CAMOのマイハウス2012

【世界各国の美人兵士を集めた画像より。迷彩の参考になるかな?】

ROCKHURRAH WROTE:

前に同じようなタイトルで似たような記事を書いたけど、何と2年も経ってパート2を書いてみようと思い立った。前の「ROCKHURRAH視察団」も2年ぶりだったし、まさに因果は巡る糸車(NHK「八犬伝」にこんなセリフあったなあ。覚えてる人いるかな?)。

前回は比較的古典的だったりメジャーな迷彩だったけど、今回は前に書ききれなかったもの。誰も知らないような国の超マニアック迷彩とかは書かないから大丈夫。

ミリタリーにある程度詳しい人以外は街中とかで変な迷彩見かけて「変わった柄だな」とは思っても名前もわからないだろうし、あまり調べようもないよね。「変な迷彩」などと画像検索しても出てくるわけもなし。 そういうビギナーだけど興味ある、という人が一番好ましいしROCKHURRAHも全然「通」じゃないから、ミリタリーおたくのディープな考察が知りたい人は他で探して欲しいCAMO。 そして一番のポイントはサバゲーとかじゃなくて普通に街着としてどうか、という視点で書いてゆきたい。 さて、いつも前置き長過ぎるからあっさりと始めるとするか。

これはアメリカ海軍のNWUというパターンで、Navy Working Uniformの略だそうだ。古い世代の人間としてはウッドランドやタイガーストライプみたいに端的に迷彩柄を表す名称の方がわかりやすいんだけど、最近の米軍は何でも略称で言いたがる傾向にあるな。ACU(Army Combat Uniform)とかABU(Airman Battle Uniform)とか、一般に町中でどの程度普及してるのかリサーチしてみたいくらいだよ。民間発の迷彩マルチカムが案外普及してるのに比べてネーミングがわかりにくいと思うのはROCKHURRAHだけか? 名前はアレだが、この迷彩は薄ぼんやりしたACUよりは個人的に好きな感じ。見ての通りデジタル・パターン、単に青色強くしてコントラストをはっきりさせたACUと言えなくもないが、ACUよりずっと強く戦闘的に見えてしまう。青くしたのは海バックで着る事が多いからなのかね? あまり市場に出まわってもいないし、本物はやたらと高いのが残念。民生品ではTRU-SPECがこの柄を出しててたまに見かけるね。かくいうROCKHURRAHもこの柄のブーニーハットを愛用。ACUやMARPAT(海兵隊の茶色派手な迷彩)よりは街着に似合うかな。え?そうでもない? あまり面積多いと主張し過ぎる気がするのでリュックとか袖だけこの柄とかおしゃれCAMO。海だから海パンの柄でもいけそうだし、「瀬戸のほんじお」のパッケージで採用すれば大ヒット間違いなし(短絡的)。

では街着に似合わなさそうなこれ。MARPAT(Marine Patternの略)は海兵隊の迷彩だが緑茶色っぽいウッドランド・マーパットとこのデザート・マーパットのヴァリエーションがある。要するに活動する場所によって違うわけだが、これは見てわかる通りどう見ても砂迷彩。もともと砂漠用迷彩は色数によっていわゆる6Cデザートとか3Cデザートとか存在していたが、それのデジタル版という位置なのかね。砂漠地帯と言えば近年最も戦いの多かった場であり、普及率も活躍率も高いのは当たり前。こないだ見た映画「Navy Seals」でも大活躍していたな。割と見かけるし夏っぽい感じはするが、全身に取り入れない限りは他のアイテムとはちょっと合わせにくい気がする。服だけじゃなくベストや装備までトータル・コーディネートしたら格好はいいだろうね。中途半端はいかんぜよ。

お次は数年前に登場して話題となったA-TACSなる迷彩。Advanced TActical Concealment Systemの略だとの事だが、よくも大まじめに語呂を考えるよな。瓦礫の中や岩場での迷彩効果もバツグン。ACUの次に陸軍に正式採用されるCAMO、などという噂があったのが2年ほど前だが、現在の進捗状況はどうなのかね?いつまでも「次世代」と言われ続けてるような気がするが、最初に書いた通りROCKHURRAHはマニアではないもんで最新情報には疎いのじゃ。 さて、この柄はACU系列のデジタル・カモにはあまり見えないが、実はモザイクが詳細になっただけでれっきとしたデジタル迷彩らしい。しかし正直言って何だか薄汚いしどろんこ遊びした後のように見えてしまう。女性ウケはしなさそう。迷彩に関する理解度は日本最大級だと思われるSNAKEPIPEも「着る気はしない」とキッパリ(笑)。 話題になった迷彩だし最近はフォリッジ・グリーンのヴァージョンも出てきた。ミリタリー・アパレルの大手プロッパーが強力にこの柄を推進してるから、普及率も今後増えてゆきそうな気配はする。がしかし、ヘタに流行って町中がドロ柄、コケ柄(フォリッジ・タイプはそんな感じに見える)だらけになったら恐ろしいな。

アメリカ中心に書いてきたけど、ちょっと毛色の違ったものも挙げておこう。これはカナダ軍のデジタル迷彩で通称CADPATと呼ばれるもの。Canadian Army/Airforce Disruptive Patternの略だそうだ。うーん、覚えられん。 理由は特にないが我が憧れの国カナダなのは当ブログで何度か書いたから、全部読めばそういうROCKHURRAHの嗜好もわかってもらえるだろう。そんなカナダの迷彩は近年のデジタル迷彩の中ではかなりハッキリした輪郭で、ところどころがピンクっぽくなってるのがポイント。もし今まで見た事なくても、この柄見た瞬間に好きになった人も多いのではなかろうか。MARPAT柄と基本は似ているがアメリカとは気候風土が違うし、森の色合いとかも違うから、随分と印象が違って見える。実は迷彩服にデジタルを取り入れたのはカナダが世界初との事だが、その割には知名度も低くて流通してないなあ。個人的にはどの米軍迷彩よりも好きCAMO。 と言いつつ似合わない迷彩も多いROCKHURRAHだが、これは是非着用してみたいと思った。写真のようなソフトシェルは日本ではなかなか見かけないけど、あったら欲しくなりそう。袖通して「やっぱり似合わない」とSNAKEPIPEに言われそうだけどね。

最近の米軍迷彩がデジタル・パターンになってるのに対して、ヨーロッパはまだアナログ的なものが多く残ってて、これに風情を感じる人も多かろう。写真はイギリスのDPM迷彩と呼ばれるもの。これまたよくわからんけどDisruptive Pattern Materialの略だそうな。ウッドランドと似た色合いで迷彩に興味ない人だと、これが別物だとは気づかないCAMO知れない。よく見ればこちらはウッドランドよりさらに筆っぽくてダイナミック、実はアート界の巨匠がデザインしました、と言っても信じてしまいそうな柄だね。 近年は冬場にスナグパックやバッファロー・システムのアウターを着る事が多いが、これらはどちらも英国製で英国軍でも採用されている防寒着だ。そういうのを着た時にはやはり米国迷彩は似合わないと思われるので、DPM柄のカーゴ・パンツを穿きたいものだ。 そういう伝統的迷彩が主流だった英国軍も最近ではMTP(Multi Terrain Patern)と呼ばれる柄に移行しているらしい。米軍のマルチカムとは兄弟柄で、制作元も一緒のクレイ・プレシジョン、パッと見にはほとんど見分けがつきません。

最後はSNAKEPIPEの大好きなドイッチェランド迷彩、フレクターカモと呼ばれるもの。ドイツ風に読むとFlecktarn、ウッドランドやタイガーストライプと並んで世界的に最もポピュラーな迷彩だと思える。色の使い方もいかにもヨーロッパの山岳地帯っぽくて深みがある渋い柄だな。しかしこの色数と柄だから、おしゃれに着こなすのは至難の業だとも言える。全体にこれを着用すると一気に怪しくなってしまうし、大好きだと言うSNAKEPIPEでもバッグやキャップ、傘をこの柄にしてる程度。んがしかし、一度も外で着用してないが何とフレクタンのツナギを所有しているツワモノだ。一体いつ着るんだよ、全身これだと目立ちすぎないか? これの色違いといった雰囲気のデンマーク迷彩(全体的に緑)だと随分シックになるし、日本の自衛隊のJSDF迷彩も結構似た柄を採用している。色合いが違うんだけど、自衛隊の近くに住んでる人はいかにフレクタン好きでこだわってても、一般の人から見れば自衛隊にしか見えないので注意が必要CAMO。

本気じゃなくて迷彩好きの人も多数いるだろうけど、いつまでもウッドランドばかりじゃなくて、1ランク上を目指して近代迷彩に染まってみるといいだろう。

Act of Valor ネイビー・シールズ鑑賞

【映画のポスターより。あれ?スペルが違うよ!colourみたいなもんか。(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

毎朝時刻と天気予報を確認するために「めざましテレビ」を見ている。
番組の中で新作映画を紹介するコーナーがあり、何の気なしに見ていたSNAKEPIPE。
その日紹介されたのが「ネイビー・シールズ」だった。
「戦争映画か」くらいにしか思わなかった程度のチラ見だったので、詳細を全く確認していなかった。
「これがめざましテレビで紹介してた映画だよ」
と、その日の夜にROCKHURRAHが教えてくれた。
ROCKHURRAHは前から知っていたとのこと。
トレイラーを観てびっくり!こんなにすごい映画だったとは!
これは観に行かなければ!もう公開されてるし!
慌ててチケット手配をして、翌日には映画館に向かったのである。

六本木ヒルズの森美術館にはちょくちょく足を運んでいたけれど、その奥にあるTOHOシネマズに行くのは初めて。
最近は封切りになった映画にほとんど興味がなかったんだろうね。
前回映画館で鑑賞したのは2010年11月の「マチェーテ」。
なんと1年半ぶりの映画館だったとはね!(笑)
「マチェーテ」の時もWebでチケット予約と座席指定ができて快適だったように、今回のTOHOシネマズも同様のシステムを採用していたので楽々!
TOHOだけど、とほほにならなくて良かった。(意味不明)
映画館周りにはさぞや「ミリタリーマニア」がワラワラしてるかと思いきや、「あいつは絶対その道のヤツ」と確認できたのはわずか1名のみ!
髪型がサイコ刈りで、体格が良くてカーゴパンツだったからね。
その他はSNAKEPIPEだけが「その道のヤツ」だったよ。
ROCKHURRAHは「今日はユル目の服装にする」と言って、ブーニーハットかぶったくらいであんまり気合入れてなかったからね。
やっぱりミリタリー映画鑑賞の時には正装しないと!(笑)

早い時間の上映だったせいか、客の入りはまばらな感じ。
180人程度のキャパで、半分も埋まってなかったんじゃないかな。
雛壇状態の椅子は前の人の頭が気にならないので良いよね。
と言っても、SNAKEPIPEの前には人がいなかったんだけど。(笑)
全体的に年齢層高めのお客さんが多かったせいか、マクドナルドのポテトの匂いがするとかお喋りが気になるなど不快な思いをすることがなかった。
映画上映前にもマナーに関する注意喚起もやってたしね。

長ーい新作映画情報を見終えた後、ついに本編「ネイビー・シールズ」の上映が始まった。
そもそも「ネイビー・シールズ」って何?という方のために、その説明から始めてみよう。
「ネイビー・シールズ」とはアメリカ海軍の特殊部隊で、アメリカ陸軍の特殊精鋭部隊であるグリーンベレーデルタフォースと並び、米軍最強とも噂されるほどの部隊なのである。
死者さえ出るという訓練は過酷で、米海軍の中でわずか0.5%だけが残る精鋭部隊とのこと。
Wikipediaに訓練の詳細が載っているので確認してみると、最初の体力測定で
・1500フィート(457m)を12分30秒以内で横泳ぎまたは平泳ぎで泳ぐ
・2分以内で腕立て伏せを42回、同じく2分以内で腹筋運動を50回行う
・1.5マイル(2.4km)をブーツを履いて11分30秒以内で走る
と書かれてるんだよね。
これ、まだ始まりだからね。(笑)
訓練の状況を読んでるだけでも、その過酷さが伝わってくるよ。
基礎訓練から最終訓練までおよそ2年半かけてやっと人間離れした肉体と、どんな環境にも負けない精神力を持ったシールズ隊員として認められるんだって。
そんな最強の兵士達で構成されている「ネイビー・シールズ」だから、今まで活躍した作戦もいっぱいあるんだよね。
最近では2011年5月のウサーマ・ビン・ラーディン殺害作戦が有名だね。

「based on actual U.S. Navy Seal Missions」
とキャプションが入るこの映画は、銃、ハイテク兵器、戦闘機、潜水艦、戦術、そして現役のシールズ隊員が出演する、という全てが本物で作られている。
「実物」という言葉に弱いROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、もうこの時点でよろめいちゃうんだよね。
「実物!なんて甘美な響き!」って感じで。(笑)
機密情報が漏れ過ぎる、とアメリカ国防総省に抗議の電話が相次ぐ、なんてエピソードもヨダレもの!
更に役者ではない、現役隊員が出演してる映画なんて今まで聞いたことないからね。
フルメタル・ジャケット」の鬼教官役を演じたR・リー・アーメイが海兵隊員だったけど、俳優デビューは退役後だったみたいだし。

映画「ネイビー・シールズ」のあらすじをまとめてみようか。
南米の麻薬王クリストと東南アジアの国際テロリスト、アブ・ジャバールとの関係を探るべく、医師を装ってコスタリカに潜入したCIAの女性エージェント、モラレスが何者かに拉致されてしまう。
すぐさまネイビー・シールズのローク大尉率いる「チーム7」がモラレス奪還に急行。
そして鮮やかに任務を遂行し、みごとモラレスの救出に成功する。
その過程でアメリカを標的にした大規模なテロ計画が判明。
ネイビー・シールズは、史上最大規模のテロを阻止するため、再び行動を開始する。
とまあ、本当にありそうな麻薬とテロに関連する話なんだよね。
恐らく現実にも同じように鮮やかな作戦を遂行して、人質救出やテロリスト撲滅作戦に参加してるんだろうね。
フィクションではなくて、まるでドキュメンタリー映画を観ている気分で手に汗を握ってしまったSNAKEPIPE。
迫力満点なんだよね!



映画の中で気になったのは、やっぱりファッション!
一体どんな迷彩をどういう組み合わせで着こなしているのか、には最大の関心があるからね!
ROCKHURRAHも同じだったようで、鑑賞後にあれこれ感想を語り合ったよ。
ちょっと判り辛いかもしれないけど、上の写真は敵に見つからないように水中を静かに移動ながら前進するシーン。
ここではブーニーハットをかぶったまま水中に潜り、また顔を上げている。
ブーニーハットに水が溜まっていない!これは大発見だ!(笑)
ここで使用していたのはマルチカム迷彩かな?
潜水艦の中ではウッドランドのBDUやデザート・マーパットのシャツを着用していて、結構隊員の好みで服装を選んで良いみたいね。
確か「ハート・ロッカー」の中でも複数の迷彩を組み合わせて戦地に赴いてるようなシーンがあったから、こういう着こなしが現実に近いのかな?
映画の中ではいくつもの場所に赴いていたから、その場所に合わせて迷彩を選んでいるんだろうね。


湿地帯のようなジャングルでの潜伏では、簡易式(?)ギリースーツを着用。
全身を毛で覆ってるんじゃなくて、ところどころに長い毛を付けてるんだよね。
もちろんスナイパーベールも活用されてた!
こういう細工は、各自が工夫して作り上げていくんだろうから大したもんだよね。
当然のことながら、スナイパーとしても凄腕!
「5時の方向に一人!」
なんて相方に言われると即座に発射。
この時の音が「プシュ」とか「シュッ」みたいなの。
で、一発で敵に命中。実弾、恐るべし!
以前これもまた「めざましテレビ」に「ゴルゴ13」のさいとう・たかをが出演して
「弾の音って実際は結構間抜けな音なんですよ。バキューンなんて派手な音は漫画の世界だけ。あ、私が始めたんですけどっ!」
なんて嬉しそうに自慢のライフルコレクションを前に語っていたっけ。&
ん?SNAKEPIPEの情報源は「めざましテレビ」なのか。(笑)


そして湿地帯で潜んでいる写真右の人物が手にしているのがリモコンなんだよね。
これは低高度から高度300m付近まで飛行可能、CCDカメラと赤外線ナイトヴィジョンカメラを搭載する無人偵察機レイブンを操縦しているところ。
上がレイブンが飛行してるシーンね。
このレイブンがすっかりお気に入りになってしまったSNAKEPIPE。
高性能ラジコンって感じで、とてもカワイイんだもん。(笑)
実際に所持したところで、空中からの映像見てどうするわけじゃないけどさ!


そしてこれがレイブンから見た映像。
データが右下に出ていて、上から人物を確認している様子が分かる。
なんだかこれだけ見てるとまるでゲームみたいだよね。
カワイイなんて言ってるけど、実際にアメリカでは陸・海・空軍、そしてオーストラリア、イタリア、デンマーク、スペインで運用されているとのこと。
気になるお値段は、日本円で約280万円とパンフレットに書かれてるよ!
ちょっと欲しいってレベルじゃなかったね!(笑)

「シールズ隊員とその家族が犠牲を払っている事実を知って欲しい」という思いから映画を製作した、と監督がインタビューで語っている。
1年のうち家族といられる時間は2ヶ月だけで、それ以外の期間は任務に就いている隊員達。
家族といられるわずかな時間を精一杯明るく楽しく過ごしているシーンも映画の中にあり、せつなくなってしまった。
自分を守るため、家族を守るため、ご近所さんを守るため、と守る範囲を広げていくと体を張って国を守るというのが目標になるんだろうか。
ただそのために遠距離でずっと心配して、待ち続ける家族がいるのは矛盾している気がする。
これも実際の、現実の話なんだよね。
そしてもう一つ驚いたのは、映画の中での黒幕である麻薬王クリストにも同様に愛する家族がいることだ。
「家族がどうなっても良いのか」とシールズ隊員に脅されるとあっけなく降参。
他人には残酷なことをしても、やっぱり家族のことは大事だし、愛情を持ってるんだよね。

国際テロリストであるアブ・ジャバールには家族が見当たらず、正真正銘、根っからのテロリストのようだった。
麻薬王クリストの目的は最終的には金儲けだったのに対して、アブ・ジャバールを突き動かしているのは破壊願望。
利益の追求じゃないところが本当に怖いんだよね。
ただどうしてテロなのか、敵をアメリカに設定したのは何故なのか理由は明確にされていなかったね。
このテロリスト役を演じたのはJason Cottleという俳優みたいなんだけど、テロリスト顔とでも言ったら良いのかハマリ役だったと思う。
Cthulhu」(2007年)というホラー映画に出演しているようね。
写真で見る限りでは、その映画の時も坊主頭だよ!(笑)
次はどんな役で出演するのか楽しみだね。

映画「ネイビー・シールズ」を観て思ったのは「やっぱりアメリカはすごい!」かな。
例えばイギリスの陸軍特殊部隊SASも、過酷な訓練で知られた世界最強と呼ばれる、各国に存在する特殊部隊の手本となっている部隊だけどね!
参加した作戦を見るだけでも、ネイビー・シールズの活躍ぶりに比べるとSASはやや少なめな感じがしちゃうのは気のせいだろうか。

では最後にネイビー・シールズの標語を転記して終わりにしてみよう。
Ready to Lead,
Ready to Follow
Never Quit
the Only Easy Day Was Yesterday
It Pays to be a Winner

やっぱりすごいな、ネイビー・シールズ!

ROCKHURRAH視察団/ARC’TERYX編

【向こう側でよくわからんが下町に佇むアークテリクスの本拠地】

ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが興味ある場所に出かけてレポートする、ちょっと潜入記事っぽいコーナー、などと紹介していた「ROCKHURRAH視察団」シリーズだが、何と2年近くも書いてなかった。
あまり書けるような場所に出かけてないから仕方ないとも言えるが、ROCKHURRAHたちが一番楽しかった時代と比べると格段に興味を引くようなところが減ったなあという印象があり、それもまた寂しい。何だか全然元気ないぞ、日本。

今回も近場にちょっと行ってきた程度だからそこまで気合も入ってないけど、前にもチラホラ書いていたアークテリクスについてまとめてみよう。

ARC’TERYX、ヒカリエにも専門店が出来たそうだからファッション雑誌とかでもお馴染みなのかも知れないけど、カナダのアウトドア・ブランドだ。
当ブログ「がっちりBUYましょう!vol.4」でここのバッグについて少し語った事があるかな。

総合的に何でも扱ってるわけじゃないが有名なのは防水性の高い高機能なアウターとバックパック類だろう。
前にも書いた通り、ROCKHURRAHはここのミストラルというバッグの機能性と質感に魅せられて以来いくつか所持していたが、他のアウトドア・バッグと比べると格段にスマートな印象があるな。
特にアウトドアにこだわってなくて、日常ミリタリーな服装が多いROCKHURRAHが背負っても違和感ないところが良い。それどころか例えばスーツ姿で背負っても違和感ない本物のアウトドア・バッグはアークテリクスくらいしか見当たらないかも知れない。ブランドのロゴとかマークがそこまで原色ギンギンじゃないからいいのかもね。

話を戻すがミリタリー好きの人にとってアークテリクスはLEAFと呼ばれるミリタリー・ラインのアウターやバックパックを製造していて、軍に納入している実績がある事でもおなじみ。
Law Enforcement & Armed Forcesの略なんだが、簡単に言えば軍隊・警察関係者御用達という事だ。
マニアックなミリタリー屋で扱ってるバーテックスというメーカーのデザインもアークテリクスらしいし、米軍納入の大手、プロッパーの生産するバックパックのデザインも一部手がけているようだ。てなわけでROCKHURRAHにとっては単なるアウトドア・ブランドとしてのアークテリクスよりもそっちの方面に興味あるというわけ。
ミリタリーもアウトドアもハイテク素材&高機能を重視する傾向にあって、その辺は通じるものがある。パタゴニアのM.A.R.Sシリーズ、グレゴリーのSPEAR、カリマーSF、ケルティCOTS、ワイルドシングスにスナグパック、ミステリー・ランチなどなど、ミリタリーと密接な関係にあるアウトドア・ブランドも数多いから、アークテリクスだけが特別なわけでもないけど、その辺はまた別の機会に。

そんなアークテリクスの魅力を間近で見ていたSNAKEPIPEだが、女性が背負ってもゴツくならずに違和感ない本格派のバッグとして注目して、購入を決意(大げさ)。
カタログから容量、用途に向いてるかどうか、そしてデザインなどを吟味してあらかじめいくつか候補を挙げておいた。SNAKEPIPEの目的は通勤で使える20リッター以下の小型でスマートなリュック、と明確なため、あまり迷うことなく候補を絞る事が出来た。ミリタリーの話をしたから勘違いされそうだが、戦地行かないし一般的な方のアークテリクスね。

というわけでせっかく首都圏(近く)に住んでるわけだから、その辺のアウトドア屋じゃなくて正規代理店の本店に行ってみましょうぜ旦那、という事になって見に行ったのが今回の話というわけ。

アークテリクス本店=日本国内で唯一のフラッグシップストアは東京、銀座にある。昔、東京で住んでいたのは世田谷代田や豪徳寺で、下北沢を活動の拠点にしていたROCKHURRAHは恥ずかしながら銀座はほとんど知らない土地。
百貨店や高級店が多い印象で個人的にはあまり縁がなかったからね。
ところがSNAKEPIPEはこの近辺での勤務も多く、銀座である程度の土地勘があるという。
今回は別の目的もあったから先にそこに行ってから向かうという、ちょっとだけ複雑な道のりだけど、大丈夫か?SNAKEPIPE。実はかなりの方向音痴なんだよね。
しかしさすが銀座通(?)だけあって、そこまで迷う事なくアークテリクスの本拠地を探し出した。メデタシ。

アークテリクスの近くにはなぜか東京では全く進出してないと思える西鉄のビルがあって福岡出身のROCKHURRAHを驚かせた。福岡では知らぬ人はいない電鉄会社で福岡の至る所を通っているのが西鉄バスなのだ。んがしかし東京では西鉄を見た事はないなあ。一体なぜ?と疑問が膨らむが、その先にアークテリクスが見えた瞬間、疑問を一瞬で忘れてしまう。
アークテリクスのすぐ近くにはこれまた福岡ゆかりのラーメン店、一風堂があり、何だかこの辺だけリトル福岡という感じがしてしまう。
とんこつラーメン大好きのSNAKEPIPEはそちらの方に反応したらしく、満場一致(2人だけだが)で帰りに食べてゆくことに決定(笑)。

さすが日本の一等地に店舗を出すだけあるアウトドア界のトップ・ブランド、店構えも何だか高級感溢れてて「エグゼクティブ」などとROCKHURRAHには最も似合わない言葉が脳裏をよぎる。店内の壁には大きな始祖鳥の化石マークがあり、専門店なのを強調している。店内はそれほど広くないんだが、カタログに載ってる品揃えは少なくともほとんどある模様。これだけのアークテリクス商品を実際に試着してみて買える店は日本では他にないだろう(推測)。

SNAKEPIPEが欲しかったのはFLY13という小型のリュックで軽量、そして縦長のスマートなデザインが特徴。値段はアークテリクスのバッグの中ではかなり安価な方だが、このメーカーの最も人気バッグであるARRO22と似たタイプのもの。安いとは言ってもショルダー・ストラップも背中のクッションもちゃんとしていて、妥協した感じは全然しない。質感がいいんだよね。安く出来る=粗悪じゃなくて金の使い方がうまいんだろう。日本や中国の自称大企業とは大違い。

そのFLYだが、探すどころか店内に入った途端に全色壁にかかっていたので少し拍子抜け。が、一応他の候補とも比べてみようじゃありませんか。しかし20リッター以下というのはアウトドアの世界ではもしかしたら極小なのかもね。一番小さいので7リッター、これじゃ小さすぎ。FLYの13リッターはその次くらいで魚で言えばタナゴ・クラスかね?
せっかく来たんだから、と他のも背負ってみたけど、やはりSNAKEPIPEの体には大きく見えるものが多い。横幅がなくて縦長のデザインが全体的に多いんだよね。
結局そこまで粘る事もなく、最初の予定通りFLYを背負ってみて、これが一番SNAKEPIPEに似合ってる気がした。真ん中がパックリ開くデザインと薄型・軽量のかわいさが決め手になった模様。
安いのでついでに小型ウェストポーチのMAKA2というのも一緒にお買い上げ。これ、実はROCKHURRAHが所有してて非常に使い勝手が良いのでオススメ商品だったんだよね。ストラップ伸ばしてたすき掛けにも出来るし、安いのに細部までこだわった作りで、本当に良い質感。服装も似たり寄ったりだしペアルックと言われてもいいもんね。
アークテリクスのロゴが入ったいかにも高級紙袋にオリジナル・ロゴ入りキャンディまで貰って、さすがフラッグシップストアと唸らせるだけのことはある。
帰りに久々に食べた一風堂もうまかったよ。しかし汗だく。

話がここで終わると思ったら大間違いで、この後日、視察団はアークテリクスのショールームにも出向くのだった。何のことはない、ROCKHURRAHはアークテリクス銀座とショールームが同じところだと勝手に勘違いしてたのだ。
SNAKEPIPEの目的は既に達成してたわけだが、話の種にここも覗いてみようという事になって出かけた。

アークテリクスのショールームは銀座とは全然違って、京成金町線というローカルな下町の線路沿いにある。近場の人以外には馴染みないだろうけど、寅さんで有名な葛飾柴又の近くと言えばわかるだろうか。実はROCKHURRAHも全然知らないところ。家の近くにも京成通ってるし、そんなに遠くはないので行ってみよう。

その日は朝からあいにくの雨。前の視察団が「豪雨の古着屋倉庫編」だったのでまたもやすごい話になるかと思ったけど、今回は割と駅近く、しかも小雨程度になってしまい全然ドラマ性がない展開。
初めてのところは迷う、探すが当たり前の視察団チームだが、結論から言うと電車の窓からバッチリ見える。これなら誰でもすぐに行けるでしょうという距離。ドラマ性皆無だなあ。SNAKEPIPEと2人でテクテク歩いてあっけなく着いてしまったよ。

しかし噂には聞いてたがショールームを見て唖然。線路沿いにある木造(と言うよりトタンか)古アパートの正面を改造して、無理やり店舗っぽくしただけでねーの?しかも下町。「何となく高級」というアークテリクスのブランド・イメージとはかけ離れたビックリ外観だな。上に人住んでるのか?
80年代原宿とか下北とかにはよくあったパターンなので仰天はしなかったが、仰天と唖然は似たようなものではないか?と問われればそれまで。

このショールームは土日だけの営業で予約ない人は昼からしか入れないらしい。結構限定的で職業によっては行けない人も多いかも。見るだけでなく普通に買う事も出来るから、銀座店とさほど変わらないかな。

店内はたぶん3つに分かれていて、中央はアークテリクス商品のサンプル?みたいなものとMISSION WORKSHOPなるバッグ・ブランド。関係者や業界人じゃないから知らないが、普段はディーラーとかがやってきて、ここで商談とかするのかね。まだ販売してないような商品まで見られるので、ファンならば一見の価値はありそう。
MISSION WORKSHOPはコロラド発のメッセンジャー・バッグのメーカーとの事だが、クロームとかと似た感じに見えた。

それで左側がウチの目的、アークテリクスのコーナーとなっておる。このブランドに精通してるわけでもないからよくはわからんが、どうやら前シーズンまでのモデルで型落ちしたものや廃番モデル、そしてちょっとしたダメージのあるアウトレット品を安く売っている模様。

バックパックもあちらこちらに無造作にかけられている。
SNAKEPIPEがFLY13を買う前にもうひとつ候補としていたのが、容量が少し多いSILO18というバックパックだった。実はROCKHURRAHが目をつけてたんだけど、個人的にワンショルダーの使い勝手に慣れてたので、両肩からかけるこのタイプは敬遠してたんだよね。SNAKEPIPEは逆に両肩からかける方がいいというので、それならピッタリというのがこのモデルだった。が、前に銀座に行った時は好みの色が品切れで比較出来なかったのがここには普通に売ってた。
大きさの割には細身で黒とオリーブドラブのような、ちょっとミリタリーっぽい感じがカッコイイ逸品。後でわかったけど今年のカラーにはないらしい。このバッグはFLYより定価も高く、リュックとしての機能性もより高い。上から下にかけて細くなってゆくというスタイル、そして後ろから見ると横に2本ストラップが配置されていて、ここで上着などを引っ掛ける事が出来る。
スタッフがさりげなく声をかけてきて「こちらの商品は3割引となっています」との事。おお、こりゃ安いと2人で喜ぶ。
ただ見に来ただけ、とか言いながらもうすっかり買う気満々でいるよ(笑)。

半額というアウトレット品も見てROCKHURRAHも何か欲しかったけど、ちょうどいいのが見当たらないんだよな。ゴアテックスやソフトシェルの薄手のジャケットが欲しかったんだけど、原色の派手なアウトドアっぽいのしかなくて残念、断念。
アウター類はアークテリクスよりももっと戦闘的なものを好むROCKHURRAHだから、好みのがないのも仕方ないけどね。
結局、常連みたいなのが結構うるさかったし我が物顔だったので、あまり長居もせずにSILOだけ購入して店を出た。FLYと同じ金額だったので得した気分。

しかし短期間でアークテリクスを3つも所持してしまったSNAKEPIPE。気に入ったのが手に入って良かったね。嬉しかったと見えて帰り道には「サイロ」「フライ」などと奇声を発しているよ(笑)。

出た後で実はメイン・スペースの右側、カーテンというかのれんのような布がかかっていた場所もあったと気付いた。もしかして予約の人以外には入れないというアークテリクスの秘密コーナーみたいなものか?もう買って満足したからそのまま帰ったけど、一体何だろう?

ここは一般的にはあまり流通してないLEAFと思われるバックパックやアウターなども置いてあるみたいだし、本国製であるメイド・イン・カナダの商品まである(最近のはフィリピン製)ので、マニアの人ならば楽しめる事間違いなし?

写真は今回購入したリュック2点。右のSILOは実際はもう少し渋いグリーンかな。右下は小さすぎて全然わからないけど噂のアークテリクス・キャンディだ。こういう細かいところに洒落っ気があっていいね、さすが我が憧れのカナダ。え?日本製なのか?

というわけで、長く書いた割にはアークテリクスのメイン商品に全然肉迫してない内容だったけど、実際のショップに行った事ない人には少しくらい参考になったのではなかろうか?

また何か興味深いところがないか探して、視察団も続けてゆきます。

好き好きアーツ!#15 Diane Arbus

【キューブリック監督作品「シャイニング」にも流用されたダイアン・アーバスの代表作】

SNAKEPIPE WROTE:

毎週ブログの記事を考える時に、頭をよぎっていた女流写真家の名前がある。
いつか書いてみたいと思いながらも、どこから書き始めたら良いのか迷い封印してきてしまった。
ついに勇気を出して記事にしてみようと思う。
こんなに大げさな前置きは要らないかな?(笑)
「好き好きアーツ」14回目の特集はダイアン・アーバスである。
もしかしたらアメリカで最も有名な女流写真家かもしれない。
写真やアートに興味がある人なら、大抵は彼女の作品を目にしたことがあるはず。
上の双子の写真のように、オリジナルは知らなくてもキューブリック監督作品の中で流用されたイメージとして鑑賞した人も多いと思うしね。
ダイアン・アーバスの作品はとても人気があるようで、オークションにかけられると高値がついている模様。
ちなみに上の双子の写真は2004年に478,400ドル、日本円にしてな、なんと3700万円という金額が付いたらしい!
これ、今の円高で計算してるからね。
2004年だったらもっと高い数字になってるはずだよね。

SNAKEPIPEは、かつて熱心に写真の勉強をしている時にダイアン・アーバスを知った。
一番初めに観たのがどの写真だったのか思い出せないけれど、もっとたくさんアーバスの写真を観たいと思い探し求めた。
そして写真だけではなく、アーバス本人にも興味を持ったのである。
「炎のごとく―写真家ダイアン・アーバス」という分厚い本も読んだしね。(笑)
写真だけではなく、プライベートなことまで突っ込んで知ってしまったせいか、余計にブログの題材として重たい気がして書き出せなかったのかもしれないなあ。
まずはダイアン・アーバスの略歴をまとめてみようか。

ダイアン・アーバスは1923年、ニューヨーク生まれ。
ニューヨーク5番街にあったRussek’sという有名なデパート経営者である裕福な家庭で育っている。
1941年、18歳でアラン・アーバスと結婚。
1945年には第一子を、1954年には第二子を出産。
左の妊婦の写真は、ダイアン・アーバスが妊娠したよ、ということを夫であるアランに知らせるために撮ったセルフ・ポートレイト。
この時夫のアランは陸軍信号隊の写真家として従軍してたからね。
それにしても「あなた!できたわよ!」と手紙で知らせるのではなく、こんなヌード写真を戦地に送るとはさすがダイアン・アーバス。
きっと届いた写真を観てアランも驚いただろうね!(笑)
この妊婦写真のカヴァーを確か長島有里枝が撮ってたなあ。
きっと妊娠が発覚した時に「絶対アレをやったる!」って思ったんだろうな。
同じようにデカパンだったように記憶しているよ。(笑)
1946年にアランとダイアンは二人で商業写真スタジオを始め、ハーパース・バザールやヴォーグなどのファッション雑誌に写真を掲載する。
1956年にダイアンは商業写真を辞めて、以前もやっていた写真の勉強を再開する。
彼女を有名にした「あのスタイル」の始まりはこの時からである。
そしてまたエスクワイヤーやサンデー・タイムズマガジンなどの雑誌に写真を発表する。
1958年に夫と別居、1969年には離婚している。
1967年、近代美術館で「ニュードキュメント」展に参加。
1971年に薬を飲み、カミソリで手首を切り自殺。享年48歳だった。

SNAKEPIPEが何故ダイアン・アーバスの写真だけではなくて、本人にも興味を持ち伝記本まで読んだのか。
それはどうしてフリークスを撮影するに至ったか、何故自殺してしまったのかという謎を解きたかったからである。
実は「炎のごとく」を読んだのはかなり前のことなのではっきりした記憶ではないのだけれど、何人もの知的障害者と触れ合っているうちに
「私は彼らのように無垢な人間になれない」
と劣等感を持ってしまったみたいなんだよね。
言葉にするのが難しいんだけど、ダイアン・アーバスはフリークスに憧れ、聖なる存在のように考えていたようなのである。
ダイアン・アーバスは健常者だから、どうしても障害のある人と距離があるのは当たり前なんだけどね。
48歳で亡くなるとは、非常に残念でならない。

数年前にダイアン・アーバスを題材にした映画が公開される、という情報は知っていた。
邦題も知らず、日本公開されたのかどうかも不明のまま何年も経ってしまった。
偶然DVDを発見した時には飛び上がって喜んだにも関わらず、鑑賞したのはそれからまた更に1年程経過してから。(笑)
手に入ったことで満足しちゃうことってあるよね?
そして「毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレート」(原題:Fur-an Imaginary Portrait of Diane Arbus 2006年)を鑑賞したのは、つい先日のことである。
「これは伝記映画ではありません」
と最初に断り書きがあった。
てっきりドキュメント風の映画だとばかり思っていたSNAKEPIPEなので、どんな話なのかさっぱり見当がつかないまま鑑賞する。
主演はニコール・キッドマン、多毛症のフリークス、ライオネル・スウィーニーを演じるのがロバート・ダウニー・Jrである。
1958年のニューヨーク、すでにアランと共に写真スタジオを始め、二人の娘も成長している。
前述した年表から1958年というのは夫と別居した年になっているため、その年に焦点を当てたんだろうね。
鑑賞を進めるうちに「伝記映画ではない」理由が判ってくる。
同じアパートメントに越してきた男・ライオネルの家を旦那に内緒で訪問するダイアン。
初めて見た時から怪しい男だと思っいたのに、何故か写真のモデルをお願いしに行く。
そして彼が世にも不思議な多毛症という病気であることを知り、益々ライオネルに惹かれていくのである。
ダイアン自身が秘密にしていたフリークスへの強い興味が、この時開花する。
家事や育児は放棄、朝帰りは当たり前という、母親でも妻でもない「女」という役割だけに専念するダイアン。
一応言い訳は「ご近所さんの写真を撮るため」だったんだけど、写真活動もほとんど行なっていないんだよね。
そしてライオネルの紹介で大勢のフリークス達と友達になるダイアン。
フリークス達を勝手に家に呼び込み、パーティを開いたりする。
これに夫が黙っているわけないよねー?
夫や子供達を裏切るような行為はいかがなものか?
あまりの身勝手さに別居も当然だろう、と思ってしまう
フィクションで良かったなあ。(笑)

それにしてもライオネル、外出する時には頭にマスクをかぶり怪しい人物この上なし!
家の中ではマスクを脱いで毛むくじゃらのままなんだけど、これが「スターウォーズ」のチューバッカそっくり!(笑)
部屋の装飾も不可思議なモノがたくさんあったり、フリークスの写真を写真立てに入れて飾っていたりする。
ちなみにライオネルが住んでいるのはアパートメントの最上階なんだけど、地下にも怪しい人物が住んでいる設定である。
自分が住んでるアパートメントがこんなに謎だらけってすごいよね。(笑)
恐らくこの映画の監督であるスティーヴン·シャインバーグは、デヴィッド・リンチにかなり影響を受けているように感じたね。
音の使い方と、小さな隙間をクローズアップしていく手法はまるで「イレイザー・ヘッド」でのラジエーターのシーンみたいだったからね!(笑)

映画の中でダイアンが
「5歳の時に顔に大きなアザがある男の子に出会って興味を持った」
「あの男の子はとてもキレイだった」
と後の嗜好に通じる話を語るシーンがあったのが印象的だった。
映画のところどころにダイアン・アーバスの写真を彷彿とさせるシーンを盛り込んだところも「なるほど」という感じ。
ライオネルを通じてフリークス達を知ることになる流れも、その後のダイアンの写真活動を解りやすくしたんだろうね。

小人、 巨人、性倒錯、ヌーディスト、サーカスパフォーマー、知的障害などの逸脱し規格外の人々を心から美しいと感じ、正面から向き合い、同化したいとまで願った女流写真家ダイアン・アーバス。
彼女と全く同じ気持ちになれる人は少ないのでは?
ただ被写体と撮影者の距離の近さがなければ表現できなかったであろう、写真としての力強さとインパクトの凄さは、SNAKEPIPEも存分に感じることができる。
フリークスと同じ目線で生きていきたいと願ったダイアン・アーバスの仕事は、恐らく誰もマネすることができない境地だろうね。
今まで一度もダイアン・アーバス展を鑑賞したことがないので、機会があったら是非行ってみたいものだ。