時に忘れられた人々【09】似非南国音楽

【夏になると何故か聴きたくなるリップ・リグ+パニック。素晴らしい!】

ROCKHURRAH WROTE;

準備期間を入れると1ヶ月以上もかかってしまった未曽有の大引越しが終わってようやく落ち着いてきた。要るモノ、要らないモノ、宝モノ、そして何だかわからないモノで溢れかえった元の我が家だったので、整理整頓するのも一苦労。
SNAKEPIPEの働きがなかったら到底快適と言える状態にはならなかっただろう。
本当にありがとう、SNAKEPIPE。
尚、書いてる本人も忘れていたがROCKHURRAH RECORDSの通販業務もすでにひっそりと再開しているのでお忘れなく。へぇー、通販もやってるんだ?

さて、そういう前フリとは全く関係なく、久々の「時に忘れられた人々」シリーズをお送りしよう。
今回のテーマはかなり短絡的だが、暑い夏にピッタリの80年代流インチキ夏音楽特集としよう。毎回説明するのもいいかげんアレだが、ROCKHURRAH RECORDSは1980年代くらいの音楽や文化を大得意にしている人間がやっておりまして、特に強いのはこの時代にニュー・ウェイブと呼ばれた音楽について。だからその手の記事ばっかり書いてるという時代錯誤の殿堂を目指しているワケだ。説明長いな。
で、そういうニュー・ウェイブ世代の中で夏っぽいと勝手に思った曲を紹介してゆこうというのが今回の趣旨。夏っぽいと言っても決して「燃えろいい女(世良公則&ツイスト)」とかは紹介しないからROCKHURRAHブログの初心者は誤解しないように。

夏だ、暑い。アイスキャンディ欲しい!という時にピッタリな曲。
バウ・ワウ・ワウは80年代初期に人気があったバンド。
ニューヨーク・ドールズ、セックス・ピストルズ、アダム&ジ・アンツなどの仕掛け人として辣腕を振るった(後で全部のバンドを裏切った)パンク界で最も有名な詐欺師マルコム・マクラーレン。
彼がアダム・アント抜きのジ・アンツ+14歳のアナベラ嬢を無理やりくっつけて売り出したというからその胡散臭さは折り紙つきだ。しかしビルマ系モヒカン少女アナベラの歌も演奏もこの時代には充分革新的だったのは間違いなく、インチキ夏音楽と銘打ってはいてもバカには出来ない。
個人的に明日は大変忙しいのであまり詳しくは書けないが、この曲は60年代にストレンジラブズがヒットさせた名曲のカヴァーでいわゆるボー・ビート(ボ・ディドリーが開発した独特のズンドコなリズム)が心地良いですな。

夏だ、暑い。サルサソースの何か食わせろ!というわけで今度はニセ・ラテンだよ。
サルサと言えばROCKHURRAHにとってはこれしかない。80年代インチキ音楽をこよなく愛する者どもには定番中の定番だな。
80年代初期に何故か流行ったファンカ・ラティーナという音楽の代表選手がこのモダン・ロマンスだ。
同じファンカ・ラティーナのヘアカット100やブルー・ロンド・ア・ラ・ターク(マット・ビアンコの前身)は聴いてたんだが、このモダン・ロマンスにはあまり興味なかったなあ。
ラテン音楽に造詣が深いワケではないが、何故か理由もなくサルサは好きじゃなかったという意味不明の経緯がある。何じゃそりゃ、好きじゃないなら書くなよ、とまた言われてしまいそう。

夏だ、暑い。テキーラ飲ませろ!というわけで今度はテックス・メックス系インチキ音楽入ります。
やってるのはテキサスでもメキシコでもなくてフランス、スペイン、アラブなどのごちゃまぜバンド、マノ・ネグラ。
前に当ブログ「Funnyちゃんミュージック」でも紹介したがこの陽気な勢いが大好きなんだよね。
そしてカヴァー曲なんだが原曲はテックス・メックス界の王冠男、ジョー・キング・カラスコの名曲。
この人は陽気で軽薄な一面も多いけどやる時はやる、というインチキ音楽のお師匠さん的な存在。正直言って知らない人の方が多いこんな曲をカヴァーするマノ・ネグラのセンスに脱帽、脱王冠だよ。

夏だ、暑い(しつこい)。カレー食わせろ!って時はこれ。
80年代にちょっとだけ流行ったモンスーンだ。
そういうムーブメントがあったのかどうかは知らないけどインド風ニュー・ウェイブとでも言えば良いのか?別にインドでやってたわけではなくインド系英国人シーラ・チャンドラ嬢の歌声を当時流行っていたエレ・ポップ+インド風に仕上げたというシロモノ。
引越しのレコードを段ボールから無造作に掴み取ってレコード棚に戻すという作業をしていた時、なぜだか同じミュージシャンのレコードが一番前に来るという事が5回くらい続いて「これは何かの啓示か?」と思ったものだ。トランプの中からAだけを取り出すようなもので、こんな偶然が続くのは奇跡的だからだ。
そのミュージシャンとはビー・バップ・デラックス、レッド・ノイズ、そしてソロと活躍したビル・ネルソンであり、過去にはマニアと言われるくらいに買い集めていた。何でこんな話を急に書いたかというと、このモンスーンの演奏のゲスト・ギタリストとしてビル・ネルソンが参加していたからだ。わざわざ数行も書くほどでもなかったか?
さて、この曲は誰でも知ってるビートルズのカヴァーでインド風、ニュー・ウェイブ風のいかにもな出来。シーラ・チャンドラーの涼しげな美声が心地良いね。

夏だ、暑い。暴走させろ!というわけで髪型やファッション・センスが大昔のレディース(暴走族)とかタケノコ族を思わせるダニエル・ダックス嬢のこの歌。
別にこの人が英国版ヤンキーのわけでもなく彼氏が暴走族のわけでもないけど、偶然センスが似通ってしまったの図。
元々はレモン・キトゥンズというバンドで割と前衛アートな感じのパフォーマンスをしていたんだが、ソロとなってからはポジティブ・パンク、ゴシックの殿堂バッド・ケイブというクラブで退廃的なメイクと独特の音楽をやって、よくある女性アーティストとはひと味違う路線を展開していた。
完成したのはインド、ガムランに中東風、そしていわゆるスワンプ・ロックと言えばいいのか?アメリカ南部の泥臭い要素を取り入れたサイケデリックかつ無国籍な音楽だった。
要するに何だかわからん欧米っぽくない雰囲気なんだけど、美人女性シンガーと呼ばれる部類で南部系音楽を志すのも珍しいな。しかもこの顔からは信じられない野太い声と声量。やっぱりヤンキー入ってるんでねえか?

夏だ、暑い。アフリカ行かせろ!って人はあまりいないとは思うが、日本に居ながら手軽にアフリカ気分を味わう事が出来るインチキ・アフロがこれだ。
XTCはニュー・ウェイブ初期の77年から活動していたバンドで最初の頃はいかにもニュー・ウェイブといった斬新さで、見事な勢いの曲を量産していた。基本はビートルズのように英国風味の音楽を得意とするバンドだが、たまにこういう曲をやったりする。誰もが思うようなアフリカンな感じそのもの、非常にわかりやすいね。

夏だ、暑い。バナナ食わせろ!って人も滅多にいないか。
単に南方系果物のタイトルが付いてるというだけで「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね(中原めいこ)」と大して変わらぬ世界か?
キング・カートは80年代初期にパンク+ロカビリーでパンカビリーと言われた音楽をやっていた英国のバンド。
いち早くサイコ刈りのような髪型をしていたし、大まかに言えばサイコビリーの一派でいいのかな。
陽気でハチャメチャでふざけたステージ、そして威勢のいいロックンロールで曲も良い。ROCKHURRAHも大好きなバンドだ。
この曲はそういうバンドの悪ふざけの一環なのか「サイコビリーがファンカ・ラティーナに挑戦してみました」という珍しい試みをやっている。何だかイカ天バンドKUSU KUSUを思い出すような曲だな。
本格派のサイコビリーから見れば不評かも知れないが、バナナ迷彩柄の服装にバカっぽい映像、キング・カートの魅力に溢れた傑作だと言えよう。

以上、インチキな香りのする夏っぽい音楽をROCKHURRAHが選んでみたが、今回はあまり時間がなかったので、こんなもんで許して。でもやっぱり夏は大嫌いだよ。活動したくなくなってしまう。
というワケで冬になったらまた会いましょう(ウソ)。

がっちりBUYましょう!vol.3 引越し作業中発掘編

【家ごと引越すとはさすがアメリカ!こんなだったら楽でいいなあ。】

SNAKEPIPE WROTE:

先週ROCKHURRAHが「告知」として書いていたように、現在ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは引越し作業に追われているところである。
なんでこんなにあるの!って嫌になるくらいの物であふれ返っている状態。
山積みダンボールに囲まれて、毎日のように大量のゴミを出している。
だったら買わなきゃいいのにね?(笑)
それでも好みの物があるとつい購買意欲が掻き立てられてしまう。
買ったら捨てること、なんて整理整頓の達人の言葉があったけど、なかなかうまくいかないのが人情だよね。
今日はそんな引越し作業中に出てきた「とっておきのお宝」についてご紹介しよう。
「なんでそんなのがお宝なの?」と言われてしまうかもしれないけど、本人にとって大事な物ということで許してね!

まずはSNAKEPIPEの自慢の逸品から。
このビデオテープはSNAKEPIPEが尊敬する映画監督、デヴィッド・リンチに手による歌姫ジュリー・クルーズのミュージックビデオである。
ジュリー・クルーズはツインピークスでもロードハウスで歌ってたね。
このビデオは「インダストリアル・シンフォニーNO.1」というタイトルからしてインダストリアル好きのSNAKEPIPEにはグッと来るんだよね。
NO.1だったから続きがあるのかと期待していたけれど、この1作品だけで終わっていた。(笑)
このビデオの発売が1991年とのことで、今からなんと20年前!!!
ぎゃー、また昔の思い出を語ってるわい。
ということで残念ながら内容については、ジュリー・クルーズが天使のような服装で上から吊り下がって歌ってたことくらいしか覚えていない。
また観たいと思ってもビデオデッキがないし。
ビデオはアメリカのamozonでは手に入るみたいで、中古なら400円程度とのこと。(とほほ)
いや、値段じゃなくてやっぱりファンなら例え観られなくても手放せない作品だよね。
DVDはどうやらイタリア版で手に入るみたいだけど、イタリア字幕じゃ余計に分からないよね。(笑)
日本版は出してくれないのかなあ?
SNAKEPIPEのお宝は1点だけなので、これから先はROCKHURRAHに語ってもらいましょ。

ROCKHURRAH WROTE:

というわけで続きを書くハメになってしまった。先週ネタがない&引越し作業で大忙しという状況で無理して書いたばかりなのに、トホホ。

ROCKHURRAHが引越し作業の中で見つけたのはあまり面白い話題ではないかも知れないけど、古本の類い。珍しいかどうかは退役古本屋のROCKHURRAHにはよくわからないが、自分にとっては有意義なもので充分お宝だと思える。では中から変なところで共通点がある三点をピックアップしてみよう。

怪傑蜃気楼+女戦士セアラ/谷弘児
大谷弘行、陰溝蝿児というペンネームでも知られる漫画家&イラストレーター。70年代〜80年代に月刊ガロ誌を中心に活躍していた。 劇画とアメリカン・コミックのダイナミックなペンタッチ、そして江戸川乱歩の通俗スリラー小説(具体的には明智小五郎シリー ズ)と50年代のB級SF、怪獣映画などの世界が全部一緒くたになった独特のナンセンス世界が素晴らしい傑作だと言える。復刻も出て るようだけど、これは桜井昌一(辰巳ヨシヒロの 兄)が出していた桜井文庫というところからのもの。水木しげる作品を主に出版していたマイナー出版社だが、いかにも昔の貸本といった風情の装丁が これまたノスタルジックだな。

新岩窟王/谷譲次
上の谷弘児と単純に名前が似ているというだけでなく、これまた複数のペンネームを使い分けていたという共通点を持つ器用な人気作家だ。長谷川海太郎という役者のような本名なんだが、牧逸馬の名前で犯罪小説、怪奇実話などを書いていて、林不忘の名前で大ヒット時代劇「丹下左膳」を産み出して、谷譲次名義では「めりけんじゃっぷ」という人気シリーズを持っていた。1920年代の売れっ子作家だったわけだ。「新岩窟王」はデュマの「岩窟王」を下敷きにしながらも、登場人物を日本人にしてよりわかりやすく現代的(あくまでこの当時の現代だが)にした翻案小説だ。何と70年以上昔の小説なんだが、スピーディで言い回しもうまく、今読んでもあまり古臭さは感じない。会話の軽妙さは何となく国枝史郎を思わせるな。この本が現在 珍しいかどうかは不明だが、教養文庫版の初版第1刷で比較的きれいな状態で出てきたのが嬉しい。ヒマが出来たら再読してみるか。

肌色の月/久生十蘭
「新岩窟王」は連載中に谷譲次が亡くなったため、別の作家が引き継いで完結したという作品だが、この「肌色の月」も久生十蘭の遺作であり、結末を(作家ではない)奥さんが代筆した事でファンにとっては有名な作品だ。久生十蘭と言えば昭和初期の大衆文壇きっての名文家であり ROCKHURRAHも大好きな作家(ちなみにフェイバリットは「海豹島」と「魔都」)なんだが、考えた文章を奥さんに清書させるという、いわゆる口述筆記による文体のリズムを重んじた人だ。だから本作は結末になるととたんに十蘭っぽい文章でなくなるとか、色々な評もあるんだが、それでも個人的には心に残る作品で地味だけど好きと言える。涙なくして読めない奥さんのあとがきも必見。これは中公文庫初版のもの。

以上、全然つながってないようで妙な共通項がある作品を偶然選んでしまった。
今回は引越し直前でてんやわんやの時。軽く書きなぐったようなぞんざいな文章で申し訳ない。

SNAKEPIPE WROTE:

ということで今回は二人の共著になってしまったよ。
本当はSNAKEPIPE一人で書く予定だったんだけど、お宝がほとんどなかったので仕方あるまい。(笑)
来週は引越し本番になってしまうためブログはお休み。
また最来週には新居からお届け出来る予定!
無事に引越し完了すればいいな。

ベリーに口づけ Tout,tout pour ma berry

【これが噂のBlackBerryだ。まるで巨峰?少しデカ過ぎないかSNAKEPIPE?】

ROCKHURRAH WROTE:

携帯電話がこの5月で満期(言い方が変か?)になったので、かねてから考えていたスマートフォンに機種変更をした。と言っても流行りのiPhoneでもアンドロイド携帯でもなく、ROCKHURRAHが選んだのはBlackBerryと呼ばれる端末だ。
ご存知の人は多かろうが、海外では使っているビジネスマンも多く、オバマ大統領も使用しているとかで一時期脚光を浴びた。が、日本ではあまり普及しなかったし、持ってる人も近場では見かけないなあ。ノキアとかモトローラとかが日本で普及しないのと同じで、やはり日本人の体質と合わないのだろうかね。
しかしウチの場合はROCKHURRAHよりもSNAKEPIPEが独特の流線型に惹かれて早くから目をつけていたのがBlackBerryだ。

二人にとってあまり魅力的な機種がないドコモをやめてソフトバンクに鞍替え、そしてiPhoneユーザーになってしまおうかと、直前まで考えていた。特にROCKHURRAHは昔からずっとアップルのMacのみを使い続けてきた。携帯や音楽プレイヤーやタブレットだけアップルという人よりはずっとこのメーカーに愛着もあるし、心はものすごくiPhoneに傾いていたのは事実だ。んがしかし、電車の中を見渡してもiPhoneだらけという光景、そして自分がその仲間になるのはどうしても耐えられなかった。
かつては圧倒的に少数派で挑戦する姿勢が好きだったMacだが、ここ数年はヒット連発で常に先端を走っている印象がある。ところが反主流だったものが一転して王道になる、という傾向がどうやらROCKHURRAHは好きじゃないらしい。これはもう理屈じゃなくて根っからのアンチ体質のヒネクレ者なんだろう。
だからと言ってiPhoneじゃなくBlackBerryにする理由にもならないんだけど、まあとにかく、急激に猛烈に欲しくなってこれを選んだというわけだ。理知的でなくてすみません。

さて、このBlackBerryはカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)という会社が作ったスマートフォンだが、誰でも調べりゃわかる歴史だとかはくどくど語る気はない。
カナダ、よくは知らないがなぜだか昔から憧れてる国だった。
SNAKEPIPEが穿いてるカナダ軍のカーゴパンツはなぜだかカッコ良く見えるし始祖鳥マークで有名なアークテリクス(アウトドア&ミリタリーのブランド)も高級で高品質の印象がある。大昔にシモキタで働いていた時に同僚でカナダ帰りの男がいたが、音楽センスも抜群で「カナダ、恐るべし」とずっと心の中で一目置いていた国、カナダ。
どれもこれもBlackBerryとは何も関係ないな。
とりあえず日本でドコモが販売してるのは現在2機種のみ。この夏に3機種に増えるらしいが、世界的な普及率から考えると実に貧相なラインアップだと思える。

そういうわけで我が手の内にカナダを手に入れたわけだが(大げさ)、この製品のいいところ、悪いところなどを軽く語ってみようか。ただしスマートフォンについて全く疎いのは間違いないしiPhoneだってほとんど触った事すらない男だから、何かと比較しての文章にはならないのは確か。しかも最新機種でも何でもなくて「今さら」な感じ。
こんなんでいいのか?このブログ。

BlackBerryを見た事がある人なら誰でもわかるだろうが、日本の携帯よりもキーが格段に多い。これは通称QWERTYキーボードと呼ばれる配列で、いわゆるパソコンのキーボードの簡易版といったものだ。パソコンと同じローマ字入力で文字が打てるのは携帯キーが苦手だったROCKHURRAHにとっては嬉しい。SNAKEPIPEとの日常メールに英語がやたら交じる文章を書きたいと思っても、携帯のキーじゃラチがあかなくて実に簡単にそっけないメールしか書けなかったROCKHURRAHも、これで人並みのメールが書けるのが良かった点だな。ただし立ったまま片手で打てるほどにはまだ熟練してないので、両手使いが今のところの基本。はじめて携帯持った頃はこんなだったなあ。
非常に細かいキーで「大丈夫なのか?」と感じる人は多かろうが、キーが独立して配置されてるので意外と押し間違わない。ゲームウォッチ時代からピコピコしまくってるのでこの辺は大丈夫。キーの小ささで躊躇してる人はチャレンジしてみるといい。

メールはパソコン宛てのものが瞬時に転送されてくるのが嬉しい。自分の通販サイトでの注文に携帯メール・アドレスからじゃないパソコンのアドレスで外出先からでも返信出来るというわけだ。外から返信した事ないが(笑)。逆に不便になったのは普通の携帯からのiモードメール。ドコモがspモードとかいうのをやっていてiモードとの互換性を図っているらしいが、これがパソコン宛てのメールよりも遥かに遅延してしまい、受信するのは数分後というありさま。携帯とのやりとりだとリアルタイムで待ち合わせが出来ないよ。いわゆるiモード問い合わせで自分で確かめる事が出来ないのは欠点だな。BlackBerryだけがそういう仕様なのかスマートフォンというものがそうなのかは知らないけど。

インターネットについては表示は遅い。他のスマートフォンと比べた事はないが遅い、とよく書かれているので遅いんだろう。画面の解像度は低く、ディスプレイも狭いので快適なネット環境とは程遠いのは確か。iPhoneで自在にネットを楽しんでる人を見ると羨ましくなってしまう。しかし気長に待てばウェブページの再現性は意外と高く、ウチのブログなんかも一応ちゃんとしたデザインのまま表示されている。当たり前か?
最初から標準で搭載されているブラウザが殺風景なのでノルウェイの森で出来たOperaをインストールしてみたら少しマシになった。最初はものすごく細かい文字でウェブページ全体が表示されるが、トラックボールで拡大すれば割と快適に読める。表示は遅いがスクロールも高速で全体的にキビキビ、解像度の低さを感じにくいという設計になっているようだ。
FLASHが表示出来ないというのが個人的には致命傷だが、意味もなく大量に低レベルのFLASHを使いまくっているROCKHURRAHのサイト以外は、あまり気にせず閲覧出来るだろう。

アプリケーションやインターフェイスのテーマ、ゲームなどを追加して好きなようにカスタマイズ出来る、というのはBlackBerryに限らず、どのスマートフォンでも一番のお楽しみの部分だが、これは海外製の悲しさであまり使えるものがない。しかしMacのアプリケーションもこれと似たような境遇であるのは確かで、ROCKHURRAHは海外製のよくわからないアプリケーションが大好き、という嗜好を持っている。不遇であればあるほど燃えるのよ。
iPhone(というよりMac)のApp Storeのような存在がBlackBerry App Worldというもので、ここからいくつかフリーのアプリをダウンロードして使っている。ちょっと良さそうなのはたいてい有料で頭に来るが、 TwitterとかFacebookとかMy Spaceとかそういう機能を求める人には充実の多機能さだと言える。どのスマートフォンでも大体出来るんだろうが、BlackBerryは文字入力が得意技という点で一歩リードしているんじゃなかろうか。
最近気に入っているのが青空文庫を縦書きで読めるRoco Skyというアプリ。試しに久生十蘭の「金狼」や浜尾四郎の「殺人鬼」、国枝史郎の「神州纐纈城」など割とマニアックな作品をダウンロードして読んでみたら、これが文庫本読むよりもなかなか快適で、空いた時間にちょっと、という感じでスラスラ読めてしまう。全て大昔に読んだ事あるんだが、BlackBerryの中で懐かしいものに再会出来るとは思ってなかったので、嬉しい出来事。
「読書は紙をめくるものだ」と言われたらそれまでだが、最近読書がしにくい環境にいるROCKHURRAHにはうってつけのアプリだと言える。ただし最近の作家とかは青空文庫では手に入らないので、そのうち次の手を考えるか。フェイバリットの鳥飼否宇先生の作品などは何度でも読み返したくなるし、有栖川有栖先生なども読み返したいんだがねえ。暇があったら自力でテキスト化したいよ(笑)。

あと、買う前には全く気にしてなかったが割と良かった事といえば音質について。
最近iPodで音楽を聴くという事をあまりしなくなったけど、BlackBerryはiTunesからの音楽をそのまま同期させる事が出来る。最初から出来る機能だから使ってみるか、というくらいの気持ちで愛聴のライブラリをコピーしてみたんだが、昔持ってたiPodよりも格段に音質が良くて嬉しい誤算。micro SDカードにコピーしまくれば生涯分の音楽を常に持ち歩く事も可能だ。

そして最後になってしまったが、何と言っても姿形の美しさ、これがBlackBerryの最大の魅力だと個人的には思う。アップル製の端末のように「この手があったか!」というような革新的な部分は少ないオーソドックスなBlackBerryだが、何だか「昔のSFが示す未来的なアイテム」の形をそのまんまデザインしたようなフォルム。タッチパネル式のスマートフォンよりも心トキメクのはやはりROCKHURRAHが80年代野郎だからかな?

まあ要するにダメダメなところは多くても好きだってことか。

————-告知————-

実はROCKHURRAHとSNAKEPIPEは近々引越しをします。サーバーが、とかネットショップ云々ではなく、本人たちの引越しです。
現在はまだパソコンも片付けてなくてブログくらいは書ける状態ですが、ウチの主力商品のレコード類は、今回のブログの告知以降はダンボールの中となってしまい、通販に関わる事がしばらく出来ません。いつも「零細」とか「つぶれそう」とか書いていますが単なるお休みであり、引越しが終わって環境が整い次第にすぐ復活します。心配なさるな(偉そう)。
ブログは来週くらいまででその後少し休みとなります。
では必ず戻ってきますのでまた逢う日まで、逢える時まで。

サイコビリー再考

【世界最古のサイコビリーの誕生は約400万年前(ウソ)】

ROCKHURRAH WROTE:

今回はROCKHURRAHが大好きな音楽ジャンル、サイコビリーについて書いてみよう。いつも書いてるシリーズ企画「時に忘れられた人々」と内容的には同じなんだけど、まだ現役バンドも多いジャンルなので個人的には全然忘れられてないよ。というわけで、今回のは単発モノという事で進めてみたい。

サイコビリー、こんな音楽を全く知らない人もこの世にはたくさんいる事だろうから、まず簡単に書いておくか。
アメリカで1950年代に誕生したロカビリーを元祖として80年代にネオ・ロカビリーという音楽が流行った。これは70年代後半のパンク、ニュー・ウェイブを通過したロカビリーというのがポイントになっていて、古臭いただのリメイク・ロカビリーとは少し違った魅力があった。
オリジナルのロカビリーでは有り得ないシンセサイザーを曲に取り入れてニュー・ウェイブ版ロカビリーというスタイルを確立させたロカッツ。
化粧をしてロカビリーとグラム・ロックの融合を目指したポールキャッツ。
パンクとロカビリーをミックスさせたファッション・センスも注目され、MTVの普及によって人気バンドになったストレイキャッツ。
バンドによって路線が色々で、そういう特色が面白かったものだ。

そのネオ・ロカビリーの持つ不良っぽいルックスをさらに「エグく」して悪趣味に展開したのがサイコビリーというわけだ。PSYCHO+BILLYという事でサイコパスとかサイコ野郎とかの「サイコ」によるロカビリーという語源だ。決してサイケなロカビリーではないので間違えないように。
モヒカンの毛先がツノのようになった独特のサイコ刈りという髪型、両腕から全身に至る入れ墨、バンドによってはゾンビのようなメイクを施したり、などが主な特徴だ。
音楽的にはパンク、ハードコア・パンクからの影響を受けたものが多く、さらにバンドによってはガレージ、ヘヴィメタルやスカ、カントリー、トラッドにラテンなど独自のミクスチャー路線のものまで存在している。だからこれこそサイコビリーという定義はなく、何でもありの世界。
詳しく書くとこれだけでブログ数回分くらいになってしまうから、書き始めた割には後悔しているが・・・まあネオ・ロカビリーを究極にグロっぽくねじ曲げた音楽がサイコビリーだというような見解で間違いなかろう。

さて、これから80年代〜90年代に登場した有名どころのサイコビリーについて軽くコメントしてゆくつもりだが、せっかくだからサイコビリーが得意にしているカヴァー・ヴァージョン特集としようか。たぶん割と取っ付きやすいしコメントしやすいからね。

誰もが認める、元祖サイコビリーと言えばこのメテオスで決まりだろう。1980年英国産のバンド。ネオ・ロカにはあまりないダークで荒々しい曲調、何だかよくわからないが血だらけの印象があるライブ・パフォーマンス、サイコビリーのライブでは定番となっているパンチ合戦、そしてレッキンクルーと呼ばれる怖そうな親衛隊の存在。後のサイコビリー達が踏襲したスタイルを最初にやり始めたのがメテオスだった。ピュア・サイコビリーと呼ばれた彼らの音楽はチンピラなパンクよりも明らかにケンカ強そうな印象があるな。
カヴァーも色々とやってるバンドだが今回ROCKHURRAHが選んだのはストラングラーズの名曲「Go Buddy Go」だ。サイコビリー系のライブでDJタイムの時にかかる可能性が非常に高い定番の曲ですな。ビデオに出てくるメンバーや女の子の髪型、服装も80年代でいいね。

こちらはメテオスよりも少し後、82年モノのバンドだ。何だかわからんがMA-1やカウチン・セーターのメンバーに首を締められてるアルバム・ジャケットも有名。ヴォーカルが全身入れ墨のマッチョマン(死語)で、なぜか短パン大好きという印象がある。実は一番初期の頃くらいしか知らないんだが(←サイコビリー失格)、こんなに入れ墨すごかったっけ?曲はロック野郎なら誰でも知ってるレッド・ツェッペリンのカヴァーだ。エルビス・コステロの温厚な曲(表現変か?)「Radio Sweetheart」とかもカヴァーしてたがやっぱりこっちのツェッペリンの方が疾走感があっていいね。

極端なダミ声にゾンビ・メイク、フリークスをイメージしたステージなど、今回書く中では最もわかりやすくサイコビリーという音楽のバッド・テイスト、B級カルト趣味を体現したバンドがこのディメンテッド・アー・ゴー!だろう。変格大好きのROCKHURRAHが一番好きなのがこのバンド。他のサイコビリー・バンドがスラップ・ベースのカッコイイはじけ具合などが評価の対象になっているのと比べて、このバンドはもうヴォーカルのドスの効いた声だけでインパクト満点。曲はB級SFテクノ・パンクの雄、ディーヴォの名曲。もっとサイコにカッコイイ曲がたくさんあるバンドなので、実はカヴァーとしてそこまで絶賛出来るほどのものではないんだが・・・。
なんだ、カヴァー・ヴァージョン特集、早くも失敗か(笑)?

サイコ=ヒッチコック=フレンジーという連想からきた名前なのか?
これもサイコ初期から活躍していたバンドで、ウッドベースのスラップ奏法(フレットをカチカチと叩きながらリズムを取る奏法)がとにかく素晴らしい。ところが同時に歌う声は甲高くて迫力なく、ギターもパワーがなくてペラペラな感じ。ファンにとってはそういうアンバランスさも魅力だったんだけど、一般的にはもっとパワフルな編成に出来たんじゃなかろうか?と思ってしまう。後期になってからは何だかわからない長髪のメンバーがいたりして「サイコビリーとはこうあるべき」という固定観念から脱却しようとする試みも感じられたバンドだったな。その実験性(と言うほど大げさなモノじゃないが)の結果がこの曲などにも顕著だ。何と、サイコビリーとは程遠いロキシー・ミュージックの「恋はドラッグ」をシンセサイザーやホーンをフィーチャーしつつカヴァーしていて、肝心のサイコビリー要素さえ全然感じられない作品となっている。
このバンドのカッコ良さを知るには「Robot Riot」や「I See Red」などの曲を持ってきた方が良かったのは明らかだが、またしてもカヴァー・ヴァージョン特集失敗か(笑)?

ディメンテッド・アー・ゴー!などと同じくゾンビ・メイク系で人気だったバンド。しかしディメンテッドほどの突き詰めたホラー趣味はなく、声も演奏もネオ・ロカ、あるいはジャズ、カントリーっぽい曲を得意としていて、そこまでアクの強い部分はないかも。クラッシュやプレスリー、それに「カントリー・ロード」や「ユア・マイ・サンシャイン」「トム・ドゥーリー」などなど、数多くのカヴァー曲があるんだが、今回選んだのはアメリカのTVアニメ「原始家族フリントストーン」のテーマ曲。サイコビリーの持つ暴力的な部分もいかがわしさも皆無のコミカルな曲で、「何でこの曲を持って来るの?」とファンにツッコまれそうだな。B-52’sもカヴァーした曲で、なぜかROCKHURRAHは原曲の方のCDまで持っている。よほど好きだったに違いないが、何がそこまでROCKHURRAHを惹きつけるのかは本人にもわからぬ。

上記のサイコビリー・バンドと比べると少し遅くデビューしたクリンゴンズ。ある意味ド派手なバカっぽさを競い合ってるサイコビリーの中でもこのバンドのルックスと変なパフォーマンスは一歩抜きん出ている。メンバーの一人はサイコ刈りを発展させたツノを生やしてるし、オムツ姿のライブなどは朝飯前。以前に当ブログ「Funnyちゃんミュージック」の時も登場いただいたが、今回もファニー路線でこれ「セサミストリート」のカヴァーだ。サイコビリーの場合は穏便にカヴァーしてても突如速くなったりスラップ・ベースが入ったりするもんだが、意表をついて最後まで原曲と同じペース。こりゃ一本取られたね。

ネオ・ロカからサイコビリーへの転身組、クリューメンはどちらかというと正統派な印象があるが、ファンも多くて人気あったバンドだ。ディメンテッド・アー・ゴー!やクリンゴンズは派手だけど、これらの格好を真似てそのまま街着にするにはちょっとはばかられる。それをはばからないのが真のサイコビリーなのかも知れないが・・・。
というわけで通常の社会生活を営んでいるサイコビリーが真似られるようなバンドはやはり限られてくるが、このクリューメンとかはスッピンだし、影響も受けやすいのでは?でも若者たち、サイコビリー・テイストはやめてね。
話が逸れたが今回選んだのはグラム・ロックの大魔神、ゲイリー・グリッターの大げさな名曲のカヴァーだ。破綻してなくてメデタシ。

結構長くなってしまったので後半駆け足気味。コメントもだんだんぞんざいになって来るのがROCKHURRAH流。他のサイコビリー・バンドはデビュー当時は若くても海千山千のふてぶてしさがあるもんだが、このバンドは顔立ちが幼くてやんちゃな感じが微笑ましい。短パンにポロシャツだもんなあ。
曲はネオ・アコースティックの有名曲、ハウスマーティンズのカヴァー。さわやか系青春サイコとしては定番の曲だな。

もっと意外な曲のカヴァーはないか探していたらこんなのもあった。サイコビリーでやるか?この曲。エコー&ザ・バニーメンの哀愁の名曲をカヴァーしている。本当に、やろうと思えばどんな曲でもカヴァー出来てしまうサイコビリーという音楽も恐るべし。クエイクスは今回コメントしたバンドの中で唯一アメリカのバンドだ。サイコ=ヨーロッパという好みがあるROCKHURRAHはこのバンドの事についてはあまり詳しくないから、コメントは控えておこう。ストレイ・キャッツのレコード・ジャケットをパロディしたのでも有名だな。

この曲だけが有名で限りなく一発屋に近い印象がある。原曲は70年代にミッキー・モストがやっていたRAKレーベル所属のアローズというバンドのものだが、それよりも元ランナウェイズ、ジョーン・ジェットのカヴァーの方で著名。というかカヴァーなのに代表曲だもんな。このラットメンもそのパターンを踏襲しているかな。これまたサイコビリー系のDJタイムではおなじみの曲。

サイコビリーの毒々しい部分は少なくてネオ・ロカビリーや他のポップな音楽と程良くミックスされた聴きやすいバンド、ロング・トール・テキサンズ。本人たちをデフォルメした独特のコミックっぽいレコード・ジャケットも含めてトータルな質感が高いバンドだったな。
カヴァー曲も得意にしていてサイコビリーのバンドがなぜか伝統的にカヴァーする率が高いクラッシュの「Should I Stay Or Shoul I  Go」やスウィートの「Ballroom Blitz」なども例外なくカヴァーしている。この「Breakaway」は60年代の女性シンガーソングライター、ジャッキー・デシャノンがオリジナルでいいのかな?アーマ・トーマスのヴァージョンが一般的だが、80年代的にはやっぱりトレイシー・ウルマンのカヴァーが代表的だろうか。逆に男でカヴァーするのが珍しいからなあ。ちっちゃ過ぎて何だかよくわからないが、写真はアンリ・カルティエ・ブレッソンによるもの(ウソ)。

最後に。このブログを書き始めた時にはまだ知らなかったが、何とROBINが解散してしまうとの事。SNAKEPIPEとROCKHURRAHが一番好きなバンド。二人で最もライブを観た日本のバンドがROBINで間違いないし、このブログでも最も記事を書いたバンドかも知れない。
二人は全然関係者でもなくて単なるファンだから、友達みたいな事は全く書けないが、ウッドベースのYASUさんはいつでも気さくに握手してくれたし写真も何回か撮らせていただいた事もある。ギターのHIROSHIさんは迫力満点なのであまり声をかけられなかったが、去年の千葉ルックで仲間たちと念願の集合写真を撮らせていただいたのも素晴らしい思い出。
これからROBINのメンバーが別々にどういう活動をしてゆくかはわからないが、熱烈に支持出来るバンドがいなくなるのは寂しい限り。写真のシングル・ジャケットもカヴァー曲(ラークスの「Maggie Maggie Maggie」)なんだが、今回選んだのはこの曲ではなく、ミスフィッツの「American Psycho」だ。初期の頃から彼らが得意にしている曲でROBINのライブには欠かせない。
SNAKEPIPEがROBINのライブ参戦記を毎回書いてくれているんだが、ROCKHURRAHは今までほとんど書いた事なかったなあ。解散の時になってからしか書かないのもファン失格だろうけど、いつまでも応援し続けてゆきたい。