ゲルハルト・リヒター展 鑑賞

20220724 top
【どんよりとした空をバックに看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

ゲルハルト・リヒター展が開催されることは、5月に富士フォトサロンでチラシを入手した時から知っていた。
開催予定日は6月7日からで、整理券を配布するほどの人気だという。
いつ行こうか迷ってしまうね。(笑)
コロナも配慮し、夏休みになる前の夜に鑑賞することに決めたのである。

今にも降りそうな重い雲が空を覆う夕刻、ROCKHURRAHと竹橋に向かう。
東京国立近代美術館を2人で訪れるのは、2016年9月のトーマス・ルフ展以来6年ぶりのこと!
SNAKEPIPEは2019年12月の窓展から約3年だね。

竹橋駅に着くと、ついにパラパラと傘を使うか迷う程度の雨が降ってくる。
駅と美術館は5分もかからない距離なので、そのまま早足で美術館へ。
夕方のせいか、SNAKEPIPE命名の、いわゆる国立系(高齢のアート好き)が見当たらない。
目立ったのは年齢層低めのカップルや一人で来ている女性かな。
少人数で鑑賞することができるのは良いね!

館内の職員に訊いてみると、嬉しいことに2作品以外は全て撮影可能とのこと!(笑)
ここの美術館はトーマス・ルフの時もオッケーだったんだよね。
アーティスト側の意図なのか、素晴らしいよね!

いよいよ会場へ。
どうだ、と言わんばかりの、作品群が並んでいる。
リヒターの代表作といえる、アブストラクト・ペインティングのシリーズが壁一面に展示されている様子は圧巻だよ!
SNAKEPIPEは通常、作品とタイトルの両方を撮影することにしているんだけど、リヒターの場合は、作品名のほとんどが「アブストラクト・ペインティング」で、タイトルに重きを置いていないみたい。

キャンパスの大きさに違いがあって、並べて観ると大きいサイズのほうが迫力あるんだよね。
どうしても色合いが鮮やかな作品に目がいってしまう。
どの作品も素晴らしくて夢中になって撮影しているうちに、だんだん作品の区別がつかなくなってくる。
次第に落ち着いた色調の作品のほうが目立つようになってくるのが不思議。
載せた作品は「グレイ」。
タイトルがシンプルで、色も一色だけなのに、筆のタッチが魅力的な作品だった。
重ねる技法は同じでも、印象がまるで違うよ。

今回の展示の中で「これが一番」と思ったのが、2014年の作品「ビルケナウ」。
280cm×200cmという大型の作品が4枚展示されていた。
その隣には1944年にビルケナウ強制収容所で撮影された写真が並んでいる。
それら4枚の写真から制作されたのが、大型作品「ビルケナウ」だという。
強制収容所の写真が同時に展示されていなかったとしても、「ビルケナウ」からは独特の血生臭さや恐怖、哀愁を感じたSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同様に不穏な空気を感じ取ったらしい。
この大作には圧倒されたよ!
デジタルプリントが向かい合わせに展示されていたのは、匂いやザラつきのないツルツルした表面だけの過去の記録といった意味合いなのかな。
記憶と記録の違い。
本物は油絵のほうで、プリントされた偽物と比べて観てみろ、というメッセージなのか。
陳腐過ぎ?(笑)

次の作品は少し時代がさかのぼって、1966年にシカゴで起こった殺人事件をもとに描いた8人の女性たちを、1971年に写真パネルとして制作したものだという。
恐らく彼女たちは、事件の被害者なんだろうね。
描いた時と写真にした時の解像度の違いなのか、少しブレてコントラストが付き過ぎていて、不気味な雰囲気だよ。
ボルタンスキーやトーマス・ルフは影響を受けたのかもしれないね。

展覧会の最後には、ドローイングが展示されていた。
タイトルがすべて日付で、描いた日を表しているみたい。
ちなみに載せた作品は「2021年10月5日」ね。
2020年9月に鑑賞した「オラファー・エリアソン展」の「クリティカルゾーンの記憶」みたいな線だったよ。
SNAKEPIPEやROCKHURRAHの誕生日に描かれた作品はないかな、と探してみたけれど見つからなかった。(笑)

常設展でもリヒターの作品を観ることができるんだよね。
自ら作った木製のオブジェを撮影した、1969年の作品群が展示されていた。
1932年生まれのリヒター、37歳頃になるんだね。
写真作品も面白かったよ!
そして国立近代美術館が所蔵しているリヒター作品「赤」も展示されている。
「赤」は制作プロセスが写真に記録され、公開されているという。
図録に製作途中のキャンバスが載っているけれど、全く完成形が見えないんだよね。
どれだけ色を重ねていくのか想像してみようか。(笑)

白髪一雄の時にも感じたことだけど、迫力がある作品ばかりが並んでいると、一点ごとの凄味が軽減されてしまうんだよね。
別のアーティストの作品の中に、一つの作品だけが展示されていると、その特異性が際立つのかもしれない。
遠くから観ただけでリヒターの作品だと判断できる個性的な作品群を、100点以上も鑑賞することができて良かったよ!
行って良かった展覧会だったね。(笑)

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