映画の殿 第31号 Pedro Almodóvar「ペピ・ルシ・ボンとその他大勢の娘たち」

                   

20180708 top
【タイトルとは違ってボン、ルシ、ペピの順番で座ってるね!】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日!
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
いつもは難航するプレゼント選びも、今年はすんなり決まって良かった。
気に入ってもらえたようで何より。
ささやかだけどお祝いもできて良かったね!

前回の「映画の殿」で紹介したのは、スペインの映画監督であるペドロ・アルモドバルの作品「マタドール」である。
32年前に公開された映画を鑑賞できて嬉しかったことを綴っている。
アルモドバル監督作品については、2013年に「好き好きアーツ!#22 Pedro Almodóvar part1」から驚きの4回連続で特集しているので、ご参照下され!
アルモドバル監督の未鑑賞作品は、全部で4つ。
あともう少しで全作品制覇だね!

2017年3月にHDリマスター版として、DVD化されていたことに気付いたのは今年に入ってからかもしれない。
まさか30年以上も前の作品が脚光を浴びて、現代に蘇るとは思っていなかったからね。
アルモドバル監督作品の鑑賞を心待ちにしていたROCKHURRAH RECORDSにとっては嬉しい誤算だよ!(笑)
また調べてみたところ、どうやら未鑑賞作品である「ハイヒール」も「欲望の法則」もDVD化されている模様。
これもいつの日か鑑賞できることが分かって楽しみだね!

今回はアルモドバル監督の処女作とされる「ペピ・ルシ・ボンとその他大勢の娘たち(原題:Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón 1980年)」を鑑賞した。
今から38年前の作品だね!
早速、感想をまとめてみよう。
まずはトレイラーね。 

タイトルにトレイラーと書かれてはいるけれど、これが本当のトレイラーだったのかは不明。
なんとなくの雰囲気が分かってもらえたら良いかな?
タイトルバックで使用されている曲はLittle Nellの「Do the swim」みたい。

せっかくなので「Do the swim」も載せておこうね。
イントロ部分がRamonesの「Beat on the Brat」に似てる、とROCKHURRAHが言う。
確かに似てるんだよね。(笑)
ポップな曲調をキャンディーボイスで歌う王道タイプ。
コミカルな感じもウケるだろうね。 
「ポロリ」があるところが、いかにも70年代だよね!(笑)
この映像、テレビだったみたいだけど大丈夫だったのかな?
ちなみにLittle Nellはカルト映画として名高い「ロッキー・ホラー・ピクチャー・ショー」や「ジュビリー」などにも出演しているんだね。 
どうやら今でも現役のようだよ!

では「ペピ・ルシ・ボンとその他大勢の娘たち」のあらすじを書いてみようか。

自宅の窓際で大麻を栽培していたペピは近所の警官に見つかり、口外しないことをタテにレイプされてしまう。
復讐のため友人のボンを使って警官の妻ルシを凌辱するが、極度のマゾヒストであるルシの性癖が意外な方向に働き、3人は逃避行を始める。
怒った女性差別主義者の夫はペピ、ルシ、ボンの3人を追跡する…。(Amazon商品ページを一部改変)

このあらすじを読むだけで、どれだけハチャメチャな内容なのか分かるよね。(笑)
「大麻」「レイプ」「陵辱」「マゾヒスト」という単語が並んでるし。

主役の一人であるペピを演じたのはカルメン・マウラ。
アルモドバル監督作品ですっかりお馴染みだし、他のスペイン映画にも数多く出演しているスペインの国民的女優だよね。
どうやら良い家柄に生まれたようだけど、離婚をきっかけに好きな道に進んだようで。
アルモドバルと知り合った時には演劇をやっていたみたいね?
恐らく意気投合して映画に出演することになったのだろうと想像する。
映画は完成までに1年半かかっているらしいので、監督はもちろん、関係者全員の情熱が分かるよね。

ペピも遺産で暮らしていくことができる身分で、楽しいことをするためだけに生きているような女性。
どんな時でも楽しそうにしてたしね!
あらすじにあった大麻栽培をネタにレイプされた、というのはちょっと違うような感じだったよ。
実際には「体で許して」のように、自分から誘っていたようだったけど?
ペピにしか分からない理屈があるんだろうねえ。(笑)

父親から遺産だけを当てにしないで、自立を促されると広告代理店で働き始める。
そこでペピは、下着メーカーのコマーシャルを制作するんだよね。
この内容が下品で大笑いしちゃうんだよね。(笑)
そしてコマーシャルに出演しているのがセシリア・ロス。
「お漏らししたら色が変化するパンティ」や「おならのニオイが香水に変わるパンティ」って想像しただけで面白い。
この映画の時のカルメン・マウラは35歳くらいかな?
肌を露出する大胆な服装や、ど派手な化粧をしていたからもう少し若く見えたよね?

左は割と最近の写真なんだけど、そんなに変わってみたい。
多分70歳くらいだと思うけど、ずっとカメラの前で演じているとシャキッとするんだろうね。
これからも女優を続けて欲しいね!

ペピ、と来たので次はルシね。
ルシ(画像右)は 性差別主義者でペピをレイプした警察官の妻なんだよね。
家事や編み物をして夫の帰りを待つ貞淑な妻だったはずなのに、ペピと関わることで本来の自分になることができた女性。
言い方がきれい過ぎたかな?(笑)
あらすじにあった極度のマゾヒストが、このルシだからね。
警察官と結婚したのは、乱暴に扱われるだろうという期待があったからだった。 
ところが母親のように扱われ期待ハズレだった、と告白するのである。
そしてペピの家に遊びに来たボンから「ゴールデンシャワー」を浴びて悶えてしまう。
うーん、変態だね。(笑)
そしてボンの恋人になってしまうのである。

平凡な主婦だったルシが、バンド関係者やアーティスト達に物怖じせずに接したり、バンドに興味を持つのは少し不自然な感じがしたけど、愛するボンがいるからということにしておこうか。(笑)
編み物している平凡な主婦の時と、ボンと恋仲になってからでは顔つきが変わって見えたのは、さすがに女優だな、と思ったよ。
そしてまたルシは変化するんだよね。
自己主張する権利があると気付くと、更にマゾっぷりがエスカレートしちゃうんだもの。
主役3人の中で一番の変態はルシに決定だね!(笑)

ルシを演じたのはエヴァ・シヴァ。
「ペピ・ルシ〜」以降も「セクシリア」や「バチ当たり修道院の最期」などの初期作品に出演していたようだね。
現在もまだ女優として活動しているようだけど、スペインのテレビドラマなのかもしれない。
これが最近の画像なんだけど、昔の面影は残っているかな? 

最後はボンね。
ボンはパンク・バンド「Bomitoni」のギターとヴォーカルを担当している。 
ROCKHURRAHが「映画の殿 第28号 パンクロッカー、スクリーンに現る」で記事にしたデレク・ジャーマン監督の「ジュビリー」の影響を受けているように見える化粧をするんだよね。
アダム・アントが片目だけメイクしていたように、ボンも片方の眉だけ描いたりする。
TOYAHの雰囲気にも似ていたように思うよ。
ボンは同性愛者であることを公言し、40代の年増が好みだという。
ルシを一目見て気に入り、恋人になるのである。

ステージに立つボンが歌うのは、恋人ルシに捧げる曲なんだけど。
この歌詞に放送禁止用語が入っていて、またもや大笑いしてしまう。
聴いているルシは大感激してたけどね。(笑)
「Bomitoni」は同性愛者で構成されているようで、ボンの右にいるトニもゲイ。
キーボード兼ヴォーカルもゲイだったよ。
ボンとルシはうまくいっているかと思われたけど、運命の相手にはならなかったようで、残念だったね。

ボンを演じたのはMaría Olvido Gara Jovaこと、アラスカ。
アラスカってステージ名、珍しいよね。
どうやら「ペピ・ルシ〜」の時は17歳だったようで、映画の設定と同じなんだよね。
それなのに年増好みとは。(笑)
ものすごく自然に演じていたし、35歳のカルメン・マウラ相手に全く動じてなかったのは見事!
現在も歌手として活動しているみたいだよ。
化粧のせいで「アダムス・ファミリー」っぽく見えてしまうね。

ルシの夫で、ペピをレイプした警察官がこの男。
いかにも助平そうな顔立ちだよね。 
前述したようにレイプとは言っても、ペピ自らスカートをめくって股間を露わにして見せたからね。
行為に対してというよりも、処女を奪われたことにのみ怒りを感じているようなので、貞操観念の違いがあるみたいだけど。
処女に関しての考え方もかなりペピは特殊だと思うので、警察官だけを一方的に責めるわけにもいかないような?

警察官は実は双子だったんだよね。
真ん中にいるのがルシで、警察官が左。
ペピの仕返しにより殴る蹴るの暴行を受けたのが右の弟(?)なんだよね。
あんなに近所に住んでいながら双子だったことに気付かないのもどうかと思うけど?(笑)
この警察官、余程の女好きと見えて、近所の別の女にも手を出す始末。
最後には大団円になって良かったけど、SNAKEPIPEは、こういう男はまた隙を見て浮気を繰り返すはずだと予想する。
ルシは大丈夫なのかねえ。

「ペピ・ルシ〜」にも、やっぱりアルモドバル監督は出演していたね。
時代のせいか、かなり長髪だよ。
このまま「ペドロ&カプリシャス」のメンバーになっていてもおかしくない風貌! 
名前も同じだしね。(笑)
この映画の中での一番お下品なシーンが、アルモドバル監督の登場により行われることになる。
名付けて「息子自慢大会」!(笑)
長さと太さを掛け算した点数で順位を付けるというのだ。
「18cm☓6cm」などとアルモドバルがメジャーで測り、叫ぶ。
それを電卓で叩いて「108よ!」と発表するペピ。
右の画像はズボンを下ろしている男たちの尻と、屈んでメジャーを使用しているアルモドバル。
信じられないようなサイズの持ち主がいることになっていて、アルモドバルが「夢でも見ているのか?」と嬉しそうにしているのが印象的だよ。(笑)
かなり昔に観たパゾリーニ監督の「ソドムの市」にも、少年達の股間を見定めるシーンがあったことを思い出した。
「ペピ・ルシ〜」のほうには笑いがあるけどね!

大好きなペドロ・アルモドバル監督の処女作が鑑賞できて、この上ない幸せだよ!
「ペピ・ルシ〜」は「4年にわたって深夜上映が続くほどのカルト的人気を博し、予算の7倍の興行収入を叩き出した(Wikipediaより)」 というから驚いちゃうよね。
スペイン人はお下品に寛容ってことが分かるよ。
自主制作で完成までの時間がかかり、深夜上映されたというエピソードは、デヴィッド・リンチの「イレイザー・ヘッド」と同じだよね。
本当に自分が撮りたい映画を撮るには自主制作しかないだろうから。
処女作から同性愛について語り、女性を自立させ、おかしなコマーシャルが入り、バンドの曲が流れ、アート作品が点在していたことがわかったね!
こうしてみると、アルモドバル監督の原点を観ることができたし、今でもその原点に近いところにいることがよく理解できたと思う。

最初にも書いたけど、未鑑賞作品が鑑賞可能なようなので、なんとかして手に入れないとね!
完全制覇、頑張ります、(笑)
 

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