

映画の殿 第07号 スペイン語トホホ映画

【「俺たちサボテンアミーゴ」の仲良し3人組!】

SNAKEPIPE WROTE:

昨年の夏よりずっと書き続けているスペイン映画への情熱は未だに冷めやらず、更に鑑賞できるだけの映画を探している状態である。
スペイン映画のみならず、スペイン語圏の映画を鑑賞することもある。
スペインをキーワードにすると、たまにそんなこともあるんだよね。
そして当然のように、完成度が高い映画ばかりではなく、「トホホ」と感じる映画に当たることもある。(笑)
今回はそんな「トホホ」映画を紹介してみたいと思う。

1本目はアメリカ映画でありながら、全編スペイン語で撮影された「俺たちサボテンアミーゴ」(原題:CASA DE MI PADRE 2012年)だ!
簡単にあらすじを書いてみようか。(webから引用)
メキシコの片田舎で父の牧場を手伝い、お気楽な人生を送っていたアルマンド。
しかし牧場の実態は火の車。
そんな一家の一大事に、ビジネスマンとして成功した弟ラウルが美しい婚約者ソニアを連れて帰ってきた。
しかし、ラウルは牧場の借金問題を解決するどころか麻薬ビジネスに手を出して窮地に追い込まれ、一方のアルマンドはあろうことかソニアと禁断の恋に落ちてしまう。

主人公アルマンドを演じるのが、ウィル・フェレル
日本での知名度は低いけれど、アメリカでは大人気のコメディアンとのこと。
なんと「アンチェインド・メロディ」などで有名なライチャス・ブラザースのキーボードだったリー・フェレルの息子だという。
正直言って、どうしてこの人が主役なんだろう?と疑問に感じながら鑑賞していたんだけど、有名人だと知って納得。
どうりで歌もうまかったはずだよね!

「俺たちサボテンアミーゴ」はスペイン語圏映画ではお馴染みのガエル・ガルシア・ベルナルが麻薬王として出演していて、それも鑑賞するきっかけの1つだった。
だけど、この映画での役どころはあまりガエル・ガルシア・ベルナルには似合っていなかったように思った。
白いスーツに白いウエスタンブーツを履いてキメてるファッションも似合ってなかったし、そもそも残忍な大物って雰囲気じゃないもんね?

どうして「俺たちサボテンアミーゴ」を鑑賞して「トホホ」と感じてしまったのか。
1:映画最初の頃と途中での2回、主人公アルマンドと牧場で働いている2人と共に軽口を叩くシーンがある。
大して面白くない会話なのに、3人は笑い合い、やめたかと思うとまた誰かが笑い出し、つられて他もまた笑いだす。
このシーンがかなり長い時間使用されてるんだよね!
なんだろう、この無駄に感じる時間は。
どんな意味があったのか聞いてみたいね。(笑)

2:2012年の映画にもかかわらず、作り物であるのがバレバレなセットのオンパレード。
引いたカメラで撮影された街の風景は、カクカクに動くオモチャの車が走るジオラマのセットが使用されていた。
「母との思い出が残る神聖な場所」とされていた池なども完全なセット。
アルマンドを導く聖なる存在である白い豹は、ぬいぐるみ!(笑)
どうやら70年代メキシコでのソープオペラを意識して作られた映画のようなので、「わざと」だと思うけど、そのあまりのチャチさに笑ってしまう。
「わざと」やるほうが逆に難しいように思うけどね?
もし本当に狙ってやっていたなら、拍手だよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」での救いは、ヒロインであるソニアを演じたジェネシス・ロドリゲスがキレイだったことかな。
母親はモデルで父親は俳優兼歌手だというから、美貌や才能を受け継いだんだね!
エキゾチックな美女がお好みの方にはお勧めだよ!(笑)

「俺たちサボテンアミーゴ」はコメディ映画だと思っていたのに、後半になってくるとハードなアクションが増えてくる。
それまでは「うすのろ」扱いをされていた主人公アルマンドが、好きな女のため、母の復讐のために目の覚めるような活躍をするのだ。
急に変貌するアルマンドには驚かされるし、意外性もあるので注目する点かな!(笑)

後で調べてみるとウィル・フェレルは「俺たち〜」というタイトルの映画にたくさん出演しているみたいで、他の作品も気になるところだ。
きっとまた「トホホ」に出会えるに違いない。(笑)

続いての作品は我らがカルロス・アレセス目当てで鑑賞した「人狼村 史上最悪の田舎」(原題:LOBOS DE ARGA 2011年)である。
こちらは「『パンズ・ラビリンス』のスタッフが集結!」なんて宣伝文句が踊るスペイン映画である。
文章にはB級ホラーとも書いてあったので、最初から「トホホ」だと知っていて鑑賞していたんだけどね。
それにしてもここまでとは…。(笑)
また簡単なあらすじを書いてみようね。(webから引用)

青年作家のトーマスは、新作小説を執筆するために長年戻らなかった故郷を訪れる。
旧友との再会に喜び、懐かしい思い出にひたるトーマスだが、幼いころの恐怖であった呪いが未だに村内のタブーとなっていることを知る。
それは、生け贄を献じることで村人全員が狼人間になることを逃れられるという、恐ろしい伝説 だった。
呪いを解くために生け贄にされたトーマスは、村人により穴に落とされてしまうのだった…。

恐怖、呪い、タブー、生贄、狼人間と「いかにも」な単語が並んでるよね!
そう、設定やら物語の進行は「いかにも」だから、度肝を抜かれるとか斬新ということはない。
珍しかったことといえば、ゴルカ・オチョア演じる主人公トーマスが生贄にされるくらいなら、と指を切断されるところ。
そしてその指をにんにくとパセリで炒める幼なじみであるカリスト役のカルロス・アレセス!
更にその指炒め(?)を飼い犬がくわえて走ってしまうシーンは、まるでデヴィッド・リンチ監督の「ワイルド・アット・ハート」のパクリみたいだよ。(笑)

主人公トーマスが指を提供したのにもかかわらず、呪いは解けなかった。
村人たちはウウウッと唸ったり叫んだりしながら、次々に狼人間に変身してしまう。
そして変身後の姿が左の写真!
どお、これ?
狼人間というよりは、 「スター・ウォーズ」のチューバッカか、もしくは東宝の特撮映画「サンダ対ガイラ」(古い!)みたいなんだよね。(笑)
実はSNAKEPIPE、チューバッカは大好きなので、似た雰囲気の狼人間が怖くなかったし、実際狼人間弱かったし!

噛まれることで感染して、狼人間になってしまうのはゾンビやら最近流行りのウイルス系パニック映画に共通している設定だよね。
この設定を最初に採用したジョージ・A・ロメロはやっぱりすごいな!
ゾンビ」(原題:Dawn of the Dead  1978年)は36年前、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(原題:Night of the Living Dead 1968年)に至っては46年前だからね!
そんなに昔からの伝統(?)が現在まで生き残っていて、それが恐怖とされていることを知ると、原型を作ったロメロの偉大さが良く解るよね。

「人狼村 史上最悪の田舎」鑑賞目的だったカルロス・アレセスは、今回主役ではなく、主人公の幼なじみという役どころ。
着ていたセーターも含めて田舎っぺ役はピッタリだったね。
カルロス・アレセスらしい特徴はあまり見受けられなかったし、自慢のヌードも披露されなかった。(笑)
それでも、もちろんファンだったら鑑賞しないとね!

「人狼村 史上最悪の田舎」で印象に残っているのは冒頭、村の呪いについて解説するシーン。
この劇画調の紙芝居形式が大人向けのエロチックなもので、なかなか面白かったな!
ラストシーンは思わせぶりだったけど、「人狼村2」はないよね?
もし製作されたら一応観てみようかな。(笑)

今回は「トホホ」な映画について書いたつもりが、結局「着ぐるみ」系映画紹介になってしまった!
こんな書き方をしているから誤解されてしまうかもしれないけど、「トホホ」な映画もSNAKEPIPEは大好きなんだよね!
また「トホホ」映画特集もしていきたいな!(笑)

映画の殿 第06号 好き好きスペイン映画

【霊能者役のサンティアゴ・セグーラ演じるカルロス・ホセ。最高!】

SNAKEPIPE WROTE:

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞROCKHURRAH RECORDSをよろしくお願い申し上げます!
毎週恒例の偏愛的ブログも更新していきますので、こちらもよろしくね!(笑)

ではSNAKEPIPEがお送りする年明け最初の記事、ブログ初め、というのかな?
ん?なんか変?(笑)
ベストオブ2013」以外にも散々書き続けている、スペイン映画だけれど、今回はそんなスペイン映画の中で注目している俳優について特集してみたいと思う。
注目という点では、我らがハビエル・カマラがいるけれど、彼の場合は別格扱いのため今回は他の方々に登場してもらいましょう。(笑)

 「トレンテ ハゲ!デブ!大酒飲みで女好き!超・肉食系スーパーコップ」というタイトルは一体誰が考えたんだろうね?
音楽関係でいうところの「ジャケット買い」のようにタイトルだけを読んで「観てみたい」 と思わせる戦略を一切採らなかったとしか思えないセンス!
ま、そうは言ってもROCKHURRAH RECORDSでは観たんだけどね。(笑)
上の画像右側の人物がトレンテという名前の、タイトル通り酒飲みで女好きの刑事。
演じているのはサンティアゴ・セグーラ
なんともびっくりなことに監督兼主役なんだよね。(笑)
タイトル通りにハゲでデブ、こんな俳優に主役をさせる他の監督はいないのかもしれないね?
だったら自分で自分を主役に映画を撮ろうと考えたんだろうか。

写真左に遠視用メガネをかけて、まるでケント・デリカットみたいに大きな目をして写っているのは我らがハビエル・カマラ!
いい加減な刑事トレンテの助手として活躍する近所の青年ラフィという役を演じていた。
実を言うとハビエル・カマラが出演しているのが「トレンテ」鑑賞の理由だったんだよね。(笑)
そうじゃなかったら「ハゲ!デブ!」で観ないって、普通!
「トレンテ」は1998年の映画なので、今から16年前なんだね。
当時30歳だったハビエル・カマラの若いこと!
体型も今とは違って痩せ型だったのね。(笑)

かなりハチャメチャで、とても刑事とは思えない行動をするトレンテなんだけど、最後はちょっと正義感に燃えたりして派手なアクションシーンもある。
トレンテ、最高!(笑)
トレンテ役のサンティアゴ・セグーラのすっかりファンになっちゃったよ!
「トレンテ」はスペインで大ヒットした映画らしく、「トレンテ4」まで制作されているというから驚いちゃうよね!
いいのか、これで?と思いながらも、この手の笑いに寛容なスペインが益々好きになるね。(笑)
残念ながら日本では「トレンテ1」しかDVD化されていないので、是非とも続きが観たいね!

 次にまたサンティアゴ・セグーラに再会したのは「クイーン&ウォリアー」という1999年の映画だった。
「クイーン&ウォリアー」は [魔法の国]のトレジャー・ハンターが呪いをかけられ、現代のスペインに住む少年に変えられてしまい、元の世界に戻るために[現実世界]で勇者のごとき活躍をする異色ファンタジー・サスペンスである。
この映画の中でサンティアゴ・セグーラはカルロス・ホセという謎の霊能者を演じている。
この時のサンティアゴ・セグーラ、「シュッ、シュッ、シュッ」と変な擬音と共に両手を口から前に出す怪しい動きをしていて大笑いさせてくれるんだよね!(笑)
ものすごくインチキ臭い霊能者の役がぴったりだったね!

 「スキと言って!」という2004年の作品もサンティアゴ・セグーラ目当てで鑑賞してしまった!
今回はカップルを誕生させるテレビ番組の中で、愛のキューピッドみたいな「ハートちゃん」という役どころ。
上の写真はハートのかぶりものをしているところなんだよね。
アップにすると意味不明でおかしい。(笑)
さすがはサンティアゴ、やっぱり変な姿で登場してくれて期待を裏切らないね。
これからもサンティアゴ・セグーラから目が離せない!

 次にご出演頂くのは「気狂いピエロの決闘」 で主役ハビエルを演じていたカルロス・アレセス
サーカス団に「泣き虫ピエロ」として入団したハビエルは「怒りのピエロ」セルヒオと、ガールフレンドを巡り争いを繰り広げるのである。
最初は弱気だったハビエルが、だんだん狂気へ向かって行く様は圧巻だった。
この映画の中で最も印象に残っているのは、入院していたハビエルが病院服のまま脱走するシーン。
割烹着みたいに後ろはヒモで結んでるだけの服なので、後ろ姿はほとんどヌード!
前述のサンティアゴ・セグーラと似た体型のカルロス・アレセスなのでぽっちゃりした肉体を晒してるんだよね。(笑)
この映画の内容や他のことよりも、その後姿が一番印象に残ってるなんて、まさかSNAKEPIPEってデブ専か?(笑)

 先日書いた「スパニッシュ・ムービー」 にもカルロス・アレセスの姿を発見!
この映画自体が様々なスペイン映画のパロディなので、元ネタを知っていると笑いが倍増する。
写真は「ノーカントリー」のハビエル・バルデムのモノマネしているシーン。
このシーンの前には「オープン・ユア・アイズ」のパロディで、ベッドに裸でうつぶせになっていたカルロス!
あ、また後ろ姿のヌード!
もしかしたらカルロス・アレセスって露出好きなのかも?

ゴースト・スクール」にもカルロス・アレセスが出演していたよ!
口うるさい厳格なPTA代表という役だったけれど、やっぱり露出するシーンがあったんだよね!
カルロス・アレセスの体を張った演技には今後も注目だね!

 続いてはラウール・アレバロのご紹介!
マルティナの住む街」は結婚式当日、花嫁に逃げられたディエゴが、いとこのフリアン、ミゲルと青春時代に素敵な夏の思い出を作った懐かしの村を訪れ、当時のガールフレンドに再会する話である。
ラウール・アレバロは写真の中央でサングラスをかけて写っている。
この写真だと判り辛いかもしれないけど、ショーン・ペンに似てるんだよね!
よし、勝手にラウール・アレバロに「スペインのショーン・ペン」と命名させてもらおうかな。(笑)
右の写真はショーン・ペンだからね。
お間違いないように!(笑)
「マルティナの住む街」は出演者のキャラクターが立っていて、とても面白かった。
フリアン役だったラウール・アレバロも非常に良い味出してたね。
昔のアダ名が「イワシ」というのに大笑いしたよ。(笑)
元ビデオ屋店主のバチのセリフに、必ず映画紹介が入るところもニヤリとさせられたね!

 前述の「ゴースト・スクール」の主役がラウール・アレバロなんだよね。
ラウール・アレバロ演じる霊視能力を持つ教師モデストが、学校に平和を取り戻すために5人の生徒の幽霊を卒業させるために奮闘する話である。
幽霊が見える、なんていうとホラー映画と思ってしまうけれど、「ゴースト・スクール」は全然怖くなくてコメディ映画といったほうが良いんじゃないかな。
ラウール・アレバロはもちろんのこと、5人の幽霊や他の出演者たちも個性的なんだよね!
前述したカルロス・アレセスのお尻にも注目だし、用務員役のシルヴィア・アブリル も良かったね!
校長先生役だったアレクサンドラ・ヒメネスと共に「スパニッシュ・ムービー」に出演していたんだね。
同じ人とは思えない変身ぶりに脱帽!(笑)
「ゴースト・スクール」はハリウッドでリメイクが噂されているらしい。
確かに展開が面白かったし、ちょっとハートウォーミングなところもあったからウケるだろうね。
リメイクか、、、あえてコメントしないでおこう。(笑)

今回紹介したカルロス・アレセスとスペインのショーン・ペンことラウール・アレバロ、そして我らがハビエル・カマラの3人が、客室乗務員となって乗客を楽しませるというストーリーの映画「アイム・ソー・エキサイテッド!」 はペドロ・アルモドバル監督の最新作!
今月25日から公開予定だよ!
って、なんだかお勧め新作映画の前フリみたいな記事になっちゃったね。(笑)

映画の殿 第05号 キャリー

【嬉し泣きしているキャリーなのに、どうしても幸せそうには見えないね】

SNAKEPIPE WROTE:

映画のリメイクが流行っているようだ。
例えばジョン・ウォーターズ監督1988年の作品「ヘアスプレー」は2007年にリメイク版が公開されたよね。
大好きな作品だっただけに、オリジナルを超えるはずはあるまいと思いながらも、一応は鑑賞することにした。
結果は予想通り、オリジナルを踏襲することに懸命だったようで、オリジナル以上の出来栄えではなかったと思う。
どうしてオリジナル以上の作品を作ることができないのにも関わらずリメイク版を作るのか。
単なるネタ切れということなのかもしれないけれど、全く理解できない現象である。
そしてまたリメイク作品の情報が入ってきた。
なんと今度は「キャリー」だという。
先日ブライアン・デ・パルマ監督のオリジナル「キャリー」を鑑賞したばかり。
今回の「映画の殿」はオリジナル版の「キャリー」を特集してみたいと思う。
2013年版「キャリー」と比較する記事ではないのでよろしく!(笑)

「キャリー」はスティーヴン・キングの小説を原作とした、1976年のアメリカ映画である。
上述したように監督はブライアン・デ・パルマ。
SNAKEPIPEが一番初めに「キャリー」を観たのは、日曜洋画劇場などのテレビだったな。
まだ義務教育を受けていた年頃で、観た翌日にキャリーのモノマネをして遊んだ記憶がある。
子供の頃はいろんなモノマネやってたんだよね。(笑)
「ホラー映画好き」を公言しているROCKHURRAHは、当然のように今まで何度も「キャリー」を鑑賞している。
今回初めて2人でものすごく久しぶりに鑑賞することにしたのである。
映画の殿 第3号」で特集した「悪魔の追跡」も同じなんだけど、70年代の映画には独特の雰囲気があって、魅力的だからね!

 主人公のキャリーが左の写真である。
そばかすだらけの顔。
いつもうつむき気味で、内気な様子。
高校生という設定なのに、朗らかに友人と語らうこともなく一人でいる少女。
クラスの中で浮いてしまうのも納得してしまう。
演じていたシシー・スペイセクはハマリ役だったと思う。
怒りを爆発させた後の、目を剥いた顔はまるで別人で、本当に怖かったからね!
シシー・スペイセクが1973年に出演した「地獄の逃避行」も鑑賞してるんだけど、やっぱりこちらでも一人行動する女の子の役!
きっとそれがシシー・スペイセクの個性なんだろうね。
「地獄の逃避行」も全く古さを感じさせない映画で、いつか特集記事を書いてみたいと思っている。
余談だけど、シシー・スペイセクは1974年に映画美術監督のジャック・フィスクと結婚している。
このジャック・フィスクって名前はどこかで…。
そうだ!デヴィッド・リンチの昔からの友人で、確か「イレイザーヘッド」で 惑星を回す役でも出てたし、リンチの映画の美術も担当していた人だったはず!
うわー!こんなところでリンチにつながるとはびっくりんこ!
Wikipediaに載っているシシー・スペイセクの説明の中には、アンディ・ウォーホルの映画にも出演なんて書いてあるよ。
アート寄りの女優なんだろうね。
シシー・スペイセク、良いねー!(笑)

キャリーの母親は狂信的な信者である。
特に性に関して厳しく、キャリーという子供を授かったことに対して未だに後悔するほどの徹底ぶり。
狂信的な母親というと「サンタ・サングレ」を思い出すね。(笑)
過去の行いを懺悔するよう娘にも強要する、かなり複雑な心境の女性を演じていたのがパイパー・ローリー
おや?パイパー・ローリーにも見覚えがあるよ?
そうだ!「ツイン・ピークス」の製材所にいた、所長の妹だったよね!
またもやここでリンチにつながってしまったよ。(笑)

他の出演者で特筆するならば、若いジョン・トラボルタを観ることができる点かな。
「キャリー」はジョン・トラボルタの映画出演2作目だったようだけど、かなり重要な役どころを見事に演じていたね。
「キャリー」の翌年に「サタデーナイトフィーバー」で世界的に有名になったよね。

「キャリー」の中でトラボルタの恋人役でキャリーをいじめる同級生を演じていたナンシー・アレンが、いかにもアメリカンな70年代のイカした女の子という雰囲気で良い味出してたね。
ナンシー・アレンは監督のブライアン・デ・パルマと結婚したようだけど、数年で離婚しているみたいだね。
ロボコップ」 ではアン・ルイスという名前の巡査役で登場!
なんとこの「ロボコップ」もリメイク版が来年公開とのこと。
ぎゃーーーっ!(笑)

「キャリー」の中で印象的だったのは、キャリーが怒りを爆発させ、超能力を発揮しているシーンの見せ方。
今となってはよく見かける「画面を2分割して同時に起こっている出来事を知らせる」方式を採っているんだよね。
キャリーが目を見開き視線を動かすことで、物を動かしたり扉を閉めたりする右の画面と、それによってどんな被害があったかを示す左の画面といった具合である。
名付けるなら「before_after戦法」といった感じか。(笑)
1976年より以前にこの撮影方法を実施していた映画があったのかどうかは検証していないけれど、「キャリー」での効果は絶大だったと思う。
Wikipediaによれば「分割画面や、長回し、スローモーション、目線アングルなどを使用し凝った画作りはデ・パルマ・カットと呼ばれる」とのことなので、やっぱりデ・パルマ監督考案の見せ方なのかもしれないね?
ブライアン・デ・パルマ監督作品は何本か鑑賞しているけれど、大いに語れるほどではないので、もっと勉強してから発言しようかな。(笑)

37年も前に制作された「キャリー」は、2013年の現代でも十分通用する強烈なインパクトのある映画だと思う。
もちろん登場人物のファッションは70年代だし、車の型などは当時の物だから年代を感じるのは当たり前のこと。
CGなどで加工しなくてもこんなにすごい映像を作り出すことができるんだなと感心してしまう。
まだまだ未鑑賞の素敵な作品はたくさんあるはず。
故きを温ねて、新しきを知る映画の探索は続くよ!