映画の殿 第16号 タルコフスキーのストーカー

                   

【印象的な黒い犬とゾーンの建物を合成してみたよ】

SNAKEPIPE WROTE:

かつては写真を撮ることや観ることに意欲的だったSNAKEPIPEは、写真集を片っ端から見たり、芸術関連の本を読んで勉強していた。
勉強していたつもりだった、というのが正確な表現かもしれない。(笑)
映画に関係する本を読むことも好きで、評論文だけを読んで興味を持った作品も数多い。
気になった映画を実際に観ることもあれば、縁がないまま鑑賞せず、それでも頭の片隅にタイトルや監督の名前が残っている場合もある。
アンドレイ・タルコフスキーの名前はその「縁がないまま」鑑賞しなかったけれど、名前を記憶しているほうに分類されていた。
スチール写真と共に載っていた「タルコフスキーの映像美」という文章はよく覚えている。
余程の映画通以外、そもそもロシア映画自体あまり観る機会ないよね。
観たことがあるのはエイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」と「ストライキ」、セルゲイ・パラジャーノフの何か(覚えていない)を観たくらいだもんね。

レンタルDVDショップであるTSUTAYAには「発掘良品」という、今では手に入らなくなってしまったような過去の作品をDVD化する企画がある。
そのコーナーは懐かしさや、観たかったのに機会を逃してしまった作品が数多く並んでいることが多いので、なるべくチェックすることにしている。
そしてそこでタルコフスキーの作品が面出しされていることに気付いたのである。
ストーカー」(原題:Сталкер 1979年)ノスタルジア」(原題:Nostalghia 1983年)「サクリファイス」(原題:Offret 1986年)は、前述した映画の評論文の中ではお馴染みの、観たことがないのに知っているタイトルである。
この手のアート系の映画は、大抵の場合眠くなりそうな作品が多いというのも予想できたので、まずは1本だけ借りてみることにした。
今回選んだのは「ストーカー」。
気力と体力が充実している健康な日に鑑賞することにした。
寝不足気味で鑑賞すると眠ってしまうかもしれないからね! (笑)

簡単に「ストーカー」のあらすじを書いてみようか。

「ゾーン」と呼ばれる立ち入り禁止空間。
その奥にはすべての望みを叶える部屋があるという。
「作家」と「物理学者」は、「ゾーン」の案内人
「ストーカー」に導かれ、「ゾーン」に侵入する

ほんの数行しか書いていない、本当に簡単なあらすじだね。(笑)
実はこの映画はSF映画ということになってるんだけど、SF的な要素はほとんどない。
そして原作を読んでいないことにも加えて、SNAKEPIPEからするとストーリーはどうでも良い感じなんだよね。
「ストーカー」の魅力は違う部分にあると思うから。

写真家シンディ・シャーマンのことを書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #4 Cindy Sherman」の記事の中で、ジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」について言及している部分がある。

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は、全てのシーンが一枚写真として完成している、言うなれば連続スチール写真映画だったんだ!

「ストーカー」も「ストレンジャー・ザン・パラダイス」と同じで、写真集を観る感覚の映画だと感じたSNAKEPIPE。
しかもそれは廃墟写真集なんだよね!(笑)
おおっ、これが「タルコフスキーの映像美」であり「美学」なのか?
映画の評論のほうはその道のプロの方にお任せして!
SNAKEPIPEは「ストーカー」を写真的に観て素敵だと思ったシーンについてまとめたいと思う。

「ストーカー」はモノクローム(セピア調)のパートとカラーのパートがあり、「ゾーン」の中と外みたいな区別になっているのかもしれないけど、解釈はどうでも良いか。(笑)
モノクロからカラーに変化した時に出てくる、上のシーン。
1970年代のソビエト連邦って、こんなに荒涼とした風景だったのかな。
もしかしたら場所によっては今でも変わらないのかもしれないよね?
寂しい感じがする色味が最高!

昔はそこに人がいた、という根拠を示す人工物が朽ち果てている状態が写っているのが廃墟写真だと思う。
こんなにゴロゴロそこらに物が散乱しているのは素晴らしい風景だよ!
SNAKEPIPEからみると宝の山ね。(笑)

グッとくるよね、これも!
この鉄の箱みたいなのは一体なんだろうか?
錆び具合と草の伸び方がたまらない!
あー、気になる、気になる!

こんなブツに遭遇したら、フィルム1本くらい撮影してたな、絶対!
雑草の色といい、鉄の曲がり方といい。
待ち受け画像にしたいくらい惚れ惚れするわあ!(笑)


うっひょー!(笑)
上から垂れてるのはSNAKEPIPEのヨダレじゃないからね!
いや、本当にヨダレ垂らしながら観てたシーンがここ!
「なにここ!なにここ!」
とかなり興奮して叫びながら観ていたSNAKEPIPE。
素晴らしい廃墟写真だよね!
ここ行ってみたいよー!

「タルコフスキーは水を使った表現をする」というのも評論文の中によく出てきてたんだよね。
今回鑑賞してその意味がよく解った。
上の写真は井戸なのかタライなのか分からないけど、そこに入っている水が流動している様を写した映像を4枚並べたもの。
この説明を読まないで写真だけでみると、まるで月か地球の衛星写真か、と思ってしまうよね?
こんな映像が何の脈略もなく、ポンと挿入されるんだよね。
かなり実験的な映像で、目が釘付け!
タルコフスキー、やるなあ!(笑)

これも水の映像なんだよね。
鯉みたいな魚が泳いでいるんだけど、血みたいな赤色の液体から重油みたいなドス黒い液体が魚を覆い尽くしてしまうシーン。
何を表しているとか、そんなことどうでも良くなっちゃうよね。
タルコフスキー独自の美的センスがよく解ったよ!

人それぞれ好みがあるし、映画の鑑賞法も、映画に求めるものも違いがあるのは当然だよね。
「ストーカー」は誰にでもお勧めの映画とは言えないけれど、廃墟写真が好きな人は絶対好きだと断言できるね!(笑)
タルコフスキーの他の作品も鑑賞してみよう。
体力と気力のある健康な時に、ね!

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