ポーラ・シェア:Serious Play 鑑賞

20190217 top
【gggの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

以前は仕事場だったため、昼休みにはギャラリー巡りをしていた銀座だったけれど、特に用事がなければほとんど行くことがなくなってしまった。
かつてのギャラリー巡りのおかげで、銀座に関しては◯丁目と言われれば、方向音痴のSNAKEPIPEでも、なんとなくの方向が分かるんだよね。(笑)
かつて歩いていた頃にあったはずの建物がなくなり、いつの間にか聞いたこともない建物があったりするので、あまり信用できないけど!

今回久しぶりに銀座を訪れたのは、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催されている「ポーラ・シェア:Serious Play」を鑑賞するため。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー、通称gggは、公益財団法人DNP文化振興財団が企画・運営し、グラフィック・デザインを対象とした企画展を開催しているギャラリー。
以前鑑賞したのは、2012年3月に開催された「ロトチェンコ-彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児-」だったので、今から7年前になるんだね。
とてもきれいなギャラリーで、展示数も多かったのに、入場無料に驚いた感想をまとめた記事を書いているよ。
本当にこのギャラリーの資金繰りは謎だなあ。(笑)
そして「なんとなくの方向が分かる」と豪語していたSNAKEPIPEだったけれど、今回も結局はROCKHURRAHがGoogle Mapで現在位置を確認しながらギャラリーに辿り着いたこと報告しておこう。(とほほ)

グラフィック・デザイナーであるポーラ・シェア(Paula Scher)について、少し調べてみよう。
1948年 アメリカ、ワシントンD.C.出身。
ペンシルベニア州フィラデルフィアのタイラー・スクール・オブ・アートで美術の学士を取得。
ワシントンD.C.のコーコラン・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインから美術の名誉博士号を受けている。
1970年代にアトランティックレコードとCBSレコードで、レコードジャケットのアートディレクターとしてグラフィックデザインの仕事を始める。
その後雑誌のアート・ディレクションに移行し、タイム社で働く。
1984年より、ニューヨークに共同設立したコッペル&シェアを経営。
1991年にはペンタグラム社にパートナーとして参画。
1998年 アート・ディレクターズ・クラブの殿堂(Hall of Fame)入り。
同年、アメリカン・インスティテュート・オブ・グラフィックアーツのニューヨーク分校の校長にも選出される。
2000年 デザインのイノベーションに対してクライスラー・デザイン・アワード受賞。
2001年 アメリカン・インスティチュート・オブ・グラフィック・アーツよりゴールド・メダル獲得。
ビーコン賞など受賞多数で、国際グラフィック連盟会員。 
作品はMOMAやパリのポンピドゥー・センターなどにコレクションされているという。

こんなに華々しい経歴を持つデザイナーさんだったとは!
お恥ずかしながら、ROCKHURRAH RECORDSは初見でございまして。(汗)
グラフィック業界の有名人だったのね!
展覧会が観られて嬉しい限りだよ。
そして今回の展覧会に合わせてポーラ御本人が来日し、講演会も行っていたんだね。
その時の映像がgggの2Fで視聴できたので、SNAKEPIPEとROCKHURRAHは少しだけ観てきたんだよね。
年代によってテーマが決まっていて、年を経るごとにミニマムになる話が興味深かった。
それでは気になる作品を紹介していこうかな。
gggでは撮影オッケーだったので、バシバシ撮影してきたよ!(笑) 

ギャラリーの入り口を入ってすぐに展示されていたのは、ポーラの代表作の一つであるMAPシリーズ。 
このシリーズは実物を観ないと面白さが伝わりにくいかもしれない。
画像ではガラスに光が反射してしまい、余計に分かりづらいかも。
載せているのは東京の地図なんだけど、手書きなんだよね。(笑)
非常に細かく文字が書かれているので、近づいてじっくり鑑賞してみたよ。
これがアップにした部分。 
「TOKYO BAY」の文字が見えるかな?
東京湾にあたる部分には何やらたくさんの文字が描きこまれているよ。
いろんな方角に文字が飛んでいるので、全部を読むのは難しいかもしれない。
MAPシリーズは世界全体から、アメリカ合衆国、ヨーロッパ、アフリカ、インドなど、地域ごとに作られていてどれも素晴らしいの!

2007年の作品「The Dark World」ね。
色味を抑え、 領土を示すような線が描かれていないところがポイントかな?
世界人口として6,400,000,000と書かれているので、 国というよりは世界全体について描かれている様子がよくわかる。
地図を描いた作品というと、世界平和を訴えたり、逆に分裂や紛争などをテーマにすることが多く、世界情勢に疎いSNAKEPIPEには難しい時があるんだよね。
ポーラの作品には政治的な問題意識を提示したり、共有を迫る姿勢が感じられなかったところに好感を持ったよ。

バウハウス的な色合いの「Best Of Jazz」は1979年のポスターね。
ロシア構成主義にも通じる文字を縦や横にしてバランス良く一枚に仕上げるセンスは見事!
この作品をgggのHPで観て、展覧会に行きたいと思ったんだよね。(笑)
数種類のフォントの使い分け方、勉強になるなあ!
ポーラが手がけたのはジャズ系のアーティストのポスターやジャケットが多かったようで、ROCKHURRAH RECORDSがあまり得意ではない分野になるよ。
そのため名前と曲が一致しない場合が多いけれど、観た時にグッとくる作品だね!

ポーラが1984年から経営していたコッペル&シェアが手がけたブック・デザインに見慣れた名前を発見!
フランツ・カフカの「変身」のカバー・デザインなんだよね!
これもロシア構成主義の影響を感じるデザインで、もしこのカバーの「変身」があったら、英語でも頑張って読むかもしれないな。(笑)
2019年2月に書いた「ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編」に加えたくなるデザインだよね!

「これはレコード持ってたバンドのだ」とROCKHURRAHが言う。
Fabulous Poodlesは1975年から1980年まで活動していたイギリスのバンド。
テディ・ボーイ達に大人気という触れ込みだったので聴いてみたけれど、ROCKHURRAHの琴線にはちっとも触れなかったらしい。
どうしてテッズに人気と言われていたのか、未だに謎で考え始めると眠れなくなるほどだという。(うそ)
ポーラの作品の中に知ってる名前があった、ということで取り上げてみたプードルちゃんだよ!

ポーラ・シェアの作品の特徴の一つに「遊び心」がある。
ちょっと捻って「くすっ」と笑いを取るような、上品なダジャレというのか。
「BLAH BLAH BLAH」と題された作品には、たくさんの「BLAH」が描きこまれているんだよね。
日本語にすると「とかなんとか」だったり「その他諸々」になっちゃうんだけど、「彼女があーだこーだ文句を言った」 のような時に使われるのを映画などで耳にすることがあるよ。
そのためどちらかというと「小うるさい」印象がある言葉なんだよね。
その雰囲気がこの作品にはよく出てるんじゃないかな?(笑)

これは演劇か何かのポスターで、2003年の作品ね。
「FUCKING A」って意味が分からないけれど、アメリカでは放送禁止用語じゃないのかな?
その単語をまるでパンクのレコード・ジャケットのように見える方法でポスターを作るポーラ、この時54歳かな。
演劇の内容に沿った印象で仕上げているのかもしれないね。
グラフィック・デザインというのが、インパクトを与え、一枚のポスターから観る人にイメージさせ、劇場に足を運ばせるための手段なる広告として機能していることがよく分かるよ。
SNAKEPIPEは一枚のポスターから、何か行動を起こしたことはあったかなあ。
例えば駅のポスターに目を奪われる経験は、非常に少ないと思うよ。
もし街や駅でポーラのポスターを目にしたら、人生が変わっていたかもしれないよね。(おおげさ)

現在70歳のポーラはまだまだ現役で、3次元までデザインの幅を広げ、プロダクトデザインも始めていると講演会の中で話していたよ。
新しいことに挑戦しようとするカッコ良さに憧れるね!
タイポグラフィやアスキーアートを効果的に使用したグラフィック・デザインの秀逸作品を鑑賞できて良かった。
またgggに足を運びたいと思う。

先にも書いたように久しぶりの銀座だったので、GINZA SIXなる商業施設に足を踏み入れるのは当然のように初めてのこと。
gggから近いのでせっかくだから、と行ってみたのである。
目的はアールグロリュー ギャラリー オブ トーキョーで開催されている「草間彌生と現代アート展」。
行ってみて分かったことだけれど、ここは展示販売のギャラリーだったんだよね!
売る気満々の店員が待ち構えているとは知らずに、鑑賞目的で入ってしまったよ。(笑)
一通り観て回り、販売価格をチェックしてみた。
草間彌生の代表作である「南瓜シリーズ」のシルクスクリーンは、300万から1000万(超える作品もあり)くらい。
肉筆画の一点物だったら、また違う価格設定がされるんだろうね。
販売価格を知ったのは初めてだったので、貴重な経験になったかな。(笑)

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