『神は局部に宿る』都築響一 presents
エロトピア・ジャパン鑑賞

                   

【緑色のつなぎを着たナース・マネキンは何をしようとしているのか?】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHからも長年来の友人Mからも「面白そうな企画」として情報をもらっていたのは、渋谷にあるアツコバルーで開催されている都築響一の展覧会だった。
都築響一?聞いたことがあるような?
思い出した!
秘宝館だったりヘンテコな施設や建造物をまとめた「珍日本紀行」という分厚い写真集で木村伊兵衛写真賞を獲得した人だ!
調べてみると1997年の受賞とのこと。
その頃は写真に燃えていたSNAKEPIPEなので、木村伊兵衛写真賞は必ずチェックしていたからね。
調べてみると、受賞作家として記憶していたのは2002年のオノデラユキと佐内正史まで。
その後の受賞作家の写真集は観ているけれど、ピンときたのは志賀理江子くらいかな。
そこまでちゃんと観てないから、あまり感想を書くのはやめようか。(笑)

話を都築響一に戻すと、木村伊兵衛写真賞を受賞した「珍日本紀行」を観て最初に持った感想は「面白い!だけど受賞はズルい!」だった。
歴代の木村伊兵衛写真賞作家と比べて見ると、かなり異色の写真集だし、元々は週刊誌に連載していた企画だったというのも「ズルい」と思う理由だったのである。
「こんな場所あるんだ!」という驚きを感じ、更に笑いを誘う。
今までにないタイプのインパクトがあったことは、あれから約20年(!)経った今でも、都築響一の名前を忘れていないことが、強烈な印象を残したことの証なんだろうね。

その都築響一がまた何か「やらかして」いるらしい。
アツコバルーは、2014年にホドロフスキー夫妻のドローイングを展示した「二人のホドロフスキー 愛の結晶展」とSNAKEPIPEが一目惚れで画集を買った野又穫の展覧会「野又穫 展 ーGhostー浮遊する都市の残像」に行ったことがある。
およそ2年前になるとは、調べてびっくりね。
記録のためにも(物忘れ防止のためにも)ブログに書いておくことは大事だな、と改めて思うSNAKEPIPE。(笑)
アツコバルーは、どちらかというと長年来の友人MやROCKHURRAH RECORDSが好きそうな企画を考えているギャラリー、という認識を持っているので、今回の都築響一も期待してしまう。
タイトルが意味深で「神は局部に宿る」で、副題として「エロトピア・ジャパン」だって。
一体どんな展覧会なのか?

雨が降ったり止んだりする7月にしては少し気温が低めの日。
長年来の友人Mと渋谷で待ち合わせる。
早めのランチを済ませ、いざアツコバルーへ!
エレベーターで5階に着くと、入り口付近は多くの靴で足の踏み場もない程。
アツコバルーは靴を脱いで入るタイプのギャラリーだったことを思い出す。
それほどまでにお客さんが入ってるってことなんだね!
これはかなり意外。
今まで行った2回の展覧会は、こんなに混雑してなかったからね。
入場料を払うと、引き換えに手渡されたのがコンドーム!(笑)
あとからじっくり見てみたけど、特に都築響一の展覧会につながる文言もなく、ただの(?)コンドームだった。
タイトルのエロトピアにかけてシャレたつもりなのかな?

入ってすぐに目に入るのは、壁一面に展示されている写真パネル。
近寄って見ると、それは全国にある「変わったラブホテル」の一室を撮影したものだと分かる。
天井近くの高さまであったので、1枚ずつをじっくり見ることはできなかったけれど、「珍日本紀行」の続きを見ているような気分だった。
もしかしたら「珍日本紀行」の中に入っている写真だったのかもしれないね?

ラブホテルシリーズの次には、全国の秘宝館の写真群が展示されていた。
右の写真は、鳥羽にあった「鳥羽SF未来館」という「秘宝館」にあった展示物だったようで。
2000年に閉館した「鳥羽SF未来館」の展示物を都築響一が買い取り、「横浜トリエンナーレ」や恵比寿の「トランスギャラリー」で展示していたとのこと。
2000年と2002年に開催していたようなので、既に鑑賞していた人も多かったのかもしれない。
15年近く経った「今更ジロー」な企画を鑑賞していることになるんだね。
元ネタである「鳥羽SF未来館」についてブログに内容を載せている方を発見したので読んでみると、かなりヘンテコなストーリーに基づいた展示がされていたみたい。
珍妙な物はなるべく観たいと思っているSNAKEPIPEやROCKHURRAH、もちろん友人Mも、「鳥羽SF未来館」を実際に鑑賞してみたかったよね!

「鳥羽SF未来館」の写真の他には、「秘宝館」の人形が数体展示されていた。
近くでじっくり見ると、エロというよりはグロ!(笑)
遠目で見ることを前提としているからこれで良いんだろうね。
全裸で大きく口を開けて悲鳴を上げているような人形は、ゴツゴツした皮膚(表面)で、決して美しいとは言えない顔立ち。
ホラー系の雰囲気だったよ。
対照的だったのは、飲み物カウンターの近くにいたラブドール2体。
椅子に座っていたドールは、まるで生きているように見えるほど、リアルな出来栄えにびっくりする。
触っても良いとのことなので、腕の当たりをタッチ。
当然人の肌とは違うけれど、しっとりするような手触りに驚く。
棚に陳列させられているラブドールは、スタイル抜群!(笑)
販売されているということは、当然買う人がいるんだよね。
こんな人形が家にいる状態ってどんなだろう?
気になって調べてみたら、この手のシリコン製ラブドールは大体70万円くらいみたい。
かなり良いお値段だよね。
ラブドール業界のことはよく分からないけれど、恐らく日本の技術は高いんじゃないだろうか?
エロに対する情熱が高い民族だと思うからね。(笑)

wikipediaで「秘宝館」を調べると、日本には数多くの「秘宝館」があることが分かる。
その多くは廃館となっているけれど、温泉地や観光地にあった「秘宝館」は、「うしろめたさ」と「助平」と「笑い」を同時に持つ特異な空間だったのではないかと想像する。
観光として出かけた、生活圏とは遠い場所だったために可能だった「内緒の出来事」という感じだろうか。
「珍日本紀行」以降はブームになったために「◯◯秘宝館行ってきた!」と大声で自慢する人が増えたかもしれないけど、それより以前はどちらかというと「恥ずかしいこと」になっていたんじゃないかな?
その「恥ずかしさ」が「秘宝館」が「秘宝館」として成立するための必須条件だったのでは?と思うのである。

さて、今回の渋谷で開催された「秘宝館」はどうだろう。
「恥ずかしさ」はなくなり、地方の「怪しげな雰囲気」もなく、全てが白日の元に晒された。
実際照明も明るかったしね。(笑)
ベールが剥ぎ取られた「秘宝館」には「淫靡さ」や「いかがわしさ」といった「秘宝館」らしさが消滅していたと思う。
展示が数少ないのに、入場料金の1000円も高め。
今回のアツコバルーは、期待していただけに残念だった。
都合が付かず今回は鑑賞できなかったROCKHURRAHだけど、全く後悔はないと思うよ。(笑)
アツコバルーには、また面白い企画を提案して貰いたいね!

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