これぞ暁斎!鑑賞

                   

20170416 11【展覧会のフライヤーをウォーホル風に加工(by R)】

SNAKEPIPE WROTE:

「混んでいるのは覚悟して出かけよう!」
渋谷にあるBunkamura ザ・ミュージアム で開催されている「これぞ暁斎!世界が認めたその画力」展への友人Mからの誘いである。
これまで何度も友人Mから誘われて、映画や展覧会を鑑賞している。
今回話題に上った河鍋暁斎展は、SNAKEPIPEも開催されていることは知っていたけれど、つい及び腰になっていた展覧会なんだよね。
理由は、昨年の伊藤若冲展での混雑を経験しているから!
2011年に開催された「
没後150年 歌川国芳展」の混雑ぶりに辟易したことも思い出す。
河鍋暁斎も人気がある絵師だから、きっと人の頭の間から覗くように作品鑑賞するんだろうなあ。
友人Mとは前述した展覧会の全てをご一緒しているので、展覧会の様子を知ってるからね。
そこで一番最初の「覚悟」という言葉になるのである。

映画の場合は、封切られた場合はほとんどDVD化されて、半年後くらいには自宅で鑑賞することができる。
展覧会の場合は、その期間内にその場所で鑑賞しない限り二度とお目にかかれないことがあるからね。
海外からの特別展示で、今回のように個人所蔵のコレクション公開の場合は特に後悔のないようにしないと。(ぷっ)
今回の展覧会は「世界屈指の暁斎コレクションとして知られるイスラエル・ゴールドマン氏所蔵の作品」だという。
ゴールドマン・コレクションと名付けられているんだけど、ゴールドマン氏とは一体何者なの?
HPを見つけることができたので、ゴールドマン氏の経歴を知ることができたよ。
わずか11歳にして浮世絵の魅力に取り憑かれ、1981年にハーバード大学(!)を卒業してから浮世絵のディーラーとして活動している人物とのこと。
河鍋暁斎に関しては、たまたまオークションで「達磨」の絵を55ポンドで落札してから、コレクションを始めて35年だというから驚いちゃうよね。
55ポンドって今のレートでだけど、7500円くらいよ。
河鍋暁斎の作品が1万円以下だったとは!
それを見抜いたゴールドマン氏はさすがだね。(笑)

そのゴールドマン氏の35年かけたコレクションが観られるんだから、やっぱり行かなくちゃ。
会期が4月16日までだから、早くしないと終わっちゃうしね?
Bunkamuraザ・ミュージアムに出かけるのは、かなり久しぶりじゃないかな。
晴れているけれど、風の強い日に渋谷に向かったSNAKEPIPEである。
友人Mと会場に入ったのは、オープンして間もない時間だったにもかかわらず、予想通り人が多い。
国芳とか若冲ほどではないかな?(笑)
中高年の女性が7割といったところか。
えっ、自分を棚に上げてる?(笑)

混雑している展覧会で迷惑行為だなと思うのは
・混雑のため縦一列の行進状態で鑑賞しているのに、一箇所で立ち止まり微動だにしない
・友人同士で話し合いながら歩き、平気でぶつかる
・大きなリュック背負ったままの鑑賞(しかも急に方向転換など)

最初2つの行為をするのが、大抵の場合髪の色が白い方。
周りが見えていない、自分のことしか考えていないタイプ。
大きなリュックは男性に多いんだけど、電車のマナーと同じなのにね?
大きな荷物はロッカーに入れようよ!
混雑している場所だからこそ、相手との距離感を測りながら気持ち良く鑑賞したいよね。
ま、こんな感じでイライラさせられる行為は「覚悟」していたから、想定内か。(笑)

ここで簡単に河鍋暁斎についてまとめてみようか。

1831年 下総国古河石町(現在の茨城県古河市)生まれ。
1837年 浮世絵・師歌川国芳に入門。
6歳か7歳で弟子入りしたってことなんだね?
1840年 狩野派の絵師・前村洞和に再入門。
1849年 洞白より洞郁陳之(とういくのりゆき)の号を与えられる。
これで狩野派をめでたく卒業したことになるみたいだね。
9年で終了するのは、かなり優秀とのこと。
河鍋暁斎は当時のアカデミックな教育を受けていたことになるんだね。
1857年 江戸琳派の絵師・鈴木其一の次女お清と結婚、絵師として独立する。
父の希望で河鍋姓を継承したという。
1881年 第2回内国勧業博覧会に出品した「枯木寒鴉図」が「妙技二等賞牌」を受賞。
この年、お雇い英国人建築家ジョサイア・コンダーが入門する。
コンダーとは親しくしていたようで、コンダーが所蔵していた作品が多数海外に流出したみたいね。
1889年 胃癌のためコンダーの手を取りながら逝去。
57歳の生涯を終える。

歌川国芳や狩野派に弟子入りし、独自の路線を決定していった河鍋暁斎。
今回の展覧会では6つのチャプターで河鍋暁斎の生涯を伝えていたよ。
章ごとの解説は展覧会HPに作品と共に詳しく書かれているのでそちらを参照してくだされ! (笑)
SNAKEPIPEは気になった作品の感想を書くことにしよう。
残念ながら今回の展覧会では撮影が禁止されていたので、自分で撮影した写真じゃないんだけど…。
日本画の場合は禁止が多いなあ。

河鍋暁斎といえば、骸骨と思ってしまうSNAKEPIPE。
骸骨がダンスしている作品は以前何かの展覧会で観たことがあったよ。
左の画像は「三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪」(1871〜1889年)である。
まるでONE PIECEのブルックか、と思ってしまうよね。
楽器も持ってるし。(笑)
ONE PIECEには「元ネタこれだな」と思うキャラクターが多数いるからね。
この三味線骸骨が明治時代に描かれているというのは衝撃的だよ。
PUNKやMETALのジャケットになってもおかしくない感じだもんね!
ミュージアムショップで、この骸骨のワッペンを見つけたのでROCKHURRAHへのプレゼント用に迷わず購入したよ。(笑)

スマホの待ち受け画面にしたい!と思ったのが鴉シリーズ。
黒の濃淡で鴉を表現する技巧の素晴らしさ。
1羽のバージョンも2羽のタイプもあって、どちらも構図ばっちりでカッコ良い作品だった。
恐らく年表にあった 「妙技二等賞牌を受賞」した作品というのは、枯れ木にいる鴉を描いた作品だと思うので、右の画像のような感じなのかな?
「当時すでに暁斎に注目していた外国人たちは、こぞって鴉の絵を求めました。鴉は暁斎を一挙に海外に知らしめた作品となりました」
とHPに書かれているように、この鴉を見たら衝撃を受ける外国人は多いだろうね。
構図、間の取り方、黒一色での豊かな表現。
中国の水墨画も墨一色で表現することが多いけど、ここまで空間を多く使わないからね。
このバランス感覚は素敵だなあ。

こちらも鳥だけど、全く印象が違う作品だよね。
シンプルな線の表現、抑えた色合い。
明治時代の作品なんだけど、まるで現代アート!
河鍋暁斎は伝統的なものから、西洋画、浮世絵などありとあらゆる画法を研究して作品に取り入れていたという。
雨の表現は浮世絵風、鳥は漫画風。(笑)
河鍋暁斎の作品って漫画の元祖かなと感じるのが多いんだよね。

これはそのまま水木しげるだー!(笑)
「百鬼夜行図屏風」は、本当は横に6枚なんだけど、HPのスペースの関係で3枚ずつ縦2段に並べているのでよろしく。
妖怪がたくさん描かれているんだけど、なんともユーモラスな表情なんだよね。
鬼とか妖怪といえば異形の恐ろしい存在のはずなのに、河鍋暁斎の手にかかると楽しそうな世界になってしまう。
Wikipediaで確認したところ、特に水木しげるが河鍋暁斎の影響を受けたことは書かれていなかったけれど、 「ゲゲゲの鬼太郎」の世界観に似て蝶だよね。(笑)
この屏風、レプリカで良いから販売して欲しいなあ!
せめてポスターにしてくれたら良かったのに。

落ち着いた色合いの作品ばかりじゃないよ!
うわ、鮮やかな色、と声を上げてしまった作品がこちら。
「名鏡倭魂」 は1874年の作品なんだよね。
鏡を使って魔物退治をしている、という図なのかな。
歌川芳員や月岡芳年でも観たことがある強烈な直線の使い方が印象的。
2016年夏に鑑賞した「怖い浮世絵展」の感想でも「漫画の一コマみたい」と感想を書いているSNAKEPIPEだけど、この作品に関しても同じように思ったね。
小さいので分かり辛いだろうけど、細かい部分も描かれているので、じっくり観るのは面白いよね。
展示会場では「じっくり」はほどほどにね。(笑)

「地獄太夫と一休」で驚いたのは、太夫の着物の柄!
色とりどりの柄が丁寧に描きこまれている。
地獄太夫というのは、 室町時代の伝説の遊女らしく、一休に弟子入りしていたらしい。
遊女で弟子入り?
美貌もさることながらセンスがある女性だったようで、絵師の題材になっているとのこと。
どうして室町時代の遊女を明治時代に描いたのかは謎だけど、着物の柄が地獄を表していたというのがすごい。
自らを地獄と名付ける事自体が驚きだけどね?
河鍋暁斎は遊郭に入り浸っていたとの記述があって、それが帯や着物の柄を描くためだったとも言われているのが納得できてしまう仕上がり。
こんな柄のテキスタイル、素敵だろうな!
この柄を再現した手ぬぐいとか、スカーフを作ってほしかったなあ。
毎回ミュージアムショップの商品化する基準に疑問を持ってしまうんだよね。

ゴールドマン・コレクションを観て感じたのは、河鍋暁斎のユーモラスさ。
骸骨も妖怪も性も、笑いに変えてしまう表現は、持って生まれた性質によるものか?
観ていて「ぷっ」と吹いてしまう作品が多かったんだよね。
いかにも狩野派、と感じるどっしりした雰囲気の作品から、まるで「いたずら書き」のようなサラサラと筆を走らせている作品もあり、河鍋暁斎の幅の広さを鑑賞することができたのは良かった。
その「サラサラ」と軽く描いているように見えるのに、特徴を捉えているところがさすがだよね。
今回のコレクションには無残絵と呼ばれる残酷なシーンを描いた作品は皆無だったのは残念だったこと。
海外に多く流出している作品も集めた河鍋暁斎の全貌を知るような展覧会があったら観てみたいな!

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