ビザール・サバイバル選手権!31回戦

【サバイバル・バイク使ってゾンビから身を護るとは!】

SNAKEPIPE WROTE:

2017年8月に「ゴシック」をキーワードにして、アメリカのアマゾンで購入することができるビザールな商品を紹介したことがあった。
ビザール・ゴシック選手権!26回戦」は検索したSNAKEPIPE自身も非常に楽しかったし、企画も好評だったんだよね!
今回は別のキーワードを設定して商品紹介してみようと思う。
相談したROCKHURRAHから「サバイバルはどうか」との提案があった。
何か面白い商品がヒットするかな?
早速いってみよう!

BellFyd Tactical Pen for Personal Protection and Self Defense はペンタイプでありながら、様々な機能を備えている便利グッズなんだよね!
栓抜き、カッター、ドライバー、ライトの他に、ガラスを壊すことができる機能があったり、金属をカットすることができる機能もあるという。
ガラスを割るというのは、例えば車内に閉じ込められた時に必要なのかなと想像する。
何かが起こる前に準備しておく、というのはサバイバルする上での鉄則だもんね?
ペンにしか見えないのに実は多機能、というとまるで007シリーズでQが開発するスパイグッズみたいでワクワクしちゃうよ。(笑)
このペンのお値段は日本円で約1300円。
軍用のタングステン使用のため重さが約68gだって。
少し重くても、このお値段で安心を手に入れられるなら安いかもしれないね?
残念なことに日本への配送はやっていないとのこと。
欲しかったのにね!

サバイバルに必要なものといえば、雨風を防ぐためのポンチョじゃない?
小さく畳めて軽いので、いつでも持ち運べるし。
Lightweight Rain Gear Poncho Emergency Survival Cover Shelter Norwegian Military Surplusは、約150cm☓120cmの大きさで200gの重さだって。   
緊急用のシェルターとして使用する場合には240cmまで伸ばすことが可能とも書かれているので、万が一の場合にも安心だね!(笑)
色はオリーブドラブ系のグリーン色みたいだけど、画像だと分かりづらいかな?
お値段は約1000円!
かなりお手頃だし、使い勝手良さそうだけど…。
ジャングルで着用するならまだしも、例えば通勤時に着てたら不審人物に見えないかな?
まるでスター・ウォーズに登場する砂漠の民みたいにも見えるし。
メイド・イン・ノルウェーのようなんだけど、ノルウェーではこのまま歩けるんだろうか。
ノルウェーの人に聞いてみたいよね!
ちなみにamazonのレビューは買って良かったと皆様、高評価。
日本への配送もオッケーみたいだけど、どうする?(笑)

これはサバイバルというよりは「脱走」とか「脱獄」グッズのようなんだけど?
シンプルな指輪かと思いきや、実は内側にヤスリが仕込まれているんだよね。
anders Inc Titanium Escape Ringはチタン製で、仕込まれているヤスリはステンレス製だという。
エスケープ・リングと名付けられている、こちらの商品!
なんと手錠を外すことができるのがウリのようで。 (笑)

実際に購入して練習した、という記事があったので読んでみたよ。
1時間ほどの特訓で指輪からツールを外し、手錠を外すことに成功したって。
更にこの方、数日間練習した結果、目隠しして後ろ手に手錠をかけられた状態からの解除もできた、と書いてたよ。
こんな状況になる事自体が(特に日本では)あり得ないけど、真面目に検証してるところがすごいよね。(笑)
amazonのレビューでも、夫用に買ったけどサイズが小さかったので息子にあげた、なんていう女性がいたけど。
そんなに手錠に縁があるって、 一体どんな家族なんだろうか?(笑)
お値段は約7600円。
日本への配送もオッケーとのことなので、ちょっと欲しくなったね。
ワンサイズ大きめを買うのがポイントらしいよ! 

最後はこちら!
お腹ぽってりのおっさんの、どこがサバイバルなの?
SNAKEPIPEは最初に見た時に、そう思ったんだよ。 
ところがなんと!
このお腹部分がウエストポーチなんだよね。(笑)
Dad Bag Funny packはPUレザーとキャンバス・レザーを使用したポーチで、大きさは40cm☓16cmだという。
余裕で缶が入っているから、かなり物が入りそうだよね。
サバイバル要素としては、パラコードのキーホルダーがおまけで付いていること。
それでamazonの検索に引っかかったみたいだね。
ぽっちゃりした人だ、とだけ思っていたらお腹のポーチには食料が隠されていてサバイバルできた、とか?(笑)
デザインによってお値段が約750円から1300円まであるんだよね。
金額が高いのは毛が生えてるタイプ。(笑)
お腹ぽってりポーチ、日本への配送オッケーだって。
笑いを取ることは間違いないけど、サバイバルにはどうかな?(笑)

今回は「サバイバル」をキーワードに、アメリカのamazonで販売している商品の紹介をしてみたよ!
また別のキーワードでビザール・グッズを探してみよう。
次回もお楽しみに!

時に忘れられた人々【09】似非南国音楽

【夏になると何故か聴きたくなるリップ・リグ+パニック。素晴らしい!】

ROCKHURRAH WROTE;

準備期間を入れると1ヶ月以上もかかってしまった未曽有の大引越しが終わってようやく落ち着いてきた。要るモノ、要らないモノ、宝モノ、そして何だかわからないモノで溢れかえった元の我が家だったので、整理整頓するのも一苦労。
SNAKEPIPEの働きがなかったら到底快適と言える状態にはならなかっただろう。
本当にありがとう、SNAKEPIPE。
尚、書いてる本人も忘れていたがROCKHURRAH RECORDSの通販業務もすでにひっそりと再開しているのでお忘れなく。へぇー、通販もやってるんだ?

さて、そういう前フリとは全く関係なく、久々の「時に忘れられた人々」シリーズをお送りしよう。
今回のテーマはかなり短絡的だが、暑い夏にピッタリの80年代流インチキ夏音楽特集としよう。毎回説明するのもいいかげんアレだが、ROCKHURRAH RECORDSは1980年代くらいの音楽や文化を大得意にしている人間がやっておりまして、特に強いのはこの時代にニュー・ウェイブと呼ばれた音楽について。だからその手の記事ばっかり書いてるという時代錯誤の殿堂を目指しているワケだ。説明長いな。
で、そういうニュー・ウェイブ世代の中で夏っぽいと勝手に思った曲を紹介してゆこうというのが今回の趣旨。夏っぽいと言っても決して「燃えろいい女(世良公則&ツイスト)」とかは紹介しないからROCKHURRAHブログの初心者は誤解しないように。

夏だ、暑い。アイスキャンディ欲しい!という時にピッタリな曲。
バウ・ワウ・ワウは80年代初期に人気があったバンド。
ニューヨーク・ドールズ、セックス・ピストルズ、アダム&ジ・アンツなどの仕掛け人として辣腕を振るった(後で全部のバンドを裏切った)パンク界で最も有名な詐欺師マルコム・マクラーレン。
彼がアダム・アント抜きのジ・アンツ+14歳のアナベラ嬢を無理やりくっつけて売り出したというからその胡散臭さは折り紙つきだ。しかしビルマ系モヒカン少女アナベラの歌も演奏もこの時代には充分革新的だったのは間違いなく、インチキ夏音楽と銘打ってはいてもバカには出来ない。
個人的に明日は大変忙しいのであまり詳しくは書けないが、この曲は60年代にストレンジラブズがヒットさせた名曲のカヴァーでいわゆるボー・ビート(ボ・ディドリーが開発した独特のズンドコなリズム)が心地良いですな。

夏だ、暑い。サルサソースの何か食わせろ!というわけで今度はニセ・ラテンだよ。
サルサと言えばROCKHURRAHにとってはこれしかない。80年代インチキ音楽をこよなく愛する者どもには定番中の定番だな。
80年代初期に何故か流行ったファンカ・ラティーナという音楽の代表選手がこのモダン・ロマンスだ。
同じファンカ・ラティーナのヘアカット100やブルー・ロンド・ア・ラ・ターク(マット・ビアンコの前身)は聴いてたんだが、このモダン・ロマンスにはあまり興味なかったなあ。
ラテン音楽に造詣が深いワケではないが、何故か理由もなくサルサは好きじゃなかったという意味不明の経緯がある。何じゃそりゃ、好きじゃないなら書くなよ、とまた言われてしまいそう。

夏だ、暑い。テキーラ飲ませろ!というわけで今度はテックス・メックス系インチキ音楽入ります。
やってるのはテキサスでもメキシコでもなくてフランス、スペイン、アラブなどのごちゃまぜバンド、マノ・ネグラ。
前に当ブログ「Funnyちゃんミュージック」でも紹介したがこの陽気な勢いが大好きなんだよね。
そしてカヴァー曲なんだが原曲はテックス・メックス界の王冠男、ジョー・キング・カラスコの名曲。
この人は陽気で軽薄な一面も多いけどやる時はやる、というインチキ音楽のお師匠さん的な存在。正直言って知らない人の方が多いこんな曲をカヴァーするマノ・ネグラのセンスに脱帽、脱王冠だよ。

夏だ、暑い(しつこい)。カレー食わせろ!って時はこれ。
80年代にちょっとだけ流行ったモンスーンだ。
そういうムーブメントがあったのかどうかは知らないけどインド風ニュー・ウェイブとでも言えば良いのか?別にインドでやってたわけではなくインド系英国人シーラ・チャンドラ嬢の歌声を当時流行っていたエレ・ポップ+インド風に仕上げたというシロモノ。
引越しのレコードを段ボールから無造作に掴み取ってレコード棚に戻すという作業をしていた時、なぜだか同じミュージシャンのレコードが一番前に来るという事が5回くらい続いて「これは何かの啓示か?」と思ったものだ。トランプの中からAだけを取り出すようなもので、こんな偶然が続くのは奇跡的だからだ。
そのミュージシャンとはビー・バップ・デラックス、レッド・ノイズ、そしてソロと活躍したビル・ネルソンであり、過去にはマニアと言われるくらいに買い集めていた。何でこんな話を急に書いたかというと、このモンスーンの演奏のゲスト・ギタリストとしてビル・ネルソンが参加していたからだ。わざわざ数行も書くほどでもなかったか?
さて、この曲は誰でも知ってるビートルズのカヴァーでインド風、ニュー・ウェイブ風のいかにもな出来。シーラ・チャンドラーの涼しげな美声が心地良いね。

夏だ、暑い。暴走させろ!というわけで髪型やファッション・センスが大昔のレディース(暴走族)とかタケノコ族を思わせるダニエル・ダックス嬢のこの歌。
別にこの人が英国版ヤンキーのわけでもなく彼氏が暴走族のわけでもないけど、偶然センスが似通ってしまったの図。
元々はレモン・キトゥンズというバンドで割と前衛アートな感じのパフォーマンスをしていたんだが、ソロとなってからはポジティブ・パンク、ゴシックの殿堂バッド・ケイブというクラブで退廃的なメイクと独特の音楽をやって、よくある女性アーティストとはひと味違う路線を展開していた。
完成したのはインド、ガムランに中東風、そしていわゆるスワンプ・ロックと言えばいいのか?アメリカ南部の泥臭い要素を取り入れたサイケデリックかつ無国籍な音楽だった。
要するに何だかわからん欧米っぽくない雰囲気なんだけど、美人女性シンガーと呼ばれる部類で南部系音楽を志すのも珍しいな。しかもこの顔からは信じられない野太い声と声量。やっぱりヤンキー入ってるんでねえか?

夏だ、暑い。アフリカ行かせろ!って人はあまりいないとは思うが、日本に居ながら手軽にアフリカ気分を味わう事が出来るインチキ・アフロがこれだ。
XTCはニュー・ウェイブ初期の77年から活動していたバンドで最初の頃はいかにもニュー・ウェイブといった斬新さで、見事な勢いの曲を量産していた。基本はビートルズのように英国風味の音楽を得意とするバンドだが、たまにこういう曲をやったりする。誰もが思うようなアフリカンな感じそのもの、非常にわかりやすいね。

夏だ、暑い。バナナ食わせろ!って人も滅多にいないか。
単に南方系果物のタイトルが付いてるというだけで「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね(中原めいこ)」と大して変わらぬ世界か?
キング・カートは80年代初期にパンク+ロカビリーでパンカビリーと言われた音楽をやっていた英国のバンド。
いち早くサイコ刈りのような髪型をしていたし、大まかに言えばサイコビリーの一派でいいのかな。
陽気でハチャメチャでふざけたステージ、そして威勢のいいロックンロールで曲も良い。ROCKHURRAHも大好きなバンドだ。
この曲はそういうバンドの悪ふざけの一環なのか「サイコビリーがファンカ・ラティーナに挑戦してみました」という珍しい試みをやっている。何だかイカ天バンドKUSU KUSUを思い出すような曲だな。
本格派のサイコビリーから見れば不評かも知れないが、バナナ迷彩柄の服装にバカっぽい映像、キング・カートの魅力に溢れた傑作だと言えよう。

以上、インチキな香りのする夏っぽい音楽をROCKHURRAHが選んでみたが、今回はあまり時間がなかったので、こんなもんで許して。でもやっぱり夏は大嫌いだよ。活動したくなくなってしまう。
というワケで冬になったらまた会いましょう(ウソ)。

サイコビリー再考

【世界最古のサイコビリーの誕生は約400万年前(ウソ)】

ROCKHURRAH WROTE:

今回はROCKHURRAHが大好きな音楽ジャンル、サイコビリーについて書いてみよう。いつも書いてるシリーズ企画「時に忘れられた人々」と内容的には同じなんだけど、まだ現役バンドも多いジャンルなので個人的には全然忘れられてないよ。というわけで、今回のは単発モノという事で進めてみたい。

サイコビリー、こんな音楽を全く知らない人もこの世にはたくさんいる事だろうから、まず簡単に書いておくか。
アメリカで1950年代に誕生したロカビリーを元祖として80年代にネオ・ロカビリーという音楽が流行った。これは70年代後半のパンク、ニュー・ウェイブを通過したロカビリーというのがポイントになっていて、古臭いただのリメイク・ロカビリーとは少し違った魅力があった。
オリジナルのロカビリーでは有り得ないシンセサイザーを曲に取り入れてニュー・ウェイブ版ロカビリーというスタイルを確立させたロカッツ。
化粧をしてロカビリーとグラム・ロックの融合を目指したポールキャッツ。
パンクとロカビリーをミックスさせたファッション・センスも注目され、MTVの普及によって人気バンドになったストレイキャッツ。
バンドによって路線が色々で、そういう特色が面白かったものだ。

そのネオ・ロカビリーの持つ不良っぽいルックスをさらに「エグく」して悪趣味に展開したのがサイコビリーというわけだ。PSYCHO+BILLYという事でサイコパスとかサイコ野郎とかの「サイコ」によるロカビリーという語源だ。決してサイケなロカビリーではないので間違えないように。
モヒカンの毛先がツノのようになった独特のサイコ刈りという髪型、両腕から全身に至る入れ墨、バンドによってはゾンビのようなメイクを施したり、などが主な特徴だ。
音楽的にはパンク、ハードコア・パンクからの影響を受けたものが多く、さらにバンドによってはガレージ、ヘヴィメタルやスカ、カントリー、トラッドにラテンなど独自のミクスチャー路線のものまで存在している。だからこれこそサイコビリーという定義はなく、何でもありの世界。
詳しく書くとこれだけでブログ数回分くらいになってしまうから、書き始めた割には後悔しているが・・・まあネオ・ロカビリーを究極にグロっぽくねじ曲げた音楽がサイコビリーだというような見解で間違いなかろう。

さて、これから80年代〜90年代に登場した有名どころのサイコビリーについて軽くコメントしてゆくつもりだが、せっかくだからサイコビリーが得意にしているカヴァー・ヴァージョン特集としようか。たぶん割と取っ付きやすいしコメントしやすいからね。

誰もが認める、元祖サイコビリーと言えばこのメテオスで決まりだろう。1980年英国産のバンド。ネオ・ロカにはあまりないダークで荒々しい曲調、何だかよくわからないが血だらけの印象があるライブ・パフォーマンス、サイコビリーのライブでは定番となっているパンチ合戦、そしてレッキンクルーと呼ばれる怖そうな親衛隊の存在。後のサイコビリー達が踏襲したスタイルを最初にやり始めたのがメテオスだった。ピュア・サイコビリーと呼ばれた彼らの音楽はチンピラなパンクよりも明らかにケンカ強そうな印象があるな。
カヴァーも色々とやってるバンドだが今回ROCKHURRAHが選んだのはストラングラーズの名曲「Go Buddy Go」だ。サイコビリー系のライブでDJタイムの時にかかる可能性が非常に高い定番の曲ですな。ビデオに出てくるメンバーや女の子の髪型、服装も80年代でいいね。

こちらはメテオスよりも少し後、82年モノのバンドだ。何だかわからんがMA-1やカウチン・セーターのメンバーに首を締められてるアルバム・ジャケットも有名。ヴォーカルが全身入れ墨のマッチョマン(死語)で、なぜか短パン大好きという印象がある。実は一番初期の頃くらいしか知らないんだが(←サイコビリー失格)、こんなに入れ墨すごかったっけ?曲はロック野郎なら誰でも知ってるレッド・ツェッペリンのカヴァーだ。エルビス・コステロの温厚な曲(表現変か?)「Radio Sweetheart」とかもカヴァーしてたがやっぱりこっちのツェッペリンの方が疾走感があっていいね。

極端なダミ声にゾンビ・メイク、フリークスをイメージしたステージなど、今回書く中では最もわかりやすくサイコビリーという音楽のバッド・テイスト、B級カルト趣味を体現したバンドがこのディメンテッド・アー・ゴー!だろう。変格大好きのROCKHURRAHが一番好きなのがこのバンド。他のサイコビリー・バンドがスラップ・ベースのカッコイイはじけ具合などが評価の対象になっているのと比べて、このバンドはもうヴォーカルのドスの効いた声だけでインパクト満点。曲はB級SFテクノ・パンクの雄、ディーヴォの名曲。もっとサイコにカッコイイ曲がたくさんあるバンドなので、実はカヴァーとしてそこまで絶賛出来るほどのものではないんだが・・・。
なんだ、カヴァー・ヴァージョン特集、早くも失敗か(笑)?

サイコ=ヒッチコック=フレンジーという連想からきた名前なのか?
これもサイコ初期から活躍していたバンドで、ウッドベースのスラップ奏法(フレットをカチカチと叩きながらリズムを取る奏法)がとにかく素晴らしい。ところが同時に歌う声は甲高くて迫力なく、ギターもパワーがなくてペラペラな感じ。ファンにとってはそういうアンバランスさも魅力だったんだけど、一般的にはもっとパワフルな編成に出来たんじゃなかろうか?と思ってしまう。後期になってからは何だかわからない長髪のメンバーがいたりして「サイコビリーとはこうあるべき」という固定観念から脱却しようとする試みも感じられたバンドだったな。その実験性(と言うほど大げさなモノじゃないが)の結果がこの曲などにも顕著だ。何と、サイコビリーとは程遠いロキシー・ミュージックの「恋はドラッグ」をシンセサイザーやホーンをフィーチャーしつつカヴァーしていて、肝心のサイコビリー要素さえ全然感じられない作品となっている。
このバンドのカッコ良さを知るには「Robot Riot」や「I See Red」などの曲を持ってきた方が良かったのは明らかだが、またしてもカヴァー・ヴァージョン特集失敗か(笑)?

ディメンテッド・アー・ゴー!などと同じくゾンビ・メイク系で人気だったバンド。しかしディメンテッドほどの突き詰めたホラー趣味はなく、声も演奏もネオ・ロカ、あるいはジャズ、カントリーっぽい曲を得意としていて、そこまでアクの強い部分はないかも。クラッシュやプレスリー、それに「カントリー・ロード」や「ユア・マイ・サンシャイン」「トム・ドゥーリー」などなど、数多くのカヴァー曲があるんだが、今回選んだのはアメリカのTVアニメ「原始家族フリントストーン」のテーマ曲。サイコビリーの持つ暴力的な部分もいかがわしさも皆無のコミカルな曲で、「何でこの曲を持って来るの?」とファンにツッコまれそうだな。B-52’sもカヴァーした曲で、なぜかROCKHURRAHは原曲の方のCDまで持っている。よほど好きだったに違いないが、何がそこまでROCKHURRAHを惹きつけるのかは本人にもわからぬ。

上記のサイコビリー・バンドと比べると少し遅くデビューしたクリンゴンズ。ある意味ド派手なバカっぽさを競い合ってるサイコビリーの中でもこのバンドのルックスと変なパフォーマンスは一歩抜きん出ている。メンバーの一人はサイコ刈りを発展させたツノを生やしてるし、オムツ姿のライブなどは朝飯前。以前に当ブログ「Funnyちゃんミュージック」の時も登場いただいたが、今回もファニー路線でこれ「セサミストリート」のカヴァーだ。サイコビリーの場合は穏便にカヴァーしてても突如速くなったりスラップ・ベースが入ったりするもんだが、意表をついて最後まで原曲と同じペース。こりゃ一本取られたね。

ネオ・ロカからサイコビリーへの転身組、クリューメンはどちらかというと正統派な印象があるが、ファンも多くて人気あったバンドだ。ディメンテッド・アー・ゴー!やクリンゴンズは派手だけど、これらの格好を真似てそのまま街着にするにはちょっとはばかられる。それをはばからないのが真のサイコビリーなのかも知れないが・・・。
というわけで通常の社会生活を営んでいるサイコビリーが真似られるようなバンドはやはり限られてくるが、このクリューメンとかはスッピンだし、影響も受けやすいのでは?でも若者たち、サイコビリー・テイストはやめてね。
話が逸れたが今回選んだのはグラム・ロックの大魔神、ゲイリー・グリッターの大げさな名曲のカヴァーだ。破綻してなくてメデタシ。

結構長くなってしまったので後半駆け足気味。コメントもだんだんぞんざいになって来るのがROCKHURRAH流。他のサイコビリー・バンドはデビュー当時は若くても海千山千のふてぶてしさがあるもんだが、このバンドは顔立ちが幼くてやんちゃな感じが微笑ましい。短パンにポロシャツだもんなあ。
曲はネオ・アコースティックの有名曲、ハウスマーティンズのカヴァー。さわやか系青春サイコとしては定番の曲だな。

もっと意外な曲のカヴァーはないか探していたらこんなのもあった。サイコビリーでやるか?この曲。エコー&ザ・バニーメンの哀愁の名曲をカヴァーしている。本当に、やろうと思えばどんな曲でもカヴァー出来てしまうサイコビリーという音楽も恐るべし。クエイクスは今回コメントしたバンドの中で唯一アメリカのバンドだ。サイコ=ヨーロッパという好みがあるROCKHURRAHはこのバンドの事についてはあまり詳しくないから、コメントは控えておこう。ストレイ・キャッツのレコード・ジャケットをパロディしたのでも有名だな。

この曲だけが有名で限りなく一発屋に近い印象がある。原曲は70年代にミッキー・モストがやっていたRAKレーベル所属のアローズというバンドのものだが、それよりも元ランナウェイズ、ジョーン・ジェットのカヴァーの方で著名。というかカヴァーなのに代表曲だもんな。このラットメンもそのパターンを踏襲しているかな。これまたサイコビリー系のDJタイムではおなじみの曲。

サイコビリーの毒々しい部分は少なくてネオ・ロカビリーや他のポップな音楽と程良くミックスされた聴きやすいバンド、ロング・トール・テキサンズ。本人たちをデフォルメした独特のコミックっぽいレコード・ジャケットも含めてトータルな質感が高いバンドだったな。
カヴァー曲も得意にしていてサイコビリーのバンドがなぜか伝統的にカヴァーする率が高いクラッシュの「Should I Stay Or Shoul I  Go」やスウィートの「Ballroom Blitz」なども例外なくカヴァーしている。この「Breakaway」は60年代の女性シンガーソングライター、ジャッキー・デシャノンがオリジナルでいいのかな?アーマ・トーマスのヴァージョンが一般的だが、80年代的にはやっぱりトレイシー・ウルマンのカヴァーが代表的だろうか。逆に男でカヴァーするのが珍しいからなあ。ちっちゃ過ぎて何だかよくわからないが、写真はアンリ・カルティエ・ブレッソンによるもの(ウソ)。

最後に。このブログを書き始めた時にはまだ知らなかったが、何とROBINが解散してしまうとの事。SNAKEPIPEとROCKHURRAHが一番好きなバンド。二人で最もライブを観た日本のバンドがROBINで間違いないし、このブログでも最も記事を書いたバンドかも知れない。
二人は全然関係者でもなくて単なるファンだから、友達みたいな事は全く書けないが、ウッドベースのYASUさんはいつでも気さくに握手してくれたし写真も何回か撮らせていただいた事もある。ギターのHIROSHIさんは迫力満点なのであまり声をかけられなかったが、去年の千葉ルックで仲間たちと念願の集合写真を撮らせていただいたのも素晴らしい思い出。
これからROBINのメンバーが別々にどういう活動をしてゆくかはわからないが、熱烈に支持出来るバンドがいなくなるのは寂しい限り。写真のシングル・ジャケットもカヴァー曲(ラークスの「Maggie Maggie Maggie」)なんだが、今回選んだのはこの曲ではなく、ミスフィッツの「American Psycho」だ。初期の頃から彼らが得意にしている曲でROBINのライブには欠かせない。
SNAKEPIPEがROBINのライブ参戦記を毎回書いてくれているんだが、ROCKHURRAHは今までほとんど書いた事なかったなあ。解散の時になってからしか書かないのもファン失格だろうけど、いつまでも応援し続けてゆきたい。