誰がCOVERやねん6

【今回は陽気 VS 陰気で対極なバンド特集】

ROCKHURRAH WROTE:

この「誰がCOVERやねん」という企画はただのカヴァー・ヴァージョン特集ではなくて、1970年代から80年代のパンクやニュー・ウェイブにまつわるカヴァー曲だけを独自のセレクトで紹介(というほど詳しくは書いてないが)してゆくというもの。
元歌、またはやっているアーティストのどちらかに興味ない場合はいかに優れたカヴァーでも書かない方針なので、ROCKHURRAHの偏った好みだけで展開してゆく。
今まで書いた傾向はメジャーで誰でも知ってる曲よりも、知る人ぞ知る音楽に焦点を当てているのが特徴かな?ヘタしたら元歌のバンドもカヴァーやってるバンドもどちらも一般的でなかったりするから、読む人を限定する特集なのは間違いないな。もっとマニアックな人は世の中にゴマンといるだろうけど、読んで少しでもウチの路線を理解していただけたらありがたいな。

前回まではまずカヴァー曲を提示しておいて、それの元歌はこれなんだよという配置の仕方だったけど、今回からは先にオリジナル、次にカヴァー曲という構成でゆきたい。いや、誰も気付いてなかったと思うし別に大差ないのはわかってるけど。

テッズ=テディボーイは50年代のロンドンで流行した不良のスタイルで丈の長いテッズ・ジャケットに細身のパンツ、ラバーソールの厚底靴、そしてリーゼントの髪型などが特色だった。
アメリカ発祥のロカビリーとも似たようなものだが、ダボッとしたズートパンツに開襟シャツが主流だったロカビリーに対して、テッズの方はもう少しスリムな印象があるな。
生き様としてもファッションとしてもピシっとスジが通った魅力に溢れてて、個人的には大好きな部類。
人によっては大嫌いな部類かも知れないが、それはどんなムーブメントでも一緒。
セックス・ピストルズのマネージャーだったマルコム・マクラーレンも元々はテッズ畑の出身だった、という事からもわかる通り、ファッションの世界でも札付き、じゃなかったお墨付きの不良カルチャーだったわけだ。
その後も多くのデザイナーを魅了してテッズっぽいデザインの服はある程度の周期でリバイバルしているな。
ロッカーズはテッズのようなシティボーイ(死語)じゃなくてトライアンフなどのバイクに乗ってかっ飛ばす集団ね。
革の上下キメキメで魅了はされるけど、バイクに乗ってなければやはり決まらない。
趣味とライフスタイルの全てがそうじゃないと真似出来ない点でテッズよりも難しいと思える。

テンポール・テューダーは1970年代のパンクの頃に活動していたバンドでパンクとテッズ、ロッカーズ風味を融合させて、そこにスコットランド民謡風の勇壮なメロディをうまくミックスさせた個性的なスタイルを作り上げた。
元々はパンクやモッズとテッズ、ロッカーズは敵同士なんだけど、まあ固い事言わずに仲良くしましょうや。
モロにテッズ要素満載なわけではなく、メンバーの髪型やルックス、そして音楽性に垣間見えてるところが「時代に合ってた」ということになるんだろうな。
彼らのもう一つの特色は中世の鎧甲冑の騎士や海賊、三銃士などなど、華麗に時代がかった衣装をジャケット写真に使用してプロモーションもそういう装束で行っているコスプレ・バンドだったこと。
別にこの格好で演奏するわけじゃないが、同時代に大ヒットしたアダム&ジ・アンツの海賊ファッションなどと比べると知名度が低い。もっと注目されても良かったのではないかと思うよ。

俳優、コメディアンとしても活動していたエドワード・テューダーポールはセックス・ピストルズの映画「グレート・ロックンロール・スウィンドル」の中で映画館の受付役(掃除人?)として出演、映画のサントラでも何曲か入っていて注目はされたものの、アルバム・デビューが遅くてパンクも過ぎ去った頃になってしまったのがやや不遇だったかな。
アレックス・コックスの「ストレート・トゥ・ヘル」でもジョー・ストラマーやポーグスと共演。
「そうそうたる人々と共演したで賞」を与えたくなってしまう逸材なのに日本ではあまり知名度がないなあ。

この曲「Swords Of A Thousand Men」はそんなテンポール・テューダーの魅力が満載のヒット曲で、PVもROCKHURRAHが書いた通り派手な身振りの騎士姿。
前にウチのこの記事でも書いた名曲「Wunderbar」と共にみんなで大合唱出来る壮大で陽気な曲だね。
テューダーポールのこれでもか、という派手なオーバーアクションもすごいけどギターのモミアゲ男の「濃さ」も負けてないね。男気ムンムン。

そんなテンポール・テューダーの名曲をカヴァーしたのがこれ、ミッドナイターズというバンドだ。
1980年代後半のサイコビリー系バンドでかなりマイナーな存在だとは思えるが、なぜかこのレコード・ジャケットも覚えてるしカセットテープ(古っ!・・・)にも「Easy Money」とか録音して聴いてたような記憶があるが、バンドの印象はすっかり記憶にない。
サイコビリーの中でも特にアクの強いバンドばかりを好んで聴いていたから、この手の軽快な演奏は敬遠していたかも。
元々テッズっぽい要素もあるテンポール・テューダーの曲をネオロカ、あるいはサイコビリーでカヴァーというのはある意味当たり前の発想なので、飛躍がないのは書いてる本人にも痛いほどわかってるよ。まあ見逃してやってね。
しかし、ミッドナイターズというバンドが他にもあるようで、しかもそっちの方が遥かに立派なようで、この見栄えのしないトリオは検索でもほとんど出てこない。
バンド名つける時に「同じバンド名だ」とか気付かなかったものかねえ?
出だしからしてすでに間違っとるよ。

ROCKHURRAHの書くブログ記事では何度も登場していて「またかよ」と言われそうなジャンルが1980年代初頭に流行ったポジティブ・パンク、略してポジパンというムーブメントだ。
ウチでも大昔に記事でまとめたこともありましたなあ。
ウィキペディアでゴシックについて調べてたら、ゴシック趣味の音楽についてウチの書いてる事と同じような事が書かれてたからビックリ。こんな一文を真似て書くほど落ちぶれてないROCKHURRAHだが、ウチの駄文を真似るほど落ちぶれた人間もいるとも思えない。
うーむ、偶然にも列記してるバンド名まで一致した、などという奇跡な解釈でよろしいのかな?

ポジパンの大まかな定義とかは上のリンクを参照すれば、割とうまいこと書いてると自画自賛出来る力作(ブログ記事が)。
いやあ、ROCKHURRAHのブログ、タメになるなあ。

そのムーブメントの一番最後に登場した大物がこのシスターズ・オブ・マーシーだ。
ジョイ・ディヴィジョンやバウハウスによって確立した「何かわからんけど暗くて重苦しいロック」という不明瞭なジャンルを踏襲したバンド達が幾多も存在したが、そのトドメとも言える重苦しいヴォーカルが衝撃的だった。
この重低音ヴォーカリストのアンドリュー・エルドリッチを中心に80年代初頭に英国、リーズで結成。
ポジパンが一番旬の時代だったのが1982年くらいだから、その時にはすでに存在していたはずなんだが、当時は細々とシングル出してたけど日本ではまだ無名だった。

シスターズは多くのポジパンのバンドがやってたような白塗り化粧とかホラー映画風のメイクとは無縁のルックスで、長髪にレイバンの大きなサングラス、丈の長い黒っぽいコートにつばの広い帽子というような格好だったから、通常の意味でのポジパンっぽいところはなく、そういうシーンの中では浮上して来なかったんだろうかな?
ただしゴシックという幅広い意味では見事に一致してて、ゆえに「ゴスの帝王」などと呼ばれていた。
音楽も見た目も雰囲気も真似したくなる要素に溢れてて、フォロワーも多かったな。

本人はゴシックなどという言葉が大嫌いと明言していて、ポジパンやゴシックなどというムーブメントとは距離を置いていたらしいが、近い方向性なのは間違いない。
ドクター・アバランシェと名付けられたドラム・マシーンによる無機質なビートに繊細なギター・サウンド、そしてくぐもった低い声が特徴的な音楽はジョイ・ディヴィジョン=イアン・カーティスと共に「押し殺した声のヴォーカリスト」2大巨匠だと言える。

彼らは自身のレーベル、マーシフル・リリースより出したシングルをインディ・チャートに数多くランクインさせて、1985年にアルバム・デビューした。
「マーシーの合言葉」という意味不明の邦題で日本でもリリースされたが売れたんだろうか?

すでに大半のポジパンのバンドは過ぎ去っており、そういう路線での生き残りは難しかったが、一般的には売れなくても伝説のすごいバンドとしての地位は揺るぎないものだったろう。
しかしかなり偏屈な男として名高いエルドリッチは他のメンバーとうまくいってなく、メジャー・デビューした後にあっさり解散。次のバンドを巡ってイヤな泥沼のような争いを起こしたが、この辺はROCKHURRAHの嫌いなところなので省略。
彼一人さえいればそれがシスターズ・オブ・マーシーという考えのワンマン社長、「派遣は覇権を争うなよ」というのが言い分らしい。

その後も別のメンバーでやってたりはするけどROCKHURRAHが個人的に好きだったのはアルバム当時のシスターズまで。
ポジパン最後のスターだっただけにそのカッコイイ姿が見られるライブ映像も比較的残っている。
この曲「No Time To Cry」は一番最後くらいのリリースで(1985年までの)暗くてもダンサブル、重苦しくても躍動感に溢れてるという名曲。見た目も格好良くて憧れるな。
個人的にエルドリッチの真似して髪を伸ばして黒ずくめだった時代もあったなあ。
今はまた時代が廻って案外遠からずの風貌になってしまったROCKHURRAHだよ。

そんな時代の寵児だったシスターズだからカヴァー・ヴァージョンも多数存在してるだろうと思ったが、当たるのはヘンなバンドばかり。
彼らの良さをひとつも理解してない醜い見世物バンドとか、要するにゴシックの表面だけをなぞって間違えてしまった類いの奴らとか。
実はここまで書いてきて取り上げようと思ってたバンドがそれだったわけで、急遽取り止めにした次第だ。
シスターズ部分に熱を入れて書いたからもう書き直し出来ない、困ったニャーなどと思いながら何とか勘違いではなさそうなのを見つけて来たのがこれ。
特別に気に入ったわけでもないし映像もなくてつまらんが、ないよりマシというレベル。
実は全然知らなくてどうやらフランスのレーベルから出している最近のバンドらしいが、なぜか「特攻花」とか「神風」とか不穏なタイトルのレコード出してるな。
他の曲の曲調も聴いてみたが、まさに80年代、具体的にはエコー&ザ・バニーメンとかウェステッド・ユースとかの正統派ネオ・サイケっぽく感じた。
90年代くらいにもシューゲイザー=靴を見つめる人=うつ向きかげんに観客と目を合わせない内向的バンドというのが多数出たが、その延長線にも見えるな。
タイトルもそうだが日本語のサンプリングみたいなのも入ってて、こちらが聴くとちょっと気恥ずかしい気分もする。

ポスト・パンクみたいな事を今の時代に再現しようと思うとこういう風になってしまうね、というような見本市。
いくら自分が盛り上がってても周りの空気は違うという現実に突き当たる。

ROCKHURRAHは若い世代で今やってるサイトを始めたわけではなくて、ちゃんと熱かったあの時代を知ってるからSNAKEPIPEと二人でも80年代のままで続けてゆけるけど、このバンドはどうだろう?
時代は巡ってくるからまた80年代みたいになるといいんだろうけど、それは本当の80年代ではない。
この辺のギャップに彼らもウチも悩みそう。

今回も意外と長くなってしまったからたった2つのカヴァーのみ、しかもオリジナルに思い入れがあってもカヴァー曲には特に何も感じないというのが続いてしまったね。
また今度別な方角から探ってみよう。

大人社会科見学—那須塩原—

【今回の目的である竜化の滝!圧巻の絶景に言葉を無くす】

SNAKEPIPE WROTE:

本日7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとう、ROCKHURRAH!(笑)
毎年プレゼントは何が良い、と聞くのが恒例となっていて、去年は「旅行」との答えだったため日光旅行に行ったんだよね。
その時の様子は「大人社会科見学—日光—」として記事にしている。
滝と温泉でのリフレッシュを再び体験しよう!と今年も旅行に行くことになった。
滝と温泉をメインに考え、1泊2日の日程ということになると範囲はある程度絞られてくる。
群馬県や茨城県も候補にあがったけれど、今回もまた栃木県に決定した。
那須塩原は聞いたことがある地名だけれど、ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも行ったことがない。
滝の数が豊富で、源泉掛け流しの客室露天風呂付き旅館もお手頃だし!
早速誕生日に近い日程で新幹線と宿の手配を済ませたのである。

この時期の旅行で一番心配なのは、お天気!
土砂降りの雨や、台風に見舞われてしまったら計画が台無しになっちゃうからね。
去年も少し降られたけれど、今年もやっぱり少し雨模様での出発となった。
自称雨男のROCKHURRAHが一緒だから仕方ないのかも?(笑)
それでも一日降り続く雨ではなく、曇り時々雨くらいなので、歩くのには丁度良かった。

一日目は宿のチェックインの時間に合わせて行動したので、この日の滝めぐりはなし。
史跡鍾乳洞「源三窟」に行ってみる。
長さがおよそ50mの鍾乳洞なので、そこまで大規模ではないけれど、以前秋吉台の秋芳洞で鍾乳洞の魅力を知ってから、富士山の富岳風穴・鳴沢氷穴も探検(?)したROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
近くに鍾乳洞があると知ったら規模の大小に関わりなく、行きたくなっちゃうんだよね!(笑)
「源三窟」は源義経の家来であった源有綱が潜伏していたことが名前の由来になっているそうだ。
チケットを購入し、洞窟に入ろうとすると、受付の女性が
「今から紙芝居で鍾乳洞の歴史を紹介します」
と言い、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEに椅子を勧める。
そして受付から出てきて、女性の顔の高さに持った紙芝居が始まったのである。
大人2枚1400円ですね、と話していた時の声とは別人。(笑)
時は1185年、源平最後の合戦壇ノ浦の戦いで〜と張りのある声で紙芝居をしてくれた受付の方に拍手だね!

鍾乳洞の中には、潜伏生活を送っていた落武者の人形が配置され、様子が分かるようになっている。
狭くて暗くて寒い中、大変だっただろうね。
そんな苦労をした末に、米のとぎ汁の白い色で潜伏先を発見されてしまったというオチにはびっくり。
探索していた源頼朝軍が鋭かったんだろうね。

川沿いを散歩している途中でヘビを発見!
SNAKEPIPEという名前のくせに「ひゃあっ!」と声を上げてしまう。
天然モノに野外で遭遇するのは怖いよねえ。

那須塩原も寂れた印象の温泉街で、メイン通りを少し外れた道を歩くと廃墟が点在している。
かつては大勢のお客さんで賑わったはずの温泉旅館が廃墟化してるんだよね。
急にムラムラと撮影意欲が湧いてくるSNAKEPIPE。
廃墟には目がないからね。(笑)
本当は中に入りたかったけど、断念し外側からだけ撮影する。
やっぱり廃墟はワクワクする!(笑)
つい夢中になって撮ってしまい、旅の主役であるROCKHURRAHを手持ち無沙汰にさせてしまった!
ごめんなさい!(笑)

予約していた宿は、純和風で総面積がかなり広めのゆったりとした造り。
源泉掛け流しの露天風呂も予想以上に広く、湯加減はぬるめで長く浸かれるタイプ。
夕食は座敷だったため足がしびれてしまったことを除けば、良く研究された創作料理が並び、これも大満足だった。
良い宿に宿泊できて良かったなあ!(笑)
男女別だったためROCKHURRAHだけが体験したのが洞窟風呂。
この宿の自慢の一つだったようで、せっかくならと入ってきたようだ。
洞窟の中で入浴しているような造りで、部屋に付いていた露天風呂の湯加減よりも少し熱めだったとか。
女性の時間は遅かったので、SNAKEPIPEは未体験になってしまった。

翌日。
早起きして目指す滝へと出発する。
ROCKHURRAH RECORDSはマイカーを持っていないので、目的地に行くためにはバスを利用することになる。
そして2人共乗り物に弱いという特徴が同じなんだよね。(笑)
SNAKEPIPEは子供の頃の遠足というと憂鬱だった。
乗り物で酔ってしまうからね。
ROCKHURRAHもかなり弱いほうだという。
そんな2人が苦手なバスに乗って滝を目指したのである。

バスターミナルから第一の目的地である「竜化の滝」まではおよそ10分程度の距離。
これくらいならまだ大丈夫だね。(笑)
乗ったのがJRバスだったのに、何故かsuicaが使えない!
ICに対応していないバスだったとはびっくりだね。
整理券を握りしめ、前方の料金表を見て小銭を数える。
うーん、なんて不便なんでしょ!
確か以前行った長崎では、どのバスでもIC対応していたけどね?
JRバスくらいは改善して欲しいよね!

「竜化の滝」停留所から徒歩で滝を目指す。
割と平坦な道だったはず、というROCKHURRAHの情報はどこから仕入れたんだろう?
階段になっている場所でもかなりの急勾配。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEはブーツ着用だったから問題ないけど、サンダル履いた女性などはとても難しいと思われる道が続く。

前日の雨に濡れた幹や葉の色が濃い。
滝から流れ落ちてきた水が川となってせせらいでいる音。
こんなに大自然の中を歩くのは久しぶり!(笑)
滝に到着する前の段階でも充分楽しい気分になっている。
歩いている途中にもいくつか滝があり、小さく高さがそれほどなくても豊富な水量に驚く。
そしていよいよ「竜化の滝」に到着!
トップの画像なんだけど、uno,dos,tresという3段構造になっている、迫力のある滝!(わざわざスペイン語にする必要あるのか?)
滝との距離はおよそ5mくらい?と思うくらい、ものすごく近いんだよね!
目の前に滝がある迫力に圧倒される。
しばらくの間滝を眺めていたのに、 ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの2人だけで滝を独占できたのはラッキーだったね!(笑)
「竜化の滝」、観られて本当に良かった。

これに気をよくしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE、次の滝へと向かうことにする。
これもバスで2つ先の「 回顧の滝」である。
通常の感覚としては「バス停2つなら歩ける距離」と思ってしまいそうだけれど、この場所は栃木県。
バス停1つの距離がながーいのよ!
特に「竜化の滝」から「回顧の滝」まではトンネルまでくぐるような、とても歩けない道を走っていたね。
元々人が歩けるだけの幅がない道がほとんどなので、徒歩は考えちゃいけないんだね、と話し合う。
「回顧の滝」停留所までもおよそ10分程度で到着。
酔うほどにはならなかったよ。(笑)

「回顧の滝」へは「緩やかコース」と「急坂コース」という2つのコースのどちらかを選択することになっている。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは迷うことなく「緩やかコース」!(笑)
2人共足腰には自信ないからねえ。
先に行った「竜化の滝」で「道は平坦」とされてしまうなら、「急坂コース」はロッククライミングやボルダリングのレベルじゃないだろうか?
などと言いながら「緩やかコース」を歩く。
意外なことに「竜化の滝」に向かう道のりより平坦に感じる。
「回顧の滝」での最大の難所と思われるのは、約100mの「回顧の吊橋」を渡ること!
実はROCKHURRAHとSNAKEPIPE、2人揃って高所恐怖症なんだよね。
吊り橋なんて足がワナワナして渡れないかも、と思っていたにも関わらず、これも難なくクリア!
お、やればできるじゃない!(笑)

「回顧の吊橋」を渡ってしまえば、ゴールはもうすぐ。
それにしても?
滝のゴーッという音が全然聞こえてこない。
吊り橋を渡り切ると、高台に向かう階段が見えてくる。
そこまで行ってもまだ音がしない。
高台に登ってみる。
ん?
んんん?
もしかしてあれが「回顧の滝」?
目を凝らすと、チョロチョロと細い糸のような水が落ちているのが見えた。
まるで楚々とした控えめな女性のような滝だね!
ゴーゴーと音を立て、勢い良く水が落下する男性的な印象が強い滝が多いと思うけれど、「回顧の滝」は違った趣。
遠い場所から眺めているので、余計にそう感じたのかもしれないね。

「回顧の滝」を予想よりも早く鑑賞してしまったので、せっかくならばと次のバス停「もみじ谷大吊橋」に向かうことにする。
バス停は1つだけだけど、1つのバス停の距離を考えると徒歩は避けたほうが良いだろう、という判断にしたのである。
バスに乗って、およそ1分。
「もみじ谷大吊橋」に到着!
測ってないけれど、多分300mくらいの距離だったんじゃないだろうか。
運転手さんに「えっ、ここで良いんですか?」と聞かれてしまったほど。
とほほ。
こんな距離だったら徒歩で問題なかったのに!
「回顧の滝」近辺に「もみじ谷大吊橋 ここから300m」なんて看板もなかったからね!
今回の旅行で初めての「とほほ体験」だったよ。(笑)

昼近かったので、腹ごしらえする。
バス停近くには「手打ちそば」という看板がいくつか出ている。
なんで蕎麦屋ばかり並んでるんだろうね。
簡単に軽く済ませよう、とそのうちの一つの店に入る。
山の中だから「山菜」や「田舎煮込み」というフレーズが多用されている。
あまり興味がないので、「鴨うどん」を注文。
出てきたうどんを食べてびっくり!
味が濃過ぎ、鴨が硬過ぎ、なのに値段が高過ぎ!
観光地の料理は不味くて高くて当たり前、で良いのだろうか?
昔はそれで許されていたとしても、最近はそれじゃダメでしょ。
ご当地グルメがもてはやされているかと思えば、未だにこんな商売やってる店もあるんだね。
今回の旅行、2度目の「とほほ体験」だ。
2度と行かない店に決定!(笑)

気を取り直して「もみじ谷大吊橋」へ向かう。
この吊橋は320mの長さがあり、日本でもかなり長い吊り橋だという。
「吊り橋効果」を狙って「恋人の聖地」 になっているらしい。
揺れる橋での恐怖を共有したことが恋愛に発展する、という理論によるものだけど、「もみじ谷大吊橋」は強度に自信がある橋なんだよね。(笑)
もちろん歩いているうちに多少の揺れは感じるけれど、グラグラして足元が覚束ないというレベルではない。
高所恐怖症のROCKHURRAHとSNAKEPIPEですら、スイスイと歩いたくらいだからね!
終点に到着して、塩原ダムを見学。
予定していなかった「吊り橋」だったけれど、ここにも行かれて良かったな!

旅行前から引いていた風邪をこじらせ、ここ数年の中でも絶不調な状態だったSNAKEPIPE。
鼻が詰まり味覚がない状態だったのに、温泉に入ってから味が分かるようになったのには驚いたけど!
次回の旅行の教訓としては、当たり前だけど体調を万全にして臨むことと、知らない土地のバス事情などは事前に調べておくこと、かな。
バスは停留所以外にも料金と営業キロまで知ったほうが良いね。(笑)

ROCKHURRAHも大満足だったという。
一番の目的はROCKHURRAHが喜んでくれることだったので、とても良かったと思う。
また知らない場所を旅しようね!

ROCKHURRAH紋章学 化学工業ロゴ編

【化学工業編には、もちろんケミカル・ブラザーズ!陳腐過ぎ!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

「ROCKHURRAH紋章学」は前回、重工業のロゴを紹介する、本来の目的通りの記事を書くことに成功した。(大げさ!)
今回もそれに倣って、また会社のロゴを特集してみたいと思う。
じゃーん!なんと化学工業編!(笑)
重工業から化学工業に変わっただけじゃない、という声が聞こえてくるけれど、やっぱりロゴとして面白いんだよね。
秀逸なロゴ・デザインを選んでみたよ。
では早速いってみよう!

一番初めはこちらのロゴ!
OXEA はドイツのオキソ誘導品メーカーだという。
なーんて知ったように書いてみたけれど、化学のことはチンプンカンプンなので、日本語に訳すのが大変なんだよね。(笑)
英語が読めても化学に関する部分の日本語訳が難しいんだよ。
間違った紹介をしていると思うので、最初に謝っておきましょ。
ごめんなさい!
この記事はロゴの秀逸さをまとめていて、会社紹介じゃないということで許してね!

化学のことが分からないのに、何故か化学実験用の道具には胸躍るSNAKEPIPE。
フラスコとか試験官とかね。(笑)
シャーレ、なんてホントにおしゃーれだし!(ぷぷぷ!)
OXEAのOがコポコポと沸騰している、今まさに薬品を数種類混ぜている実験段階のように見えるロゴに目が釘付け!
塵ひとつ落ちていない、 ものすごく清潔な工場がイメージできる、ちょっと細めのレタリング。
色が濃い目のブルーグレーがそう見せるのか?
バランスの良い、秀逸なデザインだと思うね。

OXEAはどうやら新宿にも支社(?)があるようだけど、ビルの中みたいなんだよね。
化学実験が行われているんだろうか?
気になるところだね!

続いてはこちら!
KIALAB は化粧品、薬品や洗剤などの成分に関するイタリアのコンサルタント業を営む会社である。
あ、また断定的な文章にしちゃったけど!
実ははっきり分かっていないから許してね。(笑)
化学の構造式の輪郭を少しボカし、化学=硬いという印象を和らげている。
レタリングを細くしているのも女性らしい雰囲気だよね。
Kの文字が人で、構造式に手を伸ばしているように見えるのはSNAKEPIPEだけかな?
人の手が加わっていますよという、機械的なイメージの払拭につながっているように感じられる。

この会社のHPがロゴを使った面白いリンクを貼っているので、それも見どころの一つ。
効果的にロゴを使用しているのは、いつか真似てみたいな!(笑)


紺色とゴールドが美しいHADSELL CHEMICAL PROCESSINGのロゴは、ワッペンにしたくなるようなデザインだよね!
特殊化学薬品のパッケージングや化学処理を行うアメリカの会社とのこと。
かなり大がかりな機械を使っている様子が、HPのビデオで観ることができるよ!
その機械とフラスコに、グローバルを表現した「輪っか」を組み合わせたデザインにして、会社のイメージを視覚的に見せているところが秀逸だよね。
ビデオの造りもなかなか凝っているし、中に「ブレイキング・バッド」のウォルターのそっくりさんが出演しているところも見どころ。(笑)

以前仕事の関係で、毎日のように日本の企業や会社のHPを検索していたことがあるSNAKEPIPEだけど、海外の企業のHPの素晴らしさには驚かされるね!
ロゴに気を配る会社だったら、HPにも気を遣うのは当たり前かも。
日本は広告という点で遅れてるなあと実感しちゃうね!

最後もドイツの企業で締めようか!
MERCKはドイツのダルムシュタットを本拠とする、世界で最も古い化学品医薬品メーカーだという。
MERCKに関してはWikipediaに記事があったので、上の紹介文は大丈夫なはずだよ。
日本にもMERCK JAPANがあるようで、ちゃんと日本語HPがあったから、これで読むほうが分かるよね。(笑)
ただし本家(?)のHPの造りに比べると、少しぞんざいな感じになっているのが残念!

ロゴのデザインは、MERCKのMが途切れている部分がポイント。
カプセルに見立てて会社のイメージを表しているとは、これは一本取られましたなあ!(笑)
それが左隣りのカプセルに同調していて、世界との関わりを感じさせるんだよね。
えっ、深読みし過ぎ?(笑)
こういったグラフィックデザインは、さすがバウハウス・デザインの国だけあって素晴らしいよね!
洗練された秀逸なロゴだと思う。

今回は4つのデザインを紹介してみたよ!
前述したように、ロゴは会社のイメージを決める重要なポイントだと思うので、ロゴが素晴らしい会社や企業は大抵HPにも力を入れてることが多いように感じられた。
会社や企業自体については知らなくても、デザインという点から注目するのも面白い試みだと思う。
また次回の「ROCKHURRAH紋章学」では別の分野を特集してみよう!

「マスク展」鑑賞

【庭園美術館入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

マスク、と聞いて初めに思い浮かべるのは医療用の白いアレだろうか。
韓国で猛威をふるっている、MERSウイルスのニュースを連日聞いているせいかもしれない。
今回話題にしたいと思っているマスクは、そのマスクのことではない。
仮面を意味するマスクのことである。
仮面といえば。
三島由紀夫の「仮面の告白」、江戸川乱歩の「黄金仮面」などの文学作品に登場したり、スタンリー・キューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」では謎の秘密集会に集うために、仮面を着用していたことなどを即座に思い出す。
そう、仮面には秘密めいた、今の自分ではない別人になるための装飾という意味合いが強いんだよね。
最もこれは現代人が持つ認識で、古代の人間にとっての仮面にはまた違った意味があったようだね。

そのヒントになりそうな展覧会情報をROCKHURRAHと、長年来の友人Mの2人から寄せられた。
2人共SNAKEPIPEの貴重な情報源で、面白そうな企画があると
「こんなのあるよ」
と教えてくれるのである。
鋭いアンテナを持つ2人から別々に寄せられた同じ情報!
東京都庭園美術館で開催されている「マスク展」である。
庭園美術館に行ったのは何十年前のことだろう。(遠い目)
何を観に行ったのかすら覚えていない、かなり昔のことだ。
ROCKHURRAHは一度も行ったことがないという。
この展覧会はフランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵作品を約100点展示しているという。
きっとマスク展は面白いに違いないね!

情報はかなり早い時期に教えてもらっていたけれど、期間が長い展覧会にありがちな「まだ時間がある」という思い込み。
そうこうしているうちに会期の終了が迫ってきて、慌てて予定を立てる。
今回もまさにその「いつものパターン」になってしまい、終了間際に出かけることにしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
情報を教えてくれた長年来の友人Mとは日程が合わず、別々に鑑賞することになった。

梅雨の晴れ間だったせいもあり、お出かけには良い日和だったのかもしれない。
目黒駅を降りてから、庭園美術館へと続く道に人が多く感じられる。
まさか、という予想は当たり。
意外にもかなりの人が庭園美術館を目指しているではないか!
「マスク展」ってそんなに人気あるのー?

庭園美術館の敷地内に入ってから美術館までの道のりをゆっくり歩く。
途中長い長い蟻の行列を発見して驚いたり、ミノムシに遭遇したり、生えてるキノコを目撃して「つかの間」の自然体験をする。
5分程で美術館に到着。
この庭園美術館というのは、宮家が元々使用していた洋館だったんだね。
そして東京都指定有形文化財になっている歴史的建造物だったとは知らなかった。
そのため美術館という形式ではあるけれど、その洋館自体を展示する、というのも庭園美術館の目的になるようだね。

洋館の中の仮面は一体どんな感じだろうか。
会場は地域別に「アフリカ」「アジア」「オセアニア」「アメリカ」と分かれて展示されていた。
最初がアフリカ。
アフリカ、と聞いて想像した通りの原始的な仮面が並ぶ。
説明に「結社で使用」という文章が多く、アフリカにはそんなに結社が多かったのか、と驚く。
ここで言う「結社」というのはフリーメイソンに代表されるような秘密結社とは意味合いが違う。
村の儀式に参加する、という感じになるのかな。
仮面の主な目的が死者の魂をあの世に送り届けることだったらしい。
税金の取り立て用に怖い仮面を着けた、なんていうのもあったけどね!
写真上は木製の仮面が多い中、珍しいビーズ細工の仮面である。
細かい手作業にびっくり!
丸いのは象の耳なんだって。

制作年度がいつなのか不明の展示物が多いし、全然聞いたことがない国名が書いてあったりして少し戸惑う。
プリミティブ・アートをほとんど鑑賞したことがないSNAKEPIPEなので、仕方ないかもしれないね。
ROCKHURRAHは大阪の国立民族学博物館にも行ったことがあり、意外とその手の展示が好きらしい。
民族学博物館で楽器を買った、と聞いたことがあるよ。
一体いつ使うつもりだったんだろうね?(笑)
写真はナイジェリアの仮面。
斜め横からの写真なので判り辛いけれど、真正面から観ると仮面の鼻と象の鼻をイメージしたという上の垂れた部分がきっちり重なる仕様なんだよね。
この立体の捉え方が素晴らしかった!
ピカソがアフリカの彫刻から影響を受けた、というのが良く解るね!

「アジア」と大雑把に括られると、タイや中国、日本まで対象になってしまうんだよね。
日本からは能面が展示されていた。
以前記事にした「「驚くべきリアル」展鑑賞」で紹介したハビエル・テジェスの「保安官オイディプス」を思い出す。
能面着けたウエスタン調のオイディプスの悲劇ね。(ややこしい)

インドネシアは以前好きで何度も行ったことがある国である。
ワヤン・クリッのような影絵劇は今でも上映されているはずだし、ワヤン・トペンという仮面を着けた劇もあるという。
それはまるで日本の能と同じ感じだよね。
その仮面も展示されていたよ。
インドネシアの仮面で一際目を引いたのが左の写真。

耳にあたる部分の精細さ!
ROCKHURRAHが推理したように蝶のイメージだったのかもしれないね。
顔の部分はガスマスクを思わせる馬面仕様。
色使いから全体的なバランスから、全てが素晴らしい!
この仮面をかぶってみたいかって?
いや、それは遠慮しときます。(笑)

アラスカの仮面は見ていて笑ってしまったね。
なんともユーモラスな顔立ち。
歯は最初から欠けていたのか、それとも途中で抜けてしまったのか。
この顔の形からダイキン工業のマスコット、ぴちょんくんを思い出してしまった。
SNAKEPIPEは、アラスカの人は厳しい自然を相手にしてるから険しい顔だろう、と勝手に思い込んでいたけど、違うかもしれないね?(笑)

収集狂時代 第1巻」を書いた時に、オークションで高額取引された美術品の中に「作者不詳」の紀元前の彫刻があったんだよね。
ネット上での写真でしか観ていないにもかかわらず、作品の力強さに圧倒されたSNAKEPIPE。
今回鑑賞した「マスク展」にも同じような「太古の人類が持っていた想い」を感じることができた気がする。
上述したようにピカソを彷彿させる仮面や、実際モディリアーニの絵のようだ、なんて説明も書いてあったように、現代アートにつながる系譜を観たように思う。

ただし。
庭園美術館での展示には少し無理があったように感じるね。
先にも書いたように「洋館の展示」にも意味を持たせているため、仮面を「◯◯の間」の隅っこに展示し、鑑賞するための通路は往路と復路の2人分確保されていない。
順路が非常に分り難く、部屋毎に分かれて展示されているため、美術館の見張り役の人とぶつかりそうになったり。
次回庭園美術館に行くのはいつになるのか分からないけど、日を選んでなるべく人が少ない時にしようと思う。

本家のケ・ブランリ美術館には30万点の所蔵品があるという。
その中の約100点が展示されてたってわけね。(笑)
フランスには行ってみたい博物館や美術館がいっぱいあって羨ましいね。
いつかは本場で鑑賞してみたいな!