コレクション♪リコレクション VOL. 2 色彩のラプソディー展鑑賞

【川村記念美術館行きのバス停にて撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

10月なのに30℃を超える気温を記録した暑い日に、久しぶりに展覧会に行くことにしたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
今年は猛暑、台風、竜巻と異常気象のオンパレード。
体力に自信がないSNAKEPIPEにはとてもキツいなあ。
年齢的な関係もあるのかな。(笑)
今年の夏は暑いせいで、休日はひきこもってばかりいた。
せっかくの秋だからお出かけしようと決めたのが、佐倉にある川村記念美術館
9万坪の広い敷地内に併設されている美術館は、まるで小旅行に出かけたような気分になる気持ちの良い場所だ。
熱中症対策用の飲み物を用意し、佐倉に向かったのである。

川村記念美術館は2011年9月に鑑賞した「モホイ=ナジ/イン・モーション」以来約2年ぶりになるんだね。
モホリ=ナギ展覧会も素晴らしかったし、川村記念美術館がコレクションしている作品群も、こだわりが感じられ大変満足したことを覚えている。
今回はそのコレクションの中から「リコレクション」としてテーマを決めて展示しているシリーズの2回目とのこと。
これは期待できそうだね!(笑)

佐倉駅の川村記念美術館行きのバス停で待つこと10分。
同じようにバスを待っているのは女性2人組と他に女性1人のみ。
無料送迎バスは大型マイクロバスで立派なタイプなので、お客さんが5人程度しか乗っていないのは、ちょっともったいないくらい。
経営状態を勝手に心配してしまうよ。(笑)
佐倉近辺の住人だったら車を所持しているのが当たり前で、SNAKEPIPEとROCKHURRAHのように、何かしらの交通機関を利用しないとダメな人ばかりじゃないだろうけどね!

20分程度で美術館に到着。
駐車場には車がたくさん停まっていて、やっぱり他の人はマイカーで来るんだなと納得。
美術館に行く人は少なくても、自然散策路の散歩を目的とする人が多いみたいだからね。
おかげで美術館内はガランとしていて、ゆったり鑑賞することができたよ!(笑)

今回の展覧会の目玉はフランク・ステラエーリヒ・ブラウアーの展示である。
フランク・ステラのコレクションは川村記念美術館で今までにも鑑賞しているけれど、今回は「フランク・ステラ・ルーム」として大型の作品16点を鑑賞できるとのこと。
常設展示に加えて企画展へとつながる順序に沿って鑑賞していく。
常設展では前回も鑑賞していたけれど、やっぱりマックス・エルンストの作品に目を奪われる。
2012年5月に横浜美術館にて「マックス・エルンスト-フィギィア×スケープ」を鑑賞した時にも非常に感銘を受けたね!
やっぱりダダとシュルレアリスムには興味津々だよ!(笑)

川村記念美術館にはもう1つお目当てがある。
世界に3つしかないマーク・ロスコの作品7点が展示されている「ロスコ・ルーム」である。
今回は本当にお客さんが少なかったので、「ロスコ・ルーム」はSNAKEPIPEとROCKHURRAHの専用貸し切り部屋になってしまった!
なんてラッキーなんでしょ!(笑)
言葉にできない、なんとも言えない感覚に襲われる部屋なんだよね。
真ん中にあるソファに座ってぐるりと展示されているロスコの絵をじっと観ていると、まるでトリップしているように意識が飛ぶ。
できるだけ長い時間滞在したい空間なんだけど、美術館の監視員と警備員にじーーーっと見られているのは苦痛。(笑)
特に今回は2人しか部屋にいなかったから余計だよね。
ちょっと名残惜しい気持ちを残しつつ、2階の企画展へ向かう。

【ヒラクラⅢ  1968年】

「フランク・ステラ・ルーム」はかなり広い2部屋を使用し、大型の作品を展示していた。
複雑な形のキャンバスに幾何学模様を描いたミニマル・アートからコレクションが始まる。
ミニマル・アートとは視覚芸術におけるミニマリズム(Minimalism)であり、装飾的・説明的な部分をできるだけ削ぎ落とし、シンプルな形と色を使用して表現する彫刻や絵画のことだという。
ミニマル・アートの先駆者としてロシア構成主義のアレクサンドル・ロトチェンコの名前が挙がっているのを発見!
やっぱり好きな雰囲気の作品は根本でつながってるんだね。(笑)
極彩色なのにバランスが良くて、部屋に飾りたい逸品がたくさんあったよ!
幾何学模様の美しさを堪能できるね!

【Western Driefontein 1982年】

フランク・ステラの別ラインは立体的な作品群である。
川村記念美術館の入り口にも、「リュネヴィル」というかなり大きなフランク・ステラの立体作品が展示されているんだよね。
川村記念美術館はフランク・ステラのコレクションとしても世界的に有名だというから「ロスコ・ルーム」と併せて、高い評価を受ける美術館といえるだろうね!
「フランク・ステラ・ルーム」に展示されていた立体作品も、とても素晴らしかった。
どの作品も「家に飾りたい」と思ってしまう逸品ばかり。
ステンレススチールやアルミニウムを素材にしている作品が多いので、「シルバー色でピカピカ光るもの」に目がないSNAKEPIPEにはよだれもの。(笑)
現在77歳のフランク・ステラは、現役で活動を続けているという。
もっとたくさんカッコ良い作品を作って欲しいよね!(笑)

【Cast thy bread upon the waters:For thou shall find it after many days】

もう1つの企画展がウィーンの画家、エーリヒ・ブラウアーの版画である。
旧約聖書の「ソロモンの箴言」から抜粋したテクストを元に制作された、12点の連作版画だという。
2012年9月に行った「ジェームス・アンソール展」も全く知らないベルギーの画家の展覧会だった。
今回のエーリヒ・ブラウアーも今まで聞いたことないんだよね!

エーリヒ・ブラウアーは1929年ウィーン生まれ。
リトアニアからの移民でユダヤ系だったため、少年期にはナチスによる迫害や強制労働を経験したという。
1945年にウィーンの美術アカデミーに入学し、同時に歌唱法も学んだというから多芸だよね。
1946年、ギュータースローに師事する。
この時同じようにギュータースローから教えを受けた画家たちは、ウィーン幻想的レアリスム派と呼ばれるらしい。
もちろんエーリヒ・ブラウアーも中心人物の一人だったのね。
それにしても、幻想的レアリスムってシュルレアリスムとは違うのかね?(笑)

その後フランス、スペイン、北アフリカなどを旅行しダンサーや歌手として生活費を稼いだらしい。
「芸は身を助く」を実践していて、アレハンドロ・ホドロフスキーに経歴が似てるね。
1955年の結婚を機に名前を「Arik」に改名。
これはヘブライ語で「神のライオン」を意味するらしいよ。
1956年にウィーンで個展を開催して以来、現在に至るまで活動を続けているアーティストとのこと。
絵画だけではなく、ミュージシャンとしての活動もあり、数々のアルバムもリリースしているとはびっくり!
舞台馴れしている雰囲気は上の写真でも判るよね。
まだまだ元気でおシャレな紳士だから80代には見えないよ。
今回の展覧会で初めて存在を知ることができて良かったなあ!

【With thou set thine eyes upon that which is not? For riches certainly make themselves wings. They fly away as an eagle toward heaven. 】

「ソロモンの箴言」を題材にした12点の作品は、大きく逸脱せず、内容を視覚化していて解り易い。
色彩の鮮やかさやモチーフの面白さは、遠目でも瞬間的に目に入ってくるほどインパクトが強い。
近寄ってじっくり鑑賞すると、かなりグロテスクな要素も含まれていることに気付く。
上の作品では流線型の物体から緑色の女の足が伸びているんだよね。
なんだかよく分からない想像上の物体が多く登場して、作品全体を不気味にしている。
「これよ!まさにこれ!」
と口角泡を飛ばし、興奮するSNAKEPIPE。
前述したジェームズ・アンソールに求めていたグロテスクな要素が満載で素晴らしい!(笑)
ジェームズ・アンソール展もこんな風に、たくさんのグロテスクを展示してくれたら良かったのに期待ハズレだったからね。

最後に一点だけ、残念なこと。
なんでミュージアムショップにブラウアー関連商品が一点もなかったんだろう?
せめてポストカードだけでも置いて欲しかったなあ!
SNAKEPIPEのように図録を楽しみにしているような客もいることを知って欲しいな、と思う。

小さな残念なことはあったけれど、大好きな雰囲気の画家に出会えて、とても嬉しかった。
行って良かった、素敵な展覧会だったよ!
さすがに川村記念美術館、最高だね!(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #23 Xavier Mascaró

【物々しい鉄の甲冑軍団がかなり不気味で良い感じ!】

SNAKEPIPE WROTE:

ペドロ・アルモドバル監督作品鑑賞から、すっかりスペイン熱に浮かされているSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
他の監督によるスペイン映画はもちろんのこと、ワインやお菓子までスペイン産を好んで選ぶようになっているほどだ。
もっとスペインについて知りたい、と思っている時にふと気付いたのがアートの世界のこと。
スペインには有名なアーティストがたくさんいて、アート量産国だったんだよね!
誰もが知っているピカソを始め、ダリやミロ、エル・グレコにゴヤ、ベラスケスと世界的に知られている画家のオンパレード!
「アンダルシアの犬」でお馴染みの映画監督ルイス・ブニュエルもスペイン出身だったよね。
今まで特別意識していなかったけれど、スペイン人の作品に慣れ親しんでいたことを改めて認識したよ。

そういえば現代アートの世界はどうなっているんだろう?
今回の「 SNAKEPIPE MUSEUM」はスペインの現代アーティストを紹介してみたいと思う。
スペインの現代アーティストと検索した時に一番初めに目に飛び込んできたのが、一番上に載せた画像だったんだよね。
どっしりと重厚感のある、まるで闇の世界から出現したかのようなダークな雰囲気を持った彫刻はSNAKEPIPEの好みそのもの!
アートがしっかり根付いた土地には、やっぱり面白い作品を作るアーティストがいるんだね。
この作品を作ったのは一体誰?

今回SNAKEPIPEが気になったアーティストは、1965年パリ生まれのスペイン人、ザビエル・マスカロ
一家は1968年にスペインへ移住する。
1988年に美術学位を取得し、バルセロナ大学を卒業した翌年から青銅細工の制作を開始。
1995年には、鉄を使用した彫刻を始める。
1998年に個展を開催。
現在はメキシコシティとマドリードを行き来する生活を送っている。
国際的にも著名なスペインの芸術家のうちの1人である、とのことである。

6体の作品が並んでいる、左の写真は2012年に制作された「Warriors」である。
画像が小さいので判り辛いと思うけれど、ところどころが朽ち果てたように穴が開いていて、もう少し経ったら崩れ落ちてしまうような状態である。
素材は鉄を使用しているのに、ガッチリとした安定ではなく、不安を感じさせるという矛盾がテーマなのかもしれないね。
タイトルも「勇士」なのに、強そうで勇敢なイメージとは程遠いところにも注目かな。
一番上の画像では、黒い鉄が年月を経て錆びてきて、赤銅色に変色しているところが凄みになっていたのとは別の印象を持つ。
様々な表情を与えられた鉄を鑑賞するのは初めてかも?

右の作品は「Bastet」という2011年から2012年にかけて制作された作品である。
陶器、鉄、木材や樹脂など複数の素材が使用されているらしい。
恐らく犬などの動物をモチーフにしていると思うけれど、まるで縄がかけられているような状態で、更に横向きの画像では判断が難しいね。
囚われてるようだけれど悲壮感はなく、何故だか静謐な雰囲気を感じてしまう。
きっとこの作品も年月の経過が何かしら作用して、また違う印象を残す作品に変化するんだろうね。
時間を作品に組み込んでいるのが、ザビエル・マスカロの特徴みたいだね。

 2013年の「Tribal song」はより土着的な、原始宗教を思わせる作品だね。
そうか、とここで思い付く。
左の顔はまるで埴輪みたいだよね?
はい、ここで問題です!
弥生時代の後の250年頃から飛鳥時代の前の600年末頃までの時代を、何時代というでしょう?
正解は、古墳時代でした!(笑)
Wikipediaで古墳時代や埴輪について調べてみると、そこに参考資料として載っている画像はまさにザビエル・マスカロ!
「武装男子立像」は鎧に身を包んだ戦士だし、「馬形埴輪」も「Bastet」に似てるんだよね。
埴輪という文化が日本特有のものなのか、大陸から渡ってきたのかSNAKEPIPEは詳しくない。
似たような文化がどこの国にもあるのかもしれないけれど、SNAKEPIPEは埴輪に似てると感じたよ。
ザビエル・マスカロの作品を観て惹かれたのは、 日本人の血が騒いだからなのかもしれないね?(笑)
誰もが持っている遠い祖先の記憶を胸に、改めてザビエル・マスカロの作品を鑑賞してみようか。
もしかしたらこれが古きを訪ね新しきを知ることなのかもしれない。
いつかザビエル・マスカロの作品を実際に鑑賞してみたいね!

アメリカン・ポップ・アート展鑑賞

【デニス・ホッパー撮影のアンディ・ウォーホル。大好きな一枚だ!】

SNAKEPIPE WROTE:

国立新美術館ポップ・アート展やってるよ」
長年来の友人Mから連絡があったのは、随分前のことだ。
展覧会は開催期間が長いので、どうしても絶対早く観たいと思うもの以外は、期間中に行かれたら行こうね、という約束をする。
8月中は夏休みのために入場者数が多く鑑賞しづらいだろう、というのが先延ばしにしていた理由になる。
そしてついに9月に入ってから、約束通りに六本木に繰り出したのである。

国立新美術館は、SNAKEPIPEにとっては「シュールレアリズム展」「マン・レイ展」に続く3回目の来館だったけれど、友人Mは初めてになるらしい。
そのためSNAKEPIPEが美術館までの道のりを案内するようなカタチになってしまった。
例の「大学院大学」が見えてきた時にはホッとする。
方向感覚に優れた友人Mから「信じられない!」と何度も言われた経験のある筋金入り方向音痴のSNAKEPIPEにとって、道案内することは大仕事だからね!(笑)
予想通り来館者は思ったよりも少なく、SNAKEPIPE命名の「国立系」もそれほど見かけない。
やっぱり8月を避けて正解だったようだ。

ここで少し「ポップ・アート」について書いてみようか。
「ポップ・アート」と聞いて誰もがまず一番初めに思い浮かべるのは、アンディ・ウォーホルだろう。
マリリン・モンローをモチーフにした作品やウォーホルが監督した映画だったり、もしかしたらヴェルヴェット・アンダーグラウンドを連想する人もいるだろう。
SNAKEPIPEもアンディ・ウォーホルについては以前より興味があり、ドキュメンタリー形式の本を読んだり映画を観たりしてウォーホルとは一体どんな人だったのか、何をしていたのかを知りたかった。
最も興味を持ったのは「ファクトリー」と呼ばれたウォーホルのスタジオに集まる人々とその行動かな。
ニコが一日バスタブに浸かって読書をしていた、なんて文章を未だに覚えているくらい。(笑)
ウォーホルと同じように銀髪にしたイーディ・セジウィックの可愛らしさ!
イーディのポストカードはずっと飾っていたっけ。
60年代は、なんとも言えない魅力にあふれた憧れの時代なんだよね!

他にポップ・アーティストといえば、ロイ・リキテンシュタインを思い出すね。
あれ?
もうこれ以上出てこない!
「ポップ・アート」と聞いて、ちゃんと認識できているアーティストが非常に少ないことに今更ながら気付き驚くSNAKEPIPE。
断片的に作品は鑑賞しているみたいだけど、どうやら「ポップ・アート」としてまとまった展覧会を観たことがないんだね。
これはやっぱり行って確認しないと!(笑)

「ポップ・アート展」は日本美術および現代美術の世界有数のコレクターとして知られている、ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻のコレクションを展示しているとのこと。
パワーズ夫妻はポップ・アートがまだ評価を確立する以前からその真価を見抜き、作家を直接支援することによって、世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げたらしい。
これだけの作品をプライベートでコレクションできるなんて余程の資産家だろうし、広大な敷地を持つ邸宅に住んでいるんだろうね!(笑)
夫妻の名前からして判るように、「キミコ」は日本女性なんだよ。
一体ジョンとキミコにはどんなロマンスがあったんだろうね?
そんなお話も聞いてみたかったなあ。(笑)

会場に入ってみると、「ポップ・アート展」はアーティスト別に部屋が区切られ、そのアーティストの全貌を知ることができるように配置されていた。
それでは気になったアーティストについての感想をまとめていこうか。

1. ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)

1925年テキサス州生まれのロバート・ラウシェンバーグは、アメリカにおけるネオダダの代表的な作家として活躍し、のちのポップ・アートの隆盛にも重要な役割を果たす。
2008年、82歳で心不全のため死去。

実は今回の展覧会の中で、SNAKEPIPEが感銘を受けたのがロバート・ラウシェンバーグだったんだよね!
フォト・モンタージュを取り入れていたり、タイポグラフィも登場していたので、ネオダダと聞いて納得!
「コンバイン(結合)・ペインティング」と呼ばれる様々なオブジェの組み合わせに激しい筆触のペイントを加えた作品群は迫力があってカッコ良い!
上の作品「ブロードキャスト」も「コンバイン・ペインティング」で、中央辺りにラジオが内蔵されていて、実際に放送を聴くことができたらしいね。(笑)
ロバート・ラウシェンバーグの名前は耳にしたことがあるけれど、実際に作品を鑑賞するのは初めてだったのかも。
もっとロバート・ラウシェンバーグについて知りたいし、個展が開催されるなら是非鑑賞してみたいな!

2.ジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)

ジャスパー・ジョーンズは1930年ジョージア州生まれ。
上述のロバート・ラウシェンバーグと同じようにネオダダやポップ・アートの先駆者として活躍したアーティストである。
wikipediaによれば、どうやらロバート・ラウシェンバーグと同じビルに住んでいたことから友人関係にあったらしい。
同じ方向を向いたアーティストが近くにいるってものすごい偶然だよね!

ジャスパー・ジョーンズといえば、アメリカ国旗やダーツの的をモチーフにした作品が代表作といえるだろうね。
もちろん代表作の展示もあったけれど、今回の展覧会では、左のような様々な色を使った線の絵が一面全てに展示されている部屋があり驚いてしまう。
友人Mと顔を見合わせ、首をひねる。
抽象絵画といったら良いのかすら判らないけれど、どうもSNAKEPIPEには理解できない世界観だなあ。

3.アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)


アンディ・ウォーホルは1928年ピッツバーグ州生まれ。
上述したようにポップ・アートといえばウォーホルというくらいの有名人だよね!
1987年胆嚢手術を受けるも、容態が急変し心臓発作のため58歳で死去。

今回の展覧会の目玉が「200個のキャンベルスープ缶」だった。
誰もが知っているというくらいの有名な作品だと思うけれど、SNAKEPIPEが知っていたのはどうやらシルクスクリーンで印刷されたものだったみたい。
今回展示されていたのは、印刷されたものではなく、描かれている作品だった。
近くに寄って鑑賞してみると、ちょっとフォントが歪んでいたり、一番下の列は同じ銘柄が並んでいるのを発見して楽しくなってしまった。
描き続けているうちに、少し飽きてきたのかも?(笑)

他にもマリリン・モンローだったり電気椅子などの有名な作品が展示されていたけれど、あまりにも見慣れすぎているためか確認作業をしている気分になった。
今回の展示で異質だったのは、スポンサーでありコレクターであるキミコ・パワーズの肖像が並んでいたこと。
なんと部屋の全てがキミコだったんだよね!
依頼をして作ってもらったのかもしれないけど、展覧会に自分の顔が並んでいる光景とはいかがなものか?(笑)
ウォーホルの作品には違いないけど、知らない家族のポートレートを無理矢理観させられてる気分になってしまったよ。

4.ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)

1923年ニューヨーク州生まれのロイ・リキテンスタインも、アンディ・ウォーホルと同じくらい有名なポップ・アーティストだよね。
1997年肺炎のため73歳で死去。

漫画の一コマを印刷インクのドットを含めて描いた作品群は、非常にインパクトが強く印象に残りやすい。
今回の展覧会では、その細かなドットの一つ一つが描かれていることを実際に目にすることができて嬉しかった。

リキテンスタイン作のドットが描かれてたコーヒー・カップも展示。
黄色いカップに黒いドット柄。
この雰囲気、どこかで観たよねと友人Mと顔を見合わせる。
そうか!草間彌生のかぼちゃのシリーズにそっくりなんだね!(笑)

他にも数人のアーティストの作品が展示されていたけれど、作品数が少なかったし、ポップ・アートの範疇に入るのかよく判らない作品もあった。
ポップ・アートの定義って難しいよね。
wikipediaによれば

雑誌や広告、漫画、報道写真などを素材として扱い、
大量生産・大量消費社会をテーマとして表現する、
現代美術の芸術運動のひとつ

とのこと。
この文章読んでも、ウォーホルとリキテンスタインの作品について書いているだけで、充分に説明されているとは言い難いよね。(笑)
SNAKEPIPEがポップ・アーティストについて即答できないのも無理ないかも?

1950年代にイギリスでポップ・アートが始まり、1956年にリチャード・ハミルトンが雑誌や広告の魅力的な商品やゴージャスなモデル写真を切り貼りしたコラージュで、ポップ・アートの先駆的作品を制作していたとは知らなかった。
左に載せたハミルトンの作品「Just what is it that makes today´s homes so different, so appealing?」の中にはロリポップキャンディーの包み紙にポップの文字があるんだよね。
評論家であるローレンス・アロウェイが商業デザインなどを指して「ポピュラーなアート」という意味で使用したときに「ポップ・アート」という言葉が誕生したという話も今回初めて知ったよ!
前から知っていたはずのポップ・アートだったのに、意外と何も知らなかったことが判っただけでも新発見かな。(笑)
そしてネオダダからポップ・アートへ移行していった、ということについても知識がなかったんだよね。
現代アートに興味がある、と言っておきながらまだまだ未熟者のSNAKEPIPE。
もっと勉強が必要ね。(笑)

ROCKHURRAH紋章学 ミルク・パッケージ編

【ミルクといえば『時計じかけのオレンジ』でのコロヴァ・ミルク・バーだね!】

SNAKEPIPE WROTE:

世界中の食卓でお目にかかる飲料といえば、ミルク!
家庭によって牛だったりヤギだったり、もしくは豆だったりと元となる動植物に違いはあるけれど、老若男女・人種問わず誰もが日常的に口にすることが多いと思う。
日本ではほとんど1リットル入りのありふれた四角い紙パッケージしか見覚えがないけれど、世界にはどんなデザインがあるのかな?
今回の「ROCKHURRAH紋章学」では、世界各国のミルク・パッケージ・デザインについて特集してみよう!

食料品のパッケージでモノクロームというのは、あまり目にしたことがないSNAKEPIPE。
一体何が入っているのか判らないよね?
ロシアのDepot WPF Branding Agencyがデザインしたミルク・パッケージなんだけど、HPがロシア語なので読解不可能!
今までのデザインをまとめたページでは、見たことがあるロゴやパッケージがたくさんあったので、有名なデザイン会社みたいだね!
このミルク・パッケージは自然農法と手製の生産工程を強調するために、鉛筆により手描きしたらしい。
ヨーロッパのすぐれた広告作品を表彰する2010年の「エピカ・アワード」において、Package of the Future Contestでトップ10入りを果たしたらしい。
シンプルだけれど、目を引くデザインだよね!

次も「milk」って書いてなかったら、中に何が入っているのか判らないパッケージだよね?
記号や図形が描いてあると、スポーツドリンクとか薬のように感じちゃうよね?

デザインしたのはAudrée Lapierreというカナダのクリエイティブ・ディレクター。
データの可視化を得意としているようで、とても女性の作品とは思わなかった!
カロリーの比率、栄養バランスなどの重要で有用な情報を与えるためのデザインらしい。

未来的な雰囲気はとても好きだけど、ミルクだと思うとあまり美味しそうに感じないのはSNAKEPIPEだけだろうか?(笑)

続いては白とグリーンが印象的な不思議な形のパッケージ。
コロンとしていてとてもカワイイよね!
「soy mamelle」と書いてあるから、もしかして豆乳なのかしら?
KIANというロシアのブランドエージェンシーがデザインしたらしい。
おお、またもやロシア!
そして上述したDepot WPFと同じように、KIANも2012年の「エピカ・アワード」の何かを受賞したとHPに出てるね。
こちらもロシア語だから読めないんだよね!(笑)
KIANは豆乳の栄養価は牛乳と変わらないけれど、コレステロール値は低いということを、牛の乳房に似たパッケージで表現し、更に緑色を使用することで製品が植物性で健康的であるというメッセージも込めたとのこと。
六波羅家も最近牛乳から豆乳に変えて、グリーンスムージー作ってるんだけど、大型の冷蔵庫じゃないとこのパッケージは入らないかもね?(笑)

YANKO DESIGNによるパッケージにはちょっと説明が必要だね。
賞味期限が近づいてくると、どんどん色が付いてくるという画期的なパッケージなんだよね。(笑)
紫外線が当たると色が変わる紙があることは調べて確認したんだけど、このパッケージにはどんな仕掛けがされているのか不明!
コストや素材が気になるね。(笑)
例えば1日で飲んでしまうような場合には、こんな色の変化をみることはできないってことか。
それにしても、一目瞭然という言葉通りの視覚化は面白いよね!
それにしてもこのYANKO DESIGNの代表者がTakashi Yamadaという日本生まれでカナダ育ちの男性なんだよね。
日本とカナダを往復している、なんて書いてあったよ。
ちょっと羨ましい生活スタイルだね!

最後はこちら!
なんともインパクトのあるこのミルク・パッケージはThe Guernsey Dairyが2010年にデザインしたもの。
「より温和で、より無害な時代を喚起すること」を考え、デザインチームがレトロで奇妙なデザインを模索するために、広範囲な研究まで行ったらしい。
その結果、飢饉やファシスト体制の下であっても、すべて過去のほうが現代より良い時代だったと回答する人が多かったらしい!
そして「それは玄関の鍵をかけなかった古き良き時代、共同体意識と虐殺の記憶を蘇らせるもの」としてこのマークを使用したパッケージにした、というのだ。
解るような、解らないような説明だよね?(笑)

ガーンジーというのはイギリス海峡のチャンネル諸島に位置するイギリス王室属領で、フランスに近い場所の島々とのこと。
酪農が有名なようで、ミルクの色が金色に近く、ゴールデンミルクと呼ばれているらしい。
輸出もしているようで、フランス、ベルギー、ポーランドでもこのパッケージで発売します、なんて書いてあったよ。
かなりドキリとさせられるに違いないね!

デザイン関係を検索していると毎回同じ感想を持つけれど、世界にはユニークな物がたくさんあるよね。
コンセプトの構築と共に商品の方向性が決定され、商品名やパッケージデザインまで首尾一貫している点が良く解るよね。
今回はミルク・パッケージについてまとめてみたけれど、改めてスーパーで牛乳コーナー見てガッカリしちゃうね。
牛と牧場の絵とか文字だけ、とか味気ないパッケージばかりだもんね。
日本には根付いていない文化なのかな。